(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチ片は、前記スライド部材上で前記接点部と前記接極子との間の中間位置から前記接極子側に偏倚して配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁継電器。
前記スライド部材、前記基部及び前記ケースの少なくともいずれか1つは液晶ポリマー材料から形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした電磁継電器では、手動スイッチの押し下げ方向の外力は、レバーの揺動によって、押し下げ方向に直交する方向に櫛歯を押し動かす力に変換される。このとき、手動スイッチを押し下げる外力はレバーの揺動軸のみによって支持される。その結果、レバーの揺動軸には過度の外力が作用する。従って、電磁継電器の手動スイッチが繰り返し使用されると、レバーの揺動軸が変形したり破損したりする可能性がある。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、スイッチ片に過度の外力が作用しても外力を分散して支持することができる電磁継電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によれば、
ケースと、
前記ケース内に固定される基部と、
前記基部上に形成されて、開閉動作する接点部と、
前記接点部を開ける開位置と前記接点部を閉じる閉位置との間でスライド移動自在に前記ケースの内壁と前記基部との間に配置されるスライド部材と、
前記スライド部材に形成されるスイッチ片と、
前記ケースに形成されて前記スイッチ片を受け入れ、前記スライド部材のスライド移動に基づく前記スイッチ片の移動を案内する開口と、
前記基部に取り付けられる電磁石と、
前記スライド部材に固定されて、前記電磁石との相互作用によって前記スライド部材のスライド移動を引き起こす接極子と、
前記電磁石に形成されて、前記スライド部材が前記開位置にある時に前記接極子を受け止める第1受け止め面と、
前記電磁石に形成されて、前記スライド部材が前記閉位置にある時に前記接極子を受け止める第2受け止め面と、を備える電磁継電器が提供される。
【0007】
こうした電磁継電器では、
前記接極子は、
永久磁石と、
磁化方向に沿って規定される前記永久磁石の一端に取り付けられる第1導電板要素と、
磁化方向に沿って規定される前記永久磁石の他端に取り付けられて、前記第1導電板要素に平行に広がる第2導電板要素と、を備え、
前記開位置では前記第1導電板要素が前記第1受け止め面に受け止められ、前記閉位置では前記第1導電板要素が前記第2受け止め面に受け止められる。
【0008】
また、こうした電磁継電器では、
前記接極子は、
永久磁石と、
磁化方向に沿って規定される前記永久磁石の一端に取り付けられる第1導電板要素と、
磁化方向に沿って規定される前記永久磁石の他端に取り付けられて、前記第1導電板要素に平行に広がる第2導電板要素と、を備え、
前記開位置では前記第1導電板要素が前記第1受け止め面に受け止められ、前記閉位置では前記第2導電板要素が前記第2受け止め面に受け止められる。
【0009】
以上のような電磁継電器では、前記スイッチ片は、前記スライド部材上で前記接点部と前記接極子との間の中間位置から前記接極子側に偏倚して配置される。
【0010】
また、以上のような電磁継電器では、前記スイッチ片は前記スライド部材から突き出るにつれて先細る。
【0011】
以上のような電磁継電器は、前記スライド部材に形成されて前記スイッチ片の周囲を少なくとも部分的に囲む凹溝をさらに備える。
【0012】
以上のような電磁継電器では、前記ケースは少なくとも部分的に透明な材料から形成される。
【0013】
