(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700916
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】高性能圧電セラミック
(51)【国際特許分類】
C04B 35/491 20060101AFI20150326BHJP
H01L 41/187 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
C04B35/49 A
H01L41/18 101D
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-123248(P2009-123248)
(22)【出願日】2009年5月21日
(62)【分割の表示】特願2000-510682(P2000-510682)の分割
【原出願日】1998年8月27日
(65)【公開番号】特開2009-179561(P2009-179561A)
(43)【公開日】2009年8月13日
【審査請求日】2009年6月22日
(31)【優先権主張番号】197 38 793.4
(32)【優先日】1997年9月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597165054
【氏名又は名称】セラムテック アクチエンゲゼルシャフト イノヴェイティヴ セラミック エンジニアリング
【氏名又は名称原語表記】CeramTec AG Innovative Ceramic Engineering
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】230100044
【弁護士】
【氏名又は名称】ラインハルト・アインゼル
(74)【復代理人】
【識別番号】100182545
【弁理士】
【氏名又は名称】神谷 雪恵
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ヘルケ
【審査官】
小川 武
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−330428(JP,A)
【文献】
特開平04−209762(JP,A)
【文献】
特公昭49−045118(JP,B1)
【文献】
特開昭57−160965(JP,A)
【文献】
特公昭54−034479(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/49−35/493
H01L 41/187
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化1】
[式中、
A
2+はアルカリ土類金属イオンであり、
B’はNaおよび/またはKであり、
B”およびMeはNb、TaまたはSb系列からの5価の金属であり、かつx、uおよびwは以下の意味を有する:
x=0.40〜0.55
u=0を上回り0.10まで
(w=0〜1質量%)]に相当し、かつ一般組成A
2+B’
0.251+B”
0.755+O
3を有する相応の鉛不含のペロブスカイトを三成分もしくは四成分の固溶体としてジルコン酸チタン酸鉛中に化学量論的に組み込み、その際原料は金属酸化物または金属炭酸塩の形で使用し、混合酸化物経路に従って進行させ、得られた成形体を焼結温度<1150℃で緻密に焼結することによって製造されたジルコン酸チタン酸鉛をベースとし、かつ、300℃を上回るキュリー温度を示す、圧電性セラミック材料。
【請求項2】
A2+はSr2+および/またはBa2+である、請求項1に記載の圧電性セラミック材料。
【請求項3】
B”およびMeはNbである、請求項1に記載の圧電性セラミック材料。
【請求項4】
一般式:
【化2】
[式中、
A
1+はNa
+および/またはK
+であり、
B
5+はNb、TaまたはSb系列からの5価の金属イオンであり、かつx、y、uおよびvは以下の意味を有する:
x=0.40〜0.55
y=0〜1.0
u、v=0を上回り0.05まで]に相当し、かつ一般組成A
1+B
5+O
3を、
パイロクロール型の相応のアルカリ土類金属ニオブ酸塩と組み合わせて有する相応の鉛不含のペロブスカイト
を四成分の固溶体としてジルコン酸チタン酸鉛中に化学量論的に組み込み、その際原料は金属酸化物または金属炭酸塩の形で使用し、混合酸化物経路に従って進行させ、得られた成形体を焼結温度<1150℃で緻密に焼結することによって製造されたジルコン酸チタン酸鉛をベースとし、かつ、300℃を上回るキュリー温度を示す、圧電性セラミック材料。
【請求項5】
B5+はNbである、請求項4に記載の圧電性セラミック材料。
【請求項6】
カチオンA2+は一定の濃度比のSr2+イオンとBa2+イオンとの組合せである、請求項1記載の圧電性セラミック材料。
【請求項7】
一定の濃度比のSr2+イオンとBa2+イオンとの組合せが、Sr0.7Ba0.3、Sr0.75Ba0.25またはSr0.8Ba0.2である、請求項6に記載の圧電性セラミック材料。
