(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
古紙再生処理系を構成する複数の処理部のうちの一つの処理部をなす脱墨部が、脱墨処理を担う脱墨槽と、脱墨槽内の液面上に泡立った泡沫を可動ブレードで押し出して脱墨槽の泡沫排出口の開口縁から溢流させるブレード部と、前記泡沫が泡沫排出口の開口縁から溢流して来る受泡部と、槽内水位が泡沫排出口の開口縁の高さを越えるメンテナンス水位に達したことを検出するメンテナンス水位検出部を有し、各処理部を制御する制御部が、メンテナンス時にブレード部を制御して可動ブレードで脱墨槽の泡沫排出口を閉鎖する状態で脱墨槽内に注水し、槽内水位がメンテナンス水位に達したことをメンテナンス水位検出部が検出したときに、可動ブレードを移動させて脱墨槽の泡沫排出口を開放して脱墨槽内に貯留する槽内液を泡沫排出口から放出させるメンテナンス制御機能部を有することを特徴とする古紙再生処理装置。
脱墨部は、脱墨槽の内部に散気手段を備え、制御部のメンテナンス制御機能部は、メンテナンス時に散気手段によって脱墨槽の槽内液中に気泡を発生させながらメンテナンス水位まで注水させることを特徴とする請求項1に記載の古紙再生処理装置。
古紙再生処理系を構成する処理部の一つをなす抄紙部と、抄紙部で生じる白水をメンテナンス時に脱墨槽に注水する洗浄用水供給系を有することを特徴とする請求項1に記載の古紙再生処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、製紙機の運転終了後のメンテナンス時においては、脱墨槽内を満水状態にして槽内に配置した散気手段をなすエアストンから散気して気泡をさせ、槽内液面上に泡立つ泡沫を槽外へ溢れ出させることにより洗浄を行なっている。
【0007】
しかしながら、脱墨槽の泡沫排出口の開口縁から槽外へ溢流する泡沫に伴って槽外へ流れ出る繊維等が泡沫排出口に続く槽外流路の内壁面に付着し、溢れ出す泡沫では付着した繊維を洗い流すことは困難であった。
【0008】
また、製紙機の運転終了後のメンテナンス時においては、上水を用いて脱墨槽内を洗浄しており、上水の節水が課題であった。
本発明は、上記した課題を解決するものであり、メンテナンス時に適当量の水量で槽内液を脱墨槽の泡沫排出口から放出して壁面に付着した繊維を洗い流すことができる古紙再生処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の古紙再生処理装置は、古紙再生処理系を構成する複数の処理部のうちの一つの処理部をなす脱墨部が、脱墨処理を担う脱墨槽と、脱墨槽内の液面上に泡立った泡沫を可動ブレードで押し出して脱墨槽の泡沫排出口の開口縁から溢流させるブレード部と、前記泡沫が泡沫排出口の開口縁から溢流して来る受泡部と、槽内水位が泡沫排出口の開口縁の高さを越えるメンテナンス水位に達したことを検出するメンテナンス水位検出部を有し、各処理部を制御する制御部が、メンテナンス時にブレード部を制御して可動ブレードで脱墨槽の泡沫排出口を閉鎖する状態で脱墨槽内に注水し、槽内水位がメンテナンス水位に達したことをメンテナンス水位検出部が検出したときに、可動ブレードを移動させて脱墨槽の泡沫排出口を開放して脱墨槽内に貯留する槽内液を泡沫排出口から放出させるメンテナンス制御機能部を有することを特徴とする。
【0010】
上記した構成により、古紙再生処理装置の運転終了後のメンテナンス時には、可動ブレードで脱墨槽の泡沫排出口を閉鎖する状態で脱墨槽内に貯留した槽内液を泡沫排出口から放出させることにより、メンテナンス時に適当量の水量で槽内液を脱墨槽の泡沫排出口から放出して壁面に付着した繊維等を洗い流すことができる。
【0011】
また、本発明の古紙再生処理装置において、脱墨部は、脱墨槽の内部に散気手段を備え、制御部のメンテナンス制御機能部は、メンテナンス時に散気手段によって脱墨槽の槽内液中に気泡を発生させながらメンテナンス水位まで注水させることを特徴とする。
【0012】
上記した構成により、槽内液中を気泡が上昇して槽内液中に上向流が発生し、脱墨槽内の槽内面を全体的に洗浄することができる。
また、本発明の古紙再生処理装置において、脱墨部は、
受泡部の上方に消泡溶液を噴射する消泡溶液噴射部を有し、制御部のメンテナンス制御機能部は、前記泡沫を受泡部へ押し出す工程の終端位置よりも消泡溶液噴射部に近接するセルフ洗浄位置で待機する可動ブレードに向けて消泡溶液噴射部から消泡溶液を噴射させることを特徴とする。
【0013】
上記した構成により、消泡溶液噴射部から噴射する消泡溶液をセルフ洗浄位置で待機する可動ブレードで反射させて消泡溶液噴射部に噴きかけることで、消泡溶液噴射部を洗浄して噴射口が繊維で詰まることを防止できる。
【0014】
また、本発明の古紙再生処理装置において、脱墨部は、
前面で前記泡沫を受泡部へ押し出す工程の始端位置にある可動ブレードの裏面に向けて洗浄液を噴射する洗浄液噴射部を有することを特徴とする。
