特許第5700928号(P5700928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5700928
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】吸水性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/02 20060101AFI20150326BHJP
   C08K 5/20 20060101ALI20150326BHJP
   C08K 9/04 20060101ALI20150326BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   C08L33/02
   C08K5/20
   C08K9/04
   B01J20/26 D
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2009-270795(P2009-270795)
(22)【出願日】2009年11月27日
(65)【公開番号】特開2011-111571(P2011-111571A)
(43)【公開日】2011年6月9日
【審査請求日】2012年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104814
【氏名又は名称】クニミネ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000192073
【氏名又は名称】株式会社モリタホールディングス
(73)【特許権者】
【識別番号】398027218
【氏名又は名称】昭栄薬品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100131288
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 尚祐
(72)【発明者】
【氏名】窪田 宗弘
(72)【発明者】
【氏名】黒坂 恵一
(72)【発明者】
【氏名】溝田 千尋
(72)【発明者】
【氏名】坂本 直久
(72)【発明者】
【氏名】吉見 和夫
【審査官】 細井 龍史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−106402(JP,A)
【文献】 特公平04−058840(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00− 13/08
B01J 20/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド又はN−メチルピロリドン30〜80質量%、ベントナイトをベントナイトの陽イオン交換容量の0.5〜1.5倍当量の、ヒドロキシエチル基又はオキシエチレン基を有する第四級アンモニウム塩で処理した有機化ベントナイトをそのベントナイト成分量で表して2〜6質量%、およびアクリル酸塩系吸水性樹脂10〜60質量%を含有する、チクソトロピー性を有する吸水性樹脂組成物。
【請求項2】
前記アクリル酸塩系吸水性樹脂は、ポリアクリル酸ナトリウムを含有することを特徴とする請求項1記載の吸水性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性樹脂組成物に関する。詳しくは、水溶性有機物、有機化ベントナイト、および吸水性樹脂からなり、吸水性樹脂が安定分散された、チクソトロピー性を有する吸水性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
吸水性樹脂は各種分野に用いられている。例えば、紙おむつ、生理用品、電力・通信ケーブルなどの止水剤や止水テープ、ペットシート、農園芸用土壌改良剤、蓄冷剤などの保水剤等の用途がある。しかしながら、これらに用いられる吸水性樹脂は通常は粉体であることから飛散による作業環境の悪化、吸水時のままこの形成、吸湿性であるために保管状況によっては品質が劣化しやすいといった問題点があった。
【0003】
これらの問題点を解決する為に吸水性樹脂をスラリー状にすることが提案されている。特許文献1ではテトラエチレングリコール等の水溶性有機物と水の混合物を用いた吸水性樹脂スラリー、特許文献2ではポリエチレングリコール等の有機溶媒にソルビタン系非イオン界面活性剤を添加し、その後に吸水性樹脂を混合した吸水性樹脂スラリーを提案している。また、特許文献3にはポリエチレングリコール、グリセリン、なたね油等の不活性有機液体に有機処理粘土、吸水性樹脂を混合してなる逸泥防止剤が提案されている。しかしながらいずれも短期間での樹脂の沈降、ケーキの固化がみられ、実用上不十分であった。
この問題点を解決する方法として特許文献4では石油系炭化水素に界面活性剤、微粉末状吸水性樹脂、微粉末シリカ、有機ベントナイトを用いた油性分散液を提案している。しかし、特許文献4に記載の分散液は樹脂の分散安定性はみられるものの、高粘性であることから、吸水性樹脂組成物を噴射して用いるような用途には、十分に対応できるものでなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平−65186号公報