【請求項8】
カチオンA1+は一定の濃度比のK+イオンとNa+イオンとの組み合わせである請求項4記載の圧電性セラミック材料。
【請求項9】
一定の濃度比のK+イオンとNa+イオンとの組み合わせが、K0.4Na0.6、K0.45Na0.55、K0.5Na0.5、K0.55Na0.45またはK0.6Na0.4である、請求項8に記載の圧電性セラミック材料。
【請求項10】
式:
【化3】
に相当する請求項1記載の圧電性セラミック材料。
【請求項11】
式:
【化4】
に相当する請求項4記載の圧電性セラミック材料。
【請求項12】
一般組成A2+B’0.251+B”0.755+O3の相応の鉛不含のペロブスカイトまたは一般組成A1+B5+O3の相応の鉛不含のペロブスカイトを、パイロクロール型の相応のアルカリ土類金属ニオブ酸塩と組み合わせて、三成分または四成分の固溶体としてジルコン酸チタン酸鉛中に化学量論的に組み込み、その際原料は金属酸化物または金属炭酸塩の形で使用し、混合酸化物経路に従って進行させ、得られた成形体を焼結温度<1150℃で緻密に焼結することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の圧電性セラミック材料の製造方法。
【請求項13】
センサーのための請求項1から11までのいずれか1項記載の圧電性セラミック材料の使用。
【請求項14】
アクチュエーターのための請求項1から11までのいずれか1項記載の圧電性セラミック材料の使用。
【請求項15】
着火素子のための請求項1から11までのいずれか1項記載の圧電性セラミック材料の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機能的特性の優れた熱安定性および時間的安定性を特徴とするジルコン酸チタン酸鉛をベースとする圧電性セラミック材料に関する。
【背景技術】
【0002】
機能的特性の高い熱安定性および時間的安定性(高いキュリー温度、低い温度係数および低い老化速度)と一緒に高い圧電活性(piezoelectric activity)を有する材料はセンサーのため、特に自動車工学(ノッキングセンサー、回転速度センサー、逆転センサー(reversing sensor))で使用すべき圧電性セラミックのために必要である。
【0003】
大きな変形欠陥(deformation defect)および高いキュリー温度を有する圧電性セラミックは多層アクチュエーターの分野における開発の促進のために必要である。
【0004】
圧電性セラミック材料は従来、ジルコン酸鉛(PbZrO
3)およびチタン酸鉛(PbTiO
3)の固溶体(混晶)をベースとする組成物から製造していた。それぞれのイオンが原子価、イオン半径および化学結合の性質に関する前提条件を満たしている場合には、置換および/または限られた濃度での金属イオンの添加の結果としてベース系(base system)の種々の変性が可能である。
【0005】
単語の本来の意味での置換はPb
2+またはZr
4+およびTi
4+イオンと同価および類似のイオン半径のイオン、例えばBa
2+、Sr
2+、Mg
2+およびSn
4+との部分的な置換と解釈されるべきである。かかる置換の効果は、一方では圧電活性を増大させるが、他方では圧電性状態の熱的安定性を損なうことがある。
【0006】
本来のイオンの原子価とは異なる原子価を有するイオンでのドーピングによる基本組成物(basic composition)の変性は誘電特性および電気機械的特性の更なる多様化をもたらす。
【0007】
"ソフトナー"グループ("softener"group)からのイオンLa
3+、Bi
3+、Sb
5+、Nb
5+はベース系において供与体として作用し、かつ高い誘電率および高い電気機械的活性を特徴とするが、また高い誘電損および機械損ならびに強力な電界および機械負荷における特定の特性の依存も示す圧電性セラミックをもたらす。
【0008】
ジルコン酸チタン酸鉛をベースとする圧電性セラミックの安定化は"ハーデナー"グループ("hardener"group)からのイオンK
+、Fe
3+、Al
3+(これらのイオンは受容体として作用し、かつベース系のイオンとの相互作用において誘電性ロスおよび機械的ロスの低下に影響するが、誘電率、圧電活性および比抵抗の低下をもたらす)でのドーピングによってもたらされる。
【0009】
"ソフトナー"基からのイオンと"ハーデナー"基からのイオンとの組合せの置換の結果として、他方では圧電活性および高い誘電率を維持したままでジルコン酸チタン酸鉛をベースとする圧電性セラミックの安定性を向上させることは明らかに可能である。
【0010】
結論として、一般式:PbB’
1-αB"
αO
3[B’:5価または6価のカチオン、B":2価のカチオン(α=カチオンB’の原子価によって1/3または1/2)]を有する含鉛イオン錯体("錯体化合物")を部分的にイオン錯体Pb
2+(Zr
4+,Ti
4+)O
3と交換した多成分系によって圧電性セラミックの実際の適用に対する必要性の増加に応えるための試みがなされている。