以上のような電磁継電器では、前記スライド部材、前記基部及び前記ケースの少なくともいずれか1つは液晶ポリマー材料から形成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電磁継電器では、例えば動作試験の目的のためにスイッチ片の手動操作によってスライド部材が開位置及び閉位置の間で移動させられる。このとき、スイッチ片の移動はケースと基部との間で案内される。同様に、接極子は、スライド部材が開位置及び閉位置にある時にそれぞれ第1受け止め面及び第2受け止め面に受け止められる。また、スイッチ片は開口の内縁に受け止められる。こうした構成によれば、スイッチ片に過度の外力が作用しても、外力は電磁継電器の様々な方向に分散して支持されることが可能である。電磁継電器内では構成部品の破損は抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る電磁継電器10の構造を概略的に示す斜視図である。電磁継電器10は、例えば直方体形状の輪郭を有するケース11を備える。ケース11は、例えば電気絶縁性を有する樹脂材料から一体成形によって形成される。樹脂材料には比較的に小さな表面摩擦係数を有する例えば液晶ポリマー(LCP)が含まれる。例えばケース11の底面には開口12が形成されている。開口14を介してケース11内に後述の構成部品が受け入れられる。開口12内では複数の端子が外側に突き出る。端子の詳細は後述する。その一方で、例えばケース11の上面には、スイッチ片13を受け入れる開口14が形成される。開口14内でスイッチ片13はケース11の外側に突き出る。
【0017】
図1において、本発明に係る電磁継電器10では、ケース11の上面に平行にケース11の長手方向に電磁継電器10の長さ方向が規定される。その一方で、ケース11の上面に平行にケース11の短手方向であって前述の長さ方向に直交する方向に電磁継電器10の幅方向が規定される。また、ケース11の例えば底面から上面に向かう方向であって前述の長さ方向及び幅方向に直交する方向に電磁継電器10の高さ方向が規定される。ここでは、スイッチ片13は、ケース11の上面から電磁継電器10の高さ方向に直立する。後述のように、スイッチ片13は、開口14内でケース11の上面に沿って電磁継電器10の長さ方向に往復移動することができる。この往復移動によって電磁継電器10が手動で操作される。
【0018】
図2は本発明の第1実施形態に係る電磁継電器10の構造を概略的に示す斜視図である。
図2ではケース11の図示が省略されている。
図3は本発明の第1実施形態に係る電磁継電器10の長さ方向の垂直断面図である。
図4は本発明の第1実施形態に係る電磁継電器10の構造を概略的に示す分解斜視図である。
図2〜
図4に示されるように、電磁継電器10は、ケース11内に配置されてケース11に固定される基部すなわちベースブロック15と、ベースブロック15に組み込まれる電磁石装置16と、電磁石装置16から電気的に絶縁されてベースブロック15に組み込まれて開閉動作する接点部17と、接点部17を開ける開位置及び接点部17を閉じる閉位置の間でベースブロック15上にスライド移動自在に支持されるスライド部材18と、を備える。ベースブロック15はその底面でケース11の開口12を塞ぐ。
【0019】
ベースブロック15は、例えば電気絶縁性を有する樹脂材料から一体成形によって形成される。樹脂材料には比較的に小さな表面摩擦係数を有する例えば液晶ポリマーが含まれる。ベースブロック15は、電磁石装置16の一部を収容する有底孔を有する筒状体21と、筒状体21に一体的に形成されて接点部17を確立する支持体22と、を有する。筒状体21はほぼ直方体形状の輪郭を有する。接点部17は、筒状体21から電磁継電器10の長さ方向に配列される第1及び第2固定接点部材23、24と、第1及び第2固定接点部材23、24の間に配置される可動接点部材25と、を備える。支持体22には、これらの接点部材23、24、25を受け入れる複数の受け入れ溝26が形成される。筒状体21は電磁石装置16と接点部17との間で電気的絶縁を確保する。
【0020】