【0015】
上記した構成により、可動ブレードの裏面する泡沫および繊維を洗い流すことができる。
また、本発明の古紙再生処理装置において、ブレード部の可動ブレードは、泡沫排出口の開口縁に当接する部位が水密性を有することを特徴とする。
【0016】
上記した構成により、可動ブレードで脱墨槽の泡沫排出口を閉鎖する際に、可動ブレードのシール性能を確保できる。
また、本発明の古紙再生処理装置において、古紙再生処理系を構成する処理部の一つをなす抄紙部と、抄紙部で生じる白水をメンテナンス時に脱墨槽に注水する洗浄用水供給系を有することを特徴とする。
【0017】
上記した構成により、古紙再生処理装置の運転終了後のメンテナンス時においては、白水を用いて脱墨槽内を洗浄することで節水を実現できる。
また、本発明の古紙再生処理装置において、洗浄用水供給系は、抄紙部で生じる白水を貯留する白水タンクを有し、白水タンクが上水供給源に連通していることを特徴とする。
【0018】
上記した構成により、古紙再生処理装置の運転終了後のメンテナンス時においては、白水を用いて脱墨槽内を洗浄することと、上水を用いて洗浄することとをユーザーが脱墨槽の汚れの度合いに応じて任意に使い分けることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、メンテナンス時に適当量の水量で槽内液を脱墨槽の泡沫排出口から放出して壁面に付着した繊維を洗い流すことができ、節水を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1〜
図3、
図18において、古紙再生処理装置1は、使用済みの古紙2(故紙)を細断した紙材から再生紙4を製造するものであり、古紙再生処理系を構成する複数の処理部と、各処理部を制御する制御部200を備えている。
【0022】
各処理部は、細断された紙材を離解してパルプ含有液5を製造するパルパー装置6と、紙材をパルパー装置6へ供給する紙材供給装置8と、パルパー装置6で得られたパルプ含有液5を貯留する貯留槽9と、貯留槽9において貯留されたパルプ含有液5からトナー等の印刷用着色成分を分離して除去する脱墨装置10と、脱墨装置10において脱墨されたパルプ含有液5を脱水して湿紙を製造する抄紙装置12と、湿紙を脱水する湿紙脱水装置13と、脱水した湿紙を乾燥して再生紙4にする湿紙乾燥装置14と、再生紙4に対して仕上工程を行う仕上装置15と、脱墨装置10から排出された脱墨排液16を処理する脱墨排液処理装置17と、抄紙装置12で生じる白水を貯留する白水タンク18等からなり、白水タンク18に上水の供給源19が連通している。
【0023】
貯留槽9と脱墨装置10の間にはパルプ含有液5を供給するパルプ含有液供給ポンプ201が設けてあり、白水タンク18と脱墨装置10の間には希釈液供給ポンプ202が設けてあり、希釈液供給ポンプ202はパルプ含有液供給ポンプ201の下流側に連通しており、パルプ含有液供給ポンプ201と希釈液供給ポンプ202とで後述するパルプ含有液制御部を構成している。希釈液供給ポンプ202を設けた管路系は、メンテナンス時に白水を脱墨槽23に注水する洗浄用水供給系を兼ねている。脱墨装置10と抄紙装置12の間には脱墨パルプ含有液供給ポンプ203を設けている。尚、脱墨装置10と脱墨排液処理装置17とによって脱墨部をなす脱墨処理装置21が構成されている。
【0024】
図2、
図3に示すように、脱墨装置10は、脱墨槽23と、脱墨槽23内の底部から泡沫24を放出する散気装置25と、散気装置25に空気を供給する空気供給装置(エアポンプ等)とを有している。脱墨槽23は、透明な材料を用いて外部から内部を目視可能に製作されており、上部の幅が次第に縮小するように傾斜した一対の傾斜部26a、26bを有している。脱墨槽23の上端部で且つ傾斜部26a、26bの上方には、平面視において四本(複数本の一例)の辺を有する四角形(多角形の一例)の開口部27が形成されている。開口部27の一方向Cの端部の一辺には、泡沫24を脱墨槽23内から槽外へ溢流させる泡溢流部29が形成されている。
【0025】
脱墨槽23内は複数の仕切壁30によって複数の脱墨室31に区画されており、仕切壁30の一部に開口32を形成することにより、全ての脱墨室31が開口32を介して連通している。また、脱墨槽23には、貯留槽9内のパルプ含有液5を脱墨槽23内へ導入する流入部33と、脱墨槽23内のパルプ含有液5を抄紙装置12のヘッドボックスに排出する流出部34とが設けられている。
【0026】
散気手段である散気装置25は、脱墨槽23内の底部に配置されており、通気性を有する多孔質のエアストン等で構成されており、上面が泡放出面として形成されている。脱墨槽23には、散気装置25の泡放出面に洗浄水53を噴射する複数の洗浄ノズル35(洗浄装置の一例)が設けられている。各洗浄ノズル35は各脱墨室31毎に設けられており、各洗浄ノズル35に洗浄水53を供給する洗浄水供給管路36と、洗浄水供給管路36を開閉する弁37とが設けられている。尚、各洗浄ノズル35の先端は泡放出面の真上に位置している。
