特許第5701725号(P5701725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5701725
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】内燃機関の流出燃料回収機構
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/00 20060101AFI20150326BHJP
   F02M 55/02 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   F02M37/00 331A
   F02M37/00 321
   F02M55/02 350U
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-203360(P2011-203360)
(22)【出願日】2011年9月16日
(65)【公開番号】特開2013-64351(P2013-64351A)
(43)【公開日】2013年4月11日
【審査請求日】2013年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033042
【氏名又は名称】ダイハツディーゼル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(72)【発明者】
【氏名】岡内 崇
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 豊
(72)【発明者】
【氏名】花本 健一
【審査官】 中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−195130(JP,A)
【文献】 特開2002−155829(JP,A)
【文献】 特開平8−144886(JP,A)
【文献】 特開2009−250115(JP,A)
【文献】 特開2002−155820(JP,A)
【文献】 特開2004−100709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00
F02M 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架構と、
上記架構に取り付けられたシリンダヘッドと、
上記シリンダヘッドを介して燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、
上記燃料噴射装置を覆うカバーと、
上記架構に取り付けられると共に、上記カバーとともに上記燃料噴射装置を覆うように配置され、かつ、上記燃料噴射装置から流出する流出燃料を回収する回収棚と
を備え、
上記架構には、上記燃料噴射装置から流出する少なくとも一部の上記流出燃料を導入する導入位置が設けられ、
上記回収棚は、
上記流出燃料を流す流路を内部に設けている本体部と、
上記流路に交差して上記本体部を上記架構に固定するボルトと
を有し、
上記ボルトの軸部の内部には、軸方向に沿った貫通路を設け、
この貫通路は、上記軸部の先端に開口する第1開口部と、上記軸部の側面に開口する第2開口部とを含み、
上記燃料噴射装置は、燃料噴射ポンプと、この燃料噴射ポンプから燃料噴射弁に燃料を供給する燃料高圧管とを有し、
上記回収棚の上記本体部の上記流路は、第1流路と第2流路とを含み、
上記ボルトは、上記第1流路および上記第2流路に交差し、
上記貫通路の上記第1開口部は、上記架構の上記導入位置に、連通する一方、
上記ボルトの上記貫通路の上記第2開口部は、上記第2流路に連通し、
上記第1流路には、上記燃料高圧管から漏れ出る上記流出燃料を導入する導入路が、連通して、上記第1流路には、上記燃料高圧管から漏れ出る上記流出燃料が、流れる一方、
上記架構の上記導入位置には、上記燃料噴射装置における上記燃料高圧管を除く他の部分から流出する上記流出燃料が、導入されて、上記第2流路には、上記ボルトを介して、上記燃料噴射装置の上記他の部分から流出する上記流出燃料が、流れ、
上記ボルトの軸部にはシール部材が装着され、
上記シール部材は、上記第1流路と上記第2流路との中間に位置していて、上記第1流路内の上記流出燃料と上記第2流路内の上記流出燃料とが互いに混流しないように、上記第1流路と上記第2流路との間をシールすることを特徴とする内燃機関の流出燃料回収機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、船舶等に用いられるディーゼルエンジン等の内燃機関の流出燃料回収機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関としては、架構と、上記架構に取り付けられたシリンダヘッドと、上記シリンダヘッドを介して燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置とを備えたものがある(特開2002−195130号公報:特許文献1参照)。
