(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記閉ループ制御デバイスは、前記インターフェース(31)と関係する前記ホルダ(32)の速度の変化が所定の閾値を超えると、接触の消失を認識することを行う目的のために具体化されている、請求項1〜4のうちのいずれかに記載のハンドリング装置。
前記ハンドリング装置は、前記ホルダと前記インターフェースとの間に、静止摩擦のない態様で前記マニピュレータに搭載される機械的ガイドデバイスをさらに有する、請求項1〜6のうちのいずれかに記載のハンドリング装置。
前記ハンドリングデバイスは、前記静止摩擦のない調節要素の力の作用と反対に向けられた復元力を前記ホルダ上に付与するバネ要素をさらに有するか、または該ハンドリングデバイスは、複動式空気圧シリンダを有する、請求項1〜7のうちのいずれかに記載のハンドリング装置。
前記少なくとも1つの静止摩擦のない調節要素および前記バネ要素は、一緒に前記ハンドリング装置の弾力性性能特性を決定する力変位特性曲線を有し、前記閉ループ制御デバイスは、該ハンドリング装置が所定の弾力性性能特性を有するように該力変位特性曲線を調節することを行う目的のために具体化されている、請求項8に記載のハンドリング装置。
前記センサデバイスは、すべての調節要素に対する位置センサを有し、該位置センサは、該それぞれの調節要素の長さを測定するか、または前記マニピュレータに対する前記インターフェースと関係する前記ホルダの位置を測定する、請求項10に記載のハンドリング装置。
前記センサデバイスは、前記少なくとも1つの調節要素の前記測定された長さから、および該調節要素の中において卓越する圧力から、該調節要素に作用する力および前記マニピュレータに対する前記インターフェースと関係する前記ホルダの位置を計算することを行う目的のために具体化されている、請求項11に記載のハンドリング装置。
前記調節要素は、ピストンレス空気圧アクチュエータまたは静止摩擦のない空気圧シリンダであり、該調節要素の排気ダクトは、排気を前記ハンドリング装置から離れるように導くホースに接続される、請求項1〜13のうちのいずれかに記載のハンドリング装置。
前記方法は、ハンドリングまたは処理のための前記動作の間に、前記ハンドリング装置によって提供される測定された値から決定される前記位置および前記接触力のログをとることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
接触の消失は、前記マニピュレータに対する前記ハンドリング装置の前記ホルダ(32)のインターフェース(31)と関係する該ホルダの速度の変化が所定の閾値を超えると、認識される、請求項15〜20のうちのいずれかに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図中の同じ参照番号は、同じまたは類似意味を伴う、同じまたは類似構成要素を指す。
【0013】
本発明の実施例として、
図1は、ロボット支援自動研削デバイスの代表例を示し、これは、マニピュレータ20としての産業用ロボットと、ワークピースとしての研削機械40と、マニピュレータ20のエンドエフェクタフランジ21とツール40との間に配列され、実質的に精密制御、すなわち、精密な態様で処理されるべきワークピース50と関係するツール40の移動を閉ループ制御するため、およびツール40によってワークピース50に付与される力を閉ループ制御するために使用されるハンドリング装置30’とを有している。マニピュレータ20の構造は、以下の二次的な重要性がある。4つのアームセグメント20a、20b、20c、および20dを有する標準的な産業用ロボットが、本実施例において使用される。マニピュレータのタスクは、本質的に、処理されるべきワークピース50上のまたはその上方の動作位置にツール40を設置することから構成される。精密な態様で位置を閉ループ制御し、特に、精密な態様で力を閉ループ制御することは、ハンドリング装置30’によって実施される。後者は、ツール40(研削機械)をワークピース50に向かって移動させ、接触すると、ワークピース50に接触力を付与する目的の場合に具体化される。したがって、例えば、研削機械の研削盤は、例えば、特定の研削効果を得るために、特定の力でワークピース50に加圧されることが可能である。力を閉ループ制御することの結果として、力は、したがって、例えば、研削盤が部分的に摩耗する場合でも、一定に保持されることができる。力を制御するために、接触力に対する測定変数を決定することが必要であって、これは、例えば、ロードセルまたは研削機械のモータ電流によって具体化され得る。
