(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は従来のダイナミックパターン生成機の基本動作を示す図である。
図1(A)はピクセル列(または行)を示すDPG基板102の断面を示す。各ピクセルは導電性領域104を含む。制御された電圧レベルが各ピクセルに印加される。
図1(A)に示した例において、4つのピクセル104は「オン」(反射モード)であり、接地(そこには0ボルトが印加される)され、1つのピクセル(104xと表示される導電性領域を有する)は「オフ」(吸収モード)であり、そこに印加された正の電圧(1ボルト)を有する。特定の電圧はシステムのパラメータによって変化するであろう。得られる局部等電位線106が示され、「オフ」ピクセルに関する歪106xが示される。この例において、DPG112に近づく入射電子108は、各「オン」ピクセルの前で停止し反射されるが、入射電子108xは「オフ」ピクセルによって引っ張られ吸収される。得られる反射した電流(任意の単位)は
図1(B)に示される。
図1(B)に示されているように、反射した電流は「オフ」ピクセルでは「0」であり、「オン」ピクセルでは「1」である。
【0011】
図2は従来のダイナミックパターン生成機のピクセルと本発明の一実施形態による新しいダイナミックパターン生成機のピクセルの間の動作の大きな相違を示す図である。示されているように、各ピクセルについてON状態とOFF状態の2つの状態がある。
図1に示したように、従来のDPGについて、ピクセルはON状態で電子を反射し、OFF状態で電子を吸収する(逆も真なり)。
【0012】
対照的に、本発明の一実施形態による新規なDPGについては、ピクセルはONおよびOFF状態の両方で電子を反射する。入射電子はONおよびOFF状態の両方で反射されるが、反射モードはONとOFF状態の間で異なる。示したように、ピクセルはON状態において「モードA」で電子を反射することができ、OFF状態において「モードB」で電子を反射することができる(逆も真なり)。さらに下で説明するように、例えば、電子はモードAにおいて合焦した状態で、または平行に、反射することができ、モードBにおいてデフォーカス状態で、または発散して反射することができる。
【0013】
図3Aは本発明の一実施形態によるダイナミックパターン生成機のピクセルについての切り換え可能な複数電極電子反射板の断面図である。
図3Aに示した電子反射板構造は、本発明の一実施形態による、電子を収集、合焦(またはデフォーカス)、および抽出するように構成された複数に積み重ねられた電極を含む。
【0014】
示したように、各ウェル(カップ)開口部302を取り囲む側壁は、絶縁層310によって分離された複数の導電性層または電極(例えば、311、312、313、314)の積み重ねを含む。さらに、各ウェルは各ウェルの底部にベース電極320を含む。積み重ねられた電極ウェル構造は(基板上の酸化物層を備える)シリコン基板上に作ることができる。
【0015】
図3Aに示すように、好ましい実施形態はウェル構造中にベース電極と4つの積み重ねた電極(合計5つの電極)を含むことができる。他の実施形態はウェル構造中に合計3〜10個の電極を含むことができる(すなわち、ベース電極および2〜9個の積み重ね電極)。各積み重ね電極層は、実際に、シリコン基板上に作られたマイクロレンズのアレイである。
【0016】
図3Aに示した特定の実装例は以下でさらに説明する。他の特定の寸法および電圧は、実装される特定のシステムに応じて、他の実装例を用いることができる。
図3Aに示したように、各ウェルは断面約1.4ミクロンとすることができる。
【0017】
一つの実装例において電極に印加される電圧は以下のようにすることができる。
【0018】
「頂部」導電性層(電極1)311は例えば+3ボルトの印加電圧を有することができる。最上部導電性電極に印加されたこの比較的弱い正の電圧は、流入する電流から絶縁材を遮蔽し、低いエネルギーで流入する電子を最も近いウェルの内部に向かって偏向する。
【0019】
「上部」導電性積み重ね層(電極2)312(「頂部」導電性積み重ね層の約1ミクロン下)は、例えば、+8.1ボルトの印加電圧を有することができる。この比較的強い正の電圧は、流入する電子をウェルの中に引っ張ることによって合焦させ、それらをウェルの外へ引っ張ることによって反射した電子を引き出すことの両方のために、この電極(これは最上部電極の直下にある)に印加される。
【0020】