第1及び第2固定接点部材23、24はそれぞれ、相互に離間して対向するブレーク固定接点27及びメーク固定接点28を有する。可動接点部材25は、ブレーク固定接点27及びメーク固定接点28の間に配置される可動接点29を有する。可動接点部材25は、例えばばね用燐青銅の薄板から打ち抜いて形成されるばね板から形成される。可動接点部材25は、スライド部材18のスライド移動に基づき、支持体22によって支持される支持領域を支点に変位することができる。こうして、可動接点29は、スライド部材18が開位置に位置決めされる時にブレーク固定接点27に接触し、スライド部材18が閉位置に位置決めされる時にメーク固定接点28に接触する。第1及び第2固定接点部材23、24並びに可動接点部材25はそれぞれ、ベースブロック15の底面から相互に平行に突き出る1対の接点端子31、31を有する。
【0021】
電磁石装置16は、電磁石32と、電磁石32によって駆動される接極子33と、を有する。
図3から明らかなように、前述の接点部17と接極子33とは、電磁継電器10の長さ方向に規定されるケース11の両端にそれぞれ配置される。電磁石32は、巻枠34と、巻枠34に巻き付けられて巻枠34に支持されるコイル35と、巻枠34の軸心に沿って巻枠34内に受け入れられる鉄心36と、鉄心36に連結されてコイル35の外側に沿って延びる継鉄37と、を備える。巻枠34は電気絶縁性の樹脂成形品から形成される。巻枠34は、中空円筒状の胴部38と、胴部38の長手方向両端に形成されて巻枠34の外周面から胴部38の径方向に環状に広がる第1及び第2鍔部39、41と、を有する。コイル34は、第1及び第2鍔部39、41の間で胴部38に所定の長さで密に巻き付けられる。
【0022】
鉄心36は、コイル35の中心軸線35aに沿って巻枠34の胴部38内に配置される円柱状の軸部42と、軸部42の軸線方向の一端に軸部42に一体的に形成される平板状の頭部43と、を有する。軸部42及び頭部43は例えば磁性鋼から形成される。
図4から明らかなように、頭部43は、コイル35の中心軸線35aに直交する仮想平面に沿って広がるほぼ矩形の平板から形成される。頭部43は、軸部42の径方向に巻枠34の第1鍔部39よりも大きく広がる。ここでは、頭部43は、電磁継電器10の高さ方向に第1鍔部39よりも大きく広がる。頭部43は、第1鍔部39よりも大きく広がる部分に外縁領域43aを形成する。軸部42の軸線方向の他端は巻枠34の第2鍔部41よりも外側に突き出る。
【0023】
継鉄37は、鉄心36の軸部42の軸線方向の他端に例えばかしめによって連結される板状の短尺部分44と、この短尺部分44にほぼ直交しつつ広がる板状の長尺部分45と、を有する。短尺部分44及び長尺部分45は例えば磁性鋼から一体的に形成される。短尺部分44は、コイル35の中心軸線35aに直交する仮想平面に沿って巻枠34の第2鍔部41に沿って広がる。その一方で、長尺部分45は、コイル35の中心軸線35aに平行にコイル35から所定の間隔を空けて広がる。長尺部分45の先端はコイル35の中心軸線35aに沿った方向において鉄心36の頭部43よりも手前で途切れる。こうして長尺部分45の先端に形成される先端領域45aは、鉄心36の頭部43の外縁領域43aに所定のギャップで向き合う。こうして鉄心36と継鉄37とはコイル35の周囲に延びる磁路を形成する。
【0024】
図4から明らかなように、巻枠34の第1鍔部39には、電磁継電器10の長さ方向にさらに延在する端子支持体46が一体的に形成される。端子支持体46は、鉄心36の頭部43の下縁を囲む。端子支持体46にはコイル35に接続される例えば3本のコイル端子47、48、49が取り付けられる。コイル端子47、48、49は、ベースブロック15の底面から外側に突き出る。例えばコイル端子47とコイル端子49との間に電圧が印加されると、コイル35には所定の向きに電流が流れる。その一方で、コイル端子48とコイル端子49との間に電圧が印加されると、コイル35には前述とは逆向きに電流が流れる。こうした電流の流れる向きに応じて前述の磁路で形成される磁束の流れの向きが変化する。
【0025】
