特許第5700910号(P5700910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700910
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】置換アニシジンの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 213/02 20060101AFI20150326BHJP
   C07B 61/00 20060101ALI20150326BHJP
   C07C 217/84 20060101ALI20150326BHJP
   C07C 249/08 20060101ALI20150326BHJP
   C07C 251/44 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   C07C213/02
   C07B61/00 300
   C07C217/84
   C07C249/08
   C07C251/44
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2008-539038(P2008-539038)
(86)(22)【出願日】2006年11月1日
(65)【公表番号】特表2009-514867(P2009-514867A)
(43)【公表日】2009年4月9日
(86)【国際出願番号】US2006042845
(87)【国際公開番号】WO2007053755
(87)【国際公開日】20070510
【審査請求日】2009年10月30日
【審判番号】不服2013-11409(P2013-11409/J1)
【審判請求日】2013年6月18日
(31)【優先権主張番号】60/733,316
(32)【優先日】2005年11月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】ガロー ファブリース
(72)【発明者】
【氏名】リー ヒーウォン
(72)【発明者】
【氏名】セナナヤケ クリス ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】ソン ジンファ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】タン ズーリン
(72)【発明者】
【氏名】シュ ジンファ
(72)【発明者】
【氏名】イー ネイザン ケイ
【合議体】
【審判長】 中田 とし子
【審判官】 唐木 以知良
【審判官】 木村 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0080005(US,A1)
【文献】 国際公開第01/14314(WO,A1)
【文献】 特開昭53−071023(JP,A)
【文献】 特開昭58−194853(JP,A)
【文献】 特開昭57−126472(JP,A)
【文献】 Bulletin of the Chemical Society of Japan,1978年,51(8),pp. 2437−8
【文献】 Journal of Organic Chemistry,1989年,54(4),pp.980−3
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,1986年,29(5),pp.648−54
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C209/00-251/88
CA(STN)
REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IVの化合物を活性化剤と反応させ、次いで加水分解を行って式Iの化合物(式中、R は C1-C6 アルキルまたはハロゲンを表し、Alk は C1-C6 アルキルを表す)を得る工程を含む、式Iの化合物の調製方法:
【化1】
であって、前記活性化剤が、
・無水酢酸とそれに続く塩化アセチル;
・無水酢酸とそれに続く臭化水素; または、
・無水酢酸と無水トリフルオロ酢酸との混合物とそれに続く臭化水
ある、前記調製方法。
【請求項2】
活性化剤が、無水酢酸とそれに続く塩化アセチル; または、無水酢酸と無水トリフルオロ酢酸との混合物とそれに続く臭化水素、より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
式IVの化合物が、式IIIの化合物をヒドロキシルアミンと反応させる工程を含む方法により調製される、請求項1記載の方法。
【化2】
(式中、R および Alk は請求項1に定義される通りである。)
【請求項4】
ヒドロキシルアミンが、その遊離塩基の形態で; H2SO4、HCl、HBr、H3PO4 および HNO3 より選択される酸との塩として、または、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸、ジアセテート-N,O-ヒドロキシルアミン、若しくはジトリメチルシリル-N,O-ヒドロキシルアミンとして使用される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
式中、R が C1-3 アルキル、臭素または塩素を表し; Alk は C1-3 アルキルを表す、請求項1記載の方法。