「中間」導電性積み重ね層(電極3)313(「上部」導電性積み重ね層の約1ミクロン下)、および「下部」導電性積み重ね層(電極4)314(「中間」導電性積み重ね層の約1ミクロン下)は、それぞれ+6.9ボルト〜+2.2ボルトの印加電圧を有することができる。積層中のこれらの2つの電極に印加された電圧は、電子を合焦させるのに用いることができる。
【0021】
最終的に、ベース電極320は、2つの異なる反射モード(モードAおよびモードB)を達成するために2つの電圧レベルの間で切り替えられる印加電圧を有することができる。例えば、モードA(ON状態の反射モード)を達成するために負の1.3ボルト(−1.3V)の電圧をベース電極に印加することができ、モードB(OFF状態の反射モード)を達成するために正の0.2ボルト(+0.2V)の電圧をベース電極に印加することができる。
【0022】
モードAにおいて、反射電子−光学系の焦点長さは無限遠であるかそれに近い。これによってビームの大部分が投影電子−光学系の瞳開口を通過するように合焦する反射ビームを得る。対照的に、モードBにおいて、反射電子−光学系の焦点長さは焦点がウェル構造内にある。これは反射した電子ビームの分散またはデフォーカスを形成し、ビームの非常に少ない部分だけが投影電子−光学系の瞳開口部を通過することが可能である。
【0023】
電極に印加された上記例の電圧は例示の目的のために提供されることに留意されたい。実際のシステムに印加される電圧は実装例に応じて変動する。例えば、上記実装例において、ベース電極上の電圧はモードAからモードBに行くために1.5V上昇するが、他の実装例において、ベース電極上の電圧を1.5V低下させることによってモードAからモードBに行くことができる。
【0024】
図3Bは本発明の一実施形態によるダイナミックパターン生成機の一部を上から下へ見た図である。示されているように、この実施形態は矩形格子中の丸い形状であるウェル開口部または空洞302を含む。例えば、ウェル開口部は直径1.4ミクロンとすることができ、矩形格子のピッチは直径1.5ミクロンとすることができる。
図3Aに関して上で論じたように、隙間領域350はウェルの側壁を含み、金属−絶縁体−金属−絶縁体−金属−絶縁体−金属−絶縁体積み重ね(四極管または4電極レンズ)に形成することができ、各ウェル302の底部はベース電極を含むことができる。各ベース電極に印加される電圧はONおよびOFF反射状態を達成するために個別に制御可能である。
【0025】
図4Aは本発明の一実施形態による平坦なベース電極を備える切り換え可能な複数電極電子反射板の動作の第1モードにおける入射および反射した電子線を示す概要図である。この動作モードは上では反射モードAと呼ばれる。複数電極ウェル内の入射電子線402は図の左側に示され、複数電極ウェル内の反射電子線404は図の右側に示される。示されているように、このモードにおいて、ウェル403の入口で平行な入射電子線402について、反射電子線404はウェル405の出口で実質的に平行である。
【0026】
図4Bは、本発明の一実施形態による平坦なベース電極を備える切り換え可能な複数電極電子反射板の動作の第2のモードにおける入射および反射した電子線を示す概要図である。この動作モードは上では反射モードBと呼ばれる。複数電極ウェル内の入射電子線402は図の左側に示され、複数電極ウェル内の反射電子線406は図の右側に示される。示されているように、このモードにおいて、ウェル403の入口で平行な入射電子線402について、反射電子線406はウェル407の出口で実質的に分散する。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、モードAにおける反射した電子線404の実質的に大部分が投影電子−光学系の瞳開口を通過し、パターン形成されるウェーハ上に衝突する。他方、モードBにおけるこれらの反射した電子線406の非常に少ない部分だけが投影電子−光学系の瞳開口を通過し、パターン形成されるウェーハの上に衝突する。
図4Aおよび4Bにおいて、入射電子は、例えば1電子ボルト未満の(<1.0eV)比較的小さなエネルギーの広がりを有することが考えられる。この場合、入射電子中に広がる実質的に大きなエネルギーは、その軌道が大きな角度の広がりを有する反射した電子線をもたらし、したがって、モードAにおける反射した電子線404の実質的に小さな部分が投影電子−光学系の瞳開口を通過するであろう。
【0028】
