(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5701219
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】組織への流体の送達のための装置、システム、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/30 20060101AFI20150326BHJP
A61M 5/14 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
A61M5/30
A61M5/14 540
【請求項の数】16
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2011-539511(P2011-539511)
(86)(22)【出願日】2009年12月4日
(65)【公表番号】特表2012-510855(P2012-510855A)
(43)【公表日】2012年5月17日
(86)【国際出願番号】US2009006390
(87)【国際公開番号】WO2010065133
(87)【国際公開日】20100610
【審査請求日】2012年10月10日
(31)【優先権主張番号】61/120,204
(32)【優先日】2008年12月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/122,525
(32)【優先日】2008年12月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/123,000
(32)【優先日】2008年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/122,784
(32)【優先日】2008年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/122,793
(32)【優先日】2008年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/139,705
(32)【優先日】2008年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/140,163
(32)【優先日】2008年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507044561
【氏名又は名称】エーエムエス リサーチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】クランク,ジャスティン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ベルテルソン,キャスリン
【審査官】
安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0119823(US,A1)
【文献】
国際公開第2006/086719(WO,A1)
【文献】
特開2005−270188(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0119784(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0163111(US,A1)
【文献】
国際公開第2006/063180(WO,A2)
【文献】
特開2007−029669(JP,A)
【文献】
特開2000−014663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/14−5/32
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用ルーメンを含んでいる作業用シャフトと、
上記作業用ルーメン中に配置されるように適合しており、近位末端と、遠位末端と、遠位末端チップと、当該近位末端から当該遠位末端まで伸びている注射ルーメンとにより構成された可動性の注射シャフトを備えており、
上記遠位末端は、上記遠位末端チップの近位側における上記遠位末端の縦方向位置に注射口を備えるとともに、摩擦的に組織とかみ合うことにより流体の注射中における上記注射口の動きを阻止することが可能な組織保持チップを備えており、
上記注射口は、上記注射ルーメンと通じており、
上記注射口は、上記注射口の縦方向位置において、上記シャフトの長軸に対して約45〜100度の角度に方向づけられており、
上記注射シャフトは、上記注射口から液流を噴出可能であり、
上記液流は、組織表面に対して垂直でない角度の液流として組織表面を貫通することによって組織内に注射されることが可能であり、
上記注射口が上記遠位末端チップから1〜5mm離れて位置していることを特徴とする針無し注射装置。
【請求項2】
上記シャフトが、上記近位末端から上記遠位末端に伸びている側壁を備えており、
上記注射口が、上記側壁を通過する開口部を有していることを特徴とする請求項1に記載の針無し注射装置。
【請求項3】
上記注射口から噴出される流体が上記遠位末端において注射力を生成し、
上記組織保持チップは摩擦的に組織とかみ合うことにより注射中における上記注射口の動きを阻止することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の針無し注射装置。
【請求項4】
上記注射口から噴出される流体が上記遠位末端において注射力を生成し、
上記遠位末端が、流体を噴出することにより上記注射力に対抗する調節力を生成することが可能な調節口を備えていることを特徴とする請求項3に記載の針無し注射装置。
【請求項5】
上記注射口から噴出される流体が上記遠位末端において第1の注射力を生成し、
上記遠位末端が、流体を噴出することにより上記注射力に対抗する調節力を生成することが可能な1つ以上の補助注射口を備えていることを特徴とする請求項3に記載の針無し注射装置。
【請求項6】
上記遠位末端が、上記シャフトの長さに沿った同一の縦方向位置において、上記遠位末端チップから約1〜5mm離れた、上記シャフトの周囲の等距離の位置に向けられた2つ以上の注射口を備えていることを特徴とする請求項5に記載の針無し注射装置。
【請求項7】
針無し注射装置であって、
作業用ルーメンを含んでいる作業用シャフトと、
上記作業用ルーメン中に配置されるように適合しており、近位末端と、遠位末端と、遠位末端チップと、摩擦的に組織とかみ合うことにより流体の注射中における注射口の動きを阻止することが可能な組織保持チップと、当該近位末端から当該遠位末端まで伸びている注射ルーメンとにより構成された可動性の注射シャフトを備えており、
上記遠位末端は、上記遠位末端チップの近位側における1〜5mmに位置している上記注射口を備えており、
上記注射口は、上記注射ルーメンと通じており、
上記注射口は上記注射口の縦方向位置において、上記シャフトの長軸に対して約10度〜約170度の角度に方向づけられており、
上記遠位末端において少なくとも1つの補助噴出口を備えており、
上記注射口から流体を噴出することにより上記遠位末端において注射力を生成することが可能であり、かつ、
上記少なくとも1つの補助噴出口から流体を噴出することにより、上記注射力に少なくとも部分的に対抗する噴出力を生成することが可能であることを特徴とする針無し注射装置。
【請求項8】
上記少なくとも1つの補助噴出口が、上記注射ルーメンと通じている注射口であることを特徴とする請求項7に記載の針無し注射装置。
【請求項9】
上記シャフトは、上記近位末端から上記遠位末端に伸びている調節ルーメンをさらに備えており、
上記少なくとも1つの補助噴出口は、上記調節ルーメンと通じている調節口であることを特徴とする請求項7に記載の針無し注射装置。
【請求項10】
上記装置は、上記少なくとも1つの補助噴出口から流体を噴出することにより、上記注射力に対して方向が反対で大きさが等しい力を作り出すことが可能であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の針無し注射装置。
【請求項11】
上記装置は、上記少なくとも1つの補助噴出口から流体を噴出することにより、上記注射力に対して方向が反対で大きさがより大きい力を作り出すことが可能であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の針無し注射装置。
【請求項12】
作業用ルーメンを含んでいる作業用シャフト、コンソール、取り外し可能な圧力チャン
バ、及び注射シャフトを含んでいる、針無し注射システムにおける構成要素の組み合わせであって、
上記注射シャフトは、上記作業用シャフトの上記作業用ルーメン中に配置されるように適合していることを特徴とする、針無し注射システムにおける構成要素の組み合わせ。
【請求項13】
2つ以上の注射シャフトを備えており、
それぞれの注射シャフトは、コンソール、コンソールハウジング、又は圧力チャンバに取り外し可能に取り付け可能な近位末端を備えており、
それぞれの注射シャフトは、
複数の注射口を有し、かつ調節口を有さない側面発射の遠位末端;
可鍛性の遠位末端特性を有する側面発射の遠位末端;
複数の平衡状態の注射口及び組織保持チップを有する先端発射の遠位末端;
複数の平衡状態の注射口を有し、組織保持チップを有さず、かつ任意に調節口を有する先端発射の遠位末端;ならびに
遠位末端の長さに沿った複数の注射口と、複数の対向する調節口とを有する側面発射の遠位末端
から選択される遠位末端を備えており、
複数の取り外し可能な圧力チャンバをも任意に含むことを特徴とする請求項12に記載の組み合わせ。
【請求項14】
上記組織保持チップは、注射口から噴出された流体により生成された注射力に対抗するのに十分な様式によって膀胱組織とかみ合うことが可能な摩擦性表面を備えており、
上記摩擦性表面は、スパイク、クリート、ピラミッド、コーン、及び針からなる群より選択される先が尖った1つ以上の伸長部分を備えていることを特徴とする、請求項3に記載の針無し注射装置。
【請求項15】
作業用シャフト近位末端と、作業用シャフト遠位末端と、作業用シャフト近位末端及び作業用シャフト遠位末端の間に伸びている作業用ルーメンとにより構成される作業用シャフトを備えており、
上記可動性のシャフトは、上記可動性のシャフトが上記作業用ルーメンの中で縦方向に動くことが可能な様式において、上記作業用ルーメンの中に包含されていることを特徴とする、請求項3又は14に記載の針無し注射装置。
【請求項16】
上記作業用シャフトは、操縦可能な遠位末端と、末端開口と、光ファイバと、光源とを備えており、
上記可動性のシャフトの遠位末端は、上記末端開口から拡張可能であることを特徴とする請求項15に記載の針無し注射装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔優先権の主張〕
本通常出願は、Crankによって2008年12月23日付けで提出された、JET APPOSED JET INJECTION DEVICEと表題をつけられた仮出願番号第61/140,163号;Bertelsonによって2008年12月16日付けで提出された、MULTI−ORIFICE SIDE−FIRING JET INJECTION BLADDER ATTACHMENTと表題をつけられた仮出願番号第61/123,000号;Crankによって2008年12月16日付けで提出された、JET INJECTION CATHETER TIP FOR SHALLOW INJECTIONSと表題をつけられた仮出願番号第61/122,784号;Crankによって2008年12月15日付けで提出された、JET−APPOSED JET INJECTION CATHETERと表題をつけられた仮出願番号第61/122,525号;Crankによって2008年12月5日付けで提出された、OBLIQUELY−INJECTING END EFFECTOR FOR JET INJECTION DEVICEと表題をつけられた仮出願番号第61/120,204号;Bertelsonによって2008年12月22日付けで提出された、MULTI−ORIFICE SHOWER HEAD JET INJECTION BLADDER ATTACHMENTと表題をつけられた仮出願番号第61/139,705号;及びCrankによって2008年12月16日付けで提出された、URINARY TRACT CATHETER WITH SHAPEABLE TIPと表題をつけられた仮出願番号第61/122,793号に基づいて、米国特許法第119条(e)の下で優先権を主張する。これらの各出願は、その全てが引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔本発明の技術分野〕
本発明は、広く、治療部位への治療用流体の送達のための、針無し注射装置に関する。典型的な方法及び装置は、尿路の組織(例えば、前立腺組織、腎臓、尿管、尿道組織、膀胱等)を治療するために使用し得るが、この方法及び装置はまた他の治療部位にも使用し得る。装置の典型的な実施形態は、複数の開口部を有する注射器ボディ(又は「シャフト」)を含んでもよい。開口部は、1つ以上の注射口及び反対側の1つ以上の開口部(注射口が標的組織に向かい合って位置する)、又は複数の方向に流体を排出するための複数の開口部である。浅い角度で組織に注射するために、これら及び他の実施形態を、代替して、又は追加して使用し得る。
【0003】
〔背景〕
尿路の健康は、例えば高齢化により、ますます重大な健康問題である。尿路の健康状態の治療は、非常に多くの研究領域である。多くの方法及び装置は、治療用流体などの治療用材料を尿路、例えば腎臓,尿管及び下部尿路(尿道,前立腺,膀胱,膀胱頚部)に送達させることを目標としてきた。
【0004】
多くの試みが前立腺組織の治療に集中してきた。前立腺疾患は、男性にとって著しい健康リスクである。前立腺の疾患は、前立腺炎,前立腺肥大(BPH,良性前立腺肥大としても知られる),前立腺上皮内腫瘍(PIN),及び前立腺癌などである。
【0005】
前立腺の状態に加え、流体の形態である様々な治療用材料の送達により治療され得る医学的な状況によって、尿路の他の組織が影響を受け得る。膀胱(膀胱頚部など)、尿管、腎臓、尿道及び前立腺の組織は、薬剤又は他の治療剤の送達によって治療され得る。
【0006】
目下使用されている、又は提案されている膀胱の様々な治療は、例えば活性の医薬品の経尿道的な投与などであり、尿道を通して膀胱の中に挿入された堅いシャフトの先端に位置する単一の針を用いて、膀胱の中に治療用流体を配置することなどである。これらの方法は、様々な困難又は好ましくない効果を含むおそれがあり、また実施することが困難であり得る。
【0007】
尿路組織を治療するための針無し装置及び方法は、出願人の同時係属している出願である、Copaらによって2008年6月27日付けで提出された、DEVICES,SYSTEMS,AND RELATED METHODS FOR DELIVERY OF FLUID TO TISSUEと表題をつけられた第12/087,231号、及び米国特許出願公開第2006−0129125において、考察されている。これらの文献の全体が引用により組み込まれる。針無し注射による治療部位への治療用化合物の送達及び導入を介して、多種多様な医学的治療が少なくとも部分的に行なわれる。例えば、前立腺炎、前立腺肥大及び前立腺癌などの前立腺疾患は、注射により治療される。BPHの症状を軽減するために用いられる外科的な方法は、化学的切除(ケモアブレーション(chemoablation))により尿道をブロックする組織の壊死を促進させる方法などである。ある化学的切除法では、前立腺組織の中に無水エタノールを経尿道的に注射する。この手法は、前立腺における経尿道的なエタノール切除(TEAP)として知られる。注射されたエタノールは前立腺の細胞の破裂を引き起こし、細胞を死滅させる。前立腺は、壊死した細胞が吸収されるにつれて小さくなる。
【0008】
治療用流体を内部に送達させることができる1つの方法は、治療用流体を所望の治療部位にジェット式注射させるよう構成されたチューブ様の装置の使用を介する。一般的に、針無し注射器は、チューブ様装置の近位末端に位置する外部のリザーバから治療用流体を送達し、投与はチューブ様装置の遠位末端において起こる。治療用流体がチューブ様装置を介して比較的長い距離を移動するため、遠隔性の注射器は一般的に治療用流体を約2,000psi以上の圧力に加圧することができるものでなければならない。これらの圧力に対応するため、チューブ様装置は、例えばNiTiもしくはステンレス・スティールなどの合金、又は通常カテーテルに見られる網目状のチューブなどの金属で補強されたポリマーによって組み立てられてきた。合金及び金属で補強されたポリマーを使用すれば、破裂圧力及び膨張強度に関する操作上の要求が満たされる一方で、これらは一般的に柔軟性が制限されているため、例えば泌尿生殖器系のような、人体内によくある蛇行した管の中を進ませることが困難である。
【0009】