【0011】
いわゆるリラクサー−強誘電体(relaxor-ferroelectrics)としても知られている1種以上の錯体化合物の置換の結果として、ペロブスカイト構造を有する単相の多成分系(例えば三成分または四成分の固溶体)が得られる。
【0012】
またペロブスカイト構造を有する鉛不含の化合物、例えばBiFeO
3、KNbO
3、NaNbO
3、Na
0.5Bi
0.5TiO
3による置換はジルコン酸チタン酸鉛セラミックの特性に改善をもたらす。
【0013】
前記の圧電性セラミックは(セラミック)強誘電体の大きなファミリーに属する。また鉛不含の組成物、例えば(K,Na)NbO
3、(Sr
1-xBa
x)Nb
2O
6もセラミック強誘電体として知られている。
【0014】
全体において、ジルコン酸チタン酸鉛の固溶体の、ベース系の多様な変性の結果として、多くの場合において各使用に適当な種々のトランスフォーマー機能(transformer function)に関して圧電性材料の誘電特性および電気機械的特性の規定を実現できる組成物の広範な多様性が存在する。
【0015】
[1]Eyraud,L.,Eyraud,P.,Mathieu,J.C.,Claudel,B."PZT型のセラミックの導電率および老化における両方のカチオン部位での同時の異原子価置換の効果(Effect of Simultaneous Heterovalent Substitutions on Both Cationic Sites on the Electrical Conductivity and Ageing of PZT Type Ceramics)"(Ferroelectrics
50 (1983) 103-1 10)、[2]Eyraud,L.,Eyraud,P.,Claudel,B."PZT型のセラミックの強誘電特性における両方のカチオン部位での同時の異原子価置換の影響(Influence of Simultaneous Heterovalent Substitutions in Both Cationic Sites on the Ferroelectric Properties of PZT Type Ceramics)"(J. Solid State Chem.
53 (1984) 266-272)、[3]Ohenassion,H.,Gonnard,P.,Troccaz,L.,Eyraud,L.,Eyraud,P."Characterisation de la stabilite d'un element piezoelectrique du type PZT sous compression uniaxiale rapide"(Revue Phys. Appl.
18 (1983) 479-486)、ならびに[4]Eyraud,L.,Eyraud,P.,Bauer,F."PZTセラミックおよび強誘電体の分野における現在の研究(Current Research in the Field of PZT Ceramics and Ferroelectric)"(Polymeers Adv. Cer. Mat.
1 (1986) 3, 223-231)から、一連の組成物:
【化1】
が知られている。
【0016】
固体組成物を、湿性の化学的プロセスにおいてシュウ酸塩混合沈殿(oxalate mixed precipitaton)によって従来の方法と異なる方法で製造した。これらの調査の目的は、異原子価置換基の原子価の補償の結果として、かつ結局は比較的優れた機械的負荷に関する機能的特性の安定化において非常に低い導電率を有する組成物の製造である。置換基の最適濃度は試行錯誤により見いだされ、かつ機械的負荷能に関して最も安定な組成物はZr
4+含有量x=0.53を有する配合物であると明らかになった。該組成物は[3]および[4]において特徴付けられている。これらの組成物に関する安定性の基準は機械的負荷に関する抵抗力である。キュリー温度、温度係数および老化速度についての詳細は挙げられていない。最適な焼結温度は1230℃として挙げられている。化合物を製造するために前記の研究で使用される湿性の化学的製造は相当の費用負担によってのみ工業的規模に変えることが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Eyraud,L.,Eyraud,P.,Mathieu,J.C.,Claudel,B."PZT型のセラミックの導電率および老化における両方のカチオン部位での同時の異原子価置換の効果(Effect of Simultaneous Heterovalent Substitutions on Both Cationic Sites on the Electrical Conductivity and Ageing of PZT Type Ceramics)"(Ferroelectrics 50 (1983) 103-1 10)