図5は本発明の一実施形態による平坦なベース電極を備える切り換え可能な複数電極電子反射板の三次元(3D)設計である。3D設計は平坦なベース電極320および4個の積み重ねられた電極(電極1(311)、電極2(312)、電極3(313)、電極314)を示す。
【0029】
図6は、本発明の一実施形態による平坦ベース電極を備える切り換え可能な複数電極電子反射板から電子が反射する際に、点源からの電子の軌道を描いた電子線を辿る図である。図の左側に示されるのは、電子が複数電極電子反射板から反射される際の点源602からの電子の軌道である。図の線は、電子が点源602を離れ、頂部311、上部312、中間313、および下部314電極を通過し、ベース(底部)電極320によって反射される際の電子軌道を示す。
【0030】
図の右側に示されるのは左側の仮想の鏡像である。第1の線604および第2の線606の近軸の反射径路は、左側が流入する線を表し、右側が反射した線を表すように折り曲げられなかった。PとP’の間の領域はマイクロ静電気ミラー(ベース電極320)に近い領域を表す。示されているように、第1線604および第2線606はPとP’の間の領域で平行に保たれるが、それらは領域の外側で非対称になる(610参照)。2つの線が出口で近軸でないことは実質的な色収差の発生を示す。それらの収差は、平坦なベース電極を備える電子反射板を限られたエネルギー広がりのビームに使用することを制限し(ひどい収差を避けるために)、したがって、ビーム流を制限しシステムの処理量を低下させる。
【0031】
図7は、本発明の代替の実施形態によるダイナミックパターン生成機のピクセルについての切り換え可能な複数電極電子反射板の断面図である。
図7に示した反射板は
図3Aに示した反射板と類似している。2つの間の相違は、
図7の反射板におけるベース電極720が凹であるが、
図3Aの反射板は平坦なことである。
【0032】
一実施形態において、凹ベース電極を備える反射板のための電極に印加される電圧は以下の通りである。電極1(311)には+5ボルト、電極2(312)には+13.2ボルト、電極3(313)には+18.2ボルト、電極4(314)には+0.4ボルトである。凹ベース電極720については、モードAについて負の5.2ボルト(−5.2V)を印加することができ、モードBについて負の3.7ボルト(−3.7V)を印加することができる。
【0033】
上記例の電極への印加電圧は例示の目的のためにのみ提供されることに留意されたい。実際のシステムに印加される電圧は実装例によって変動する。例えば、上記実装例において、ベース電極上の電圧はモードAからモードBに行くために1.5V上昇するが、他の実装例において、ベース電極上の電圧を1.5V低下することによってモードAからモードBに行くことができる。
【0034】
図8は、本発明の代替の実施形態による凹ベース電極を備える切り換え可能な複数電極電子反射板の三次元(3D)設計を示す図である。3D設計は凹ベース電極720および4個の積み重ねられた電極(電極1(311)、電極2(312)、電極3(313)、電極314)を示す。
【0035】
図9は、本発明の一実施形態による凹ベース電極を備える切り換え可能な複数電極電子反射板から電子が反射する際に、点源からの電子の軌道を描いた電子線を辿る図である。
図6と同様に、図の左側に示されるのは、電子が複数電極電子反射板から反射される際の点源602からの電子の軌道である。図の線は、電子が点源602を離れ、頂部311、上部312、中間313、および下部314電極を通過し、ベース(底部)電極720によって反射される際の電子軌道を示す。この実施形態において、ベース電極720は凹電極である。
【0036】
図の右側に示されるのは左側の仮想鏡像である。第1の線904および第2の線906の近軸の反射径路は、左側が流入する線を表し、右側が反射した線を表すように折り曲げられなかった。PとP’の間の領域はマイクロ静電気ミラー(ベース電極720)に近い領域を表す。この場合、ベース電極720の凹形状は、図示された収束レンズを効率的に加える(ベース電極320に比べて)。電子線軌道は第1線904および第2線906がウェルを出る時平行であることを示す(910参照)。これは凹ベース電極720と頂部電極311の合焦作用がその間の発散効果を打ち消すからである(他の電極の組み合わせ効果による)。2つの線が出口で近軸であることは実質的な色収差がないことを示す。この収差のなさは、より広いエネルギーの広がりでビームを使用することを可能にし、それによって増加したビームの流れとより高いシステムの処理量を可能にする。