【請求項6】
式中、R は C1-2 アルキル、臭素または塩素を表し、Alk は C1-3 アルキルを表す、請求項1記載の方法。
【請求項7】
式中、R はメチルまたは臭素を表し、Alk はメチルを表す、請求項1記載の方法。
【請求項8】
下記式IVの化合物:
【化3】
(式中、R は C1-C6 アルキルまたはハロゲンを表し、Alk は C1-C6 アルキルを表す。)
【請求項9】
式中、R は C1-3 アルキル、臭素または塩素を表し; Alk は C1-3 アルキルを表す、請求項8記載の式IVの化合物。
【請求項10】
式中、R は C1-2 アルキル、臭素または塩素を表し、Alk は C1-3 アルキルを表す、請求項8記載の式IVの化合物。
【請求項11】
以下の化合物より選択される、請求項8記載の式IVの化合物。
【化4】
【請求項12】
式IIIの化合物をヒドロキシルアミンと反応させる工程を含む、請求項8記載の式IVの化合物の調製方法。
【化5】
(式中、R および Alk は請求項8に定義した通りである。)
【請求項13】
ヒドロキシルアミンが、その遊離塩基の形態で; H2SO4、HCl、HBr、H3PO4 および HNO3 より選択される酸との塩として、または、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸、ジアセテート-N,O-ヒドロキシルアミン、若しくはジトリメチルシリル-N,O-ヒドロキシルアミンとして使用される、請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウィルス(HCV)感染症を治療するための薬剤の調製において有用な中間体である置換アニシジンの、改良された調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載する種類の置換アニシジンは、特定の抗-HCV剤の調製における中間体として有用であることが発見されている。例えば、米国特許出願公開番号 US 2005/0020503 A1 および US 2005/0080005 A1 を参照されたい(両出願は参照により本明細書に含まれるものとする)。しかしながら、これらの置換アニシジンを調製するための他の実用的かつ経済的な合成技術を開発する要望が引き続き存在する。本発明によって対応される課題は、これらの化合物を最小限の工程数によって効率的に製造することを可能とする、実用的かつ経済的な方法を提供することである。
Beringer, F. et al., J. Am. Chem. Soc., Vol. 75 (1953), 2635-2639; および Newman, M. et al, J. Org. Chem., Vol. 38, No. 23 (1973), 4073-4074 は、共に特定の環状オキシムの、酢酸塩活性化を介した芳香族化の方法を開示するものの、これらの文献に中には本発明の方法に使用される特定の置換オキシムの記載および示唆は無い。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の置換アニシジンは、置換環状ヒドロキシ-ケトンから、置換オキシム中間体を通過して、芳香族化を介して調製される。本発明は、容易に入手可能、かつ安価な出発材料および薬剤を使用するという利点を有する。加えて、この方法は、低温条件の使用を回避し、また、操作の数を最小限とすることにより全体的な速いサイクル時間をもたらす。本発明の方法は、以下のスキームに示されるように簡単に要約することができる:
【0004】
【化1】
(式中、R は C1-C6 アルキルまたはハロゲンを表し、Alk は C1-C6 アルキルを表す。)
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
用語の定義および使用される決まりごと
本明細書において具体的に定義しない用語は、開示および文脈を勘案して当業者がそれらに与える意味を与えられる。しかしながら、別途特定しない限り、本明細書において、以下の用語は示された意味を有し、また、以下の決まりごとが守られる。
本明細書において、“アルキル”の用語は、単独、または他の置換基と組み合わせた場合を問わず、特定した数の炭素原子を有する非環状の直鎖または分岐鎖のアルキル置換基を意味する。
化合物の名前または構造に特定の立体化学または異性体型が明記されていない限り、原則として、個別の幾何異性体、立体異性体、光学異性体または異性体のラセミもしくは非ラセミ混合物を問わず、化学構造または化合物のすべての互変異性型および異性体型および混合物が意図される。
【0006】
発明の実施態様
以下の合成スキームにおいて、別途特定した場合を除いて、化学式におけるすべての置換基は前に示した式(I)と同じ意味を有するものとする。以下に説明する合成スキームに使用される反応物および試薬は、本明細書に記載されるように得られるか、または、本明細書に記載されていない場合は、それら自体が商業的に入手可能であるか、または商業的に入手可能な材料から当該技術分野に知られる方法によって調製することができる。例えば、特定のハロ-置換ヒドロキシケトンの出発材料は、Shepard, R. et al., J. Chem. Soc. Perkin. Trans. I, (1987), 2153-2155 に記載される方法によって得ることができる。