【非特許文献2】Eyraud,L.,Eyraud,P.,Claudel,B."PZT型のセラミックの強誘電特性における両方のカチオン部位での同時の異原子価置換の影響(Influence of Simultaneous Heterovalent Substitutions in Both Cationic Sites on the Ferroelectric Properties of PZT Type Ceramics)"(J. Solid State Chem. 53 (1984) 266-272)
【非特許文献3】Ohenassion,H.,Gonnard,P.,Troccaz,L.,Eyraud,L.,Eyraud,P."Characterisation de la stabilite d'un element piezoelectrique du type PZT sous compression uniaxiale rapide"(Revue Phys. Appl. 18 (1983) 479-486)
【非特許文献4】Eyraud,L.,Eyraud,P.,Bauer,F."PZTセラミックおよび強誘電体の分野における現在の研究(Current Research in the Field of PZT Ceramics and Ferroelectric)"(Polymeers Adv. Cer. Mat. 1 (1986) 3, 223-231)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の基礎をなす課題は、高い機械的(衝撃)負荷(ガス着火装置のため)の際に高い減極強度(depolarisation strength)を有し、かつ特に機能的特性の低い温度係数および老化速度、高いキュリー温度(センサーのため)ならびに大きな変形効果(deformation effect)(アクチュエーターのため)を有するジルコン酸チタン酸鉛をベースとする変性圧電性セラミックを製造することであった。この点において、前記の圧電性セラミックは慣用の混合酸化物経路(mixed oxide route)で合成し、かつ1150℃未満の温度で焼結できるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題は、請求項1または請求項2の特徴を有するジルコン酸チタン酸鉛をベースとする圧電性セラミック材料によって達成された。有利な発展は従属請求項に特徴付けられている。
【0020】
意想外にも、強誘電的に活性な化合物での部分的な置換によってジルコン酸チタン酸鉛(ペロブスカイト構造A
2+B
4+O
3を有する)の場合において材料の所望の安定化が達成でき、かつ同時に焼結温度の低下が可能であると立証された。
【0021】
本発明によれば、前記のことを実施するために、ジルコン酸チタン酸鉛(ペロブスカイト構造A
2+B
4+O
3の変性において自体公知のアルカリ土類金属Sr
2+、Ba
2+、アルカリ金属K
+、Na
+ならびに金属Nb
5+、Sb
5+、Ta
5+は、ペロブスカイト構造を有する異原子価イオンの組合せ(A
2+B
4+O
3に関する)のための一般的組成:
−A
1+B
5+O
3または
−A
2+B’
0.251+B"
0.755+O
3
および場合によりアルカリ土類ニオブ酸塩(Ba
1-xSr
x)
2Nb
2O
7(パイロクロール型)と組み合わせて有する鉛不含の化合物としての三成分または四成分の固溶体として化学量論的に組み込まれる。場合により、本発明による組成物の圧電活性を増大させるために、過剰の"ソフトナー"イオン(非化学量論<1質量%)によって加工することも可能である。
【0022】
前記のように本発明により形成される三成分または四成分の固溶体の一般式は
【化2】
である。
【0023】
更に、一定濃度比のSr
2+イオンとBa
2+イオンとの組合せ、有利には組合せSr
0.7Ba
0.3、Sr
0.75Ba
0.25またはSr
0.8Ba
0.2、特に有利には組合せSr
0.75Ba
0.25はタイプ1のカチオンA
2+を意味し、かつタイプ2のA
1+は一定濃度比のK
+、Na
+、有利には組合せK
0.4Na
0.6、K
0.45Na
0.55、K
0.5Na
0.5、K
0.55Na
0.45、K
0.6Na
0.4、特に有利には組合せK
0.5Na
0.5によって表すことができる。
【0024】
本発明によるタイプ1のセラミック材料は、x=0.40〜0.55、u=0〜0.10、(w=0〜1質量%)、Me
5+=Nb
5+、Ta
5+、Sb
5+である一般組成:A
2+B’
0.251+B"
0.755+O
3(アルカリイオンB’=K
+、Na
+と5価の金属イオンB"
5+=Nb、Ta、Sbとの組合せのアルカリ土類金属イオンBa
2+、Sr
2+の化合物)を有する複雑な鉛不含ペロブスカイトによるジルコン酸チタン酸鉛の変性によって得ることができる。
【0025】
本発明によるタイプ2は、5価の金属、例えば金属イオンNb
5+、Ta
5+、Sb
5+、有利にはNb
5+を有するアルカリ金属、有利にはKおよび/またはNaの一般的組成:A
