特許第5700907号(P5700907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピーエスフォー ルクスコ エスエイアールエルの特許一覧

<>
  • 特許5700907-半導体記憶装置 図000002
  • 特許5700907-半導体記憶装置 図000003
  • 特許5700907-半導体記憶装置 図000004
  • 特許5700907-半導体記憶装置 図000005
  • 特許5700907-半導体記憶装置 図000006
  • 特許5700907-半導体記憶装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700907
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/404 20060101AFI20150326BHJP
   G11C 11/401 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   G11C11/34 352D
   G11C11/34 371K
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2008-167059(P2008-167059)
(22)【出願日】2008年6月26日
(65)【公開番号】特開2010-9667(P2010-9667A)
(43)【公開日】2010年1月14日
【審査請求日】2011年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】513192281
【氏名又は名称】ピーエスフォー ルクスコ エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】PS4 Luxco S.a.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 一彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】関口 知紀
(72)【発明者】
【氏名】竹村 理一郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 康利
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−188382(JP,A)
【文献】 特開昭59−2365(JP,A)
【文献】 特開2006−13537(JP,A)
【文献】 特開平2−22864(JP,A)
【文献】 特開昭59−60795(JP,A)
【文献】 特開2001−118999(JP,A)
【文献】 特開2004−69993(JP,A)
【文献】 特開2009−245503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/404
G11C 11/401
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記憶用キャパシタと前記情報記憶用キャパシタを選択する選択用トランジスタとからなるメモリセルであって、前記選択用トランジスタのゲート電極がそれぞれワード線に接続され、前記選択用トランジスタのドレイン電極が前記情報記憶用キャパシタの一方の電極にそれぞれ接続され、前記選択用トランジスタのソース電極がビット線にそれぞれ接続されている複数のメモリセルがアレイ状に配置されているメモリセルアレイと、
前記ワード線の端部に接続され、前記ワード線を駆動するワード線ドライバと、
前記ビット線の端部に接続され、前記メモリセルから読み出される信号電圧をセンス増幅するセンスアンプと、
前記メモリセルアレイと、複数の前記ワード線ドライバからなるワード線ドライバ列との境界領域又は/及び前記メモリセルアレイと、複数の前記センスアンプからなるセンスアンプ列との境界領域に配置される複数の第1のダミーキャパシタと、を有し、
前記第1のダミーキャパシタは、前記メモリセルからデータを読み出す際、あるいは前記メモリセルにデータを書き込み又は再書き込みする際に、前記情報記憶用キャパシタの対向電極に発生する電圧ノイズを低減するために設けられ、
前記複数の第1のダミーキャパシタの一方の電極が共通に接続されるとともに第1の電位が印加され、前記情報記憶用キャパシタの他方の電極と前記複数の第1のダミーキャパシタの他方の電極とが共通に接続されるとともに第2の電位が印加される、
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1のダミーキャパシタが、
前記情報記憶用キャパシタと同一構造かつ同一ピッチで配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記境界領域に配置される前記第1のダミーキャパシタが、
前記情報記憶用キャパシタの下部電極が形成される場合において、前記形成される下部電極の寸法ばらつきを吸収するためのダミーパターンである、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記情報記憶用キャパシタの下部電極が、
