特許第5701173号(P5701173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5701173
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】医療システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0402 20060101AFI20150326BHJP
   A61N 1/362 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   A61B5/04 310M
   A61N1/362
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-158116(P2011-158116)
(22)【出願日】2011年7月19日
(65)【公開番号】特開2013-22149(P2013-22149A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】山来 貴
【審査官】 杉田 翠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−169854(JP,A)
【文献】 特許第3153943(JP,B2)
【文献】 特開平01−110345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/04−5/053
A61N1/00−1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の心腔内に挿入されたカテーテルを介して前記被検者の心臓を刺激する心臓電気刺激装置と、当該心臓電気刺激装置をリモート操作可能な生体情報記録装置であって、前記被検者から取得された生体情報を記録する生体情報記録装置とを有する医療システムにおいて、
前記心臓電気刺激装置に対する直接的な操作である第1の操作を受け付ける第1の操作受付部と、
前記生体情報記録装置からの前記心臓電気刺激装置に対するリモート操作である第2の操作を受け付ける第2の操作受付部と、
前記第1の操作受付部および前記第2の操作受付部により前記第1の操作および前記第2の操作が同時に受け付けられた場合、前記第1の操作に対応する処理は実行せずに、前記第2の操作に対応する処理を実行するように制御する実行制御部とを備えたことを特徴とする医療システム。
【請求項2】
前記心臓電気刺激装置による刺激処理が実行中であるか否かについて判定する刺激実行判定部を更に備え、
前記実行制御部は、前記第1の操作受付部および前記第2の操作受付部により前記第1の操作および前記第2の操作が同時に受け付けられた場合、前記刺激実行判定部により前記刺激処理が実行中であると判定されたとき、前記第2の操作に対応する処理は実行せずに、前記第1の操作に対応する処理を実行するように制御することを特徴とする、請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
前記生体情報記録装置において所定のイベントが発生したか否かを判定するイベント発生判定部を更に備え、
前記実行制御部は、前記第1の操作受付部および前記第2の操作受付部により前記第1の操作および前記第2の操作が同時に受け付けられた場合、前記イベント発生判定部により前記所定のイベントが発生したと判定されたとき、前記第2の操作に対応する処理は実行せずに、前記第1の操作に対応する処理を実行するように制御することを特徴とする、請求項1に記載の医療システム。
【請求項4】
前記心臓電気刺激装置による刺激処理が実行中であるか否かについて判定する刺激実行判定部と、前記生体情報記録装置において所定のイベントが発生したか否かを判定するイベント発生判定部とを更に備え、
前記実行制御部は、前記第1の操作受付部および前記第2の操作受付部により前記第1の操作および前記第2の操作が同時に受け付けられ、かつ、前記刺激実行判定部により前記刺激処理が実行中でないと判定された場合、前記イベント発生判定部により前記所定のイベントが発生したと判定されたとき、前記第2の操作に対応する処理は実行せずに、前記第1の操作に対応する処理を実行するように制御することを特徴とする、請求項1に記載の医療システム。
【請求項5】
