(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鉱山の積込場の第1積込位置に配置された第1運搬機械に積荷を積み込む第1積込作業終了後、前記第1積込作業において前記第1積込位置とは異なる第2積込位置に既に配置されている第2運搬機械に積荷を積み込む第2積込作業を行う積込機械に設けられた入力装置と、
前記入力装置により生成された操作信号が出力される処理装置と、を備え、
前記処理装置は、前記第1積込作業終了時において前記入力装置により生成された操作信号に基づいて、前記第2積込作業の開始時点を規定する管理システム。
前記処理装置は、前記第2積込作業終了時において前記入力装置により生成された操作信号に基づいて、前記第2積込作業の終了時点を規定する請求項1に記載の管理システム。
前記第2積込作業終了時において前記入力装置により生成された操作信号は、前記第2運搬機械に対する前記第2積込位置からの出発の指令信号を含む請求項2に記載の管理システム。
前記第1積込作業終了時において前記入力装置により生成された操作信号は、前記第1運搬機械に対する前記第1積込位置からの出発の指令信号を含む請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の管理システム。
前記処理装置は、前記位置検出装置から出力された前記第2運搬機械の位置情報に基づいて、前記第2運搬機械の積荷が積み込まれない状態で走行する動作、前記積込場の入口の待機位置における待機状態が解除されてから前記積込場の積込位置まで移動する動作、及び前記積込位置において積込機械により積荷が積み込まれる動作の少なくとも一つの開始時点及び終了時点を規定する請求項5又は請求項6に記載の管理システム。
前記処理装置は、前記積込場と積荷の排出作業が行われる排土場との間で往復する前記第2運搬機械のサイクル動作に要する時間を算出する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0018】
<鉱山機械の管理システムの概要>
図1は、本実施形態に係る鉱山機械の管理システム1が適用される現場を模式的に示す図である。
図1において、管理システム1は、管制施設7に配置され、鉱山機械の管理を行う管理装置10と、情報を伝達可能な通信システム9と、を備えている。管理システム1は、鉱山機械の運行を管理したり、生産性を評価したりする。鉱山機械とは、鉱山において各種作業に用いる機械類の総称である。本実施形態においては、鉱山機械の一種の運搬機械として、鉱山の採掘により発生した土砂等を積荷として運搬するダンプトラック2が管理される例について説明する。ダンプトラック2は、管理装置10からの指令信号により作動する、所謂、無人ダンプトラックであり、ダンプトラック2に作業者(運転者)は搭乗しない。なお、鉱山機械が、ダンプトラック2に積荷を積み込む油圧ショベルのような積込機械3を含んでもよい。
【0019】
鉱山において、ダンプトラック2は、積荷の積込作業が行われる積込場LPAと、積荷の排出作業が行われる排土場DPAとの間を、積込場LPA及び排土場DPAに通じる搬送路HLを走行して移動する。積込機械3は、積込場LPAにおいてダンプトラック2に積荷を積み込む。積込場LPAの積込位置LPで積荷を積み込まれたダンプトラック2は、搬送路HLを走行して排土場DPAに移動し、排土場DPAの排土位置DPで積荷を排出する。排土場DPAにおいて積荷を排出したダンプトラック2は、搬送路HLを走行して積込場LPAに移動する。
【0020】
通信システム9は、無線通信システムを含み、管理装置10とダンプトラック2と積込機械3との間において情報を伝達する。管理装置10とダンプトラック2と積込機械3とは、通信システム9を介して無線通信可能である。
【0021】
本実施形態において、ダンプトラック2の位置及び積込機械3の位置が、全方位測位システム(Global Positioning System:GPS)を用いて検出される。GPSは、GPS衛星5を有し、緯度、経度、及び高度を規定する座標系(GPS座標系)における位置を検出する。GPSにより検出される位置は、緯度、経度、及び高度の座標データ(座標値)を含む。GPSにより、鉱山におけるダンプトラック2の位置及び積込機械3の位置が検出される。GPSにより検出される位置は、GPS座標系において規定される絶対位置である。以下の説明においては、GPSによって検出される位置を適宜、GPS位置、と称する。
【0022】
<管理装置>
次に、管制施設7に配置される管理装置10について説明する。
図2は、本実施形態に係る管理装置10の一例を示す機能ブロック図である。
図1及び
図2に示すように、管理装置10は、コンピュータシステム11と、表示装置16と、入力装置17と、無線通信装置18と、を備えている。
【0023】
コンピュータシステム11は、処理装置12と、記憶装置13と、入出力部15とを備えている。表示装置16、入力装置17、及び無線通信装置18は、入出力部15を介して、コンピュータシステム11と接続される。入出力部15は、処理装置12と、表示装置16、入力装置17、及び無線通信装置18の少なくとも一つとの情報の入出力(インターフェース)に用いられる。
【0024】
処理装置12は、CPU(Central Processing Unit)を含み、ダンプトラック2の管理に関する各種の処理を実行する。処理装置12は、通信システム9を介して取得したダンプトラック2の位置に関する情報を処理し、ダンプトラック2が走行する走行経路CSを生成する。走行経路CSは、GPS座標系において生成され、ダンプトラック2は、積込場LPA、排土場DPA、及び搬送路HLの少なくとも一部において、処理装置12により生成された走行経路CSに従って走行する。
【0025】
記憶装置13は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、及びハードディスクドライブの少なくとも一つを含み、ダンプトラック2の管理に関する各種の情報を記憶する。表示装置16は、例えば、液晶ディスプレイのようなフラットパネルディスプレイを含み、ダンプトラック2の位置に関する情報を表示可能である。入力装置17は、キーボード、タッチパネル、マウス、及び操作スイッチの少なくとも一つを含み、操作されることにより、操作信号が入力される。入力装置17に入力された操作信号は、処理装置12に入力される。すなわち、入力装置17は、処理装置12に操作信号を入力可能な操作部として機能する。
【0026】
通信システム9は、管制施設7に配置される無線通信装置18を含む。無線通信装置18は、アンテナ18Aを有し、入出力部15を介して処理装置12と接続される。無線通信装置18は、ダンプトラック2及び積込機械3の少なくとも一方から送信された情報を受信可能であり、受信した情報を処理装置12に出力する。無線通信装置18で受信した情報は、記憶装置13に記憶(登録)される。また、無線通信装置18は、ダンプトラック2及び積込機械3の少なくとも一方に情報を送信可能である。例えば、処理装置12により生成された走行経路CSに関する情報が、通信システム9を介してダンプトラック2に送信される。
【0027】
<ダンプトラック>
次に、ダンプトラック2について説明する。
図3は、本実施形態に係るダンプトラック2の外観を模式的に示す図であり、
図4は、本実施形態に係るダンプトラック2の機能ブロック図である。
図3及び
図4に示すように、ダンプトラック2は、車両本体21と、ベッセル22と、車輪23と、処理装置20と、記憶装置25と、圧力センサ26と、速度センサ27と、アンテナ28Aが接続された無線通信装置28と、アンテナ29Aが接続された位置検出装置29と、を備えている。
【0028】
車両本体21には、内燃機関を含む駆動装置が配置され、その駆動装置により車輪23が駆動される。車輪23は、タイヤ及びホイールを含み、駆動装置から伝達される動力により回転する。
【0029】
ベッセル22は、積荷が積載される荷台を含み、車両本体21の上部に揺動可能に配置される。積込作業において、積込機械3によりベッセル22に積荷が積み込まれ、排出作業において、ベッセル22が上昇して積荷が排出される。
【0030】
圧力センサ26は、サスペンションシリンダーに作用する負荷を検出し、サスペンションシリンダーの作動油の圧力を検出することによって、ベッセル22における積荷の有無の検出、及び積荷の重量(積載量)の検出を行う荷重センサとして機能する。圧力センサ26は、処理装置20と接続され、検出信号を処理装置20に出力する。