前立腺に注射する所定の方法にしたがって、経尿道用の可動性の内視鏡プローブが所定の領域に導かれる。可動性の内視鏡はカーブの内部で回転するが、注射チューブの曲がり剛性が全ての移動度において等しいわけではないため、注射チューブは、内視鏡のチャネルの内部で制御できない回転を起こしやすくなり得る。また、可動性の内視鏡における接合部は、一般的に曲がることが不可能な化合物によって構成されるため、一方向にしか曲がることができない。これは、前立腺の周りの解剖学的構造における問題である。したがって、所望の方向への注射を可能にするために、注射チューブを、事前に選択した方向に固定することが必要である。
【0010】
また、注射口が標的組織に近接していれば、より効果的に治療が行なわれる。内視鏡内部で、又は独立して、注射カテーテルが通路を介して標的組織に方向づけられる際、注射口が適切に配置されることを単に運に頼ることはできない。したがって、空間が制限されているため、最小限の可動部及び複雑さにより注射口を標的組織の近くに向けることがさらに必要である。
【0011】
他の種類の組織への注射を実施するため、様々な実用的な課題が存在する。膀胱組織などのいくつかの組織は、深さが薄い(すなわち浅い)ため、注射が課題となる。これらの組織において、例えばこの薄い組織内部で、組織における所望の領域を覆うように、薬剤をより均一に分布させる手段などによって、注射方法を改善させる必要が引き続き存在する。
【0012】
いかなる注射又は注射される組織のためであっても、治療用医薬は、最小限の不快感及び処置時間で、また可能な限り正確な送達位置及び容量で、また注射される組織中に流体が均一かつ正確に分布するように、送達されなければならない。このように、治療用流体を種々の組織に送達するための改良された装置を提供する必要が引き続き存在する。種々の組織とは、特に限定されないが、膀胱、膀胱頚部、前立腺、尿道、腎臓、尿管などを含む尿路の部位などである。
【0013】
〔概要〕
本発明は、針無し流体注射装置に関する。これらの装置は、特に限定されないが男性又は女性の尿路、例えば膀胱、膀胱頚部、腎臓、尿管、尿道、前立腺などの場所を含む、望ましい解剖学的組織位置での、治療用流体の局部的な送達を可能にする。治療用流体は、生物学的に活性のある種類、ならびに化学的及び生化学的な薬剤などの医薬を含む。模範的な装置は、流体を様々な組織位置に、また任意に複数の種々の治療用流体を、又は複数の種々の組織位置に、送達するよう設計され得る。この装置は、流体の送達における正確さ及び精密さに基づいて治療を改善するために、正確な量の注射用流体を正確な位置に送達することが可能である。
【0014】
記載された装置及び方法の特徴は、組織への流体の送達(注射)に伴う特定の実用的な問題を解決する。例えば、堅いシャフトの遠位末端における単一の針を用いた膀胱組織への流体の注射は、ただ1本の針を持つ堅いシャフトが有する厄介な性質のために、医者の専門化した器用さ及び経験を要する。本明細書に記載された装置及び方法は、従来の組織注射法の使用に関連する問題のいくつかを克服する。
【0015】
本発明に係る実施形態は、注射源及びアクセス装置を有する流体送達システムに関する。アクセス装置は、最小限の侵襲性を持つ、カテーテル又は内視鏡などのチューブ状の送達ルーメンを含み得る。注射源は、患者の治療部位に治療用流体を送達するための、非金属のポリマーのチューブ様装置を含み得る。このチューブ様装置は、選択的に発射されることにより、チューブ様装置の注射口を標的組織に向かわせ得る1つ以上の付加ジェット(jets)をさらに含み得る。選択的な発射は、治療の効率性を改善するために、注射の間の連続的な発射を含み得る。付加ジェット(jets)は、加圧型タンク、電磁流体力、膨張蒸気、ガス圧又は類似の推進法などの、独立したジェット流体源及び独立した駆動力を備え得ることが想像される。付加ジェットは、選択的に付加ジェットを発射させて標的組織に接触させるという運転能力を改善するために、ノズル又はベインを含み得る。
【0016】
非金属のポリマーチューブ様装置は、適切な高強度のポリマーを用いて製造され得る。このポリマーは、治療部位に治療用流体及び付加ジェット媒体を運搬するために、例えば、ポリイミド、商品名Ultem(登録商標)としてGeneral Electricから入手可能なポリエーテルイミド、及びVictrex plcから入手可能なPEEK
TMなどの線状の芳香族ポリマーなどである。ある実施形態において、この非金属のポリマーチューブ様装置は、ナノ粒子、粘土及び/又はガラスなどの材料の封入によって補強され得る。現在検討中のある実施形態において、この非金属のポリマーチューブ様装置は、1つ以上のポリマーによって補強され得る。このポリマーは、例えば、Kevlarの網目状チューブ又は他の高強度のポリマーなどである。この非金属のポリマーチューブ様装置は、少なくとも約2,000psiを超える噴出強度を有するように製造され得る。また、ある実施形態において、約2,000psi〜5,000psiの範囲内の噴出強度を有するように製造され得る。この非金属のポリマーチューブ様装置は、膨張特性を有するように製造され得る。この場合、ポリマーチューブ様装置の遠位末端に配置される1つ以上の開口部又はジェットポートは、その形状及び/又は大きさが膨張せず保持されるため、治療部位に治療用流体を送達するために用いられる流体の噴出に対して有害な影響を有さない。
【0017】
種々の実施形態において、記載されるような装置は、組織の異なる深さ、かつ所望の方向(注射される組織の表面に対して)の注射に有用であり得る。この注射は、あらゆるサイズ及び深さの組織内への流体の比較的に深い注射(「皮下注射」)などである。また、この装置は、例えば組織が限られた深さにある場合など、組織表面近くの深さでの組織への流体の浅い注射に有用である。所望の注射深さに依存して、開口部が、シャフトの長さに沿った、異なる位置において、シャフトに対して異なる方向又は角度に方向付けられ得る。
【0018】
膀胱組織などの限られた(浅い)深さの組織についての注射による組織の治療では、注射された流体が組織表面の下を短い距離のみ通過することが要求され得る。針を用いずに浅い組織に注射する以前の方法では、細胞表面に対して大きい角度で、例えば組織表面に対して垂直(直角)に、液流を注射することが行なわれている。組織表面の通過によって、この液流は分散し得る。つまり、従来の注射法では、注射位置において組織表面に垂直と思われる角度で「液流」が入った後に、注射された液流が分散され得る。ここに記載される方法の実施形態では、例えば組織表面に垂直でない角度、例えば組織表面に対して浅い角度で液流を注射することによって、浅い組織への注射を可能にする。
【0019】
浅い組織への注射(例えば、直角で)は、特に液流が所望の組織に到達する前に通過すべき膜をその表面に含む組織に注射する場合には、困難である;液流は、膜を貫通する一方、浅い組織を通過してその組織の反対側から出ないような、十分な速度が必要である。従来の方法はまた、非常に繊細な手法であり得る:注射装置の操作者は、注射される組織に対して注射装置のチップが及ぼす圧力量を認識すべきである。この圧力量は、垂直に注射される液流が貫通する度合いに影響し得るからである。
【0020】
ここに記載された所定の方法によれば、浅い組織への注射における問題は、組織表面に対して垂直でなく、かつ浅い角度で組織表面に方向付けられた液流を用いて浅い組織に注射することにより、克服され得る。例えばこのような問題は、ジェット(液流)を生成する注射口が、標的組織の一般的な境界に垂直に向けられず、垂直でない角度、特にこの境界に対して浅い角度で、例えば境界に平行又はほぼ平行に向けられる場合には、回避され得る。一般的な組織の境界に平行に向けられる注射は、ジェット貫通に関して標的組織を効果的に長くする、又は「厚くする」:距離の量は、注射(組織の有効な深さ)を増加させる。ある実施形態において、組織表面が貫通されることなく、液流が、一般的な組織表面より下の位置において開口部から噴出され得る。
【0021】
浅い注射に有用な装置は、組織に垂直な方向に遠位末端を配置させることにより組織に注射するために、シャフトの先端(例えば遠位末端チップ)の近くに注射口を含み得る。この装置は、しばしば「先端発射(end-fire)」装置として引用され得る。先端発射装置は、例えば注射口の方向とシャフトの長軸との間の角度によって、浅い注射法に用いてもよいし、また深い注射法に用いてもよい。
【0022】
特定の記載される方法及び装置は、相対的に「深い」注射、例えば浅い注射よりも深い深さでの注射、に有用であり得る。深い注射のために設計される装置は、注射の際に組織に接触するために、いずれかの角度において、シャフトの長さに沿ってどこかの有用な位置に配置された1つ以上の注射口を含み得る。注射口は、例えば、遠位末端チップから離れて配置され得る。遠位末端チップは、シャフトが組織の表面に沿って縦方向に方向付けられるにつれて、注射する組織表面に注射口を向けさせることができる。例えば、シャフト、つまり注射口を含むシャフトの一部が組織表面に平行に方向付けられる場合、シャフトの長さは組織表面に接することができる。これらの装置は、しばしば「側面発射(side-fire)」装置として引用される。
【0023】
記載されるように、所定の装置は、位置分布、及び流体送達の容量の点で、注射される流体の取り扱い、配置、調節、及び正確さを改良させる設計上の特徴を含み得る。例えば、シャフトに対して平衡化された、あるいは調節された流体の噴出によって生成される力を引き起こすために、複数の注射口がシャフトの長さ又は周囲に沿って配列され得る。ある実施形態において、シャフトの遠位末端において複数の開口部から流体を噴出させることにより生成される、シャフトに対する正味の力(net force)は、ゼロであってもよい。他の実施形態において、複数の開口部から流体を噴出させることにより生成される、シャフトに対する正味の力は、装置の遠位末端を制御するために用いられる力を生成してもよい。正味の力は、例えば組織と同格関係にある注射口の場所に向かって噴出される流体によって、生成されてもよい;すなわち、注射の際に、注射口、シャフト及び組織表面が互いに確実にかみ合っているため、正味の力によってシャフト及び注射口が組織表面に向かって押され得る。
【0024】
また、ある模範的な実施形態(例えば、位置分布、及び流体送達の容量の点で、注射される流体の取り扱い、配置、調節、及び正確さを改良させる実施形態)を参照すれば、アクセス装置は、少なくとも侵襲性を持つ、カテーテル又は内視鏡などのチューブ状の送達ルーメンを含み得る;チューブ様装置は、選択的に発射されることにより、チューブ様装置の注射口を標的組織に向かわせ得る1つ以上の付加ジェット(jets)をさらに含み得る;選択的な発射は、治療の効率性を改善するために、注射の間の連続的な発射を含み得る。付加ジェット(jets)は、加圧型タンク、電磁流体力、膨張蒸気、ガス圧又は類似の推進法などの、独立したジェット流体源及び独立した駆動力を備え得ることが想像される。付加ジェットは、選択的に付加ジェットを発射させて標的組織に接触させるという操作者の能力を改善するために、ノズル又はベインを含み得る。
【0025】
一局面では、本発明は、近位末端と、遠位末端と、遠位末端チップと、近位末端から遠位末端まで伸びている注射ルーメンとを備えている可動性のシャフトを含む、針無し注射装置に関する。この遠位末端は、遠位末端チップの近位側における遠位末端の縦方向位置に注射口を含む。注射口は、注射ルーメンと通じている。注射口は、注射口の縦方向位置において、シャフトの長軸に対して約45〜100度の角度に方向づけられている。シャフトは、注射口から液流を噴出可能であり、液流は、組織表面に対して垂直でない角度の液流として組織表面を貫通することによって組織内に注射されることが可能である。
【0026】
他の局面では、本発明は、近位末端と、遠位末端と、遠位末端チップと、近位末端から遠位末端まで伸びている注射ルーメンとを備えている可動性のシャフトを含む、針無し注射装置に関する。この遠位末端は、遠位末端チップの近位側における遠位末端の縦方向位置に注射口を含む。注射口は、注射ルーメンと通じている。注射口は、注射口の縦方向位置において、シャフトの長軸に対して約10〜170度の角度に方向づけられている。遠位末端には、少なくとも1つの補助噴出口がある。この装置は、遠位末端において注射口から流体を噴出することにより注射力を生成することが可能である。また、この装置は、少なくとも1つの補助噴出口から流体を噴出することにより、注射力に少なくとも部分的に対抗する噴出力を生成することが可能である。
【0027】
他の局面では、本発明は、組織に注射する方法に関する。この方法は、以下を含む:本明細書に記載の針無し注射装置を用意する工程と、注射物を近位末端に供給し、注射ルーメンに通じさせる工程と、注射口を、組織表面を貫通させずに組織表面の近くに配置させる工程と、注射物を加圧することにより注射口から液流として噴出させて組織表面を通過させ、組織表面下の組織内に流体の粒子として分散させる工程。
【0028】
他の局面では、本発明は、針を用いないで組織に注射する方法に関する。この方法は、近位末端と、遠位末端と、遠位末端チップと、当該近位末端から当該遠位末端まで伸びている注射ルーメンとにより構成された可動性のシャフトを備えている、針無し注射装置を用意する工程を含む。遠位末端は、遠位末端チップの近位側における遠位末端の縦方向位置に注射口を含む。注射口は、注射ルーメンと通じている。注射口は、注射口の縦方向位置において、シャフトの長軸に対して約45〜100度の角度に方向づけられている。この方法は、注射口が組織表面を貫通しないように、組織表面の近くの位置に、かつ組織表面に対して垂直に、遠位末端を位置付ける工程と、注射口から液流を噴出させることにより、当該液流が、組織表面に対して垂直でない角度で組織表面を貫通する工程とを含む。
【0029】
他の局面では、本発明は、針を用いないで組織に注射する方法に関する。この方法は、針無し注射装置を用意する工程を含む。針無し注射装置は、近位末端と、遠位末端と、遠位末端チップと、近位末端から遠位末端まで伸びている注射ルーメンと、近位末端から遠位末端まで伸びている調節ルーメンとにより構成された可動性のシャフトを備えている。遠位末端は、遠位末端チップの近位側における遠位末端の縦方向位置にある注射口と、調節口とを含んでいる。注射口は、注射ルーメンと通じている。注射口は、注射口の縦方向位置において、シャフトの長軸に対して約10〜170度の角度に方向づけられている。この方法は、注射口が組織表面を貫通しないように、注射口を組織表面に向けて方向付けて組織表面の近くの位置に遠位末端を位置付ける工程と、注射口から液流を噴出させることにより、この噴出が遠位末端における注射力を生成し、液流が組織表面を貫通する工程と、この開口部から流体を噴出させ、注射力に対抗する調節力を生成する工程とを含んでいる。
【0030】
他の局面では、本発明は、本明細書に記載されるような針無し注射システムにおけるいずれかの2つ以上の構成要素の組み合わせに関する。この組み合わせは、以下からなる群より選択される:コンソール、コネクター部品、注射シャフト、及び作業用シャフト。
【0031】
他の局面では、組み合わせは、示されるように、以下を含む工程によって使用され得る:コンソール及び複数の注射シャフトを備える針無し注射システムを用意する工程;第1の注射シャフトをコンソールに取り付け、第1の流体を噴出させて第1の患者の第1の組織に注射する工程;第1の注射シャフトを取り外す工程;第2の注射シャフトをコンソールに取り付け、第2の流体を噴出させて第2の患者の第2の組織に注射する工程。この組み合わせは、また、注射の間に取り換えることが可能である1つ以上のコネクター部品(例えば、取り外し可能な圧力チャンバ)をも含み得る。
【0032】
本発明における、上述した種々の見本となる実施形態の概要は、それぞれの図示された実施形態又は本発明の全ての実施を記載することを意図したものではない。むしろ、各実施形態は、選択されて記載されており、そのためこの分野における当業者が本発明の原理及び方法を認識しかつ理解し得る。以下の詳細な説明における形態は、これらの実施形態をより特別に例示するものである。
【0033】
〔図面の簡単な説明〕
全ての図面は見本であって縮尺を示すものではない。
【0034】
図1は、浅い組織に注射する従来の方法の側面図を図示する。
【0035】
図2A、
図2B、
図2C及び
図2Dは、記載の、組織(例えば浅い組織など)に注射する方法の種々の特徴及び詳細を図示する。
【0037】
図3C、
図3D及び
図3Eは、記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端、及び関連する方法を図示する。
【0039】
図4A及び
図4Bは、記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の側断面図を図示する。
【0040】
図4Cは、記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の横断面図である。
【0041】
図5A、
図5B及び
図5Cは、記載のシャフトの遠位末端の横断面図、及び関連する方法を図示する。
【0042】
