【課題を解決するための手段】
【0013】
より特に、本発明は、酸化物に基づく質量百分率で、酸化物の合計を100%として
ZrO
2+Hf
2O: 100%の残余
SiO
2: 7.0%〜12.5%;
Al
2O
3: 0.2%〜0.8%;
Na
2O+K
2O: <0.10%;
B
2O
3: 0.3%〜1.5%;
CaO+SrO+MgO+ZnO+BaO:<0.4%;
P
2O
5: <0.15%;
Fe
2O
3+TiO
2: <0.55%;
他の酸化物: <1.5%
を含む溶融かつキャスト成形された耐火物において、Al
2O
3/B
2O
3の質量含有量の比「A/B」は2.0以下である前記耐火物に関する。
【0014】
このことは後で見られるように、驚いたことに発明者らはそのような組成物で本発明に従う物が電気抵抗を改良され得ることを発見した。
【0015】
本発明に従う耐火物は、以下の任意的な特徴の1以上を含み得る。
【0016】
Al
2O
3/B
2O
3の質量含有量の比「A/B」は、1.8以下、好ましくは1.5未満、好ましくは1.2未満、好ましくは1.0未満、0.8未満、0.7未満でさえある。
【0017】
Al
2O
3/B
2O
3の質量含有量の比「A/B」は0.1超、又は0.2超、又は0.3超である。
【0018】
シリカ(SiO2)の質量含有量は11.0%以下、又は10.0%以下、又は9.5%以下でさえある。
【0019】
シリカ(SiO2)の質量含有量は7.5%以上、又は7.7%以上、又は8.0%以上でさえある。
【0020】
アルミナ(Al
2O
3)の質量含有量は0.7%以下、又は0.6%以下、又は0.5%以下でさえある。
【0021】
アルミナ(Al
2O
3)の質量含有量は0.25%以上、0.3%以上である。一つの実施態様においてはこの含有量は0.4%以上である。
【0022】
アルミナ(Al
2O
3)は不純物として存在するにすぎない。
【0023】
(Na
2O+K
2O)の質量含有量は0.05%以下、又は0.03%以下でさえある。
【0024】
B
2O
3の質量含有量は0.35%以上、又は0.4%以上、又は0.5%以上でさえある。
【0025】
B
2O
3の質量含有量は1.2%以下、又は1.0%以下、又は0.80%以下、又は0.75%以下、又は0.70%以下、又は0.65%以下でさえある。
【0026】
P
2O
5の質量含有量は0.05%以下である。
【0027】
鉄及び/又はチタン及び/又はカルシウム及び/又はストロンチウム及び/又はバリウム及び/又はマグネシウム及び/又は亜鉛及び/又はリンの酸化物は不純物として存在するにすぎない。
【0028】
鉄及び/又はチタンの酸化物の質量含有量、Fe
2O
3+TiO
2は0.4%未満、好ましくは0.3%未満、好ましくは0.2%未満である。
【0029】
カルシウム及び/又はストロンチウム及び/又はバリウム及び/又はマグネシウム及び/又は亜鉛の酸化物の質量含有量は0.2%未満、好ましくは0.1%未満である。
【0030】
合計のカルシウム及び/又はストロンチウム及び/又はバリウム及び/又はマグネシウム及び/又は亜鉛の酸化物、CaO+SrO+BaO+MgO+ZnO、の質量含有量は0.3%、好ましくは0.2%未満である。
【0031】
他の酸化物の合計の質量含有量は1.0%未満である。
【0032】
該他の酸化物は、不純物のみからなり、他の酸化物の合計質量含有量は、0.6%未満、0.5%未満、又は0.3%未満でさえある。
【0033】
該物は、0.1%以上、好ましくは0.2%以上、好ましくは0.25%以上、及び/又は1.3%以下、1.0%以下、好ましくは0.9%以下、好ましくは0.6%以下のNb
2O
5、Ta
2O
5及びそれらの混合物から選択されるドーパントを含む。
【0034】
ZrO
2/(Nb
2O
5+Ta
2O
5)のモル比は、200〜350である。
【0035】
ZrO
2/(Nb
2O
5+Ta
2O
5)のモル比は、250超である。
【0036】
ドーパントTa
2O