【0027】
また、脱墨排液処理装置17が脱墨槽23の下方に設けられている。脱墨槽23には、泡溢流部29を越えて脱墨槽23の外部へ溢流する泡沫24を脱墨排液処理装置17へ排出する受泡部38が設けられている。受泡部38は、平面視において長方形状の上端入口39および下端出口40と、上端入口39から下端出口40に至る上下方向(鉛直方向)の流通路41とを有する角管状の部材であり、上端入口39の直下に下端出口40が形成されている。上端入口39は、泡溢流部29に隣接して、泡溢流部29の長さ方向にわたり開口している。尚、
図3、
図4に示すように、上端入口39の長さL1と下端出口40の長さL2と泡溢流部29の長さL3とは同一(又はほぼ同一)である。
【0028】
流通路41は、上端入口39から下位になるほど幅Wが縮小する上部流通路41aと、幅Wが一定である下部流通路41bとを有している。尚、上部流通路41aは、脱墨槽23の傾斜部26bによって形成される上部傾斜面41cと、この傾斜面41cの下方に形成されて同方向に傾斜する下部傾斜面41dとを有している。
【0029】
脱墨槽23の開口部27と受泡部38の上端入口39との外周縁は、平面視において四角枠状に形成された囲い板43によって囲まれており、囲い板43は脱墨槽23の一部をなす。
【0030】
図14、
図15に示すように、脱墨排液処理装置17は、複数の回転ローラ55a〜55cに掛け渡された無端状の回動自在なメッシュベルト57と、少なくともいずれか一つの回転ローラ55cを駆動させるベルト駆動部とを有し、メッシュベルト57の下流側には、回転ローラ55bに対向配置された圧搾ローラ59を備えている。尚、メッシュベルト57は、透水性を有する網目状のベルトであり、受泡部38の下端出口40から排出された脱墨排液56を濾過するろ過部材の一例である。また、メッシュベルト57の走行軌道は、上流側から下流側へ走行する往軌道57aと、下流側から上流側へ戻る復軌道57bとを有している。受泡部38の下端出口40は往軌道57aにおけるメッシュベルト57の上流側端部の上方に位置している。
【0031】
圧搾ローラ59は、対向する回転ローラ55bとの間でメッシュベルト57を挟持し、脱墨排液16がメッシュベルト57によりろ過され、メッシュベルト57上に残存している濾滓を圧搾するように構成されている。尚、メッシュベルト57上の濾滓の圧搾に伴って、濾滓がメッシュベルト57から圧搾ローラ59へ転写するように構成されている。
【0032】
圧搾ローラ59の隣りには、圧搾ローラ59に転接する転写ローラ58が設けられ、圧搾ローラ59に転写された濾滓を更に転写するように構成されている。圧搾ローラ59の近傍には、圧搾ローラ59の外周面に摺接し、圧搾ローラ59に転写された濾滓を剥離して転写ローラ58へ送るスクレーパー60が設けられている。また、転写ローラ58の近傍には、転写ローラ58の外周面に摺接して、圧搾ローラ59から転写ローラ58に転写された濾滓を転写ローラ58から剥離するスクレーパー63が設けられている。
【0033】
回転ローラ55bの外周部はスポンジ等の吸水性部材65で構成されている。また、回転ローラ55bの隣りには、回転ローラ55bに所定圧力で転接し、吸水性部材65に吸水された水を絞る絞り用ローラ64が設けられている。
【0034】
メッシュベルト57の上方には、メッシュベルト57の左右幅縁部に沿って延在する一対のガイド66が設けられている。尚、メッシュベルト57の上面はガイド66の下辺に摺接自在である。メッシュベルト57の上方で且つ受泡部38の下端出口40と圧搾ローラ59との間には、メッシュベルト57上の濾滓を掻き寄せる濾滓掻寄装置61が設けられている。濾滓掻寄装置61は回転駆動装置で回転する複数の放射状の掻寄羽根62を有しており、掻寄羽根62の先端がメッシュベルト57の上面に接触する。
【0035】
また、メッシュベルト57の復軌道57bの下方には、脱墨排液16がメッシュベルト57で濾過されることにより生じる濾液を貯留する濾液タンク71が設置されている。
メッシュベルト57の往軌道57aと復軌道57bとの間には、濾液を受け止める第1および第2の受け皿67、68が設けられている。第1の受け皿67は第2の受け皿68に向って傾斜しており、第1の受け皿67に受けられた濾液は第1の受け皿67から第2の受け皿68へ流れ込むように構成されている。
【0036】
第2の受け皿68の長手方向両端部には、第2の受け皿68内の濾液を濾液タンク71に排出する濾液排出口68aが形成されている。また、下流側における復軌道57bの下方には、復軌道57bのメッシュベルト57から流下した濾液を受け止めて濾液タンク71に排出する第3の受け皿69が設けられている。
【0037】
