【実施例】
【0021】
(実施例1)
上記電力変換装置に係る実施例について、
図1〜
図9を用いて説明する。
図1、
図3に示すごとく、本例の電力変換装置1は、電力変換回路10と、外部端子2と、該外部端子2に接続した2個のコンデンサ3(3a,3b)と、筐体4とを備える。外部端子2は、電力変換回路10を外部機器に電気接続するものである。筐体4に、電力変換回路10を構成する電子部品を収容してある。筐体4は金属製であり、グランドに接続されている。筐体4は、底壁40と、該底壁40から立設した側壁49とを備える。
【0022】
図2、
図3に示すごとく、2個のコンデンサ3a,3bは、一方の電極31が外部端子2にそれぞれ電気的に接続している。また、2個のコンデンサ3a,3bは、他方の電極32が筐体4にそれぞれ電気的に接続している。
図3に示すごとく、2個のコンデンサ3と外部端子2と筐体4とによって、電流が流れるループLが形成されている。
【0023】
図2に示すごとく、電力変換回路10の一部(交流磁界発生部7)から交流磁界Hが発生する。また、
図3、
図4に示すごとく、ループL内には、交流磁界Hの磁束Φがそれぞれ貫く、第1領域S1と第2領域S2との2つの領域がある。磁束Φが第1領域S1を貫くことにより、ループLに第1誘導ノイズ電流I1が誘起される。また、磁束Φが第2領域S2を貫くことにより、ループLに、第1誘導ノイズ電流I1とは逆向きに流れる第2誘導ノイズ電流I2が誘起されるよう構成してある。
【0024】
本例の電力変換回路10は降圧回路(
図9参照)である。この降圧回路を用いて、高圧直流電源8の直流電圧を降圧し、低圧直流電源80を充電するよう構成してある。
【0025】
図1に示すごとく、本例の電力変換装置1は、外部端子2として、出力端子2aと、入力端子2bと、信号端子2cとを備える。本例では、これら3つの外部端子2(2a〜2c)のうち、出力端子2aのみに2個のコンデンサ3を接続し、ループLを構成してある。
【0026】
図1、
図2に示すごとく、外部端子2aは、その一端21が、電力変換回路10を構成する部品(チョークコイル12)に接続している。また、外部端子の他端29は、筐体4の外側に配された外部機器接続部89に電気接続している。
2個のコンデンサ3は、筐体4内において外部端子2aを両側から挟む位置に配されている。個々のコンデンサ3の一方の電極31は外部端子2aに電気接続し、他方の電極32は筐体4に電気接続している。
【0027】
また、上記ループLは、上記交流磁界発生部7に対して、外部端子2の外部機器との接続側に隣り合う位置に形成されている。
【0028】
また、
図1、
図3に示すごとく、本例ではコンデンサ3を、プリント基板14に固定している。そして、筐体4の底面48から突出する2本の金属製の支柱41,42によって、プリント基板14を支持している。プリント基板14は、ボルト5によって支柱41,42に固定されている。また、外部端子2は、プリント基板14上に載置されている。
【0029】
図2に示すごとく、コンデンサ3a,3bの一方の電極31は、配線6を介して、外部端子2に接続している。配線6は、プリント基板14の表面にパターン形成したものである。また、コンデンサ3の他方の電極32は、配線6と、ボルト5とを介して、支柱41,42に電気接続している。配線6は直線状に延びている。2個のコンデンサ3a,3bと、配線6と、外部端子2と、ボルト5と、支柱41,42と、筐体4とによって、上記ループLが形成されている。
【0030】
本例では、コンデンサ3a,3bとフィルタコイル18とによって、フィルタ回路11を構成してある。このフィルタ回路11によって、電力変換回路10内において発生した伝導ノイズ電流を除去し、出力端子2aに伝導ノイズ電流が混入しないようにしている。
なお、上記フィルタコイル18は、軟磁性体からなるフィルタ用コア180によって、外部端子2aの一部を取り囲むことによって構成してある。
【0031】
図2に示すごとく、フィルタ回路11の近傍には、交流磁界Hが発生する部位(交流磁界発生部7)がある。本例では、後述するダイオードモジュール15の出力端子151から、交流磁界Hが発生している。
【0032】
図3に示すごとく、ダイオードモジュール15の出力端子151には、交流電流iが、筐体4の底面48の法線方向(Z方向)に流れている。
