(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貫通孔が形成されたプレキャストコンクリート製の中間部材をコンクリート製の下部材の上面に隙間をあけて載置し、該隙間の周囲をシール部材でシールして下目地空間を形成する下目地形成工程と、
プレキャストコンクリート製の上部材を前記中間部材の上面に隙間をあけて載置すると共に、前記貫通孔を貫通する鉄筋を介して前記下部材と前記中間部材と前記上部材とを連結し、該隙間の周囲をシール部材でシールして上目地空間を形成する上目地形成工程と、
前記下目地空間へグラウトを供給することによって前記下目地空間と前記貫通孔と前記上目地空間とに前記グラウトを充填すると共に、前記上部材の下面から該上部材の外側へ貫通する複数の空気抜き通路を通じて前記上目地空間の内部の空気を排気するグラウト充填工程と、
を有し、
前記空気抜き通路の吸気口が、前記貫通孔の平面位置と異なり、前記上目地空間に前記グラウトが充填されるときに前記上目地空間の内部の空気が集まると想定される場所に位置するグラウト注入方法。
前記上部材を前記中間部材の上面に載置すると共に、前記上部材に設けられ該上部材の下面から突出する前記鉄筋を前記貫通孔へ貫通させて、前記下部材に形成された挿入孔へ挿入する請求項1に記載のグラウト注入方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は係る事実を考慮し、プレキャストコンクリート部材の接合部における上目地にグラウトを充填する際に形成される空気溜まりを低減する又は無くすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1態様の発明は、貫通孔が形成されたプレキャストコンクリート製の中間部材をコンクリート製の下部材の上面に隙間をあけて載置し、該隙間の周囲をシール部材でシールして下目地空間を形成する下目地形成工程と、プレキャストコンクリート製の上部材を前記中間部材の上面に隙間をあけて載置すると共に、前記貫通孔を貫通する鉄筋を介して前記下部材と前記中間部材と前記上部材とを連結し、該隙間の周囲をシール部材でシールして上目地空間を形成する上目地形成工程と、前記下目地空間へグラウトを供給することによって前記下目地空間と前記貫通孔と前記上目地空間とに前記グラウトを充填すると共に、前記上部材の下面から該上部材の外側へ貫通する複数の空気抜き通路を通じて前記上目地空間の内部の空気を排気するグラウト充填工程と、を有する
グラウト注入方法である。
【0010】
第1態様の発明では、グラウト注入方法は、下目地形成工程と上目地形成工程とグラウト充填工程とを有している。
【0011】
下目地形成工程では、コンクリート製の下部材の上面に隙間をあけてプレキャストコンクリート製の中間部材を載置する。そして、下部材の上面にあけられた隙間の周囲をシール部材でシールして下目地空間を形成する。中間部材には貫通孔が形成されている。
【0012】
上目地形成工程では、プレキャストコンクリート製の上部材を中間部材の上面に隙間をあけて載置する。そして、中間部材の上面にあけられた隙間の周囲をシール部材でシールして上目地空間を形成する。また、中間部材の上面に上部材を載置すると共に、貫通孔を貫通する鉄筋を介して下部材と中間部材と上部材とを連結する。
【0013】
グラウト充填工程では、下目地空間へグラウトを供給することによって、下目地空間と貫通孔と上目地空間とにグラウトを充填すると共に、複数の空気抜き通路を通じて上目地空間の内部の空気を排気する。空気抜き通路は、上部材の下面から上部材の外側へ貫通している。
【0014】
ここで、上目地空間の平面形状が正方形であり且つ貫通孔が上目地空間の外周に沿って均等に配置されている場合においては、グラウトが上目地空間へ充填される際に、下目地空間に供給され貫通孔を介して上目地空間へ送り込まれるグラウトが貫通孔からほぼ均等に拡がり上目地空間の平面中央部に向かって流れる。これによって、上目地空間の平面中央部に空気が集められるので、上目地空間の平面中央部で連通するようにグラウト排出管を設けておけばグラウト排出管からグラウトと共に空気が排出されるので、上目地空間に空気溜まりが形成されない。
【0015】
しかし、上目地空間の平面形状が長方形等の扁平形状であったり、又は貫通孔が上目地空間の外周に沿って均等に配置されていなかったりする場合には、上目地空間の平面中央部で連通するようにグラウト排出管を設けておいても、上目地空間の平面中央部以外の場所に空気が集まって空気溜まりを形成してしまうことが考えられる。
【0016】
これに対して
第1態様のグラウト注入方法では、空気抜き通路を通じて上目地空間の内部の空気を排気するので、空気が集まる場所に吸気口が位置するように空気抜き通路を設けておけば、上目地空間の平面形状や貫通孔の配置に大きく影響されることなく、上目地空間に形成される空気溜まりを低減する又は無くすことができる。
【0017】
