特許第5700922号(P5700922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5700922自動車の電子的な制御ユニットを作動するための方法
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  • 特許5700922-自動車の電子的な制御ユニットを作動するための方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700922
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】自動車の電子的な制御ユニットを作動するための方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/02 20060101AFI20150326BHJP
   F16H 59/44 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   F16H61/02
   F16H59/44
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2009-239681(P2009-239681)
(22)【出願日】2009年10月16日
(65)【公開番号】特開2010-107041(P2010-107041A)
(43)【公開日】2010年5月13日
【審査請求日】2012年9月25日
(31)【優先権主張番号】102008043389.6
(32)【優先日】2008年11月3日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】オリバー、ブッフホルト
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン、オレシュコ
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−164952(JP,A)
【文献】 特開2006−046214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/02
F16H 59/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの自動車構成要素を作動させるために設けられた変速機制御ユニットを作動するための方法であって、
非活性動作状態では、制御ユニットは、自動車の始動の際に、作動対象の自動車構成要素を作動させる活性動作状態に移行されるとともに、それによって、制御ユニット側の制御の基礎とされる自動車構成要素の実際の作動状態に対応して初期化され、
活性動作状態では、制御ユニットは、運転者による自動車点火装置の遮断によって自動車が停止したか否かという条件の成立を含む所定条件の成立時に、活性動作状態におけるよりも所要電力が少ないスタンバイ動作状態に移行され、
当該スタンバイ動作状態では、作動対象の自動車構成要素の動作状態がモニターされ、制御ユニットは、ある継続時間内に、自動車の再始動のための運転者の要求基準が存在するか否かという条件が成立したときは、初期化されることなく活性動作状態に移行されるが、該条件が成立せずに前記継続時間が経過したときは、スタンバイ動作状態におけるよりも所要電力が少ない非活性動作状態に移行される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記所定条件の成立は、運転者によるスタンバイ機能の活性化の投入操作が存在するか否かという条件の成立を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記継続時間は、作動要素を用いて、運転者によって調整可能である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記継続時間は、運転者が停止のために必要とする典型的な時間、及び/または、自動車停止の数によって、適合される
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記所定条件の成立は、自動車の電気バッテリーのシステム電圧がしきい値よりも大きいか否かという条件の成立を含む
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記継続時間は、自動車の電気バッテリーのシステム電圧に依存して、変更可能である
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記自動車構成要素が自動車変速機として構成されており、制御ユニットの活性動作状態からスタンバイ動作状態への移行の際、自動車変速機のアクチュエータの動作状態の制御ユニット側の変更が非活性とされる
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
制御ユニットの活性動作状態からスタンバイ動作状態への移行の際、警告機能が活性とされる
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1の上位概念部分に詳しく規定されたタイプに従う、電子的な制御ユニットを作動するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DE10317653A1から、自動車の内燃エンジンを制御するための制御ユニットの初期化のための方法が知られている。センサ装置の信号に依存して、発進要求の蓋然性(Startanforderungswahrscheinlichkeit)が検知される。更に、別のセンサ装置の信号に依存して、発進要求(Startanforderung)が検知される。