図2に示すごとく、交流磁界Hは、Z方向に流れる交流電流iを中心とした円筒状になる。
【0033】
このように、交流磁界Hの磁束Φは円筒状になるため、
図2、
図3に示すごとく、磁束ΦはループL内の2つの領域S1,S2をそれぞれ貫く。
図4に示すごとく、磁束Φは、2つの領域S1,S2のうち一方の領域を、ループLよりも交流磁界発生部7に近い側である近傍側INから、ループLよりも交流磁界発生部7から遠い側である遠方側OUTへ貫く。また、磁束Φは、他方の領域を、上記遠方側OUTから上記近傍側INへ貫く。つまり、磁束Φは常に、2つの領域S1,S2をそれぞれ互いに逆向きに貫く。そのため、ループLに発生する第1誘導ノイズ電流I1と第2誘導ノイズ電流I2とは、互いに向きが逆になる。
【0034】
ある瞬間において、磁束Φは
図4に示すようにループLを貫く。第1領域S1を貫く磁束Φ
1のX方向成分Φ
x1は、上記遠方側OUTから上記近傍側INに向かっている。この成分Φ
x1の変化を妨げるように、ループLに第1誘導ノイズ電流I1が発生する。
【0035】
また、第2領域S2を貫く磁束Φ
2のX方向成分Φ
x2は、上記近傍側INから上記遠方側OUTへ向かっている。この成分Φ
x2の変化を妨げるように、ループLに第2誘導ノイズ電流I2が発生する。
【0036】
交流磁界Hは交互に向きが変わるが、このように向きが変わっても、磁束Φ
1のX方向成分Φ
x1と、磁束Φ
2のX方向成分Φ
x2とは、常に互いに反対側を向く。そのため、上記2つの誘導ノイズ電流I1,I2は、常に互いに逆向きに流れる。したがって、この2つの誘導ノイズ電流I1,I2は互いに打ち消し合う。
【0037】
また、
図2に示すごとく、本例の導線6は、X方向とZ方向との双方に直交する方向(Y方向)に直線状に延びている。そして、Z方向から見たときに、交流磁界発生部7から一方のボルト5aまでの距離r1と、交流磁界発生部7から他方のボルト5bまでの距離r2とが等しくなっている。すなわち、2つのボルト5a,5bを結ぶ線分の垂直二等分線上に、磁束発生部7が位置している。これにより、上記2つの領域S1,S2を貫く磁束Φの量を等しくし、ループLに誘起される2つの誘導ノイズ電流I1,I2の強さが等しくなるようにしている。
【0038】
図9に示すごとく、本例の電力変換回路10は、MOSモジュール16と、トランス13と、ダイオードモジュール15と、チョークコイル12と、平滑コンデンサ17と、プリント基板14(制御回路)とを備える。MOSモジュール16は高圧直流電源8に接続している。MOSモジュール16は4個のMOS素子160を内蔵している。これら4個のMOS素子160によって、Hブリッジ回路を構成してある。
【0039】
MOSモジュール16の出力端子はトランス13の一次コイル130aに接続している。このトランス13によって、高圧直流電源8の電圧を降圧している。トランス13の二次コイル130bの出力端子138は、ダイオードモジュール15に接続している。また、トランス13のセンタータップ139は筐体4、すなわちグランドに接続してある。
【0040】
ダイオードモジュール15には2個のダイオード150が設けられている。この2個のダイオード150を使って、トランス13の出力電圧を整流している。ダイオードモジュール15の出力端子151は、チョークコイル12に接続している。また、チョークコイル12の出力端子126は、平滑コンデンサ17及びフィルタコイル18に接続している。上記チョークコイル12と平滑コンデンサ17は、上記ダイオードモジュール15によって整流した波形を平滑化するために設けられている。
【0041】
上述したように、本例では、フィルタコイル18と2個のコンデンサ3a,3bとによってフィルタ回路11を構成してある。コンデンサ3a,3bの一方の電極31は外部端子2(出力端子2a)に接続し、他方の電極32は筐体4に接続している。電力変換回路10ではMOS素子160をスイッチング動作させているため、この動作に伴って、電力変換回路10内に伝導ノイズ電流が発生する。この伝導ノイズ電流が出力端子2aを通って外部に出ないように、フィルタ回路11を使って除去している。
【0042】
一方、
図5、
図7に示すごとく、本例では、筐体4の底面48にダイオードモジュール15を載置し、このダイオードモジュール15上にチョークコイル12を載置してある。チョークコイル12は、軟磁性体からなるコア121と、該コア121内に配された巻線部120とからなる。チョークコイル12の入力端子125は、