また、空気抜き通路は上部材に複数設けられているので、空気溜まりが部分的に複数形成される場合においても、これらの空気溜まりの空気を排気することができる。
【0018】
これらにより上目地空間にグラウトを密実に充填することが可能になるので、中間部材と上部材とを確実に接合することができる。
【0019】
第2態様の発明は、
第1態様のグラウト注入方法において、前記上部材を前記中間部材の上面に載置すると共に、前記上部材に設けられ該上部材の下面から突出する前記鉄筋を前記貫通孔へ貫通させて、前記下部材に形成された挿入孔へ挿入する。
【0020】
第2態様の発明では、鉄筋は、上部材に設けられ上部材の下面から突出している。また、下部材には挿入孔が形成されている。そして、上部材を中間部材の上面に載置すると共に、上部材の下面から突出する鉄筋を中間部材の貫通孔へ貫通させて下部材の挿入孔へ挿入する。
【0021】
よって、上部材に設けられ下方に突出する鉄筋を中間部材の貫通孔に貫通させて下部材に設けられた挿入孔に挿入し、下部材と中間部材と上部材とを一体化する、所謂「逆挿し工法」に対して、
第1態様と同様の効果を得ることができる。
【0022】
第3態様の発明は、
第1又は第2態様のグラウト注入方法において、平面視にて、前記貫通孔の中心を四隅とする四辺形の中央に前記空気抜き通路の吸気口が位置する。
【0023】
第3態様の発明では、平面視にて、貫通孔の中心を四隅とする四辺形の中央に空気抜き通路の吸気口を位置させることによって、上目地空間の空気が集まりやすい位置に吸気口を配置することができる。これにより、上目地空間に形成される空気溜まりを効率よく低減する又は無くすことができる。
【0024】
第4態様の発明は、
第1〜第3態様の何れか1態様のグラウト注入方法において、前記下部材及び前記上部材は柱であり、前記中間部材は梁が一体に設けられた柱梁接合部材である。
【0025】
第4態様の発明では、下部材及び上部材を柱とし、中間部材を梁が一体に設けられた柱梁接合部材とした構成において、
第1態様と同様の効果を得ることができる。
【0026】
第5態様の発明は、
第1〜第4態様の何れか1態様のグラウト注入方法により一体となった前記下部材、前記中間部材及び前記上部材を有する接合構造である。
【0027】
第5態様の発明では、
第1〜第4態様の何れか1態様のグラウト注入方法により一体となった下部材、中間部材及び上部材を有する接合構造において、
第1態様と同様の効果を得ることができる。
【0028】
第6態様の発明は、
第5態様の接合構造を有する建物である。
【0029】
第6態様の発明では、
第5態様の接合構造を有する建物において、
第1態様と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は上記構成としたので、プレキャストコンクリート部材の接合部における上目地にグラウトを充填する際に形成される空気溜まりを低減する又は無くすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明の実施形態では、鉄筋コンクリートによって形成されたプレキャスト部材(下部材、中間部材及び上部材)を接合する例を示すが、本発明の実施形態は、鉄骨鉄筋コンクリートやプレストレストコンクリート等のコンクリートによって形成されたさまざまなプレキャスト部材の接合に適用することができる。
【0033】
図1の斜視図に示すように、本発明の実施形態の接合構造10は、下部材としての柱12と、中間部材としての柱梁接合部材14と、上部材としての柱16とを有している。また、柱梁接合部材14と、柱梁接合部材14の左右に一体に設けられた梁18、20とによって水平構造体22が構成されている。
【0034】
柱12、16、及び水平構造体22は、鉄筋コンクリートによって形成されたプレキャストコンクリート部材である。また、柱12、16、及び柱梁接合部材14の上下端面は、全て同一形状となっており、梁18、20の梁長方向にある辺が長辺となる長方形状を形成している。
【0035】
接合構造10は、柱12の上面に隙間をあけて水平構造体22(柱梁接合部材14)を載置し、柱梁接合部材14の上面に隙間をあけて柱16を載置した後に、後に説明するグラウト注入方法を用いて、柱12と水平構造体22(柱梁接合部材14)と柱16とを一体化することにより構築される。
【0036】
柱16には、柱16の下面から下方に突出する8本の柱鉄筋24が鉄筋として設けられている。また、
図2(b)の断面図に示すように、柱16には、柱16の下面から側面へ貫通する空気抜き通路としての3つの排気孔26A〜26CがL字状に形成されている。なお、排気孔26A〜26Cは、グラウト排出孔としても用いられる。
【0037】
図2(a)の断面図に示すように、水平構造体22の柱梁接合部材14には、柱鉄筋24が上下に貫通する貫通孔28が略鉛直に8つ形成されている。
【0038】