接極子33は、相互に同一の形状を有する平板状の第1及び第2導電板要素51、52を有する。第1及び第2導電板要素51、52は例えば磁性鋼から形成される。第1及び第2導電板要素51、52は、コイル35の中心軸線35aに平行に電磁継電器10の長さ方向に配列される。第1及び第2導電板要素51、52は、それぞれコイル35の中心軸線35aに直交する仮想平面に沿って広がる。第1及び第2導電板要素51、52の間には直方体形状の永久磁石53が挟み込まれる。永久磁石53は、第1及び第2導電板要素51、52の上端に隣接して配置される。永久磁石53にはコイル35の中心軸線35aに平行に磁化方向が規定される。永久磁石53では、磁化方向に沿って規定される両端にそれぞれN極及びS極が形成される。この両端に第1及び第2導電板要素51、52がそれぞれ取り付けられる。本実施形態では、第1導電板要素51の下端は、鉄心36の外縁領域43aと継鉄37の先端領域45aとの間に配置される。
【0026】
接極子33はスライド部材18に取り付けられる。スライド部材18は平面視でほぼ矩形の輪郭を有する枠体から形成される。スライド部材18は、例えば電気絶縁性を有する樹脂材料から一体成形によって形成される。樹脂材料には比較的に小さな表面摩擦係数を有する液晶ポリマー(LCP)が含まれる。スライド部材18では、矩形の輪郭の長軸はコイル35の中心軸線35aに平行に規定される。前記長軸は電磁継電器10の長さ方向に沿って規定される。スライド部材18は、長軸に沿って相互に平行に延びる1対の長尺片55、55と、長軸に沿った一端で長尺片55、55同士を相互に連結する短尺片56と、短尺片56よりも長軸に沿って他端側に配置されて長尺片55、55同士を相互に連結する連結片57、58を備える。
【0027】
その一方で、ベースブロック15の底面から立ち上がる筒状体21の両側面には電磁継電器10の長さ方向に相互に平行に延びる1対の案内面61、61が形成される。案内面61は例えばベースブロック15の底面に平行に広がる。案内面61、61は、長尺片55、55の下縁にそれぞれ形成される突片62、62を受け止める。突片62、62は、相互に内側に突き出る突起(図示せず)をそれぞれ有する。突起は、案内面61、61に隣接して筒状体21の両側面にそれぞれ形成される案内溝63、63にそれぞれ受け入れられる。また、連結片58は、筒状体21の上面に形成される平坦なスライド面64に受け止められる。その結果、案内溝63、63及びスライド面64の案内によってスライド部材18は電磁継電器10の長さ方向にベースブロック15に対してスライド移動することができる。
【0028】
長軸に沿った長尺片55、55の他端にはそれぞれ、長軸に沿って延びて前述の可動接点部材25に係合する係合端65、65が形成される。係合端65の端面には長軸に沿って突き出る突部66、66がそれぞれ形成される。突部66は、可動接点部材25に形成される係合孔67に受け入れられて可動接点部材25に係合した状態で保持される。その結果、スライド部材18がスライド移動すると、突部66と係合孔67との係合によって可動接点部材25の変位が引き起こされる。こうして可動接点部材25の可動接点29は、第1及び第2固定接点部材23、24のブレーク固定接点27及びメーク固定接点28のいずれか一方に接触すると同時にいずれか他方と離間して配置される。
【0029】
スライド部材18では、例えば連結片58は長尺片55、55の上縁に沿って広がる平板から形成される。前述のスイッチ片13が連結片58の上面に一体的に形成される。スイッチ片13は、コイル35の中心軸線35aに直交する仮想平面に沿って広がる平板から形成される。平板は平面視でほぼ矩形に形成される。本実施形態では、スイッチ片13は、電磁継電器10の長さ方向において、接点部17と接極子33との間の中間位置から接点部17側に偏倚して配置される。連結片56と連結片57との間に例えば接着剤によって接極子33が固定される。接極子33の上面はスライド部材18の上面すなわち長尺片55の上縁に例えば面一に配置される。こうしてスライド部材18は、ケース11の上面の内壁とベースブロック15との間にスライド移動自在に配置される。
【0030】
次に、電磁継電器10の動作を説明する。電磁継電器10の非動作時、
