(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行するメイン基板と、前記メイン基板からコマンドを受けて演出に関する処理を実行するサブ基板と、前記演出を行うためのデバイスとと、前記サブ基板からのコマンドに基づき前記デバイスを制御するデバイス制御基板とを備える遊技機において、
前記コマンドは、少なくとも、前記デバイスに所定の動作を行わせる親コマンドと、前記親コマンドによる前記所定の動作を取り消すための子コマンドに区別され、
前記コマンドは、前記親コマンドと前記子コマンドを区別するための保障ビットと、前記所定の動作に関する演出識別子とを含み、
前記サブ基板は、
前記保障ビットをセットして前記所定の動作を行わせる親コマンドを生成し、
前記保障ビットをリセットして前記所定の動作を取り消すための子コマンドを生成し、
前記保障ビットに基づき前記親コマンドを優先して前記デバイス制御基板へ送信するものであり、
前記デバイス制御基板は、
前記親コマンド、前記子コマンドを含むコマンドを受信し、
前記親コマンドを受信したときは、前記親コマンドの前記演出識別子に基づき前記デバイスに所定の動作を行わせ、
前記子コマンドを受信したときは、前記親コマンドによる前記デバイスの動作の内容を取得し、取得した前記動作の内容に基づき前記所定の動作を取り消すものであり、
前記保障ビットがセットされていない前記子コマンドは、前記親コマンドよりも送信の優先度が低く送信されない可能性があるものであり、
前記保障ビットがセットされている前記親コマンドは、優先して前記デバイス制御基板へ送信される、ことを特徴とする遊技機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶表示装置において所定の画像を表示するためには、サブ基板からコマンドを送信する。アニメーションなどにより演出を行う際には、多数のコマンドを連続的に次々と送信する必要がある。遊技者の操作状況や演出の内容によっては送信するコマンドが非常に多数となり、送受信処理及び演出用デバイスの制御処理が追いつかない場合がある。例えば、送受信すべきコマンドが非常に多数になると、送信側(サブ基板)においてコマンドを一時的に蓄えるバッファが足りなくなり(バッファオーバーフロー)、コマンドが失われたり、受信側(デバイス基板)において連続して受信した複数のコマンドの一部が実行されることなく破棄されるといったことが生じる。このような状態は、例えば、スロットマシンのスタートレバーやストップボタンを遊技者が早押しするような場合に生じることがある。
【0006】
このような状態を避けるために、送信するコマンドの数を減らしたり、その種類を削減することで処理負荷を軽減することが考えられる。しかし、不用意に削減すると肝心の演出処理に不具合が生じることがある。
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、送信するコマンドの種類を減らしつつ、そのことによる不具合の発生を抑止することのできる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行するメイン基板と、前記メイン基板からコマンドを受けて演出に関する処理を実行するサブ基板と、前記演出を行うためのデバイスとと、前記サブ基板からのコマンドに基づき前記デバイスを制御するデバイス制御基板とを備える遊技機において、
前記コマンドは、少なくとも、前記デバイスに所定の動作を行わせる親コマンドと、前記親コマンドによる前記所定の動作を取り消すための子コマンドに区別され、
前記コマンドは、前記親コマンドと前記子コマンドを区別するための保障ビットと、前記所定の動作に関する演出識別子(演出ID)とを含み、
前記サブ基板は、
前記保障ビットをセットして前記所定の動作を行わせる親コマンドを生成し、
前記保障ビットをリセットして前記所定の動作を取り消すための子コマンドを生成し、
前記保障ビットに基づき前記親コマンドを優先して前記デバイス制御基板へ送信するものであり、
前記デバイス制御基板は、
前記親コマンド、前記子コマンドを含むコマンドを受信し、
前記親コマンドを受信したときは、前記親コマンドの前記演出識別子に基づき前記デバイスに所定の動作を行わせ、
前記子コマンドを受信したときは、前記親コマンドによる前記デバイスの動作の内容(設定情報)を取得し、取得した前記動作の内容に基づき前記所定の動作を取り消すものであり、
前記保障ビットがセットされていない前記子コマンドは、前記親コマンドよりも送信の優先度が低く送信されない可能性があるものであり、
前記保障ビットがセットされている前記親コマンドは、優先して前記デバイス制御基板へ送信される、ものである。
【0009】
前記サブ基板は、生成したコマンドを一時的に蓄えるバッファを備え、
前記サブ基板は、
前記バッファが一杯で前記コマンドを書き込めないとき、
生成したコマンドについて前記保障ビットの有無を調べ、
前記保障ビットを備えるコマンドは最優先で前記デバイス制御基板へ送信し、