図6は、記載のシャフトの遠位末端の側面図、及び関連する方法の工程を図示する。
【0045】
図9は、記載のシャフトの遠位末端における側断面図を図示する。
【0046】
図10は、本発明に組み込まれる注射システムの概略図である。
【0047】
図11は、模範的なアクセス装置及び注射源の透視図である。
【0048】
図12は、模範的な注射源の横断面図である。
【0049】
図13は、治療部位に対してジェットを発射する、模範的な注射源の横断面図である。
【0050】
図14は、治療部位に対してジェットを発射するとともに注射物を発射する、模範的な注射源の横断面図である。
【0051】
図15は、模範的な注射源の横断面図である。
【0052】
図16は、記載のシステムを図示する。
【0053】
図17は、記載のシステムにおける組み合わせの選択可能物を図示する。
【0054】
〔詳細な説明〕
以下の詳細な説明において、多くの具体的な説明は、記載されている装置および方法の種々の態様を十分に理解させるために示す。関連技術の当業者には、記載される特徴が、これらの具体的な説明なく実施され得ることが明白である。別の場合において、公知の方法、手段および構成要素は、本発明の態様を不必要に不明確にすることがないように、詳細に説明されていない。
【0055】
本発明は、治療対象の組織に流体を注射するために有用な装置および方法に関する。流体は、組織を貫通させ、組織表面を通って組織集合内部に針の穴が配置されるように突出させるための針状構造を含むような針を使用せずに、注射され得る。針無し注射口は、針状構造を組織に貫通させずに、液流が組織表面を通過し、組織内に流体粒子として(例えば、分散された流体粒子の霧または液滴の形で)分散させることが可能な圧力、速度および流径において、流動的な流れ(例えば、「ジェット」または「液流」)の形で流体を移送する。治療対象として注射される組織の種類は敏感に反応する任意の組織であり得、限定されないが、例えば、前立腺組織、腎臓組織、尿管組織、尿道組織、膀胱(膀胱頚部を含む)などの泌尿器系の組織もしくは泌尿器系の近傍の組織、または所望により、心組織など他の組織が挙げられる。
【0056】
一般的に説明されるような針無し装置は、遠位末端および近位末端を備えている。本明細書において用いられる場合、「遠位末端」とは、通常、伸縮シャフトの遠位末端など、治療処置中の患者体内に設置される装置の一部のことをいう。遠位末端は、使用中に流体または組織に作用する機能的な機構を備えていてもよい。この機構としては、例えば、1つ以上の噴出口、1つ以上の噴出口を収容するための任意の移送ヘッド(末端エフェクター、ノズルなど)、任意により摩擦性組織保持チップ、任意により組織テンショナー、任意により1つ以上の照明、光学機構、ステアリング機構などが挙げられる。
【0057】
典型的な針無し装置の「近位末端」は、使用中に患者の体外に留め置かれる注射器本体または「コンソール」を備え得る。コンソールの例としては、シャフトと連結するか、さもなければシャフトと(直接的か、または間接的に)流動的に連通する筺体が挙げられる。コンソールは流体を含んでいてもよく、遠位末端において組織に注射するシャフトに流体を流し込むために、流体は圧力源によって加圧され得る。
【0058】
装置は、シャフトの遠位末端に設置された少なくとも1つの注射口を含む、1つまたは複数の噴出口から流体を噴出することができる。任意により、複数の噴出口は、シャフトの遠位末端の長さに沿ってか、または周囲を取り囲む1つ以上の位置に配置され得る。ある噴出口は、流体を噴出して組織内に注射されるように設計された様式、すなわち「注射口」であり得る。別の噴出口は、流体を噴出して、注射中のシャフトの遠位末端に調節力をかけるように設計され得る(すなわち、「調節口」)。いくつかの実施形態において、噴出口は、注射のために流体を噴出するのみならず、調節力を産生するように機能し得る。この調節力は、例えば、一方の縦方向位置において、シャフト周囲を取り囲む様々な位置に配置された、複数の注射口によって生じる。シャフト内のルーメンは、装置の遠位末端にある噴出口(注射口または調節口)と、装置の近位端にある流体供給源とを接続し得る。シャフトは、このルーメンを1つまたは複数備え得る。
【0059】
シャフトは、注射口の位置に1つ以上の任意の調節機構を包含し得る。この調節機構は、装置の遠位末端の調節を改良することによって、注射される流体の位置を調節する。調節機構の実施例には、組織の異なる位置に向けられるか、またはシャフトの周囲を取り囲む複数の方向にある複数の注射口の存在、注射された流体によって生成された力を補正するための「調節」口と呼ばれる非注射口の利用、組織テンショナー、擦るように組織とかみ合わせるために使用され得る、遠位末端組織保持チップ、操縦可能な遠位末端、およびこれらの組み合わせを含む。
【0060】
装置、システム、および方法は、注入物が組織の表面を介して加圧された液流(または「ジェット」)として通り抜けるという針無し手法において、組織内に流体(あるときは、任意の種類の流体(治療的な流体など)であり得る「注入物(injectate)」または「注射流体」と呼ばれる)を注射するために用いられ得る。この流体は、組織表面を貫通して組織のバルクに入る針を使用せずに浸透し、組織表面よりも下の組織内に粒子または液滴として分散する。これは、管状針構造を組織表面よりも下の組織集合内部に針の管端部を位置付けて組織を貫通させて、その後、針が組織のバルク内に流体を移送し、流体の集まりまたはボーラスとして知られる流体のプールの形において、比較的低圧で組織に流体を移送するという、針を使用して実施される注射と対照的である。
【0061】
針無し注射システムによって組織内に注射するために噴出された液流またはジェットは、液流が組織表面を直接経由して貫通して、続いて組織内に分散することが可能な大きさ(例えば、直径)、速度、圧力および容積であり得る。この流れは、流体が組織表面を介して侵入した後、組織内に分散する(好ましくは、組織のバルク内に多方面にわたる粒子(例えば、「霧」)または液滴の集合体で)、相対的に高速、高圧、小径のジェットとみなされる。圧力チャンバにおける流体の圧力の例としては、平方インチ当たり少なくとも200ポンド(psi)であり得、例えば300〜5000psiであり得る。本実施形態の範囲を限定するものではないが、膀胱組織に注射する場合、圧力チャンバで測定した際、250psi〜1000psiの圧力が有効であり得、前立腺組織に注射する場合、圧力チャンバで測定した際、3500psi〜5000psiの圧力が有効であり得る。
【0062】
例示的な針無し装置は、任意の体組織における様々な身体の不調または病気を治療するために使用され得る。例えば、身体ルーメン、血管、またはキャビティを介して組織に近づくことによって、およびルーメン、血管、またはキャビティの内部に注射口を配置して組織を注射することによって、体腔または身体ルーメンを介する注射が届く範囲を含むか、または範囲内にある組織を治療するために用いられ得る。注射によって治療され得る具体的な組織の例としては、泌尿器系の組織および泌尿器系に近い組織が挙げられる。例えば、膀胱組織、膀胱頚部組織、腎臓、尿管、尿道、前立腺が挙げられる。また、記載される装置および方法を用いた注射によって他の組織が治療されてもよい。記載される装置および方法は、多様な組織タイプの注射に適用することができる。この組織は、別の針無し(または針様式の)方法および装置を用いて噴出することが困難な、限定的な深さまたは厚さ寸法を示す組織など、様々な位置または様々な大きさの組織を包含する。例えば、特定の方法および装置の実施形態は、組織に対して浅い角度で、横方向に組織を注射することによって、浅い「深さ」にある組織を注射するために特に有効である。
【0063】
典型的な装置および方法は、組織表面近くに注射口を配置し、組織表面を貫通するために横方向に流体を噴出することによって、組織への流体の浅い注射を行なうことが可能であり、それにより、組織表面に近い位置で流体を組織内に分散する。膀胱組織など、特定の組織は幾分深度が浅い。所望により、浅い注射法は任意の種類の体組織を治療するために利用され得る。今までのところ、特定の組織は、浅い深度が原因で、従来の針無し注射法によって容易に治療され得ない。例えば、ある種類の浅い組織は、注射中、浅い組織を通過している注射された流体の影響を受け易く、注射の反対側で組織を抜け出たり、場合によると、注射された流体の一部の作用を打ち消したり、望ましくない場所に注射された流体を入れてしまう可能性がある。そのような組織は、十分な深さ(例えば、対向する組織表面の間を測定して、少なくとも10ミリメートルの深さ)を有さないことがある。本明細書に記載されるような浅い注射法を用いて治療され得る組織の例は、10ミリメートル未満の厚み寸法を有する組織が挙げられ、例えば、2〜10ミリメートルの範囲の厚みを有する組織である。そのような組織としては、膀胱組織(膀胱頚部を含む)が挙げられる。
【0064】
従来の浅い組織の針無し注射法は、組織表面に対して大きな角度、例えば、組織表面に対して実質的に垂直な(直角な)角度か、またはほぼ直角な角度(例えば、直角から10度または20度以内)で液流を注射することによって実施されている。例えば、
図1は典型的な従来方式である、浅い組織を注射する装置および方法を示す。
図1に関して、組織10は比較的薄い厚さ「t」を有し、例えば、約3〜4ミリメートルの範囲の厚みを有する膀胱組織であり得る。シャフト12はルーメン14及び開口部20を備えており、ルーメン14及び開口部20は、シャフト12の長軸A
Lに沿った方向にシャフト12の末端を突き抜ける。シャフト12は、シャフト12の末端と表面18とが接触する位置において、組織表面18に対して直角姿勢に方向づけられる。流体16を組織10に注射するために、流体16を開口部20から噴出し、組織表面18を介して組織10のバルクに入れる。表面18に対して相対的に直角な方向に流体16の流れを噴出することによって、流体16は表面18を介して組織10の中に注射される。
【0065】
これに対し、本明細書に記載される特定の方法および装置によれば、組織表面に近い組織集合の内部に注射物を入れるように、組織表面に対して浅い角度で組織を注射することができる。この組織は、膀胱組織などの浅い組織であり得る。代替的に、組織は、前立腺組織または心組織などの浅くない組織であってもよい。これは、例えば、組織表面に近い位置に注射物を入れて、浅くない組織を注射することを目的とする場合である。浅い注射についての実施例には、組織表面に近い組織の内部における流体の注射および分散を可能にするために、組織表面に浅い角度で液流を注射すること、また、流体が組織を通り抜けて反対側の表面に抜け出るリスクを低減すること、を包含する。
【0066】
組織と接するシャフトの遠位末端チップを、垂直(すなわち直角)方向に入れる多くのまたは大多数の例において、軟組織が変形しやすい性質であるために、遠位末端チップが組織を歪めたり、変形させたり(「湾曲させる」)してしまう(本明細書において用いられる場合、「遠位末端チップ」は、遠位末端のうち最も遠い(最も遠位の)機構である、シャフトの遠位末端の場所とみなすことができる。)。変形した組織の大きさ(領域)は、組織にかかった圧力の大きさ、遠位末端チップの大きさ、とりわけ組織の性質(例えば、変形しやすさ)などのファクターに依存する。場合により1つ以上の注射口を備えている遠位末端チップによって組織にかかった圧力により変形されるか、または湾曲され得る組織を注射する場合、シャフトの遠位末端の少なくとも一部を、近くの組織表面域よりも下にある位置に配置してもよい(
図2A〜2Dを参照のこと)。これらの場合において、遠位末端チップ、また任意により1つ以上の注射口が、組織表面「よりも下」にあるすぐ近くの組織と相対的な位置に配置され得るために、組織表面を変形させるが、遠位末端チップは必ずしも組織を貫通するわけではない。例えば、
図2Cに示されるように、遠位末端チップ42、D
02および開口部40は、組織表面38を横断する線分T「よりも下」に配置される。このように遠位末端チップおよび注射口を配置することによって、注射口を横方向に組織に近づかせることが可能であり、横方向に流体を噴出することによって、遠く離れたところ(すなわち、横方向距離)にある組織に流体を噴出することができる。
【0067】
典型的な浅い注射法は、組織表面に対して直角な方向に遠位末端を向けて(例えば、垂直から20度または10度の範囲内、好ましくは、垂直から5度の範囲内、を意図する)、シャフトの遠位末端を使用すること、および遠位末端に縦の(垂直の)力を加えて、遠位末端チップが組織表面に圧力をかけるようにすること、を包含し得る。浅い注射法は、組織表面に対して垂直ではない液流の注射によって、例えば、組織表面に対して組織表面よりも下に0度〜45度の範囲の角度に液流を方向づけて、組織中に流体を注射し得る。この角度は、例えば、組織表面に対して0度〜10度であるか、またはほぼ平行(から10度の範囲内)な角度である。
【0068】
組織表面に対する液流の角度を測定するために、液流の方向(すなわち、ライン)が、液流を移送する口の軸(例えば、フローの軸)で規定される方向(ライン)と同じ方向(ライン)であるとみなすことができる。組織表面の方向(ライン)は、組織表面に沿った方向、組織表面の方向が長軸と同一平面になるように、シャフトの長軸と交差する方向、および液流の方向と同一平面にある組織表面の方向であり得る。なお、通常、表面は平坦ではなく、任意によりシャフトの遠位末端チップによって湾曲され得る。別の典型的な測定によれば、組織表面の方向は、組織表面からの方向、シャフトからの方向、任意によりおよび好ましくはシャフトの遠位末端チップによって湾曲された任意の組織からの方向、例えば、浅い角度で注射される場合、流体が組織を貫通する横方向の方向、にわたって延びるラインとみなすことができる。例えば、
図2Cおよび関連する文章を参照のこと。組織表面の方向またはラインは、選択された方向に沿った表面組織の基準位置と定めることができる。
【0069】
図2A〜2Dは、浅い角度で浅い組織を注射するための典型的な装置および典型的な方法を示す(代替的に、図示される装置および方法は、浅い角度で浅くない組織を注射するために利用され得る。)。
図2A〜2Dに関して、組織30は比較的薄い厚さ「t」を有し、例えば、約3〜4ミリメートル(mm)の範囲の厚みを有する膀胱組織であり得る。シャフト32(例えば、注射シャフト)の遠位末端の部分は、ルーメン(例えば、注射ルーメン)34、2つの注射口40、および遠位末端チップ42を備えている。注射口40は、それぞれミリメートルの遠位末端チップ42内に位置付けられており、それぞれの注射口40はシャフト32の全長に沿って同じ縦方向位置に配置されている。それぞれの開口部40は、方向D
0.1、方向D
0.2を向いている。図示されるように、これらの方向は対向方向であり、シャフト32の長軸A
Lを横切り、長軸A
Lに対して直角な角度α(すなわち、ほぼ90度)で横方向に延びる。シャフト32は、遠位末端チップ42と組織表面38との接触位置(すなわち、組織表面38の接線;A
Lと組織表面38との間がほぼ90度である角度α3を示す
図2Dを参照)において測定したときに、組織表面38に対して実質的に直角姿勢に向けられる。なお、ラインSは、組織表面38が遠位末端チップ42と接触する位置での表面に対する接線である。
【0070】
さらに、
図2A〜2Dに関して、流体は、2つの対向する液流(図示せず)として開口部40から噴出され得る。これらの液流は、それぞれ組織表面30を通り抜けて、粒子または液滴として組織30の内部に分散され得る。これらの液流は、開口部の方向D
0.1およびD
0.2の交点、ならびにそれぞれの開口部40と非常に近接する組織表面38の位置において、組織表面38を通り抜ける。
図2Bにおいて、線分T
1およびT
2は、それぞれ、侵入点P
E,1およびP
E,2における組織表面38の方向を表す。また、
図2Bに示されるように、侵入角α
E,1およびα
E,2(液流と組織表面との間の角度)は、通常、約20度〜90度の範囲内であり得る。この角度は、例えば、遠位末端チップ42が組織38を湾曲させる深さに依存する。
【0071】
図2Cは、組織表面と注射される液流(または注射口)との間が狭い角度で、液流を注射する方法に関する代替的な実施形態を示す。
図2Cに示されるように、線分Tは、軸A
Lを交差する方向に組織表面38の基準位置を横断し、D
O,2およびA
Lの両方と同一平面にある線分として決定された、組織表面38のうちの1つの面を示す。図示されるように、注射口40(線分D
O,2で示されるような)と、組織表面の基準位置(これより下に、流体が注射口40から噴出した液流によって注射される位置がある)(線分Tで示されるような)とがなす角度は、浅い角度であり得る。この角度としては、例えば、約0度(すなわち、注射流が組織表面Tに対して平行な角度)〜45度であり、0度〜約30度などが挙げられる。
【0072】
また、
図2A〜2Dに関して、組織表面への液流の侵入点(P
E,1およびP
E,2)において測定したとき、表面38に対して浅い角度の方向にそれぞれの開口部40から液流を噴出することによって、流体は、表面38を介して組織30に注射される。さらに、