【0037】
図10は、平坦なベース電極を備える第1設計、凹(湾曲した)ベース電極および積み重ねられた電極の間の厚さ1ミクロンの絶縁体(誘電体)層を備える第2設計、および凹(湾曲した)ベース電極および積み重ねられた電極の間の厚さ0.5ミクロンの絶縁体(誘電体)層を備える第3設計の3つの複数電極電子反射板設計についてのピクセル収率対エネルギー広がりのグラフである。ピクセル収率はシミュレーションから得られる。
【0038】
示したように、入射ビームのエネルギー広がりが1.0電子ボルト(eV)未満であるとき、ピクセル収率は各設計について50%〜60%である。エネルギーの広がりが大きくなると、ピクセル収率は、平坦なベース電極を備える第1設計よりも凹ベース電極を備える第2および第3設計が実質的に高く維持される。したがって、エネルギーの広がりが2.0eV以上であるとき、ピクセル収率は凹ベース電極を備える設計が10%高い。
【0039】
この有利な高いピクセル収率は、本明細書に開示される凹ベース電極を備える複数電極反射板による無限遠焦点で色収差のないリレーマイクロレンズによるものと思われる。無限遠焦点状態はシステムの開口数を超えないために有利である。このマイクロ装置のオン/オフ切り換えは、オン状態を得る無限遠焦点状態を形成し、オフ状態を得る無限遠状態を破ることによって得られる。
【0040】
図11Aは、本発明の一実施形態による凹ベース電極を備える切り換え可能な複数電極電子反射板の第1動作モードにおける入射および反射電子線を示す図である。この動作モードは上で反射モードAと呼ばれる。複数電極ウェル内部の入射電子線1102は図の左側に示され、同じ複数電極ウェル内部の反射電子線1104は図の右側に示される。示されているように、このモードにおいて、ウェル入口1103で平行な入射電子線1102について、反射電子線1104もウェルの出口1105で実質的に平行である。
【0041】
図11Bは、本発明の一実施形態による平坦なベース電極を備える切り換え可能な複数電極電子反射板の第2動作モードにおける入射および反射電子線を示す図である。この動作モードは上で反射モードBと呼ばれる。複数電極ウェル内部の入射電子線1102は図の左側に示され、同じ複数電極ウェル内部の反射電子線1106は図の右側に示される。示されているように、このモードにおいて、ウェル入口1103で平行な入射電子線1102について、反射電子線1106もウェルの出口1107で実質的に発散している。
【0042】
図11Aおよび11Bにおいて、入射電子は、例えば、2電子ボルト超(>2.0eV)の比較的大きな広がりを有するものと考えられる。有利なことに、入射電子における実質的に大きなエネルギー広がりにもかかわらず、反射板はモードA/Bを用いるオン/オフ切り換えとして有効に動作する。これは反射板の色収差を低減する凹ベース電極720によるものである。したがって、大きなエネルギー広がりにもかかわらず、モードAにおける反射した電子線1104の大部分は投影電子−光学系の瞳開口を通過し、パターン形成されるウェーハ上に衝突する。他方、モードBにおいて、これらの反射した電子線1106の非常に小さな部分だけが投影電子−光学系の瞳開口を通過しパターン形成されるウェーハ上に衝突する。
【0043】
図12は本発明の一実施形態によるマスクレス反射電子ビーム投影リソグラフィシステム1200の概要図である。名称は反射電子ビームリソグラフィまたはREBLシステムと略称することができる。
図12に描いたように、システム1200は電子源1202、照明電子光学系1204、分離器1206、対物電子レンズ1210、ダイナミックパターン生成機(DPG)1212、投影電子―光学系1214、およびリソグラフィでパターン形成されるウェーハまたは他の目標物を保持する台1216を含む。本発明の一実施形態によれば、システム1200のさまざまな部品を以下のように実装することができる。
【0044】
電子源1202は大面積上に低輝度で大電流(固定角度当たり単位面積当たり電流)を供給するように実装することができる。大電流は高い処理量速度を得るためである。源1202の材料は、約10
4または10
5A/cm
2sr(cm
2ステラジアン当たりのアンペア)を提供できるのが好ましい。一実装形態は、従来の電子エミッタLaB
6を用い、これは典型的に源材料として約10
6A/cm