濾液タンク71の隣りには、スクレーパー63によって転写ローラ58から剥離された濾滓を収容する濾滓用容器72と、濃縮された液状(原液)の消泡剤73を濾液タンク71内に注入する消泡剤注入装置74とが設けられている。
【0038】
消泡剤注入装置74は、消泡剤73を貯留する消泡剤用タンク75と、消泡剤用タンク75内の消泡剤73を濾液タンク71内に注入する注入用配管76と、注入用配管76に設けられた注入用ポンプ77とを有している。尚、注入用ポンプ77の稼動により、消泡剤用タンク75内の消泡剤73が、注入用配管76を通って濾液タンク71内に注入され、濾液タンク71内の濾液と混合されて希釈される。このように消泡剤73を濾液で希釈した液体を消泡溶液44として噴射する消泡装置45が脱墨処理装置21に備えられている。
【0039】
図2、
図3に示すように、消泡装置45は、泡溢流部29を溢流する泡沫24及び下記に記載の可動ブレード81に消泡溶液44を噴射する消泡溶液噴射部46と、濾液タンク71内の消泡溶液44を消泡溶液噴射部46に供給する供給用配管47と、供給用配管47に設けられた供給用ポンプ48とを有している。
【0040】
図6に示すように、消泡溶液噴射部46は、囲い板43の内側に設けられた噴射管46aと、噴射管46aに設けられた複数の噴射ノズル46bとを有しており、シリンダやリンク等からなる駆動装置(図示省略)により水平軸心周りに上下方向へ回動可能となるように構成されている。消泡溶液噴射部46は固定式とすることも可能である。
【0041】
脱墨槽23の泡溢流部29から受泡部38を経て脱墨排液処理装置17に至る泡排出経路上には、排出された泡沫24の量を検出する泡検出センサー51が設けられている。
図14、
図15に示すように、泡検出センサー51は、脱墨排液処理装置17に設けられており、受泡部38の下端出口40から往軌道57aにおけるメッシュベルト57上に排出された泡沫24の量を検出するものである。すなわち、泡検出センサー51は、メッシュベルト57を挟んでベルト幅方向において相対向する投光器51aおよび受光器51bとを有し、メッシュベルト57から所定高さだけ上方で且つ濾滓掻寄装置61の下流側に位置している。
【0042】
脱墨槽23の囲い板43には泡沫排出口43aが形成してあり、泡沫排出口43aの開口縁が泡溢流部29をなす。脱墨槽23の上方には、ブレード部80を設けている。ブレード部80には、開口部27において槽内液面上に浮遊する泡沫24を集めて泡沫排出口43aの開口縁である泡溢流部29を溢流させ、受泡部38の上端入口39へ押し出す可動ブレード81(可動部材および泡収集手段の一例)と、可動ブレード81を移動させる移動装置82とが設けられている。可動ブレード81の形状は本実施の形態に限るものではなく、種々の形状が適用可能であり、受泡部38を脱墨槽23の周囲に設けることも可能である。
【0043】
脱墨槽23の囲い板43の内部には洗浄液噴射部50が設けてある。洗浄液噴射部50は、消泡溶液噴射部46と反対側に位置し、泡沫24を受泡部38へ押し出す工程の始端位置にある可動ブレード81の裏面に向けて洗浄液を噴射する。
【0044】
尚、ここでは、
図2、
図3、
図6、
図9、
図10に示すように、泡沫24を受泡部38へ押し出す工程の終端位置、つまり泡溢流部29側の上方を終端位置Bとし、泡沫24を受泡部38へ押し出す工程の始端位置、つまり開口部27の泡溢流部29とは反対側の他辺83側の上方を始端位置Aとし、始端位置Aから終端位置Bに向う方向を一方向Cとし、終端位置Bから始端位置Aへ戻る方向を戻り方向Dとし、可動ブレード81が泡沫排出口43aの開口縁に当接する位置を閉鎖位置Oとし、可動ブレード81が終端位置Bを越えて消泡溶液噴射部46の噴射ノズル46bに近接する位置をセルフ洗浄位置Pと定義して説明する。
【0045】
移動装置82は、可動ブレード81を一方向Cおよび戻り方向Dへ往復移動させる第1の移動機構84と、可動ブレード81を昇降させる第2の移動機構85とを有している。
図5〜
図7に示すように、第1の移動機構84は、一方向Cおよび戻り方向Dに移動自在な可動体86と、可動体86を移動させる一対のスライド機構87a、87bと、両スライド機構87a、87bを作動させる駆動部88と、可動体86に昇降自在に保持された取付部材89と、取付部材89を可動体86に保持する保持機構90とを有している。
【0046】
両スライド機構87a、87bは一方向Cおよび戻り方向Dに直交する方向Eにおいて対向配置されており、一方のスライド機構87aは、一方向C側に設けられた回転自在な一方のプーリ91(輪体)と、戻り方向D側に設けられた回転自在な他方のプーリ92(輪体)と、これら両プーリ91、92間に巻回された無端状のベルト93(無端回動体)とを有している。また、他方のスライド機構87bは一方のスライド機構87aと同じ構成を有している。
【0047】