図2Cに関して記載されるように、これらの方法および装置によれば、液流(例えば、注射口)の方向と流体が注射されるところよりも下の組織の方向との間で浅い角度が測定される場合、流体も表面38に対して浅い角度で注射される。
【0073】
本明細書からわかるように、浅い角度での組織注射は、様々なアプローチおよび技術を用いて実施され得る。特定の技術によって、組織は、シャフトの遠位末端によって(例えば、遠位末端チップによって)様々な深さに湾曲され得る。また、注射口は、遠位末端(例えば、「遠位末端チップ」の近位側)における様々な位置であるが、遠位末端チップに近い位置に配置され得る。装置は、遠位末端、特に「遠位末端チップ」の近くが、例えば組織の湾曲を生じさせ得る設計など、多様であり、また、有用かつ様々な形状および構造で設計され得る。また、所望により、シャフトに相対的な1つ以上の開口部に関して、様々な開口部の構造および様々な方向(角度、ならびに縦方向および円周位置)が用いられてもよい。複数の開口部は、遠位末端チップの周囲を取り囲んで配置され得る。任意により、複数の開口部は、近接する組織の面よりも下に注射口を配置させるために、組織を湾曲させるか、または歪めるように作動する遠位末端チップ近傍の機構(例えば、「組織インデンター」)と組み合わせて配置されてもよい。組織インデンターは、近接する組織(湾曲される組織に近い、湾曲されない組織)の表面のすぐ下の位置に注射口を配置させるために、組織を歪める(押圧、湾曲または変形)ように設計された遠位末端チップに近いか、または接する構造であり得る。そのため、開口部は、近接する組織の表面よりも下の近接する組織を貫通するように、横方向に、噴出された流体の液流またはジェットを導く。注射口は、浅い組織注射を可能にするために、通常、湾曲された組織から離れた対象組織の境界または表面に対して浅い角度(例えば、平行に)であり得、また、浅い角度に向けられ得る(方向づけられる)。
【0074】
任意により先端発射設計(end-fire design)によって、浅い組織注射および組織の湾曲のために設計されたシャフトの遠位末端は、遠位末端が組織を湾曲させている深さについてユーザにフィードバックする機構か、または遠位末端の近くに配置された注射口が組織を湾曲し得る深さを制限する機構を備え得る。このフィードバック構造または深度制限構造は、遠位末端チップの近位側において、また、注射口の近位側において、シャフトから広がりながら実質的に横方向に延びる。種々の好適な構造の例としては、「たてがみ(mane)」、すなわち段部、目盛り、または任意の他の構造的な突起が挙げられる。なお、段部は、注射口に隣接し、注射口の近位側にあるシャフトの周囲を横方向(例えば、シャフトの長軸からほぼ90度)に、例えば、遠位末端チップから5ミリメートル以下の距離で延びる。目盛りは、本明細書に記載されるように、組織表面に対するシャフト遠位末端が湾入させた深さおよび注射口が湾入した深さを視覚的に(シャフトの光学機能によって)測定するための目盛りである。任意の他の構造的な突起によれば、組織内に遠位末端が湾入したレベルに関してフィードバックすることが可能である。深度制限構造は、シャフトまたは注射シャフトに適した任意の材料で作製され得る。この材料としては、例えば、大多数の金属、PEEKなどの強化ポリマー、ポリカーボネート、およびUltem(登録商標)他が挙げられる。この構造およびその近くの遠位末端チップは、遠位末端による湾入および任意のフィードバック機能または深度制限機能が可能な任意の大きさおよび構造であり得、また、注射シャフトの材料から直に形成し得る。
【0075】
記載されるような浅い注射は、組織表面の真下の浅い距離にある場所に流体を噴出するために有用である。このことは、膀胱組織など浅い深度の組織にとって、またはたとえ組織が浅い深度でなくても、心組織などの他の組織にとって望ましい。浅い注射は、組織表面よりも約10ミリメートル下までの深度への流体の注射を可能にし得る。浅い注射法を実施するために有用な装置において、注射口は、シャフト(例えば、注射シャフト)の長軸に対して45度〜約135度までの範囲にある角度に方向づけられてもよい。この角度は、例えば、注射口の位置にあるシャフトの長軸から、70度〜約110度の範囲内にある角度である。注射口の方向(ライン)は、注射口(例えば、穴(穴)または開口(開口))の中心線として測定され得る。この中心線とは、シャフトの長軸(またはその接線)を横断する。この長軸は、シャフトの長軸(またはその接線)と同一平面にあり、角度ゼロ度である遠位末端チップの方向における長軸(またはその接線)および角度180度であるシャフトの近位端の方向における長軸に基づいている。
【0076】
また、特定の浅い注射法によれば、注射口は、遠位末端チップ近くのシャフトの遠位末端の長さに沿って横方向位置に配置され得る。これにより、遠位末端を表面に対して垂直に配置することが可能であり、噴出した流体を表面に対して浅い角度で組織に入るように導く。これらの実施形態において、注射口はシャフトの遠位末端の遠位末端チップの比較的近くに配置され得る。そのため、シャフトの遠位末端は組織に対して垂直に配置される(任意により、組織を湾曲させたり、歪めたりするように)。注射口は、組織表面に近い場所に配置されて、組織表面に対して浅い角度で流体を組織の中に噴出するように方向づけられる。注射口(注射口の中心または軸において測定した)と遠位末端チップとの間の有効な距離は、例えば、約3〜約1ミリメートルの範囲内など、5ミリメートル以下(例えば、シャフトの長軸に平行なラインに沿って測定した)であり得る。
【0077】
図3A〜3Dは、シャフトの遠位末端の例を示す。このシャフトは、ほぼ直角か、または垂直な方向で組織に対して配置されるシャフト遠位末端とともに、狭い角度で組織内に流体を噴出するような位置に配置された1つ以上の注射口を有する、末端噴出装置とみなされる。注射シャフトの断面を示す
図3Aに関して、シャフト遠位末端50は、シャフト側壁52、注射ルーメン54、および反対方向58,59に向いた注射口56,57を有する。方向58,59は、長軸A
Lに対して実質的に直角である。遠位末端チップ60は、長軸A
Lに対して直角の面である。注射口56,57と遠位末端チップ60に直交する面との距離Dは、例えば、5ミリメートルよりも短くてもよい。
【0078】
図3Bは、同様のシャフトの別の例を示す。このシャフトは、遠位末端チップ60に隣接する組織保持チップ61を備えるように改良されている。組織保持チップ61は、遠位末端50が組織表面に対して直角な方向に配置されるとき、組織と擦るようにかみ合わせる(frictionally engaging)ことが可能な、摩擦伸張部を含む。
【0079】
摩擦伸張部を、注射口からの流体の噴出時に、遠位末端50および注射口56,57の動きを妨げないために、組織を擦るようにかみ合わせるように設計してもよい。付加的に、または代替的に、摩擦伸長部は、ユーザが、組織表面に対して垂直な方向にシャフト遠位末端を配置できるように用いられ得る。身体構造上のいくつかの場所では、長い注射シャフトが直角方向から組織表面に到達することができるように、組織の表面に十分に近づくことができないことがある。この場合、摩擦伸長部または組織保持チップ61を備えるシャフト遠位末端(50)は、より浅い角度で組織表面(53)に近づくことが可能である。この角度は、例えば、組織表面に対して10〜80度、または20〜70度である。
図3Cを参照のこと。
図3Dに示されるように、組織保持チップ(61)は、垂直ではない角度で、組織表面53を擦るようにかみ合わせることができる(必ずしも貫通しなくてもよいが、任意によりわずかに湾入させる)。続いて、操作者は、圧力および移動によって(例えば、柔軟性のあるシャフト遠位末端50に曲線(49)を作り出すことによって)、柔軟性のあるシャフト遠位末端50を操作することができる。一方、組織保持チップ61は組織表面53と擦るようにかみ合わせたままであり、組織表面53に近いシャフト遠位末端50の少なくとも一部は、組織表面53に対して垂直な方向において、配置される。
図3Eを参照のこと。
【0080】
図3Fは、同様のシャフトの別の例を示す。このシャフトは、組織保持チップ61を備えるように改良されている。組織保持チップ61は、遠位末端50が組織表面に対して直交する方向で配置されるとき、組織を擦るようにかみ合わせることが可能な摩擦性伸張部を備えている。また、開口部56,57は、それぞれ長軸A
Lに対して角度がつけられた方向58,59を向いている。開口部56,57の方向58,59と、長軸A
Lとがなす角度は、例えば、約60〜30度であり得る。
【0081】
図3G(側面図)は、同様のシャフトの別の例を示す。このシャフトは、目盛り63を備えるように改良されている。目盛り63は、シャフト側壁52の外面に印が付いている。目盛り63は、マーキングか、または開口部(例えば、開口部56)からの距離を示す印であり得る。これにより、駆動シャフトの光学特性によって、組織の歪みの程度が、組織表面と目盛り63とを比較することによって測定することができる。例えば、目盛りは、組織に対して垂直にシャフト遠位末端50を配置することによって、また、組織の湾曲または歪みのために、遠位末端チップ60が組織表面全体よりも下に配置されるようにシャフトに垂直の圧力を加えることによって、用いることができる。例えば、内視鏡、膀胱鏡、または他の駆動シャフトもしくは医療機器シャフトなどの光学機能を用いることによって、組織の湾曲のために開口部56が組織表面全体よりも下に配置される距離が、目盛り63によって測定され得る。所望される湾入度合いのとき、注射はなされる。目盛り63は任意のマーキングであり得、また、任意の一定量の距離を示し得る。この距離は、通常短い距離であり、例えば、ミリメートルまたはわずかなインチである。
【0082】
図3Hは、別の様々な遠位末端50を示す。遠位末端50は、1つの注射口58のみを備えており、この注射口58は長軸A
Lから約45度の角度にある。
【0083】
図3A〜3Hに示されるシャフト遠位末端50は典型的であり、例えば、1つまたは2つの注射口を備えることを示す。これら遠位末端のいずれかは、例えば、追加の注射ルーメン、追加の注射口、1つ以上の調節口など、本明細書に記載されるようにさらに改良されてもよい。
図3I、3J、3Kおよび3L(シャフトの全長に沿って複数の注射ルーメンの縦配置位置における断面)に示されるように、複数の注射口は、所望される任意の角度、または長軸に相対的な角度で、注射シャフトの周囲を取り囲んで配置され得る。この角度は、例えば、軸に対して垂直な位置であるか、または末端に方向づけられた角度である。
図3I、3J、3Kおよび3Lに示されるように、注射口50は、側壁52、注射ルーメン54、および注射口58(側壁52の穴または開口)を備える。液流64は、注射口58から噴出されている。遠位末端の長さにそって一方の縦方向位置にあり、例えば、シャフト周囲を取り囲んで等距離の位置に分散された、複数の注射口の利点は、注射力を平衡に保ち、注射シャフトの周囲を取り囲む組織への注射の均一性を改善することができる。図示されるように、注射口は、シャフト側壁に直に形成される開口または穴の形状である。代替的に、開口部はノズル、末端エフェクター、注射ヘッドなどの一部であり得る。
【0084】
また、本発明の実施形態では、組織表面の近傍に注射口を配置することによって、また、注射口から組織の中に(実質的に表面よりも下であって、浅い注射法と同様に組織表面だけではなく組織中に)流体を噴出することによって、十分な深さを有する組織への流体の「深い」注射を可能にする。「深い」注射についての注射の説明は、説明された浅い注射と比べて相対的により深く組織にし得る注射であることを考えれば、相対的である。深い注射法は、注射物を、例えば、組織表面よりも少なくとも約7ミリメートル下の深さへ、組織表面を介して通り抜けさせるように組織を注射するために用いられ得る。この深さは、例えば、組織表面以下の約10〜30ミリメートルの範囲である。液流は、組織表面に対して実質的に垂直に、または任意の角度に方向づけられ得る。
【0085】
典型的な深い注射法によれば、1つ以上の注射口を遠位末端の近傍に配置する必要はない(しかし、少なくとも1つは遠位末端の近傍に配置する)。1つ以上の注射口は、注射口を備えるシャフトの長軸が組織表面と平行な方向に配置されるとき、注射口および近接する注射シャフト側壁が組織表面と接触する位置における、遠位末端チップに近位側であり得る。本明細書において、これらの装置の実施形態では、あるときには「側面発射(side-fire)」装置という。
【0086】
「側面発射」装置の特定の実施形態において、注射口は、遠位末端チップの近位側で、遠位末端チップから離れた距離に配置され得る。これにより、注射口は、組織と接触してシャフト側壁を配置することによって、注射対象の組織と接するように配置される。注射口は、遠位末端チップから離れた距離にあるシャフトの遠位末端の長さに沿った位置に配置され得る。そのため、シャフトの遠位末端の側壁が、身体ルーメン内などから組織と接するように配置されたとき、注射口が流体を組織中に噴出する位置に配置される。これら実施形態に関する注射口の配置例は、遠位末端チップの近位側において、遠位末端から約1〜約40ミリメートルの範囲内にある(例えば、遠位末端チップから約1〜約25ミリメートルの範囲にある距離)シャフトの遠位末端に沿った位置であり得る。
【0087】
深い注射法に関して、側面発射装置によって治療され得る組織の例としては、例えば、少なくとも10センチメートルの深度寸法を有する組織、また任意により、身体ルーメンまたはキャビティを通って近づくことが可能な組織が挙げられる。この組織としては、尿道を介して注射物を通すことによって注射され得る、前立腺組織が挙げられる。すなわち、注射は尿道のルーメン内に位置される注射口から開始され得る。液流は尿道組織を貫通し、尿道組織を横断し、前立腺組織に入って浸透する。
【0088】
深い組織注射のための液流は、シャフトの長軸に対して任意の角度に方向づけられ得る。この角度は、注射されている組織の種類、およびシャフトの遠位末端に沿った注射口の位置に依存して異なっていてもよい。有用な角度は、通常、シャフトの長軸に対して5度〜175度の範囲であり得る。この長軸は、角度ゼロ度である遠位末端チップの方向における長軸、および角度180度であるシャフトの近位端の方向における長軸に基づく。典型的な角度は、20度〜160度の範囲内の角度を包含し、例えば、45度〜135度の範囲、または70度〜110度の範囲に角度がつけられている。
【0089】
図4A、4Bおよび4Cは、側面発射装置とみなされるシャフト装置の遠位末端の例を示す。この側面発射装置は、シャフトの遠位末端の長さに沿って、遠位末端チップから離れた距離にある位置に配置された、1つ以上の注射口を有する。そのため、シャフトの遠位末端の側壁が組織と接するように配置されたとき(例えば、身体ルーメンから)、注射口は、組織表面を介して流体を組織に噴出する位置の組織表面近くに配置される。
【0090】
注射シャフトの縦方向における断面図である
図4Aに関して、シャフト遠位末端70は、シャフト側壁72、注射ルーメン74、方向78,79において横方向に向けられた注射口76,77を備えている。注射口76,77は、長軸A
Lに対して実質的に垂直な位置にある。遠位末端60は、長軸A
Lに直交する面である。注射口76,77と遠位末端チップ60を含む面との距離Dは、例えば、1〜約40ミリメートルの範囲内であり得る。遠位末端チップ60を含む面は、すなわち、遠位末端チップ60の位置において、長軸A
Lに直交する面である。
【0091】
図4Bは、
図4Aのシャフト遠位末端の変形である。
図4Bのシャフト遠位末端70は、方向78,79に対向する方向81,83に向けられた調節口80を備えている。調節口80,82は調節ルーメン84と接続されており、この調節ルーメン84は、針無し注射装置の近位端と連通している。調節流体は、近位端からの圧力下において、調節ルーメン84を通って流れ、調節口80,82からそれぞれ噴出され得る。注射口76,77から流体を噴出する間、調節口80,82のそれぞれを通る調節流体の噴出は、注射口76,77からの注射物の噴出によって生み出された注射力に対抗する噴出力を生成し得る。
【0092】
図4A、4Bおよび4Cに示されるように、1つの調節口は各注射口と向かい合っている。別の実施形態において、1つ以上の調節口は、各注射口に付随する注射力に対抗するために用いられ得る。また、図示されるように、2つの調節口80,82は、それぞれ同じ調節ルーメン84につながっている。別の実施形態では、各調節口は、異なる調節ルーメンに別々につながっていてもよい。
図4Cは、開口部77,82における縦方向位置からの遠位末端70の断面末端図を示す。また、図示されるように、注射口および調節口は、シャフト側壁に直に形成された開口または穴の形状である。代替的に、開口部はノズル、末端エフェクター、注射ヘッドなどの一部であり得る。方向78,79,81および83は、すべて長軸A
Lに対して実質的に直角に位置することを示すが、代替的に、例えば遠位末端チップ60を向いた方向に、また別の方法では近位シャフトを向いた方向に、長軸に対して相対的に角度がつけられ得る。
