(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700863
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】チェッカーボード型高電圧垂直トランジスタレイアウト
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20150326BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
H01L29/78 652S
H01L29/78 653A
H01L29/78 652F
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-98651(P2013-98651)
(22)【出願日】2013年5月8日
(62)【分割の表示】特願2008-2051(P2008-2051)の分割
【原出願日】2008年1月9日
(65)【公開番号】特開2013-175778(P2013-175778A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2013年6月7日
(31)【優先権主張番号】11/707,418
(32)【優先日】2007年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501315784
【氏名又は名称】パワー・インテグレーションズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジェイ パルタサラティー
(72)【発明者】
【氏名】スージット バナージー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エイチ マンレー
【審査官】
大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−216927(JP,A)
【文献】
特開平11−233765(JP,A)
【文献】
特開2004−087520(JP,A)
【文献】
特表2007−531246(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/035877(WO,A1)
【文献】
米国特許第6331455(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ダイと、
複数の区画に編成された複数のトランジスタセグメントであって、それぞれは長さ及び幅を有し、前記長さは前記幅よりも長く、前記各区画の複数のトランジスタセグメントは幅に沿って並列の関係で配置されたトランジスタセグメントと、
を含み、
前記各トランジスタセグメントは、
垂直方向に延びる半導体材料の支柱と、ここで、前記支柱は、前記半導体ダイの上面付近に配置されたソース領域、拡張ドレーン領域、そして、前記ソース領域及び前記拡張ドレーン領域を垂直方向に分離する本体領域を有しており、
前記支柱の対向する両側にそれぞれ配置された第1及び第2の誘電体領域と、ここで、前記第1の誘電体領域は前記支柱によって横方向に取り囲まれ、前記第2の誘電体領域は前記支柱を横方向に取り囲んでおり、
前記第1及び第2の誘電体領域内に配置された第1及び第2の電界プレートと、ここで、前記第1及び第2の電界プレートは前記拡張ドレーン領域から完全に絶縁されており、前記第1の電界プレートは前記支柱によって横方向に取り囲まれ、前記第2の電界プレートは前記支柱を横方向に取り囲んでおり、
を含んでおり、
前記複数の区画は、前記半導体ダイを実質的に横切るように横列及び縦列に配置されており、横列又は縦列において隣接する区画は、隣接する区画の第1の区画におけるトランジスタセグメントの長さが第1の方向に延びるとともに、隣接する区画の第2の区画におけるトランジスタセグメントの長さが前記第1の方向と実質的に直交する第2の方向に延びるように、配向されていることを特徴とするトランジスタ。
【請求項2】
前記各区画は、実質的に正方形である請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項3】