5の質量含有量は0.1%以上、好ましくは0.2%以上、及び/又は1.2%以下、好ましくは0.6%以下である。
【0037】
ドーパントNb
2O
5の質量含有量は0.1%以上、好ましくは0.2%以上、及び/又は1.0%以下、好ましくは0.6%以下である。
【0038】
一つの実施態様において、合計質量Nb
2O
5+Ta
2O
5の含有量は0.6%以下である。
【0039】
シリカ(SiO
2)質量含有量は、8.0%以上かつ10.0%以下であり、Nb
2O
5、Ta
2O
5及びそれらの混合物から選択されるドーパントの質量含有量は0.6%以下である。
【0040】
酸化物イットリウム(Y
2O
3)の質量含有量は1%以下、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.3%未満、又は0.2%未満でさえある。
【0041】
一つの実施態様において、BaO含有量は0.10%未満、又は実質的にゼロである。
【0042】
特許出願、国際公開第2007 099253号、PCT/FR2008/051516号、及びPCT/FR2008/051515(及びこれらのファミリーの特許出願)において開示された物、特にこれらの特許出願の実施例の物は本発明から除外される。
【0043】
220×450×150mm
3のブロック又は30mmの直径及び30mmの高さを有する円柱状の棒としての以下の物(組成は酸化物をベースとしての質量パーセントで与えられている)は本発明から除外される。
【0044】
【0045】
一つの実施態様において、上の表の組成を有するすべての物はその形が何であれ、除外される。
【0046】
一つの実施態様において、上記の表の組成の少なくとも1に近い組成を有する全ての物は除外される。第一の組成及び第二の組成における成分の含有量の絶対的な差が質量百分率で0.10%未満であるとき、第一の組成の関連する成分にかかわらず、第一の組成は第二の組成に近いと言われる。
【0047】
好ましい実施態様において、SiO
2<=11.0%、好ましくはSiO
2<=10.0%、かつTa
2O
5+Nb
2O
5<=1.0%、好ましくはNb
2O
5<=0.6%である。
【0048】
さらに好ましくは
SiO
2<=10.0%かつTa
2O
5+Nb
2O
5<=1.0%、ただしNb
2O
5<=0.6%かつ
Na
2O+K
2O<=0.05%又はNa
2O+K
2O<=0.03%かつ
CaO+SrO+MgO+ZnO+BaO<0.3%又はCaO+SrO+MgO+ZnO+BaO<0.2%かつ
BaO<0.1%かつ
Fe
2O
3+TiO
2<0.3%かつ
Y
2O
3<0.3%
である。
【0049】
本発明は、また本発明に従う耐火物を製造する方法において、以下:
a)最初のロードを得るために原料を混合する段階
b)溶融された材料が得られるまで該最初のロードを、溶融する段階
c)該溶融された材料をキャスティングし、冷却することにより固化させ、耐火物を得る段階
の連続段階を含む該方法である。この方法は、該耐火物が本発明と適合しているように該原料が選択される点においてすぐれている。
【0050】
好ましくは、最小含有量が要求される酸化物、特にZrO
2,SiO
2,B
2O
3又はこれらの酸化物の前駆体は、体系的かつ系統的に添加される。好ましくは、これらの酸化物の含有量は、それらが慣用的には不純物と考えられている他の酸化物の源においては、考慮に入れられる。
【0051】
好ましくは、冷却は、1時間当たり20℃未満の速度で、好ましくは1時間当たり約10℃の速度で実行されるように制御される。
【0052】
本発明は、本発明に従う耐火物を含む、ガラスを溶融させる炉、又は本発明に従う方法に従って製造された又は製造されることのできる耐火物(特に溶融されたガラスと接触されることを意図された領域における物)にもまた関する。本発明に従う炉において、該耐火物は有利には、溶融させること特に電気溶融することによりガラスを製造するための容器(該容器において該耐火物は、1200℃より上の温度において溶融されたガラスとの接触に入ることができる)の一部であり得る。