前記保障ビットを備えないコマンドは破棄する、ようにしてもよい。
【0010】
前記デバイスの前記所定の動作が複数存在し、これに対応して前記親コマンドが複数存在し、
前記コマンドは、さらに、前記複数の親コマンドと前記子コマンドを関連付けるための保障識別子(保障ID)を含み、
前記サブ基板は、
生成した前記親コマンドの前記保障識別子をセットすることで前記複数の親コマンドのうちの特定の親コマンドを指定し、
生成した前記子コマンドの前記保障識別子を前記特定の親コマンドに対応するものにセットすることで前記特定の親コマンドに対応する特定の前記子コマンドを指定するものであり、
生成したコマンドについて前記保障ビットの有無を調べ、当該コマンドが前記保障ビットを備えないときに、前記保障識別子を調べ、
当該コマンドの前記保障識別子に対応する前記特定の親コマンドの送信の有無を調べ、
前記特定の親コマンドを送信しているとき当該コマンドを破棄し、
前記特定の親コマンドを送信していないとき、リセットを含むエラー処理を行う、ようにしてもよい。
【0011】
前記デバイスの前記所定の動作が複数存在し、これに対応して前記親コマンドが複数存在し、
前記コマンドは、さらに、前記複数の親コマンドと前記子コマンドを関連付けるための保障識別子(保障ID)を含み、
前記サブ基板は、
生成した前記親コマンドの前記保障識別子をセットすることで前記複数の親コマンドのうちの特定の親コマンドを指定し、
生成した前記子コマンドの前記保障識別子を前記特定の親コマンドに対応するものにセットすることで前記特定の親コマンドに対応する特定の前記子コマンドを指定し、
前記デバイス制御基板は、
前記特定の親コマンド及び前記特定の子コマンドを含むコマンドを受信し、
前記特定の親コマンドを受信したときは、前記特定の親コマンドの前記演出識別子に基づき前記デバイスに所定の動作を行わせ、
前記特定の子コマンドを受信したときは、前記特定の子コマンドの前記保障識別子に基づき関連付けられている前記特定の親コマンドによる前記デバイスの動作の内容(設定情報)を取得し、取得した前記動作の内容に基づき前記所定の動作を取り消す、ようにしてもよい。
【0012】
前記サブ基板は、
前記保障ビットがセットされていない前記特定の子コマンドを送信するとき、当該特定の子コマンドの前記保障識別子により関連付けられた前記特定の親コマンドが送信されているかどうか判定し、
当該特定の親コマンドが送信されていないときは、当該特定の子コマンドの送信を待ち、
当該特定の親コマンドの送信の後に当該特定の子コマンドを送信する、ようにしてもよい。
【0013】
前記サブ基板は、優先して送信する第1バッファと、前記第1バッファよりも送信の優先度の低い第2バッファとを備え、
前記サブ基板は、前記親コマンドを最優先で送信するために、前記保障ビットがセットされているコマンドを前記第1バッファに格納し、そうでないコマンドを前記第2バッファに格納し、コマンドを送信するときはまず前記第1バッファのコマンドを読み出して送信し、前記第1バッファが空になったらその後に前記第2バッファのコマンドを送信する、ようにしてもよい。
【0014】
前記デバイスは、表示装置であり、
前記デバイス制御基板は、前記表示装置の制御基板であり、
前記親コマンドは、前記表示装置に着色された要素(アイテム)を出現させるための色出現コマンドであり、
前記子コマンドは、前記着色された要素を消去するための消去コマンドである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コマンドに保障ビットを設け、当該保障ビットがセットされているときは当該コマンドを常に送信することにより、送信するコマンドの種類を減らすことができる。
【0016】
しかも、親コマンドを送受信しないことにより子コマンドの動作が不良になることを抑止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、
図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
【0019】
図1及び
図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、
図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、
図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
【0020】
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
【0021】
スロットマシン本体120の内部には、
図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴からなるリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1回胴〜第3回胴)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