リソグラフィまたはドライエッチングにより形成される、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記メモリセルアレイと前記ワード線ドライバ列との境界領域は、第1の境界領域であり、
前記メモリセルアレイと前記センスアンプ列との境界領域は、第2の境界領域であり、
前記第1の境界領域の延在方向と前記第2の境界領域の延在方向とのクロス領域には、前記第1のダミーキャパシタが配置される、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2の電位より低い第3の電位と、前記第2の電位より高い第4の電位とを備え、
前記第2の電位が、前記第3の電位と前記第4の電位との中間の電位であり、
前記第1の電位が、前記第3の電位または前記第4の電位のいずれか一方である、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第3の電位及び前記第4の電位が、
前記情報記憶用キャパシタの一方の電極に書き込まれるそれぞれロウレベル及びハイレベルの電位である、ことを特徴とする請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記選択用トランジスタが形成されるトランジスタ形成層と、
前記情報記憶用キャパシタと前記第1のダミーキャパシタとが形成されるキャパシタ形成層とを備え、
前記キャパシタ形成層は、前記トランジスタ形成層と異なる縦構造の場所に積層して形成される、ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1のダミーキャパシタの一方の電極は、前記トランジスタ形成層側に形成され、前記第1の電位を有する第1の配線が、前記トランジスタ形成層と前記キャパシタ形成層との間に形成される、ことを特徴とする請求項8に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記半導体記憶装置は、
前記メモリセルアレイの内部に配置され、所定数の前記ビット線毎に分割された複数のメモリブロック間、且つ前記ビット線延在方向に配置されている複数の第2のダミーキャパシタ、を更に有し、
前記複数の第2のダミーキャパシタの一方の電極が共通に接続されるとともに前記第1の電位が印加され、
前記情報記憶用キャパシタの他方の電極と前記複数の第2のダミーキャパシタの他方の電極とが共通に接続されるとともに前記第2の電位が印加される、
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記ワード線と前記ビット線とが直交している、ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
情報記憶用キャパシタと前記情報記憶用キャパシタを選択する選択用トランジスタとからなるメモリセルと、
複数の前記メモリセルがマトリックスに展開されたメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの最外周の領域において、少なくともいずれか一辺の領域において複数の第1のダミーキャパシタが配置され、
前記第1のダミーキャパシタは、前記メモリセルからデータを読み出す際、あるいは前記メモリセルにデータを書き込み又は再書き込みする際に、前記情報記憶用キャパシタの対向電極に発生する電圧ノイズを低減するために設けられ、
前記複数の第1のダミーキャパシタの一方の電極が共通に接続されると共に第1の電位が印加され、前記情報記憶用キャパシタの他方の電極と前記複数の第1のダミーキャパシタの他方の電極とが共通に接続されるとともに第2の電位が印加される、ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項13】
前記選択用トランジスタが形成されるトランジスタ形成層と、
前記情報記憶用キャパシタと前記第1のダミーキャパシタとが形成されるキャパシタ形成層とを備え、
前記キャパシタ形成層は、前記トランジスタ形成層と異なる縦構造の場所に積層して形成される、ことを特徴とする請求項12に記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記第1のダミーキャパシタの一方の電極は、前記トランジスタ形成層側に形成され、前記第1の電位を有する第1の配線が、前記トランジスタ形成層と前記キャパシタ形成層との間に形成される、ことを特徴とする求項13に記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
更に、前記メモリセルアレイの内部に配置され、所定数の前記ビット線毎に分割された複数のメモリブロック間配置され、且つ前記ビット線延在方向に配置されている複数の第2のダミーキャパシタ、を有し、
前記第2のダミーキャパシタは、
前記第1のダミーキャパシタと同一構造であり、
前記複数の第2のダミーキャパシタの一方の電極が共通に接続されるとともに前記第1の電位が印加され、