【0003】
検知された発進要求の蓋然性に依存して、自動車は、検査されて、必要であれば、転がり(Wegrollen)に対抗して安全が確保される。更に、内燃エンジンと駆動ホイールとの間のパワーフローの遮断が保証される。内燃エンジンは、電気モータによって始動され、制御ユニットが、当該内燃エンジンの位置(状態)が当該制御ユニットによって認識されるというように、当該内燃エンジンと同期する(協働する)。電気モータは、制御ユニットの内燃エンジンとの同期の後で、非活性とされる。同期された制御ユニットは、スタンバイモードに移動され、発進要求のために待機する。
【0004】
当該公知の方法では、制御ユニットは、発進要求に依存して行われる発進プロセスを特に迅速に実施可能とするために、運転者側の発進要求の提示の十分前に初期化されて、特には同期化もされる。発進要求の蓋然性は、例えば、好適なセンサによって検知される。高い発進要求の蓋然性は、自動車内で運転者を検知する際に、確認される。本当の発進要求は、スタータキーの回転あるいはスタータスイッチの操作によって、行われ得る。
【0005】
さらに、制御ユニットの内燃エンジンとの同期は、当該同期を既述するデータが何も保存されていない時にのみ行われる、ということが提案される。これによって、発進要求の蓋然性が繰り返し検知されるがそれらの間に実施の発進要求は行われない、という場合において、制御ユニットと内燃エンジンとの同期が新たに(重複的に)実施されたり、不要な電気モータの消耗や不要なエネルギー消費が生じること、が防止される。
【0006】
前述の公知の手順は、しかし、次のような欠点がある。すなわち、運転者側で自動車を停止して、引き続いて自動車から運転者が離れて、それに更に引き続いて運転者が自動車に乗り込んだ場合において、高い発進要求の蓋然性が検知される。このことは、制御ユニットに実施された同期を既述するデータが保存されている時を除いて、制御ユニットの内燃エンジンとの同期を始動させる。ここで、保存されているデータを介しては、しかし、制御装置との最近(最新)の同期以後の、可能性ある(ひょっとしての)内燃エンジンの動作状態変化を考慮することができない。従って、内燃エンジンの制御ユニット側の制御が、内燃エンジンの動作状態変化がある際、場合によって所望の大きさ(Umfang)で実施できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE10317653A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、短い始動時間で自動車の発進プロセスを実施可能である一方、制御ユニットに割り当てられた自動車構成要素の当該制御ユニット側の作動が、特に発進プロセス中に所望の大きさ(Umfang)で実施できる、というような自動車の電子的な制御ユニットを作動するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は、特許請求の範囲の請求項1に記載された特徴を有する方法によって解決される。
【0010】
少なくとも一つの自動車構成要素を作動させるために設けられていて、自動車の停止時に活性動作状態から非活性動作状態に移行される変速機制御ユニットを作動するための本発明による方法では、非活性動作状態では、制御ユニットは、活性動作状態におけるよりも所要電力が少なく、制御ユニットは、自動車の始動の際に、非活性動作状態から活性動作状態に移行され、それによって初期化される。
【0011】
本発明によれば、制御ユニットは、様々な自動車の運転状態パラメータに依存して、自動車の停止時に、ある継続時間とどまるべく、活性動作状態からスタンバイ動作状態に移行され、当該スタンバイ動作状態では、作動対象の自動車構成要素の動作状態がモニターされ、当該スタンバイ動作状態からは、制御ユニットは、自動車の始動の際に、初期化されることなく活性動作状態に移行可能であり、制御ユニットは、自動車が停止された状態において、前記継続時間の経過後に、非活性動作状態に移行される。
【0012】
本発明の方法によれば、電子的な制御ユニットの遅らされた遮断が可能とされる一方で、自動車ないしそのシステム構成要素の始動の際、短い走行停止ならびに不所望の遅延の後で制御ユニットの初期化が行われるということが簡潔かつコスト的に有利な態様で防止される。
【0013】
本発明による方法は、小包運送や郵便運送等のような運送用に用いられる自動車において、特に有利であることが分かった。なぜなら、当該自動車のそれぞれの短い中間停止後の始動の際の遅れは、とりわけ不便に感じられるからである。
【0014】
本発明による方法は、従来技術から知られた方法と比較して、更に以下のような利点がある。すなわち、電子的な制御ユニットを介して作動するべき(作動対象の)自動車構成要素の動作状態がモニターされ、可能性ある(ひょっとしての)自動車構成要素の動作状態変化が、自動車の再始動の際に、制御ユニットの初期化無しで、考慮され得る。従って、自動車構成要素の制御ユニット側の作動が、自動車の再始動の後、所望の大きさ(Umfang)で実施可能である。
【0015】