【0093】
深い注射法または浅い注射法に関して記載される方法および装置の特定の実施形態によれば、有効な方法は、注射口から流体を噴出する間、組織に対して注射口(および、注射口を支持する機構)が動く位置を調節することを包含する。この調節では、例えば、注射口の動きを低減させたり、または妨げたりする。なお、注射口を支持する機構としては、例えは、シャフト、ノズル、ノズルヘッド、エンドエフェクター、注射シャフト、または注射口の近傍に配置されたシャフトの他の構成要素が挙げられる。組織に対する注射口の位置の制御、および注射時の動きの抑制は、注射される流体の位置、ひいては効率を改善し得る。
【0094】
流体が注射口などの口から液流として(特に、高速で)噴出されるとき、噴出された流体は、開口部、および噴出位置にある開口部を支持する構造において、力(「噴出力」)を生み出す。噴出力は、噴出された流体ジェットの方向の反対方向である(噴出が注射口からの場合、噴出力は「注射力」とも言われる)。対抗する力がない場合、噴出力(例えば、注射力)は、噴出(例えば、注射)中に、噴出口(例えば、注射口)および近くの支持機構を動かし、その結果、噴出口、および噴出力の方向において噴出口を支持する機構か、または備える機構を移動させてしまう。注射力は、注射の間に注射口を動かし、噴出された流体の方向を変えるか、または誤って導くのに十分であり得る。
【0095】
記載された特定の方法および特定の装置によれば、注射力は、注射時に生成された注射力によってもたらされる注射口の移動を防ぐために対抗されてもよい。対抗力は、注射力のようにシャフトの同じ縦方向の位置であり得、注射力の反対方向にあり、また好ましくは、注射力と等しい大きさか、またはより大きい。
【0096】
典型的な方法によれば、流体が1つ以上の調節口または注射口から噴出されることによって、注射口から噴出される流体によって生み出される注射力に対抗する噴出力を生成する。対抗力は、1つの開口部か、または2つ以上の開口部の組み合わせによって生成され得る。2つ以上の開口部の組み合わせは、注射力に対抗する合成力を生み出すために組み合わせられる。例えば、2つ以上の対抗力が、注射力と対抗する1つの合成力を生み出すために用いられ得る。特定の噴出口のいずれかからの対抗力は、大きさにおいて、好ましくは注射力と等しいか、または注射力よりも大きい、組み合わせた合成対抗力を生成するために、注射力よりも小さくてもよく、大きくてもよく、または等しくてもよい。いくつかの実施形態において、注射力に対抗する合成力は、大きさにおいて、注射力と等しくてもよい。別の実施形態において、注射力に対抗する合成力は、大きさにおいて注射力よりも大きく、方向において注射力に対して反対であり得、注射口と噴出される組織との間に圧力をかける注射口の縦方向位置におけるシャフトに正味の(net)力を生じさせる。
【0097】
図示され、説明されるように、噴出口は、シャフト、シャフト側壁、注射ヘッド、末端エフェクター、またはノズルなどにおいて開口の形状を取り得る。噴出口は、噴出口を備えるシャフトの長軸に対する角度として測定されたとき、任意の有効な方向に向けられ得る。典型的な調節口は、調節口を通る流体の流れの方向と平行であり、シャフトの長軸を横断する軸を有する開口または穴の形状にある。噴出口の軸とシャフトの長軸との交差は、シャフトにねじれの動きもしくは回転の動きか、または不安定な圧力をもたらす傾向であり得るシャフトにかかる力を回避することができる。
【0098】
方法および装置におけるある実施形態は、注射口から流体が噴出する間、注射口の動きを調節する(抑制するなど)ことに関する。ある典型的な方法は、浅い注射法および遠位末端チップ近傍に位置する注射口を備える装置(例えば、エンド放出装置)とともに有効であり得る。例えば、針無し注射器は、シャフトの周囲を取り囲んで配置される複数の噴出口を包含し得る。複数の噴出口は、任意により、それぞれシャフトの長さに沿って同じ縦方向位置にあり、シャフト(装置シャフトまたは装置の構成要素(例えば、注射シャフト、注射ヘッド、ノズルなど))に正味の力がかからないように平衡化させる。例えば、注射力は、シャフトの周囲を取り囲んで配置された複数の噴出口の使用によって、拮抗されるか、または安定に保たれ得る。複数の液流は、同時に、好ましくは、それぞれ等しい大きさの力を生み出しながら(例えば、等速度で同等の流体の流れを噴出することによって)、それぞれ別の噴出力を生み出しながら、瞬時に複数の排出口から噴出され得る。それぞれの力は、同じ大きさまたは異なる大きさであり得るが、シャフトにおいて複数の噴出力を組み合わせた合成力は、注射の間シャフトを動かすシャフトにおける正味の力を抑制するために平衡化され得る。
【0099】
例えば、
図3I、3J、3Kおよび3Lは、シャフトの縦方向位置におけるシャフト遠位末端の断面を示す。これらの図は、複数の噴出口によって生み出される均衡化された力を示し得る。それぞれの図において、複数の噴出流は注射口から噴出される。それぞれの流れは、長軸A
Lを横断するラインに沿って方向づけられる。図示される装置が備える複数の注射口から噴出されたすべての液流が等しい噴出力を生み出す場合、注射力はシャフトに平衡化された力(正味ゼロの力)を生み出す。
【0100】
シャフトに安定した力をもたらす別の実施形態において、1つ以上の噴出口は、組織中に噴出されないが、注射力と対抗するか(すなわち、少なくとも部分的に)、平衡を保つか、または打ち勝つ流体を噴出し得る。この流体を調節流体とみなしてもよく、この開口部を調節口とみなしてもよい。
【0101】
装置および方法における実施形態は、噴出力の使用によって、調節力の形で、所望の組織に近接する注射口の位置を調節することを包含してもよい。例えば深い注射法によって注射物を噴出する間、注射口は、望ましくは組織表面に近接するか、または接触して(例えば、組織表面との密接な接触において)配置され得る。これにより、噴出された流体(注射物)のジェットを組織表面を貫通させて、流体を組織表面のより下(すなわち、組織内部)に分散させる。注射の性質を改善するために、注射口は、好ましくは、例えば、注射口(または近接のシャフト側壁、噴出ヘッド表面など)に組織表面に対して圧力がかかる力を加えて、組織表面と密接に接触して保持され得る。
【0102】
装置および方法における種々の実施形態によれば、装置は、複数の噴出口を備えていてもよく、複数の噴出口はそれぞれシャフトの長さに沿って同じ縦方向位置にある必要はないが、シャフトの周囲を取り囲んで配置される。これにより、シャフトでの正味の力によって、注射口(または近くのシャフト表面など)を注射される組織と接触させて、この組織に対する圧力をともなって配置させる。例えば、1つまたは複数の調節口が注射力と反対の方向に正味の力(「調節力」)を生み出すように方向づけられ得る。調節口からの正味の噴出力は、注射力に対して反対方向であり、かつ、注射力よりも大きな力であり得る。調節力の大きさは、注射時に注射口が組織の表面との接触を維持させるように、注射力の大きさよりも実質的に大きくてもよい。調節力は、注射中であるが、噴出前に付加され得る。一般的に、本開示に限定されるものではなく、力は任意の大きさであり得るが、通常、約0.5ポンドの力よりも大きくなくてよい。
【0103】
図5A、5Bおよび5Cは、注射シャフトの遠位末端の例を示す断面図である。この遠位末端は、複数の調節口から調節流体を噴出することによって生成される調節力によって、対抗しあう注射力を生じる。この調節口は、注射力に対抗する同格の力(例えば、対向力)を作り出す。これにより、注射部位に対して同格の注射口が効果的な方法で流体を組織内に注射することができる。一般的に、注射時の同格(組織に対して注射口の圧力をかける)用の調節口を包含する方法および装置は、注射力と対抗する調節力を作り出すために、1つまたは複数の調節口から気体状または液状いずれかの流体の噴出を生じ得る。調節力は、注射力の大きさおよび方向に対して、反対の方向であり得、また、より大きくてもよい。1つの調節口が有効な調節力を生成し得る。すなわち、複数の調節口が周囲にか、または軸方向に、所望される任意の位置で配置され得る。複数の調節口は、それぞれ力を生成し、個々の力の組合せが、注射力に対して反対方向であり、かつ、より大きな規模の合成調節力である。典型的な方法によれば、シャフトの遠位末端は注射される組織の近くに配置され得る。また、調節力は、同格の注射口にするために(すなわち、組織に対してシャフトおよび注射口に圧力をかけるように)作り出され得、注射は組織と同格で配置される注射口からの噴出流体によって実施され得、注射後、調節力は取り除かれ得る。
【0104】
例えば、
図5A〜5Cに関して、これらは、シャフトの縦方向位置におけるシャフト遠位末端90の断面図を示す。シャフト遠位末端90は、側壁92、注射ルーメン94、注射口96、調節口102および調節ルーメン104を備える。シャフト遠位末端90は、ルーメン106の内部に配置されるように示されており、任意の身体ルーメン(例えば、前立腺を通り抜ける尿道)であり得る。
【0105】
図5Aにおいて、遠位末端90は、組織108(例えば、前立腺組織)に近いルーメン106(例えば、尿道のルーメン)内に配置される。
図5Bは、ルーメン106内の遠位末端90を示す。遠位末端90は、調節流体(例えば、気体状または液体状)が調節口102から噴出している。合成調節力をベクトルFcとして図示する。調節力Fcは、ルーメン106の内部の表面と接触して、注射口96および近接する遠位末端90の側壁を押圧する。
図5Cは、調節流体(例えば、気体状または液体状)が調節口102から噴出されており、また、注射流体が注射口96から噴出されている、ルーメン106の内部の遠位末端90を示す。注射力をベクトルF1として図示する。注射力F1に対して大きな規模であり、かつ、反対方向である調節力Fcは、注射の間、ルーメン106の内部表面に接触して、注射口96および遠位末端90の側壁の近くを押圧し続ける。注射が完了した後、調節力は調節口102からの調節流体の噴出を停止することによって取り除かれ得る。
【0106】
図示されるように、注射口及び調節口のいずれも、シャフトの側壁に直接形成された開口又は穴の形である。その代わりに、必要に応じて、これらの噴出口は、ノズル、エンドエフェクター、注射ヘッドなどの一部であり得る。また、
図5A〜
図5Cは、シャフトの遠位末端の長さに沿った単一の縦方向位置のみを示しており、それゆえ、注射口及び調節口の1セットのみを同定する;シャフトの遠位末端が、このシャフトの遠位末端に沿った他の縦方向位置に、1つ以上の補助の注射口及び調節口を任意に含み得ることは、図示されていない。
【0107】
注射シャフトの遠位末端が、遠位末端の配置を調節するために使用される調節口(1つ以上の注射口など)を含むことの利点は、横断面サイズをより小さくすることである。すなわち、遠位末端の横断面サイズを、注射中の遠位末端を位置付ける他のメカニズム(例えば風船など)を含み得る別の類似の遠位末端と比較して、控えめにする。調節口を用いる模範的な遠位末端では、より大きいシャフトのルーメン(例えば可動性の内視鏡、膀胱鏡またはカテーテルにおける作業用ルーメンなど)によって遠位末端が容易に収納されることが可能になるまで、側面を十分に減らすことができる。遠位末端は、作業用ルーメン内において容易に移動し、かつ回転するように(長軸方向に、かつ円周方向に移動するように)、作業用ルーメンの空間内にゆるく収納されることが可能である。さらに、このような注射シャフトの遠位末端は、動く部分を含まないように構成され得、また、基本的に一体となって構成され得る。
【0108】
図6は、例えば前立腺への経尿道的な注射など、組織への深い注射のための装置及び方法における他の実施形態を示す。
図6において、遠位末端90は、組織108(例えば前立腺組織)に隣接するルーメン106(例えば尿道のルーメン)内に配置される。ノズル(又は「エンドエフェクター」もしくは「注射ヘッド」)95は、組織表面101に垂直に方向付けられる注射口96を含む。注射ルーメン94は、注射口96を針無し注射装置の近位末端に連結させる。注射口96は、シャフト97の長軸A
L及びノズル95に対して斜めの角度で配置されており、この角度は例えば約45〜70度の範囲内である。可動性のシャフト97は、ここに記載されるように可動性、操縦可能性、及び光学特性を有してもよく、例えば内視鏡又は膀胱鏡のシャフトである。可動性のシャフト97は、身体ルーメン97(例えば尿道)内において、図示するようにノズル95を方向付けさせ、これとともに注射口96を図示するように傾いた角度で方向付けさせることができ、開口部96から液流が方向D(ルーメン106内の組織101に垂直)に噴出し得る。
【0109】
装置及び方法におけるある実施形態によれば、シャフトの遠位末端(例えば遠位末端チップに隣接する)は、注射中に組織の部位と接触する遠位末端を機械的に保持し得る構造を含み得る。特に、浅い角度の注射において組織表面に垂直に遠位末端を配置する先端発射装置では、遠位末端チップに隣接して位置する摩擦性構造は、注射中において組織に擦るように接触し、これを保持し、又はつかむことができる。これによって、摩擦性構造は、注射力に対抗して、遠位末端及び注射口が注射力に応じて動くことを妨げる。摩擦性組織保持チップと組織との間の有用なかみ合わせは、組織を拘束し、注射力に対抗するために十分であり得る。また、このかみ合わせは、
図3C、
図3D及び
図3Eに示すように、任意に、可動性の遠位末端又はその一部を、組織表面に対して直角な方向にかみ合わせることができる。十分なかみ合わせに要する構造は、例えば注射力の大きさ、シャフトの遠位末端に供給され得る垂直な力の量及び遠位末端チップと組織表面との間に供給され得る垂直な力の量、ならびに組織の性質などのファクターによって変化し得る。例えば膀胱組織などの特定の種類の組織は、変形可能であり、摩擦しにくく(例えば滑らか、もしくは滑りやすい)、又はその両方であり得る。組織保持チップは、組織保持チップと隣接する組織(滑らかで変形可能な組織でさえ)との間の摩擦力を生成し得る摩擦性表面を含み得る。そして、治療中において、組織表面に対しチップの動きを阻止する。あるいは、垂直でない角度で組織保持チップを組織にかみ合わせ、次に遠位のシャフトの先端を曲げることによって、組織表面に対し垂直な方向にシャフトの遠位末端を位置付けさせる。
【0110】
有用な組織保持チップの実施形態は、要望に応じて、鈍くても、比較的先が鋭くてもよい、1つ以上の先が尖った突起を含み得る。突起は、ドーム状、スパイク状、クリート状、ピラミッド状、コーン状などの形であってもよく、わずかに組織表面を貫通するくらいに充分に先が(鋭く)尖っていてもよく、又は組織中に貫通するくらいに十分に鋭くはないが、その代わりに組織を単に歪めるか、もしくは湾入させるくらいには十分に鋭くてもよい。
【0111】
組織保持チップは、シャフトの長軸を共有する長軸を含んでもよい、単一の延長部分を含み得る。また、単一の又は多数の延長部分は、それぞれ平行の、しかしシャフトの長軸からは傾いた長軸を有し得る。あるいは、単一の又は多数の延長部分は、シャフトの長軸とは角を成しており、遮断してもしなくてもよい、長軸を有し得る。延長部分は、要望に応じて湾曲していてもよく、もしくはまっすぐであってもよく、もしくは角度をつけて曲がっていてもよい。例えば、シャフトの長軸に向かって、もしくはシャフトの長軸から遠くに、湾曲し、もしくは曲がっていてもよい。
【0112】
組織保持チップの例が
図7A〜
図7Fに示されている。これらの図では、縦方向の横断面において、(注射シャフトにおける)遠位末端110が側壁112、注射ルーメン114、注射口116,組織保持チップ118及び遠位末端チップ120を含むことが示されている。図示されるように、組織保持チップは、単一の円錐状又はピラミッド状の突起(
図7A);多数の(2つ以上の)円錐状又はピラミッド状の突起(
図7B);シャフトの長軸に沿った長軸を有する、単一のまっすぐの細長いスパイク(
図7C);先端が(内側に(図示するように)、もしくはシャフトの長軸に対して外側に)任意に湾曲している、シャフトの長軸に平行な、多数の細長いスパイク(
図7D);シャフトの周りに位置し、かつシャフトの長軸から離れるように角を成す多数の(3,4,5,もしくはそれ以上)短い針(
図7E);ならびに、シャフトの長軸に平行な軸を有する、多数の(例えば5,10,もしくはそれ以上)短いピラミッド状もしくは円錐状の突起、又は細長いスパイク(
図7F)であってもよい。
【0113】
模範的な針なし流体送達装置又はシステムは、コンソールを含む近位末端と、近位末端から、コンソールによってつながって遠位末端まで伸びている細長いシャフトとを含み得る。遠位末端における1つ以上の注射口には、コンソールによって流体が送達され得る。
【0114】