前記長さは、前記幅よりも少なくとも20倍長い、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項4】
さらに、トレンチゲート構造を含み、前記トレンチゲート構造は、前記本体領域に隣接する前記支柱の上部の近くにある前記第1及び第2の誘電体領域内に配置された第1及び第2のゲート部材を含んでいる、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項5】
前記第1及び第2の区画におけるトランジスタセグメントの長さの幅に対する比は、30から80までの間である、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項6】
前記支柱は、第1及び第2の横方向に延びて、競馬場形状の環又は長円形を形成する、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項7】
前記複数の区画は2N個の区画を含んでおり、ここでNは1以上の整数である、請求項1に記載のトランジスタ。
【請求項8】
高電圧電界効果トランジスタ(HVFET)であって、
ダイ上で複数の区画に編成された複数のトランジスタセグメントであって、それぞれは、第1の横方向に細長い長さ及び第2の横方向の幅を有し、前記各区画の複数のトランジスタセグメントは幅に沿って並列の関係で配置されたトランジスタセグメントを含んでおり、
各トランジスタセグメントは、
第1の導電型の半導体材料の支柱と、ここで、前記支柱は、第1及び第2の横方向における競馬場形状を有し、前記支柱は、前記ダイの上面近くに配置されたソース領域、前記ダイを通って垂直方向に延びる拡張ドレーン領域を有しており、
前記支柱の対向する両側に配置され、第1の誘電体領域は前記支柱によって横方向に取り囲まれ、第2の誘電体領域は前記支柱を横方向に取り囲む、前記第1及び第2の誘電体領域と、
前記第1及び第2の誘電体領域に配置された第1及び第2の電界プレートと、ここで、前記第1及び第2の電界プレートは、前記拡張ドレーン領域から完全に絶縁され、前記第1の電界プレートは前記支柱によって横方向に囲まれ、前記第2の電界プレートは前記支柱を横方向に取り囲んでおり、
を含んでおり、
前記複数の区画は、前記半導体ダイを実質的に横切るように横列及び縦列に配置されており、横列又は縦列において隣接する区画は、隣接する区画の第1の区画におけるトランジスタセグメントの長さが第1の方向に延びるとともに、隣接する区画の第2の区画におけるトランジスタセグメントの長さが前記第1の方向と実質的に直交する第2の方向に延びるように、配向されていることを特徴とする高電圧電界効果トランジスタ。
【請求項9】
高電圧トランジスタであって、
半導体ダイと、
複数の区画に編成された複数のトランジスタセグメントであって、それぞれは長さ及び幅を有し、前記長さは前記幅よりも長く、前記各区画の複数のトランジスタセグメントは幅に沿って並列の関係で配置され、各トランジスタセグメントは長さ方向に交互にずれているトランジスタセグメントと、
を含み、
前記各トランジスタセグメントは、
垂直方向に延びる半導体材料の支柱と、ここで、前記支柱は前記半導体ダイの上面近くに配置されたソース領域、拡張ドレーン領域、そして前記ソース領域及び前記拡張ドレーン領域を垂直方向に分離する本体領域を有しており、
前記支柱の対向する両側に配置された第1及び第2の誘電体領域と、ここで、前記第1の誘電体領域は前記支柱によって横方向に取り囲まれ、前記第2の誘電体領域は前記支柱を横方向に取り囲んでおり、
前記第1及び第2の誘電体領域内に配置された第1及び第2の電界プレートと、ここで、前記第1及び第2の電界プレートは、前記拡張ドレーン領域から完全に絶縁され、前記第1の電界プレートは前記支柱によって横方向に取り囲まれ、前記第2の電界プレートは前記支柱を横方向に取り囲んでおり、
を含んでおり、
前記複数の区画は、前記半導体ダイを実質的に横切るように横列及び縦列に配置されており、横列又は縦列において隣接する区画は、隣接する区画の第1の区画におけるトランジスタセグメントの長さが第1の方向に延びるとともに、隣接する区画の第2の区画におけるトランジスタセグメントの長さが前記第1の方向と実質的に直交する第2の方向に延びるように、配向されていることを特徴とする高電圧トランジスタ。
【請求項10】