【0031】
速度センサ27は、車輪23の回転速度を検出して、ダンプトラック2の走行速度を検出する。速度センサ27は、処理装置20と接続され、検出信号を処理装置20に出力する。
【0032】
位置検出装置29は、GPS受信機を含み、ダンプトラック2のGPS位置を検出する。位置検出装置29は、ダンプトラック2に配置されたGPS用のアンテナ29Aを有し、アンテナ29AのGPS位置を検出することによって、ダンプトラック2のGPS位置を検出する。位置検出装置29は、処理装置20と接続され、検出信号を処理装置20に出力する。
【0033】
処理装置20は、CPU(Central Processing Unit)を含み、ダンプトラック2の管理に関する各種の処理を実行する。処理装置20は、処理装置12により生成された走行経路CSに従ってダンプトラック2が走行するように、ダンプトラック2の走行を制御する。ダンプトラック2の走行の制御は、ステアリング、アクセル、及びブレーキの少なくとも一つの操作を含むダンプトラック2の操作の制御を含む。
【0034】
記憶装置25は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、及びハードディスクドライブの少なくとも一つを含み、ダンプトラック2の管理に関する各種の情報を記憶する。
【0035】
通信システム9は、ダンプトラック2に配置される無線通信装置28を含む。無線通信装置28は、アンテナ28Aを有し、処理装置20と接続される。無線通信装置28は、管理装置10及び積込機械3の少なくとも一方から送信された情報(指令信号を含む)を受信可能であり、受信した情報を処理装置20に出力する。無線通信装置28で受信した情報は、記憶装置25に記憶(登録)される。処理装置20は、無線通信装置28で受信した指令信号に従って、ダンプトラック2の走行を制御可能である。また、無線通信装置28は、管理装置10及び積込機械3の少なくとも一方に情報を送信可能である。例えば、圧力センサ26、速度センサ27、及び位置検出装置29の少なくとも一つの検出信号が、通信システム9を介して管理装置10に送信される。
【0036】
<積込機械>
次に、積込機械3について説明する。
図5は、本実施形態に係る積込機械3の外観を模式的に示す図であり、
図6は、本実施形態に係る積込機械3の機能ブロック図である。
図5及び
図6に示すように、積込機械3は、走行体38と、旋回体37と、アーム35と、バケット34と、処理装置30と、記憶装置39と、アンテナ32Aが接続された無線通信装置32と、アンテナ33Aが接続された位置検出装置33と、表示装置36と、入力装置31と、を備えた油圧ショベルである。本実施形態において、積込機械3に作業者WMが搭乗し、作業者WMの操作により、積込作業が行われる。本実施形態において、積込機械3が油圧ショベルの例を挙げるが、ホイールローダでもよい。
【0037】
位置検出装置33は、GPS受信機を含み、積込機械3のGPS位置を検出する。位置検出装置33は、積込機械3に配置されたGPS用のアンテナ33Aを有し、アンテナ33AのGPS位置を検出することによって、積込機械3のGPS位置を検出する。位置検出装置33は、処理装置30と接続され、検出信号を処理装置30に出力する。
【0038】
処理装置30は、CPU(Central Processing Unit)を含み、積込機械3の積込作業の管理に関する各種の処理を実行する。記憶装置39は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、及びハードディスクドライブの少なくとも一つを含み、積込機械3の積込作業の管理に関する各種の情報を記憶する。表示装置36は、例えば、液晶ディスプレイのようなフラットパネルディスプレイを含み、ダンプトラック2の位置に関する情報、積込機械3の位置に関する情報、及び積込機械3の動作状態(例えば、エンジンの水温など)に関する情報の少なくとも一つを表示可能である。
【0039】
入力装置31は、キーボード、タッチパネル、及び操作スイッチの少なくとも一つを含み、操作されることにより、操作信号を生成する。入力装置31により生成された操作信号は、処理装置30に入力される。すなわち、入力装置31は、処理装置30に操作信号を入力可能な操作部として機能する。積込機械3の作業者(運転者)WMは、入力装置31を操作して操作信号を生成可能であり、入力装置31を介して処理装置30に操作信号を入力可能である。
【0040】
通信システム9は、積込機械3に配置された無線通信装置32を含む。無線通信装置32は、アンテナ32Aを有し、処理装置30と接続される。無線通信装置32は、管理装置10及びダンプトラック2の少なくとも一方から送信された情報(指令信号を含む)を受信可能であり、受信した情報を処理装置30に出力する。無線通信装置32で受信した情報は、記憶装置39に記憶(登録)される。また、無線通信装置32は、管理装置10及びダンプトラック2の少なくとも一方に情報を送信可能である。例えば、入力装置31により生成された操作信号が、通信システム9を介して管理装置10及びダンプトラック2の少なくとも一方に送信される。
【0041】
<ダンプトラック2の動作>
次に、ダンプトラック2の動作の一例について説明する。ダンプトラック2は、鉱山の積込場LPAの積込位置LPにおいて積込機械3により積荷の積込作業を行われた後、排土場DPAに向かって積込場LPAを出発し、搬送路HLを走行して排土場DPAに到着した後、排土場DPAの排土位置DPにおいて積荷の排出作業を行い、排出作業を行った後、積込場LPAに向かって排土場DPAを出発し、搬送路HLを走行して積込場LPAに到着した後、積込位置DPにおいて積込作業を行われ、再び排土場DPAに向かって積込場LPAを出発する、といった一連の動作を繰り返す。
【0042】
積込場LPAは、鉱山において積荷の積込作業が行われる領域(場所)であり、積込位置LPは、積込場LPAにおいて積荷の積込作業が行われる位置(積込点)であり、積込作業は、ダンプトラック2に積荷を積み込む作業である。排土場DPAは、鉱山において積荷の排出作業が行われる領域(場所)であり、排土位置DPは、排土場DPAにおいて積荷の排出作業が行われる位置(排出点)であり、排出作業は、ダンプトラック2から積荷を下ろす(排出する)作業である。搬送路HLは、積込場LPAと排土場DPAとを結び、ダンプトラック2は、搬送路HLを走行して、積込場LPAと排土場DPAとの間を往復可能である。本実施形態において、積込位置LP及び排土位置DPは、処理装置12によって規定される。積込位置LP及び排土位置DPのそれぞれは、処理装置12によって生成される走行経路CSの一部の位置でもよい。
【0043】
以下の説明において、積込場LPAを出発してから、積荷を排出する排土場DPAを経て、積込場LPAに到着し、再び積込場LPAを出発するまでのダンプトラック2の一連の動作を適宜、サイクル動作、と称し、1回のサイクル動作を適宜、1サイクル、と称する。サイクル動作は、ダンプトラック2が積込場LPAと排土場DPAとの間で往復する動作を含む。
【0044】
なお、1サイクルの定義はこれに限定されるものではなく、例えば積込場LPAで到着してから、積込作業及び排土場DPAでの排出作業が行われた後、再び積込場LPAに到着するまでの一連の動作を1サイクルと定義してもよいし、排土場DPAを出発してから、積込場LPAを経て、再び排土場DPAを出発するまでの一連の動作を1サイクルと定義してもよい。なお、第1の積込作業が行われた後、1回のサイクル動作を経て、第2の積込作業が行われる場合において、第1の積込作業における積込位置LPと第2の積込作業における積込位置LPとは、同じ位置でもよいし、異なる位置でもよい。なお、第1の排出作業が行われた後、1回のサイクル動作を経て、第2の排出作業が行われる場合において、第1の排出作業における排土位置DPと第2の排出作業における排土位置DPとは、同じ位置でもよいし、異なる位置でもよい。
【0045】
また、