前記情報記憶用キャパシタの他方の電極と前記複数の第2のダミーキャパシタの他方の電極とが共通に接続される、ことを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
前記第2の電位より低い第3の電位と、前記第2の電位より高い第4の電位とを備え、
前記第2の電位が、前記第3の電位と前記第4の電位との中間の電位であり、
前記第1の電位が、前記第3の電位または前記第4の電位である、ことを特徴とする請求項12から請求項15のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項17】
前記第3の電位及び前記第4の電位が、
前記情報記憶用キャパシタの一方の電極に書き込まれるそれぞれロウレベル及びハイレベルの電位である、ことを特徴とする請求項16に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置のメモリセルアレイにおいて、メモリセルからビット線にデータを読み出す際、あるいはメモリセルにデータを書き込み・再書き込み(リフレッシュ)する際に、情報記憶用キャパシタの対向電極であるプレートの電位に発生する電圧ノイズを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からDRAM(Dynamic Random Access Memory)混載ロジックLSI(Large Scale Integration)において、DRAMメモリセルのキャパシタの構造を用いて、平滑容量や、論理回路用の容量を、面積効率良く形成する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、DRAMセルアレイの複数のワード線、及び複数のビット線をそれぞれ共通化し、例えば共通化したビット線の端子に電源電位VDD(以降、VDDと称して説明する。)を与え、共通のセルプレート端子に接地電位VSS(以降、VSSと称して説明する。)を与え、共通化したワード線の端子にVDDよりDRAMセルの選択MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタの閾値電圧分以上高い電位を与え選択MOSトランジスタをオンさせることで、VDD−VSS間の平滑容量を形成する技術が開示されている。
【0004】
しかし、この技術では平滑容量に選択MOSトランジスタのオン抵抗が直列に入るため、DRAMの動作時に発生するような高周波ノイズに対しては効果が小さくなるという問題がある。また、メモリセルアレイとして動作しない平滑容量専用アレイとなるため、DRAMの動作時にプレート電極に発生するプレートノイズを抑える目的には使いにくいという問題がある。その理由は、大規模なDRAMの場合、動作するメモリセルアレイと平滑容量専用アレイとの距離が離れてしまうためである。さらに、平滑容量専用アレイをメモリセルアレイとは別に設けるため、チップ面積の増加が避けられないという問題もある。
【0005】
特許文献2には、DRAMメモリセルのキャパシタと同一構造で構成されるキャパシタをロジック回路に配置し、平滑容量や論理回路に組み込まれる容量に使用するという技術が開示されている。しかし、この技術では平滑容量がDRAMメモリセルアレイ以外の領域に形成されるため、DRAMの動作時に発生するプレートノイズを抑える目的には使いにくいという問題がある。その理由は、大規模なDRAMの場合、動作するメモリセルアレイと平滑容量との距離が離れてしまうためである。さらに、平滑容量をメモリセルアレイとは別に設けるため、チップ面積の増加が避けられないという問題もある。
【0006】
また、デカップリングキャパシタを用いてDRAMのアレイノイズを低減する技術が提案されている。
【0007】
特許文献3には、メモリセルアレイ上に配置されるセンスアンプ用の電源線とグラウンド線をメッシュ上に配線した上で互いにくし型に形成し、入れ子構造にして電源−グラウンド間のデカップリング容量を効率的に形成する技術が開示されている。しかし、この技術をセルプレートのデカップリングキャパシタに応用するためには配線の領域が不足して十分な効果が得られないという問題がある。
【0008】
特許文献4には、メモリセルアレイ内に形成された容量に電荷を蓄えその電荷を用いてセンスアンプ用電源を駆動する技術が開示されている。しかし、この技術はセンスアンプ用電源のピーク電流を低減することはできるが、固定電源であるセルプレートのデカップリングには適用できないという問題がある。
【0009】
一方、ロジックの空きエリアを利用してデカップリングキャパシタを効率的に形成する技術も知られている。
【0010】
特許文献5には、周辺回路領域の空きエリアに加工寸法ばらつき抑制のためのダミーゲートを配置し、そのゲート容量を電源―グラウンド間のデカップリングキャパシタとして利用する技術が開示されている。しかし、この技術はメモリセルアレイの外部に形成されるため、セルプレートに対して寄生抵抗が増大する。従って、セルプレートのデカップリングキャパシタとしては効率が悪いという問題がある。
【特許文献1】特開2003−332532号公報
【特許文献2】特開平11−214649号公報
【特許文献3】特開平5−174578号公報