前記複数のトランジスタセグメントは、前記長さの0%より大きく、前記長さの100%よりも小さい範囲の距離だけ、長さ方向に交互にずれている、請求項9に記載の高電圧トランジスタ。
【請求項11】
前記複数のトランジスタセグメントは、前記長さの約50%だけ長さ方向に交互にずれている、請求項9に記載の高電圧トランジスタ。
【請求項12】
異なる前記区画の交互にずれたトランジスタセグメントの電界プレートの拡張直線側面部分は、各セグメントの実質的な長さに沿って融合されている、請求項9に記載の高電圧トランジスタ。
【請求項13】
前記ソースは、反対の導電型の領域によって分離された第1及び第2の領域を有している、請求項9に記載の高電圧トランジスタ。
【請求項14】
高電圧電界効果トランジスタ(HVFET)であって、
ダイ上で複数の区画に編成された複数のトランジスタセグメントであって、それぞれは、第1の横方向に細長い長さ及び第2の横方向の幅を有し、前記各区画の複数のトランジスタセグメントは幅に沿って並列の関係で配置され、各トランジスタセグメントは長さ方向に交互にずれているトランジスタセグメントを含んでおり、
前記各トランジスタセグメントは、
垂直方向に延びる半導体材料の支柱と、ここで、前記支柱は前記半導体ダイの上面近くに配置されたソース領域、拡張ドレーン領域、そして前記ソース領域及び前記拡張ドレーン領域を垂直方向に分離する本体領域を有しており、
前記支柱の対向する両側に配置された第1及び第2の誘電体領域と、ここで、前記第1の誘電体領域は前記支柱によって横方向に取り囲まれ、前記第2の誘電体領域は前記支柱を横方向に取り囲んでおり、
前記第1及び第2の誘電体領域内に配置された第1及び第2の電界プレートと、ここで、前記第1及び第2の電界プレートは、前記拡張ドレーン領域から完全に絶縁され、前記第1の電界プレートは前記支柱によって横方向に取り囲まれ、前記第2の電界プレートは前記支柱を横方向に取り囲んでおり、
を含んでおり、
前記複数の区画は、前記半導体ダイを実質的に横切るように横列及び縦列に配置されており、横列又は縦列において隣接する区画は、隣接する区画の第1の区画におけるトランジスタセグメントの長さが第1の方向に延びるとともに、隣接する区画の第2の区画におけるトランジスタセグメントの長さが前記第1の方向と実質的に直交する第2の方向に延びるように、配向されていることを特徴とする高電圧電界効果トランジスタ。
【請求項15】
パワートランジスタであって、
半導体ダイと、
複数の区画に編成された複数のトランジスタセグメントであって、それぞれは長さ及び幅を有し、前記長さは前記幅よりも長く、前記各区画の複数のトランジスタセグメントは幅に沿って並列の関係で配置されたトランジスタセグメントと、
を含んでおり、
前記各トランジスタセグメントは、
垂直方向に延びる半導体材料の支柱と、ここで、前記支柱は、前記半導体ダイの上面近くに配置されたソース領域、拡張ドレーン領域、そして前記ソース領域及び前記拡張ドレーン領域を垂直方向に分離する本体領域を有しており、前記支柱は第1及び第2の横方向に延びてループを形成しており、
前記支柱の対向する両側に配置された第1及び第2の誘電体領域と、ここで、前記第1の誘電体領域は前記支柱によって横方向に取り囲まれ、前記第2の誘電体領域は前記支柱を横方向に取り囲んでおり、
前記第1及び第2の誘電体領域内に配置された第1及び第2の電界プレートと、ここで、前記第1及び第2の電界プレートは、前記拡張ドレーン領域から完全に絶縁され、前記第1の電界プレートは前記支柱によって横方向に取り囲まれ、前記第2の電界プレートは前記支柱を横方向に取り囲んでおり、
を含んでおり、
前記複数の区画は、前記半導体ダイを実質的に横切るように横列及び縦列に配置されており、横列又は縦列において隣接する区画は、隣接する区画の第1の区画におけるトランジスタセグメントの長さが第1の方向に延びるとともに、隣接する区画の第2の区画におけるトランジスタセグメントの長さが前記第1の方向と実質的に直交する第2の方向に延びるように、配向されていることを特徴とするパワートランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、半導体素子構造及び高電圧トランジスタを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧電界効果トランジスタ(HVFET)は、半導体技術分野で公知である。