図3に示されるように、スライド部材18は開位置に位置決めされている。可動接点部材25はばねの弾性力によってブレーク固定接点27に可動接点29を押し付けている。可動接点29はメーク固定接点26から離間して配置される。このとき、接極子33は休止位置に位置決めされる。休止位置では、接極子33では第2導電板要素52の内向き面に対向する第1導電板要素51の内向き面が、長尺部分45の先端領域45aの端面に向き合う頭部43の外縁領域43aの内向き面に受け止められる。すなわち、本実施形態では外縁領域43aの内向き面が第1受け止め面を構成する。第2導電板要素52の内向き面は頭部43の外縁領域43aの外向き面から離間して配置される。このとき、
図5に示されるように、永久磁石53の働きで接極子33内には磁束の流れが生成されている。その結果、第1導電板要素51と頭部43の外縁領域43aとの間には磁気吸引力が作用している。
【0031】
この休止位置で、例えばコイル端子47とコイル端子48との間に電圧が印加されると、コイル35には所定の向きに電流が流れる。その結果、
図6に示されるように、鉄心36及び継鉄37には鉄心36と接極子33との間で反発が生じる方向に磁束の流れが生成される。こうして第1導電板要素51が頭部43の外縁領域43aに対して反発すると同時に第2導電板要素52が外縁領域43aに向かって吸引される。その結果、
図7に示されるように接極子33は作動位置に直線的に変位する。この変位によってスライド部材18は閉位置に向かってベースブロック16上を直線的にスライド移動する。こうしてスライド部材18は、接点部17を閉じる閉位置に位置決めされる。
【0032】
図8に示されるように、第1導電板要素51は継鉄37の先端領域45aの端面に受け止められる。すなわち、本実施形態では先端領域45aの端面が第2受け止め面を構成する。その一方で、第2導電板要素52は頭部43の外縁領域43aの外向き面から離間して配置される。このとき、可動接点部材25は、ブレーク固定接点27から可動接点29を離間させると同時にメーク固定接点28に可動接点29を押し付ける。鉄心36、継鉄37及び接極子33には全体で1つの磁束の流れが生成される。その結果、第1導電板要素51と継鉄37の先端領域45aとの間、及び、第2導電板要素52と頭部43の外縁領域43aとの間に磁気吸引力が作用する。こうして、その後にコイル端子47、49への電圧の印加が停止されても、可動接点部材25の弾性力に抗して可動接点29は、メーク固定接点28に接触しつつ安定的に保持される。
【0033】
その一方で、例えばコイル端子47とコイル端子48との間に電圧が印加されると、コイル35には前述とは逆向きに電流が流れる。その結果、
図9に示されるように、鉄心36及び継鉄37には継鉄37と接極子33との間に反発が生じる方向に磁束の流れが生成される。その結果、第1導電板要素51が継鉄37の先端領域45aに対して反発すると同時に頭部43の外縁領域43aに向かって吸引される。その結果、接極子33は前述の休止位置に向かって直線的に変位する。この変位によってスライド部材18は開位置に向かってベースブロック16上を直線的にスライド移動する。こうしてスライド部材18は、接点部17を開ける開位置に位置決めされる。第1導電板要素51は頭部43の外縁領域43aの内向き面に受け止められる。その一方で、第2導電板要素52は頭部43の外向き面から離間して配置される。
【0034】
スライド部材18のスライド移動によって可動接点部材25は、メーク固定接点28から可動接点29を離間させると同時にブレーク固定接点27に可動接点29を押し付ける。前述のように、永久磁石53の働きで接極子33内には磁束の流れが生成される。その結果、第1導電板要素51と頭部43の外縁領域43aとの間には磁気吸引力が作用する。加えて、可動接点部材25のばねの弾性力は、可動接点29をブレーク固定接点27に向かって押し付ける方向に作用する。従って、その後にコイル端子47、49への電圧の印加が停止されても、可動接点29は、ブレーク固定接点28に接触して安定的に保持される。
【0035】