前記第1の操作は、前記心臓電気刺激装置における操作頻度の高い操作キー、または、安全上重要な操作キーを押下する操作であることを特徴とする、請求項2〜4の何れか1項に記載の医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓電気生理学検査を行うことが可能な医療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、不整脈の原因と程度を調べるため、心臓電気生理学検査(Electro Physiological Study:EPS)が行われている。心臓電気生理学検査では、被検者の大腿部や肘等の血管から電極カテーテルを挿入し、心臓に電気刺激を加えながら心臓内各部の電位を記録する。心臓電気生理学検査の目的は、洞結節や刺激伝導系の機能評価、および不整脈の発生機序を精査することである。その精査結果を踏まえて、当該部分を高周波電流で焼き切る治療(アブレーション治療)を行うことができる。
【0003】
心臓電気生理学検査では、生体情報記録装置および心臓電気刺激装置が一般的に使用されている。生体情報記録装置は、被検者から取得された生体情報(例えば、心内心電図)を記録する。心臓電気刺激装置は、先端に電極の付いたカテーテルを被検者の心腔内に挿入して、所定パターンの電気刺激パルスを出力することにより被検者の心臓を刺激する。
【0004】
心臓電気生理学検査が行われる検査室は、生体情報記録装置が置かれる操作室と、心臓電気刺激装置が置かれる検査室とに分かれている。操作室では、医療従事者が生体情報記録装置の操作を行う。検査室では、医師が被検者に電極カテーテルを挿入する傍で、医療従事者が心臓電気刺激装置の操作を当該医師の指示に従って行う。
【0005】
心臓電気生理学検査においては、被検者に挿入された電極カテーテルの位置の監視を長時間にわたってX線により行うため、検査室にいる医療従事者のX線被爆量が増大するという問題があった。この問題に関連して、X線を被爆する心配がない操作室において、医療従事者が、生体情報記録装置を操作することに加えて、検査室に置かれている心臓電気刺激装置をリモート操作することができるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3153943号公報
【特許文献2】特開2003−210429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載の技術では、検査室に置かれている心臓電気刺激装置を操作室からリモート操作できるとともに、検査室でも心臓電気刺激装置を直接操作することができるため、検査室にいる医師や看護師等が心臓電気刺激装置に接触して不用意に心臓電気刺激装置が操作されてしまう場合がある。この場合、操作室の検査技師等が心臓電気刺激装置をリモート操作していると、操作室および検査室の両側から心臓電気刺激装置が同時に操作されることとなり、操作室にいる操作者の意図した処理が実行されない不具合が発生する可能性があるという問題があった。
【0008】
近年、簡便な入力方式であるタッチパネル入力方式が増え、心臓電気刺激装置にも採用されており、不用意な接触により機器が同時に操作されてしまう事態が、より現実的な問題となっている。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、操作室および検査室の両側から心臓電気刺激装置が同時に操作された場合でも、操作室にいる操作者の意図した処理を確実に実行することができる医療システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る医療システムは、被検者の心腔内に挿入されたカテーテルを介して前記被検者の心臓を刺激する心臓電気刺激装置と、当該心臓電気刺激装置をリモート操作可能な生体情報記録装置であって、前記被検者から取得された生体情報を記録する生体情報記録装置とを有し、
前記心臓電気刺激装置に対する直接的な操作である第1の操作を受け付ける第1の操作受付部と、
前記生体情報記録装置からの前記心臓電気刺激装置に対するリモート操作である第2の操作を受け付ける第2の操作受付部と、
前記第1の操作受付部および前記第2の操作受付部により前記第1の操作および前記第2の操作が同時に受け付けられた場合、前記第1の操作に対応する処理は実行せずに、前記第2の操作に対応する処理を実行するように制御する実行制御部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作室(生体情報記録装置)および検査室(心臓電気刺激装置)の両側から心臓電気刺激装置が同時に操作された場合、操作室から行われたリモート操作のみが有効とされる。よって、操作室および検査室の両側から心臓電気刺激装置が同時に操作された場合でも、操作室にいる操作者の意図した処理を確実に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態における医療システムの構成例を示す図である。
図2】第1の実施の形態における心臓電気刺激装置の動作例を示すフローチャートである。
図3】第2の実施の形態における医療システムの構成例を示す図である。
図4】第2の実施の形態における心臓電気刺激装置の動作例を示すフローチャートである。