図1に示される自動研削デバイスの実施例は、例えば、公報第US5,299,389号に詳細に説明されている。
【0014】
マニピュレータだけを用いて、ツール40の精密な設置および力の制御を行うことは、原理的に可能であろうが、このタスクは、マニピュレータに非常に多くを要求する。要求に応じた、例えば、多くの接触タスクに対して、正確かつ迅速な態様での精密な設置および力の制御は、非常に高価なマニピュレータを使用することによってのみ可能である。この理由から、前述の設置および力調整のタスクを引き受けるハンドリング装置は、マニピュレータのエンドエフェクタフランジと実質ツール(例えば、研削または研磨機械、把持器等)との間に位置する。マニピュレータに対する正確度の要求は、したがって、比較的に小さくなり得る。そのようなタイプのハンドリング装置は、「能動的フランジ」とも呼ばれる。
【0015】
一般に、ロボットが物体に接触する、ロボット支援または自動化システムの場合、問題は、接触が行われる瞬間を認識し、接触力を調整することである。ロボットが表面に接触するまで、接触力を調整することは不可能である。この理由から、全公知の力調整システムの場合、ロボットに搭載されたツールと接触されるべき表面との間で接触がなされると、ショック様相の接触力が、最初に生じる。衝突の場合、ツールおよびハンドリング装置の質量(すなわち、慣性、およびその結果、運動エネルギー)だけではなく、また、その駆動とともにマニピュレータ全体の質量または運動エネルギーが存在する。質量は、本質的に衝撃エネルギー(回避されるべき)を決定する。
【0016】
得られたショック様相の接触力は、多くの場合、問題にはなり得ないが、しかしながら、精度が重要であるか、または非常に敏感なワークピースが加工または処理される必要がある用途においては、非常に憂慮すべきものであって、望ましくない。これは、実際の力が、必要とされる力の進行と比較して、オーバーシュートすることを意味する。また、表面の処理の間(または、物体のハンドリングの間)、ツールの位置は、必要とされる接触力を維持するために調節される必要がある。この場合、とりわけ、静止摩擦の影響(いわゆる「スティック・スリップ作用」)は、接触力の進行における過渡的なオーバーシューティングにつながり得る。加えて、ギヤ付き駆動部の場合、ギヤホイールの歯の噛合は、振動の望ましくないジャーク衝撃を生じさせ得る。物体をハンドリング、または処理するときに、両者の影響は品質問題につながり得る。
【0017】
前述のオーバーシューティングは、ロボット工学においては、通常、受動的な弾性要素を駆動系内に挿入することによって減少させられる。しかしながら、この要素は、非制御態様で作用し、その結果、それらの機械的に定義された性能特性(力変位特性曲線)は、固定的に事前に定義され、自動化態様で制御可能ではないので、精密なハンドリングおよび接触タスクに対して使用可能ではない。
【0018】
図2は、本発明において主張されるハンドリング装置(能動的フランジ)の実施例を示す。装置の第1のフランジ部分は、マニピュレータ(例えば、
図1のマニピュレータ20のエンドエフェクタフランジ21)に対するインターフェース31を形成する。第2のフランジ部分32は、ツール(例えば、研削機械または把持手段等)のためのホルダ32を形成する。本実施例では、クッション式空気圧シリンダ34として具体化される静止摩擦のない線形アクチュエータは、2つのフランジ部分の間に配列される。静止摩擦のないアクチュエータは、例えば、クッション式空気圧シリンダおよび空気圧人工筋肉(PAM)である。この代替として、また、空気圧シリンダを静止摩擦のない態様で搭載されたピストンとともに使用することも可能であって、これは、通常、ガラスから構成され、黒鉛ピストンと協働する。さらなる代替は、静止摩擦のない態様(例えば、ボールベアリング、磁気、または空気クッションベアリングによる)で搭載される電動直接駆動部、特に、ギヤレス線形駆動部によって提供される。これらのタイプの駆動部はまた、空気の圧縮性の結果として(空気圧アクチュエータの場合)または磁気復元力の結果として(電動直接駆動部の場合)、本質的に弾性である。
【0019】