【特許文献2】特開平2−245062号公報
【特許文献3】特公平4−58840号公報
【特許文献4】特開平11−092565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、使用時における分散溶液の粘性が低く、且つ使用前に長期間放置しておいた場合においても、溶媒中における吸水性樹脂が沈降することのない吸水性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意検討した結果、特定の有機溶媒に有機化ベントナイト、吸水性樹脂を分散させることで樹脂の分散安定性が良好で、かつチクソトロピー性を持つ吸水性樹脂組成物としうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、
(1)N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド又はN−メチルピロリドン30〜80質量%、ベントナイトをベントナイトの陽イオン交換容量の0.5〜1.5倍当量の、ヒドロキシエチル基又はオキシエチレン基を有する第四級アンモニウム塩で処理した有機化ベントナイトをそのベントナイト成分量で表して2〜6質量%、およびアクリル酸塩系吸水性樹脂10〜60質量%を含有する、チクソトロピー性を有する吸水性樹脂組成物、
(2)前記アクリル酸塩系吸水性樹脂は、ポリアクリル酸ナトリウムを含有することを特徴とする(1)に記載の吸水性樹脂組成物、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸水性樹脂組成物は、使用前に長期間放置しておいた場合にも、チクソトロピー性を有するため、溶媒中における吸水性樹脂が沈降することがなく、吸水性樹脂の分散安定性が極めて優れ、且つ使用時にせん断応力を加えることで分散液は流動性を回復し、すなわち粘性が低くなることで取り扱い性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】試験例2の実施例1の流動解析結果を示すグラフである。
図2】試験例2の実施例2の流動解析結果を示すグラフである。
図3】試験例2の実施例3の流動解析結果を示すグラフである。
図4】試験例2の比較例1の流動解析結果を示すグラフである。
図5】試験例2の比較例2の流動解析結果を示すグラフである。
図6】試験例2の比較例3の流動解析結果を示すグラフである。
図7】試験例2の比較例4の流動解析結果を示すグラフである。
図8】試験例2の比較例5の流動解析結果を示すグラフである。
図9】試験例2の比較例6の流動解析結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(アミド基を有する水溶性有機物)
本発明に用いられるアミド基を有する水溶性有機物とは、溶媒として用いるため、常温・常圧(例えば、20℃、101kPa)では液状のものである。具体的には、例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、N−メチルピロリドンが挙げられ、N−メチルホルムアミドが好ましい。
本発明の吸水性樹脂組成物中、アミド基を有する水溶性有機物の含有量は、好ましくは30〜80質量%、さらに好ましくは40〜70質量%、より好ましくは50〜60質量%である。また、本発明の吸水性樹脂組成物は、上記アミド基を有する水溶性有機物との相溶性のある有機溶媒により希釈して用いることも可能である。
【0011】
(有機化ベントナイト)
本発明に用いられるベントナイトは、シリカとアルミナを主成分とする層状ケイ酸塩鉱物の1種であるスメクタイトを主成分とするもので、スメクタイトからなるものが好ましい。スメクタイトとしては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト、サポナイトが好ましく、サポナイトが特に好ましい。合成サポナイトとしては、例えば、スメクトンSA(クニミネ工業(株)製)として市販されている。本発明に用いられる有機化ベントナイトは、スメクタイトの層間に有機化剤を入れ込んだものである。この有機化ベントナイトは市販のものでもよいが有機化合物(ベントナイトの水分散体など)をベントナイトのスメクタイト層間に導入したのち、この処理ベントナイトを分離して調製することもできる。
【0012】
ベントナイトの有機化処理に使用される有機化剤には、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、イミダゾリウム塩、及びピリジニウム塩があるが、特に第四級アンモニウム塩が好ましい。
また、有機化剤の特性として側鎖に極性を有するもの、例えば、ヒドロキシルエチル基、オキシエチレン基を有するものがさらに好ましく、塩化ポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム、塩化オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムがより好ましい。
【0013】