コンソールは、一般的にハウジング、圧力チャンバ、及び圧力源を含み得る。コンソールは、小さい携帯型のデザインから相対的により大きいフロアもしくはテーブルに備え付けられたコンソールまで、いかなる構成、サイズ、又はデザインであってもよい。コンソールは任意に、取り外されている、もしくは取り外し可能な構成要素を含み得る。この構成要素は、例えば、取り付けられて注射行為に使用され、その後取り外され、そして任意に廃棄され得る圧力チャンバなどである。シャフトもまた、コンソール又は圧力チャンバに取り付けられてもよく、取り外した場合には任意に再度取り付けてもよく、また廃棄してもよい。シャフト又は圧力チャンバは、取り外し可能な構成要素とともにコンソールハウジングに取り付けられ、そして第1の患者に第1の注射物を注射するために用いられてもよい;シャフト又は圧力チャンバは、その後廃棄されるか、又は滅菌されてもよい。第2のシャフト又は圧力チャンバがコンソールに取り付けられ、第2の患者を治療し、又は第1の患者を第2の注射物により治療し、又は第1の患者を異なる量の第1の注射物により治療し得る。第2の患者又は第2の注射物は、第1の患者又は第1の注射物についての組織と同一の種類の組織の注射及び治療に関与してもよいし、新しい種類の組織(例えば前立腺もしくは膀胱)の注射及び治療に関与してもよい。この態様では、取り外し可能な、そして任意に使い捨てのシャフト又は圧力チャンバが針無し注射システムにおける構成要素であることによって、コンソールハウジングが、同一の又は異なる注射物を、同一の又は異なる患者に、そして同一の又は異なる種類の体組織に注射するために複数回使用可能である。
【0115】
コンソールは、例えば操縦可能なシャフトの操縦可能な遠位末端を操縦することにより、遠位末端機構を調節するための作動機構を含み得る。また、コンソールは、流体(調節流体もしくは注射流体)の噴出を作動するための作動機構、可動性の、もしくは伸縮可能な注射シャフト又は1つ以上の注射口もしくは調節口を、他のシャフト部品、例えば作業用シャフト、コンソールハウジングを付属装置に接続させるための任意のポート、制御機器などの電子機器、ならびにレンズ、光ファイバ、もしくは(送達位置を見るための)光学特性を介して表示させる電子表示機構などの光学機構、に対して動かす作動機構を含み得る。1つ以上の取り付けポートは、コンソールを外部から、そして任意に遠隔性の構成要素(例えば外部のもしくは遠隔性の圧力源、真空源、または注射物もしくは調節流体を供給するための外部のもしくは遠隔性の流体リザーバ)に、任意に取り付け可能である。例えば、コンソールハウジングは、コンソールハウジングに流体を供給するために、永久的な、もしくは取り外し可能な圧力チャンバなどの、流体(注射流体もしくは調節流体)源に結合した流体ポートを有し得る。コンソールは、取り外し可能な、もしくは永久的な圧力チャンバ及び圧力源を含み得る。圧力源は、注射流体もしくは調節流体のいずれかについて、圧力チャンバに収容されている流体を加圧し、シャフト内のルーメンを通し、その後噴出口を通して、コンソールから流体を流出させることが可能である。
【0116】
調節流体の使用を含む装置の実施形態では、例えば圧力源、例えばどんな加圧された流体源、電磁流体力学的な力、膨張した蒸気もしくはガス圧、などの、どのような入手可能でかつ有用な調節流体(液体であっても気体であってもよい)に関するどのような有用な技術及び機構を用いるコンソールによっても、加圧された調節流体が生成され得る。
【0117】
本説明に従えば有用であり得るコンソール、コンソール機能及びコンソール機能の組み合わせの例は、Copaらによって2008年6月27日付けで提出された、DEVICES,SYSTEMS, AND RELATED METHODS FOR DELIVERY OF FLUID TO TISSUEと表題をつけられた米国特許出願公開第2006−0129125号明細書及び米国特許第12/087,231号明細書、ならびに譲受人の同時係属の特許出願であるNEEDLESS INJECTION DEVICE COMPONENTS,SYSTEMS,AND METHODS、Crankによってこれと同じ日に提出された代理人明細書第AMS0171WO号;METHOD AND APPARATUS FOR COMPENSATING FOR INJECTION MEDIA VISCOSITY IN A PRESSURIZED DRUG INJECTION SYSTEM、Crankによってこれと同じ日に提出された代理人明細書第AMS0172/WO;DEVICES,SYSTEMS AND METHODS FOR DELIVERING FLUID TO TISSUE、Rykhusによってこれと同じ日に提出された代理人明細書第AMS0173/WO号;ならびにMETHOD AND APPARATUS FOR COMPENSATING FOR INJECTION MEDIA VISCOSITY IN A PRESSURIZED DRUG INJECTION SYSTEM,Crankらによってこれと同じ日に提出された代理人明細書第AMS0174/WO号,において確認される。これらの特許文献の全てが引用により本明細書に組み込まれる。
【0118】
流体チャンバは、加圧された、又は加圧されていない流体(例えば調節流体もしくは注射物など)を含むのに役に立つ、装置の近位末端における(例えばコンソールハウジングにおける)空間(容積)であってもよい。流体チャンバの特別な種類の例は、流体リザーバ及び圧力チャンバを含む。装置の近位末端は、任意に1つ以上の異なる流体(1種以上の注射物、1種以上の調節流体、もしくはこれらの組み合わせなど)について、任意に1つ以上の流体リザーバ及び圧力チャンバを含み得る。
【0119】
流体リザーバは一般的に、流体を含み、移送し、保持し、もしくは保管する目的で、例えば流体チャンバに固定の容量で流体を含むことができ、かつ、コンソールにおける永久的な、もしくは取り外し可能(取り付け可能かつ取り外し可能)な構成要素として包含され得るタイプの流体チャンバである。
【0120】
圧力チャンバは、ルーメンを介してシャフトの遠位末端に流体を送達させ、噴出口から噴出させる圧力下で流体を配置させるために流体(例えば調節流体もしくは注射物)を含むタイプの流体チャンバであってもよい。圧力チャンバの例は、シリンジチャンバ、及び流体を含みかつ加圧するために使用され得る他の可変性の容量空間を含む。可変性の容量の圧力チャンバにおける例は、可変性の容量を示し得る空間を含む。可変性の容量は、例えばプランジャー、ピストン、じゃばら、又は可変性の容量のチャンバ空間内で容量を増加させたり減少させたり(そしてこれに対応して圧力を減少させたり増加させたり)するための他の機構に基づく。圧力チャンバは、プランジャー、じゃばら、もしくはピストンなどに接続されている圧力源により加圧され得る。そのため、圧力チャンバに含まれている流体は、例えば装置のプライミングのため、もしくは注射のための噴出口からの流体の噴出のため、もしくは調節力を生成するため、圧力をかけて噴出される。圧力源は、どのようなエネルギー源(例えば機械的,電気的,水圧による,空気圧による、など)であってもよく、例えばバネ,ソレノイド,圧縮空気,手動式シリンジ,電力,水圧,空気圧源などであってもよい。圧力チャンバは、コンソールもしくはコンソールハウジングにおける永久的な、もしくは取り外し可能(取り付け可能かつ取り外し可能)な構成要素であり得る。
【0121】
装置の近位末端と通じているのは、近位末端から(すなわち近位のシャフト末端から)遠位末端まで伸びている細長いシャフトである。近位末端は、コンソール(もしくはコンソールにおける取り外し可能な圧力チャンバなどの構成要素)に任意に取り外し可能に取り付けられている。遠位末端は、注射行為の間、患者内に配置され得る。シャフトは、多様なデザインであってよく、少なくとも装置の近位末端からシャフトの遠位末端まで注射物を運ぶための注射ルーメンを含む。有用なシャフトは、遠位末端まで調節流体を運ぶための少なくとも1つの分離されたルーメン(「調節流体ルーメン」)を任意に含み得る。
【0122】
注射シャフトは、注射口と通じている注射ルーメンを少なくとも含む。本明細書に記載されるように、この注射シャフトは、注射ルーメンを規定する側壁などの構造を含み得る。この側壁は、注射物を注射口に高い圧力で送達させるのに十分な作動圧力に抵抗するために十分な強度を有し、この高い圧力は、注射物を注射口から噴出させて組織表面を貫通させ、そして組織表面の下に注入して分散させるのに十分である。模範的な高い圧力(「注射圧」)は、例えば圧力チャンバにおいて、注射ルーメンの遠位末端で測定した場合に、1平方インチあたり200ポンド以上であってもよい。ある特別な治療に要するであろう圧力は、例えば注射される組織の種類、注射物の容量などのファクターに依存し得る。注射シャフトは、注射圧に抵抗し得る可動性材料(例えば金属もしくはポリマーチューブ)であってもよく、また注射の圧力に抵抗することが可能な模範的な材料(例えば、本明細書の他の箇所にも記載されたような、ニチノール,ステンレス・スティール,補強された(例えば網目状の)ポリマーなど)により準備されてもよい。
【0123】
記載されたような装置の有用なシャフトの基本形は、近位末端と、遠位末端と、内部のルーメン(「注射ルーメン」)を規定する側壁と、注射ルーメンに接続されている遠位末端における少なくとも1つの注射口とを含む「注射シャフト」であり得る。注射シャフトは、複数の注射口と、任意に遠位末端に1つ以上の調節口と、任意に近位末端から任意の調節口へと伸びている調節ルーメンとを任意に含み得る。
【0124】
記載されるように、注射シャフトは、組織に注射するために適した圧力でシャフトの遠位末端に流体を送達可能な、どのような細長い構造であってもよい。模範的な注射シャフトの構造は、遠位末端と、近位末端と、両端の間に伸びている側壁と、側壁の内側の表面によって規定される内部のルーメンとを有する、比較的に可動性の中空体を含む。注射ルーメンは、遠位末端において1つ以上の注射口と通じている;この注射口は、ここに記載されるように、例えば注射シャフトの側壁における開口もしくは穴、ノズル、エンドエフェクター、注射ヘッド、又は他の注射ルーメンに通じている構造における開口もしくは穴などであってもよい。
【0125】
模範的な注射シャフトは、非金属のポリマーチューブ様装置の形であってもよく、適した高い強度のポリマーを用いて製造されてもよい。このポリマーは、治療部位に治療用流体及び付加ジェット媒体を運搬するために、例えば、ポリイミド、商品名Ultem(登録商標)としてGeneral Electricから入手可能なポリエーテルイミド、及びVictrex plcから入手可能なPEEK
TMなどの線状の芳香族ポリマーなどが挙げられる。ある実施形態において、この非金属のポリマーチューブ様装置は、ナノ粒子、粘土及び/又はガラスなどの材料の封入によって補強され得る。ある現在検討中の実施形態において、この非金属のポリマーチューブ様装置は、1つ以上のポリマーによって補強され得る。このポリマーは、例えば、Kevlarの網目状チューブ又は他の高強度のポリマーなどである。この非金属のポリマーチューブ様装置は、少なくとも約200psi(例えば少なくとも1,000psiもしくは2,000psi)を超える噴出強度を有するように製造され得る。また、ある実施形態において、約2,000psi〜5,000psiの範囲内の噴出強度を有するように製造され得る(治療アプリケーション、及び、例えば注射される組織の種類に依存する)。この非金属のポリマーチューブ様装置は、膨張特性を有するように製造され得る。この場合、ポリマーチューブ様装置の遠位末端に配置される1つ以上の開口部又は噴出口は、その形状及び/又は大きさが膨張せず保持されるため、治療部位に治療用流体を送達するために用いられる流体の噴出に対して有害な影響を有さない。米国特許出願公開第2008/0119823号明細書を参照のこと。
【0126】
模範的な注射シャフトは、外側のシャフトの表面及び内側の注射ルーメンを規定する側壁を含み得る。外側のシャフト及び内側の注射ルーメンは、注射シャフトの全長に沿って、内径、外径及び壁の厚さの大きさが、連続的でありかつ相対的に均一である。また、注射シャフト、注射ルーメン又は側壁は、近位末端において壁の厚さがより厚く(例えば、外径がより大きく)、遠位末端において壁の厚さがより薄く(例えば、外径がより小さく)、注射シャフトの長さに沿って大きさ(例えば壁の厚さ)が変化してもよい。注射シャフトの内径(すなわち注射ルーメンの直径)の例は、0.020インチより大きく、例えば0.022〜0.030インチであってもよい(ポリエーテルエーテルケトンもしくは「PEEK」により構成されるルーメンの場合);同一の模範的な注射シャフトについての模範的な外径は、少なくとも0.032インチ、例えば0.034〜0.045インチであってもよい。注射シャフトの長さは、コンソールの近位末端及び遠位末端を所望の組織部位に配置するよう作用すれば、どのような長さであってもよい;模範的な長さは、コンソールが携帯型のコンソールの場合には15インチから、フロアに置かれる、もしくはテーブルに置かれるコンソールの場合には100インチまでであってもよい。
【0127】
注射シャフトは、有用な針無し注射装置もしくはシステムにおけるシャフトの唯一の部品であってもよく、又はより大きいシャフト構造の構成要素であってもよい。他のシャフト部品は、所望の機能性を有するさらなる細長いシャフト構造を含んでいてもよい。ただ1つの例は、本明細書において「医療用具シャフト」又は「作業用シャフト」として引用される装置であり、注射シャフトを安全に、あるいは可動に支持し、もしくは収容するために使用され得る。例えば、注射シャフトは、作業用シャフトに対して(平行に)、又は作業用シャフトの中に(作業用シャフトにおける「作業用ルーメン」の中に)、永久的に、もしくは可動可能に(例えば取り外し可能に)組み込まれ得る。模範的な実施形態では、注射シャフトは、作業用シャフトの作業用ルーメン中にゆるく包含されることにより、作業用シャフトに対して縦方向に動くこと、及び回転することが可能であってもよい;注射シャフトは、作業用ルーメン中で縦方向に動くことが可能であることにより、注射ルーメンを、作業用シャフトの遠位末端における作業用ルーメンの開放端から遠くに拡張させることができる。
【0128】
「作業用シャフト」又は「医療用具シャフト」の例は、注射シャフトと通じており、注射シャフトの注射口を操作し、かつ組織における所望の治療部位に配置するために有用であるシャフトであり得る。「作業用シャフト」又は「医療用具シャフト」は、注射シャフトを支持するために機能し得、また任意にかつ好ましくは多様な機能性のいずれかを任意に含み得る。多様な機能性は、注射シャフトを支持することに加え、例えば操縦性、光学機能、組織伸長機能、又はこれらの組み合わせである。
【0129】
特に好ましい作業用シャフトの例は、典型的な膀胱鏡, 内視鏡, 尿管鏡, 総胆管鏡, 子宮鏡, カテーテル (例えば泌尿器カテーテル)などの機構、又は、1つ以上の可動性の光学機能を有する操縦可能な遠位のシャフト末端機構を含む、他の類似の種類の医療用具シャフトと、作業用ルーメンとを含み得る。作業用ルーメンは、注射シャフトをゆるく収容し、もしくは包含する大きさであってもよい。作業用ルーメンは、好ましくは作業用ルーメンの中で注射シャフトを、作業用ルーメンに対して縦方向に動かし、かつ回転させることができ、例えば注射ルーメンを、作業用シャフトの遠位末端において作業用シャフトの開口から拡張させることができるような大きさであってもよい。作業用シャフトの遠位末端の長さに沿って延びている作業用ルーメンの典型的な直径(もしくは他の大きさ)は、約1〜約3mmの範囲内であり得る。尿路の部位に遠位末端を配置させるための作業用シャフトの典型的な長さは、例えば15〜25cmであり得る。
【0130】
本明細書に使用されるように、用語「可動性のシャフト」は、曲げさせ、かつたわませるのに十分に柔軟なシャフト(例えば注射シャフト又は作業用シャフト)をさす。これにより、フォーリーカテーテルによって可能なように、シャフトを、道又は外部の切り口を通って、尿道又は他の身体ルーメンの中に挿入させることができ、また、シャフトの遠位末端部分を、身体ルーメン(例えば尿道及び任意に膀胱頚部もしくは膀胱)の中に導くことができる。可動性のシャフトは、フォーリータイプのカテーテルがそうであるように、患者の解剖学的形態に適合させ、又は部分的に適合させるために十分に柔らかくかつ柔軟であり得る。操縦可能なシャフトは、近位末端から方向的に操作され得る(例えば曲げる、もしくは湾曲させる)遠位末端を有する可動性のシャフトタイプである;操縦可能なシャフトの遠位末端は、しばしば内視鏡及び他の医療用具シャフトの形態である。
【0131】
