特許第5701738号(P5701738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5701738
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】加湿機
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/06 20060101AFI20150326BHJP
【FI】
   F24F6/06
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-278961(P2011-278961)
(22)【出願日】2011年12月20日
(62)【分割の表示】特願2008-159357(P2008-159357)の分割
【原出願日】2007年5月28日
(65)【公開番号】特開2012-57940(P2012-57940A)
(43)【公開日】2012年3月22日
【審査請求日】2011年12月20日
【審判番号】不服2014-1795(P2014-1795/J1)
【審判請求日】2014年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山下 哲也
(72)【発明者】
【氏名】長尾 光久
【合議体】
【審判長】 紀本 孝
【審判官】 鳥居 稔
【審判官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−67947(JP,U)
【文献】 特開平2−225925(JP,A)
【文献】 特開2003−130401(JP,A)
【文献】 特表平10−502440(JP,A)
【文献】 実開昭55−157634(JP,U)
【文献】 特開2005−274096(JP,A)
【文献】 実開昭63−120024(JP,U)
【文献】 実開昭64−16534(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/00,6/00
B01D 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯める貯水容器(40)と、
円板状に成形され、その円板面に送られてくる前記貯水容器(40)の水を前記円板面で気化させる回転式の気化部材(41)と、
前記気化部材(41)を回転させる駆動部(43)と、
前記貯水容器(40)、前記気化部材(41)および前記駆動部(43)を収納する本体(10)と、
を備え、
前記本体(10)内において、前記気化部材(41)の外周は、2つの回転体(423,431)で支持されており、
2つの前記回転体(423,431)は、前記気化部材(41)の回転軸よりも下方に位置し、且つ前記気化部材(41)の鉛直中心線を挟んで互いに反対側に位置し、
前記気化部材(41)は、前記本体(10)から前記回転軸と直交する方向に引き出される、
加湿機(1)。
【請求項2】
前記気化部材(41)は、外周に、前記駆動部(43)からの回転力が伝達される第1歯車(411)を有し、
2つの前記回転体(423,431)の一方は、前記第1歯車(411)と噛み合う駆動歯車(431)であり、前記駆動部(43)に設けられている、
請求項1に記載の加湿機(1)。
【請求項3】
前記駆動歯車(431)は、前記気化部材(41)が前記本体(10)から引き出されるときの引き出し側とは反対側に位置する、
請求項2に記載の加湿機(1)。
【請求項4】
前記気化部材(41)が、不織布で成形されている、
請求項1に記載の加湿機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿機、特に、所定部材に水を含ませて気化させる加湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回転部材に水を含ませて気化させる加湿機が広く普及している。例えば、特許文献1(特開2006−220390号公報)に記載の加湿機は、外形が円板状を成す気化素子の一部を貯水容器内の水中に浸水させ、回転させながら水を気化素子に含ませると共に、その水を気化させて加湿している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の加湿機では、気化素子を回転させるモータの回転軸が気化素子の回転中心部分に挿入されており、気化素子を加湿機から取り外すためには、モータの回転軸を気化素子から分離する手間が必要であり、気化素子のメンテナンス性を低下させている。
【0004】
本発明の課題は、本体から気化素子を容易に取り出すことができる加湿機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る加湿機は、水を貯める貯水容器と、円板状に成形され、その円板面に送られてくる貯水容器の水をその円板面で気化させる回転式の気化部材と、気化部材を回転させる駆動部と、貯水容器、気化部材および駆動部を収納する本体とを備えている。本体内において、気化部材の外周は2つの回転体で支持されている。2つの回転体は、気化部材の回転軸よりも下方に位置し、気化部材の鉛直中心線を挟んで互いに反対側に位置している。また、気化部材は、本体から回転軸と直交する方向に引き出される。
【0006】
この加湿機では、気化部材は、機械的な回転軸が無くても回転可能に保持されるので、軸などの突出部を無くした平坦な形状が許容され、厚み寸法が小さくなり、本体からの気化部材の取り出し、及び本体への収納が容易である。
【0007】
本発明の第2観点に係る加湿機は、第1観点に係る加湿機であって、気化部材は、外周に、駆動部からの回転力が伝達される第1歯車を有している。2つの回転体の一方は、第1歯車と噛み合う駆動歯車であり、駆動部に設けられている。