図5】第3の実施の形態における医療システムの構成例を示す図である。
図6】第3の実施の形態における心臓電気刺激装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】第4の実施の形態における医療システムの構成例を示す図である。
図8】第4の実施の形態における心臓電気刺激装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、第1の実施の形態における医療システム100の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、医療システム100は、心臓電気生理学検査が行われる検査室内において、操作室に設置される生体情報記録装置120と、検査室に設置される心臓電気刺激装置140とを備えて構成されている。生体情報記録装置120と心臓電気刺激装置140との間は、通信ノイズを低減して波形品質の向上を図るため、イーサネット(登録商標)ケーブルにて接続されている。
【0014】
生体情報記録装置120は、心臓電気生理学検査の際、被検者から取得された生体情報(例えば、心内心電図)を記録するものである。生体情報記録装置120の構成について説明する。図1に示すように、生体情報記録装置120は、操作部200、操作受付部220(特許請求の範囲の「第2の操作受付部」に対応)および実行制御部240を備えて構成されている。
【0015】
操作部200は、マウス、タッチパネルまたは操作スイッチ等であり、操作室の検査技師等が生体情報記録装置120に対して各種の操作(例えば、生体情報の表示設定操作、生体情報の記録指示操作など)を行ったり、心臓電気刺激装置140に対して各種のリモート操作(特許請求の範囲の「第2の操作」に対応し、以下「第2の操作」と称する)を行ったりするためのものである。第2の操作は例えば、電気刺激条件の設定操作、電気刺激の実行指示操作、電気刺激の停止指示操作などである。
【0016】
操作受付部220は、操作部200を介して、生体情報記録装置120に対する操作を受け付ける。操作受付部220は、生体情報記録装置120に対する操作を受け付けた場合、その旨を実行制御部240に通知する。
【0017】
また、操作受付部220は、操作部200を介して、心臓電気刺激装置140に対する第2の操作を受け付ける。操作受付部220は、心臓電気刺激装置140に対する第2の操作を受け付けた場合、その旨を心臓電気刺激装置140の実行制御部340に通知する。
【0018】
実行制御部240は、生体情報記録装置120に対する操作を受け付けた旨の通知を操作受付部220から受けた場合、当該操作に対応する処理を実行するように制御する。例えば、実行制御部240は、生体情報の記録指示操作を受け付けた旨の通知を操作受付部220から受けた場合、当該生体情報の記録処理を実行するように制御する。
【0019】
心臓電気刺激装置140は、被検者の心腔内に挿入されたカテーテルを介して当該被検者の心臓を刺激するものである。心臓電気刺激装置140の構成について説明する。図1に示すように、心臓電気刺激装置140は、操作部300、操作受付部320(特許請求の範囲の「第1の操作受付部」に対応)および実行制御部340(特許請求の範囲の「実行制御部」に対応)を備えて構成されている。
【0020】
操作部300は、タッチパネルまたは操作スイッチ等であり、検査室の医師等が心臓電気刺激装置140に対して各種の操作(特許請求の範囲の「第1の操作」に対応し、以下「第1の操作」と称する)を直接的に行ったりするためのものである。第1の操作は例えば、電気刺激条件の設定操作、電気刺激の実行指示操作、電気刺激の停止指示操作などである。
【0021】
操作受付部320は、操作部300を介して、心臓電気刺激装置140に対する第1の操作を受け付ける。操作受付部320は、心臓電気刺激装置140に対する第1の操作を受け付けた場合、その旨を実行制御部340に通知する。
【0022】
実行制御部340は、第1の操作を受け付けた旨の通知を操作受付部320から受けた場合、第2の操作を受け付けた旨の通知を生体情報記録装置120の操作受付部220から受けたか否か(つまり、操作受付部320および第2の操作受付部220により第1の操作および第2の操作が同時に受け付けられたか否か)について判定する。第2の操作を受け付けた旨の通知を受けていないと判定した場合、実行制御部340は、第1の操作に対応する処理を実行するように制御する。
【0023】
一方、第2の操作を受け付けた旨の通知を受けたと判定した場合、実行制御部340は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与え、第2の操作に対応する処理を実行するように制御する。
【0024】