【0022】
前記前扉130の裏面には、
図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
【0023】
また、メダルセレクタ1の下側には、
図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0024】
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
【0025】
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
【0026】
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
【0027】
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0028】
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リールユニット(リール駆動装置を含む)203,リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(デバイス制御基板)が接続されている。周辺基板とは、サブ基板20により制御されるものであり、主に映像、光、音響により演出を行うものである。なお、以下の説明では、便宜上、液晶制御基板200とその他の周辺基板を区別して説明を行う。
【0029】
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
【0030】
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
【0031】
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
【0032】
投入受付部1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
【0033】
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
【0034】
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0035】
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1050から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
【0036】
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
【0037】
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0038】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
【0039】
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0040】
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
【0041】
リール制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動して、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
【0042】
また、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
【0043】
すなわち、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
【0044】
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
【0045】
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるリールインデックス(図示せず)を備えており、リール制御手段1300は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0046】
リール制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
【0047】
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
【0048】
入賞判定手段1400は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
【0049】
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0050】
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
【0051】
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0052】
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
【0053】
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
【0054】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
【0055】
リールユニット203は、図示しない3つのリールを備えるが、3つのリールそれぞれにひとつづつステッピングモータが取り付けられている。ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンのリールの回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
【0056】
次に、遊技機における遊技処理について
図4を参照して説明を加える。
一般的に、遊技機において、メダルの投入(クレジットの投入)に始まり、払い出しが終了するまで(又はクレジット数の増加が終了するまで)が一遊技である。一遊技が終了するまでは次回の遊技に進めないという決まりがある。
【0057】
先ず、規定枚数のメダルが投入されることでスタートスイッチ134が有効になり、
図4の処理が開始される。
【0058】
ステップS1において、スタートスイッチ134が操作されることにより、スタートスイッチ134がONとなる。そして、次のステップS2に進む。
【0059】
ステップS2において、メイン基板10により抽選処理が行われる。そして、次のステップS3に進む。
【0060】
ステップS3において、第1リール〜第3リールの回転が開始する。そして、次のステップS4に進む。
【0061】
ステップS4において、ストップボタン140が操作されることにより、ストップボタン140がONとなる。そして、次のステップS5に進む。
【0062】
ステップS5において、第1リール〜第3リールのうち押下されたストップボタン140に対応するリールについて回転停止処理が行われる。そして、次のステップS6に進む。
【0063】
ステップS6において、三個のリールに対応するストップボタン140の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個のリールに対応する3つのストップボタン140すべての操作が行われたと判定された場合、次のステップS7に進む。
【0064】
ステップS7において、抽選フラグ成立中に当該抽選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。そして、入賞が確定したと判定された場合、次のステップS8に進む。なお、入賞が確定しなかったときは、抽選フラグが成立していてもメダルの払い出しは行われない。
【0065】
ステップS8において、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
【0066】
メダルの投入からステップS8の実行完了までが、一遊技である。ステップS8の待機処理が終了すると、処理はフローチャートの最初に戻る。言い換えれば、次の遊技が可能な状態になる(次遊技へ移行する)。
【0067】
図5は、サブ基板20とその周辺基板(デバイス制御基板)の接続の説明図である。
図3に示すように、サブ基板20には、液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202が接続されている。これらは、サブ基板20の周辺基板と言うべきものである。
【0068】
これら複数の周辺基板は、
図5のように接続されている(スピーカ基板201の表示は省略している)。すなわち、複数の周辺基板が共通のバスに接続され、当該バスを通じてサブ基板20と通信を行う。当該バスを流れる信号は、パラレル信号(例えば8ビットの線で信号を伝送するもの)あるいはシリアル信号(例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)のようにデータ線とクロック線の2本の線で信号を伝送するもの)である。なお、
図5の例ではサブ基板20から出た信号がサブ基板20に戻っているが、これは一例であり、一般的なバス構造のように接続端の反対側の端が開放されていてもよい。
【0069】
サブ基板20から周辺基板へは、アドレスを指定してデータを送る。例えば、周辺基板としての液晶制御基板200へデータを送る場合は、液晶制御基板200に予め対応づけられているアドレスを指定してデータをバスに流す。液晶制御基板200は、アドレスにより自分宛のデータであることを認識すると、アドレスに引き続くデータをラッチに取り込む。取り込んだデータに従って所定の動作を行う。取り込んだデータが、液晶制御基板200で取得したあるいは取得可能なデータをサブ基板20へ送信するコマンドであれば、当該データをサブ基板20へ送信する(所定のデータ受信後は、予め定められたデータを常にサブ基板20へ送信するようにすることもできる)。