図1に示すように、梁18には、梁18の端面から突出する8本の梁鉄筋30が設けられ、梁20の端部には中空管32が8つ埋設されている。
図3(a)の断面図に示すように、中空管32は、梁鉄筋30を捩じ込まずに挿入可能な差し込み式の機械式継手となっており、梁20に設けられた梁鉄筋30の右端部が挿入されている。
【0039】
梁20の端部側面には、中空管32の一端からグラウトを注入するためのグラウト注入孔34と、中空管32の他端からグラウトを排出するグラウト排出孔36とが形成されている。また、
図2(a)に示すように、水平構造体22には、梁20の上面から柱梁接合部材14の下面へ貫通するグラウト供給孔38が形成されている。グラウト供給孔38の流出口100(下端部)は、柱梁接合部材14下面の略中央に位置している。
【0040】
図4(a)の断面図、及び
図4(a)のA−A矢視図である
図5(a)に示すように、排気孔26A〜26Cの吸気口64A〜64C(下端部)は、柱梁接合部材14の上面と柱16の下面との間にあけられた隙間の周囲をエアーチューブ52でシールして形成される上目地空間56の形状や貫通孔28の配置等を考慮し、後に説明するグラウト充填工程において上目地空間56にグラウトが充填された際に空気が集まると想定される場所に位置させる。なお、
図5(a)〜(d)には、平面視にて柱梁接合部材14の上面に投影した排気孔26A〜26Cの吸気口64A〜64Cの位置が点線の円で示されている。
【0041】
例えば、
図6(a)の平面図に示すように、平面視にて、対象とする貫通孔28の中心を四隅とする四辺形の対角線の交点70に排気孔26A〜26Cの吸気口64A〜64Cを位置させてもよい。すなわち、平面視にて、対象とする貫通孔28の中心を四隅とする四辺形の中央に排気孔26A〜26Cの吸気口64A〜64Cを位置させてもよい。また、例えば、
図6(b)の平面図に示すように、平面視にて、対象とする貫通孔28の中心の全てから等しい距離にある点72に排気孔26A〜26Cの吸気口64A〜64Cを位置させてもよい。
【0042】
なお、このようにして排気孔26A〜26Cの吸気口64A〜64Cの位置を設定する際には、
図6(c)の平面図に示すように、二段筋74以外の外周筋76が貫通している貫通孔28を対象とすればよい。
【0043】
図2(a)に示すように、柱12の上端部には中空管40が8つ埋設され、この中空管40の中空部が挿入孔となっている。中空管40は、柱鉄筋24を捩じ込まずに挿入可能な差し込み式の機械式継手となっており、柱12に設けられた柱鉄筋24の上端部が挿入されている。また、柱12に設けられた柱鉄筋24及び中空管40は、柱12の上端面から突出していない。
柱16の上端部は、柱12の上端部と同様の構成になっている。すなわち、柱16の上端部には、柱16に設けられた柱鉄筋24の上端部が挿入された中空管40が埋設されている。
【0044】
柱12の上端部には、中空管40の下端からグラウトを注入するためのグラウト注入孔42と、中空管40の上端からグラウトを排出するグラウト排出孔44とが形成されている。
【0045】
そして、
図2(b)に示すように、柱梁接合部材14の上面に柱16を載置すると共に、柱16の下面から突出する柱鉄筋24を柱梁接合部材14の貫通孔28へ貫通させて柱12の中空管40の挿入孔へ挿入する。
【0046】
図7の拡大図に示すように、柱12、16、及び柱梁接合部材14の上面の四隅には雌ネジ46が形成されており、この雌ネジ46に捩じ込んだボルト48の捩じ込み量によって、水平構造体22(柱梁接合部材14)及び柱16の設置高さを調整することができる。
【0047】
排気孔26A〜26Cは、柱16に埋設されたシース管によって形成され、貫通孔28は、柱梁接合部材14に埋設されたシース管によって形成され、グラウト供給孔38は、柱梁接合部材14及び梁20に埋設されたシース管によって形成されている。すなわち、シース管の中空部が、排気孔26A〜26C、貫通孔28、グラウト供給孔38となっている。シース管は、部材の端面から突出させないようにして埋設する。
【0048】
排気孔26A〜26C、貫通孔28、グラウト供給孔38は、シース管の埋設以外の方法で形成してもよい。例えば、部材を形成するコンクリート中に埋設した円柱部材を、このコンクリートが硬化した後に取り除くことにより形成してもよいし、穿孔により形成してもよい。また、中空管32、40は、梁鉄筋30及び柱鉄筋24が挿入可能であり且つ梁鉄筋30同士及び柱鉄筋24同士を確実に接続できるものであればよい。
【0049】
次に、接合構造10を用いた建物の構築方法について、
図8、9の立面図を用いて説明する。なお、説明の都合上、図の左側に配置される柱12、水平構造体22(柱梁接合部材14、梁18、20)、柱16、接合構造10を、柱12A、水平構造体22A(柱梁接合部材14A、梁18A、20A)、柱16A、接合構造10Aとし、図の中央に配置される柱12、水平構造体22(柱梁接合部材14、梁18、20)、柱16、接合構造10を、柱12B、水平構造体22B(柱梁接合部材14B、梁18B、20B)、柱16B、接合構造10Bとし、図の右側に配置される柱12、水平構造体22(柱梁接合部材14、梁18、20)、柱16、接合構造10を、柱12C、水平構造体22C(柱梁接合部材14C、梁18C、20C)、柱16C、接合構造10Cとする。