次に、第1の実施の形態における心臓電気刺激装置140の動作について説明する。図2は、第1の実施の形態における心臓電気刺激装置140の動作例を示すフローチャートである。図2の処理は、所定時間(例えば、心臓電気刺激装置140の制御周期)が経過する度に実行される処理である。
【0025】
まず、実行制御部340は、第1の操作を受け付けた旨の通知を操作受付部320から受けたか否かについて判定する(ステップS100)。もし、第1の操作を受け付けた旨の通知を受けていないと実行制御部340にて判定した場合(ステップS100にてNO)、心臓電気刺激装置140は図2における処理を終了する。
【0026】
一方、第1の操作を受け付けた旨の通知を受けたと実行制御部340にて判定した場合(ステップS100にてYES)、実行制御部340は、第2の操作を受け付けた旨の通知を生体情報記録装置120の操作受付部220から受けたか否か(つまり、操作受付部320および第2の操作受付部220により第1の操作および第2の操作が同時に受け付けられたか否か)について判定する(ステップS120)。もし、第2の操作を受け付けた旨の通知を受けていないと実行制御部340にて判定した場合(ステップS120にてNO)、実行制御部340は、第1の操作に対応する処理を実行するように制御する(ステップS140)。ステップS140の処理が完了することによって、心臓電気刺激装置140は図2における処理を終了する。
【0027】
一方、第2の操作を受け付けた旨の通知を受けたと実行制御部340にて判定した場合(ステップS120にてYES)、実行制御部340は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与え、第2の操作に対応する処理を実行するように制御する(ステップS160)。ステップS160の処理が完了することによって、心臓電気刺激装置140は図2における処理を終了する。
【0028】
以上詳しく説明したように、第1の実施の形態では、心臓電気刺激装置140に対する直接的な操作である第1の操作を受け付ける操作受付部320と、生体情報記録装置120からの心臓電気刺激装置140に対するリモート操作である第2の操作を受け付ける操作受付部220と、操作受付部320および操作受付部220により第1の操作および第2の操作が同時に受け付けられた場合、第1の操作に対応する処理は実行せずに、第2の操作に対応する処理を実行するように制御する実行制御部340とを備えるようにしている。
【0029】
このように構成した第1の実施の形態によれば、操作室(生体情報記録装置120)および検査室(心臓電気刺激装置140)の両側から心臓電気刺激装置140が同時に操作された場合、操作室から行われたリモート操作のみが有効とされる。よって、操作室および検査室の両側から心臓電気刺激装置140が同時に操作された場合でも、操作室にいる操作者(医療従事者)の意図した処理を確実に実行することができる。
【0030】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。図3は、第2の実施の形態における医療システム100の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、心臓電気刺激装置140は、その機能構成として、図1の実行制御部340の代わりに、実行制御部342(特許請求の範囲の「実行制御部」および「電気刺激実行判定部」に対応)を備えている。なお、この図3において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0031】
実行制御部342は、第1の操作を受け付けた旨の通知を操作受付部320から受けた場合、第2の操作を受け付けた旨の通知を生体情報記録装置120の操作受付部220から受けたか否か(つまり、操作受付部320および第2の操作受付部220により第1の操作および第2の操作が同時に受け付けられたか否か)について判定する。第2の操作を受け付けた旨の通知を受けていないと判定した場合、実行制御部342は、第1の操作に対応する処理を実行するように制御する。
【0032】
一方、第2の操作を受け付けた旨の通知を受けたと判定した場合、実行制御部342は、被検者の心臓を電気刺激する刺激処理を実行中であるか否かについて判定する。刺激処理を実行中であると判定した場合、実行制御部342は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与えず、第1の操作に対応する処理を実行するように制御する。
【0033】
一方、刺激処理を実行中でないと判定した場合、実行制御部342は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与え、第2の操作に対応する処理を実行するように制御する。
【0034】