本装置は、加えて、静止摩擦のない線形アクチュエータ34の運動の自由度を除き、運動の全自由度を拘束するガイドデバイス35を含む。ガイドデバイス35はまた、それ自体とその中を誘導されるシャフト352との間のいかなる著しい静止摩擦も可能にしないはずである。この静止摩擦からの解放は、例えば、線形ボールベアリング、特に、再循環ボールベアリング等、例えば、ローラベアリングの使用によって確実にされることができる。
図2に示される実施例では、回転について固定されたシャフトガイド35、352は、再循環ボールベアリング351を具備する。その結果、ハンドリング装置は、ちょうど1自由度、すなわち、必然的に、線形アクチュエータ(クッション式空気圧シリンダ34)の長手軸343に平行であるシャフトガイド35の長手軸353の方向に並進を有する。
【0020】
コンプレッサ60は、空気圧線形アクチュエータ34を駆動させるために、空気圧システムの中に必要な過剰圧力を発生させる。この場合、
図2に示されるクッション式空気圧シリンダ34は、伸長に関わる圧縮力のみを発生させることができる。前述の空気圧人工筋肉は、対照的に、収縮に関わる引張力のみを発生させる。この理由から、例えば、(引張または圧縮)バネによって提供される復元力が、線形アクチュエータに作用する必要がある。
図2の実施例では、シャフトガイドのシャフト352は、事前にかけられた力が、底部フランジ部分(マニピュレータに対するインターフェース31)の方向に、上部フランジ部分(ホルダ32)に作用するように、圧縮バネ36によって制止される。線形アクチュエータ34は、この事前にかけられた力と反対に、能動的に移動させられる。線形アクチュエータ34の中の過剰圧力は、コンプレッサ60によって発生させられ、必要とされる値(必要とされる圧力)に従って電子的に作動させられる制御弁61によって、調節可能である。線形アクチュエータ34の中の実際の圧力(実圧力)は、圧力センサ62を使用して測定される。加えて、線形ポテンショメータが、変位センサ63として提供され、これは、線形アクチュエータ34の現在の偏向、従って、ホルダ32(マニピュレータに対するインターフェース31に関係する、またはマニピュレータのエンドエフェクタフランジに関係する)の相対的位置に対する測定された値を供給する。
【0021】
空気圧線形アクチュエータの圧力依存の力変位特性曲線は、通常、フランジ部分31および32の線形アクチュエータ34によって提供されるアクチュエータ力が、間接測定を利用できるように既知である。すなわち、アクチュエータ力は、アクチュエータの内部で測定された圧力およびアクチュエータの測定された偏向(揚程)から、容易に計算されることができる。この場合、空気圧線形アクチュエータの力変位特性曲線は、ヒステリシスを具備するので、通常、移動の方向もまた力計算に含まれる。電動直接駆動部の場合、アクチュエータ力は、例えば、特性曲線によって、例えば、電流消費によって、同様に決定され得る。
【0022】
復元バネ力もまた、バネと測定された偏向との力変位特性曲線から計算されることができる。ハンドリング装置のホルダ32に締結されるツールがワークピースに接触する場合、アクチュエータ力と復元力との間の差は、ツールに付与された正味の力であって、これは、従来の方法で調整可能である。このことから、実際に、表面に作用する力を決定するために、ツール40(
図1参照)の重量およびワークピースの表面に関連したその空間位置がさらに考慮されなければならない。
【0023】
いかなる接触も伴わずに、アクチュエータ34の偏向について測定された値だけによって、位置を調整することが可能である。加えて、ハンドリング装置30の可撓性(または、剛性)は、調整(インピーダンス調整)されることができる、すなわち、線形アクチュエータおよび復元バネから生成される配列の剛性は、必要とされる値に従って調整される。
【0024】
空気圧アクチュエータに固有の弾性および配列の静止摩擦からの解放の結果、前述の接触力のオーバーシューティングは、最小限まで減少させられる。この弾性性能特性の結果、マニピュレータ(ロボットアームおよび駆動部)の可動要素の質量および慣性は、弾性の有効方向に、ツールから、その結果、ワークピースから分断される。その結果、ツールの遥かに少量の質量のみが、運動エネルギーに対して決定的である。これは、ワークピースとツールとの間に接触が存在するとき、既に前述においてさらに述べられた衝撃エネルギーを減少させる。
【0025】