1+B
5+O
3を、パイロクロール型のアルカリ土類ニオブ酸塩、有利にはx=0.40〜0.55、u
+v=0〜0.05、y=0〜1.0である(Ba
1-xSr
x)
2Nb
2O
7と組合せて有する複酸化物(ペロブスカイト)によるジルコン酸チタン酸鉛の変性によって得ることができる。
【0026】
意想外にも、本発明によるセラミック材料は機能的特性の優れた熱安定性および時間的安定性を特徴とすることが立証された。この点において、本発明によるセラミック材料は以下の安定性の基準を特徴とする:
−温度係数 TK
ε<3・10
-3K
-1
(−40〜+150℃) TK
k<1・10
-3K
-1
−老化速度 c
ε<1・10
-2/10年間
c
k<5・10
-3/10年間
−キュリー温度 T
c>300℃
−繰り返しの機械的負 ΔU/U<3%
荷の際の電位の変化
(1000回の衝撃後
に、Epot=30
mWs=11.8g
のボールの降下高さ2
50mm)
本発明による異原子価の置換基(電荷補償(charge compensation)を有するイオンの組合せ)を有する三成分および四成分の固溶体は化学量論的な単相組成物として全合成においていわゆる混合酸化物技術の慣用の経路によって製造することができる。
【0027】
意想外にも、前記のように製造されたセラミックは1150℃未満の温度で焼結されるので、PbOの蒸発は実質的に抑えられる。
【0028】
多層のアクチュエーターに関しても適当な、低い焼結温度、大きな膨張効果および高いキュリー温度を有する材料は本発明による材料を有する一定の組成範囲で使用することができる。
【0029】
本発明による材料は、特に機能的特性の低い老化速度および温度係数を特徴とし、従って特にセンサーのために適当である。
【0030】
繰り返しの機械的衝撃負荷によるその高い脱分極強度のため、本発明による材料は着火素子のためにも適当である。
【0031】
高い圧電活性を有する、本発明による安定化された圧電性セラミック材料は有利にはセンサー技術およびアクチュエーター技術のために、かつ一定の場合においては着火素子のために使用することができる。
【0032】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するものであり、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0033】
三成分固溶体[タイプ1]
例1:
以下の化合物を本発明により製造した:
【化3】
【0034】
前記のことを実施するために、金属酸化物、または金属炭酸塩もしくは金属ニオブ酸塩としての原料を化学量論的組成に従って秤量し、混合し、かつ10時間かけてボールミル中で適当な媒体中で粉砕した。引き続き混合物を乾燥させ、850℃の温度でか焼し、微細に粉砕し、噴霧乾燥器中で造粒し、次いで100Mpaの圧力下でプレスし、ディスク形状の試験試料を得た。次いで試験試料を滞留時間1時間で1120℃で緻密に焼結し、直径10mmおよび厚さ1mmの円形のディスクが得られた。
【0035】
温度100℃で、銀のスクリーン印刷ペーストを焼き付け、かつ5分間かけて電圧2.5kVで分極させることによって金属化した後に、機能的特性は前記のようにして得られた試験試料で達成された。前記のことを実施するために、中でも以下の測定装置を使用した:
静電容量(誘電率)およびDIN IEC 483に従って共振器測定法(resonator measuring process)により電気機械的特性k
pを測定するためのImpedance Analyser HP 4194 A
例1による試験試料に関して、以下の測定値が得られた:
ε
33T/ε
0 1989
tanδ 0.012
T
c 347.3℃
k
p 0.63
d
33 440・10
-12m/V
TK
ε 2.5・10
-3K
-1
TK
k −5.2・10
-4K
-1
c
ε −2.9・10
-3/10年間
c
k 1.7・10
-3/10年間
T
s 1120℃
例2:
化合物:
【化4】
を例1に記載したように製造した。
【0036】
例2による試験試料に関して、以下の測定値が得られた:
ε
33T/ε
0 2220
tanδ 0.015
T
c 331.1℃
k
p 0.63
d
33 475・10
-12m/V
TK
ε 1.9・10
-3K
-1
TK
k −5.9・10
-4K
-1
c
ε −9.4・10
-3/10年間
c
k 2.6・10
-3/10年間
T
s 1120℃
四成分の固溶体[タイプ2]
例3:
化合物:
【化5】
を例1に記載のように製造した。
【0037】
例3による試験試料に関して、以下の測定値が得られた:
ε
33T/ε
0 1926
tanδ 0.0125
T
c 347.5℃
k
p 0.64
d
33 452・10
-12m/V
TK
ε 3.0・10
-3K
-1
TK
k −5.6・10
-4K
-1
c
ε −6.2・10
-3/10年間
c
k 0.7・10
-3/10年間
T
s 1120℃