最適な反応条件および反応時間は、使用する特定の反応物に応じて変動し得る。別途特定した場合を除き、溶媒、温度、圧力、および他の反応条件は、当業者が容易に選択することができる。具体的な手順は合成例の項において提供される。典型的には、所望の場合、反応の進行は、薄層クロマトグラフィーまたは高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によってモニタリングすることが可能であり、中間体および生成物はシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、および/または再結晶化により精製することが可能であり、また、以下の1以上の技術により特徴付けられる:NMR、質量分析および融点。
【0007】
I. 処理工程
ある実施態様において、本発明は、下記スキームIに示される、式Iの化合物を調製するための以下の一般的なマルチ-工程の合成方法、並びにそこに示される個別の工程および中間体に関する。
スキーム I
【化2】
【0008】
上に示したように、式IIのヒドロキシケトン(式中、R はアルキルまたはハロゲンを表す)を適切な溶媒中でアルキル化剤と反応させて式IIIの O-アルキル化ケトンを得る。適切なアルキル化剤の例はオルトギ酸トリメチルである。この種の変換の例は、Shepard, R. et al., J. Chem. Soc. Perkin. Trans. I, (1987), 2153-2155 に記載されている。式IIIのケトン(反応混合物から単離してもしなくてもよい)は、次いで、ヒドロキシルアミンと反応させて式IVのオキシムを得る。ヒドロキシルアミンは、塩基性または酸性条件下で、遊離塩基として、塩(例えばH2SO4、HCl、HBr、H3PO4、HNO3 より選択される酸との塩)として、または保護形態(例えば、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸、ジアセテート-N,O-ヒドロキシルアミン、ジトリメチルシリル-N,O-ヒドロキシルアミン)で使用してもよく、その結果、所望のオキシムが形成される。ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸の使用は、反応を促進するために反応のpH調整が必要でない点、また溶媒が必要でないという点において、ヒドロキシルアミン塩を使用する標準的なオキシム調製法と比べて利点を有する。
式IVのオキシムを適切な活性化剤と反応させ、次いで加水分解することにより式Iの化合物が得られる。この工程における適切な活性化剤としては、例えば、無水酢酸とそれに続く塩化アセチル; または、無水酢酸とそれに続く臭化水素; または、無水酢酸と無水トリフルオロ酢酸との混合物とそれに続く臭化水素; または、無水トリフルオロ酢酸、無水ピバル酸(pivaloic anhydride)、任意のオルトエステル、任意のカルボナート、任意のスルホナート、ビルスマイヤー試薬、若しくは塩化シアヌルとそれに続くその対応する塩化物等価体(chloride equivalent)および/またはプロトン酸またはルイス酸が挙げられる。式IVにおけるR 置換基がアルキルである場合、好ましい活性化剤としては、無水酢酸に続いて塩化アセチル、塩化イソプロピルまたは塩化ブチリルが挙げられる。式IVにおけるR 置換基がハロゲンである場合、好ましい活性化剤としては、無水酢酸に続いて臭化水素が挙げられる。最終アニリン化合物Iを得るための、この活性化工程の結果である中間体の加水分解は、この工程に適した任意の従来の加水分解条件を使用して達成することが可能であり、前記条件は当業者が容易に理解することができる。ある好ましい実施態様は、エタノール中における塩酸の使用である。
【0009】
II. 好ましい R および Alk 置換基
式II、III、IV および I の化合物における好ましい R および Alk 置換基としては以下が挙げられる:
(A) R の好ましい定義:
(i) R は C1-3 アルキル、臭素または塩素を表す
(ii) R は C1-2 アルキル、臭素または塩素を表す
(iii) R は メチルまたは臭素を表す
(B) Alk の好ましい定義:
(i) Alk は C1-3 アルキルを表す
(ii) Alk はメチルを表す
さらなる実施態様として以下が挙げられる:
(i) R は C1-3 アルキル、臭素または塩素を表し; Alk は C1-3 アルキルを表す;
(ii) R は C1-2 アルキル、臭素または塩素を表し、Alk は C1-3 アルキルを表す; または
(iii) R はメチルまたは臭素を表し、Alk はメチルを表す
【0010】
III. 中間体
別の実施態様において、本発明は、中間体である式IVの化合物に関する:
【化3】
式中、R は C1-C6 アルキルまたはハロゲンを表し、Alk は C1-C6 アルキルを表す:
【0011】
式IVの好ましい実施態様:
(A) R の好ましい定義:
(i) R は C1-3 アルキル、臭素または塩素を表す
(ii) R は C1-2 アルキル、臭素または塩素を表す
(iii) R はメチルまたは臭素を表す
(B) Alk の好ましい定義:
(i) Alk は C1-3 アルキルを表す