図1に示したように、鉱山においては、複数の積込場LPAが存在する場合、あるいは複数の排土場DPAが存在する場合がある。第1の積込作業が行われた後、1回のサイクル動作を経て、第2の積込作業が行われる場合において、第1の積込作業が行われる積込場LPAと第2の積込作業が行われる積込場LPAとは、同じ積込場LPAでもよいし、異なる積込場LPAでもよい。第1の排出作業が行われた後、1回のサイクル動作を経て、第2の排出作業が行われる場合において、第1の排出作業が行われる排土場DPAと第2の排出作業が行われる排土場DPAとは、同じ排土場DPAでもよいし、異なる排土場DPAでもよい。
【0046】
サイクル動作において、ダンプトラック2は、複数の動作を行う。ダンプトラック2の複数の動作は、例えば、排土場DPAにおいて積荷の排出作業を行う排出動作、排土場DPAにおける排出作業後、積荷が積まれない空荷状態で積込場LPAの入口まで走行する空荷走行動作、積込場LPAの入口に到着した後、その入口で待機する入口待機動作、積込場LPAの入口の待機位置における待機状態が解除されてから積込場LPAの積込位置LPまで移動するスポット動作、積込位置LPにおいて積込機械3により積荷が積み込まれる積込動作、及び積荷が積まれた積荷状態で積込場LPAから排土場DPAまで走行する積荷走行動作の少なくとも一つを含む。また、ダンプトラック2の複数の動作は、搬送路HLにおいて走行を停止する走行停止動作を含む。
【0047】
サイクル動作の少なくとも一部において、ダンプトラック2の位置情報がGPSを用いて検出される。すなわち、ダンプトラック2に配置されているGPS受信機を含む位置検出装置29によってそのダンプトラック2のGPS位置が検出される。位置検出装置29によって検出されたダンプトラック2のGPS位置に関する情報が通信システム9を介して管理装置10の処理装置12に出力される。
【0048】
本実施形態において、処理装置12は、位置検出装置29から出力されたダンプトラック2の位置情報に基づいて、上述したダンプトラック2の複数の動作のうち少なくとも一つの動作の開始時点及び終了時点の一方又は両方を規定する。例えば、処理装置12は、位置検出装置29から出力されたダンプトラック2のGPS位置に基づいて、排出動作の開始時点及び終了時点、空荷走行動作の開始時点及び終了時点、入口待機動作の開始時点及び終了時点、スポット走行動作の開始時点及び終了時点、積込動作の開始時点及び終了時点、積荷走行動作の開始時点及び終了時点、及び走行停止動作の開始時点及び終了時点のそれぞれを規定する。
【0049】
また、処理装置12は、ダンプトラック2の動作の開始時点及び終了時点に基づいて、その動作に要する時間を導出可能である。処理装置12は、排出動作の開始時点と終了時点とに基づいて、ダンプトラック2が排出作業に要する排出作業時間を導出可能であり、空荷走行動作の開始時点と終了時点とに基づいて、積荷が積まれない状態でダンプトラック2が走行した空荷走行時間を導出可能であり、入口待機動作の開始時点と終了時点とに基づいて、積込場LPAの入口においてダンプトラック2が待機した入口待機時間を導出可能であり、スポット動作の開始時点と終了時点とに基づいて、積込場LPAの入口の待機位置における待機状態が解除されてから積込場LPAの積込位置LPまでダンプトラック2が移動する時間に要するスポット時間を導出可能であり、積込動作の開始時点と終了時点とに基づいて、ダンプトラック2が積込作業に要する積込作業時間を導出可能であり、積荷走行動作の開始時点と終了時点とに基づいて、積荷が積まれた状態でダンプトラック2が走行した積荷走行時間を導出可能であり、走行停止動作の開始時点と終了時点とに基づいて、搬送路HLにおいてダンプトラック2の走行が停止した停止時間を導出可能である。
【0050】
鉱山においては複数のダンプトラック2が稼働し、複数のダンプトラック2のそれぞれがサイクル動作を行う。複数のダンプトラック2のそれぞれのGPS位置に関する情報が通信システム9を介して管理装置10の処理装置12に出力される。処理装置12は、複数のダンプトラック2それぞれの位置情報に基づいて、それらダンプトラック2それぞれの動作の開始時点及び終了時点を規定するとともに、その動作に要する時間を導出する。
【0051】
<1サイクルにおけるダンプトラック及び積込機械の動作>
次に、1サイクルにおけるダンプトラック2の動作の一例について、
図7のフローチャート及び
図8の模式図を参照して説明する。
【0052】
積込場LPAの積込位置LPに配置されたダンプトラック2に対する積込作業が開始される(ステップSA1)。積込位置LPにおいて積込作業が行われているときのダンプトラック2のGPS位置に関する情報は、通信システム9を介して管理装置10の処理装置12に出力される。
【0053】
本実施形態において、処理装置12は、ダンプトラック2が積込位置LPに配置された時点を、ダンプトラック2の積込動作の開始時点Ts1に規定する。上述のように、ダンプトラック2は、処理装置12により生成された走行経路CSに従って走行し、走行経路CSは積込位置LPを含む。すなわち、積込位置LPは、GPS座標系において処理装置12によって規定され、処理装置12は、位置検出装置29から出力されるダンプトラック2のGPS位置に関する情報に基づいて、ダンプトラック2が積込位置LPに配置されたか否かを判定可能である。処理装置12は、処理装置12が生成した走行経路CS(積込位置LP)と、位置検出装置29の検出結果とに基づいて、ダンプトラック2が積込位置LPに配置されたか否かを判定し、ダンプトラック2が積込位置LPに配置された時点を、ダンプトラック2の積込動作の開始時点Ts1に規定する。
【0054】
積込作業が終了すると、積込機械3の作業者WMにより入力装置31が操作される(ステップSA2)。入力装置31は、タッチパネルを含み、タッチパネルは、積込作業の終了をダンプトラック2及び管理装置10に通知するための操作部(入力ボタン)を含む。作業者WMは、積込作業が終了したとき、その操作部を操作する(入力ボタンを押す)。入力装置31により生成された操作信号は、通信システム9を介して、管理装置10の処理装置12及びダンプトラック2の処理装置20のそれぞれに出力される。
【0055】
本実施形態において、処理装置12は、積込作業終了時において入力装置31により生成された操作信号に基づいて、ダンプトラック2の積込動作の終了時点Te1を規定する。なお、処理装置12は、ダンプトラック2が積込位置LPに存在する状態で、入力装置31により操作信号が生成された時点を、終了時点Te1として規定してもよい。すなわち、終了時点Te1は、処理装置12によって規定される積込位置LPと、位置検出装置29によって検出されるダンプトラック2のGPS位置とが一致した状態で、入力装置31が操作されて操作信号が生成された時点(操作信号が処理装置12に入力された時点)であってもよい。
【0056】
本実施形態において、入力装置31により生成される操作信号は、ダンプトラック2に対する積込位置LPからの出発の指令信号を含む。入力装置31により生成された操作信号が通信システム9を介してダンプトラック2の処理装置20に入力されると、ダンプトラック2は、積込位置LPから排土場DPAに向かって出発する。なお、入力装置31からの操作信号を受信した管理装置10の処理装置12が、通信システム9を介してダンプトラック2に積込位置LPからの出発を指令してもよい。
【0057】
なお、処理装置12は、位置検出装置29から出力されたダンプトラック2の位置情報に基づいて、終了時点Te1を規定してもよい。積込動作が終了してダンプトラック2が走行を開始すると、ダンプトラック2の位置が変化するため、処理装置12は、位置検出装置29から出力されるダンプトラック2のGPS位置に関する情報に基づいて、ダンプトラック2が積込位置LPから出発したか否かを判定可能である。処理装置12は、位置検出装置29の検出結果に基づいて、ダンプトラック2が積込位置LPからの移動を開始したか否かを判定し、ダンプトラック2が積込位置LPからの移動が開始された時点を、ダンプトラック2の積込動作の終了時点Te1に規定してもよい。
【0058】
積込動作終了後、ダンプトラック2は、積荷走行動作を開始する(ステップSA3)。本実施形態において、処理装置12は、積込作業終了時において入力装置31により生成された操作信号に基づいて、ダンプトラック2の積荷走行動作の開始時点Ts2を規定する。すなわち、本実施形態において、積荷走行動作の開始時点Ts2は、入力装置31が操作されて操作信号が生成された時点(操作信号が処理装置12に入力された時点)であり、積込動作の終了時点Te1と同一である。なお、処理装置12は、位置検出装置29の検出結果に基づいて、ダンプトラック2が積込位置LPからの移動を開始したか否かを判定し、ダンプトラック2が積込位置LPからの移動を開始した時点を、ダンプトラック2の積荷走行動作の開始時点Ts2に規定してもよい。なお、処理装置12は、積込作業終了時において入力装置31により操作信号が生成された時点を終了時点Te1に規定し、位置検出装置29の検出結果に基づいてダンプトラック2が積込位置LPからの移動を開始したと判断した時点を開始時点Ts2に規定してもよい。