【0003】
ここで、船舶用の内燃機関において、燃料の高圧箇所には、漏油による飛散防止や火災防止のためのカバーや、漏油をタンクへ導く配管を設けることが、国際条約や国内法によって、求められている(500トン以上の外航船に搭載する350kw以上のエンジン)。
【0004】
そこで、上記従来の内燃機関では、燃料の高圧箇所となる上記燃料噴射装置を、カバーで覆っていた。また、このカバー内に、燃料高圧管用リーク管、燃料噴射弁用リーク管、燃料噴射ポンプ用リーク管や燃料のドレン管を設けて、このリーク管やドレン管によって漏油をタンクへ導いていた。つまり、上記従来の内燃機関では、カバー内に設けられたリーク管やドレン管が、流出燃料としての漏油を回収する機構を構成していた。
【0005】
しかしながら、上記従来の内燃機関の流出燃料回収機構では、上記カバー内に多くのリーク管やドレン管を収容していたので、カバーが大きくなって、流出燃料回収機構が大型化する問題があった。特に、小型の内燃機関において、カバーを大きくすることができず、リーク管やドレン管の配置に制約がある場合に、カバー内に全てのリーク管やドレン管を収める必要があり、不都合であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−195130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明の課題は、燃料噴射装置を覆うカバー内のリーク管やドレン管を、省略して、小型化を図ることができる内燃機関の流出燃料回収機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の内燃機関の流出燃料回収機構は、
架構と、
上記架構に取り付けられたシリンダヘッドと、
上記シリンダヘッドを介して燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、
上記燃料噴射装置を覆うカバーと、
上記架構に取り付けられると共に、上記カバーとともに上記燃料噴射装置を覆うように配置され、かつ、上記燃料噴射装置から流出する流出燃料を回収する回収棚と
を備え、
上記架構には、上記燃料噴射装置から流出する少なくとも一部の上記流出燃料を導入する導入位置が設けられ、
上記回収棚は、
上記流出燃料を流す流路を内部に設けている本体部と、
上記流路に交差して上記本体部を上記架構に固定するボルトと
を有し、
上記ボルトの軸部の内部には、軸方向に沿った貫通路を設け、
この貫通路は、上記軸部の先端に開口する第1開口部と、上記軸部の側面に開口する第2開口部とを含み、
上記燃料噴射装置は、燃料噴射ポンプと、この燃料噴射ポンプから燃料噴射弁に燃料を供給する燃料高圧管とを有し、
上記回収棚の上記本体部の上記流路は、第1流路と第2流路とを含み、
上記ボルトは、上記第1流路および上記第2流路に交差し、
上記貫通路の上記第1開口部は、上記架構の上記導入位置に、連通する一方、
上記ボルトの上記貫通路の上記第2開口部は、上記第2流路に連通し、
上記第1流路には、上記燃料高圧管から漏れ出る上記流出燃料を導入する導入路が、連通して、上記第1流路には、上記燃料高圧管から漏れ出る上記流出燃料が、流れる一方、
上記架構の上記導入位置には、上記燃料噴射装置における上記燃料高圧管を除く他の部分から流出する上記流出燃料が、導入されて、上記第2流路には、上記ボルトを介して、上記燃料噴射装置の上記他の部分から流出する上記流出燃料が、流れ、
上記ボルトの軸部にはシール部材が装着され、
上記シール部材は、上記第1流路と上記第2流路との中間に位置していて、上記第1流路内の上記流出燃料と上記第2流路内の上記流出燃料とが互いに混流しないように、上記第1流路と上記第2流路との間をシールすることを特徴としている。
【0009】
この発明の内燃機関の流出燃料回収機構によれば、上記回収棚は、内部に流路を設けている本体部と、内部に貫通路を設けているボルトとを有し、貫通路の第1開口部は、架構の導入位置に、連通する一方、貫通路の第2開口部は、ボルトが交差した少なくとも一部の流路に、連通するので、架構の導入位置は、ボルトを介して、ボルトが交差した少なくとも一部の流路に連通する。そして、燃料噴射装置から流出した少なくとも一部の流出燃料は、架構の導入位置に導かれ、ボルトの貫通路を通過して、回収棚の本体部の流路に回収される。
【0010】