【特許文献4】特開2000−348488号公報
【特許文献5】特開2005−167039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、半導体記憶装置のメモリセルアレイにおいて、メモリセルからビット線にデータを読み出す際、あるいはメモリセルにデータを書き込み・再書き込み(リフレッシュ)する場合に、情報記憶用キャパシタの対向電極であるプレートの電位に発生する電圧ノイズを低減させることを可能とする半導体記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、選択用MOSトランジスタと情報記憶用キャパシタからなるメモリセルであって、前記選択用MOSトランジスタのゲート電極がワード線に接続され、前記選択用MOSトランジスタのドレイン電極が前記情報記憶用キャパシタの一方の電極に接続され、前記選択用MOSトランジスタのソース電極がビット線に接続されている複数のメモリセルがアレイ状に配置されているメモリセルアレイと、前記ワード線の端部に接続され、前記ワード線を駆動するワード線ドライバと、前記ビット線の端部に接続され、前記メモリセルから読み出される信号電圧をセンス増幅するセンスアンプと、前記メモリセルアレイと前記ワード線ドライバとの境界領域又は/及び前記メモリセルアレイと前記センスアンプとの境界領域に配置される複数の第1のダミーキャパシタと、を有し、前記第1のダミーキャパシタの一方の電極が共通に接続されるとともに第1の電位が印加され、前記情報記憶用キャパシタの他方の電極と前記第1のダミーキャパシタの他方の電極とが共通に接続されるとともに第2の電位が印加される、ことを特徴とする半導体記憶装置である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記第1のダミーキャパシタが、前記情報記憶用キャパシタと同一構造かつ同一ピッチで配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記境界領域に配置される前記第1のダミーキャパシタが、前記情報記憶用キャパシタの下部電極が形成される場合において、前記形成される下部電極の寸法ばらつきを吸収するためのダミーパターンである、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、前記情報記憶用キャパシタの下部電極が、リソグラフィまたはドライエッチングにより形成される、ことを特徴とする請求項3に記載の半導体記憶装置である。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記半導体記憶装置は、前記メモリセルアレイの内部に配置され、前記ビット線方向に配置されている第2のダミーキャパシタ、を有し、前記第2のダミーキャパシタの一方の電極が共通に接続されるとともに前記第1の電位が印加され、前記情報記憶用キャパシタの他方の電極と前記第2のダミーキャパシタの他方の電極とが共通に接続されるとともに前記第2の電位が印加される、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の半導体記憶装置である。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記第2のダミーキャパシタが、前記第1のダミーキャパシタと同一構造かつ同一ピッチで配置される、ことを特徴とする請求項5に記載の半導体記憶装置である。
【0018】
請求項7に記載の発明は、前記第2の電位を、前記第2の電位より低い第3の電位と前記第3の電位より高い第4の電位とのほぼ中間の電位とし、前記第1の電位を前記第3の電位とする、ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の半導体記憶装置である。
【0019】
請求項8に記載の発明は、前記第2の電位を、前記第2の電位より低い第3の電位と前記第3の電位より高い第4の電位のほぼ中間の電位とし、前記第1の電位を前記第4の電位とする、ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の半導体記憶装置である。
【0020】
請求項9に記載の発明は、前記第3の電位及び前記第4の電位を、前記情報記憶用キャパシタの一方の電極に書き込まれるロウレベル及びハイレベルの電位とする、ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の半導体記憶装置である。
【0021】
請求項10に記載の発明は、前記ワード線と前記ビット線とが直交している、ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の半導体記憶装置である。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、メモリセルアレイとワード線ドライバやセンスアンプとの境界領域に配置され、リソグラフィやドライエッチング時の寸法ばらつきを吸収するためのダミーキャパシタの一方の電極をVSSなどの固定電位に接続し、プレート電源の平滑容量を形成することでプレートノイズを低減する効果を奏する。