図7に示すごとく、巻線部120からX方向に突出し、その先端部125aがZ方向に折り曲げられている。
【0043】
また、
図6、
図7に示すごとく、ダイオードモジュール15の出力端子151は、封止部159からX方向に突出し、その先端部151aがZ方向に折り曲げられている。
図7に示すごとく、ダイオードモジュール15の出力端子151の先端部151aと、チョークコイル12の入力端子125の先端部125aとを重ね合わせ、溶接してある。
【0044】
このように、ダイオードモジュール15の出力端子151はZ方向に延びているため、ダイオードモジュール15の出力電流(交流電流i)はZ方向に流れる。この出力端子151の周囲に、交流磁界Hが発生する。
【0045】
また、
図5、
図8に示すごとく、チョークコイル12の出力端子126は、巻線部120からX方向に延出している。この出力端子126に、外部端子2aを重ね合わせて溶接してある。
【0046】
本例の作用効果について説明する。
図2、
図3に示すごとく、本例の電力変換装置1では、2個のコンデンサ3a,3bと外部端子2と筐体4とによって、電流が流れるループLを形成してある。交流磁界Hの磁束Φは、ループL内の第1領域S1と第2領域S2とをそれぞれ貫く。磁束Φが第1領域S1を貫くことによりループLに第1誘導ノイズ電流I1が発生し、磁束Φが第2領域S2を貫くことによりループLに第2誘導ノイズ電流I2が発生する。これら2つの誘導ノイズ電流I1,I2は、ループLを互いに逆向きに流れるように発生する。
そのため、ループLに誘導ノイズ電流I1,I2が発生しても、これら2つの誘導ノイズ電流I1,I2は互いに逆向きに流れるため、打ち消し合って弱まる。したがって、外部端子2に大きな誘導ノイズ電流が混入しにくくなる。
【0047】
また、
図1、
図2に示すごとく、本例では、2個のコンデンサ3と外部端子2と筐体4とによって、電流が流れるループLを形成してある。
このようにすると、交流磁界発生源7が外部端子2の近傍に存在する場合であっても、外部端子2に大きな誘導ノイズ電流が混入することを防止できる。すなわち、ループLは、外部端子2を構成要素としているため、
図1に示すごとく、交流磁界発生源7が外部端子2の近傍に存在する場合、交流磁界発生源7は、ループLの近傍に存在することになる。この場合、交流磁界発生源7を中心として同心円状に発生した磁束Φが、ループL内の領域を2回、貫通しやすくなる。すなわち、同心円状に発生した磁束Φが、ループL内の一部の領域(第1領域S1)を貫通し、その後、ループL内の他の領域(第2領域S2)を再び貫通しやすくなる。このとき磁束Φは、第1領域S1と第2領域S2とを互いに逆向きに貫くことになる。そのため、磁束Φが第1領域S1を貫くことにより発生した誘導ノイズ電流(第1誘導ノイズ電流I1)と、磁束Φが第2領域S2を貫くことにより発生した誘導ノイズ電流(第2誘導ノイズ電流I2)とは、ループLを互いに逆向きに流れる。したがって、これらの誘導ノイズ電流I1,I2を互いに弱め合わせることができ、外部端子2に大きな誘導ノイズ電流が混入することを防止することが可能になる。
【0048】
また、本例のループLは、交流磁界発生部7に対して、外部端子2の突出側に隣り合う位置に形成されている。
そのため、交流磁界発生部7から発生した磁束Φが、ループL内の2つの領域(第1領域S1及び第2領域S2)を互いに逆向きに貫きやすくなる。したがって、外部端子2に大きな誘導ノイズ電流が混入しにくい。
【0049】
また、上記外部端子2は、電力変換回路10の出力端子2aである。2個のコンデンサ3a,3bは、電力変換回路10内において発生した伝導ノイズ電流を除去するためのフィルタ回路11を構成している。
出力端子2aは、ノイズ電流の混入を抑制することが特に強く求められている。そのため、出力端子2aにコンデンサ3a,3bを取り付けてループLを形成し、ループLに互いに反対方向に流れる2つの誘導ノイズ電流I1,I2が発生するようにして、これらの誘導ノイズ電流I1,I2を互いに打ち消し合わせたときの効果は大きい。
【0050】
また、