このように、上記架構の導入位置に、流出燃料をボルトの貫通路に案内する機能をもたせ、上記本体部の流路および上記ボルトの貫通路に、燃料のリーク管や燃料のドレン管としての機能をもたせることができる。
【0011】
また、上記ボルトは、本体部を架構に固定する機能に加えて、流出燃料を流す機能を併せもつので、回収棚自体の大きさを小さくできる。
【0012】
したがって、上記カバーの内側のリーク管やドレン管を、省略して、カバーを小さくして、流出燃料回収機構をコンパクトにできる。特に、小型の内燃機関において、カバーを大きくすることができず、リーク管やドレン管の配置に制約がある場合に、カバー内に多くのリーク管やドレン管を収める必要がなくなって、好適となる。また、流出燃料回収機構をコンパクトにできるので、コストを削減でき、取り扱い性を改善できる。
【0013】
【0014】
また、上記第1流路には、燃料高圧管から漏れ出る流出燃料が、流れる一方、上記第2流路には、ボルトを介して、燃料噴射装置の他の部分から流出する流出燃料が、流れるので、燃料高圧管からの流出燃料と、その他の部分からの流出燃料(例えば、燃料噴射弁リーク、燃料噴射ポンプリーク、ドレン)とを分けることができる。これによって、燃料高圧管から燃料が漏れ出た場合に、この漏れ出た燃料のみを検知することができる。なお、燃料高圧管からの燃料漏れは、検知、警報が義務づけられている。
【発明の効果】
【0015】
この発明の内燃機関の流出燃料回収機構によれば、上記回収棚は、カバーとともに燃料噴射装置を覆うように配置され、回収棚は、内部に流路を設けている本体部と、内部に貫通路を設けているボルトとを有し、貫通路の第1開口部は、架構の導入位置に、連通する一方、貫通路の第2開口部は、ボルトが交差した少なくとも一部の流路に、連通するので、燃料噴射装置を覆うカバー内のリーク管やドレン管を、省略して、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の内燃機関の流出燃料回収機構の平面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3】第1ボルトの正面図である。
図4】第2ボルトの正面図である。
図5】流出燃料回収機構の平面方向から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0018】
図1は、この発明の内燃機関の流出燃料回収機構の一実施形態である平面図を示している。図2は、図1のA−A断面図を示している。この流出燃料回収機構は、船舶等に用いられるディーゼルエンジンに適用した例である。
【0019】
図1図2に示すように、流出燃料回収機構は、架構1と、上記架構1に取り付けられたシリンダヘッド2、燃料噴射装置3、カバー4および回収棚5とを有する。シリンダヘッド2は、燃焼室に燃料を供給する燃料噴射弁と、燃焼室に空気を吸入する吸気弁と、燃焼室から排気を排出する排気弁とを有する。シリンダヘッド2は、複数あり、複数のシリンダヘッド2は、一列に並んで配置されている。
【0020】
上記燃料噴射装置3は、上記シリンダヘッド2を介して燃料噴射弁から燃焼室に燃料を噴射する。燃料噴射装置3は、複数あり、各燃料噴射装置3は、各シリンダヘッド2に対応して配置されている。燃料噴射装置3は、燃料噴射ポンプ30と、この燃料噴射ポンプ30から燃料噴射弁に燃料を供給する燃料高圧管31とを有する。
【0021】
上記カバー4は、上記燃料噴射装置3を覆う。カバー4は、全ての燃料噴射装置3を覆っている。つまり、カバー4は、燃料噴射装置3を覆って、燃料噴射装置3から漏れ等により流出する流出燃料の飛散やそれによる火災を、防止する。
【0022】
上記回収棚5は、上記カバー4とともに燃料噴射装置3を覆うように、上記カバー4の下部に配置されている。回収棚5は、燃料噴射装置3から漏れや排出により流出する流出燃料を回収して、この流出燃料を図示しないタンクへ導く。つまり、回収棚5は、燃料噴射装置3からの流出燃料(漏油やドレン油)をタンクへ導く配管としての機能を有する。
【0023】
ここで、上記カバー4および上記回収棚5を燃料の高圧箇所となる燃料噴射装置3に設ける等によって、漏油の飛散やそれによる火災を防止する措置をとることは、船舶用の内燃機関(500トン以上の外航船に搭載する350kw以上のエンジン)において、国際条約や国内法によって、求められている。
【0024】
上記回収棚5は、ブロック状の本体部50と、この本体部50を架構1に固定するボルト61,62とを有する。本体部50の内部には、燃料噴射装置3からの流出燃料を図示しないタンクに流す流路51,52を、設けている。ボルト61,62は、上記流路51,52に貫通状に交差している。
【0025】