【0023】
また、本発明によれば、メモリセルアレイとプレート電源の平滑容量との距離が近いため、プレート電源の平滑容量のチップ面積を増大させることなく、メモリセルアレイに対する読み書きの場合に発生するプレートノイズを抑える効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態による半導体記憶装置の回路図であり、ダミーキャパシタを用いたプレート電源平滑容量を含んだDRAMメモリセルアレイの一部を示す回路図である。この図1では、アレイPとアレイQとの隣接する2つのアレイを例示している。また、ここでは、半導体記憶装置としてDRAMの場合について説明する。
【0025】
図1に示されるように、半導体記憶装置は、単位アレイ毎にn本(以降、nは任意の自然数として説明する。)のワード線WL1〜WLnと、m本(以降、mは任意の自然数として説明する。)のビット線BL1〜BLmと、ワード線WL1〜WLnとビット線BL1〜BLmとの交点にそれぞれ配置されるm×n個のメモリセルMC11〜MCnmと、選択されたワード線を駆動するワード線ドライバ(以降、WLドライバとして説明する。)WLD1〜WLDnと、ビット線に読み出された信号電圧をセンス増幅するセンスアンプSA1〜SAmとを有する。なお、このメモリセルMC11〜MCnmが、メモリセルアレイである。
【0026】
また、半導体記憶装置は、WLドライバWLD1〜WLDnとメモリセルアレイとの間の領域に、ワード線WL1〜WLnに対応してそれぞれ配置されたダミーキャパシタDCM1〜DCMnを有する。このダミーキャパシタDCM1〜DCMnにより、プレート電源の平滑容量が形成される。
【0027】
ここでは、ワード線WL1〜WLnとビット線BL1〜BLmとは、互いに直交している。また、m×n個のメモリセルMC11〜MCnmは、アレイ状に配置されている。
【0028】
なお、本発明において「アレイ状に配置」とは、本実施形態のように、行と列との規則的な2次元状に(マトリクス状に)配置された場合のほか、1次元状に(一列に)配置された場合も含む。また、m×n個のメモリセルMC11〜MCnmのアレイ状配置の態様は、規則的な配置に限られるものではない。たとえば、千鳥配置であってもよいし、不規則な配置であってもよい。
【0029】
WLドライバWLD1〜WLDnは、対応するワード線WL1〜WLnの端部(ワード線端)に接続され、特に制限されないが、一例としては、ワード線WLの1本毎に千鳥配置されて、ワード線WLの端部に接続される。たとえば、WLドライバWLD1〜WLDnは、図面においては、単位アレイ内の上端と下端との領域に配置される。
【0030】
なお、この実施形態においては、WLドライバWLD1〜WLDnが、ワード線WLの1本毎に千鳥配置され、図面においては、単位アレイ内の上端と下端との2箇所の領域に配置される。そのため、WLドライバWLD1〜WLDnとメモリセルアレイとの間の領域に配置されるダミーキャパシタDCM1〜DCMnも、単位アレイ内の上端と下端とに隣接する2箇所の領域に配置される(図中、符号AとBとを参照)。
【0031】
センスアンプSA1〜SAmは、対応するビット線BL1〜BLmの端部(ビット線端)に接続され、特に制限されないが、一例としては、ビット線BLの1本毎に千鳥配置されて、ビット線BLの端部に接続される。たとえば、図面において、単位アレイ内の左端と右端との領域に配置される。
【0032】
また、特に制限されないが、一例としてのセンスアンプSA1〜SAmには、隣接する単位アレイのビット線BLも接続され、いわゆるオープンビット線構成をとる。すなわち、センスアンプSA1〜SAmは、隣接する2つのアレイに共有されている。
【0033】
メモリセルMC11〜MCnmのそれぞれを構成する情報記憶用キャパシタ(DRAMキャパシタ)CMの一方の電極は選択用MOSトランジスタQMのドレイン端子に接続され、情報記憶用キャパシタCMの他方の電極は単位アレイ内の全てのメモリセルに共通接続されてプレート電極PLを構成する。
【0034】
ダミーキャパシタDCM1〜DCMnの一方の電極は、単位アレイ内で共通に接続され、接地電位VSS又は電源電位VDDが供給(印加)される。また、ダミーキャパシタDCMの他方の電極は、単位アレイ内で共通に接続されると共に、情報記憶用キャパシタCMのプレート電極PLに接続され、ダミーキャパシタDCMのプレート電極PLを構成する。
【0035】
プレート電極PLには、電源電位VDDと接地電位VSSのほぼ中間電位であるプレート電源VPLが供給される。この結果、単位アレイ内の複数のダミーキャパシタDCM1〜DCMnは全体としてプレート電源VPLの平滑容量を構成する。
【0036】
また、上記電源電位VDDと接地電位VSSとをセンスアンプSA1〜SAmに供給し、情報記憶用キャパシタCMに書き込まれるハイレベルの電位とロウレベルの電位とに設定することができる。この場合、プレート電源平滑容量に印加される電圧は情報記憶用キャパシタCMに印加される電圧と同じに設定することができるため、メモリセルと同等の信頼性を確保することができる。
【0037】