図3に示すごとく、本例では、交流磁界Hの発生源となる交流電流iは、筐体4の底面48の法線方向(Z方向)に流れている。そして、底面48からZ方向に2本の支柱41,42が突出し、2本の支柱41,42がループLの一部をなしている。
そのため、ループLに誘導ノイズ電流I1,I2が、互いに反対向きに流れるように2つ発生しやすくなる。すなわち、上記構成にすると、ループLを含む平面P(
図4参照)が、Z方向に平行になる。また、交流磁界Hは、Z方向に流れる交流電流iを中心として円筒状になる。そのため、この円筒状の交流磁界Hの磁束Φが、ループL内の2つの領域S1,S2をそれぞれ貫きやすくなる。したがってループLに、互いに反対向きに流れる2つの誘導ノイズ電流I1,I2を発生させやすくなり、これら2つの誘導ノイズ電流I1,I2を互いに打消し合わせて弱めることができる。
また、支柱41,42を使ってループLを構成すると、
図2に示すごとく、Z方向から見たときのループLの占める面積を小さくすることができる。そのため、電力変換装置1を小型化しやすくなる。
【0051】
また、
図2、
図3に示すごとく、本例では個々のコンデンサ3a,3bと支柱41,42との間、および個々のコンデンサ3a,3bと外部端子2との間を、それぞれ導線6によって接続してある。
このように導線6を用いることにより、ループLの面積を大きくすることができ、交流磁界Hの磁束Φが、ループL内の2つの領域S1,S2をそれぞれ貫きやすくなる。したがってループLに、互いに反対向きに流れる2つの誘導ノイズ電流I1,I2が発生しやすくなり、これら2つの誘導ノイズ電流I1,I2を互いに打消し合わせて弱めやすくなる。
【0052】
また、本例では
図2に示すごとく、Z方向から見たときに、交流磁界発生部7から一方のボルト5aまでの距離r1と、交流磁界発生部7から他方のボルト5bまでの距離r2が等しい。そのため、ループL内の2つの領域S1,S2をそれぞれ貫く磁束Φの量が等しくなり、第1誘導ノイズ電流I1と第2誘導ノイズ電流I2との強さを等しくすることができる。したがって、出力端子2に混入する誘導ノイズ電流を殆ど0にすることができる。
【0053】
また、本例では
図2、
図3に示すごとく、プリント基板14にコンデンサ3a,3bを固定している。そのため、コンデンサ3a,3bをプリント基板14にしっかり固定できると共に、プリント基板14にパターン形成した配線6を使って、コンデンサ3a,3bを外部端子2や筐体4に容易に電気接続することができる。
【0054】
また、本例では、支柱41,42を使ってプリント基板14を支持しており、かつ、この支柱41,42自体が、ループLの一部をなしている。つまり、プリント基板14を支持する支柱と、ループLをなす支柱とが別々になっていない。そのため、電力変換装置1の構造をシンプルにすることができる。また、支柱41,42を用いると、プリント基板14を底面48から離れた位置に固定できる。そのため、ループLの面積を大きくすることができ、磁束Φが、ループL内の2つの領域S1,S2をそれぞれ貫きやすくなる。
【0055】
以上のごとく、本例によれば、大きな誘導ノイズ電流が外部端子に混入しにくい電力変換装置を提供することができる。
【0056】
なお、本例では2個のコンデンサ3a,3bを用いたが、3個以上のコンデンサ3を用いてもよい。例えば、2個のコンデンサ3a,3bのそれぞれに、別のコンデンサを並列接続してもよい。
【0057】
また、個々のコンデンサ3a,3bは、それぞれ1個のコンデンサセルを使って構成することもできるし、複数個のコンデンサセルを使って構成することもできる。
【0058】
また、本例の筐体4は、
図1に示すごとく、底壁40と、側壁49とを備えるが、側壁49を有さない筐体4を用いてもよい。
【0059】
(実施例2)
本例は、ループLの構造を変更した例である。
図10、
図11に示すごとく、本例ではループLに導線6が含まれていない。本例では、コンデンサ3a,3bの一方の電極31が外部端子2に直接、接続している。また、プリント基板14には金属製の接続部材140が埋め込まれており、底面48から突出した2本の支柱41,42がこの接続部材140に接触している。コンデンサ3a,3bの他方の電極32は、接続部材140に接続している。そして、コンデンサ3a,3bと、外部端子2と、接続部材140と、支柱41,42と、筐体4とによって、電流が流れるループLを構成してある。また、本例では