有機化によって得られる有機化ベントナイトの量は、同じベントナイト量であっても、有機化剤の分子量に依存して変化する。本発明で用いる有機化ベントナイトは、有機化剤の処理量が、ベントナイトの陽イオン交換容量の好ましくは0.5〜1.5倍当量、さらに好ましくは0.8〜1.3倍当量、より好ましくは1.0〜1.2倍当量のものである。処理量が多すぎると未反応有機化剤が多くなりチキソトロピー性が小さくなり、少なすぎると処理量が不足し、分散安定性が低くなる。
【0014】
本発明の吸水性樹脂組成物中の有機化ベントナイトの量は、その有機化ベントナイト中のベントナイト成分(未処理のベントナイトに相当)量で表して、2〜6質量%、より好ましくは2.4〜5質量%である。この有機化ベントナイトの量が多すぎると粘性が高くなり、スラリーとしての取扱いが困難になり、少なすぎると吸水性樹脂組成物中の吸水性樹脂が沈降、分離しやすくなる。
【0015】
(吸水性樹脂)
本発明に用いる吸水性樹脂については、特に限定はされないが、例えば、ポリアクリル酸(塩)架橋体、ポリアクリルアミド、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合物の加水分解物、カルボキシメチルセルロース架橋体、アクリル酸(塩)−ビニルアルコール共重合物、ポリオキシエチレン架橋体等が挙げられ、これらの中から、目的に合った吸水能、ゲル径、ゲル強度の市販品を適宜選定して使用することができる。吸水性樹脂は好ましくは粉末状で用いられる。
【0016】
その中でも、ポリアクリル酸塩系を含有することが好ましく、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体が特に好ましい。ポリアクリル酸ナトリウム架橋体は現在、市場に最も多く使用されているタイプの物である。通常その平均粒径は20〜1000μmであり、粒子形状は球形、不定形、造粒体の物がある。この中で特に20〜50μmの粒子のものが溶媒中での吸水性樹脂の沈降防止をより抑制する効果が大であり好適である。市販のものとしては、例えばサンフレッシュST−500MPSA(サンダイヤポリマー(株)製)を挙げることができる。
【0017】
樹脂組成物中の吸水性樹脂の含有量は、10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がさらに好ましい。吸水性樹脂の量が多すぎると分散液中における樹脂の分散安定性が悪くなり、樹脂の沈降或いは固いケーキが生成する傾向が大きくなり、一方、樹脂の量が少なすぎると樹脂の分散安定性は良くなるが、吸水性樹脂分散液としての性能が低下し、好ましくない。粉末状吸水性樹脂は、最大粒径が好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは200μm以下で、平均粒径が好ましくは500μm以下、さらに好ましくは100μm以下のものを使用するのがよい。
【0018】
本発明の樹脂組成物は、通常の攪拌機を用いて、アミド基を有する水溶性有機物と、有機化ベントナイトからなる混合物に、吸水性樹脂、好ましくは粉末状の吸水性樹脂を混合・分散し作製することができる。
本発明の吸水性樹脂組成物は、安定分散液であり、チクソトロピー性を有する。チクソトロピー性は、通常の回転粘度計や粘弾性流体測定用のレオメーターを用いて算出することができ、チクソトロピー性を有すると、剪断速度を横軸に、剪断応力を縦軸にプロットし、得られる剪断速度を上昇させたときの流動曲線と、下降させたときの流動曲線が、異なり、一つのループを描く。このヒステリシスループの面積が大きいほどチクソトロピー性が高い。
【0019】
本発明の吸水性樹脂組成物は、使用前に長期間放置しておいた場合にも、チクソトロピー性が高いため、溶媒中における吸水性樹脂が沈降することがなく、吸水性樹脂の分散安定性が極めて優れ、且つ使用時にせん断応力を加えることで分散液は流動性を回復し、すなわち粘性が低くなることで取り扱い性に優れている。また、粘性が低くなるので噴射性が良い。
【0020】
安定分散液である本発明の吸水性樹脂組成物は、水溶性有機物を溶媒として使っているため吸水性樹脂本来の吸水能力を低下させることはない。さらに液体状にすることによりその取り扱い性、搬送性、噴射性が改良されている。主に土木工事用滑剤、止水剤、及び建築用結露防止塗料等に好適に利用できる。
【実施例】
【0021】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、表1に実施例および比較例に用いられた有機化ベントナイトにおける、スメクタイトと有機化剤を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
スメクトンSA:合成サポナイト
エソカードC/25:塩化ポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム
エソカードO/12:塩化オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム
アーカード2HP:塩化ジアルキルジメチルアンモニウム
【0024】
実施例1
N−メチルホルムアミド(関東化学(株)製)、表1の有機化ベントナイトBt−1、サンフレッシュST−500MPSAを表2の含有比率とし、羽根付攪拌機にて、25℃、500rpmで攪拌し、分散させた組成物を得た。