加えて、静止摩擦からの解放およびギヤレス駆動部の結果、接触力のオーバーシューティングは、能動的な力調整が存在するとき、動作中、事実上、完全に排除される。ジャークがない態様における力の調整は、したがって、可能にされる一方、従来のハンドリング装置の場合、望ましくない変動が、常時、静止摩擦の影響の結果として接触力において生じ、調整によってこの望ましくない変動を容易に補償することは可能ではない。
【0026】
図3は、
図2に示される原理に従って構築されたハンドリング装置を通る詳細断面表現を示す。示される能動的フランジは、マニピュレータに対するインターフェースとしての第1のフランジ部分31、例えば、
図1に示されるエンドエフェクタフランジ21、およびツールのためのホルダまたは受容手段としての第2のフランジ部分32を含む。2つのフランジ部分の幾何学形状は、ロボット工学においては標準的である。制御弁61および静止摩擦のないシャフトガイドが両方とも、
図2に示される同一の原理に従って、復元バネとともに配列されている筐体部分37は、第1のフランジ部分31に剛結されている。埃および他の汚染物質に対する保護のために、ショック吸収材が、フランジ部分31と32との間のカバー39として提供される。このカバーはまた、水中、粗雑な環境、または清潔な部屋において使用するために、液密および/または埃密の態様で具体化されることができる。クッション式空気圧シリンダ34は、静止摩擦のないギヤレスの線形アクチュエータとしての役割を果たす。線形アクチュエータは、第1の筐体部分37と、ホルダ32に剛結される第2の筐体部分38との間に配列される。
【0027】
図2に示される変位センサ63は、本実施例では、ガイドデバイス35によって被覆されて見ることができない。圧力センサおよびコンプレッサは、明確性の理由から、
図3の表現には含まれない。入口空気ダクトおよび排気ダクト38のための接続は、例えば、第1の筐体部分37の中に配列されることができる。入口空気ダクトへの接続は、例えば、ホースを介してコンプレッサ60に接続される。排気ダクトのための接続は、例えば、吸音材によって被覆される。水中用途の場合、本発明の一実施例に主張されるように、排気ダクトはまた、空気圧システムの中への水の進入を防止するために、水の表面まで排気を誘導するホースに接続されることができる。排気ダクトが、ホースとして具体化される結果、排気はまた、センシティブなプロセスの場合においては流出することが防止される。
【0028】
図4は、本発明に主張されるハンドリング装置のさらなる実施例を示し、空気圧人工筋肉34’が、クッション式空気圧シリンダの代わりに使用されている。この実施例の場合のバネ36は、2つのフランジ部分31、32(ホルダおよびマニピュレータに対するインターフェース)が、相互から離れるように加圧される一方、空気圧人工筋肉34’が、バネ力と反対に向けられた引張力を付与するように配列される。残りについては、
図4の配列は、
図2に示される実施例と同じ様式で設計される。しかしながら、圧力がない状態においては、
図4の装置は、最大偏向における終端位置に移動する一方、
図2の装置は、最小偏向(すなわち、フランジ部分31と32との間の距離)における終端位置に移動し、これは、安全上の理由から有利であり得る。
【0029】
概して、本発明に主張される装置の利点は、とりわけ、エネルギーの消失の場合に、システムが開始位置に引き戻され、それでもなお、依然として受動的に移動可能であることである。緊急停止(例えば、許容可能な最大力を超えたために)の後においても、本装置は、依然として受動的な順応性を有し、任意の故障の可能性のある部分は、取り外し可能である。
【0030】
図5は、本発明に主張されるさらなる実施例の簡略化された表現を示す。
図5に示されるハンドリング装置(能動的フランジ)は、
図2〜4に示される実施例と比較して、3つの自由度を有する、すなわち、1つの並進自由度(クッション式空気圧シリンダ34a、34、34cの長手軸の方向の変位)および2つの回転自由度(通常、クッション式空気圧シリンダ34a、34、34cの長手軸に対して存在する2つの回転軸の周りの傾動)を有する。3自由度の場合、本例においては、ハンドリング装置の中心軸の周りに均等に配列される3つの静止摩擦のない空気圧線形アクチュエータ34a、34、34cを有することも必要である。例えば、静止摩擦のない空気圧線形アクチュエータの作動等のハンドリング装置の残りの設計は、原則として、
図2〜4の実施例と同じである。静止摩擦のないガイドデバイス35はまた、実質的に、