【0059】
ダンプトラック2は、積荷状態で、処理装置12により生成された走行経路CSに従って走行し、排土場DPAの入口GDに到着する。排土場DPAの入口GDに到着したダンプトラック2は、その入口GDから排土場DPAに進入し、排土位置DPに向かって走行し、排土位置DPに到着する(ステップSA4)。本実施形態において、処理装置12は、ダンプトラック2が排土位置DPに配置された時点を、ダンプトラック2の積荷走行動作の終了時点Te2に規定する。上述のように、ダンプトラック2は、処理装置12により生成された走行経路CSに従って走行し、走行経路CSは排土位置DPを含む。すなわち、排土位置DPは、GPS座標系において処理装置12によって規定され、処理装置12は、位置検出装置29から出力されるダンプトラック2のGPS位置に関する情報に基づいて、ダンプトラック2が排土位置DPに配置されたか否かを判定可能である。処理装置12は、処理装置12が生成した走行経路CS(排土位置DP)と、位置検出装置29の検出結果とに基づいて、ダンプトラック2が排土位置DPに配置されたか否かを判定し、ダンプトラック2が排土位置DPに配置された時点を、ダンプトラック2の積荷走行動作の終了時点Te2に規定する。
【0060】
なお、積込場LPAから排土場DPAまでの搬送路HLにおいて、その搬送路HLに交差点が存在する場合がある。その場合、処理装置12は、ダンプトラック2の積荷走行動作を、積込場LPAから搬送路HLの交差点までの第1の積荷走行動作と、搬送路HLの交差点から排土場DPAまでの第2の積荷走行動作とに分け、ダンプトラック2の第1の積荷走行動作の開始時点及び終了時点と、第2の積荷走行動作の開始時点及び終了時点とを規定してもよい。第1の積荷走行動作の終了時点及び第2の積荷走行動作の開始時点の一方又は両方は、ダンプトラック2が搬送路HLの交差点を通過した時点を含み、ダンプトラック2のGPS位置に基づいて規定することができる。また、搬送路HLの交差点から第1の排土場DPAに通じる搬送路HLと第2の排土場DPAに通じる搬送路HLとに分岐している場合、処理装置12は、ダンプトラック2の積荷走行動作を、搬送路HLの交差点から第1の排土場DPAまでの第3の積荷走行動作と、搬送路HLの交差点から第2の排土場DPAまでの第4の積込走行動作とに分け、ダンプトラック2の第3の積荷走行動作の開始時点及び終了時点と、第4の積荷走行動作の開始時点及び終了時点とを規定してもよい。第3の積荷走行動作の開始時点及び第4の積荷走行動作の開始時点の一方又は両方は、ダンプトラック2が搬送路HLの交差点を通過した時点を含み、ダンプトラック2のGPS位置に基づいて規定することができる。
【0061】
積荷走行動作終了後、ダンプトラック2は、排出動作を開始する(ステップSA5)。処理装置12は、排土位置DPに配置されたダンプトラック2に対して排出作業の指令信号を出力(送信)する。指令信号を受信したダンプトラック2の処理装置20は、ベッセル22を上昇させる。これにより、ベッセル22から積荷が排出される(ステップSA6)。ベッセル22から積荷が排出されて排出作業が終了すると、ダンプトラック2は、排土位置DPから積込場LPAに向かって出発する。
【0062】
本実施形態において、処理装置12は、ダンプトラック2が排土位置DPに配置された時点を、ダンプトラック2の排出動作の開始時点Ts3に規定する。すなわち、本実施形態において、排出動作の開始時点Ts3は、積荷走行動作の終了時点Te2と同一であり、終了時点Te2が開始時点Ts3に規定される。また、排出作業に要する時間は数秒程度と短いため、本実施形態において、処理装置12は、排出動作の開始時点Ts3を、排出動作の終了時点Te3と規定する。すなわち、本実施形態において、排出動作の終了時点Te3は、排出動作の開始時点Ts3と同一である。なお、処理装置12は、排出作業の指令信号の出力によりベッセル22の上昇が開始された時点を排出動作の開始時点Ts3に規定してもよい。
【0063】
なお、処理装置12は、終了時点Te2と開始時点Ts3とを異なるように規定してもよい。例えば、処理装置12は、ダンプトラック2が排土位置DPに配置された時点を終了時点Te2に規定し、ベッセル22の上昇が開始した時点を開始時点Ts3に規定してもよい。なお、処理装置12は、開始時点Ts3と終了時点Te3とを異なるように規定してもよい。例えば、処理装置12は、排出作業の指令信号を出力した時点、又はベッセル22の上昇が開始した時点を開始時点Ts3に規定し、ベッセル22の積荷の重量を検出可能な圧力センサ26の検出結果に基づいて、積荷の排出が完了したと判断した時点を終了時点Te3に規定してもよい。
【0064】
なお、処理装置12は、位置検出装置29から出力されたダンプトラック2の位置情報に基づいて、ダンプトラック2の排出動作の終了時点Te3を規定してもよい。排出作業が終了してダンプトラック2が走行を開始すると、ダンプトラック2の位置が変化するため、処理装置12は、位置検出装置29から出力されるダンプトラック2のGPS位置に関する情報に基づいて、ダンプトラック2が排土位置DPから出発したか否かを判定可能である。処理装置12は、位置検出装置29の検出結果に基づいて、ダンプトラック2が排土位置DPから移動を開始したか否かを判定し、ダンプトラック2が排土位置DPからの移動を開始された時点を、ダンプトラック2の排出動作の終了時点Te3に規定してもよい。
【0065】
排出動作終了後、ダンプトラック2は、空荷走行動作を開始する(ステップSA7)。本実施形態においては、排出作業に要する時間が短いため、排出動作の開始時点Ts3(又は終了時点Te3)が空荷走行動作の開始時点Ts4に規定される。すなわち、本実施形態において、開始時点Ts3と終了時点Te3と開始時点Ts4とは同一である。なお、開始時点Ts3(又は終了時点Te3)と開始時点Ts4とは異なってもよい。
【0066】
なお、処理装置12は、位置検出装置29から出力されたダンプトラック2の位置情報に基づいて、ダンプトラック2の空荷走行動作の開始時点Ts4を規定してもよい。処理装置12は、位置検出装置29の検出結果に基づいて、ダンプトラック2が排土位置DPからの移動を開始したか否かを判定し、ダンプトラック2が排土位置DPからの移動を開始した時点を、ダンプトラック2の空荷走行動作の開始時点Ts4に規定してもよい。
【0067】
ダンプトラック2は、空荷状態で、処理装置12により生成された走行経路CSに従って走行し、積込場LPAの入口GLに到着する。これにより、ダンプトラック2は、搬送路HLにおける空荷走行動作を終了する(ステップSA8)。本実施形態において、処理装置12は、ダンプトラック2が積込場LPAの入口GLに到着した時点を、ダンプトラック2の空荷走行動作の終了時点Te4に規定する。上述のように、ダンプトラック2は、処理装置12により生成された走行経路CSに従って走行し、走行経路CSは入口GLの位置を含む。すなわち、入口GLの位置は、GPS座標系において処理装置12によって規定され、処理装置12は、位置検出装置29から出力されるダンプトラック2のGPS位置に関する情報に基づいて、ダンプトラック2が入口GLに到着したか否かを判定可能である。処理装置12は、処理装置12が生成した走行経路CS(入口GLの位置)と、位置検出装置29の検出結果とに基づいて、ダンプトラック2が入口GLに到着したか否かを判定し、ダンプトラック2が入口GLに到着した時点を、ダンプトラック2の空荷走行動作の終了時点Te4に規定する。
【0068】