図10に示すごとく、2個のコンデンサ3a,3bまでの距離がそれぞれ等しい位置に、交流磁界発生部7が存在している。
【0060】
また、ループL内には、第1領域S1と第2領域S2との2つの領域がある。交流磁界Hの磁束Φは、2つの領域S1,S2をそれぞれ貫く。これにより、ループLに、互いに逆向きに流れる2つの誘導ノイズ電流I1,I2が発生するよう構成してある。
【0061】
その他は、実施例1と同様である。また、本例に関する図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0062】
(実施例3)
本例は
図12に示すごとく、出力端子2aだけでなく、入力端子2bにも2個のコンデンサ3(3c,3d)を接続し、ループL(第2ループLb)を形成した例である。同図に示すごとく、本例では、プリント基板14上に入力端子2bを載置し、このプリント基板14に2個のコンデンサ3c,3dを固定してある。そして、コンデンサ3c,3dの一方の電極31をそれぞれ入力端子2bに接続し、他方の電極32をそれぞれ筐体4に接続してある。コンデンサ3c,3dと、入力端子2bと、筐体4とによって、電流が流れるループL(第2ループLb)が形成されている。
【0063】
本例では実施例1と同様に、筐体4の底面48から支柱(図示しない)が突出しており、この支柱がボルト5に電気的に接続している。また、コンデンサ3c,3dの他方の電極32とボルト5とは、導線6を介して接続している。コンデンサ3c,3dの一方の電極31と入力端子2bとも、導線6を介して接続してある。
【0064】
上記2個のコンデンサ3c,3dは、外部から入力端子2bを介して電力変換回路10に入る伝導ノイズ電流を、グランド(筐体4)に逃がすための入力フィルタ回路11bを構成している。また、コンデンサ3c,3dの近傍に位置するMOSモジュール16から、交流磁界Hが発生している。この交流磁界Hの磁束Φが、ループL内の2つの領域S3,S4をそれぞれ貫く。これにより、第2ループLbに、互いに反対方向に流れる2つの誘導ノイズ電流I3,I4が発生するよう構成してある。この2つの誘導ノイズ電流I3,I4は互いに打ち消し合って弱まる。そのため、入力端子2bから大きな誘導ノイズ電流が外部に出にくい。
【0065】
その他は、実施例1と同様である。また、本例に関する図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0066】
(実施例4)
本例は、ループLを形成する部位を変更した例である。
図13に示すごとく、本例では、プリント基板14の信号線2cに2個のコンデンサ3(3e,3d)を取り付け、ループL(第3ループLc)を形成した。
【0067】
信号線2cは、プリント基板14のコネクタ140から、プリント基板14の内部へ延びている。外部機器からこの信号線2cへ制御信号を送ることにより、MOS素子160(
図9参照)のオンオフ動作等を制御している。
【0068】
交流磁界Hの磁束Φは、第3ループLc内の2つの領域S5,S6をそれぞれ貫く。これにより、第3ループLcに、互いに逆向きに流れる2つの誘導ノイズ電流I5,I6が発生するよう構成してある。この2つの誘導ノイズ電流I5,I6は互いに弱め合う。そのため、信号線2cから外部機器へ大きな誘導ノイズ電流が出にくい。
【0069】
その他は、実施例1と同様である。また、本例に関する図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0070】
(実施例5)
本例は、チョークコイル12の形状を変更した例である。
図14に示すごとく、本例のチョークコイル12は、巻線部120と、該巻線部120を取り囲むコア121とを有する。コア121は軟磁性体からなる。巻線部120の一部129が、コア121から露出している。この露出した部分129から交流磁界Hが発生し、その交流磁界Hの磁束Φが、ループL内の2つの領域S1,S2をそれぞれ貫くよう構成してある。
【0071】