可動体86は、両ベルト93間に設けられており、一対のガイド軸94により支持されて一方向Cおよび戻り方向Dへ案内される。両プーリ91は共通の一方の回転軸95の両端部に設けられ、両プーリ92は共通の他方の回転軸96の両端部に設けられている。
【0048】
駆動部88は、モータ98によって回転駆動される駆動プーリ99(駆動輪体)と、他方の回転軸96の一端に設けられた従動プーリ100(従動輪体)と、両プーリ99、100間に巻回された駆動ベルト101(無端回動体)とを有している。
【0049】
保持機構90は、可動体86の上面に立設された複数の保持軸102と、取付部材89を上向きに付勢する複数のコイルばね103(付勢手段)とを有している。取付部材89は、複数の貫通孔104が形成された横板部89aと、横板部89aの端部から垂下された縦板部89bとを有している。各保持軸102は下方から各貫通孔104に挿通されており、コイルばね103は、可動体86の上面と取付部材89の横板部89aの下面との間に設けられ、各保持軸102に外嵌されている。これにより、取付部材89は、保持軸102に沿って昇降自在であり、コイルばね103を介して可動体86上に保持されているとともに上向きに付勢されている。
【0050】
尚、可動ブレード81は取付部材89の縦板部89bの下部に設けられており、泡沫排出口43aの開口縁に当接する部位が水密性を有するシール部材204からなり、シール部材204がゴム等の軟質材料からなる。
【0051】
また、各保持軸102の上端部には、取付部材89が保持軸102の上方へ脱抜するのを阻止するためのストッパー105が設けられている。各ストッパー105は貫通孔104よりも大きな直径を有する円板状の部材である。
【0052】
第2の移動機構85は、一方向Cおよび戻り方向Dに直交する方向Eにおいて相対向する一対のガイドローラ107a、107bと、両ガイドローラ107a、107bを最下位の押下位置F(
図7参照)と最上位の退避位置G(
図11参照)との間で昇降させる昇降装置108とを有している。
【0053】
図5〜
図7に示すように、昇降装置108は、ガイドローラ107a、107bと平行に設けられた一対の回転軸109a、109bと、各回転軸109a、109bに設けられた複数のアーム110a、110bと、両回転軸109a、109bを同方向へ回転させる回転駆動装置111と、両ガイドローラ107a、107bの上下位置を検出する位置検出装置119とを有している。
【0054】
尚、一方のガイドローラ107aは一対のアーム110aの遊端部間に回転自在に取り付けられており、他方のガイドローラ107bは一対のアーム110bの遊端部間に回転自在に取り付けられている。
【0055】
回転駆動装置111は、モータ112によって回転駆動される駆動プーリ113(駆動輪体)と、他方の回転軸109bの一端に設けられた従動プーリ114(従動輪体)と、両プーリ113、114間に巻回された駆動ベルト115(無端回動体)と、両回転軸109a、109bの他端に設けられた連動プーリ116a、116bと、両連動プーリ116a、116b間に巻回された連動ベルト117(無端回動体)とを有している。
【0056】
図8、
図12に示すように、位置検出装置119は、両ガイドローラ107a、107bが押下位置Fまで下降したことを検出する第1の光電センサ120と、両ガイドローラ107a、107bが退避位置Gまで上昇したことを検出する第2の光電センサ121と、検出板122とを有している。第1および第2の光電センサ120、121はそれぞれ投光器120a、121aと受光器120b、121bとを有し、これら投光器120a、121aと受光器120b、121bとの間に光軸120c、121cが形成される。
【0057】
検出板122は、一方の回転軸109aの一端に設けられており、開口部123を有している。
図7に示すように、両ガイドローラ107a、107bが押下位置Fまで下降すると、
図8に示すように、第1の光電センサ120の光軸120cが開口部123を通過するとともに、第2の光電センサ121の光軸121cが検出板122で遮断される。また、
図11に示すように、両ガイドローラ107a、107bが退避位置Gまで上昇すると、
図12に示すように、第2の光電センサ121の光軸121cが開口部123を通過するとともに、第1の光電センサ120の光軸120cが検出板122で遮断されるように構成されている。尚、押下位置Fと退避位置Gとの間の位置では、両光電センサ120、121の光軸120c、121cが共に検出板122で遮断される。
【0058】
尚、各回転軸95、96、109a、109bと各モータ98、112とガイド軸94等は、脱墨槽23の上方に取り付けられたフレーム118に設けられている。
図6、