なお、排土場DPAから積込場LPAまでの搬送路HLにおいて、その搬送路HLに交差点が存在する場合がある。その場合、処理装置12は、ダンプトラック2の空荷走行動作を、排土場DPAから搬送路HLの交差点までの第1の空荷走行動作と、搬送路HLの交差点から積込場LPAまでの第2の空荷走行動作とに分け、ダンプトラック2の第1の空荷走行動作の開始時点及び終了時点と、第2の空荷走行動作の開始時点及び終了時点とを規定してもよい。第1の空荷走行動作の終了時点及び第2の空荷走行動作の開始時点の一方又は両方は、ダンプトラック2が搬送路HLの交差点を通過した時点を含み、ダンプトラック2のGPS位置に基づいて規定することができる。また、搬送路HLの交差点から第1の積込場LPAに通じる搬送路HLと第2の積込場LPAに通じる搬送路HLとに分岐している場合、処理装置12は、ダンプトラック2の空荷走行動作を、搬送路HLの交差点から第1の積込場LPAまでの第3の空荷走行動作と、搬送路HLの交差点から第2の積込場LPAまでの第4の空荷走行動作とに分け、ダンプトラック2の第3の空荷走行動作の開始時点及び終了時点と、第4の空荷走行動作の開始時点及び終了時点とを規定してもよい。第3の空荷走行動作の開始時点及び第4の空荷走行動作の開始時点の一方又は両方は、ダンプトラック2が搬送路HLの交差点を通過した時点を含み、ダンプトラック2のGPS位置に基づいて規定することができる。
【0069】
本実施形態において、積込場LPAに配置可能(進入可能)なダンプトラック2の数は制限されている。そのため、積込場LPAに所定数のダンプトラック2が既に存在する場合、積込場LPAの入口GLに到着したダンプトラック2は、積込場LPAのダンプトラック2の少なくとも1台が積込場LPAの外に移動するまで、その入口GLで待機(停止)する。そして、積込場LPAのダンプトラック2の少なくとも1台が積込場LPAの外に移動して、入口GLに待機していたダンプトラック2の待機状態が解除されてから、その入口GLのダンプトラック2が積込場LPAの積込位置LPまで移動する。なお、積込場LPAに所定数のダンプトラック2が既に存在する場合、積込場LPAの入口GLに到着したダンプトラック2の待機状態が解除されるタイミングは、積込場LPAのダンプトラック2の少なくとも1台が積込場LPAの外に移動した時点でもよいし、積込位置LPにおいて積荷の積込作業が終了したダンプトラック2がその積込位置LPからの移動を開始した時点でもよい。
図9は、積込場LPAの一例を示す模式図である。積込場LPAの積込位置LPに位置するダンプトラック2に対して積込機械3による積込作業が行われる。
図9は、積込場LPAの入口GLにおいてダンプトラック2Cが待機している状態を示す。入口GLにダンプトラック2Cが到着してダンプトラック2Cの走行が停止されることにより、入口GLにおけるダンプトラック2Cの待機動作が開始される。積込場LPAの入口GLにおいて待機状態のダンプトラック2Cの後ろに、次のダンプトラック2が到着する可能性がある。ダンプトラック2Cが入口GLで待機している場合、ダンプトラック2Cの後ろに到着したダンプトラック2は、ダンプトラック2Cから所定距離(5mから10m程度)離れた後ろで走行を停止して待機する。
【0070】
なお、ダンプトラック2は、前のダンプトラック2Cが積込場LPAに進入するまで、あるいは前のダンプトラック2Cが積込場LPAに進入し積込位置LPにおいて積込作業を開始されてから所定時間経過するまで入口GLにおいて待機する場合がある。また、採掘状況などに応じて積込位置LPは積込場LPA内で変化する可能性があり、変化した積込位置LPに対応した走行経路CSが作成されるまで、積込場LPAの入口GLにおいてダンプトラック2が待機する場合がある。
【0071】
ダンプトラック2CのGPS位置は、そのダンプトラック2Cに搭載された位置検出装置29によって検出され、ダンプトラック2のGPS位置は、そのダンプトラック2に搭載された位置検出装置29によって検出される。処理装置12には、ダンプトラック2Cの位置検出装置29及びダンプトラック2の位置検出装置29それぞれの検出結果が、通信システム9を介して出力される。処理装置12は、ダンプトラック2Cの位置検出装置29の検出結果に基づいて、ダンプトラック2Cが入口GLに到着したか否かを判断することができる。また、処理装置12は、ダンプトラック2Cの位置検出装置29の検出結果及びダンプトラック2の位置検出装置29の検出結果に基づいて、入口GLに到着して待機状態のダンプトラック2Cの後ろにダンプトラック2が到着したか否かを判断することができる。本実施形態において、処理装置12は、入口GLにおいて待機状態のダンプトラック2Cの後ろにダンプトラック2が到着したときに、ダンプトラック2が入口GLに到着したと判定する。
【0072】
また、処理装置12は、入口GLにおいて待機状態のダンプトラック2Cの後ろに空荷状態のダンプトラック2が到着した時点を、ダンプトラック2が入口GLに到着した到着時点に規定する。本実施形態において、処理装置12は、入口GLにおいて待機状態のダンプトラック2Cの後ろにダンプトラック2が到着した時点を、ダンプトラック2の空荷走行動作の終了時点Te4に規定する。
【0073】
入口GLにおいて待機状態のダンプトラック2Cの後ろにダンプトラック2が到着してダンプトラック2の走行が停止されることにより、入口GLにおけるダンプトラック2の待機動作が開始される(ステップSA9)。処理装置12は、入口GLにおいて待機状態のダンプトラック2Cの後ろにダンプトラック2が到着した時点を、ダンプトラック2の入口待機動作の開始時点Ts5に規定する。すなわち、本実施形態において、空荷走行動作の終了時点Te4は、入口待機動作の開始時点Ts5と同一である。
【0074】
積込場LPAのダンプトラック2の少なくとも1台が積込場LPAの外に移動し、入口GLに待機しているダンプトラック2が積込場LPAに進入可能な状態になった後、処理装置12は、入口GLに待機しているダンプトラック2に対して、走行開始の指令信号を出力(送信)する。これにより、ダンプトラック2の待機状態が解除され、入口待機動作が終了する(ステップSA10)。待機状態が解除されたダンプトラック2は、走行を開始し、走行経路CSに従って、入口GLから積込場LPAに進入する。
【0075】
処理装置12は、入口GLで待機状態のダンプトラック2が走行を開始(再発進)した時点を、ダンプトラック2の入口待機動作の終了時点Te5に規定する。処理装置12は、位置検出装置29から出力されたダンプトラック2の位置情報に基づいて、終了時点Te5を規定する。待機状態が解除されてダンプトラック2が走行を開始すると、ダンプトラック2の位置が変化するため、処理装置12は、位置検出装置29から出力されるダンプトラック2のGPS位置に関する情報に基づいて、ダンプトラック2が入口GLの待機位置から出発したか否かを判定可能である。処理装置12は、位置検出装置29の検出結果に基づいて、ダンプトラック2が入口GLの待機位置からの移動を開始したか否かを判定し、ダンプトラック2が入口GLの待機位置から移動を開始した時点を、ダンプトラック2の入口待機動作の終了時点Te5に規定する。なお、処理装置12は、入口GLにおけるダンプトラック2の待機状態を解除して走行開始の指令信号を出力した時点を、終了時点Te5に規定してもよい。
【0076】
入口待機動作終了後、ダンプトラック2は、スポット動作を開始する(ステップSA11)。スポット動作とは、入口GLの待機位置における待機状態が解除されてから積込場LPAの積込位置LPまで移動する動作をいう。本実施形態において、処理装置12は、位置検出装置29から出力されたダンプトラック2の位置情報に基づいて、ダンプトラック2が入口GLの待機位置からの移動を開始した時点を、スポット動作の開始時点Ts6に規定する。すなわち、本実施形態において、入口待機動作の終了時点Te5は、スポット動作の開始時点Ts6と同一である。なお、処理装置12は、入口GLにおけるダンプトラック2の待機状態を解除して走行開始の指令信号を出力した時点を、開始時点Ts6に規定してもよい。なお、本実施形態において、積込場LPAに所定数のダンプトラック2が既に存在する場合、積込場LPAの入口GLに到着したダンプトラック2が待機状態となるが、積込場LPAに所定数のダンプトラック2が存在しない場合(積込場LPAがすいている場合)、積込場LPAの入口GLに到着したダンプトラック2は、入口GLで停止(待機)することなく、積込場LPAに進入し、積込位置LPまで走行してもよい。この場合、ダンプトラック2が積込場LPAの入口GLを通過した時点が、ダンプトラック2の空荷走行動作の終了時点Te4に規定されてもよいし、スポット動作の開始時点Ts6に規定されてもよい。
【0077】
