【実施例】
【0021】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、表1に実施例および比較例に用いられた有機化ベントナイトにおける、スメクタイトと有機化剤を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
スメクトンSA:合成サポナイト
エソカードC/25:塩化ポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム
エソカードO/12:塩化オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム
アーカード2HP:塩化ジアルキルジメチルアンモニウム
【0024】
実施例1
N−メチルホルムアミド(関東化学(株)製)、表1の有機化ベントナイトBt−1、サンフレッシュST−500MPSAを表2の含有比率とし、羽根付攪拌機にて、25℃、500rpmで攪拌し、分散させた組成物を得た。
【0025】
実施例2
実施例1と同じ原料を用い、有機化ベントナイトBt−1の含有比を表2にあるようにする以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0026】
実施例3
実施例1の有機化ベントナイトBt−1の替わりに有機化ベントナイトBt−2を使用し、含有比を表2にあるようにする以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0027】
比較例1
実施例1の有機化ベントナイトBt−1の替わりに有機化していないBt−aを表2の含有比において使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0028】
比較例2
実施例1と同じ原料を用い、有機化ベントナイトBt−1の含有比を表2にあるようにする以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0029】
比較例3
実施例1の有機化ベントナイトBt−1の替わりに有機化ベントナイトBt−3を使用し、含有比を表2にあるようにする以外は実施例1と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0030】
比較例4
流動パラフィン(関東化学(株)製)とサンフレッシュST−500MPSAを表2の含有比率(60:40)とし、羽根付攪拌機にて攪拌し、分散させた組成物を得た。
【0031】
比較例5
油系増粘剤としてLIR−50(クラレ社製)を12質量%使用し、表2にある含有比で作製した以外は比較例4と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0032】
比較例6
比較例5のLIR−50に代えて、PIONIER GEL 12PAO(マツモト公商社製)を表2で示す含有比で使用した以外は比較例6と同様の操作を行い、組成物を得た。
【0033】
【表2】
【0034】
なお、各吸水性樹脂組成物100質量部あたりの正味のベントナイト量(未処理のベントナイト量:質量部)を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
試験例1
上記実施例1〜3及び比較例1〜6までの組成物各50gをスクリュー管瓶に移し、室温にて静置させた。3日後、3ヶ月後の試料を肉眼にて観察し、分離の有無より安定性の判断を実施し、その結果を表4に示した。
【0037】
試験例2
実施例1〜3及び比較例1〜6までの試料について、粘弾性測定装置(Rheometrics社製、RDA−II)にてコーンプレート(直径:25mm、コーン角:0.1rad)を使用し、レオロジー特性を測定した。なお、作製後、一夜後の試料を用いた。試料履歴を揃えるために、せん断速度100s
−1にて5分間のせん断処理を実施し、その後5分間静置した。測定は30秒間で0s
−1から100s
−1までせん断速度を上昇させ、その後30秒間で100s
−1から0s
−1までせん断速度を下降させ、実施した。得られたせん断応力とせん断速度との関係から上昇・下降曲線を求めた。測定結果は
図1〜9に示した。なお、
図1から順に、実施例1〜3、比較例1〜6の試料の測定結果を表す。
図1〜9中、横軸はせん断速度(単位:s
−1)、縦軸はせん断応力(単位:Pa)である。また、図中、●は上昇過程、○は下降過程を表わす。
図1〜6では、上昇過程のプロットの方向を矢印1で示し、下降過程のプロットの方向を矢印2で示した。それぞれの一連のプロットにより、流動曲線のグラフが形成されたものとみなされる。
【0038】
さらに、グラフ形状の観察し、ヒステリシスループが全領域にわたり観察されるものを○、一部領域のみで観察されるものを△、観察されないものを×と評価した。
また、流動曲線により形成されたループ面積の算出、cassonプロットにより各試料の降伏値を求めた。また、粘性が大きく異なる各試料においてヒステリシスループのグラフ形状と面積とを比較できるようにループ面積[Pa×s
−1]を100s
−1でのせん断応力[Pa]にて割ることにより各試料においてループ面積を標準化した。
標準化ループ面積=ループ面積/せん断応力(100s
−1)
以上の結果を表4に示した。
【0039】
【表4】
【0040】
表4からわかるように、ヒステリシスループが観察された試料において分散液の安定性が大きいことがわかる。特に標準化ループ面積が11以上において安定性が確認された。また、有機化ベントナイトの種類も実施例1、2、3、比較例3を比較して明らかなように極性を有する有機化剤において安定性、チクソトロピー性が大きいことがわかる。
図4より、有機化していないベントナイトの比較例1ではチクソトロピー性が観察されなかったことがわかる。
図7、8、9のように原点を通る直線的なグラフ形状の試料に関してはニュートン流体として観察され、比較例5のような短期間の分散安定性は油系増粘剤による粘性の高さのみに起因していることがわかる。