多くのHVFETは、デバイスが「オフ」状態時に印加高電圧(例えば、数百ボルト)を支持又は遮断する拡張ドレーン領域を含むデバイス構造を使用する。従来の垂直HVFET構造においては、半導体材料のメサ又は支柱は、オン状態で電流の流れのための拡張ドレーン又はドリフト領域を形成する。トレンチゲート構造は、本体領域が拡張ドレーン領域の上方に配置されたメサの側壁領域の近くで基板上部の近くに形成される。ゲートに適切な電圧電位が印加されると、電流が垂直方向に半導体材料を通って、すなわち、ソース領域が配置された基板上面からドレーン領域が位置する基板下部まで下って流れるように、導電チャンネルが本体領域の垂直側壁部分に沿って形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のレイアウトにおいては、垂直HVFETは、半導体ダイにわたって延びる長い連続シリコン支柱構造から成り、支柱構造は、支柱長に垂直の方向に反復している。しかし、このレイアウトに関して生じる1つの問題は、高温処理段階中にシリコンウェーハの大きな反りを生成する傾向がある点である。多くの工程において、反りは、その後の処理段階中にウェーハを工具で取扱うことを妨げるほど永久的かつ大きなものである。
【0004】
本発明の開示は、以下の詳細説明及び添付図面からより完全に理解されるであろうが、添付図面は、図示の特定的な実施形態に本発明を限定するのではなく、説明及び理解のみを目的としたものであることを理解すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の説明においては、本発明の完全な理解が得られるように材料の種類、寸法、構造的特徴、処理段階などのような特定の詳細を列挙する。しかし、当業者は、これらの特定の詳細は、本発明を実施するのに必要でない場合があることを認めるであろう。また、図中の要素が具象的なものであり、明瞭さのために縮尺通りに描かれたものではないことを理解すべきである。
【0006】
図1は、N+ドープシリコン基板11上に形成されたN型シリコンの拡張ドレーン領域12を含む構造を有する垂直HVFET10の例示的な断面側面図を示している。基板11は、完成デバイス内の基板の底部に位置するドレーン電極を通って流れる電流に対する抵抗を最小にするために濃密にドープされる。一実施形態では、拡張ドレーン領域12は、基板11からシリコンウェーハの上面まで延びるエピタキシャル層の一部である。P型本体領域13及びP型領域16によって横方向に分離されたN+ドープソース領域14a及び14bは、エピタキシャル層の上面の近くに形成される。図から分るように、P型本体領域13は、拡張ドレーン領域12の上方に配置され、拡張ドレーン領域12をN+ソース領域14a及び14b及びP型領域16から垂直方向に分離する。
【0007】
一実施形態では、拡張ドレーン領域12を含むエピタキシャル層の部分のドープ濃度は、実質的に均一な電界分布を示す拡張ドレーン領域を生成するために線形に漸変される。線形漸変は、エピタキシャル層12上面の下の何らかの点で止めることができる。
【0008】
拡張ドレーン領域12、本体領域13、ソース領域14a及び14b、及びP型領域16は、
図1の例示的な垂直トランジスタ内のシリコン材料のメサ又は支柱17(両用語は、本出願においては同意語として使用される)を共同で含む。支柱17の両側に形成された垂直トレンチは、誘電体領域15を形成する誘電体(例えば、酸化物)の層で満たされる。支柱17の高さ及び幅、並びに隣接垂直トレンチ間の間隔は、デバイスの降伏電圧要件によって判断することができる。様々な実施形態では、メサ17は、約30μmから120μm厚の範囲の垂直方向の高さ(厚み)を有する。例えば、サイズが約1mmx1mmのダイ上に形成されたHVFETは、約60μmの垂直厚みを有する支柱17を有することができる。更に別の例として、それぞれの側に約2mmから4mmのダイ上に形成されたトランジスタ構造は、約30μm厚の支柱構造を有することができる。ある一定の実施形態では、メサ17の横方向の幅は、非常に高い降伏電圧(例えば、600Vから800V)を達成するために、確実に製造することができる範囲でできるだけ狭くされる(例えば、約0.4μmから0.8μm幅)。