【0025】
実施例2
実施例1と同じ原料を用い、有機化ベントナイトBt−1の含有比を表2にあるようにする以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0026】
実施例3
実施例1の有機化ベントナイトBt−1の替わりに有機化ベントナイトBt−2を使用し、含有比を表2にあるようにする以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0027】
比較例1
実施例1の有機化ベントナイトBt−1の替わりに有機化していないBt−aを表2の含有比において使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0028】
比較例2
実施例1と同じ原料を用い、有機化ベントナイトBt−1の含有比を表2にあるようにする以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0029】
比較例3
実施例1の有機化ベントナイトBt−1の替わりに有機化ベントナイトBt−3を使用し、含有比を表2にあるようにする以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0030】
比較例4
流動パラフィン(関東化学(株)製)とサンフレッシュST−500MPSAを表2の含有比率(60:40)とし、羽根付攪拌機にて攪拌し、分散させた組成物を得た。
【0031】
比較例5
油系増粘剤としてLIR−50(クラレ社製)を12質量%使用し、表2にある含有比で作製した以外は比較例4と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0032】
比較例6
比較例5のLIR−50に代えて、PIONIER GEL 12PAO(マツモト公商社製)を表2で示す含有比で使用した以外は比較例6と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0033】
【表2】
【0034】
なお、各吸水性樹脂組成物100質量部あたりの正味のベントナイト量(未処理のベントナイト量:質量部)を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
試験例1
上記実施例1〜3及び比較例1〜6までの組成物各50gをスクリュー管瓶に移し、室温にて静置させた。3日後、3ヶ月後の試料を肉眼にて観察し、分離の有無より安定性の判断を実施し、その結果を表4に示した。
【0037】
試験例2
実施例1〜3及び比較例1〜6までの試料について、粘弾性測定装置(Rheometrics社製、RDA−II)にてコーンプレート(直径:25mm、コーン角:0.1rad)を使用し、レオロジー特性を測定した。なお、作製後、一夜後の試料を用いた。試料履歴を揃えるために、せん断速度100s−1にて5分間のせん断処理を実施し、その後5分間静置した。測定は30秒間で0s−1から100s−1までせん断速度を上昇させ、その後30秒間で100s−1から0s−1までせん断速度を下降させ、実施した。得られたせん断応力とせん断速度との関係から上昇・下降曲線を求めた。測定結果は図1〜9に示した。なお、図1から順に、実施例1〜3、比較例1〜6の試料の測定結果を表す。図1〜9中、横軸はせん断速度(単位:s−1)、縦軸はせん断応力(単位:Pa)である。また、図中、●は上昇過程、○は下降過程を表わす。図1〜6では、上昇過程のプロットの方向を矢印1で示し、下降過程のプロットの方向を矢印2で示した。それぞれの一連のプロットにより、流動曲線のグラフが形成されたものとみなされる。
【0038】
さらに、グラフ形状の観察し、ヒステリシスループが全領域にわたり観察されるものを○、一部領域のみで観察されるものを△、観察されないものを×と評価した。
また、流動曲線により形成されたループ面積の算出、cassonプロットにより各試料の降伏値を求めた。また、粘性が大きく異なる各試料においてヒステリシスループのグラフ形状と面積とを比較できるようにループ面積[Pa×s−1]を100s−1でのせん断応力[Pa]にて割ることにより各試料においてループ面積を標準化した。
標準化ループ面積=ループ面積/せん断応力(100s−1
以上の結果を表4に示した。
【0039】
【表4】
【0040】
表4からわかるように、ヒステリシスループが観察された試料において分散液の安定性が大きいことがわかる。特に標準化ループ面積が11以上において安定性が確認された。また、有機化ベントナイトの種類も実施例1、2、3、比較例3を比較して明らかなように極性を有する有機化剤において安定性、チクソトロピー性が大きいことがわかる。図4より、有機化していないベントナイトの比較例1ではチクソトロピー性が観察されなかったことがわかる。図7、8、9のように原点を通る直線的なグラフ形状の試料に関してはニュートン流体として観察され、比較例5のような短期間の分散安定性は油系増粘剤による粘性の高さのみに起因していることがわかる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9