図10に示すように、脱墨槽23の囲い板43にはメンテナンス用水位センサ20を配設しており、脱墨槽23の壁体には脱墨槽内の槽内水位が上限水位に達したことを検出する上限水位検出部205と、脱墨槽23の槽内水位が下限水位に達したことを検出する下限水位検出部206を配設している。メンテナンス用水位は泡沫排出口43aの下端の開口縁よりも設定距離だけ上方位置にある。メンテナンス用水位センサ20、上限水位検出部205および下限水位検出部206は静電容量型あるいは電気抵抗型の水位センサを用いる。
【0059】
図18に示すように、制御部200は、紙材供給装置8を制御する紙材供給装置制御機能部207と、パルパー装置6を制御するパルパー装置制御機能部208と、脱墨装置10を制御する脱墨装置制御機能部209と、ブレード部80を制御するブレード部制御機能部210と、パルプ含有液供給ポンプ201と希釈液供給ポンプ202からなるパルプ含有液制御部211を制御する槽内水位制御機能部212と、消泡装置45の消泡溶液噴射部46を制御する消泡溶液噴射部制御機能部213と、抄紙装置12を制御する抄紙装置制御機能部214と、湿紙脱水装置13を制御する湿紙脱水装置制御機能部215と、湿紙乾燥装置14を制御する湿紙乾燥装置制御機能部216と、仕上装置15を制御する仕上装置制御機能部217と、メンテナンス制御機能部218を備えており、メンテナンス制御機能部218は、メンテナンス時にブレード部80を制御して可動ブレード81で脱墨槽23の泡沫排出口43aを閉鎖する状態で脱墨槽内に注水し、槽内水位がメンテナンス水位に達したことをメンテナンス水位検出部204が検出したときに、可動ブレード81を移動させて脱墨槽23の泡沫排出口43aを開放して脱墨槽内に貯留する槽内液を泡沫排出口43aから放出させるものである。
【0060】
以下、上記構成における作用を説明する。
[ブレード部の作用]
移動装置82により可動ブレード81を移動させる際の可動ブレード81の動きを説明する。
【0061】
図5、
図6に示すように、第1の移動機構84のモータ98を正駆動して駆動プーリ99を一方に回転することにより、この回転が駆動ベルト101、従動プーリ100、他方の回転軸96、他方のプーリ92、ベルト93、一方のプーリ91、一方の回転軸95に伝達される。これにより、両ベルト93が一方向へ回動し、可動体86と共に取付部材89と可動ブレード81とが一方向Cへ移動する。
【0062】
また、モータ98を逆駆動して駆動プーリ99を他方に回転することにより、
図10に示すように、両ベルト93が他方向へ回動し、可動体86と共に取付部材89と可動ブレード81とが戻り方向Dへ移動する。
【0063】
また、
図5に示すように、第2の移動機構85のモータ112を駆動して駆動プーリ113を一方に回転することにより、この回転が駆動ベルト115、従動プーリ114、他方の回転軸109b、両連動プーリ116a、116b、連動ベルト117、一方の回転軸109aに伝達される。これにより、
図7、
図11に示すように、両回転軸109a、109bが同方向に回転し、両ガイドローラ107a、107bが押下位置Fと退避位置Gとの間を昇降する。
【0064】
図6、
図7に示すように、両ガイドローラ107a、107bが押下位置Fまで下降すると、両ガイドローラ107a、107bがコイルばね103の付勢力に抗して取付部材89を押し下げるため、可動ブレード81が下降位置Iまで下降する。この際、
図8に示すように、第1の光電センサ120の光軸120cが開口部123を通過するとともに、第2の光電センサ121の光軸121cが検出板122で遮断されるため、可動ブレード81が下降位置Iまで下降したことが検知される。
【0065】
尚、
図6に示すように、可動ブレード81を下降位置Iまで下降した状態で一方向Cへ移動する際、取付部材89の横板部89aが両ガイドローラ107a、107bに対して摺動する。
【0066】
また、
図10、
図11に示すように、両ガイドローラ107a、107bが退避位置Gまで上昇すると、両ガイドローラ107a、107bが取付部材89の上方へ離間するため、取付部材89がコイルばね103の付勢力により持ち上げられ、可動ブレード81が上昇位置Hまで上昇する。この際、
図12に示すように、第2の光電センサ121の光軸121cが開口部123を通過するとともに、第1の光電センサ120の光軸120cが検出板122で遮断されるため、可動ブレード81が上昇位置Hまで上昇したことが検知される。
【0067】
上記のように、可動ブレード81の一方向Cおよび戻り方向Dへの移動と上下方向への移動とを組み合わせることにより、
図13に示すように、可動ブレード81を、上昇位置Hから下降位置Iまで下降させた状態で、始端位置Aから終端位置Bまで一方向Cに横移動させ、その後、下降位置Iから上昇位置Hまで上昇させた状態で、終端位置Bから始端位置Aまで戻り方向Dに横移動させることができ、これにより、脱墨槽23の開口部27の上方で、長方形を描く移動経路124に沿って移動させることができる。さらに、可動ブレード81を閉鎖位置Oおよびセルフ洗浄位置Pに移動させることができる。
[古紙再生処理]