【0050】
まず、
図8(a)に示すように、基礎スラブ50上に、柱12A〜12Cを設置する。
【0051】
次に、柱12Aの上面と柱梁接合部材14Aの下面との間に隙間を有するようにして、柱12Aの上面に水平構造体22A(柱梁接合部材14A)を載置し、
図4(a)に示すように、この隙間の周囲をシール部材としてのエアーチューブ52でシールして下目地空間54を形成する(下目地形成工程)。柱12Aの上面と柱梁接合部材14Aの下面との間の隙間の大きさは、柱12Aの上面に設けられたボルト48の捩じ込み量によって調整する(
図7を参照のこと)。
【0052】
次に、
図8(b)に示すように、梁18Bの端面が梁20Aの端面と対向するように水平構造体22Bを横方向に移動させて梁20Aに梁18Bを接合すると共に、柱12Bの上面と柱梁接合部材14Bの下面との間に隙間を有するようにして柱12Bの上面に水平構造体22B(柱梁接合部材14B)を載置する。そして、柱12Aの上面に水平構造体22Aを載置したときと同様の方法で下目地形成工程を行う。
【0053】
図3(a)には、梁20に梁18が接合される直前の状態が示され、
図3(b)の断面図には、梁20に梁18が接合された状態が示されている。
図3(b)に示すように、梁20に梁18が接合された状態において、梁18の梁鉄筋30は、梁20の中空管32に挿入され、中空管32内に充填されて硬化したグラウトにより定着される。また、梁20の端面と梁18の端面との間に小さな隙間58を有するようにして、梁20に対して梁18を配置し、隙間58に充填したグラウトを硬化させることにより梁18と梁20との一体化を図る。
【0054】
次に、
図8(c)に示すように、
図8(b)と同様の方法で、柱12Cの上面に水平構造体22C(柱梁接合部材14C)を載置し、下目地形成工程を行う。
【0055】
次に、
図9(d)、及び
図2(a)、(b)に示すように、柱梁接合部材14Aの上面と柱16Aの下面との間に隙間を有するようにして、柱16Aを柱梁接合部材14Aの上面に載置し、
図4(a)、及び
図5(a)に示すように、この隙間の周囲をシール部材としてのエアーチューブ52でシールして上目地空間56を形成する(上目地形成工程)。
図2(a)には、柱16を柱梁接合部材14の上面に載置する直前の状態が示され、
図2(b)には、柱16を柱梁接合部材14の上面に載置した状態が示されている。
【0056】
柱梁接合部材14の上面に柱16を載置するときに、柱16の下面から突出する柱鉄筋24は、柱梁接合部材14の貫通孔28を貫通して柱12に設けられた中空管40の挿入孔に挿入される。すなわち、中間部材としての柱梁接合部材14の上面に上部材としての柱16を載置すると共に、貫通孔28を貫通する鉄筋としての柱鉄筋24を介して柱12と柱梁接合部材14と柱16とを連結する。
中空管40の挿入孔に挿入された柱鉄筋24は、グラウト注入孔42から中空管40の中空部に充填したグラウトを硬化させることによって中空管40に定着される。
【0057】
次に、下目地空間54へグラウトを供給することによって、下目地空間54と貫通孔28と上目地空間56とにグラウトを充填すると共に、複数の排気孔26A〜26Cを通じて上目地空間56の空気を排気する(グラウト充填工程)。
【0058】
ここで、グラウト充填工程について詳しく説明する。まず、
図4(b)の断面図に示すように、グラウト供給孔38から下目地空間54へグラウトWを注入する。そして、グラウト供給孔38からのグラウトWの注入を続けることによって下目地空間54の全域にグラウトWが充填され、
図4(c)の断面図に示すように、グラウトWが貫通孔28を上昇する。
【0059】
さらに、グラウト供給孔38からのグラウトWの注入を続けることにより、貫通孔28を上昇したグラウトWは、
図4(c)のB−B矢視図である
図5(b)〜(d)に示すように、貫通孔28の上端部開口から溢れ出してほぼ均等に拡がる。
図5(b)〜(d)は、時間の経過と共に上目地空間56内で拡がるグラウトWの状態の一例を模式的に描いたものである。
図5(b)には初期の状態、
図5(c)には中期の状態、
図5(d)には後期の状態が描かれている。
【0060】
図5(c)に示すように、上目地空間56内の空気QはグラウトWに追い込まれるようにして排気孔26A〜26Cの吸気口64A〜64C付近に集められ、
図5(d)に示すように、排気孔26A〜26Cの吸気口64A〜64C付近に空気溜まりが形成されるが、グラウト供給孔38からのグラウトWの注入を続けることにより、空気溜まりの空気Qは排気孔26A〜26Cを通って排気口60A〜60Cから外部へ排気される。これにより、上目地空間56に形成される空気溜まりを低減する又は無くすことができる。