図4の実施例と同じ様式において構築される(本例では、引張バネ36’が、クッション式空気圧シリンダのための復元力を発生させるように使用される)が、しかしながら、ガイドシャフト352は、上部フランジ部分(ホルダ32を形成する)に剛結されず、例えば、前述の傾動運動を可能にするために、ボール継手またはカルダン継手(図示せず)によって接続される。用途に応じて、継手は、(本実施例におけるように)上部フランジ部分の傾動運動のみが可能であって、回転不可能であるように、回転に対して固定されることができる。
【0031】
復元力は、原則的に、バネによって発生させられる必要はなく、また、第2の静止摩擦のない空気圧線形アクチュエータによっても提供され得る。したがって、例えば、
図2の実施例では、クッション式空気圧シリンダと平行に配列される空気圧人工筋肉(PAM、
図4参照)もまた、バネ36の代わりに使用され得る。この代替として、複動式の静止摩擦のない空気圧シリンダの使用もまた可能である。
【0032】
図6において、本発明の一実施例において主張されるようなハンドリング装置の調整が、再び詳細に説明される。
図6aは、本発明の一実施例において主張されるような(調整された)接触力の進行を示し、
図6bは、アクチュエータの制御手段80(閉ループ制御デバイス)の略図を示しており、アクチュエータは、ハンドリング装置、本例では、事実上、静止摩擦のない態様でシリンダの中を摺動するピストンを有する複動式空気圧シリンダ81を駆動させる。
図6cは、ワークピースとの接触における衝撃力が非常にわずかであるような受動的(非調整)な例における、ハンドリング装置の非常に平坦な力変位特性曲線の利点を図示する。
【0033】
図6aにおいて、ハンドリング装置30によってワークピースに付与される力F(t)が、時間の進行にわたって示され、ハンドリング装置30とワークピース50(
図1参照)との間に接触が存在しないとき、力Fは、最小値F
0に調整される。最小の力F
0は、略ゼロ、すなわち、ハンドリング装置30が、依然として完全に伸長させられたままである(または、力の方向に応じて、完全に後退させられたままである)ために十分な大きさであり得る。この状態において、接触が生成されるときに接触力の調整を起動させる接触監視はアクティブ状態である。
図6aに示される実施例では、t<t0およびt>t3において、ハンドリング装置30とワークピース50との間に接触は存在せず(より正確には、接触はハンドリング装置に搭載されているツール40によって間接的に生じている)、空気圧制御手段80は、最小の力F
0で、ハンドリング装置のホルダ32(
図2参照)を末端停止部に対して保持する。本実施例では、接触は、t0の時点において認識される。可能な限り「順応性のある」接触を確実にするためには、非常に小さい開始力F
0(理想的には、ゼロ)が必要であり、いったん接触が認識されると、ハンドリング装置30のホルダ32は、もはや末端停止部に接しておらず、接触力は、それぞれの接触タスク(例えば、研磨、研削等)のために所望または必須の必要とされる力F
REQUIREDまで線形的に増加させられる。最小力F
0から必要とされる力F
REQUIREDまでの力の増加は、規定の時間間隔TR内でもたらされる。本実施例では、必要とされる力は、t1の時点で得られ、ワークピース50はハンドリング装置によって処理される(または、別の態様でハンドリングされる)。後者の間、制御手段89による接触監視は、可能性としてあり得る接触の消失を認識するために、再びアクティブ状態である。
【0034】
本実施例では、そのような接触の消失は、t2の時点で生じる。これに対する応答として、ハンドリング装置30のホルダ32は、再び、末端停止部に対して移動させられ、制御手段は、可能な限り「順応性のある」態様でもう一度新しい接触を発生させるために、時間間隔T
R内において、必要とされる力F
REQUIREDから前述の最小力F
0まで減少させる。本例では、接触後の力のランプ形状の上昇および接触の消失後のランプ形状の降下は、同一の長さである(両例ともT
R)。用途に応じて、接触の消失に関する力の降下はまた、より急激にもたらされ得る(例えば、空気圧シリンダの圧力のない切替によって、可能な限り急速に力が取り除かれる)。
【0035】