図1に示すように、古紙再生処理装置1で古紙2から再生紙4を製造する工程では、古紙2を細断して得られた紙材は紙材供給装置8によってパルパー装置6へ供給され、パルパー装置6において離解処理されてパルプ含有液5が製造される。パルパー装置6で得られたパルプ含有液5は繊維濃度が7%であり、パルプ含有液5は繊維濃度を約2.5%にまで希釈した後に貯留槽9に貯留される。
【0068】
その後、貯留槽9から脱墨装置10にパルプ含有液供給ポンプ201でパルプ含有液5を供給するとともに、希釈液供給ポンプ202で白水タンク18の白水を供給して、繊維濃度を0.5%に希釈する。脱墨装置10ではパルプ含有液5から印刷用着色成分が除去され、脱墨装置10から脱墨パルプ含有液が抄紙装置12に供給されて湿紙が製造される。
【0069】
このようにして製造された湿紙は、湿紙脱水装置13で脱水された後、湿紙乾燥装置14で乾燥されて再生紙4が製造される。この再生紙4は仕上装置15で仕上げられた後に、古紙再生処理装置1から排出される。
[脱墨処理]
脱墨装置10では、
図2に示すように、貯留槽9内のパルプ含有液5が流入部33から脱墨槽23内に導入され、この際、貯留槽9と脱墨槽23との間の流路において、パルプ含有液5に脱墨剤が投入される。散気装置25の泡放出面から脱墨槽23内のパルプ含有液5中に多数の微細な泡沫24が放出され、パルプ含有液5中の印刷用着色成分が浮上している泡沫24に付着する。その後、泡沫24は脱墨槽23内のパルプ含有液5の液面に浮上し、開口部27から外部へ溢れ出そうとする。
【0070】
この際、制御部200のブレード部制御機能部210は、槽内水位が上限水位に達したことを上限水位検出部205が検出したときに、ブレード部80を制御して泡沫24を受泡部38へ向けて押し出す。
【0071】
すなわち、
図6に示すように、可動ブレード81が、上昇位置Hから下降位置Iまで下降した状態で、始端位置Aから終端位置Bまで一方向Cに横移動して、泡沫24を泡溢流部29側へ集める。
【0072】
これにより、泡沫24は、可動ブレード81によって一方向Cに押され、
図9に示すように、泡沫排出口43aの開口縁である泡溢流部29から脱墨槽23の外部へ溢流し、上端入口39から受泡部38内を流れ落ち、下端出口40から脱墨排液処理装置17のメッシュベルト57上に排出される。
【0073】
この際、
図3に示すように、受泡部38の上端入口39が泡溢流部29に隣接しているとともに上端入口39の長さL1と泡溢流部29の長さL3とが同一であり、上端入口39の直下に下端出口40が形成されているため、泡溢流部29を溢流した泡沫24は全て、上端入口39から受泡部38内に確実に流れ込み、受泡部38内を上から下へ鉛直方向に流れ落ち、下端出口40からメッシュベルト57上へ排出される。
【0074】
したがって、従来のように泡が開口部の周囲に沿って水平流路を流れることはなく、脱墨槽23の開口部27から溢れ出す泡沫24をスムーズに脱墨排液処理装置17に排出することが可能である。
【0075】
尚、上記のように可動ブレード81を、終端位置Bまで一方向Cに横移動させた後、終端位置Bにおいて下降位置Iから上昇位置Hに上昇させ、終端位置Bから他方向Dに横移動させて始端位置Aまで戻し、始端位置Aにおいて上昇位置Hから下降位置Iに下降させる動作が必要に応じて繰り返される。また、上記のように可動ブレード81を終端位置Bから始端位置Aまで戻す際、可動ブレード81を下降位置Iから上昇位置Hに上昇させているため、可動ブレード81を開口部27の泡沫24よりも上方へ退避させることができる。これにより、可動ブレード81が泡沫24を他方向Dに押し出してしまうのを防止することができる。
【0076】
このように、ブレード部80の可動ブレード81は泡沫24の押し出し動作時に一定高さを維持しながら移動する。一方、脱墨槽内の液面上にある泡沫24は、その液面の上下変動に伴って上下動する。このため、槽内水位が上限水位にあるときに可動ブレード81が液面に最接近し、液面上の泡沫層に対してその下端を含む領域に可動ブレード81が対応し、可動ブレード81で泡沫を掻き取った後に液面上に残留する泡沫量が最少となる。
【0077】
脱墨槽23で生じる泡沫の発生量は、槽内水位が上限水位となるとき、すなわち脱墨槽23に新たなパルプ含有液が流入するときに最多となる。このため、槽内水位が上限水位になったときに、可動ブレード81で泡沫24を受泡部38へ向けて押し出すことにより、泡沫24が最も多くなる最適なタイミングで、泡沫24を掻き取って排出することができる。
【0078】
本実施の形態では上限水位を指標として可動ブレード81を作動させたが、泡沫24をセンサ等で検出して作動させることも可能である。しかし、泡沫24でセンサが汚れて誤作動することに注意する必要がある。
【0079】