本発明による方法の有利な実施例では、制御ユニットは、運転者の要求基準(Fahrerwunschvorgabe)に依存して、スタンバイ動作状態に移行可能である。これにより、運転者は、スタンバイ機能の活性化を、その投入操作または解除操作を介して、手動ですることができる。
【0016】
本発明による方法を様々な動作状態特性に適合可能とするために、本発明による方法の更なる実施例では、前記継続時間が、運転者の要求基準(Fahrerwunschvorgabe)に依存して、変更可能である。この場合、制御ユニットのスタンバイ動作状態の活性状態の当該継続時間が、例えばスイッチのような作動要素を用いて、運転者によって調整可能である。これは、運転者が、当該継続時間を、手動で好適には段階的に調整できる、ということを意味する。例えば、0分、1分、2分、5分、あるいは、より長い継続時間に、調整できる、ということを意味する。
【0017】
本発明による方法の更に有利な実施例では、前記継続時間が、自動車動作評価(Fahrzeugbetriebsbewertung)によって、及び/または、自動車システム電圧(Bordnetzspannung)に依存して、適合される。この場合、例えば、運転者が中間停止のために必要とする典型的な時間、及び/または、自動車停止の数が、適合的に検出(認知)可能とされ、前記継続時間の選択のために利用可能とされる。また、不許容な自動車システム負荷(Bordnetzsbelastung)が、所要電力が少ない非活性の動作状態への制御ユニットの移行によって、簡単な態様で回避可能である。自動車システム電圧のモニタリングによって、前記継続時間は、例えば、自動車の電気バッテリー(elektrischen Speicher)の充電状態(Ladezustand)に対応して調整可能とされ、バッテリー装置は、深い消耗放電から保護可能となる。
【0018】
本発明による方法のある実施例では、制御ユニットは、自動車システム電圧に依存して、スタンバイ動作状態に移行可能である。この場合、制御ユニットは、自動車の停止時に危機的な自動車システム電圧を検知する際、スタンバイ動作状態には移行されず、非活性動作状態に移行される。
【0019】
制御ユニットのスタンバイ動作状態の間に、自動車の安全上危険な(sicherheitskritische)動作状態を回避可能とするために、本発明による方法の有利な実施例では、制御ユニットの活性動作状態からスタンバイ動作状態への移行の際、制御ユニット側の安全上危険な(sicherheitskritische)、自動車構成要素を作動するための機能が非活性とされる。
【0020】
これは、自動車構成要素が自動車変速機として構成される場合において、好ましくは、変速機装置のアクチュエータの制御ユニット側の作動が非活性とされる、ことを意味する。これにより、場合によっては安全上危険な自動車の動作状態を引き起こす自動車変速機の動作状態の制御ユニット側の変更が、回避される。
【0021】
本発明の更なる利点ないし有利な実施の形態が、特許請求の範囲の各請求項の記載、及び、図面を参照しつつ原理的に説明される実施の形態の記載、から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による方法の、概略的なフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
唯一の図面は、本発明による方法の、概略的なフローチャートを示している。
【0024】
図1には、自動車の制御ユニットないし変速機制御ユニットの作動のための方法の、極めて簡略化されたフローチャートが示されている。変速機制御ユニットは、自動車のパワートレインの変速機装置を制御するために設けられている。変速機装置は、オートマチック変速機として、あるいは、自動化されたマニュアル変速機として、形成され得る。
【0025】
さらに、変速機制御ユニットは、最少でほぼゼロの所要電力で特徴付けられる完全に遮断された動作状態から、自動車の始動によって、活性動作状態に移行可能である。
【0026】
このことは、変速機制御ユニットが、自動車の始動の際に、非活性動作状態から活性動作状態に移行され、その際に、ある初期化時間の間に初期化されることを意味する。変速機制御ユニットの初期化の間に、変速機装置の実際の動作状態が検知される。これは、変速機装置の制御ユニット側の作動(制御)の基礎とされる。
【0027】
さらに、制御ユニットは、自動車の動作状態に依存して、少なくともある継続時間(移行先に)とどまるべく、活性動作状態からスタンバイ動作状態に移行可能である。スタンバイ動作状態では、活性動作状態におけるよりも所要電力が少なく、非活性動作状態におけるよりは所要電力が多い。
【0028】
変速機制御ユニットが自動車の始動に基づいてスタンバイ動作状態から活性動作状態に移行される際には、変速機装置の機能的要求を満たす作動(制御)のための変速機制御ユニットの初期化は不要である。なぜなら、変速機装置の動作状態は、スタンバイ動作状態において、変速機制御ユニットによってモニタリングされており、変速機装置の可能性ある動作状態変化は検知されるからである。
【0029】
従って、変速機装置の実際の動作状態が、変速機制御ユニットの初期化無しで変速機装置の制御ユニット側の作動(制御)をするための基礎とされる。この場合、制御ユニットがスタンバイ動作状態から活性動作状態へ移行するために必要とする時間は、前記初期化時間よりも本質的に短い。
【0030】