【0053】
定義
「酸化物質量含有量(massoxides content)」は、産業の通常の慣習に従って、最も安定な酸化物として表現される化学元素に対応するそれぞれの広域的な含有量(global content)に関する。従って、亜酸化物及びおそらく窒化物、酸化窒化物、カーバイド、オキシカーバイド、カルボナイトライド又は前記元素の金属種さえもが含まれる。
【0054】
「溶融された物質」とは、その形を維持するために容器に収容されるべきである液状の物質である。それは、いくつかの固体の粒子を含み得るが、それらが該物質を構造化することができるためには不十分な量でなければならない。
【0055】
「不純物」により、不可避な成分であって、原料と共に選択の余地なくかつ必然的に導入される又はこれらの成分との反応から生じるものが意味される。不純物は必要とされる成分ではなく、許容されるに過ぎない。例えば、酸化物、窒化物、オキシ窒化物、カーバイド、オキシカーバイド、カルボナイトライド及び鉄、チタン、バナジウム、及びクロムの金属種の一部である化合物は不純物である。
【0056】
他に示されなければ、記載されかつ特許が請求される物における全ての酸化物含有量は、酸化物に基づく質量百分率である。
【0057】
発明の詳細な説明
本発明に従う高ジルコニア(ZrO
2)含有量を有する溶融されかつキャスト成形された物において、製造されたガラスの着色又はこのガラスの品質に有害な欠点の発生なしに腐食に対する高い耐性の要件を満たすことが可能である。
【0058】
溶融することにより得られた物において、HfO
2はZrO
2から化学的に分離され得ない。従って、そのような物の化学組成において、ZrO
2+HfO
2は、これらの酸化物両方の合計含有量を指定する。しかし、本発明に従うと、HfO
2は初期のロードに自発的に添加されるわけではない。従って、HfO
2は、痕跡量の酸化ハフニウムを意味するにすぎず、この酸化物はジルコニア源には常に天然に一般的に2%未満の含有量で存在する。従って、明確性のために、ジルコニア含有量及び痕跡量の酸化ハフニウムは、差別せずにZrO
2+HfO
2又はZrO
2又はさらに「ジルコニア含有量」により指定される。
【0059】
本発明に従う物の中の酸化ハフニウム、HfO
2、含有量は5%以下、一般的には2%以下である。
【0060】
シリカSiO
2の存在は、その可逆な同質異形の変形の間、即ち単斜系相から正方晶系相への通過のときに、ジルコニアの体積における変化を効率的に適応させることのできる粒子間のガラス相の形成を特に許す。7.0%超の質量含有量におけるシリカ(SiO
2)の存在で、高い電気抵抗が得られ得る。
【0061】
他方、シリカの添加は12.5%を超えるべきではない。なぜならこの添加はジルコニア含有量の損失にされ、従って、腐食に対する耐性に有害であり得るからである。さらに、高すぎるシリカ含有量は石(物の凝集力の損失から生じる耐火物のかけら)を放出することによりガラスに欠点を生じさせ得、これは使用における悪い挙動であると考えられる。
【0062】
アルミナの存在は安定なガラス状の相の形成を促進し、型への物のキャストし易さを改良する。過剰の含有量はガラス状相の不安定化を起こし(結晶の形成)、該不安定化は実施可能性、特に酸化ホウ素の存在においてのもの、に負の影響を有する。アルミナの質量含有量は、従って、0.8%より下のままであるべきである。
【0063】
本発明に従う物において、酸化物、Na
2O及びK
2Oは似た効果を有することが考えられる。
【0064】
Na
2O及びK
2Oは酸化物は電気抵抗に悪影響を有する。Na
2O+K
2Oの質量含有量は従って、0.1%未満であるべきである。
【0065】
Al
2O
3/B
2O
3質量含有量の比A/Bが2以下であるような割合における物質B
2O
3の含有量の存在は、電気抵抗の増加を許す。
【0066】
本発明に従うと、Fe
2O
3/TiO
2の質量含有量は、0.55%未満であり、P
2O