ダンプトラック2は、処理装置12により生成された走行経路CSに従って走行し、入口GLから積込位置LPまで移動する。これにより、スポット動作が終了する(ステップS12)。処理装置12は、ダンプトラック2が積込位置LPに到着した時点を、スポット動作の終了時点Te6に規定する。処理装置12は、位置検出装置29から出力されるダンプトラック2のGPS位置に関する情報に基づいて、ダンプトラック2が積込位置LPに配置されたか否かを判定し、ダンプトラック2が積込位置LPに配置された時点を、ダンプトラック2のスポット動作の終了時点Te6に規定する。
【0078】
スポット動作が、第1のスポット動作と第2のスポット動作とに分けられてもよい。例えば、ダンプトラック2が積込位置LPに進入する場合、ダンプトラック2の前部が積込位置LPに向けられた状態でダンプトラック2が入口GLから積込場LPAに前進して進入した後、そのダンプトラック2の後部が積込位置LPに向けられるようにダンプトラック2のステアリング操作が行われ、その後、ダンプトラック2が後進しながら、積込位置LPに進入する、所謂、スイッチバック動作が行われる可能性がある。その場合、ダンプトラック2は、後進を開始する前に、積込位置LPから離れた積込場LPAの所定位置(スイッチバック位置)に待機する場合がある。その場合、処理装置12は、入口GLの待機位置における待機状態が解除されてからスイッチバック位置まで移動するダンプトラック2の動作を第1のスポット動作とし、スイッチバック位置から積込位置LPAまで移動するダンプトラック2の動作を第2のスポット動作としてもよい。処理装置12は、ダンプトラック2の第1のスポット動作の開始時点及び終了時点と、第2のスポット動作の開始時点及び終了時点とを規定してもよい。
【0079】
本実施形態において、スポット動作の終了時点Te6は、積込動作の開始時点Ts1と同一である。積込位置LPに配置されたダンプトラック2に対して積込作業が行われる。
【0080】
なお、処理装置12は、ダンプトラック2が搬送路HLにおいて走行を停止した場合、そのダンプトラック2の走行停止動作の開始時点Ts7及び終了時点Te7を規定する。処理装置12は、位置検出装置29から出力されるダンプトラック2のGPS位置に基づいて、搬送路HLにおける走行停止動作の開始時点Ts7及び終了時点Te7を規定することができる。ダンプトラック2が走行を停止した場合、ダンプトラック2のGPS位置は変化せず、走行停止状態のダンプトラック2が走行を開始した場合、ダンプトラック2のGPS位置は変化するため、処理装置12は、ダンプトラック2のGPS位置に基づいて、走行停止動作の開始時点Ts7及び終了時点Te7を規定することができる。なお、処理装置12は、ダンプトラック2の速度センサ27の検出結果に基づいて、走行停止動作の開始時点Ts7及び終了時点Te7を規定してもよい。
【0081】
以上、1サイクルについて説明した。以下、同様のサイクル動作が繰り返される。また、鉱山においては、複数のダンプトラック2が稼働し、複数のダンプトラック2のそれぞれについて各動作の開始時点(Ts1〜Ts7)と終了時点(Te1〜Te7)とが規定される。複数のダンプトラック2のそれぞれは、識別子(ID)を有し、処理装置12は、識別子に対応付けて、複数のダンプトラック2のそれぞれについて各動作の開始時点(Ts1〜Ts7)及び終了時点(Te1〜Te7)を規定する。
【0082】
処理装置12は、複数のダンプトラック2のそれぞれについての各動作の開始時点(Ts1〜Ts7)及び終了時点(Te1〜Te7)に基づいて、各動作に要した時間を導出することができる。例えば、処理装置12は、開始時点Ts5と終了時点Te5とに基づいて、ダンプトラック2が入口GLに到着した到着時点から入口GLにおける待機状態が解除されるまでのダンプトラック2の入口待機時間を算出することができる。
【0083】
<積込動作の開始時点の規定の一例>
上述の実施形態においては、積込機械3の一側に積込位置LPが定められ、その積込位置LPに空荷状態のダンプトラック2が順次配置されることとし、空荷状態のダンプトラック2が積込位置LPに配置された時点を積込動作の開始時点Ts1とした。積込場LPAにおいて、積込機械3の両側に積込位置LPが定められ、一側の積込位置LPに配置されたダンプトラック2に対する積込作業中に、他側の積込位置LPにダンプトラック2が配置される可能性がある。積込機械3の両側に積込位置LPが定められ、その両側の積込位置LPに配置されたダンプトラック2のそれぞれに対して積荷の積込作業(両側積込作業)が行われる場合の積込動作の開始時点の規定の一例について説明する。
【0084】
図10は、積込場LPAの一例を示す模式図であり、
図11は、積込作業の一例を示すフローチャートである。
図10に示すように、本実施形態において、積込場LPAの積込位置LPcに配置されたダンプトラック2Cに対する積込作業が積込機械3により行われる(ステップSC1)。積込位置LPcは、積込機械3の一側に定められる。積込位置LPcにおいて積込作業が行われているときのダンプトラック2CのGPS位置に関する情報は、通信システム9を介して管理装置10の処理装置12に出力されている。
【0085】
ダンプトラック2Cに対する積込作業が終了すると、積込機械3の作業者WMにより入力装置31が操作される(ステップSC2)。作業者WMは、ダンプトラック2Cに対する積込作業が終了したとき、その入力ボタンを押す(操作する)。入力装置31により生成された操作信号は、通信システム9を介して、管理装置10の処理装置12及びダンプトラック2Cの処理装置20のそれぞれに出力される。
【0086】
処理装置12は、積込作業終了時において入力装置31により生成された操作信号に基づいて、ダンプトラック2Cの積込動作の終了時点Te1を規定する(ステップSC3)。ダンプトラック2Cの積込動作の終了時点Te1は、ダンプトラック2Cの積荷走行動作の開始時点Ts2を含む。
【0087】
ダンプトラック2Cに対する積込作業終了時(ステップSC2)において入力装置31により生成された操作信号は、ダンプトラック2Cに対する積込位置LPcからの出発の指令信号を含む。入力装置31により生成された操作信号が通信システム9を介してダンプトラック2Cの処理装置20に入力されると、ダンプトラック2Cは、積込位置LPcから排土場DPAに向かって出発する。なお、入力装置31からの操作信号を受信した管理装置10の処理装置12が、通信システム9を介して、ダンプトラック2Cに積込位置LPcからの出発を指令してもよい。
【0088】
ダンプトラック2Cに対する積込作業終了後、積込位置LPに配置されたダンプトラック2に積荷を積み込む積込作業が積込機械3により行われる(ステップSA1)。本実施形態においては、ダンプトラック2Cに対する積込作業が終了する前に、積込位置LPにダンプトラック2が到着する(ステップSA0)。積込位置LPは、積込位置LPcとは異なる位置であり、積込機械3の他側に定められる。すなわち、本実施形態においては、積込位置LPcに配置されたダンプトラック2Cに積荷を積み込む積込作業において、積込位置LPcとは異なる積込位置LPにダンプトラック2が既に配置される。積込位置LPに到着したダンプトラック2は、ダンプトラック2Cに対する積込作業が終了するまで、積込位置LPにおいて待機(走行停止)する。
【0089】
図10に示すように、積込位置LPcと積込位置LPとは異なる位置であり、本実施形態においては、積込機械3の一側に積込位置LPcが定められ、積込機械3の他側に積込位置LPが定められる。積込機械3は、積込位置LPcに配置されたダンプトラック2Cに対する積込作業終了後、旋回し、ダンプトラック2Cに対する積込作業において積込位置LPに既に配置されているダンプトラック2に対する積込作業を行う。積込位置LPc及び積込位置LPは、例えば走行経路CSに含まれ、処理装置12によって規定される。積込機械3は、両側に配置されるダンプトラック2C及びダンプトラック2のそれぞれに対して積込作業(両側積込作業)を行う。
【0090】
ダンプトラック2が積込位置LPに到着した到着時点は、ダンプトラック2のスポット動作の終了時点Te6であり、ダンプトラック2のGPS位置に関する情報に基づいて求められる。処理装置12は、位置検出装置29の検出結果に基づいてダンプトラック2のGPS位置を求め、そのダンプトラック2のGPS位置に基づいて、到着時点Te6を規定(設定)する。処理装置12は、速度センサ27の検出結果及びダンプトラック2のGPS位置に関する情報の少なくとも一方に基づいて、到着時点Te6を規定してもよい。