以上のような電磁継電器10では、例えば動作試験の目的でスイッチ片13の手動操作によってスライド部材18が開位置及び閉位置の間で強制的に移動させられる。すなわち、接極子33が休止位置と作動位置との間で強制的に移動させられる。例えば動作試験のオペレータは電磁継電器10の長さ方向にスイッチ片13を移動させる。接極子33が休止位置に配置されると、スイッチ片13は開口14内で開口14の一端に配置される。スイッチ片13が開口14内で開口14の他端に向かって動かされると、スライド部材18のスライド移動によって接極子33は休止位置から作動位置に向かって動かされる。同様に、スイッチ片13が開口14内で開口14の他端から一端に向かって動かされると、スライド部材18のスライド移動によって接極子33は作動位置から休止位置に向かって動かされる。
【0036】
このとき、スイッチ片13の移動はケース11の上面の内壁とベースブロック16の上面との間で案内される。その結果、電磁継電器10の高さ方向にスイッチ片13に作用する外力はケース11及びベースブロック16で支持される。同様に、第1導電板要素51は鉄心36の頭部43と継鉄37の長尺部分45とに受け止められる。その結果、電磁継電器10の長さ方向にスイッチ片13に作用する外力は第1導電板要素51、鉄心36及び継鉄37で支持される。加えて、電磁継電器10の幅方向に規定されるスイッチ片13の両側端は開口14の内縁に受け止められる。その結果、電磁継電器10の幅方向にスイッチ片13に作用する外力は開口14の内縁で支持される。こうした構成によれば、スイッチ片13に過度の外力が作用しても、外力は電磁継電器10の長さ方向、幅方向、及び高さ方向にそれぞれ異なる部分で分散して支持される。電磁継電器10内では構成部品の破損は抑制される。
【0037】
図10及び
図11は本発明の第2実施形態に係る電磁継電器10aの構造を概略的に示す断面図である。なお、前述の第1実施形態と均等な構成要素には同一の参照符号が付される。この電磁継電器10aは、接極子33が鉄心36及び継鉄37に受け止められる位置が異なる点で、前述の電磁継電器10と異なる。この電磁継電器10aでは、鉄心36の頭部43の外縁領域43aと継鉄37の長尺部分45の先端領域45aとの間のギャップが前述の第1実施形態よりも大きく設定されている。
図10に示される休止位置では、第1実施形態と同様に、第1導電板要素51の内向き面が外縁領域43aの内向き面に受け止められる。その一方で、
図11に示される作動位置では、第1導電板要素51が先端領域45aの端面から離間して配置される一方で、第2導電板要素52の内向き面が外縁領域43aの外向き面に受け止められる。すなわち、本実施形態では頭部43の外縁領域43aの外向き面が第2受け止め面を構成する。
【0038】
こうした電磁継電器10aによれば、前述の電磁継電器10と同様の作用効果が実現される。さらに、鉄心36の頭部43の外縁領域43aと継鉄37の長尺部分45の先端領域45aとの間のギャップが前述の第1実施形態よりも大きく設定されていることから、第1実施形態と比較すると、休止位置にある接極子33内でより安定した磁束の流れが生成される。すなわち、第1導電板要素51は外縁領域43aにより大きな磁気吸引力で受け止められる。従って、電磁継電器10aに衝撃が加えられる場合、第1実施形態に比べて、接極子33では大きな衝撃によっても移動が十分に規制される。また、こうした鉄心36の頭部43の外縁領域43aと継鉄37の長尺部分45の先端領域45aとの間のギャップの調整によって、電磁石32と接極子33との相対配置の自由度を向上させることができる。
【0039】
図12は本発明の第3実施形態に係る電磁継電器10bの構造を概略的に示す斜視図である。
図12ではケース11の図示が省略されている。なお、前述の第1実施形態と均等な構成要素には同一の参照符号が付される。この電磁継電器10bではスイッチ片13が連結片57の上面に一体的に形成される。すなわち、スイッチ片13は、接点部17と接極子33との間の中間位置よりも接極子33側に偏倚して配置されている。ケース11の開口14はスイッチ片13の位置に応じて変更される。こうした電磁継電器10bによれば、電磁継電器10bの高さ方向にスイッチ片13に作用する外力が例えば連結片57から継鉄37に作用する。こうして継鉄37で外力が支持される。また、前述の第1及び第2実施形態に比べてスイッチ片13が接点部17から遠ざけられることから、たとえ開口14を介してケース11内に塵埃が進入したとしても、接点部17への影響を抑制することができる。