2srの輝度能力を有する。他の実施形態はタングステンディスペンサエミッタを用い、これは源材料として50キロボルトで動作する時、典型的に10
5A/cm
2srの輝度能力を有する。他の可能なエミッタ実装例はタングステンショットキーカソード、または加熱された耐火金属ディスク(すなわちTa)を含む。
【0045】
さらに、電子源1202は低エネルギー広がりを有するように実装することができる。REBLシステム1200は、その折り返し点(それがDPG1212上で反射する距離)が、例えば、約100ナノメートル以内に比較的一定であるように、好ましくは電子のエネルギーを制御すべきである。折り返し点を約100ナノメートル以内に保つために、電子源1202はエネルギーの広がりが0.5電子ボルト(eV)を超えないことが好ましい。LaB
6エミッタは、典型的に1〜2eVのエネルギーの広がりを有し、タングステンディスペンサエミッタは典型的に0.2〜0.5eVのエネルギー広がりを有する。本発明の一実施形態によれば、源1202は、その通常の動作温度より数百℃低い温度で動作され、放出された電子のエネルギー広がりを低減するLaB
6源またはタングステン・ショットキーエミッタを含む。しかし、より冷たい動作温度は、例えば、源表面に固着する不純物によって源1202を不安定にし、それによってその信頼性と安定性を損なう。したがって、源材料は不純物が表面に移動して放出を閉塞しないような材料を選択するのが好ましい。さらに、システムの真空は不純物の問題を克服するためにより強くすることができる。従来のリソグラフィシステムは10
-6Torrの真空で動作する。LaB
6源を有する走査電子顕微鏡(SEM)は典型的に10
-7Torrで動作する。ショットキーエミッタを有するSEMは典型的にガン領域で10
-9Torrまたはそれ以上で動作する。一実施形態によれば、REBLはガン領域の真空が10
-9Torr以下で動作して源1202の安定性を保護する。
【0046】
照明電子−光学系1204は源1202からの電子を受け取り、平行にするように構成される。照明光学系1204はパターン生成機構造1212を照明する電流を設定し、したがって、基板を露光するのに用いられる電子ドーズ量を決定することを可能にする。照明光学系1204は、源1202からの電子を合焦するように構成された磁気および/または静電気レンズの配置を含むことができる。レンズ配置の特定の詳細は装置の特定のパラメータに依存し、当業者によって決定することができる。
【0047】
分離器1206は照明光学系1204から入射ビーム1205を受け取るように構成することができる。一実装例において、分離器1206は磁気プリズムを含む。入射ビームがプリズムの磁場を横切るとき、磁場の強度に比例した力がその軌道に垂直な方向(すなわち、その速度ベクトルに垂直な方向)に電子に作用する。詳細には、入射ビーム1205の軌道は対物レンズ1210およびダイナミックパターン生成機1212に向かって曲げられる。一実施形態において、磁気プリズムは、例えば、「電子ビーム検査および欠陥調査のためのプリズムアレイ」の名称のマリオン・マンコス(Marion Mankos)の米国特許第6,878,937号に開示されたように、スティグマチックな合焦を提供するように不均一な磁場で構成することができる。
【0048】
照明および投影副システムには分離器1206下部の対物光学系の電子−光学系部品が一般的である。対物光学系は対物レンズ1210および1つ以上の移動レンズ(図示されない)を含むように構成することができる。対物光学系は分離器1206からの入射ビームを受け取って減速させ、それがDPG1212に近づくと入射電子を合焦させる。対物光学系は、浸液カソードレンズとして(ガン1202、照明光学系1204、および分離器1206と協働して)構成され、DPG1212の面上の大面積の平面上に均一な電流密度(すなわち、比較的均一な大量のビーム)を効率的に送達するのに用いられるのが好ましい。特定の一実装例において、投影レンズ1210は50キロボルトのシステム動作電圧で動作するように実施することができる。他の実施例において、他の動作電圧を用いることができる。
【0049】
ダイナミックパターン生成機1212はピクセルのアレイを含む。各ピクセルは、その電圧が制御可能に印加される複数電極電子反射板を含むことができる。
【0050】