【0070】
以下の説明では、サブ基板20から液晶制御基板200へコマンドを送り、表示画面を制御することを例にとる。特に、画面に表示されているアイテム(要素)に着色することで内部当選を報知するという「色ナビ」の処理を通じて、本発明の実施の形態に係る動作について説明を加える。
【0071】
色ナビのごく簡単な例を
図8に示す。
図8(a)乃至(d)は液晶表示装置LCDの表示画面を模式的に示したものである。符号L,C,Rはそれぞれ画面に表示される左・中・右のアイテム(要素)であり、説明の便宜上、円形で示している。3つのアイテムが横一列に配置されている。
【0072】
所定の状態になると(例えば所定の役の内部当選状態になると)、
図8(a)のように3つのアイテムL乃至Rが青に着色される。色は状態に応じて指定される。そして、同図(b)のように第1停止でアイテムLの色が消去され(第1停止で左のストップボタンが押下されたとする)、同図(c)のように第2停止でアイテムCの色が消去され(第2停止で真ん中のストップボタンが押下されたとする)、同図(d)のように第3停止でアイテムRの色が消去される(第2停止で真ん中のストップボタンが押下されたとする)。
【0073】
上記例は既に表示されているアイテムに着色するというものであるが、これに代えて所定の状態になると着色されたアイテムを表示するようにしてもよい。この場合は、後述の親コマンドが、液晶表示装置に着色されたアイテム(要素、
図8参照)を出現させるための色出現コマンドであり、後述の子コマンドは、既に表示されているアイテム(着色されたもの)を消去するための消去コマンドである。このやり方は、前述のやり方と比べてアイテムの出現タイミングの点で異なるのみであるから、後者の場合においても前述の場合と同様の処理手順を適用することができる。以下の説明では、もっぱら前者の場合を例に取り説明を加えるが、後者の場合にも適用できることは言うまでもない。
【0074】
このように、色ナビではアイテムの着色とその消去の動作を行うために2種類のコマンドを使用している。いわゆる早押しが行われるとコマンドが次々に発生して前述のようにコマンドが破棄されるおそれがあるが、以下に説明する処理によりそのことに起因する問題を解決している。なお、色ナビに関するコマンドについては後に詳しく説明する。
【0075】
図6は、サブ基板20の機能ブロック図である。同図は、コマンド(特に、以下に説明する親コマンドと子コマンド)の生成及び送信処理の部分のみを示す。同図の装置は、具体的には、サブ基板20に設けられたCPUがメモリ(ROM)に予め記憶されたプログラムを実行することで実現される。
【0076】
20aは、コマンドを生成するコマンド生成部である。ここで生成するコマンドは、色ナビのコマンドである。すなわち、アイテムの着色のコマンド(親コマンド)と着色した色の消去のコマンド(子コマンド)である。
【0077】
親コマンドはデバイスに所定の動作を行わせるコマンドであり、子コマンドは親コマンドによる所定の動作を取り消すためのコマンドである。
【0078】
コマンドの構造を
図9に示す。このコマンドは、親コマンドであるか子コマンドであるかを識別するための保障ビット(0が子コマンドであり、1が親コマンドである)、子コマンドがどの親コマンドに関連するものであるかを判定するための保障ID(親子関係を規定する識別情報)、及び、液晶表示装置の画面にどのような処理を行うかを指定する設定情報(液晶表示装置の動作の内容を規定する情報)を含むものである。設定情報は、演出のステージ(段階)を示すステージIDと当該ステージにおける具体的な演出内容を指定する演出IDを含む。
【0079】
保障IDは、親コマンドが複数存在するときに、特定の親コマンドを子コマンドに関連付けるための保障識別子である。演出IDは、デバイスの所定の動作に関する演出識別子(例えば演出の内容を指定するパラメータ)である。
【0080】
保障IDは、例えば1から7のいずれかの値を取る。2つの親子のコマンド間で保障IDが一致すればそれらは関連付けられたものであり、子コマンドで色の消去(動作の取り消し処理)を行うことになる。保障IDが一致しなければ色の消去は行わない。
【0081】
コマンド生成部20aは、親コマンドを生成するときは保障ビット=1とし(セット)、子コマンドを生成するときは保障ビット=0とする(リセット)。
【0082】
20bは、保障ビットの状態、すなわちセット(=1)されているか、リセット(=0)されているかを判定する保障ビット判定部である。
【0083】
20cは、生成されたコマンドを送信するコマンド送信部である。コマンド送信部20cは、保障ビットの状態に応じて次の(ア)(イ)いずれかの処理を行う。
【0084】