(ii) Alk はメチルを表す
別の実施態様は、式IVの中間体(式中、R は C1-3 アルキル、臭素または塩素を表し; Alk は C1-3 アルキルを表す)に関する。別の実施態様は、式IVの中間体(式中、R は C1-2 アルキル、臭素または塩素を表し、Alk は C1-3 アルキルを表す)に関する。
【0012】
式IVの別の実施態様として以下の化合物が挙げられる:
【化4】
本発明の具体的な実施態様を以下の非限定的な合成例によりさらに説明する。
【実施例】
【0013】
合成例
実施例 1: 2-ブロモ-3-メトキシ フェニルアミンの合成
【化5】
【0014】
2-ブロモ-3-ヒドロキシ-シクロへキス-2-エノン(80.0 g、420 mmol)、次いでメタノール(300 mL)を機械撹拌反応器に加えた。次いで、この混合物にオルトギ酸トリメチル(186 mL、1.70 mol、4 eq)および硫酸(9 mL)を加えた。得られた混合物を、完了するまで2時間撹拌し、硫酸ヒドロキシルアミン(34.4 g、210 mmol、0.5 eq)を固体で加えた。混合物を40℃に加熱し、完全な変換がおこるまで同温度で撹拌した(2〜2.5時間)。その後、溶液を5℃に冷却し、飽和重炭酸ナトリウム(〜1100 g)によりpHを7に調整した。形成された沈殿物をろ過(フィルター 10 cm 直径、1.5 cm ケーキ厚、<1 分合計ろ過時間)により回収し、ヘプタン(200 mL)でリンスし、そして窒素流で4〜6 時間乾燥させて、50.8 g(55% 収率)の2-ブロモ-3-メトキシ-シクロへキス-2-エノン オキシムを得た。
上記のオキシム(30.4 g、138.2 mmol)を機械撹拌反応器に加えた。
次いで、事前に調製した無水酢酸 (15.5 mL)と無水トリフルオロ酢酸(TFAA)(98 mL、705 mmol、5.1 eq)の溶液、次いで臭化水素(AcOH中に30重量%、9 mL、26.5 mmol、0.2 eq)を反応器に加えた。60℃に設定されたジャケット温度によって温度を上昇させるとスラリーはすぐに均一になる。完了後(30〜45分)、反応混合物をEtOAc(300 mL)で希釈し、温度を5℃に下げた。次いで、飽和炭酸ナトリウムでpHを7に調整し、保護アニリンをEtOAc(2x100 mL)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を蒸留により濃縮した。クルードな2-ブロモ-3-メトキシ N-アシル化アニリンをそのまま次の工程で使用した。
上記のクルードな保護アニリンを変性エタノール(100 mL)に溶解し、濃HCl(100 mL)を加えた。得られた混合物を完了まで還流温度で6〜8時間加熱し、その後0℃に冷却した。形成された固体をろ過(フィルター 5 cm 直径、1.5 cm ケーキ厚、<1 分合計ろ過時間)により回収し、EtOAc(2x50 mL)、次いでヘプタン(50 mL)でリンスした。固体を窒素流で4〜6時間乾燥させ、21.2 g(オキシムからの合計収率65%)の上記化合物を得た。
M+1: 202.0
【0015】
実施例 2: 3-メトキシ-2-メチル フェニルアミンの合成
【化6】
【0016】
3-ヒドロキシ-2-メチル-シクロへキス-2-エノン(500 g、3.96 mol)を機械撹拌反応器に加えた。これにメタノール(1.35 L)、次いでオルトギ酸トリメチル(1.65 L、15.85 mol、4 eq)および硫酸(15 mL)を加えた。得られた混合物を完全になるまで2時間撹拌し、ヒドロキシルアミンサルフェート(275 g、3.96 mol、1 eq)を固形分として加えた。混合物を40℃に加熱し、同温度で完全に変換するまで撹拌した(2〜2.5 時間)。次いで、溶液を5℃に冷却し、飽和重炭酸ナトリウム(〜3 L)でpH7に調整した。形成された沈殿をろ過(フィルター 10 cm 直径、1.5 cm ケーキ厚、<3 分合計ろ過時間)により回収し、ヘプタン(400 mL)でリンスし、窒素流の下で4〜6時間乾燥させて560 g(92% 収率)の 3-メトキシ-2-メチル-シクロへキス-2-エノン オキシムを得た。
上記オキシム(20 g、129 mmol)を機械撹拌反応器に加え、温度30℃未満に維持しつつ、無水酢酸(50 mL)とピリジン(10.2 g、129 mmol、1 eq)の混合物を反応器に加えた。反応混合物を室温で45分間撹拌し、無水酢酸(20 mL)中の塩化アセチル(9.1 mL、10.1 g、129 mmol、1 eq)の溶液をゆっくりと加えた。反応混合物を100℃に加熱し、同温度で完全になるまで撹拌した(〜1時間)。クルードな 3-メトキシ-2-メチル ジアシル化アニリンをそのまま次の工程に使用した。
上記のクルードな保護アニリンに、変性エタノール(50 mL)および濃HCl(50 mL)を加えた。得られた混合物を、反応が完了するまで還流温度で6〜8時間加熱し、蒸留によりエタノールを除いた。得られた混合物を0℃に冷却し、同温度で2時間撹拌し、そして形成された固形物をろ過(フィルター 5 cm 直径、1.5 cm ケーキ厚、<1 分合計ろ過時間)により回収し、EtOAc(2x50 mL)、次いでヘプタン(50 mL)でリンスした。固形物を窒素流の下で4〜6時間乾燥させて18 g(82%)の表題化合物を得た。
M+1: 138.1