【0091】
ステップSC2において入力装置31により生成された操作信号は、ダンプトラック2Cに対する積込作業終了の通知信号、及びダンプトラック2Cの積込位置LPcからの出発の指令信号であるとともに、ダンプトラック2に対する積込作業開始の通知信号である。入力装置31により生成された操作信号は、通信システム9を介して、管理装置10の処理装置12及びダンプトラック2の処理装置20のそれぞれに出力される。処理装置12は、ダンプトラック2Cに対する積込作業終了時において入力装置31により生成された操作信号に基づいて、ダンプトラック2に対する積込作業の開始時点Ts1を規定(設定)する。すなわち、本実施形態において、処理装置12は、積込作業開始時において入力装置31により生成された操作信号に基づいて、ダンプトラック2に対する積込作業の開始時点Ts1を規定する。
【0092】
本実施形態においては、ダンプトラック2が積込位置LPに到着した到着時点Te6から、ダンプトラック2に対する積込作業が開始される開始時点Ts1までの時間が、積込位置LPにおけるダンプトラック2の待機時間(停止時間)となる。上述のように、到着時点Te6は、位置検出装置29の検出結果に基づいて規定され、開始時点Ts1は、ダンプトラック2Cに対する積込作業終了時において入力装置31により生成された操作信号に基づいて規定される。処理装置12は、ダンプトラック2が積込位置LPに存在する状態で、入力装置31からの操作信号が入力された時点を、開始時点Ts1として規定する。すなわち、開始時点Ts1は、処理装置12によって規定される積込位置LPと、位置検出装置29によって検出されるダンプトラック2のGPS位置とが一致した状態で、入力装置31が操作されて操作信号が生成された時点である。処理装置12は、位置検出装置29の検出結果と、ダンプトラック2Cに対する積込作業終了時において入力装置31により生成された操作信号とに基づいて、ダンプトラック2が積込位置LPに到着した到着時点Te6から積込作業の開始時点Ts1までの待機時間を導出する。
【0093】
ダンプトラック2に対する積込作業が終了すると、積込機械3の作業者WMにより入力装置31が操作される(ステップSA2)。入力装置31により生成された操作信号は、通信システム9を介して、管理装置10の処理装置12及びダンプトラック2の処理装置20のそれぞれに出力される。処理装置12は、ダンプトラック2に対する積込作業終了時において入力装置31により生成された操作信号に基づいて、ダンプトラック2に対する積込作業の終了時点Te1を規定する。
【0094】
本実施形態において、ダンプトラック2に対する積込作業終了時(ステップSA2)において入力装置31により生成された操作信号は、ダンプトラック2に対する積込位置LPからの出発の指令信号を含む。処理装置12は、ダンプトラック2に対する積込作業終了時(ステップSA2)において入力装置31により生成された操作信号に基づいて、ダンプトラック2の積荷走行動作の開始時点Ts2を規定する。処理装置12は、入力装置31により操作信号が生成された時点(処理装置12に操作信号が入力された時点)を、開始時点Ts2に規定する(ステップSA3)。入力装置31により生成された操作信号が通信システム9を介してダンプトラック2の処理装置20に入力されると、ダンプトラック2は、積込位置LPから排土場DPAに向かって出発する。
【0095】
なお、ダンプトラック2に対する積込作業中に、積込位置LPcに次のダンプトラック2が到着した場合、ダンプトラック2に対する積込作業終了時(ステップSA2)において入力装置31により生成された操作信号に基づいて、次のダンプトラック2に対する積込作業の開始時点Ts1が規定される。
【0096】
<配車指令>
処理装置12は、複数のダンプトラック2それぞれの位置情報に基づいて、鉱山におけるダンプトラック2の割り当て指令をダンプトラック2に出力する。なお、割り当て指令に関する信号は、作業者による入力装置17の操作に基づいて出力されてもよいし、処理装置12がダンプトラック2の割り当てを演算して自動的に出力してもよい。処理装置12は、複数のダンプトラック2の各動作の開始時点及び終了時点を、ダンプトラック2の位置情報に基づいて規定しており、ダンプトラック2の各動作に対応付けられたダンプトラック2の位置情報及び時間情報(開始時点及び終了時点)を正確に把握する。そのため、処理装置12は、ダンプトラック2の各動作に対応付けられたダンプトラック2の位置情報及び時間情報に基づいて、適正は配車管理を行うことができ、配車指令(割り当て指令)を出力することができる。例えば、鉱山に複数の積込場LPAが存在する場合、それぞれの積込場LPAに存在する積込機械3の処理能力(例えば、積込作業可能なダンプトラック2の単位時間あたりの数)が異なる場合がある。その場合、例えば、処理能力が低い積込機械3に割り当てるダンプトラック2の数を多くしてしまうと、積込作業のために待機しなければならないダンプトラック2の数が増えて鉱山における生産性が低下する可能性がある。本実施形態によれば、処理装置12は、ダンプトラック2の各動作に対応付けられたダンプトラック2の正確な時間情報に基づいて、鉱山における生産性の低下が抑制されるように(積込作業のために待機しなければならないダンプトラック2の数が増えないように)、どの積込場LPA(積込機械3)に何台のダンプトラック2を割り当てればよいかを導出することができる。処理装置12は、その導出したダンプトラック2の割り当てを複数のダンプトラック2のそれぞれに出力することができる。
【0097】
また、複数の積込場LPA及び排土場DPAのそれぞれに通じるように搬送路HLが複数設けられる場合、搬送路HLの特徴(勾配の角度、カーブの数、路面状況など)によっては、それら搬送路HLにおけるダンプトラック2の走行時間(積荷走行時間、空荷走行時間)が搬送路HL毎に異なる可能性がある。また、搬送路HLの補修作業などの作業状況によっても、搬送路HLにおけるダンプトラック2の走行時間が異なる可能性がある。また、搬送路HLの交差点の数によっても、搬送路HLにおけるダンプトラック2の走行時間が変化する可能性がある。また、搬送路HLの交差点を通過するようにダンプトラック2が走行する場合において、搬送路HLの特徴や作業状況などによって、搬送路HLの第1の位置から交差点までのダンプトラック2の走行時間と、搬送路HLの交差点から第2の位置までのダンプトラック2の走行時間とが異なる可能性がある。また、例えば、搬送路HLの交差点から第1の積込場LPAに通じる搬送路HLと第2の積込場LPAに通じる搬送路HLとに分岐している場合、第1の積込場LPAに通じる搬送路HL及び第2の積込場DPAに通じる搬送路HLそれぞれの特徴や作業状況などによって、第1の積込場LPAに通じる搬送路HLを走行するダンプトラック2の走行時間と、第2の積込場LPAに通じる搬送路HLを走行するダンプトラック2の走行時間とが異なる可能性がある。また、例えば、搬送路HLの交差点から第1の排土場DPAに通じる搬送路HLと第2の排土場DPAに通じる搬送路HLとに分岐している場合、第1の排土場DPAに通じる搬送路HL及び第2の排土場DPAに通じる搬送路HLそれぞれの特徴や作業状況などによって、第1の排土場DPAに通じる搬送路HLを走行するダンプトラック2の走行時間と、第2の排土場DPAに通じる搬送路HLを走行するダンプトラック2の走行時間とが異なる可能性がある。すなわち、搬送路HLの特徴や現場状況により、ダンプトラック2の走行速度を制限しなければならない状況が発生し、その結果、その搬送路HLにおけるダンプトラック2の走行時間が変化する可能性がある。本実施形態によれば、ダンプトラック2がどの搬送路HLを走行(積荷走行、空荷走行)するのにどれくらいの時間を要するのかといったような、ダンプトラック2の動作と位置情報と時間情報とが対応付けられて正確に把握されているため、処理装置12は、ダンプトラック2の低速走行や渋滞が生じないように、適正な配車管理又は配車指令を行うことができる。また、例えば、搬送路HLの交差点から第1の積込場LPAに通じる搬送路HLと第2の積込場LPAに通じる搬送路HLとに分岐している場合、排土場DPAを出発し、搬送路HLの交差点を通過して第1の積込場LPAに向かおうとするダンプトラック2を、第1の積込場LPAに通じる搬送路HLや第1の積込場LPAの入口においてダンプトラック2の低速走行や渋滞が生じないように、そのダンプトラック2が第2の積込場LPAに向かって搬送路HLを走行するように、そのダンプトラック2に割り当て指令が出力されてもよい。また、例えば、搬送路HLの交差点から第1の排土場DPAに通じる搬送路HLと第2の排土場DPAに通じる搬送路HLとに分岐している場合、積込場LPAを出発し、搬送路HLの交差点を通過して第1の排土場DPAに向かおうとするダンプトラック2を、第1の排土場DPAに通じる搬送路HLにおいてダンプトラック2の低速走行や渋滞が生じないように、そのダンプトラック2が第2の排土場DPAに向かって搬送路HLを走行するように、そのダンプトラック2に割り当て指令が出力されてもよい。