(ア)保障ビットがセットされていないコマンドは、液晶制御基板200へ送信するかどうか判断し、送信すると判断したコマンドを送信する。
【0085】
これは通常の処理(従来の遊技機で行われていた処理)である。すなわち、コマンドを図示しないバッファに一時的に格納し、所定のタイミングで例えば格納順に(First In First Outで)取り出して送信する。遊技者が早押しするなどの理由でコマンドが多数発生すると、バッファがオーバフローし一部のコマンドが失われる可能性がある。
【0086】
(イ)保障ビットがセットされているコマンドであれば、当該親コマンドを常に液晶制御基板(デバイス制御基板)200へ送信する。
【0087】
これは発明の実施の形態に係る特有の動作であり、(ア)とは異なり、これにより保障ビットがセットされているコマンドは失われることがない。
【0088】
例えば、保障ビットがセットされているコマンドがバッファに格納されると、その内部で保障ビットの有無がチェックされ、保障ビットのセットされているコマンドが優先して先に読み出されるように並び替えられる。この結果、読み出し順は格納順ではなく、保障ビット順(優先順)になる。この動作は、サブ基板20のCPUの処理により実現されるか、あるいは図示しないバッファ自体の機能として実現される。後者の場合、例えば、保障ビット=1のデータを優先して読み出すというロジック回路を構成するようにする。
【0089】
なお、この読み出し順の変更は必須ではなく、行わないようにしてもよい。この場合、コマンドの格納順に送信が行われることになる。この場合は、オーバーフローなどが起きて(従来は)コマンドが破棄されるような場合でも、保障ビットがセットされているコマンドは必ず送信される。オーバーフローにより破棄対象であるコマンドを調べ、保障ビットがセットされているときは、当該コマンドを必ず送信するようにする。
【0090】
あるいは、バッファの読み出しの際に保障ビットをチェックし、保障ビットがセットされていれば当該コマンドを読み出して送信するが、セットされていなければ次のコマンドの保障ビットを判定する。そして、バッファの最後まで読み出しを終えてからバッファの最後に戻り、これ以降は保障ビットがセットされていないコマンドについても順番に読み出して送信するようにする。
【0091】
また、優先して送信する第1バッファと、優先度の低い第2バッファの2種類のバッファを備え、保障ビットがセットされているコマンドは第1バッファに格納し、そうでないコマンドは第2バッファに格納し、コマンドを送信するときはまず第1バッファのコマンドを読み出して送信し、第1バッファが空になったらその後に第2バッファのコマンドを送信するようにすることもできる。
【0092】
なお、上記(ア)の「保障ビット」に関する判断を行わないやり方もある。すなわち、コマンドを送信するかどうかの判断を行わずに基本的に全てを送信し、保障ビットがある場合には、オーバーフローなどが起きて(従来は)コマンドが破棄されるような場合でも、保障ビットがセットされているコマンドは必ず送信する、ようにしてもよい。要するに、通常のコマンド送信処理においては保障ビットに関する処理は行わず、オーバーフローなどの異常時(従来はコマンドが失われていた場合)において保障ビットの有無を調べ、保障ビットのあるコマンドは必ず送信するようにする。
【0093】
図7は、液晶制御基板(デバイス制御基板)200の機能ブロック図である。同図は、コマンド(特に、以下に説明する親コマンドと子コマンド)の受信及びこれに基づく演出処理(着色・色消去)の部分のみを示す。
【0094】
2001は、サブ基板20からコマンドを受信するコマンド受信部である。
【0095】
2002は、受信したコマンドを解読するコマンド解読部である。コマンド解読部2002は、保障ビットのセット/リセットを調べることにより、親コマンド(色ナビ出現コマンド)と子コマンド(色ナビ消去コマンド)を区別するものであるが、これ以外の機能を備えるものであってもよい。なお当該区別を行う必要のないときは、受信したコマンドの演出ID(演出内容)を解析して実行するだけで足りる。
【0096】
2003は、コマンド解読部2002から親コマンド(色ナビ出現コマンド)を受けて、当該親コマンドの演出ID(演出識別子)に基づき液晶表示装置(デバイス)のアイテムを着色する動作(所定の動作)を行わせるとともに、当該動作の内容を保持し、これを着色指示部2004へ送る着色処理部である。
【0097】
2004は、コマンド解読部2002から子コマンド(色ナビ消去コマンド)を受けて、着色処理部2003から前記親コマンドによるデバイスの動作の内容(設定情報)を取得する着色識別部である。デバイスの動作の内容(着色情報)が複数あるときは、コマンドの保障IDに基づき対応する動作内容(着色情報)を選択する。すなわち、演出実行の際には演出IDを参照して動作内容を選択する。演出IDには、例えば、演出の種類・表示タイミングなどが規定されている。この場合は演出ID自身が動作内容を指示する情報を保持していることになる。なお、演出IDが単にインデックスであり、動作内容を指示する情報を保持する場所を指定し、当該場所から必要な情報を読み出して所定の動作を行うようにしてもよい。