図2は、メモリセルアレイと本発明によるダミーキャパシタDCMを用いたプレート電源平滑容量の第1の実施例を示す断面図である。第1の実施例では、選択用MOSトランジスタはプレーナ型である。
【0038】
図2(a)の断面図はメモリセルアレイ内のビット線BLmに沿った断面を示す。情報記憶用キャパシタCMの一方の電極(下部電極)はプラグを介して選択用MOSトランジスタQMのドレインに接続される。一方、情報記憶用キャパシタCMの他方の電極はプレート電極PLとして、他の情報記憶用キャパシタCMと共用される。選択用MOSトランジスタQMのソースはプラグを介してビット線BLmに接続される。
【0039】
図2(b)の断面図はメモリセルアレイとWLドライバWLDとの境界領域に配置されたダミーキャパシタDCMのビット線BL方向の断面を示す。ダミーキャパシタDCMの一方の電極(下部電極)はプラグを介してVSS配線に接続される。一方、ダミーキャパシタDCMの他方の電極はプレート電極PLとして、他の情報記憶用キャパシタCMと共用される。情報記憶用キャパシタCMとダミーキャパシタDCMとは、同じ製造工程により同じサイズで形成される。
【0040】
図3は、メモリセルアレイと本発明によるダミーキャパシタDCMを用いたプレート電源平滑容量の第2の実施例を示す断面図である。第2の実施例では、選択用MOSトランジスタはサラウンドゲート構造の縦型トランジスタである。
【0041】
図3(a)の断面図はメモリセルアレイ内のビット線BLmに沿った断面を示す。情報記憶用キャパシタCMの一方の電極(下部電極)はプラグを介して選択用MOSトランジスタQMのドレイン(上部拡散層)に接続される。一方、情報記憶用キャパシタCMの他方の電極はプレート電極PLとして、他の情報記憶用キャパシタCMと共用される。選択用MOSトランジスタQMのソース(下部拡散層)はトランジスタ下部に配置されたビット線BLmに接続される。
【0042】
図3(b)の断面図はメモリセルアレイとWLドライバWLDとの境界領域に配置されたダミーキャパシタDCMのビット線BL方向の断面を示す。ダミーキャパシタDCMの一方の電極(下部電極)はプラグを介してVSS配線に接続される。一方、ダミーキャパシタDCMの他方の電極はプレート電極PLとして、他の情報記憶用キャパシタCMと共用される。情報記憶用キャパシタCMとダミーキャパシタDCMとは、同じ製造工程により同じサイズで形成される。
【0043】
図4は情報記憶用キャパシタCMとダミーキャパシタDCMの下部電極の第1のレイアウトパターンを示す平面図である。どちらの下部電極も同じサイズでビット線方向、ワード線方向共に2Fピッチ(Fは最小寸法であり、ゲートピッチの1/2)でアレイ状に配置されている。メモリセルアレイとWLドライバWLDとの境界に当たる単位アレイ内の上部と下部の領域には、ビット線BL方向にダミーキャパシタDCMの下部電極が配置され、それ以外は情報記憶用キャパシタCMの下部電極である。図にはビット線BLとVSS配線又はVDD配線、及びプレート電極PLも示されている。
【0044】
このように下部電極を微細なピッチ規則的に配置し、その周囲に比較的ゆるやかな配置で別のパターンが置かれる場合、境界領域の下部電極パターンが、フォトリソグラフィーの光学的な効果や、ドライエッチング時のマイクロローディング効果などで変形しやすい。そこで、境界領域にダミーパターンを配置し、本来のメモリセルの下部電極のパターンが変形することを防止する。本発明では、このダミーパターンをプレート電源VPLの平滑容量として活用することで、チップ面積を増加させることなくプレートノイズを効果的に低減することができる。
【0045】
図5は情報記憶用キャパシタCMとダミーキャパシタDCMの下部電極の第2のレイアウトパターンを示す平面図である。どちらの下部電極も同じサイズでビット線方向、ワード線方向共に2Fピッチでアレイ状に配置されている。メモリセルアレイとWLドライバWLDとの境界に当たる上部と下部の領域、及びセンスアンプとの境界に当たる左端と右端の領域には、それぞれビット線方向とワード線方向にダミーキャパシタの下部電極が配置されている。それ以外は図4と同様に情報記憶用キャパシタCMの下部電極、及びビット線とVSS配線又はVDD配線、及びプレート電極が示されている。
【0046】
なお、同図中、ビット線上に配置されているダミーパターンは、図2に示すプレーナ型トランジスタを用いるメモリセルの場合には、下部電極とビット線がプラグで接続されない。一方、図3に示す縦型トランジスタを用いるメモリセルの場合には、下部電極とVSS配線又はVDD配線をプラグで接続することができる。
【0047】
この例では、メモリセルアレイの周囲全体の境界領域にダミーパターンを配置しているため、本来のメモリセルの下部電極のパターンの変形を、より完全に防止することができる。併せて、このダミーパターンをプレート電源VPLの平滑容量として活用することで、チップ面積を増加させることなくプレートノイズをさらに効果的に低減することができる。
【0048】
図6は、単位アレイ内にダミーキャパシタDCMを配置する領域のバリエーションを示す図である。
図6(a)が図4に、図6(b)は図5に相当するダミーキャパシタDCMの配置図である。