図6cは、力変位特性曲線によって、ハンドリング装置とワークピースとの間の前述の微接触を図示する。ハンドリング装置の受動的な(すなわち、非調整の)力変位特性曲線は、前述のようなハンドリング装置の好適な機械的構造によって、非常に平坦な態様(連続特性曲線)に設定されることができる。例えば、1ミリメートルの変位当たり3ニュートンにすぎない値を得ることが可能であろう。これと比較して、公知の力調整システムは、比較的に剛性であり、例えば、ジャークまたは衝撃等の非常に高速の(すなわち、高周波数の)外乱の場合に、調整された駆動系が対応する応答時間をもたらす特定の慣性を有するので、十分に迅速に応答することが不可能である。剛性システム(例えば、標準的な産業用ロボット等)の場合、微小変位Δがあまりに急速にもたられると、その結果として、力の大幅な増加Δf
robが既に生じている一方、本発明において主張されるハンドリング装置は、その平坦な特性曲線の結果として、力Δf
flangeに無視できるほどのわずかな変化をもたらし、力の調整は、いったん接触が認識された場合にのみ、徐々に導入される。
【0036】
接触の認識および接触の消失の認識のための様々な可能性の詳細が、再び、以下に与えられる。前述の最小力F
0および必要とされる力F
REQUIREDは、常時、同一の先行符号を有し、ホルダ32は、常時、接触が欠如するとき、それぞれの末端停止部に対して移動する。この終端位置は、例えば、変位センサ63(
図2参照)によって認識されることができる。ハンドリング装置30のホルダ32が末端停止部に位置するとき、常に、このことから、ハンドリング装置30とワークピース40との間に接触が存在していないことが想定され得る。この状態から進行する(ホルダ32が末端停止部に対して)と、ホルダ32が、マニピュレータインターフェース31に関係して、必要とされる力F
REQUIREDと反対に移動する(例えば、変位センサ63によって検出される位置の変化)とすぐに、接触が検出される。この時点において、力は、最小値F
0に調整され、空気圧アクチュエータは、基本的に本来の可撓性を有するので、接触は非常に軽度であり、ハンドリング装置30とワークピース50との間にジャークは存在しない。
【0037】
接触の消失は、例えば、ハンドリング装置30のホルダ32の速度の変化が、所定の加速値を超えるたびに認識される。接触の消失時のマニピュレータインターフェース31と関係するホルダ32の速度が保存される。速度が再び下回ると(末端停止部に接近することなく)、再び接触が認識される。速度変化は、変位センサ62または加速度センサの使用のいずれかによって、測定されることができる。
【0038】
良好な多くの実践的用途において生じる問題は、クッション式空気圧シリンダまたは空気圧人工筋肉およびバネの異なる力変位特性曲線(
図7の特性曲線図参照)から生じる。バネは、概して、(弛緩状態から)偏向が増加するにつれて線形的に増加する復元力を有するが、クッション式空気圧シリンダ(および空気圧人工筋肉)は、所与の内部圧力において、有意な非線形性を有する下降特性曲線を有する。
図2または3の実施例は、以下に見られる。接触されるべき表面に作用する接触力は、定常状態において、クッション式空気圧シリンダ34の力FBとバネ36の復元力FKとの間の差に等しい。しかしながら、ゼロの外部接触力の場合、ハンドリング装置の調節経路(偏向)は、バネ特性曲線とアクチュエータ力特性曲線との間の交差点の左にある、力変位特性曲線の範囲に限定される。接触力がゼロを上回る場合、最大調節経路は、対応して、より小さくなる。実際に、線形アクチュエータの理論的に可能な最大揚程を利用可能にするために、バネ特性曲線がまた、下降特性曲線(適合特性曲線FK’参照)を有することが望ましいであろう。理想的例では、バネ特性曲線は、アクチュエータ力特性曲線と同じ形態を有するであろう。特性曲線間のオフセット(この場合、圧力変化によって調節可能)は、したがって、特性曲線が、このように適合された場合、アクチュエータの偏向から独立して、発生可能であろう、接触力に対応する。
【0039】
図8は、単純な運動学的配列によって、バネ力特性曲線が、どのようにアクチュエータの特性曲線に適合可能であるかの可能性を示す(少なくとも近似的に)。
図8に示される機構の場合、ベアリング361および362は、フランジ部分(例えば、マニピュレータに対するインターフェース31)に剛結され、接続ロッド363の上端は、他のフランジ部分(例えば、ツールのためのホルダ32)に接続される。例えば、L形状であるガイドレバー364は、ベアリング362上に枢動可能に搭載される。バネ36(略線形の特性曲線を有する)は、ガイドレバー364の一方の脚部の端部とベアリング361との間に挟着される。接続ロッド363は、ガイドレバー364の他方の脚部の端部と第2のフランジ部分との間に配列される。2つのフランジ部分31と32との間の間隔は、