【0098】
2005は、着色識別部2004で取得した動作の内容に基づき所定の動作を取り消す着色処理部である。
【0100】
図10は、親コマンド(色ナビ出現コマンド)の例を示す。所定の条件が揃ったとき、スタートスイッチ(レバー)134を押下すると
図10のコマンドのいずれかが液晶制御基板200へ送られる。この図からわかるように、白、青、黄、緑、赤の5色でナビを行うために5種類のコマンドCNV W〜CNV Rが存在する。
【0101】
図11は、子コマンド(色ナビ消去コマンド)の例を示す。3つのストップスイッチ140のいずれかが押下されると、それぞれ対応するコマンドが液晶制御基板200へ送られる。左のストップスイッチ140が押下されると左の色ナビ消去コマンドが送信される。中、右のストップスイッチ140についても同様である。同図の例では各コマンドは色ナビ出現コマンドで着色した色を読み出すコマンド(READ)と読み出した色を消去するコマンド(INV)の組み合わせで構成されている。これは一例であり、ひとつのコマンドで両方の動作を行わせるようにしてもよい。
【0102】
図12は、子コマンド(色ナビ消去コマンド)の比較例を示す。同図のコマンドは上記色を読み出すコマンド(READ)を含まないものであり、コマンドのパラメータで消去する色を直接指定するものである。このやり方は簡単確実であるが、コマンドの種類が増えるという問題が生じる。
図12のコマンドは、
図11の5倍(着色の種類と同じ)になっている。この点、本発明の実施の形態に係る
図11のコマンドが優れているが、他方、レバーの早押しなどにより親コマンドを送信しないことがあると、子コマンド(色ナビ消去コマンド)で消去すべき色が不定となり、正しい色でナビの停止アニメーションを行うことができなくなる。そこで、本発明の実施の形態では、保障ビットを設け、親コマンドを必ず送信するようにすることで、上記問題を解決している。
【0103】
図13は、サブ基板20が行うコマンド送信処理の概略フローチャートである。
【0104】
S10:コマンド生成部20aで生成したコマンドを解析する。
具体的には、
図9のコマンド構造を調べ、その保障ビットの値を取得する。
【0105】
S11:保障ビットが1であるかどうか判定する。
保障ビット=1であれば親コマンドであり、最優先で送信するためにS12に進む。
保障ビット=1でなければ子コマンドであり、他のコマンドと同様に扱う。
【0106】
S12:優先コマンド送信
親コマンドは優先して送信し、必ず送信されるようにする。そのやり方については前述した。
【0107】
S13:通常のコマンド送信
子コマンドは通常のコマンド送信を行う。この処理は公知であるので説明は省略する。
【0108】
図14は、サブ基板20が行うコマンド送信処理の他のフローチャートである。この処理は、子コマンドの保障IDに基づき、当該子コマンドに対応する親コマンドが送信済みであるかどうか判定し、送信済みでなければ当該子コマンドの送信を待つものである。すなわち、
図13に加えて次の処理を行う。
【0109】
S11b:子コマンドの保障IDを調べる。
【0110】
S11c:同じ保障IDの親コマンドが送信済みであるかどうか判定する。
子コマンドの保障IDをキーとして過去に送信したコマンドの送信記録を検索し、当該子コマンドに対応する親コマンドが送信されていたかどうか判定する。送信済みであればS13に進み、送信がまだであればS11d:ウエイトで所定時間を待ってから、上記処理を繰り返す。
【0111】
なお、一定時間待っても親コマンドが送信されないときは、当該子コマンドは無効であるとしてその送信を中止する処理(タイムアウト処理)を行うようにしてもよい。
【0112】
図15及び
図16は、サブ基板20が行う他のコマンド送信処理の概略フローチャートである。
図15及び
図16は、オーバーフロー時の処理を示し、オーバーフローが発生していないときの処理の表示は省略している。
【0113】
図15及び
図16は、通常のコマンド送信においては保障ビットに関する判断を行わないやり方である。すなわち、通常のコマンド送信においてはコマンドを送信するかどうかの判断を行わずに基本的に全てを送信する。保障ビットがある場合には、オーバーフローなどが起きて(従来は)コマンドが破棄されるような場合でも、保障ビットがセットされているコマンドは必ず送信する。要するに、通常のコマンド送信処理においては保障ビットに関する処理は行わず、オーバーフローなどの異常時(従来はコマンドが失われていた場合)において保障ビットの有無を調べ、保障ビットのあるコマンドは必ず送信するようにする。
【0114】