対物レンズ1210の抽出部分はDPG1212の前に抽出場を提供する。第1反射モード1213で反射した電子がDPG1212を離れると、対物光学系は反射した電子1213を分離器1206を通りその第2径路に向かって加速するように構成される。分離器1206は移動レンズ1208から反射した電子1213を受け取り、反射した電子の軌道を投影光学系1214に向かって曲げるように構成される。
【0051】
投影電子−光学系1214は分離器1206とウェーハ台1216の間にある。投影光学系1214は、ウェーハ上のフォトレジスト上または他の目標に電子ビームを合焦および縮小するように構成される。縮小は、例えば、1x〜20x縮小(すなわち、1x〜0.05xの拡大)することができる。投影光学系1214によるにじみおよび歪はピクセルサイズの分数であるのが好ましい。一実装例において、ピクセルサイズは、例えば、22.5ナノメートル(nm)とすることができる。その場合、投影光学系1214は10〜20nm未満の収差および歪を有するのが好ましい。
【0052】
ウェーハ台1216は目標ウェーハを保持する。一実施形態において、台1216はリソグラフィ投影の間静止している。他の実施形態において、台1216はリソグラフィ投影の間、直線状に動く。台1216が動く場合、投影されたパターンがウェーハの動きに対応して動くようにDPG1212上のパターンを動的に調節して動きを補償することができる。他の実施形態において、REBLシステム1200は半導体ウェーハ以外に他の目標に用いることができる。例えば、システム1200はレチクルに用いることができる。レチクル製造工程は単一の集積回路層が製造される工程に類似している。
【0053】
図13は本発明の一実施形態によるさらに他の部品を示すマスクレス反射電子ビーム投影リソグラフィシステム1300の概要図である。示された追加の部品は、高電圧源1302、平行データ路1304、干渉計1306、高さセンサー1308、フィードバック回路1310、およびビーム偏向器1312を含む。
【0054】
高電圧源1302は、源1202およびDPG1212に高電圧を提供するものとして示される。提供された電圧は、例えば、50キロボルトとすることができる。平行なデータ路1304は、DPG1212に各ピクセルの電圧を制御する(それが第1反射モードまたは第2反射モードで電子を反射するように)制御信号を運ぶように構成される。
【0055】
一実施形態において、シフトレジスタを通って動く信号の進路と実質的に同じで、かつウェーハの直線状の動きに一致する速度でパターンがDPGピクセルアレイを横断して電気的に動くように、制御信号は調節される。この実施形態において、ウェーハ上の各露光点は、DPGピクセルの列(または行)全体から、第1反射モードで反射した電子を時間積分で受け取ることができる。この実施形態の一実装例において、DPG1212は静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)回路に類似するように構成することができる。
【0056】
他の実施形態において、制御信号はDPG1212が一時に1つの完全なフレームを露光する。この実施形態において、DPG1212上の各ピクセルはウェーハ上の対応するピクセルを露光する。DPG1212上のパターンは各フレームの露光中一定に保たれる。この実施形態の一実装例において、DPG1212はダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)回路に類似するように構成される。
【0057】
電子ビームの位置とウェーハ上の目標の間を緊密に結合し位置のフィードバックを提供する干渉計1306を含むことができる。一実施形態において、光学ビームは台上のミラーを反射して離れる。得られる干渉パターンは個々のビーム路の差に依存し、台とウェーハの位置の正確な測定を可能にする。縦の位置情報は高さセンサー1308によって提供することができる。位置情報は、制御ビーム偏向板1312を制御するようにフィードバック回路1310を経由してフィードバックすることができる。偏向板1312は、ウェーハの振動と位置移動を補償するために投影されたビームを偏向するように構成される。
【0058】
図12および13は、本発明の一実施形態を実装することのできる例示的システムを描くが、本発明の実施形態は他のシステムでも同様に実装することができる。例えば、本発明の一実施形態は、磁気プリズム分離器ではなく、ウィーンフィルタで構成されるシステム内で実装することができる。それらの実施形態において、入射電子ビームはウィーンフィルタを通ってDPGに真直ぐ進み、DPGから合焦して反射されるビームの一部はウィーンフィルタによって所定角度に偏向され、目標基板上に衝突するであろう。他の実施形態において、開示された複数電極電子反射板は、電子ビームリソグラフィ装置以外の装置内部に構成することができる。