【0040】
図13は本発明の第4実施形態に係る電磁継電器10cの構造を概略的に示す斜視図である。なお、前述の第1実施形態と均等な構成要素には同一の参照符号が付される。この電磁継電器10cでは、スイッチ片13が、電磁継電器10cの高さ方向にケース11の上面から突き出るにつれて先細る。本実施形態では、スイッチ片13は例えば角錐台形状に形成される。こうした電磁継電器10cによれば、スイッチ片13の操作にあたってスイッチ片13に作用する外力のうち、スイッチ片13をケース11内に押し込む成分が著しく大きくなることが予想される。スライド部材18は突片62や連結片58でベースブロック16に受け止められることから、ベースブロック16は電磁継電器10cの高さ方向に比較的に大きな外力を支持することができる。こうして接極子33や接点部17への外力の分散を減少させることができる。
【0041】
また、電磁継電器10cでは、スイッチ片13は角錐台形状に形成されることから、平板状に形成されるスイッチ片13と比べて、スイッチ片13の折れといった破損を抑制することができる。なお、角錐台形状のスイッチ片13は、連結片58の上面から直立する第1実施形態のスイッチ片13に比べて小さな角度で立ち上がる傾斜面を有する。その結果、電磁継電器10cの幅方向に外力が作用した場合に、スイッチ片13の外縁と開口14の内縁との間で第1実施形態のスイッチ片13に比べて外力を支持しにくいことが予想される。しかしながら、こうした外力は、例えばスライド部材18の長尺片55とケース11の側面の内壁との間で支持されることが可能である。こうして電磁継電器10cの幅方向に作用する外力は前述と同様に支持されることが可能である。なお、スイッチ片13は例えば円錐台形状に形成されてもよい。
【0042】
図14は本発明の第5実施形態に係る電磁継電器10dにおけるスライド部材18の構造を概略的に示す斜視図である。スライド部材18以外の構造は前述の第1実施形態と同様であるので、ここでの重複した説明は省略する。この電磁継電器10dでは、スライド部材18の連結片58に、スイッチ片13の周囲を少なくとも部分的に囲むとともに連結片58の上面から窪む凹溝71が形成される。本実施形態では、凹溝71は、スイッチ片13の輪郭の全周囲を囲むように形成される。こうした電磁継電器10dによれば、連結片58に凹溝71が形成されていない場合に比べて、スライド部材18とケース11との間に形成される隙間からケース11内に進入しようとする塵埃が凹溝65内に捕獲される。従って、ケース11内に進入する塵埃の量を減少させることができる。
【0043】
以上のような電磁継電器10〜10dでは、ケース11は少なくとも部分的に透明な材料から形成されてもよい。透明な材料には例えば透明なポリカーボネート(PC)といった樹脂材料が含まれる。ケース11の全体が透明な材料から形成されてもよい。ケース11が透明な材料から形成されることによって、電磁継電器10〜10dの手動操作時にオペレータは例えば接点部17の動作を視認することができる。その結果、オペレータは、ベースブロック16にケース11が取り付けられた状態で、電磁継電器10〜10dが正常に動作しているか否かを確認することができる。
【0044】
また、以上のような電磁継電器10〜10dでは、ケース11やスライド部材18、ベースブロック16が、比較的に小さな表面摩擦係数を有する液晶ポリマーから形成されることから、スライド部材18のスライド移動時、ケース11の内壁とスライド部材18との接触や、スライド部材18とベースブロック16との接触にあたって生成される摩擦は軽減される。その結果、ケース11の内壁やスライド部材18、ベースブロック16の摩耗は抑制される。なお、ケース11、スライド部材18及びベースブロック16のいずれか1つが少なくとも液晶ポリマーから形成されても、同様の作用効果を実現することができる。