次に、第2の実施の形態における心臓電気刺激装置140の動作について説明する。図4は、第2の実施の形態における心臓電気刺激装置140の動作例を示すフローチャートである。図4の処理は、所定時間(例えば、心臓電気刺激装置140の制御周期)が経過する度に実行される処理である。
【0035】
まず、実行制御部342は、第1の操作を受け付けた旨の通知を操作受付部320から受けたか否かについて判定する(ステップS200)。もし、第1の操作を受け付けた旨の通知を受けていないと実行制御部342にて判定した場合(ステップS200にてNO)、心臓電気刺激装置140は図4における処理を終了する。
【0036】
一方、第1の操作を受け付けた旨の通知を受けたと実行制御部342にて判定した場合(ステップS200にてYES)、実行制御部342は、第2の操作を受け付けた旨の通知を生体情報記録装置120の操作受付部220から受けたか否か(つまり、操作受付部320および第2の操作受付部220により第1の操作および第2の操作が同時に受け付けられたか否か)について判定する(ステップS220)。もし、第2の操作を受け付けた旨の通知を受けていないと実行制御部342にて判定した場合(ステップS220にてNO)、処理はステップS260に遷移する。
【0037】
一方、第2の操作を受け付けた旨の通知を受けたと実行制御部342にて判定した場合(ステップS220にてYES)、実行制御部342は、被検者の心臓を電気刺激する刺激処理を実行中であるか否かについて判定する(ステップS240)。もし、刺激処理を実行中であると実行制御部342にて判定した場合(ステップS240にてYES)、実行制御部342は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与えず、第1の操作に対応する処理を実行するように制御する(ステップS260)。ステップS260の処理が完了することによって、心臓電気刺激装置140は図4における処理を終了する。
【0038】
一方、刺激処理を実行中でないと実行制御部342にて判定した場合(ステップS240にてNO)、実行制御部342は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与え、第2の操作に対応する処理を実行するように制御する(ステップS280)。ステップS280の処理が完了することによって、心臓電気刺激装置140は図4における処理を終了する。
【0039】
以上詳しく説明したように、第2の実施の形態では、操作受付部320および操作受付部220により第1の操作および第2の操作が同時に受け付けられた場合、刺激処理が実行中であると判定したとき、第2の操作に対応する処理は実行せずに、第1の操作に対応する処理を実行するようにしている。刺激処理が実行中であるということは、検査室の医師等が心臓電気刺激装置140を実際に操作している可能性が高い。つまり、刺激処理が実行中である場合には、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与えないことによって、検査室の医師等が意図しないリモート操作(第2の操作)に応じた処理が実行されることを防止することができる。それ故、検査室の医師等は、心臓電気刺激装置140による刺激処理を安全に続けることができる。
【0040】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を図面に基づいて説明する。図5は、第3の実施の形態における医療システム100の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、心臓電気刺激装置140は、その機能構成として、図1の実行制御部340の代わりに、実行制御部344(特許請求の範囲の「実行制御部」に対応)を備えている。また、心臓電気刺激装置140は、その機能構成として、イベント発生判定部260を更に備えている。なお、この図5において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0041】
イベント発生判定部260は、生体情報記録装置120において所定のイベントが発生したか否かについて判定する。イベント発生判定部260は、所定のイベントが発生したと判定した場合、その旨を心臓電気刺激装置140の実行制御部344に通知する。一方、イベント発生判定部260は、所定のイベントが発生していないと判定した場合、心臓電気刺激装置140に何も通知しない。所定のイベントは、生体情報記録装置120の動作環境を不安定にするイベントである。例えばマウス(操作部200)のケーブルが生体情報記録装置120から抜けたことや、処理負荷の重いアプリケーションが生体情報記録装置120において多重起動されていること等である。
【0042】