チョークコイル12の巻線部120のうち、コア121から露出している部分129は特に強い交流磁界Hを発生する。このように強い交流磁界Hが発生する場合でも、本例では外部端子2に大きな誘導ノイズ電流が混入しにくい。すなわち、本例では、交流磁界Hの磁束Φが、ループL内の2つの領域S1,S2をそれぞれ貫き、ループLに互いに反対方向に流れる2つの誘導ノイズ電流I1,I2が発生するよう構成してある。そのため、強い交流磁界Hが発生しても、ループLに誘起した2つの誘導ノイズ電流I1,I2を互いに打ち消し合わせることができ、外部端子2に大きな誘導ノイズ電流Iが混入することを抑制できる。
【0072】
なお、トランス13から交流磁界Hが発生してもよい。トランス13はトランス巻線部130(一次コイル130a及び二次コイル130b)と、該トランス巻線部130を取り囲むトランス用コア131とを有する。トランス巻線部130の一部135がトランス用コア131から露出している。この露出した部分135から交流磁界Hが発生し、その交流磁界Hの磁束が、ループL内の2つの領域S1,S2をそれぞれ貫くようにしてもよい。
【0073】
トランス巻線部130のうち、トランス用コア131から露出している部分135は特に強い交流磁界Hを発生する。このように強い交流磁界Hが発生する場合でも、本例では外部端子2に大きな誘導ノイズ電流が混入しにくい。すなわち、本例では、交流磁界Hの磁束Φが、ループL内の2つの領域S1,S2をそれぞれ貫き、ループLに互いに反対方向に流れる2つの誘導ノイズ電流I1,I2が発生するよう構成してある。そのため、強い交流磁界Hが発生しても、ループLに誘起した2つの誘導ノイズ電流I1,I2を互いに打ち消し合わせることができ、外部端子2に大きな誘導ノイズ電流Iが混入することを抑制できる。
【0074】
その他は、実施例1と同様である。また、本例に関する図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0075】
(実施例6)
本例は、コンデンサ3の構造を変更した例である。
図15に示すごとく、本例のコンデンサ3a,3bは、互いに直列に接続した2個の小コンデンサ35によって構成されている。このように2個の小コンデンサ35を直列接続すると、どちらか一方の小コンデンサ35がショート故障した時でも、他方の小コンデンサ35によって正常な機能を発揮することが可能となる。そのため、故障に強くなるというメリットがある。また、3個以上の小コンデンサ35を直列接続して、個々のコンデンサ3a,3bを構成してもよい。
【0076】
同様に、複数の小コンデンサ35を並列接続して、個々のコンデンサ3a,3bを形成してもよい。この場合には、コンデンサ3a,3bの全体の静電容量を大きくすることができるため、インピーダンスを小さくでき、ノイズ電流をグランドへ流しやすくなる。
【0077】
その他は、実施例1と同様である。また、本例に関する図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0078】
(実施例7)
本例は、コンデンサ3の構造を変更した例である。
図16に示すごとく、本例では複数の小コンデンサ35を直列接続して小コンデンサ群300,301を形成してある。そして、2つの小コンデンサ群300,301を並列接続することにより、個々のコンデンサ3a,3bを構成してある。すなわち、1つのコンデンサ3は、合計4個の小コンデンサ35からなる。
【0079】
このようにすると、小コンデンサ35を直列接続してあるため、ショート故障に強くなる。また、小コンデンサ群300,301を並列接続してあるため、全体の静電容量を増やすことができ、ノイズ電流をグランドに流しやすくなる。
【0080】
その他は、実施例1と同様である。また、本例に関する図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
【0081】
(実施例8)
本例は、外部端子2の構造を変更した例である。
図17に示すごとく、本例の外部端子2は第1部分28と第2部分29とを有する。第1部分28は筐体4内に設けられており、この第1部分28にコンデンサ3a,3bが電気接続している。筐体4には開口部450を形成してあり、この開口部450に第2部分29を挿通してある。第1部分28と第2部分29とは、螺子27によって接続されている。また、第2部分29の先端部290に、外部機器を接続するようになっている。
【0082】
その他は、実施例1と同様である。また、本例に関する図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。