図6(c)は図6(a)の配置に対して、それぞれメモリセルアレイ内にビット線方向にさらにダミーキャパシタDCMを追加した配置図である。
図6(d)は図6(b)の配置に対して、それぞれメモリセルアレイ内にビット線方向にさらにダミーキャパシタDCMを追加した配置図である。
【0049】
図6(a)から図6(d)のいずれの場合においても、単位アレイ内において、図面において上端部と下端部との領域にWLドライバWLDが配置され、図面において左端部と右端部との領域にセンスアンプSAが配置され、中央領域にメモリセルアレイが配置されている。
【0050】
図6(a)においては、ダミーキャパシタDCMは、図面において上端部と下端部との領域の2箇所の領域に配置されたWLドライバWLDと、中央領域に配置されたメモリセルアレイとで挟まれた2箇所の境界領域に配置される。
【0051】
また、図6(b)においては、ダミーキャパシタDCMは、図面において上端部と下端部との領域の2箇所の領域に配置されたWLドライバWLDと、中央領域に配置されたメモリセルアレイとで挟まれた2箇所の境界領域に配置されるとともに、図面において左端部と右端部との領域に配置されたセンスアンプSAと、中央領域に配置されたメモリセルアレイとで挟まれた2箇所の境界領域に配置される。すなわち、ダミーキャパシタDCMは、4箇所の領域に配置される。
【0052】
また、図6(c)においては、図6(a)において、さらに、メモリセルアレイをビット線方向で複数に分割し、分割したメモリセルアレイとメモリセルアレイとの間の領域にダミーキャパシタDCMをそれぞれ配置している。このダミーキャパシタDCMは、ビット線BL方向に配置されている。
【0053】
また、図6(d)においては、図6(b)において、さらに、メモリセルアレイをビット線方向で複数に分割し、分割したメモリセルアレイとメモリセルアレイとの間の領域にダミーキャパシタDCMをそれぞれ配置している。このダミーキャパシタDCMは、ビット線BL方向に配置されている。
【0054】
このようにすることで、より効果的にプレートノイズを低減することが可能となる。特に図3に示す縦型トランジスタを用いるメモリセルの場合のように、ワード線抵抗を低減するために、タングステン配線を用いたワード線シャント配線WLS1〜WLSnを用いる場合には、メモリセルアレイ内でワード線とワード線シャント配線を接続する領域が必要となる。この領域上にダミーキャパシタを配置すれば、チップ面積の増加を伴うことなく、より大容量の平滑容量を形成することが可能となるため、効果的である。
【0055】
なお、説明してきた実施例は、ダミーキャパシタが1列の場合であるが、必要に応じて2列、あるいはそれ以上配置しても良いことは言うまでも無い。また、メモリセルの選択用トランジスタはFinや、溝の形をしたトランジスタであっても良い。さらに、キャパシタはクラウン形やトレンチ型など、種々のバリエーションをとることが可能である。
【0056】
[効果の説明]
以上述べたように、本発明によるプレート電源平滑容量は、DRAMセルとして動作するメモリセルアレイ内に平滑容量が配置されるため、ノイズ源と平滑容量との間の距離が近く寄生抵抗が少なくなるため、ノイズ削減効果が高いという効果がある。また、メモリセルアレイとワード線ドライバやセンスアンプとの境界領域に配置され、リソグラフィやドライエッチング時の寸法ばらつきを吸収するためのダミーキャパシタを利用して平滑容量を形成するため、新たな領域を設ける必要がなく、チップ面積が増加しないという効果がある。
【0057】
さらに、DRAMメモリセルのキャパシタを利用して平滑容量を形成するため、単位面積当たりの容量が大きく、少ない面積で十分な平滑容量を形成できるという効果がある。加えて、平滑容量に印加される電圧はメモリセル用のキャパシタと同じようにビット線振幅の半分にすることができるため、平滑容量としての信頼性も保たれるという効果もある。
【0058】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】この発明の一実施形態による半導体記憶装置の構成を示すブロック図である。
図2】メモリセルアレイとダミーキャパシタDCMを用いたプレート電源平滑容量の第1の実施例を示す断面図である。
図3】メモリセルアレイとダミーキャパシタDCMを用いたプレート電源平滑容量の第2の実施例を示す断面図である。
図4】情報記憶用キャパシタCMとダミーキャパシタDCMの下部電極の第1のレイアウトパターンを示す平面図である。
図5】情報記憶用キャパシタCMとダミーキャパシタDCMの下部電極の第2のレイアウトパターンを示す平面図である。
図6】単位アレイ内にダミーキャパシタDCMを配置する領域のバリエーションを示す図である。
【符号の説明】
【0060】
WL…ワード線、BL…ビット線、MC…メモリセル、DCM…ダミーキャパシタ、CM…情報記憶用キャパシタ、PL…プレート電極、VDD…電源電位、VSS…接地電位、QM…選択用MOSトランジスタ、WLS…ワード線シャント配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6