上記ボルト61,62と上記流路51,52との交差箇所において、ボルト61,62は、流路51,52内に位置し、ボルト61,62の外面と流路51,52の内面との間に隙間を有し、ボルト61,62は、流路51,52を完全に塞いでおらず、燃料噴射装置3からの流出燃料は、流路51,52を流れる。
【0026】
上記流路は、第1流路51と第2流路52とを含む。第1流路51と第2流路52とは、平行に配列されている。第1流路51の一端および第2流路52の一端は、図示しないタンクに連通する接続ブロック55に接続されている。第1流路51は、第2流路52よりも短い。第1流路51は、接続ブロック55からドレン用凹部10に対向する位置まで、延在している。第2流路52は、接続ブロック55から、接続ブロック55から最も離れた位置に配置されたシリンダヘッド2に対向する位置まで、延在している。
【0027】
上記ボルトは、第1ボルト61と第2ボルト62とを含む。第1ボルト61は、上記第1流路51および上記第2流路52に交差する。第2ボルト62は、上記第2流路52に交差する。第1ボルト61は、一つあり、接続ブロック55に最も近い位置に配置されている。第2ボルト62は、複数あり、各第2ボルト62は、各シリンダヘッド2に対向して配置されている。
【0028】
上記第1ボルト61の先端は、架構1を貫通して、架構1に設けられたドレン用凹部10内に位置している。燃料噴射装置3が設置される架構1の設置面は、受け皿状になっており、その端の最も低い位置に、ドレン用凹部10が設けられている。これによって、ドレン用凹部10には、全ての燃料噴射装置3の表面から漏れ出した燃料や、メンテ時に燃料噴射装置3を開放して流出した燃料などが、ドレンとして、導入される。
【0029】
上記第2ボルト62の先端は、架構1を貫通して、架構1に設けられたリーク用流路11内に位置している。リーク用流路11は、各シリンダの燃料噴射装置3に対応して、架構1の内部に設けられている。これによって、リーク用流路11には、各シリンダの燃料噴射装置3からリーク燃料として流出する流出燃料が導入される。具体的に述べると、リーク用流路11には、燃料噴射弁からは、ノズルから燃焼室に噴射されなかった余剰燃料と、燃料噴射ポンプ30からは、プランジャとバレルとの隙間から漏れ出る燃料油とプランジャへ給油した潤滑油との混合油とが、リーク燃料として、導入される。
【0030】
上記ドレン用凹部10および上記リーク用流路11は、燃料噴射装置3における燃料高圧管31を除く他の部分から流出する流出燃料が導入される導入位置である。一方、燃料噴射ポンプ30から燃料噴射弁に至る間の燃料高圧管31は、管状またはブロック状でかつ二重構造となっており、内側(主管)に高圧燃料油の漏れがあった場合には、流出燃料は、外側(管)を経由して、導入路32に、導入される。導入路32は、第1流路51の接続ブロック55と反対側の端部に、連通している。この導入路32は、配管にて構成される。
【0031】
図3に示すように、上記第1ボルト61は、軸部75と、この軸部75に取り付けられた頭部76とを有する。軸部75の先端には、ネジ溝75aが設けられ、このネジ溝75aは、架構1に螺合する。
【0032】
上記軸部75の内部には、軸方向に沿った貫通路70を設けている。この貫通路70は、軸部75の先端に開口する第1開口部71と、軸部75の側面に開口する第2開口部72とを含む。軸部75には、ネジ溝75aと第2開口部72との間に、周溝75bが設けられ、この周溝75bに、Oリング等のシール部材77が嵌め込まれる。
【0033】
図4に示すように、上記第2ボルト62は、軸部85と、この軸部85に取り付けられた頭部86とを有する。軸部85の先端には、ネジ溝85aが設けられ、このネジ溝85aは、架構1に螺合する。
【0034】
上記軸部85の内部には、軸方向に沿った貫通路80を設けている。この貫通路80は、軸部85の先端に開口する第1開口部81と、軸部85の側面に開口する第2開口部82とを含む。
【0035】
図5に示すように、上記第1ボルト61において、第1開口部71は、架構1のドレン用凹部10に、連通する一方、第2開口部72は、第2流路52に連通する。第1ボルト61の軸部75に装着されたシール部材77は、第1流路51と第2流路52の中間に位置していて、相互の流出燃料が混流しないように、シールしている。
【0036】
上記第2ボルト62において、第1開口部81は、架構1のリーク用流路11に、連通する一方、第2開口部82は、第2流路52に連通する。
【0037】
そして、上記第1流路51には、燃料高圧管31から漏れ出る流出燃料を導入する導入路32が、連通しており、第1流路51には、点線の矢印に示すように、燃料高圧管31から漏れ出る流出燃料が、流れ、その後、この流出燃料は、接続ブロック55を介して、図示しない第1のタンクへ流れる。したがって、燃料高圧管31から漏れ出た流出燃料のみを、この第1のタンクに取り付けたスイッチ等で検知・警報することができる。