【0061】
そして、さらに、グラウト供給孔38からのグラウトWの注入を続けることにより、
図4(d)の断面図に示すように、上目地空間56の全域にグラウトWが充填されて排気孔26A〜26Cの排気口60A〜60Cから排気される空気Qが無くなり、グラウトWのみが排出されるので、全ての排気口60A〜60CからのグラウトWのみの排出を確認した後にグラウト供給孔38からのグラウトWの注入を停止する。すなわち、
図4(d)では、排気孔26A〜26Cがグラウト排出孔として機能する。
なお、排気孔26A〜26Cの排気口60A〜60Cは、グラウトWのみの排出が確認された時点でそれぞれ塞ぐのが好ましい。これによって、グラウトWの排出ロスを減らすことができる。
【0062】
このようにして、本発明の実施形態のグラウト注入方法では、下目地形成工程、上目地形成工程、及びグラウト充填工程を行うことにより、下目地空間54、貫通孔28及び上目地空間56にグラウトWを充填することができる。そして、充填されたグラウトWを硬化させることにより、柱12Aと水平構造体22A(柱梁接合部材14A)と柱16Aとが一体化され、接合構造10Aが構築される。
【0063】
次に、
図9(e)、(f)に示すように、柱16B、16Cを、柱梁接合部材14B、14Cの上面に載置し、接合構造10Aと同様の方法で、接合構造10B、10Cを構築する。
【0064】
後は、階を上げながら
図8(a)〜(c)、
図9(d)〜(f)と同様の作業を繰り返して接合構造10を最上階まで積み上げることにより建物を構築する。なお、
図9(f)の柱16A〜16Cの上端部の構成と、
図8(a)の柱12A〜12Cの上端部の構成とは同じなので、
図8(a)〜(c)と同様の方法で
図9(f)の柱16A〜16Cの上面に次の水平構造体22A〜22Cを設置すればよい。この場合、柱16A〜16Cが、下部材となる。
【0065】
次に、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0066】
本発明の実施形態のグラウト注入方法では、
図4(a)〜(d)に示すように、下目地形成工程、上目地形成工程、及びグラウト充填工程を行うことによって、下目地空間54、貫通孔28及び上目地空間56にグラウトWを充填することができる。
【0067】
ここで、上目地空間56の平面形状が正方形であり且つ貫通孔28が上目地空間56の外周に沿って均等に配置されている場合においては、グラウトWが上目地空間56へ充填される際に、下目地空間54に供給され貫通孔28を介して上目地空間56へ送り込まれるグラウトWが貫通孔28からほぼ均等に拡がり上目地空間56の平面中央部に向かって流れる。これによって、上目地空間56の平面中央部に空気が集められるので、この平面中央部で連通するようにグラウト排出孔を設けておけばグラウト排出孔からグラウトWと共に空気が排出されるので、上目地空間56に空気溜まりが形成されない。
【0068】
しかし、上目地空間56の平面形状が長方形等の扁平形状であったり、又は貫通孔28が上目地空間56の外周に沿って均等に配置されていなかったりする場合には、上目地空間56の平面中央部で連通するようにグラウト排出孔を設けておいても、上目地空間56の平面中央部以外の場所に空気が集まって空気溜まりを形成してしまうことが考えられる。
【0069】
これに対して本発明の実施形態のグラウト注入方法では、空気が集まる場所に吸気口64A〜64Cが位置するように排気孔26A〜26Cを設けているので、上目地空間56の平面形状や貫通孔28の配置に大きく影響されることなく、排気孔26A〜26Cを通じ上目地空間56の内部の空気Qを上目地空間56の外部へ排気して上目地空間56に形成される空気溜まりを低減する又は無くすことができる。
【0070】
また、排気孔26A〜26Cは柱16に複数設けられているので、空気溜まりが部分的に複数形成される場合においても、これらの空気溜まりの空気を排気することができる。
【0071】
これらにより上目地空間56にグラウトWを密実に充填することが可能になるので、柱梁接合部材14と柱16とを確実に接合することができる。
【0072】
また、排気孔26A〜26Cは、平面視にて、貫通孔28の中心を四隅とする四辺形の中央に吸気口64A〜64Cが位置するように設けられているので、上目地空間56の空気が集まりやすい位置に吸気口64A〜64Cを配置することができる。これにより、上目地空間56に形成される空気溜まりを効率よく低減する又は無くすことができる。
【0073】
なお、
図8(a)〜(c)、及び
図9(d)〜(f)では、基礎スラブ50に3つの柱12A〜12Cを設置した例を示したが、建物の一層分を構築するのに必要なだけの柱12を設置し、それらの柱12に対して
図8(a)〜(c)、
図9(d)〜(f)の作業を行えばよい。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明した。