また、脱墨槽23には脱墨前のパルプ含有液が流入し、脱墨処理を終えた脱墨パルプ液が次工程の抄紙装置12に流出する。脱墨槽23から抄紙装置12へ脱墨パルプ液を途切れることなく連続して供給するためには、脱墨槽23に一定量以上の液量を確保しつつ脱墨前のパルプ含有液を供給する必要がある。
【0080】
このため、制御部200の槽内水位制御機能部212は、パルプ含有液制御部211のパルプ含有液供給ポンプ201と希釈液供給ポンプ202を制御して、槽内水位を上限水位検出部205で検出する上限水位と下限水位検出部206で検出する下限水位との間に保持する。
【0081】
すなわち、槽内水位が上限水位に達した時点で、パルプ含有液供給ポンプ201と希釈液供給ポンプ202を停止し、槽内水位が下限水位に達した時点で、パルプ含有液供給ポンプ201と希釈液供給ポンプ202を起動し、パルプ含有液を間欠的に供給する。
【0082】
よって、上限水位検出部205を、水位制御と可動ブレード81の作動制御とに兼用することで、脱墨槽内の水位制御に関連させて可動ブレード81による泡沫24の掻取り制御を行うことができる。
【0083】
また、消泡装置45の供給用ポンプ48を稼動し、濾液タンク71内の消泡溶液44を供給用配管47から消泡溶液噴射部46に供給し、泡沫24を受泡部38へ排出して終端位置Bにある可動ブレード81に向けて噴射ノズル46bから消泡溶液44を噴射し、可動ブレード81に付着した泡沫24を洗い流すことで、泡沫24を受泡部38へ押し出す1回の工程で掻き集めた泡沫24の全てを受泡部38へ排出することができる。
【0084】
また、泡沫24を受泡部38へ押し出す工程の始端位置Aにある可動ブレード81の裏面に向けて洗浄液噴射部50から上水等の洗浄液を噴射することで、可動ブレード81の裏面する泡沫および繊維を洗い流すことができる。
【0085】
また、制御部200は、脱墨処理装置21の泡検出センサー51の検出に基いて消泡溶液44の濃度を調整し、投光器51aと受光器51bとの間に形成される光軸51cが遮断された場合、消泡剤注入装置74の注入用ポンプ77を所定時間稼動させることで所定量の消泡剤73を消泡剤用タンク75から濾液タンク71へ注入する。
[メンテナンス]
古紙再生処理装置の運転終了後のメンテナンス時には、
図17に示すように、制御部200のメンテナンス制御機能部218が、ブレード部80を制御して可動ブレード81を閉鎖位置Oに移動させて脱墨槽23の泡沫排出口43aを閉鎖し、シール部材204を泡沫排出口43aの開口縁に水密に当接させる状態となし、この状態で希釈液供給ポンプ202を駆動して白水タンク18の白水を洗浄用水供給系を通して脱墨槽23に注水し、槽内水位がメンテナンス水位に達したことをメンテナンス水位検出部204が検出したときに、可動ブレード81を移動させて脱墨槽23の泡沫排出口43aを開放して脱墨槽23に貯留する槽内液を泡沫排出口43aから放出させる。
【0086】
このことにより、メンテナンス時に適当量の水量で槽内液を脱墨槽の泡沫排出口から放出して壁面に付着した繊維等を洗い流すことができ、白水を用いて脱墨槽内を洗浄することで節水を実現できる。この際に、白水を用いて脱墨槽23を洗浄することと、上水の供給源19から白水タンク18を通して上水を脱墨槽23に供給して上水を用いて洗浄することとをユーザーが脱墨槽23の汚れの度合いに応じて任意に使い分けることができる。
【0087】
このメンテナンス時に制御部200のメンテナンス制御機能部218は、上限水位に達した後に、散気装置25によって脱墨槽23の槽内液中に気泡を発生させながらメンテナンス水位まで注水させる。
【0088】
このことにより、槽内液中を気泡が上昇して槽内液中に上向流が発生し、脱墨槽23の槽内面を全体的に洗浄することができる。
また、白水を用いて、脱墨槽23以外にパルパー装置6や貯蔵槽9を洗浄することも可能である。さらに、脱墨槽23の洗浄に使用する白水は、パルパー装置6や貯蔵槽9を洗浄した後の白水であっても良い。
【0089】
また、メンテナンス時もしくは通常のサイクルにおいて、制御部200のメンテナンス制御機能部218は、可動ブレード81をセルフ洗浄位置Pに待機させて、可動ブレード81に向けて消泡溶液噴射部46から消泡溶液を噴射させる。
【0090】
消泡溶液噴射部46から噴射する消泡溶液は可動ブレード81で反射して消泡溶液噴射部46に噴きかかり、消泡溶液噴射部46を洗浄する。この洗浄により噴射口が繊維で詰まることを防止できる。
【0091】
同様にして、可動ブレード81を始端位置Aよりさらに洗浄液噴射部50に接近させて待機させ、可動ブレード81に向けて洗浄液噴射部50から洗浄液を噴射させる。洗浄液噴射部50から噴射する洗浄液は可動ブレード81で反射して洗浄液噴射部50および囲い板43の壁面に噴きかかり、それらの効果的な洗浄が行なわれる。
【0092】
また、メンテナンス時に脱墨槽23のパルプ含有液を排出した状態で、消泡溶液噴射部46から散気装置25に向けて消泡溶液を噴射し、散気装置25の気泡放出面を洗浄することも可能である。