図示されたフローチャートの第1工程S1の間、制御ユニットは、非活性動作状態ないし完全遮断状態にある。第1工程S1から第2工程S2(検証工程)に移行される。第2工程S2の間、自動車の始動のための運転者の要求基準が存在するか否か、例えば、運転者が自動車の点火装置を活性化したか否か、が検証される。第2工程S2の結果が否定的である場合、第1工程S1に戻る。一方、第2工程S2の結果が肯定的である場合、第3工程S3に移行される。第3工程S3では、制御ユニットが初期化されて、それに引き続いて、第4工程S4の間に、活性動作状態に移行される。
【0031】
第4工程S4に引き続く第5工程(第二検証工程)S5の間には、例えば自動車点火装置の遮断を介する、自動車の停止のための運転者の要求基準が存在するか否か、が検証される。当該第5工程の間に、運転者によって対応する要求基準が発せられたことが検知されると、第6工程(第三検証工程)に移行される。当該第6工程の間に、さらに、運転者の要求基準に基づいて制御ユニットがスタンバイ動作状態に移行すべきか否か、が検証される。第5工程S5の結果が否定的である場合、第4工程S4に戻る。
【0032】
原則的なものとして、第6工程S6の間に、変速機制御ユニットが、自動車の停止時において、ある継続時間(移行先に)とどまるべく活性動作状態からスタンバイ動作状態に移行すべきか否か、が検証される。スタンバイ動作状態においては、変速機装置の動作状態がモニタリングされる。また、自動車の再始動時には、制御ユニットが初期化無しで、スタンバイ動作状態から活性動作状態へと移行可能である。制御ユニットは、自動車の停止状態において、前記継続時間の経過の後で、非活性動作状態に移行される。非活性動作状態においては、変速機制御ユニットは、活性動作状態及びスタンバイ動作状態におけるよりも、より僅かな所要電力で足りる。
【0033】
第6工程S6の間に、例えば運転者側の要求基準に基づいて、変速機制御ユニットがスタンバイ動作状態へ移行することが不可能である、ということが検知された場合、第11工程S11に移行する。当該第11工程S11の間に、変速機制御ユニットは、非活性動作状態に移行される。引き続いて、当該工程S11から第1工程S1に戻る。
【0034】
第6工程S6の間に、自動車の停止の際、すなわち、例えば点火(始動)キーの引き抜きや対応する制御要素の操作による電気回路の遮断の際、運転者側の要求基準に基づいて、制御ユニットがスタンバイ動作状態へ移行すべきである、ということが検知された場合、さらに当該第6工程S6において、自動車システム電圧(Bordnetzspannung)が、当該自動車システム電圧のしきい値(所定の設定値)と比較される。実際の自動車システム電圧が自動車システム電圧のしきい値以下である場合、第6工程S6から第11工程S11に移行して、変速機制御ユニットは、低い所要電力で特徴付けられる非活性動作状態に移行される。引き続いて、第1工程S1に戻る。
【0035】
一方、実際の自動車システム電圧が自動車システム電圧のしきい値よりも大きい、ということが検知される場合、変速機制御ユニットは、第7工程S7の間に、スタンバイ動作状態のための準備がなされる。そして、第8工程S8の間に、活性動作状態からスタンバイ動作状態に移行される。
【0036】
引き続いて、第9工程(第四検証工程)S9の間に、変速機制御ユニットがスタンバイ動作状態に維持される前記継続時間が経過したか否か、が検証される。第9工程S9の結果が否定的である場合、第10工程(第五検証工程)S10に移行する。一方、第9工程S9の結果が肯定的である場合、第11工程S11に移行する。当該第11工程S11の間に、制御ユニットは、非活性動作状態に移行される。引き続いて、当該工程S11から第1工程S1に戻る。
【0037】
第10工程S10の間に、自動車の再始動のための運転者側の要求基準が存在するか否か、が検証される。第10工程S10の結果が肯定的である場合、第4工程S4に戻り、制御ユニットは活性動作状態に移行される。一方、第10工程S10の結果が否定的である場合、第8工程S8に戻る。
【0038】
それぞれの適用形態に対応して、自動車の他の制御ユニットに本発明が適用される可能性がある。例えば、エンジン制御ユニット、ABSシステムの制御ユニット、ESPシステムの制御ユニット、動力取出装置(例えば農業機械や建設機械などの動力取出装置)のための制御ユニット、等にも本発明は適用可能である。これらの制御ユニットは、本発明の方法に従って作動(制御)されることができ、そのことによって、自動車の停止(遮断)プロセスに続く所定の継続時間が経過する前の始動プロセスを当該制御ユニットの初期化に伴う待ち時間無しで最小限の始動時間で実施することができる。
【0039】
さらに、電子的な制御ユニットの機能(機能の群)(Funktionsumfang)も、それぞれの適用形態に対応して、変更される可能性がある。例えば、電子的な制御ユニットのスタンバイ動作状態での機能(機能の群)は、活性動作状態の間の機能(機能の群)のほんの一部のみである、という場合があり得る。もっとも、電子的な制御ユニットのスタンバイ動作状態での機能(機能の群)は、活性動作状態での機能(機能の群)と同一であってもよい。
【0040】
制御ユニットの機能(機能の群)は、スタンバイ動作状態において付加的に活性となる機能を有していてもよい。そのような機能は、さらに、制御ユニットが活性動作状態である時に、非活性となる機能であってもよい。例えば、制御ユニットがスタンバイ動作状態に移行する際、警告機能が活性とされ得る。これにより、運転者は、可能性ある安全上危険な運転行為の際に、そのことに注意を向けられて、対処策が促される。あるいは、自動的に当該対処策が実施されて、自動車の安全上危険な動作状態が回避されてもよい。
図1