【0075】
なお、本発明の実施形態では、柱12をプレキャストコンクリート部材とした例を示したが、柱12は現場打ちコンクリートによって形成してもよい。すなわち、本発明の実施形態の下部材は、コンクリートによって形成された部材であればよい。
【0076】
また、本発明の実施形態では、上部材としての柱16に空気抜き通路としての3つの排気孔26A〜26CをL字状に配置した例を示したが、排気孔は、複数であればよく、柱16にどのように貫通させてもよい。例えば、直線状の排気孔を、柱16に鉛直に貫通させてもよいし、柱16に斜めに貫通させてもよい。すなわち、排気孔の配置や数は、グラウト充填工程において上目地空間56にグラウトが充填される際に空気が集まる場所を想定し、これに基づいて適宜決めればよい。空気が集まる場所の想定が難しい場合には、排気孔の数を多くすればよい。その場合には、排気孔から排出されるグラウトWのロスを考慮して排気孔の配置や数を決める。
【0077】
また、本発明の実施形態では、グラウト供給孔38から下目地空間54へグラウトWを供給した例を示したが、他の方法を用いて下目地空間54へグラウトWを供給してもよい。例えば、
図10〜16の正面図に示す方法によって、下目地空間54へグラウトWを供給してもよい。
【0078】
図10には、柱梁接合部材14の側面から下面へ貫通するように柱梁接合部材14に形成されたグラウト供給孔80から下目地空間54へグラウトWを供給する例が示されている。
【0079】
このようにすれば、
図4(a)で示したグラウト供給孔38よりもグラウト供給孔の長さを短くでき、配管抵抗を小さくすることができるので、グラウト供給孔80にグラウトWを良好に流すことができる。
【0080】
図11には、柱16の側面から柱梁接合部材14の下面へ貫通するように、柱16と柱梁接合部材14とに設けられたグラウト供給管82によって形成されたグラウト供給孔から下目地空間54へグラウトWを供給する例が示されている。
【0081】
このようにすれば、
図4(a)で示したグラウト供給孔38の注入口102よりも高い位置の注入口104からグラウトWを供給することができ、重力によりグラウトWの注入圧を高くすることができるので、吐出圧の小さいグラウトポンプを用いることができる、又はグラウトポンプが不要になる。
【0082】
図12には、柱16の上面から柱梁接合部材14の下面へ貫通するように、柱16と柱梁接合部材14とに設けられたグラウト供給管84によって形成されたグラウト供給孔から下目地空間54へグラウトWを供給する例が示されている。グラウト供給管84は、直管となっている。
【0083】
このようにすれば、
図4(a)で示したグラウト供給孔38の注入口102よりも高い位置の注入口106からグラウトWを供給することができ、重力によりグラウトWの注入圧を高くすることができるので、吐出圧の小さいグラウトポンプを用いることができる、又はグラウトポンプが不要になる。また、グラウト供給管84は直管なので、配管抵抗を小さくすることができ、グラウト供給管84によって形成されるグラウト供給孔にグラウトWを良好に流すことができる。
【0084】
なお、グラウト供給管82、84と吸気口64Bの位置が同じになってしまう場合には、
図11、12に示すように、グラウト充填工程において上目地空間56にグラウトが充填された際に空気が集まると想定される場所に吸気口64Bがかかるようにして、吸気口64Bの位置を少しずらしてもよい。
【0085】
図13には、柱12の側面から上面へ貫通するように、柱12に形成されたグラウト供給孔86から下目地空間54へグラウトWを供給する例が示されている。このようにすれば、グラウトポンプを柱12の横に設置することができる。
【0086】
図14には、中空管40のグラウト注入孔42(
図1、2(b)を参照のこと)から下目地空間54へグラウトWを供給する例が示されている。この場合には、下目地空間54へグラウトWを供給するグラウト注入孔42を有する中空管40に形成されているグラウト排出孔44を塞いでおく。このようにすれば、グラウト供給孔を設ける手間を省くことができる。なお、1つの中空管40から下目地空間54へグラウトWを供給してもよいし、複数の中空管40から下目地空間54へグラウトWを供給してもよい。例えば、全ての中空管40から下目地空間54へグラウトWを供給してもよい。
【0087】
図15には、梁20の上面から1つの貫通孔28の中間部へ貫通するように、水平構造体22に形成されたグラウト供給孔88から下目地空間54へグラウトWを供給する例が示されている。
【0088】
このようにすれば、貫通孔28をグラウト供給孔の一部として利用することができるので、グラウト供給孔を設ける手間を低減することができる。この場合、
図16(b)、(c)の平断面図に示すように、グラウト供給孔として用いる貫通孔96、98(シース管92、94)の大きさを、