【0009】
別の実施形態では、支柱17の横方向の幅にわたって(
図1に示すように)N+ソース領域14a及び14bの間にP型領域16を配置するではなく、N+ソース領域とP型領域は、支柱17の横方向長さにわたって支柱17上部に交互に形成することができる。換言すると、
図1に示すもののような所定の断面図は、断面をどこで切り取るかにより、N+ソース領域14か又は支柱17の横方向の全幅にわたって延びるP型領域16を有するであろう。このような実施形態では、各N+ソース領域14には、両側で(支柱の横方向の長さに沿って)P型領域16が隣接する。同様に、各P型領域16には、両側で(支柱の横方向長さに沿って)N+ソース領域14が隣接する。
【0010】
誘電体領域15a及び15bは、二酸化ケイ素、窒化珪素、又は他の適切な誘電体を含むことができる。誘電体領域15は、熱成長及び化学気相堆積を含む様々な公知の方法を用いて形成することができる。誘電体領域15の各々の中に堆積され、かつ基板11及び支柱17から完全に絶縁されているのは、電界プレート19である。電界プレート19の形成に使用される導電材料は、濃密にドープされたポリシリコン、金属(又は金属合金)、珪化物、又は他の適切な材料を含むことができる。完成デバイス構造において、電界プレート19a及び19bは、HVFETがオフ状態である時に(すなわち、ドレーンが高電圧電位まで上げられている時)、拡張ドレーン領域から電荷を枯渇させるのに使用することができる容量プレートとして通常は機能する。一実施形態では、各電界プレート19を支柱17の側壁から分離する酸化物領域15の横方向の厚みは、約4μmである。
【0011】
垂直HVFETトランジスタ80のトレンチゲート構造は、電界プレート19a及び19bと本体領域13との間に支柱17の両側で酸化物領域15a及び15bに各々がそれぞれ配置されたゲート部材18a及び18bを含む。高品質の薄い(例えば、〜500Å)ゲート酸化物層は、本体領域13に隣接する支柱17の側壁からゲート部材18を分離する。ゲート部材18は、ポリシリコン又は何らかの他の適切な材料を含むことができる。一実施形態では、各ゲート部材18は、約1.5μmの横方向の幅と約3.5μmの深さを有する。
【0012】
当業者は、支柱17の上部の近くにあるN+ソース領域14及びP型本体領域13は、各々、通常の堆積、拡散、及び/又は注入処理技術を用いて形成することができることを認めるであろう。N+ソース領域38形成後に、HVFET10は、従来の製造方法を用いてデバイスのそれぞれの領域/材料と電気的に接続されるソース電極、ドレーン電極、ゲート電極、及び電界プレート電極(明瞭さを得る理由から図示せず)を形成することによって完成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】垂直HVFET構造の例示的な断面側面図である。
【
図2A】
図1に示す垂直HVFET構造の例示的なレイアウトを示す図である。
【
図2B】
図2Aに示す例示的なレイアウトの一部の拡大図である。
【
図3A】
図1に示す垂直HVFET構造の別の例示的なレイアウトを示す図である。
【
図3B】
図3Aに示す例示的なレイアウトの一部の拡大図である。
【
図4A】
図1に示す垂直HVFET構造の更に別の例示的なレイアウトを示す図である。
【
図4B】
図4Aに示す例示的なレイアウトの一部の拡大図である。
【
図5】HVFETのダイ間のチェッカーボード配置を備えたウェーハの例示的なレイアウトを示す図である。
【
図6】セグメント化HVFETのダイ間チェッカーボード配置を備えたウェーハの例示的なレイアウトを示す図である。
【
図7】HVFETセグメントのチェッカーボード配置ブロックを有する矩形ダイの例示的なレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2Aは、
図1に示す垂直HVFET構造の例示的なレイアウトを示している。