【0059】
上で説明した図は必ずしも厳密な尺度をもたず、例示を意図しており、特定の実装例に制限するものではない。上の説明において、多くの特定の詳細は本発明の実施形態の完全な理解を提供するために与えられる。しかし、例示された本発明の実施形態の上の説明は排他的ではなく、または、開示された正確な形に本発明を制限するものではない。当業者であれば、本発明が1つ以上の特定の詳細を用いることなく、または他の方法、部品等で実施できることを理解するであろう。他の例において、周知の構造または動作は、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるために詳細に図示または説明されない。本明細書において、本発明の特定の実施形態および実施例が例示の目的のために説明されたが、当業者であれば理解するように、本発明の範囲内でさまざまな均等な修正が可能である。
【0060】
これらの修正は上記の詳細な説明に照らして行うことができる。以下の請求項に用いられる用語は、本発明を本明細書および請求項に開示される特定の実施形態に制限するものと解釈すべきではない。本発明の範囲は以下の請求項によって決定され、これは確立された請求項解釈の原理によって解釈すべきものである。
本発明は、以下の適用例としても実現可能である。
[適用例1]
電子反射板のアレイから電子を制御可能に反射する方法であって、
電子源からの入射電子ビームを形成することと、
入射電子ビームを電子反射板のアレイに導くことと、
反射板を出る反射した電子が合焦したビームを形成する第1反射モードで電子を反射するように、第1の複数の反射板を構成することと、
反射板を出る反射した電子がデフォーカスする第2反射モードで電子を反射するように、第2の複数の反射板を構成することと、
を含む方法。
[適用例2]
適用例1に記載の方法において、
前記電子反射板が各々複数の電極を有する、方法。
[適用例3]
適用例1に記載の方法において、
前記電子反射板が、各々ベース電極と、前記ベース電極を取り囲む側壁中の絶縁層によって分離された複数の積み重ねられた電極とを含む、方法。
[適用例4]
適用例2に記載の方法において、
第1の電圧がベース電極に印加されて第1反射モードを達成し、第2電圧が前記ベース電極に印加されて第2反射モードを達成する、方法。
[適用例5]
適用例4に記載の方法において、
前記ベース電極が凹電極を含む、方法。
[適用例6]
適用例5に記載の方法において、
前記入射電子ビームが2電子ボルトより高いエネルギー広がりを有する、方法。
[適用例7]
適用例1に記載の方法において、
前記反射した電子が、第1反射モードに構成された電子反射板を出る際に実質的に平行な軌道を有し、第2反射モードに構成された電子反射板を出る際に実質的に発散する軌道を有する、方法。
[適用例8]
反射電子ビームリソグラフィのためのダイナミックパターン生成機の装置であって、
複数の電子反射板のアレイと、
前記反射板を出る反射した電子が合焦ビームを形成する第1反射モードで電子を反射するように第1の複数の反射板を構成する制御回路と、
前記反射板を出る反射した電子がデフォーカスする第2反射モードで電子を反射するように第2の複数の反射板を構成する制御回路と、
を備える装置。
[適用例9]
適用例8に記載の装置において、
前記電子反射板が各々複数の電極を有する、装置。
[適用例10]
適用例8に記載の装置において、
前記電子反射板が各々ベース電極と、前記ベース電極を取り囲む側壁中の絶縁層によって分離された複数の積み重ねられた電極とを含む、装置。
[適用例11]
適用例9に記載の装置において、
第1の電圧がベース電極に印加されて第1反射モードを達成し、第2電圧が前記ベース電極に印加されて第2反射モードを達成する、装置。
[適用例12]
適用例11に記載の装置において、
前記ベース電極が凹電極を含む、装置。
[適用例13]
適用例12に記載の装置において、
前記入射電子ビームが2電子ボルトより高いエネルギー広がりを有する、装置。
[適用例14]
適用例8に記載の装置において、
前記反射した電子が、第1反射モードに構成された電子反射板を出る際に実質的に平行な軌道を有し、第2反射モードに構成された電子反射板を出る際に実質的に発散する軌道を有する、装置。