図16(a)の平断面図に示す一般的な大きさの貫通孔28(シース管90)よりも大きくするのが好ましい。なお、一般的な大きさの貫通孔28とは、貫通される柱鉄筋24の外径に近い大きさの内径を有する貫通孔28を意味する。また、柱鉄筋24が貫通されない、グラウト供給孔としてのみ用いる貫通孔28を柱梁接合部材14に形成してもよい。
【0089】
また、本発明の実施形態では、柱16の下面から突出する柱鉄筋24を柱12に設けられた中空管40の中空部に挿入した後に、中空管40の中空部にグラウトを充填して硬化させることによって中空管40に柱鉄筋24を定着した例を示したが、予め中空管40の中空部にグラウトWを充填しておき、このグラウトWが硬化する前に柱鉄筋24を中空管40の中空部に挿入するようにしてもよい。
【0090】
また、本発明の実施形態では、上部材(柱16)に設けられ下方に突出する柱鉄筋24を中間部材(柱梁接合部材14)の貫通孔28に貫通させて下部材(柱12)に設けられた中空管40に接続し、下部材と中間部材と上部材とを一体化する、所謂「逆挿し工法」に対するグラウト注入方法について説明したが、本発明の実施形態のグラウト注入方法は、中間部材の上面に上部材を載置すると共に、中間部材の貫通孔を貫通する鉄筋を介して下部材と中間部材と上部材とを連結する工法に対して適用することができる。
例えば、
図17の断面図に示す、所謂「順挿し工法」や、
図19の断面図に示す工法に対して本発明の実施形態のグラウト注入方法を適用することができる。
図18は、下目地空間へグラウトを供給することにより上目地空間にグラウトを充填するものではないが、
図17の変形例として紹介する。
【0091】
図17では、まず、下部材としての柱108の上面に中間部材としての柱梁接合部材14を載置すると共に、柱108に設けられて柱108の上面から上方へ突出する柱鉄筋24を柱梁接合部材14に形成された貫通孔28に貫通させる。
【0092】
次に、柱梁接合部材14の上面に上部材としての柱110を載置すると共に、柱108に設けられた柱鉄筋24の上端部を柱110の下端部に埋設された中空管40の挿入孔に挿入し、グラウトにより中空管40に柱鉄筋24の上端部を定着する。
【0093】
次に、
図4(a)で示したのと同様の方法で下目地空間54及び上目地空間56を形成した後に、グラウト充填工程を行う。
【0094】
図18では、まず、下部材としての柱108の上面に中間部材としての柱梁接合部材14を載置すると共に、柱108に設けられて柱108の上面から上方へ突出する柱鉄筋24を柱梁接合部材14に形成された貫通孔28に貫通させる。
【0095】
次に、
図4(a)で示したのと同様の方法で下目地空間54を形成した後に、グラウト供給孔38から下目地空間54にグラウトWを供給することによって、下目地空間54及び貫通孔28にグラウトWを充填する。
【0096】
次に、柱梁接合部材14の上面に上部材としての柱110を載置すると共に、柱108に設けられた柱鉄筋24の上端部を柱110の下端部に埋設された中空管40の挿入孔に挿入し、グラウトにより中空管40に柱鉄筋24の上端部を定着する。
【0097】
次に、
図4(a)で示したのと同様の方法で上目地空間56を形成した後に、この上目地空間56にグラウトWを供給する。上目地空間56へのグラウトWの供給は、例えば、
図18に示すように、中空管40のグラウト排出孔44から行ってもよい。この場合、上目地空間56へグラウトWを供給するグラウト排出孔44を有する中空管40に形成されているグラウト注入孔42は塞いでおく。
【0098】
図19では、まず、下部材としての柱62の上面に中間部材としての柱梁接合部材14を載置する。
【0099】
次に、柱梁接合部材14の貫通孔28に中継筋66を貫通させ、この中継筋66の下端部を柱62の上端部に埋設された中空管40の挿入孔に挿入する。そして、グラウトにより中空管40に中継筋66の下端部を定着する。
【0100】
次に、柱梁接合部材14の上面に上部材としての柱110を載置すると共に、中継筋66の上端部を柱110の下端部に埋設された中空管40の挿入孔に挿入し、グラウトにより中空管40に中継筋66の上端部を定着する。
【0101】
次に、
図4(a)で示したのと同様の方法で下目地空間54及び上目地空間56を形成した後に、グラウト充填工程を行う。
【0102】
また、本発明の実施形態では、
図3(a)、(b)に示した方法によって、梁20に梁18を接合した例を示したが、梁20に梁18を確実に接合できる方法であればよい。例えば、
図20(a)、(b)、及び
図22(a)、(b)に示す方法を用いてもよい。
図20(a)及び
図22(a)には、梁20に梁18が接合される直前の状態が示され、
図20(b)及び
図22(b)には、梁20に梁18が接合された状態が示されている。
【0103】
図20(a)、(b)の接合方法は、まず、小さな隙間を有するように又は密着するようにして、梁18の端面を梁20の端面に対向させて梁18を配置する。