図8の参照記号hPによって示される。間隔hPに依存してプレート間に作用する復元力の力変位特性曲線が、
図9bに示される。
図9aは、バネの長さと間隔hPとの間の関係を示す。
図8bから分かるように、バネおよびガイド機構によって作製される、
図8に示されるシステムの力変位特性曲線は、クッション式空気圧シリンダまたは空気圧人工筋肉の力変位特性曲線と同一であり、その結果、静止摩擦のない空気圧線形アクチュエータの可能な揚程は、非常に良好な態様で利用可能となる。
【0040】
静止摩擦のない設計の結果として、本発明において主張されるハンドリング装置はまた、単なる接触力に対する「順応性のある」(すなわち、可撓性の)センサユニットとして動作させられることができる。この場合、ツールの設置は、マニピュレータ(
図1のマニピュレータ20参照)によって、部分的にまたは排他的にもたらされる。この場合、「混合モード」および「センサガイドモード」の両方が考えられる。「混合モード」においては、小規模および高頻度の位置の適合および力の調整が、ハンドリング装置によって担われる一方、大面積のより高度な移動(大まかな設置)は、マニピュレータによって確実にされる。「センサガイドモード」において、ハンドリング装置は、受動的センサユニットとして作用し、調整作業は、マニピュレータによって担われる。そのようなセンサユニットの可撓性は、それでもなお、力が、実質的にジャークがない態様で調整されることを可能にする。単純なセンサモードにおいて、力変位性能特性(インピーダンスとも呼ばれる)である装置の可撓性もまた、能動的に調節可能であり、それぞれの用途に適合可能である。
【0041】
接触力および/またはマニピュレータのエンドエフェクタフランジに関係するツールの位置に関する、ハンドリング装置によって決定される情報(測定データ)は、両例において(「混合モード」および「センサガイドモード」の間)、マニピュレータの駆動部(または、駆動ユニット)にフィードバックされる。これとは対照的に、「独立モード」では、ハンドリング装置は、マニピュレータから独立して作用し、マニピュレータの駆動制御手段または駆動調整手段へのハンドリング装置によって決定された測定データのフィードバックは存在しない。マニピュレータは、所定の移動を実行する(例えば、ツールをワークピース上に設置するため)。精密な制御および力の調整は、前述のように、マニピュレータから独立して、ハンドリング装置によって担われる。
【0042】
静止摩擦のない線形アクチュエータおよび復元バネの固有の弾性の結果として、ハンドリング装置(能動的フランジとしてのモードおよび単純測定モードの両方において)は、接触力に急激な増加をもたらし、通常のロボット調整手段が、補償不可能であるジャーク、衝撃、および類似の短期間事象からマニピュレータを保護する。
【0043】
力測定の正確度を増加させるために、力が、算術的方法において(例えば、移動の方向、圧力、および偏向から)決定されるだけではなく、また、直接測定可能であるように、ロードセルが線形アクチュエータとフランジ部分31または32との間に配列されることができる。
【0044】
本発明の一実施例は、マニピュレータ、例えば、
図2〜5に示されるように、マニピュレータに配列されるハンドリング装置、および物体または表面と接触するようになるツールによって物体をハンドリングするため、または表面を処理するための方法に関する。本方法は、接触力が所定の必要とされる値に対応するように、対応してハンドリング装置を偏向させることによって、ツールを設置するステップを含み、必要とされる値は、マニピュレータの位置に依存することが可能である。本方法は、物体をハンドリングするステップ(例えば、設置、積層等)または表面を処理するステップ(例えば、研削、研磨等)をさらに含む。この場合、ハンドリング装置によって決定されるツールの位置および接触力は、ハンドリングまたは加工の動作の間、継続的に監視され、また、必要に応じてログがとられる。その結果、処理報告が、ワークピース毎に準備されることができ、ワークピースは、対応して分類されることができる(例えば、特定の力公差が、処理またはハンドリングの間、順守されていない場合には、Bグレード品として)。
【0045】
本発明において主張されるハンドリング装置のいくつかの重要な側面が、実施例として、以下に要約される。
【0046】