実行制御部344は、第1の操作を受け付けた旨の通知を操作受付部320から受けた場合、第2の操作を受け付けた旨の通知を生体情報記録装置120の操作受付部220から受けたか否か(つまり、操作受付部320および第2の操作受付部220により第1の操作および第2の操作が同時に受け付けられたか否か)について判定する。第2の操作を受け付けた旨の通知を受けていないと判定した場合、実行制御部344は、第1の操作に対応する処理を実行するように制御する。
【0043】
一方、第2の操作を受け付けた旨の通知を受けたと判定した場合、実行制御部344は、所定のイベントが発生した旨の通知を生体情報記録装置120のイベント発生判定部260から受けたか否かについて判定する。所定のイベントが発生した旨の通知を受けたと判定した場合、実行制御部344は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与えず、第1の操作に対応する処理を実行するように制御する。一方、所定のイベントが発生した旨の通知を受けていないと判定した場合、実行制御部344は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与え、第2の操作に対応する処理を実行するように制御する。
【0044】
次に、第3の実施の形態における心臓電気刺激装置140の動作について説明する。図6は、第3の実施の形態における心臓電気刺激装置140の動作例を示すフローチャートである。図6の処理は、所定時間(例えば、心臓電気刺激装置140の制御周期)が経過する度に実行される処理である。
【0045】
まず、実行制御部344は、第1の操作を受け付けた旨の通知を操作受付部320から受けたか否かについて判定する(ステップS300)。もし、第1の操作を受け付けた旨の通知を受けていないと実行制御部344にて判定した場合(ステップS300にてNO)、心臓電気刺激装置140は図6における処理を終了する。
【0046】
一方、第1の操作を受け付けた旨の通知を受けたと実行制御部344にて判定した場合(ステップS300にてYES)、実行制御部344は、第2の操作を受け付けた旨の通知を生体情報記録装置120の操作受付部220から受けたか否か(つまり、操作受付部320および第2の操作受付部220により第1の操作および第2の操作が同時に受け付けられたか否か)について判定する(ステップS320)。もし、第2の操作を受け付けた旨の通知を受けていないと実行制御部344にて判定した場合(ステップS320にてNO)、処理はステップS360に遷移する。
【0047】
一方、第2の操作を受け付けた旨の通知を受けたと実行制御部344にて判定した場合(ステップS320にてYES)、実行制御部344は、所定のイベントが発生した旨の通知を生体情報記録装置120のイベント発生判定部260から受けたか否かについて判定する(ステップS340)。もし、所定のイベントが発生した旨の通知を受けたと実行制御部344にて判定した場合(ステップS340にてYES)、実行制御部344は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与えず、第1の操作に対応する処理を実行するように制御する(ステップS360)。ステップS360の処理が完了することによって、心臓電気刺激装置140は図6における処理を終了する。
【0048】
一方、所定のイベントが発生した旨の通知を受けていないと実行制御部344にて判定した場合(ステップS340にてNO)、実行制御部344は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与え、第2の操作に対応する処理を実行するように制御する(ステップS380)。ステップS380の処理が完了することによって、心臓電気刺激装置140は図6における処理を終了する。
【0049】
以上詳しく説明したように、第3の実施の形態では、操作受付部320および操作受付部220により第1の操作および第2の操作が同時に受け付けられた場合、イベント発生判定部260により所定のイベントが発生したと判定されたとき、第2の操作に対応する処理は実行せずに、第1の操作に対応する処理を実行するようにしている。所定のイベントが発生したということは、生体情報記録装置120の動作環境が不安定になり、操作受付部220により受け付けられた第2の操作とは異なる操作信号が誤って心臓電気刺激装置140に通知され、操作室の検査技師等が意図しない処理が心臓電気刺激装置140で実行される可能性がある。そこで、所定のイベントが発生した場合には、操作の制御権を検査室(心臓電気刺激装置140)側に与える。これにより、操作室の検査技師等が意図しないリモート操作(第2の操作)に応じた処理が実行されることを確実に防止することができる。