【0104】
次に、梁18の端部に埋設されたシース管116により形成された収容孔120から中空管124を引き出して、梁20の端部に埋設されたシース管118により形成された収容孔122に挿入する。このとき、梁18に設けられた梁鉄筋30の端部が中空管124に挿入されている状態で、梁20に設けられた梁鉄筋30の端部が中空管124に挿入され、梁18に設けられた梁鉄筋30と梁20に設けられた梁鉄筋30とが接合される。なお、
図20(a)の状態で、梁鉄筋30、中空管124、及びシース管116、118は、梁18、20の端面から突出していない。
【0105】
次に、梁18の端面と梁20の端面との間に形成された隙間126、収容孔120、122、及び中空管124の中空部にグラウトを充填し硬化させて、梁20と梁18とを一体化する。
【0106】
このように、
図20(a)、(b)の接合方法は、小さな隙間を有するように又は密着するようにして、梁20の端面に梁18の端面を対向させているので、梁18と梁20との接合部(梁18の端面と梁20の端面との間の空間)にコンクリートを後打ちする作業や、コンクリートを後打ちする為の型枠設置作業等の煩雑な作業を無くすことが可能となり、施工性の向上を図ることができる。
【0107】
また、この接合方法は、梁18(水平構造体22)の横方向への移動によって梁20に梁18を接合することができるし、梁18(水平構造体22)の上下方向への移動によっても梁20に梁18を接合することができる。
【0108】
ここで、例えば、
図21の平面図に示すように、地点Kから半時計回り(矢印112の順)に水平構造体22、128を設置する作業と、地点Kから時計回り(矢印114の順)に水平構造体22、128を設置する作業とを並行して行うことにより建物を構築する場合には、最後に設置する水平構造体22(
図21に点線で示した水平構造体22)を上下方向への移動によって設置し、これ以外の水平構造体22、128を横方向への移動によって設置することができる。
【0109】
図21の状況以外においても、既に設置された梁の間に水平構造体を設置しなければならない状況や、クレーンのブームの移動範囲が制約された状況等によって水平構造体を横方向に移動させることができない場合に有効である。
【0110】
図22(a)、(b)の接合方法は、梁18、20の端面から突出して設けられた梁鉄筋30の端部同士を中空管124で接続し、梁18と梁20との接合部(梁18の端面と梁20の端面との間の空間)にコンクリートVを後打ちし硬化させて、梁18と梁20とを一体化する。
【0111】
また、本発明の実施形態では、下部材及び上部材を柱とし、中間部材を柱梁接合部材とした例を示したが、これに限らず、例えば、下部材及び上部材を壁とし、中間部材を梁又は床スラブとしてもよい。すなわち、下壁と上壁との間に梁が配置された接合構造や、下壁と上壁との間に床スラブが配置された接合構造に対して本発明の実施形態を適用することができる。
【0112】
また、本発明の実施形態では、柱梁接合部材14の上面の平面形状を長方形とした例を示したが、柱梁接合部材14の上面の平面形状は、三角形、正方形、長方形、台形、多角形、円形、楕円形等のさまざまな形状とすることができ、特に、長方形、楕円形、台形等の扁平形状に対して有効である。
【0113】
また、本発明の実施形態では、グラウト供給孔38の流出口100(下端部)を、柱梁接合部材14下面の略中央に配置した例を示したが、流出口100は柱梁接合部材14下面のどの位置に配置してもよい。本発明の実施形態では、複数の排気孔によって上目地空間56に形成する空気溜まりを低減することができるので、流出口100の配置によって上目地空間56に充填されるグラウトWの充填され方に違いを生じても大きな影響を受けることはない。
【0114】
また、本発明の実施形態では、シール部材をエアーチューブ52とした例を示したが、隙間の周囲をシールして下目地空間54及び上目地空間56を形成できるものであればよく、例えば、固練りのモルタルを隙間に詰めてシールしてもよい。
【0115】
また、本発明の実施形態では、対象とする貫通孔28の中心を四隅とする四辺形の中央に排気孔26A〜26Cの吸気口64A〜64Cを位置させる例を示したが、対象とする複数の貫通孔28の上端部開口からグラウトWが溢れ始めるタイミングが貫通孔28毎に異なる場合には、最も遅くグラウトWが溢れ出す貫通孔28寄りに排気孔26A〜26Cの吸気口64A〜64Cを配置するのが好ましい。この配置は、上端部開口からグラウトWが溢れ始める各貫通孔28のタイミングの時間差を考慮して適宜決めればよい。
【0116】
また、本発明の実施形態では、説明の都合上、柱鉄筋24及び梁鉄筋30以外の鉄筋が省略されているが、柱12、16、及び水平構造体22には、せん断補強筋や二段筋等の鉄筋を必要に応じて適宜設ければよい。
【0117】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。