図2Aの平面図は、半導体ダイ21上に上部トランジスタ区画30aと外部トランジスタ区画30bとを含む単一の個別のHVFETを示している。2つの区画は、ダミーシリコン支柱32によって分離されている。各区画30は、複数の「競走場」状のトランジスタ構造又はセグメントを含み、各トランジスタセグメントは、両側で誘電体領域15a及び15bによって取り囲まれたシリコン支柱17を含む細長い環又は長円形を含む。支柱17自体は、x方向及びy方向に横方向に延び、連続的な細長い競走場形状の環又は長円形を形成する。それぞれのゲート部材18a及び18b及び電界プレート19a及び19bは、誘電体領域15a及び15b内に配置される。電界プレート19aは、丸みを帯びた指先区域で両端が終端する単一の細長い部材を含む。一方、電界プレート19bは、支柱17を取り囲む細長い環又は長円形を含む。隣接競走場構造の電界プレート19bは、それらが側面にある共通の部材を共有するように融合されて示されている。参考として、
図1の断面図は、
図2Aの例示的なレイアウトの切断線A−A’から切り取ることができる。
【0015】
図2Aの例においては、競走場トランジスタセグメントの各々は、y方向の約13μmの幅(すなわち、ピッチ)と、x方向の約400μmから1000μmの範囲の長さとを有し、支柱高さは、約60μmであることを理解すべきである。換言すると、区画30a及び30bを含む個々の競走場トランジスタセグメントの幅に対する長さの比率は、約30から80までの範囲である。一実施形態では、各競走場形状のセグメントの長さは、そのピッチ又は幅の少なくとも20倍大きい。
【0016】
当業者は、完成デバイス構造においては、個々のトランジスタセグメントのシリコン支柱17の各々を相互接続するためにパターン化された金属層が使用されることを認めるであろう。すなわち、実際的な実施形態では、ソース領域、ゲート部材、及び電界プレートの全ては、それぞれ、ダイ上の対応する電極に互いに配線される。図示の実施形態では、各区画内のトランジスタセグメントは、実質的にダイ21の幅にわたってy方向に並列の関係で配置される。同様に、x方向においては、区画30a及び30bのトランジスタセグメントの付加的な長さが、実質的にダイ21の長さにわたって延びている。
図2Aの例示的なレイアウトにおいては、シリコン支柱を分離する誘電体領域15の幅並びに電界プレートの幅は、半導体ダイ21にわたって実質的に均一である。均一な幅及び分離距離でトランジスタセグメントを配置すると、誘電体領域15と電界プレート19とを含む層を共形的に堆積させるのに使用される処理段階に続く空隙又は穴の形成が防止される。
【0017】
図2Bは、
図2Aに示す例示的なレイアウトの一部の拡大図である。明瞭さを期すことを目的として、トランジスタセグメントの各々の支柱17及び誘電体領域15bのみを表している。ダミーシリコン支柱32は、それぞれのトランジスタセグメント区画30a及び30bの誘電体領域15bの丸みを帯びた端部区域を分離するように示されている。換言すると、支柱17を形成するために半導体基板内でエッチングされる深い垂直トレンチは、ダミーシリコン支柱32も形成する。一実施形態では、ダミーシリコン支柱32は、確実に製造することができる範囲でできるだけ小さいx方向の幅(すなわち、トランジスタセグメント区画を分離する)を有するように作られる。
【0018】
単一のダイHVFETをダミーシリコン支柱32によって分離された区画にセグメント化する目的は、細長い競走場形状のトランジスタセグメント内に縦方向(x方向)応力除去を導入するためである。トランジスタデバイス構造を2つ又はそれよりも多くの区画にセグメント化するか又は分割すると、ダイの長さにわたって機械的応力が除去される。この応力は、支柱の側面に配置した酸化物領域によって誘発され、通常、各競走場セグメントの丸みを帯びた端部に集中する。従って、トランジスタデバイス構造を2つ又はそれよりも多くの区画にセグメント化することによって機械的応力を除去すると、シリコン支柱の望ましくない反り及び応力によって引き起こされるシリコンの損傷(例えば、転位)が防止される。
【0019】
高度にセグメント化されたレイアウトによって得られる応力除去と導電区域の損失との間には、交換条件が存在することが認められる。セグメント化を進めると、応力除去が結果的に増大するが、導電区域が犠牲になる。一般的に、支柱の垂直方向の高さが増大するほど、かつ半導体ダイが増大するほど、必要になるトランジスタ区画又はセグメントの個数が増大する。一実施形態では、60μm高の支柱を有する2mmx2mmのダイの場合、適切な応力除去は、各々が約13μmのピッチ(y方向)と約450μmの長さ(x方向)とを有するダミーシリコン支柱によって分離された4つの競走場トランジスタ区画を含むレイアウトを利用して約1オームのオン抵抗でHVFET内で行われる。