オーバーフローとは、サブ基板20に設けられてコマンドを一時的に蓄えるバッファ(メモリのこと、例えばコマンド送信部20cに設けられる)が一般となり、当該バッファに生成したコマンドを格納できない状態のことである。コマンドは、例えばバッファへの格納順に(First In First Outで)取り出して送信される。何らかの理由でコマンドが多数発生すると、バッファがオーバーフローする。
【0115】
以下、オーバーフロー対策用の処理について説明する。
【0116】
S10b:コマンド生成部20aで生成したコマンドが破棄されるかどうか判定する。
通常であれば、バッファが一杯であると当該コマンドは破棄される。なお、バッファが一杯になると当該バッファがその旨の信号を出力するので、コマンド送信部20c(サブ基板20のCPU)はそれを用意に知ることができる。
オーバーフローでなければコマンドが破棄されるおそれがないので、
図15の処理を抜ける。
オーバーフローであれば、S11に進む。
【0117】
S11:保障ビットが1であるかどうか判定する。
保障ビット=1であれば親コマンドであり、最優先で送信するためにS12に進む。
保障ビット=1でなければ子コマンドであり、破棄することを許容する。
【0118】
S12b:コマンド送信
親コマンドは優先して送信し、必ず送信されるようにする。例えば、バッファからコマンドを読み出して送信する処理を一時的に停止してでも(これよりも優先して)、当該親コマンドを送信する。
【0119】
S13b:当該コマンドを破棄する。
子コマンドは破棄できるから、破棄する。具体的にはコマンド送信を行うことなく、
図15の処理を抜ける。
【0120】
図16は、サブ基板20が行うコマンド送信処理の他のフローチャートである。この処理は、子コマンドの保障IDに基づき、当該子コマンドに対応する親コマンドが送信済みであるかどうか判定し、送信済みでなければエラー処理を行うものである。すなわち、
図15に加えて次の処理を行う。
【0121】
S11b:子コマンドの保障IDを調べる。
【0122】
S11c:同じ保障IDの親コマンドが送信済みであるかどうか判定する。
子コマンドの保障IDをキーとして過去に送信したコマンドの送信記録を検索し、当該子コマンドに対応する親コマンドが送信されていたかどうか判定する。送信済みであればS13bに進み、送信がまだであればS11eに進む。
【0123】
S11e:エラー処理を行う。
例えば、ソフトウエアリセットを行い、一連の処理を最初からやり直すようにする。
【0124】
図17は、液晶制御基板200が行うコマンド受信処理の概略フローチャートである。
保障ビットを参照する必要のないときは、受信したコマンドの演出ID(演出内容)を解析して実行するだけで足りるから、
図17の処理(特にS20,S21,S23)を実行する必要はない。
【0125】
S20:コマンド受信部2001で受信したコマンドを解析する。
具体的には、
図9のコマンド構造を調べ、その保障ビットの値を取得する。
【0126】
S21:コマンドの種類を判定する。
保障ビット=1であれば親コマンド(色ナビ出現コマンド)であり、S22:アイテムの着色処理を行う。着色処理は公知であるので説明は省略する。
【0127】
保障ビット=1でなければ子コマンド(色ナビ消去コマンド)であり、S23及びS24の処理を行う。
【0128】
S23:アイテム着色情報を取得する。
具体的には、保障IDを検索キーとして実行済みの着色情報を取得する。取得した情報は、当該子コマンドに対応する親コマンドの着色情報である。
【0129】
S24:アイテム消去処理を行う。
S23で取得した着色情報に基づき所定のアイテムの色を消去する。この処理自体は公知であるので説明は省略する。
【0130】
本発明の実施の形態によれば、送信するコマンドの種類を減らすことができ、しかも、親コマンドを送受信しないことにより子コマンドの動作が不良になることを抑止することができる。色情報等の登録漏れによる液晶表示不備を回避できる。
【0131】
すなわち、
図10及び
図11に示すように、スタートレバー操作で所定の色ナビ登録を行い、回胴の第1停止以降その色を依存させて表示/消去するようなコマンド構成において、何らかの理由により色ナビ登録に係るコマンド(親コマンド)を液晶制御基板が受信しなかった場合、第1停止以降で表示/消去する色情報が不定となり、正しい色ナビが表示されない。そこで、コマンドに保障ビットを設け、これに基づき色ナビ登録に係るコマンド(親コマンド)を必ず送信するようにした。これにより、遊技者が早打ちを行ったような場合でも上記不具合を回避できる。
【0132】
上記説明では、液晶表示装置の画面のアイテムに関する制御コマンドを例に挙げていたが、本発明はこれに限定されない、遊技機の演出に用いられる他のデバイス(電飾装置、音響発生装置など)についても適用することができる。例えば、電飾装置の複数のLEDの一部を点灯し、その後消灯するという動作や、スピーカーから特定の音響を発生し、その後それを停止するという動作に適用することができる。
【0133】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。