【0050】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態を図面に基づいて説明する。図7は、第4の実施の形態における医療システム100の構成例を示すブロック図である。図7に示すように、心臓電気刺激装置140は、その機能構成として、図5の実行制御部344の代わりに、実行制御部346(特許請求の範囲の「実行制御部」および「電気刺激実行判定部」に対応)を備えている。なお、この図7において、図5に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0051】
実行制御部346は、第1の操作を受け付けた旨の通知を操作受付部320から受けた場合、第2の操作を受け付けた旨の通知を生体情報記録装置120の操作受付部220から受けたか否か(つまり、操作受付部320および第2の操作受付部220により第1の操作および第2の操作が同時に受け付けられたか否か)について判定する。第2の操作を受け付けた旨の通知を受けていないと判定した場合、実行制御部346は、第1の操作に対応する処理を実行するように制御する。
【0052】
一方、第2の操作を受け付けた旨の通知を受けたと判定した場合、実行制御部346は、被検者の心臓を電気刺激する刺激処理を実行中であるか否かについて判定する。刺激処理を実行中であると判定した場合、実行制御部346は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与えず、第1の操作に対応する処理を実行するように制御する。
【0053】
一方、刺激処理を実行中でないと判定した場合、実行制御部346は、所定のイベントが発生した旨の通知を生体情報記録装置120のイベント発生判定部260から受けたか否かについて判定する。所定のイベントが発生した旨の通知を受けたと判定した場合、実行制御部346は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与えず、第1の操作に対応する処理を実行するように制御する。一方、所定のイベントが発生した旨の通知を受けていないと判定した場合、実行制御部346は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与え、第2の操作に対応する処理を実行するように制御する。
【0054】
次に、第4の実施の形態における心臓電気刺激装置140の動作について説明する。図8は、第4の実施の形態における心臓電気刺激装置140の動作例を示すフローチャートである。図8の処理は、所定時間(例えば、心臓電気刺激装置140の制御周期)が経過する度に実行される処理である。
【0055】
まず、実行制御部346は、第1の操作を受け付けた旨の通知を操作受付部320から受けたか否かについて判定する(ステップS400)。もし、第1の操作を受け付けた旨の通知を受けていないと実行制御部346にて判定した場合(ステップS400にてNO)、心臓電気刺激装置140は図8における処理を終了する。
【0056】
一方、第1の操作を受け付けた旨の通知を受けたと実行制御部346にて判定した場合(ステップS400にてYES)、実行制御部346は、第2の操作を受け付けた旨の通知を生体情報記録装置120の操作受付部220から受けたか否か(つまり、操作受付部320および第2の操作受付部220により第1の操作および第2の操作が同時に受け付けられたか否か)について判定する(ステップS420)。もし、第2の操作を受け付けた旨の通知を受けていないと実行制御部346にて判定した場合(ステップS420にてNO)、処理はステップS480に遷移する。
【0057】
一方、第2の操作を受け付けた旨の通知を受けたと実行制御部346にて判定した場合(ステップS420にてYES)、実行制御部346は、被検者の心臓を電気刺激する刺激処理を実行中であるか否かについて判定する(ステップS440)。もし、刺激処理を実行中であると実行制御部346にて判定した場合(ステップS440にてYES)、処理はステップS480に遷移する。
【0058】
一方、刺激処理を実行中でないと実行制御部346にて判定した場合(ステップS440にてNO)、実行制御部346は、所定のイベントが発生した旨の通知を生体情報記録装置120のイベント発生判定部260から受けたか否かについて判定する(ステップS460)。もし、所定のイベントが発生した旨の通知を受けたと実行制御部346にて判定した場合(ステップS460にてYES)、実行制御部346は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与えず、第1の操作に対応する処理を実行するように制御する(ステップS480)。ステップS480の処理が完了することによって、心臓電気刺激装置140は図8における処理を終了する。
【0059】