【0020】
別の実施形態では、各対が異なる区画に位置する競走場トランジスタセグメントの対を分離するシリコンのダミー支柱の代わりに、異なる材料を含むダミー支柱を利用することができる。ダミー支柱に使用される材料は、シリコンに近いものか又はシリコン支柱の側面に配置された誘電体領域によって誘発される縦方向応力を除去するほど十分に誘電体領域のものと異なる熱膨張係数を有するべきである。
【0021】
図3Aは、
図1に示す垂直HVFET構造の別の例示的なレイアウトを示している。
図3Bは、支柱17、酸化物領域15b、任意的なダミーシリコン支柱33のみを示す、
図3Aに示す例示的なレイアウトの一部の拡大図である。
図2A及び
図2Bの実施形態と同様に、
図3A及び
図3Bは、半導体ダイ21上に上部トランジスタ区画30aと下部トランジスタ区画30bとを含む単一の個別のHVFETを示している。しかし、
図3A及び
図3Bの例においては、トランジスタ区画30a及び30bの酸化物領域15bと電界プレート19bとで満たされた深い垂直トレンチが互いに重なり合うか又は融合され、小さなダイヤモンド形状のダミーシリコン支柱33をセグメント化されたトランジスタ区画の間に残すことができる。この実施形態では、単一のダミー支柱は、2つの区画の上にトランジスタセグメントの隣接する対の4つの丸味を帯びた端部の間で中央に位置する。図示の例においては、ダイ21を含むトランジスタの区画30内のN個(ここで、Nは、1つよりも多い整数である)の競走場セグメント又は構造毎に合計N−1個のダミー支柱33がある。
【0022】
図4Aは、
図1に示す垂直HVFET構造の更に別の例示的なレイアウトを示している。
図4Bは、
図4Aに示す例示的なレイアウトの一部の拡大図である。明瞭さを期すという理由から、
図4Bの拡大図では、支柱17及び酸化物領域15bのみが示されている。この例においては、半導体ダイ21のHVFETを含むトランジスタセグメントは、交互に各競走場セグメントの長さの半分だけずれており、従って、上部トランジスタ区画40aと下部トランジスタ区画40bに関連する競走場トランジスタセグメントが交互に得られる。換言すると、横列の区画40aのトランジスタセグメントの各々は、x方向に端部を接した関係で配置された区画40bの1対のトランジスタセグメントによって分離される。
【0023】
セグメントの交互のずれは、セグメント長のあらゆる分数とすることができることが認められる。換言すると、セグメントのずれは、50%つまり半分の長さに限定されない。様々な実施形態は、トランジスタセグメントの長さの0%よりも大きく100%よりも小さくなる範囲のあらゆる割合又は比で交互にずれたセグメントを含むことができる。
【0024】
図4A及び
図4Bの例においては、それぞれの区画40a及び40b内のトランジスタセグメントの交替セグメントの誘電体領域15bは互いに融合される。図示のこの特定的な実施形態では、異なる隣接区画に関連したトランジスタセグメントの丸味を帯びた端部は、重なり合うか又は隣接区画の電界プレート19bが端部で融合されるように(x方向に)融合される。また、異なる区画の交替トランジスタセグメントの電界プレート19bの拡張直線側面部分は、各セグメントの実質的な長さに沿って融合される。領域15b及び19bは、それぞれの区画の間のダミー支柱(又は隔離ダミーシリコン支柱)の有無を問わず、融合することができることが認められる。
【0025】
図5は、半導体ダイ21aから21d上のそれぞれHVFET10aから10dのダイの間のチェッカーボード配置を備えたウェーハ50の例示的なレイアウトを示している。HVFET10の各々は、幅に沿って実質的に正方形のブロックに並列に配置された
図1に示すもののような複数の競走場形状のトランジスタセグメントを含む。この例においては、HVFET10aから10dは、各々、実質的にそれぞれのダイ21aから21dの長さにわたって延びる長さを有するトランジスタセグメントを含む。一実施形態では、各セグメントの幅は、約13μmであり、長さは、約500μmから2000μmの範囲である。他の実施形態は、2000μmを超える長さを有することができる。また、セグメントのブロック又は千鳥配置は、実質的に各ダイの幅にわたって延びている。(尚、各ダイ21の境界付きの正方形は、隣接半導体ダイ間の刻まれた区域の縁部を表す。)