自動接触タスクに好適であるハンドリング装置(能動的フランジ)は、機械的インターフェースとして、ハンドリング装置をマニピュレータに取り外し可能にまたは固定的に接続するための第1のフランジ部分、および第1のフランジ部分に関係して移動可能である第2のフランジ部分を含み、ツールを受容するためのホルダとして具体化される。少なくとも1つのギヤレスの静止摩擦のない調節要素が、第1のフランジ部分に関係するホルダを設置する役割を果たす。加えて、センサデバイスが、直接的または間接的に、少なくとも1つの調節要素に作用する力を決定するために提供される。最後に、閉ループ制御デバイスは、ホルダに搭載されるツールと表面との間の接触が生じると、所定の力の進行に従って、接触力の調整を確実にする。
【0047】
加えて、静止摩擦がない状態で搭載される(例えば、ローラベアリングまたは空気クッションベアリングによって)機械的ガイドデバイスは、2つのフランジ部分の間に配列されることができ、この機械的ガイドデバイスは、少なくとも1つの調節要素によって調節可能なものを除いて、全機械的自由度を拘束する。単一の自由度の場合、例えば、回転について固定されたシャフトガイドは、調節要素の移動に対応する1並進自由度まで、全自由度を拘束し得る。
【0048】
ハンドリング装置は、2つのフランジ部分の間に、静止摩擦のない調節要素の力の作用と反対に向けられた復元力を発生させるバネ要素をさらに有することができる。ハンドリング装置によって、外部体(例えば、ワークピース)上に付与される正味の力は、故に、アクチュエータ力とバネの復元力との間の差に対応する。
【0049】
各ギヤレスの静止摩擦のない調節要素および前述のバネ要素は、特徴的な力変位特性曲線を有する。単純バネの場合、この特性曲線は、線形的に上昇し、空気圧アクチュエータの場合、下降し、圧力依存である。ともに、この特性曲線は、ハンドリング装置の弾性性能特性(すなわち、正味の力対マニピュレータと関係するホルダの位置)を決定する。閉ループ制御デバイスは、ハンドリング装置が所定の弾性性能特性を有するように、調節要素(または、複数の調節要素)の力変位特性曲線を調節する目的のために具体化されることができる。
【0050】
前述のように、調節要素は、ピストンレス空気圧アクチュエータ、静止摩擦のない空気圧シリンダ、または電動ギアレス直接駆動であることができる。電動直接駆動の場合、圧力依存の力変位特性曲線の代わりに、電流依存の力変位特性曲線が存在する。
【0051】
少なくとも近似態様でバネ要素の力変位特性曲線をアクチュエータの特性曲線に適合させるために、バネの外方向に有効な力変位特性曲線が、運動学的配列(すなわち、レバー機構)によって、静止摩擦のない空気圧調節要素の力変位特性曲線に修正されることができる。
【0052】
センサデバイスは、それぞれの調節要素の長さを測定するために、各調節要素に対する位置センサを有することができる。これの代替として、第1のフランジ部分(すなわち、マニピュレータ)と関係するホルダの位置を決定する目的のために具体化されるセンサを提供することが可能である。
【0053】
空気圧アクチュエータの場合、センサデバイスは、少なくとも1つの調節要素の測定された長さおよび調節要素の中において卓越する圧力から、調節要素に作用する力および第1のフランジ部分に関係するホルダの位置を計算する目的のために具体化されることができる。
【0054】
水中用途または気流が妨害となる用途の場合、空気圧調節要素の排気ダクトは、気流が装置の近傍で生じないように、ハンドリング装置から離れる方向に排気を向けるホースに接続されることができる。加えて、ハンドリング装置は、水および/または埃の進入に対して密閉されることができる。
【0055】
本発明のさらなる実施例は、少なくとも1自由度を有するマニピュレータ、前述のように、マニピュレータに締結されたハンドリング装置、および接触タスクのためのハンドリング装置上に配列されたツールを含むシステムに関する。加えて、ツールによって、ワークピース上に付与された力を調整するための調整ユニットが提供され、調整ユニットは、マニピュレータによってワークピースを概略的に設置し、ハンドリング装置によって精密な設置および力の調整を実施する目的のために具体化される。
【0056】
これへの代替として、ハンドリング装置が、センサユニットとして単純に受動的態様で動作させられ、力がマニピュレータの駆動部によって調整される。両例において、ハンドリング装置の調節可能な弾性によって、ワークピースとマニピュレータの慣性質量との間に機械的分断が存在する。