一方、所定のイベントが発生した旨の通知を受けていないと実行制御部346にて判定した場合(ステップS460にてNO)、実行制御部346は、操作の制御権を操作室(生体情報記録装置120)側に与え、第2の操作に対応する処理を実行するように制御する(ステップS500)。ステップS500の処理が完了することによって、心臓電気刺激装置140は図8における処理を終了する。
【0060】
以上詳しく説明したように、第4の実施の形態では、操作受付部320および操作受付部220により第1の操作および第2の操作が同時に受け付けられた場合、刺激処理が実行中であると判定したとき、第2の操作に対応する処理は実行せずに、第1の操作に対応する処理を実行するようにしている。刺激処理が実行中であるということは、検査室の医師等が心臓電気刺激装置140を実際に操作している可能性が高い。つまり、刺激処理が実行中である場合には、操作の制御権を検査室(心臓電気刺激装置140)側に与えることによって、検査室の医師等が意図しないリモート操作(第2の操作)に応じた処理が実行されることを防止することができる。それ故、検査室の医師等は、心臓電気刺激装置140による刺激処理を安全に続けることができる。
【0061】
また、第4の実施の形態では、操作受付部320および操作受付部220により第1の操作および第2の操作が同時に受け付けられ、刺激処理が実行中でないと判定した場合でも、イベント発生判定部260により所定のイベントが発生したと判定されたときには、第2の操作に対応する処理は実行せずに、第1の操作に対応する処理を実行するようにしている。所定のイベントが発生したということは、生体情報記録装置120の動作環境が不安定になり、操作受付部220により受け付けられた第2の操作とは異なる操作信号が誤って心臓電気刺激装置140に通知され、操作室の検査技師等が意図しない処理が心臓電気刺激装置140で実行される可能性がある。そこで、所定のイベントが発生した場合には、操作の制御権を検査室(心臓電気刺激装置140)側に与える。これにより、操作室の検査技師等が意図しないリモート操作(第2の操作)に応じた処理が実行されることを確実に防止することができる。
【0062】
以上に説明した第1〜第4の実施の形態による生体情報記録装置120および心臓電気刺激装置140の機能は、ソフトウェアによって実現される。実際には、生体情報記録装置120および心臓電気刺激装置140がCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。
【0063】
なお、上記第3および第4の実施の形態において、イベント発生判定部260により所定のイベントが発生したと判定された場合、第1の操作が心臓電気刺激装置140における操作頻度の高い操作キー、または、安全上重要な操作キーを押下する操作であるときに限り、第2の操作に対応する処理は実行せずに、第1の操作に対応する処理を実行しても良い。所定のイベントが発生した場合、操作の制御権を一律に検査室(心臓電気刺激装置140)側に与えるようにしても、検査室にいる医師や看護師等が心臓電気刺激装置140の操作部300に接触して不用意に心臓電気刺激装置140が操作されてしまう場合もあり得る。この場合、操作室の検査技師等が意図しない処理が心臓電気刺激装置140で実行される。そこで、本変形例では、第1の操作が心臓電気刺激装置140における操作頻度の高い操作キー(例えば、電気刺激の回数や間隔が予め設定されたプログラムにより電気刺激を行う時に使用するイベントキーなど)、または、安全上重要な操作キー(例えば、電気刺激を停止するストップキーなど)を押下する操作であるとき(つまり、検査室にいる医師等が意図的に心臓電気刺激装置140を操作した可能性が高いと推定されるとき)に限り、操作の制御権を検査室(心臓電気刺激装置140)側に与えて、第1の操作に対応する処理を実行する。これにより、操作室の医療従事者が意図しない処理が心臓電気刺激装置140で実行されることを確実に防止することができる。なお、これら操作頻度の高い操作キー、または、安全上重要な操作キーは、独立した固定キー(タッチパネル上の表示範囲外にシール等を貼ることにより設けられた操作キー、または、タッチパネルの外側に設けられたメカニカルキー(メカスイッチ))として設置した方がより操作性が良い。
【0064】
その他、上記第1〜第4の実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
100 医療システム
120 生体情報記録装置
140 心臓電気刺激装置
200 操作部
220 操作受付部(第2の操作受付部)
240 実行制御部
260 イベント発生判定部
300 操作部
320 操作受付部(第1の操作受付部)
340,342,344,346 実行制御部(実行制御部、電気刺激実行判定部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8