5の含有量は0.15%未満、好ましくは0.10%未満、好ましくは0.05%未満である。実際、これらの酸化物は有害であることが知られており、原料と一緒に不純物として導入された痕跡量に好ましくは限られるべきである。
【0067】
他の酸化物は、上に列挙されていない種である。即ちZrO
2、Hf
2O、SiO
2、AI
2O
3、Na
2O、K
2O、B
2O
3、CaO、SrO、BaO、MgO、ZnO、P
2O
5、Fe
2O
3、及びTiO
2以外の種である。特にNb
2O
5及びTa
2O
5が「他の酸化物」に属する。
【0068】
一つの実施態様において、他の酸化物は、その存在が特に所望されるわけではなく、かつ一般的に原料中に不純物として一般的に存在する種に限られる。
【0069】
別の実施態様において、他の酸化物は、その存在が有利である種をもまた含み得る。即ち、ある実施態様において、該物は有利に少なくとも1の0.1%、好ましくは少なくとも0.2%のドーパント、例えばNb
2O
5、Ta
2O
5又はそれらの混合物、を含む。該ドーパントにより電気抵抗はさらに改良される。しかし、質量ドーパントの含有量は、好ましくは1.0%以下、好ましくは0.9%以下、さらに好ましくは0.6%以下である。
【0070】
一つの実施態様において、他の酸化物はNb
2O
5もTa
2O
5も含まない(該物はこれらの酸化物を含まない)。
【0071】
慣用的に、溶融されかつキャスト成形された物においては、酸化物は該物の質量の98.5%超、99%超、又は実質的に100%を占める。これは本発明に従う物にも当てはまる。
【0072】
本発明に従う物は慣用的に以下に記載された段階a)〜c)に従って製造され得る。
a)原料を混合して、初期ロードを形成する、
b)溶融された物質が得られるまで該初期ロードを溶融させる、
c)該溶融された物質を冷却することにより固化させて、本発明に従う耐火物を得る。
【0073】
段階a)において、原料は、最終物における酸化物の含有量を保証するように選択される。
【0074】
段階b)において、溶融は、好ましくは、なんら還元(reduction)を製造しない、むしろ長い電気アークと物の再酸化を促進するための混合との組み合わされた作用により行われる。
【0075】
金属の特徴を有する団塊の形成を最小限にするため及び最終物における亀裂又はひび割れの形成を避けるための、溶融を酸化条件で行うことが好ましい。
【0076】
好ましくは、フランス国特許第1208577号及びその追加物、第75893号及び82310号に記載された長いアークの溶融方法が使用される。
【0077】
この方法は、
電気アーク炉を使用すること、該炉のアークはロードとこのロードから離れている少なくとも1の電極との間で起きる、及び
溶融された浴の上方の酸化雰囲気を維持しかつ該炉を撹拌しながら、アーク自身の作用又は浴中で酸化するための気体(例えば、空気又は酸素)をバブリングすること又はさらに浴に酸素を放出する物質、例えば過酸化物又は硝酸塩、を添加することのいずれかにより、その還元作用が最小にまで減少するようにアークの長さを調節すること
からなる。
【0078】
溶融は、特に2300℃、好ましくは2400〜2500℃に含まれる温度において行われ得る。
【0079】
段階c)において、冷却は、1時間当たり20℃未満、好ましくは1時間当たり約10℃未満の速度で行われる。
【0080】
そのようにして製造された本発明の物は、ガラス状相により囲まれたジルコニア粒子からなる。ジルコニアは質量百分率として80%超、90%超、99%超、又は実質的に100%が単斜晶系であり得る。ガラス状相は、ガラス相状に基づいて質量百分率で50%超又は70%超さえのシリカ、5〜20%のB
2O
3及び1〜20%のアルミナを含み得る。シリカ、B
2O
3及びアルミナは、ガラス状相の質量の95%超、97%超、又は実質的に100%を占めていてもよい。
【0081】
ガラス溶融炉における使用を意図された、ジルコニアに基づく、溶融された物を製造するための慣用の方法は、初期のロードの組成が、本発明に従う物の組成と適合する組成を有する物が得られることを許すならば、如何なる慣用の方法が使用されてもよい。