【0098】
また、例えば雨天時においてダンプトラック2が高速走行できないような場合、鉱山に投入されているダンプトラック2の数が少ないと、積込機械3によるダンプトラック2に対する積込作業が終了した後、次のダンプトラック2が積込位置LPに到着するまでに時間があいてしまい、次のダンプトラック2が到着するまで積込機械3が待機状態となってしまって生産性が低下する。本実施形態においては、処理装置12は、ダンプトラック2の各動作に対応付けられた位置情報及び時間情報(動作に要する時間)を正確に把握しているため、それらの情報に基づいて、鉱山に投入するダンプトラック2の適正な数を決定することができる。同様に、鉱山に投入されているダンプトラック2が多すぎる場合、処理装置12は、鉱山に投入するダンプトラック2の適正な数を決定することができる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態によれば、ダンプトラック2の位置情報に基づいてダンプトラック2の所定動作の開始時点及び終了時点を規定しているため、ダンプトラック2の位置情報に対応付けられた所定動作の開始時点及び終了時点を正確に求めることができる。すなわち、本実施形態によれば、ダンプトラック2の複数の動作のそれぞれに対応付けて、その動作が行われるダンプトラック2の位置情報及び時間情報が正確に求められるため、鉱山におけるダンプトラック2の正確な配車状況(割り当て状況、稼働状況)を取得することができる。したがって、その取得された配車状況に基づいて、鉱山における生産性の低下が抑制されるような適正な配車管理(割り当て管理)を行うことができる。
【0100】
すなわち、例えば、ダンプトラック2の所定動作に要する時間のみを取得した場合、積込作業のために待機しなければならないダンプトラック2の数を増やさないような配車管理、あるいは、搬送路HLにおいて渋滞を生じさせないような配車管理を直ちに実行することが困難となる可能性がある。本実施形態によれば、処理装置12は、鉱山のどの位置でどのような動作を行うときにどれくらいの時間を要するのかをダンプトラック2ごとに把握できるため、長時間の待機状態や渋滞などが生じないように、複数のダンプトラック2のそれぞれを適正な現場(積込場LPA、排土場DPA)に向けて走行させることができる。
【0101】
また、本実施形態においては、積込場LPAの入口GLにおいて待機状態のダンプトラック2Cの後ろであって、そのダンプトラック2Cから所定距離離れた位置(待機位置)にダンプトラック2が到着したときに、そのダンプトラック2が入口GLに到着したと判定される。したがって、入口GLにおいてダンプトラック2Cが待機していても、ダンプトラック2の空荷走行時間を正確に求めることができる。したがって、その求められた空荷走行時間に基づいて、複数の積込場LPAのそれぞれにおいて積込作業のために待機しなければならないダンプトラック2の数が増えないように、適正な配車管理を行うことができる。
【0102】
また、
図10及び
図11を参照して説明したように、積込機械3の両側に積込位置LPが定められている場合において、積込場LP(積込位置LPc)において先のダンプトラック2Cに対する積込作業が行われているときに積込位置LPに次のダンプトラック2が到着した場合、そのダンプトラック2Cに対する積込作業終了時において入力装置31により生成された操作信号に基づいて、ダンプトラック2に対する積込作業の開始時点Ts1を規定するようにしたので、ダンプトラック2が積込位置LPに到着した到着時点Te6から開始時点Ts1までの待機時間を考慮して、適正な配車管理を行うことができる。
【0103】
また、本実施形態によれば、積込作業終了時に入力装置31により生成される操作信号は、終了時点Te1及び開始時点Ts2の規定に用いられるとともに、ダンプトラック2に対する積込位置LPからの出発の指令信号を兼ねる。したがって、入力装置31が操作されないと、ダンプトラック2は積込位置LPから出発せず、積込位置LPに留まることとなる。そのため、作業者WMが入力装置31を操作し忘れてしまうことが防止される。
【0104】
なお、上述の実施形態においては、GPSを用いてダンプトラック2の位置情報を検出することとしたが、ダンプトラック2の位置情報を検出する方法は、GPSを用いる方法に限定されない。例えば、ダンプトラック2に配置されたジャイロセンサ及び速度センサを用いて、推測航法によりダンプトラック2の位置情報が求められてもよい。
【0105】
なお、上述の実施形態において、処理装置12は、ダンプトラック2の複数の動作のそれぞれに要する時間から1サイクルに要する時間(サイクル時間)を求めてもよい。例えば、処理装置12は、開始時点Ts1と、1サイクルを経た後の開始時点Ts1とから、サイクル時間を求めることができる。また、処理装置12は、入力装置31により生成された操作信号に基づいて規定される開始時点Ts2(終了時点Te1)と、1サイクルを経た後の開始時点Ts2(終了時点Te1)とから、サイクル時間をに求めることもできる。
【0106】
また、鉱山の現場状況(掘削状況、作業状況など)は刻々と変化し、これに伴い、搬送路HLにおける走行停止時間が変化する可能性がある。現場状況の影響を受けていないサイクル時間(搬送路HLにおける走行停止時間を含まないサイクル時間)を求めたい場合、上述した各動作に要した時間(排出作業時間、空荷走行時間、入口待機時間、スポット時間、積込作業時間)の和を求めればよい。
【0107】
なお、例えば
図12に示すように、開始時点Ts1と1サイクルを経た後の開始時点Ts1との間の時間(全サイクル時間)から、搬送路HLにおける走行停止時間を減じることによっても、現場状況の影響を受けていないサイクル時間(基準サイクル時間)を求めることができる。
【0108】
なお、全サイクル時間から、搬送路HLにおける走行停止時間と、入口待機時間とを減じたサイクル時間を求めてもよい。
【0109】
なお、
図10及び
図11を参照して説明したような、積込機械3の両側に積込位置LPが定められている場合、全サイクル時間から、搬送路HLにおける走行停止時間と、積込位置LPにおける待機時間(積込位置LPに対する到着時点Te6から積込動作の開始時点Ts1までの時間)とを減じたサイクル時間を求めてもよいし、全サイクル時間から、搬送路HLにおける走行停止時間と、入口待機時間と、積込位置LPにおける待機時間とを減じたサイクル時間を求めてもよい。
【0110】
なお、現場状況の影響を受けていないサイクル時間に基づいて、鉱山におけるダンプトラック2の配車管理(鉱山に投入するダンプトラック2の数など)が行われてもよい。
【0111】
なお、上述の各実施形態において、ダンプトラック2は、作業者(運転者)の操作により作動する、所謂、有人ダンプトラックでもよい。
【0112】
上述した各実施形態の構成要件は、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものを含む。また、上述した各実施形態の構成要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
管理システムは、鉱山の積込場の第1積込位置に配置された第1運搬機械に積荷を積み込む第1積込作業終了後、第1積込作業において第1積込位置とは異なる第2積込位置に既に配置されている第2運搬機械に積荷を積み込む第2積込作業を行う積込機械に設けられた入力装置と、入力装置により生成された操作信号が出力される処理装置と、を備え、処理装置は、第1積込作業終了時において入力装置により生成された操作信号に基づいて、前記第2積込作業の開始時点を規定する。