任意に、記載されたような装置のシャフトはまた、可鍛性、もしくは「成形可能」であってもよい。これは、シャフトの遠位末端もしくはその一部分が、形を形成されること、及び再形成されるまで、使用(例えば身体ルーメンの中への挿入のための使用)中にその形のままでいることが可能な材料により構成されていてもよいことを意味する。シャフト又はシャフトの部品(例えば作業用シャフトもしくは注射シャフト)は、可鍛性の部品(例えば曲げられる金属ワイヤ、コイル、リボン、チューブなど)を含み得る。可鍛性の部品は、成形され、実質的な変形なく使用され、かつ再形成されることが可能である。可鍛性の遠位末端は、所望の部位で、尿路などの身体ルーメンを通して遠位末端を位置付けることを助けるためにユーザによって成形されることが可能である。ある治療方法では、シャフトの遠位末端を身体ルーメンの中に通過させること、又は遠位末端を注射する組織に接触させて配置することに、困難もしくは挑戦が存在し得る。可鍛性のシャフトの遠位末端(例えば注射シャフトにおける遠位末端(特に、例えば可鍛性の注射シャフトの遠位末端が中にある作業用シャフトと組み合わせて使用される遠位末端))は、可動に配置され、このような潜在的な困難を克服する助けとなり得る。可鍛性の遠位末端チップは、作業用チャネルの中に配置される前もしくは後に、ユーザによって湾曲され、もしくは曲げられて設計されてもよい;作業用シャフトは、身体ルーメン(例えば尿道)の中に挿入されてもよく、そして成形された可鍛性の注射シャフトの遠位末端は、注射シャフトもしくはその噴出口の注射される組織での位置付け能力を改善する形状で、作業用シャフトから拡張されてもよい。成形可能な部分は、剛性、長さ、弾性、物質、放射線不透過性などが変化してもよく、また、可鍛性材料(例えばポリマー、金属、もしくはポリマー−金属の混合材料など)によって構成されてもよい。
【0132】
図9は、可鍛性の遠位末端の例を図示する。
図9におけるシャフトの遠位末端70(例えば注射シャフトの遠位末端)は、側壁72,反対の方向に向いている注射口76及び調節口80、遠位末端チップ60、ならびに遠位末端チップ60の近位側にある円柱状の組織保持チップを含む。調節口80は、調節ルーメン84につながっており、調節ルーメン84は、針無し注射装置の近位末端に通じている。注射口76は、注射ルーメン74につながっており、注射ルーメン74は、針無し注射装置の近位末端に通じている。側壁72の内部には、記載のように、金属、ポリマー、もしくは金属−ポリマー混合材料によって構成され得る可鍛性の細長い構成要素75がある。
【0133】
シャフト(例えば注射シャフトもしくは作業用シャフト)の遠位末端は、患者の体内で流体を噴出するための1つもしくは複数の噴出口(少なくとも1つの注射口を含む)を含んでいる。噴出口は、組織中に流体を注射するためのものであってもよく、この場合には噴出口は「注射口」として参照される;これに代わる噴出口は、非治療用流体の噴出(例えば調節流体の噴出)であってもよく、この場合には噴出口は「調節口」として参照され得る。注射口もしくは調節口は、穴、開口、もしくは開口部のどのような形であってもよい。例えば要望どおりに、注射シャフトの側壁もしくは他のシャフトの側壁における開口もしくは穴であってもよく、あるいはノズル、エンドエフェクター、注射ヘッド、又は注射ルーメンもしくは調節ルーメンと通じている他の構造における開口もしくは穴であってもよい。
【0134】
記載されるような装置の実施形態は、遠位末端に複数の噴出口を含み得る。開口部は、相対的な位置に、かつシャフトの遠位末端における長さに沿った方向もしくは周囲に配置されてもよい。その結果、噴出された流体は、異なる方向に(例えばシャフトに対して周囲に)、そして任意に、あるいはこれの代わりにシャフトの長さに沿って異なる距離で、噴出されかつ分布される。噴出口は、シャフトの長軸に対してどのような角度(例えば遠位末端に向かって垂直な角度、又は位末端に向かって垂直な角度)に方向付けられていてもよい。
【0135】
注射口は、組織表面を貫通して組織中に注射されることが可能な、噴出される流体の液流を生成するために、どのような有用な大きさ(例えば長さ及び直径)を有していてもよい。注射口の直径の有用な範囲の例は、約0.001〜0.05インチ、例えば0.001〜0.010インチであってもよく、例えば所望の注射パラメータ(注射深度、容量、圧力、出口速度など)ならびに注射される組織の種類及びサイズ(例えば深さ)などのファクターに依存する。注射口は、必要に応じて、注射口からの注射物のジェットの出口速度に作用するために、注射口に先導する注射ルーメンよりも大きくても小さくてもよい。有用な開口部の形状の例は、例えばベンチュリ、開口部の長さに沿っている連続する均一な直径、漏斗形状などの形態を含み得る。これらの大きさ及び形状の特徴は、調節口にも適用し得る。
【0136】
図示されるように、噴出口は、様々な構造及びデザインであってよく、例えばシャフトにおける単純な穴、又は例えばノズル、エンドエフェクター、注射ヘッドなどの連結構造もしくはシャフトと連結されることによってシャフト内でルーメンと通じている他の構造における穴もしくは開口、ならびに噴出口であってもよい。噴出口の別の形の例を、
図8A、
図8B、
図8C及び
図8Dに示す。
【0137】
ノズルの1つのタイプの例を
図8A及び
図8Bに示す。
図8Aを参照すれば、横断面において、シャフト遠位末端50,すなわち注射シャフトは、シャフト側壁52,注射ルーメン54を含んでおり、流体が通じるようにノズル61と結合されている。ノズル61は、(図示されるように)長軸A
Lに平行な方向を向いている複数の注射口56を含んでいる。遠位末端チップ60は、長軸A
Lと直交して、ノズル61の表面63と同延である;この実施形態では、注射口56は、遠位末端チップ60として同一の縦方向位置(ノズル61構造を含む、遠位末端の最も遠い位置)にある。
【0138】
図8A(横断面の側面図)及び
図8B(端面図)のノズルは、「シャワーヘッド」ノズルとして参照されてもよく、複数の開口部、つまり末端発射装置シャフトを通して、多様な注射物(例えば医薬)を組織表面(例えば浅い組織の表面(例えば膀胱組織))に送達することができる。この代わりに、ノズルは、他の組織への深い注射に有用であり得る。シャワーヘッドノズルは、シャフト側壁52に取り付けられ、固定され、かつ単一の注射ルーメン54(あるいは、複数のルーメン)と通じている。そして、このシャワーヘッドノズルは、ノズルの表面に配置された複数の注射口を含んでおり、その結果ノズルの長軸に沿った方向に流体を噴出する。
【0139】
図8A及び
図8Bにおける注射口の噴出角度、すなわち噴出口の方向とノズルの長軸との間の角度は、ゼロであることが示されているが、他のどのような角度であってもよく、例えば少なくとも長軸からある程度離れる方向に向けられた角度であってもよい。例えば、
図8C(横断面)及び
図8D(端面)のノズル61は、ノズル61の長軸A
Lに対してほぼ90度に方向付けられた注射開口56を含む。
図8C及び
図8Dにおけるノズル61は、ノズルの周囲に配置される複数の注射口を含んでおり、その結果噴出力が平衡化され、かつ注射物が円周方向のパターンで分散し、良好に分散させて投与することができる。噴出口及び長軸の間の角度は、直角であることが示されるが、しかし要望に応じて、より組織を向いた角度、もしくは組織から離れる角度であってもよい。図示されるように、ノズル61は、ノズル61が組織表面に対して直角に配置されたときに組織表面とかみ合うために、複数の摩擦性スパイク65を含んでいる;スパイク65は、注射中にノズル61の動きを阻止することを助ける。
【0140】
調節流体は、ルーメンによって供給され得る。又は調節流体は、カテーテルにおける局所的環境から引き出され得る(洗浄流体、尿、血液など)。調節流体の液流を規定する構造は、調節口であってもよく、また、注射シャフトの側壁に位置する開口もしくは穴、又はシャフトの遠位末端に配置された他の構造(例えば分離したノズル、ベイン、エンドエフェクターなど)であってもよい。
【0141】
図10に、針無し流体送達システム200が概略的に図示される。針無し流体送達システム200は、コンソール(注射器)202及びシャフト(アプリケータールーメン)204を備え得る。コンソール202は、手動で活性化されるシリンジと同じくらい単純であってもよく、又はコンソール202は、ユーザインタフェース206及びコネクター部品(例えば、取り外し可能な圧力チャンバの形態)208を含んでいる自動化されたコンソール203により構成されていてもよい。コネクター部品208は、表面開口部209と治療用流体供給部210とを含み得る。ユーザインタフェース206は、シャフト208を介して加圧された流体を選択的に送達するための入力手段を備え得る。典型的な入力手段は、フットペダル207、スイッチ、ボタン又はタッチスクリーンなどであってもよく、接触コマンドだけでなく、運転モード及び運転パラメータを含む表示システム情報をも受信することができる。
【0142】
図10に示されるように、シャフト204は、通常、コネクター部品208に取り付けられる。シャフト204は、通常、(近位の)供給末端211から(遠位の)送達末端212までの連続した部分を示す。シャフト204は、例えば内視鏡又はカテーテルなどの構成を含む多様な構成を備え得る。ある実施形態では、シャフト204は、送達末端212を簡単に位置付けさせるための、可動性のチューブ214を備え得る。供給末端211は、一般的にコネクター部品208に取り付けるように構成され、クイック接続様式のコネクター216を含み得る。送達末端212は、シャフト204の様式と、患者の体内における特定の治療部位とに基づいて様々な構成を備え得る。特定の治療部位とは、例えば直腸の治療部位、胃腸の治療部位、鼻の治療部位、気管支の治療部位、又は食道の治療部位である。シャフト204における平衡化された注射力又は調節力が結果として生じる場合と生じない場合とのいずれにおいても、多様な遠位末端構成、例えば先端発射及び側面発射構成、が有用である。
【0143】
ある実施形態では、シャフト204は、流体の投与口220(調節口)を持つアプリケーション特異的なアプリケーター218を含み得る。流体源(調節流体)及び調節システムを供給するジェットシステム400が、アプリケーター218に接続され得る。ジェットシステム400は、加圧型タンク、電磁流体力、膨張蒸気、ガス圧又は類似の推進法などの独立したジェット(調節)流体源及び独立した駆動力を含み得ることが想像される。ジェットシステム400は、注射器202に組み込まれ得ることもまた、想像される。
【0144】
図11に示すように、針無し流体送達システム200のシャフト204は、可動性の内視鏡又は膀胱鏡300における作業用チャネル302内に挿入される。アプリケータールーメン(シャフト)又は注射ルーメン(注射シャフト)204は、すぐ近くに流体の投与口(注射口)220が配置され、少なくとも1つの噴出口(調節口)224が反対側に配置されている遠位治療末端222を有する。流体の投与口(注射口)220は、流動的に注射源に接続される。噴出口(調節口)224は、流動的にジェット流体源又は注射源に接続される。
【0145】
一般的に、可動性の膀胱鏡300は、遠位治療末端308を有するポリマーのチューブ304の長さを備え得る。ある実施形態では、可動性の膀胱鏡300は、ポリマーのチューブ304を通じて治療部位に治療用流体を送達させ得る。あるいは、ポリマーのチューブは、組織の診断及び/又は治療を支援する光ファイバスコープ及び/又はライトなどの医療機器及び/又は道具へのアクセスを提供するために使用され得る。
【0146】
治療部位に可動性の膀胱鏡300を位置付ける際、医療の専門家は、しばしばコンピューター化体軸断層撮影法(CAT),磁気共鳴映像法(MRI)などの医学的画像処理システムを用いることが理解され得る。又は、前立腺を治療する場合には、好ましい画像処理手段は経直腸的な超音波検査(TRUS)である。これにより、遠位治療末端308を好適な位置に配置することができる。医学的画像処理システム又は作業シャフトの光学部品を使用することによって、医療の専門家は、送達療法のために治療部位に遠位治療末端308が正確に位置付けされていることを確認することができる。
【0147】
図10を参照すれば、本発明における可動性の膀胱鏡300は、作業用チャネル(作業用ルーメン)302及び1つ以上の治療道具を有するポリマーのチューブ304の長さを備え得る。治療道具は、例えば、光ファイバライト306及び対物レンズ310などである。1つ以上の注射シャフト204を含み得る注射装置200における1つ以上の構成要素が、作業用チャネル(作業用ルーメン)302の中に位置し得る。注射装置200は、その横断面が、作業用チャネル(作業用ルーメン)302を完全に占有しないように構成されるため、開口チャネル313が規定される。注射装置200は、ポリマーのチューブ304と多数の接触箇所において接触するため、作業用チャネル302の中で所望の方向を維持するとともに、可動性の膀胱鏡300の側部が支持される。
【0148】
ポリマーのチューブ204及び注射装置200は、好ましくは医療グレードのポリマーおよびコポリマーによって製造される。ある実施形態において、ポリマーのチューブ204及び注射装置200は、同一のポリマーで成形されてもよく、これにより互換性を最大にし、かつ類似した性能特性を得ることができる。治療のアプリケーションによって,ポリマーのチューブ204及び/又は注射装置200は、高強度ポリマーを用いて製造されてもよい。高強度ポリマーは、例えば、ポリイミド,商品名Ultem(登録商標)としてGeneral Electricから入手可能なポリエーテルイミド及びVictrex plcから入手可能なPEEK
TMなどの線状の芳香族ポリマー等である。ある実施形態において、ポリマーのチューブ204及び/又は注射装置200は、ポリマーの中にナノ粒子、粘土及び/又はガラスなどの材料を封入することによって補強され得る。また、ポリマーのチューブ204及び注射装置200は、1つ以上のポリマーによって補強され得る。このポリマーは、例えば、Kevlarの網目状チューブ又は他の高強度のポリマーなどである。ある実施形態において、ポリマーのチューブ204及び/又は注射装置200は、少なくとも200psiを超える噴出強度、例えば2,000psiの強度を有するように製造され得る。また、ある実施形態において、約2,000psi〜5,000psiの範囲内の噴出強度を有するように製造され得る。
【0149】
使用において,可動性の膀胱鏡300は、以前に記載されているような、従来の膀胱鏡を用いた治療のために配置され得る。注射装置200を作業用チャネル302の中にスライド可能に導入する際に、注射装置200、特に注射ルーメン(注射シャフト)204の横断面は、注射ルーメン(注射シャフト)204の方向および位置を制約する位置に接触する。これにより、注射ルーメン(注射シャフト)204は、作業用チャネル302の中で曲がることがない。注射ルーメン(注射シャフト)204が作業用チャネル302の中で曲がることがないので、治療部位に薬剤流を提供することができるように、開口チャネル313が妨げられないままである。注射ルーメン(注射シャフト)204が作業用チャネル302を進む際、注射ルーメン(注射シャフト)204は、注射ルーメン(注射シャフト)204の好ましい曲がり軸が、膀胱鏡300のための好ましい曲がり軸に適合するように方向付けられてもよい。これにより、注射ルーメン(注射シャフト)204が曲がることを阻止することができ、また、注射装置200を所望の方向に維持することができる。
【0150】
遠位治療末端308、特に投与口又は流体の注射口220が治療部位に関して位置付けられた後、治療用流体の送達を始めるために注射器200が作動され得る。流体の注射口220が治療部位に接触しない場合、ジェットシステム400が活性化され、注射ルーメン204が治療部位に向かって推進され得る。ジェット流体が遠位治療末端222に到達し、このジェット流体が噴出口224を通って急速に加速されるにつれて、治療領域に向かってルーメン204が推進される。一方、治療用流体が遠位治療末端222に到達し、この治療用流体が投与口(注射口)220を通って急速に加速されることにより、治療領域に接触する流体ジェットが形成される。治療用流体は、治療部位に直接、制御可能に分散されるため、対象以外の他の領域に曝露される可能性が低くなる。ジェット制御システム400は、針無し注射システム200の活性化を補償可能でなければならない。
【0151】
図12は、体腔500中の噴出口(調節口)224及び注射口(注射口)220に最も近い注射ルーメン204の横断面を示す。注射ルーメン230は、注射器202に流動的に接続されている。治療用流体は、注射ルーメン230を通って注射ノズル232まで進み、注射口(注射口)220から外に出る。噴出口(調節口)224はそれぞれ、付加ルーメン(調節ルーメン)404を通ってジェットシステム400に流動的に接続されている。ジェットもしくは付加流体(調節流体)は、付加ルーメン(調節ルーメン)404を通って付加ノズル406まで進み、噴出口(調節口)224から外に出る。
【0152】
運転中、
図13及び
図14に示すように、ルーメン(注射シャフト)204を治療部位412に方向付ける(調節流体における)ジェット410を生成するために、ジェットシステム400が活性化される。ジェット410が発射し続ける間に、治療用流体が注射ルーメン230を通って注射ノズル232まで進む。その後、注射ジェット240が治療領域412に送達される。
【0153】
ジェットシステム400のために、例えば
図15に示されるような別の実施形態を使用し得ることが想定される。例えば、分離したジェットポート224に流動的に連結された複数の付加ルーメン(調節ルーメン)404があってもよい。付加ノズル(調節ノズル)406は、円形、三日月形状、スリット、もしくはどのような適切な形状であってもよい。付加ノズル(調節ノズル)はまた、ルーメン204の周囲もしくは軸方向に位置され得る。液体のジェットに対し、上述した説明が繰り返して引用され得る一方、このシステムは、ジェットとして圧縮された気体を利用して作動することができる。付加ルーメンは、空気もしくは液体がカテーテルの周囲から供給され得る際に、必要でなくてもよいことが、さらに想定される。