【0038】
一方、上記ドレン用凹部10には、全ての燃料噴射装置3からドレン油として流出する流出燃料が導入され、この流出燃料は、実線の矢印に示すように、第1ボルト61の第1開口部71から貫通路70を通って第2開口部72から第2流路52に流れ、その後、接続ブロック55を介して、図示しない第2のタンクへ流れる。
【0039】
また、上記リーク用流路11には、各シリンダの燃料噴射装置3からリーク燃料として流出する流出燃料が導入され、この流出燃料は、実線の矢印に示すように、第2ボルト62の第1開口部81から貫通路80を通って第2開口部82から第2流路52に流れ、その後、接続ブロック55を介して、第2のタンクへ流れる。
【0040】
上記構成の内燃機関の流出燃料回収機構によれば、上記回収棚5は、内部に第1、第2流路51,52を設けている本体部50と、内部に貫通路70,80を設けている第1、第2ボルト61,62とを有し、各ボルト61,62の第1開口部71,81は、架構1の導入位置としてのドレン用凹部10およびリーク用流路11に、連通する一方、各ボルト61,62の第2開口部72,82は、各ボルト61,62が交差した第2流路52に、連通するので、架構1の導入位置10,11は、ボルト61,62を介して、第2流路52に連通する。そして、燃料噴射装置3から流出した少なくとも一部の流出燃料は、架構1の導入位置10,11に導かれ、ボルト61,62の貫通路70,80を通過して、回収棚5の本体部50の第2流路52に回収される。
【0041】
このように、上記架構1の導入位置10,11に、流出燃料をボルト61,62の貫通路70,80に案内する機能をもたせ、上記本体部50の流路51,52および上記ボルト61,62の貫通路70,80に、燃料のリーク管や燃料のドレン管としての機能をもたせることができる。
【0042】
また、上記ボルト61,62は、本体部50を架構1に固定する機能に加えて、流出燃料を流す機能を併せもつので、回収棚5自体の大きさを小さくできる。
【0043】
また、上記回収棚5は、カバー4とともに燃料噴射装置3を覆うように配置されるので、カバー4にて回収棚5を覆う必要がなくて、カバー4を小さくできる。
【0044】
したがって、上記カバー4の内側のリーク管やドレン管を、省略して、カバー4を小さくして、流出燃料回収機構をコンパクトにできる。特に、小型の内燃機関において、カバー4を大きくすることができず、リーク管やドレン管の配置に制約がある場合に、カバー4内に全てのリーク管やドレン管を収める必要がなくなって、好適となる。また、流出燃料回収機構をコンパクトにできるので、コストを削減でき、取り扱い性を改善できる。
【0045】
また、上記第1流路51には、燃料高圧管31から漏れ出る流出燃料が、流れる一方、上記第2流路52には、第1、第2ボルト61,62を介して、燃料噴射装置3の他の部分から流出する流出燃料が、流れるので、燃料高圧管31からの流出燃料と、その他の部分からの流出燃料とを分けることができる。これによって、燃料高圧管31から燃料が漏れ出た場合に、この漏れ出た燃料のみを検知することができる。
【0046】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、シリンダヘッドおよび燃料噴射装置の数量の増減は、自由である。また、カバーおよび回収棚を、一つの部材からなる一体構造でなく、複数の部材からなる分割構造としてもよい。
【0047】
また、回収棚の本体部の流路の数量の増減は、自由である。ボルトの数量の増減は、自由である。この場合、ボルトの貫通路の第2開口部は、ボルトが交差した少なくとも一部の流路に、連通する。
【0048】
また、燃料高圧管から漏れ出る流出燃料を導入する導入路を、架構に設け、この架構に設けた導入路を、第1流路に連通してもよい。また、上記実施形態では、ドレン用凹部を、架構の端部に設けていたが、他の位置(例えば、架構の真ん中)に設けてもよく、この場合、リーク用流路と第1流路と第2流路とを貫通するボルトには、第1ボルトを用いる。
【符号の説明】
【0049】
1 架構
2 シリンダヘッド
3 燃料噴射装置
4 カバー
5 回収棚
10 ドレン用凹部(導入位置)
11 リーク用流路(導入位置)
30 燃料噴射ポンプ
31 燃料高圧管
32 導入路
50 本体部
51 第1流路
52 第2流路
61 第1ボルト
62 第2ボルト
70,80 貫通路
71,81 第1開口部
72,82 第2開口部
75,85 軸部
76,86 頭部
図1
図2
図3
図4
図5