図5は、HVFET10の2つの横列と2つの縦列を示すが、図示のダイ間チェッカーボード配置は、ウェーハ基板全体にわたって繰返すことができることが認められる。
【0026】
図5の例においては、横列又は縦列の隣接ダイは、1つのダイにおけるトランジスタセグメントの長さが一方向に延び、隣接ダイのトランジスタセグメントの長さが第2の直交する方向に延びるように配向される。例えば、HVFET10aは、隣接HVFET10b及び10cに対して、トランジスタセグメントの長さがx方向に配向された状態で示されている。ウェーハ50にわたって各個々のダイ21におけるトランジスタセグメントの配向を直角に交替させることにより(すなわち、チェッカーボード配置)、長い誘電体領域によって発生した機械的応力は、2つの直交する方向に分配され、従って、ウェーハ50の反りが低減する。
【0027】
図6は、セグメント化されたHVFETのダイ間チェッカーボード配置を備えたウェーハの別の例示的なレイアウトを示している。
図6の例では、ダイ間でトランジスタ構造の配向を交替させるという
図5と同じ方法が利用されている。しかし、
図6の実施形態では、HVFET構造は、複数の(例えば、2つ)区画にセグメント化されている。例えば、実質的に半導体ダイ21の長さ及び幅にわたって延びる各HVFETは、ダミー支柱32によって分離された2つの区画30a及び30bにセグメント化されている。
【0028】
図6に示す半導体ダイ21の各々は、実質的に正方形のダイに関する
図2Aに示すものと同じレイアウトを有する。
図5に示す例と同様に、隣接ダイは、ウェーハ50にわたって直交するように交替しているトランジスタセグメントを有する。すなわち、ダイ21a及び21dの区画30a及び30b内のトランジスタセグメントは、x方向に配向された長さを有し、一方、ダイ21b及び21cの区画の30a及び30b内のトランジスタセグメントは、y方向に配向された長さを有する。
【0029】
各ダイ21のHVFETには、各々が1つ又はそれよりも多くのダミー支柱によって分離された例えば2ヵ所を超える複数のトランジスタ区画を形成することができることが認められる。更に、
図2Aから
図4Bの例で示す複数のトランジスタ区画を有する単一のダイレイアウトのいずれも、セグメントの配向がウェーハ50にわたってダイ間で交替する状態で
図6に示すダイ21の各々において利用することができる。
【0030】
図7は、競走場形状のHVFETセグメントのチェッカーボードブロックが実質的に正方形のブロック又は区画36の並列配置に積み重ねられたダイ25の例示的な矩形レイアウトを示している。横列又は縦列の隣接区画は、一方の区画内のトランジスタセグメントの長さが一方向に延び、他方の隣接区画内のトランジスタセグメントの長さが第2の直交する方向に延びるように配向されている。例えば、ダイ25の横列及び縦列の各々は、細長いトランジスタセグメントがx方向に整列した状態に配向されたトランジスタ区画36aと、細長いトランジスタ区画がy方向に整列した状態に配向されたトランジスタ区画36bとを含む。区画36a及び36b間の空間は、ダミーシリコン支柱を含み、すなわち、ダミー支柱を形成するシリコンは、活性トランジスタ領域ではない。
【0031】
図示の実施形態では、ダイ25は、トランジスタ区画36の3つの横列と4つの縦列を含む。
図7の例で示すチェッカーボードレイアウト手法を用いて、事実上あらゆる(実際的な限界値内で)直線形状のダイ上に単一の個別のHVFETを生成することができる。
【0032】
以上の実施形態を特定のデバイスタイプに関連して説明したが、当業者は、多くの修正及び変更が十分に本発明の範囲内であることを認めるであろう。例えば、HVFETを説明したが、図示の方法、レイアウト、及び構造は、ショトキー、ダイオード、IGBT、二極性構造を含む他の構造及びデバイスタイプに等しく適用可能である。従って、本明細書及び図面は、限定的ではなく例示的な意味で考えるものとする。
【符号の説明】
【0033】
10 垂直HVFET
11 N+ドープシリコン基板
12 拡張ドレーン領域