【0154】
本発明は、種々の改良を行なったり別の形にしたりすることが可能である一方、その特別の形態が例として図中に示されると共に詳細に説明される。しかしながら、本発明を特別な実施形態に制限するものでないことは、理解されるであろう。逆に、本発明は、全ての変更物、同等物、及び代替物を網羅するものである。
【0155】
本明細書における針無し注射システムの他の模範的な実施形態が、
図16に図示される。装置500は、ハンドル502と、作業用シャフト503における作業用シャフト遠位末端504とを含む。作業用シャフト503は、作業用ルーメン518中に配置された注射シャフト508を含む。装置の近位末端は、作業用シャフト503に連結されたスコープ(例えば膀胱鏡,内視鏡,カテーテル,もしくは他の医療用具シャフトにおける)のハンドル502を含む。ハンドル502は、遠位末端504で操作もしくは動作する機能に有用である特性を含んでいる。ハンドル502は、以下を含む:光ファイバ光源516;操縦アクチュエータ514(操作されることにより、装置500における操縦可能な遠位末端を2つ以上の大きさに動かす);光ファイバケーブル510を通して視認可能な視認レンズ520;ならびに流体源をハンドル502に連結させるポート524。遠位末端504を操縦するための関節を、破線で示す。
【0156】
また
図16を参照すれば、ボディ512は、作業用シャフト503に連結される。作業用シャフト503は、ルーメンと、近位末端のハンドル502を遠位末端504に接続する機構とを含む。作業用ルーメン518は、作業用シャフト503中に伸びる中空のルーメンもしくはチャネルであり、そして注射シャフト508を、これが作業用シャフト503の長さに沿って縦方向に動くことが可能な様式で支持しかつ包含する。これによって、注射シャフト508の遠位末端は、作業用ルーメン518の末端開口522から拡張することができる。作業用シャフト503はまた、光ファイバ510と、アクチュエータ514の動きによって遠位末端504の操縦(偏向)を可能にする操縦機構(図示せず)とを含む。光源516は、光ファイバ510によって遠位末端504に光を伝達する。
【0157】
遠位末端504は、作業用ルーメン518の末端開口522を含む。作業用ルーメン518からは注射シャフト508が拡張し得る。注射シャフト508は、少なくとも1つの注射口(図示せず)を含む。また、所望の組織部位に正確に配置して流体を送達するために、光ファイバ510を通して見ることにより、作業用シャフト遠位末端504の先端が注射シャフト508の伸長と連携して動くことを可能にするよう、遠位末端504を操縦し得る。注射シャフト508の遠位末端は、本明細書に記載されるように、どのようなデザインであってもよく、例えば、異なる縦方向もしくは周囲位置にある複数の噴出口、任意の調節口、任意の組織保持チップなどを含み得る。図示されるように、液流509は、注射シャフト508の遠位末端チップ513の近位側にある、注射シャフト遠位末端の向かい合う側面にある注射口から噴出されることが示される。
【0158】
また、
図16に示されるように、シャフト546が、ハンドル502のポート524とコンソール542との間に伸びている。コンソール542は、圧力チャンバ540と圧力源544とを含む。
【0159】
流体送達装置の上述した特徴がいかなるものであっても、装置は、流体が種々の場所、容量、ならびに種々の他の注射特性(例えば分散及び流体の粒子における深さ及び程度(例えば形状及び距離)など)をもって送達されるようプログラムされ得る、電子工学プロセス制御システムを含み得る。
【0160】
針無し注射システムは、以下の1つ以上を含む工程による治療方法を行なうために使用され得る:本明細書に実質的に記載されるような針無し注射装置を用意する工程;流体送達装置のシャフトの遠位末端を患者に(例えば、管を通して尿道の中に)挿入する工程;シャフトの遠位末端における注射口が所望の送達部位に位置付けられるまで、遠位末端を操縦する工程。例えば組織が膀胱組織の場合、任意に、治療及び治療される組織のタイプに基づいて、シャフトの遠位末端は、組織表面に対して直角な(垂直な)方向に位置付けられ得る(任意に組織保持チップの助けにより、また可動性の注射シャフトの曲がりを引き起こす圧力により);これらの実施形態では、長軸方向の圧力が遠位末端にかけられると、遠位末端チップは組織表面を湾曲させ得る。このとき遠位末端チップは、表面を貫通することなく、注射口が湾曲した組織に位置するために、任意に注射口を組織表面より下の位置に位置付けさせる。別の方法では、シャフトにおける長軸を組織に沿わせる(例えば平行にする)ことにより、遠位末端が側壁のそばに組織に接触して位置付けされ得る;例えば調節力を生成するための1つ以上の調節口を使用することによって、シャフトの遠位末端における側壁を、任意に組織表面に対し押圧することにより、注射口を注射する組織表面に接触させる。
【0161】
記載されたどの方法によっても、複数の噴出口は、尿道、前立腺、膀胱、もしくは膀胱頚部、又は他の組織などにおける複数の部位に、1つ以上の異なる流体を配置させる能力を提供することができる。本明細書に記載された装置の特徴(例えば光学機構、操縦可能なシャフト、伸長可能もしくは可動性の流体送達口、及び複数の異なる種類の流体を送達する能力)は、流体の注射又は滴下注入の位置に対する制御を改善することができる。
【0162】
模範的な治療方法は、本明細書に記載のような流体送達装置の挿入に関する工程を、1つ以上別々に含み得る;1つ以上の流体送達口を、膀胱もしくは膀胱頚部もしくは尿路の他の部位における所望の部位に配置するよう、装置を位置付ける工程;任意に、光学装置の使用;膀胱又は膀胱頚部などの組織に接触している装置のシャフトから伸びている、針又は針無し送達口の任意の伸長;膀胱もしくは膀胱頚部などの組織に接触しているか、又は貫通しているかのいずれかの送達口(針もしくは針無し送達口)からの、1つ以上の生物学的に活性な流体もしくは薬剤の送達;任意に、1つ以上の流体送達口を再配置する1つ以上の工程;任意に、同一のもしくは異なる送達口が含まれる、1つ以上のさらなる送達工程。
【0163】
本発明における流体の送達方法によれば、流体(エタノールもしくは生物学的に活性の薬剤)は、針無し送達口を用いて組織中に流体が注射される様式で、膀胱,尿道,尿道,もしくは膀胱頚部などに送達され得る。
【0164】
本明細書における装置は、女性もしくは男性における尿路を含む、種々の組織を治療するために有用であり得る。例えば、記載されたような装置は、膀胱,膀胱頚部,尿道の組織それ自体もしくは外括約筋に注射するために有用であり得、又は弾性の前立腺における経尿道的な注射に有用であり得る。他の治療部位は、直腸の治療部位、胃腸の治療部位、鼻の治療部位、気管支の治療部位、及び食道の治療部位を含み得る。他の実施形態では、例えば医薬もしくは他の治療的薬剤(例えば、知られている中でも特に、ボツリヌス毒素(「ボトックス」)、抗アンドロゲンなど)を用いる個々のもしくは組み合わせた治療において、流体は、尿路の組織(例えば膀胱,尿道,腎臓,尿管,前立腺など)の中に注射され得る。使用部位に活性のある医薬を注射することの1つの利点は、全身の副作用を回避するための薬剤の配置である。注射され得る活性のある医薬の具体例は、例えば以下である:ボツリヌス中毒症の毒素型A〜G;5−αレダクターゼ阻害剤(例えばデュタステリド及びフィナステリド);BPHを治療するためのαブロッカー(例えばアルフゾシン,ドキサゾシン,プラゾシン,タムスロシン塩酸塩,テラゾシン,エタノールなど);又は種々の抗生物質(例えば前立腺炎を治療するための)及び鎮痛薬のいずれか。
【0165】
本発明はまた、記載されたような構成要素のどのような組合せを含む針無し注射システムをも考慮する。この構成要素は、以下を含む:1つ以上のコンソール(例えば、1対状の取り外し可能な圧力チャンバを有するハウジング);1つ以上の異なる流体を、1人の患者もしくは複数の患者に分配するための1つ以上のさらなる圧力チャンバ;同一のもしくは異なる流体を、1人以上の患者に分配するための1つ以上の異なる注射シャフト取付物;ならびに1つ以上の作業用シャフト。一例として、本発明の組み合わせは、それぞれコンソールに取り付け可能かつ取り外し可能な近位末端を有する、複数の異なる注射シャフト取付物(例えば取り外し可能な圧力チャンバ)を含み得る。各注射シャフト取付物は、同一であっても異なっていてもよい。例えば膀胱組織を治療するための注射シャフト取付物(例えば、先端発射遠位末端と、任意に平衡化された調節口と、また任意に組織保持チップとを有する)と、前立腺組織を治療するための注射シャフト取付物(例えば、側面発射遠位末端と、任意に1つ以上の調節口とを有する)とであってもよい。1つ以上の作業用シャフトもまた、それぞれ異なる治療に適していてもよい。例えば1つは前立腺組織を治療するための作業用シャフト、1つは膀胱組織を治療するための作業用シャフトであってもよい。
【0166】
図17は、本発明の組み合わせ620の構成要素を図示する。どのような異なる構成要素の組み合わせも、システム又はセットに含まれ得る。この構成要素は、コンソール600、任意の「コネクター部品」もしくは外部の取り外し可能な圧力チャンバ602,コンソール600もしくは取り外し可能な圧力チャンバ602に別々に取り付け可能な多種類の注射シャフト取付物(i)〜(v),ならびにハンドル612を含む単一の作業用シャフト610を含む。コンソールもしくはコンソールハウジング600は、記載されたようなものであってよく、かつ少なくとも圧力源を含み得る。ポート601は、任意の取り外し可能な圧力チャンバ602に連結可能である。圧力チャンバ602は、ポート601の近位末端に連結され得、また遠位末端605が注射シャフト取付物の近位末端に連結され得る。圧力チャンバ602における任意のポート603は、圧力チャンバ602内に流体を挿入するために使用され得る。それぞれの注射シャフト取付物(i),(ii),(iii),(iv),及び(v)は、模範的なものであり、また模範的な組合せを図示する目的で示されたものである。それぞれは、任意に遠位末端605においてコネクター部品602に取り外し可能に取り付けることによって、コンソールもしくはコンソールハウジング600に取り外し可能に取り付けられることが可能な近位末端(611)を含む。各注射シャフト取付物はまた、遠位末端604に1つ以上の注射口606を含む。注射口606は、膨張ルーメン(図示せず)を介して近位末端に連結されている。図示されている各注射口は、遠位末端チップ607の近位側にある。
【0167】
組み合わせ620における任意の構成要素は、作業用シャフト610である。作業用シャフト610は、本明細書に記載されるようなものであってもよく、例えば、ハンドル612,作業用シャフト614の作業用ルーメン616の中に注射シャフトを導入するために適したポート622,任意の操縦可能な遠位末端618,及び任意の光学機構(図示せず)を含む。
【0168】
組み合わせは、本明細書に示されたような、あるいは記載されたような、いずれか1つの注射シャフト取付物、又は注射シャフト取付物の組み合わせを含み得る。模範的な注射シャフト取付物は、以下のいずれか1つもしくはそれ以上を含み得る:調節口がない側面発射遠位末端(i)(例えば前立腺組織の深い注射治療用);可鍛性の遠位末端機構(図示せず)を有する側面発射遠位末端(ii)(例えば、前立腺組織の深い注射治療用);平衡化された注射口及び組織保持チップを有する先端発射遠位末端(iii)(例えば、膀胱組織の浅い注射治療用);平衡化された注射口を有し、組織保持チップを有さず、そして任意に調節口(図示せず)を有する先端発射遠位末端(iv)(例えば、膀胱組織の浅い注射治療用);又は、遠位末端の長さに沿っている複数の注射口、及び反対をむいている複数の調節口を有する、側面発射遠位末端(v)(例えば、前立腺組織の深い注射治療用)。
【0169】
本発明の他の実施形態は、本明細書を熟慮した当業者にとって、また、本明細書に記載かつ図示された本発明の実施から考察した当業者にとって明らかであり得る。当業者は、装置における以下の模範的な実施形態によって示される、本発明の真の範囲及び精神から外れることなく、本発明の原理及び本明細書に記載の実施形態に対する種々の省略、改良及び変更を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【
図1】浅い組織に注射する従来の方法の側面図を図示する。
【
図2A】記載の、組織(例えば浅い組織など)に注射する方法の種々の特徴及び詳細を図示する。
【
図2B】記載の、組織(例えば浅い組織など)に注射する方法の種々の特徴及び詳細を図示する。
【
図2C】記載の、組織(例えば浅い組織など)に注射する方法の種々の特徴及び詳細を図示する。
【
図2D】記載の、組織(例えば浅い組織など)に注射する方法の種々の特徴及び詳細を図示する。
【
図3A】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の側面図(3G)又は側断面図である。
【
図3B】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の側面図(3G)又は側断面図である。
【
図3C】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端、及び関連する方法を図示する。
【
図3D】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端、及び関連する方法を図示する。
【
図3E】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端、及び関連する方法を図示する。
【
図3F】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の側面図(3G)又は側断面図である。
【
図3G】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の側面図(3G)又は側断面図である。
【
図3H】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の側面図(3G)又は側断面図である。
【
図3I】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の横断面図である。
【
図3J】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の横断面図である。
【
図3K】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の横断面図である。
【
図3L】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の横断面図である。
【
図4A】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の側断面図を図示する。
【
図4B】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の側断面図を図示する。
【
図4C】記載の注射シャフトの実施形態における遠位末端の横断面図である。
【
図5A】記載のシャフトの遠位末端の横断面図、及び関連する方法を図示する。
【
図5B】記載のシャフトの遠位末端の横断面図、及び関連する方法を図示する。
【
図5C】記載のシャフトの遠位末端の横断面図、及び関連する方法を図示する。
【
図6】記載のシャフトの遠位末端の側面図、及び関連する方法の工程を図示する。
【
図7A】記載のシャフトの遠位末端の側断面図を図示する。
【
図7B】記載のシャフトの遠位末端の側断面図を図示する。
【
図7C】記載のシャフトの遠位末端の側断面図を図示する。
【
図7D】記載のシャフトの遠位末端の側断面図を図示する。
【
図7E】記載のシャフトの遠位末端の側断面図を図示する。
【
図7F】記載のシャフトの遠位末端の側断面図を図示する。
【
図8A】記載のシャフトの遠位末端における側断面図及び端面図を図示する。
【
図8B】記載のシャフトの遠位末端における側断面図及び端面図を図示する。
【
図8C】記載のシャフトの遠位末端における側断面図及び端面図を図示する。
【
図8D】記載のシャフトの遠位末端における側断面図及び端面図を図示する。
【
図9】記載のシャフトの遠位末端における側断面図を図示する。
【
図10】本発明に組み込まれる注射システムの概略図である。
【
図11】模範的なアクセス装置及び注射源の透視図である。
【
図13】治療部位に対してジェットを発射する、模範的な注射源の横断面図である。
【
図14】治療部位に対してジェットを発射するとともに注射物を発射する、模範的な注射源の横断面図である。
【
図17】記載のシステムにおける組み合わせの選択可能物を図示する。