【0008】
この加湿機では、気化部材の回転軸を直接回転させる必要がないので、気化部材は機械的な回転軸を持つ必要がなく、本体からの気化部材の取り出し、及び本体への収納が容易である。また、気化部材を回転させるために必要なトルクが、気化部材の回転軸を直接回転させるものよりも小さくなるので、駆動部及び第1歯車に作用する負荷が軽減され、駆動部及び第1歯車の長寿命化が図られる。
【0009】
本発明の第3観点に係る加湿機は、第2観点に係る加湿機であって、駆動歯車が、気化部材が本体から引き出されるときの引き出し側とは反対側に位置している。この加湿機では、気化部材が引き出されるときに、駆動歯車が邪魔にならない。
【0010】
本発明の第4観点に係る加湿機は、第1観点に係る加湿機であって、気化部材が、不織布で成形されている。この加湿機では、吸水性が高いので、水をより多く吸水して蒸発させることができ、加湿性能が向上する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1観点に係る加湿機では、気化部材は、機械的な回転軸が無くても回転可能に保持されるので、軸などの突出部を無くした平坦な形状が許容され、厚み寸法が小さくなり、本体からの気化部材の取り出し、及び本体への収納が容易である。
【0012】
本発明の第2観点に係る加湿機では、気化部材の回転軸を直接回転させる必要がないので、気化部材は機械的な回転軸を持つ必要がなく、本体からの気化部材の取り出し、及び本体への収納が容易である。また、気化部材を回転させるために必要なトルクが、気化部材の回転軸を直接回転させるものよりも小さくなるので、駆動部及び第1歯車に作用する負荷が軽減され、駆動部及び第1歯車の長寿命化が図られる。
【0013】
本発明の第3観点に係る加湿機では、気化部材が引き出されるときに、駆動歯車が邪魔にならない。
【0014】
本発明の第4観点に係る加湿機では、吸水性が高いので、水をより多く吸水して蒸発させることができ、加湿性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る加湿機の斜視図。
図2】除湿ユニット及び加湿ユニットの斜視図。
図3】除湿ユニットの斜視図。
図4】除湿ユニットをヒータ側から視た正面図。
図5】加湿ユニットの斜視図。
図6図5の空気流れの下流側から視た加湿ユニットの斜視図。
図7】水車の分解斜視図。
図8】除湿ユニットと加湿ユニットとが組み合わされた状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
<加湿機の構成>
本発明の一実施形態に係る加湿機は、加湿機能、除湿機能及び空気清浄機能を有しており、加湿運転時は加湿機として、除湿運転時は除湿機として、空気清浄運転時は空気清浄機として働く。また、本実施形態では、単一機能だけでなく、同時に複数の機能を組合せて稼働させることができる。例えば、空気清浄機能と除湿機能との組合せ、空気清浄機能と加湿機能との組合せ、及び除湿機能と加湿機能との組合せである。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る加湿機の斜視図である。図1において、加湿機1では、送風機2、除湿ユニット3、加湿ユニット4、空気清浄部5及び制御部6が、本体10に収納されている。本実施形態では、ユーザーが容易に加湿機1を移動させることができるように、本体10の下面(室内の床面と対向する面)に、キャスター(図示せず)が設けられている。
【0019】
送風機2は、本体10に対して空気清浄部5と反対側に位置しており、空気清浄部5側から視たとき、空気清浄部5、除湿ユニット3、加湿ユニット4、送風機2の順で並んでいる。送風機2が稼働しているとき、空気が空気清浄部5側から吸い込まれて、除湿ユニット3を通過した後に加湿ユニット4を通過し送風機2に至る空気路Aが形成される。制御部6は、本体10の上部に配置されおり、空気清浄部5、除湿ユニット3、加湿ユニット4及び送風機2を個別に制御することができる。
【0020】
図2は、除湿ユニット及び加湿ユニットの斜視図である。図2において、手前側に位置するのが除湿ユニット3であり、奥側に位置するのが加湿ユニット4である。図1図2において、加湿ユニット4の構成部品である貯水容器40、気化素子41及び水車42が加湿ユニット4から飛び出しているが、正規状態では加湿ユニット4の所定位置に配置されている。
【0021】
<除湿ユニット>
図3は、除湿ユニットの斜視図である。図3において、除湿ユニット3は、吸着素子31、ヒータ32、第2送風機33、送風管34及び熱交換部35を有している。吸着素子31は、ハニカム構造体であり、ゼオライト粉末、バインダー及び膨張剤を混合して練り上げた材料によって円板状で多孔質に成形されている。バインダーは、例えば、変性PPE、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂から選択される。膨張剤は、ハニカム構造体の成形時に膨張し無数の気泡を形成する。このため、吸着素子31は、水分に対して高い吸着性を有している。
【0022】
ヒータ32は、空気流路Aに対して吸着素子31の下流側の側面と対向する場所に配置されており、吸着素子31の側面の6分の1程度を覆うことができる扇形の取付部材によって取り付けられている。
【0023】
第2送風機33は、吸着素子31の上方から空気流路Aに対して吸着素子31の下流側へ突出するように取り付けられている。ヒータ32と第2送風機33とは空気の流通ができるように第1送風管34aによって連絡されている。第2送風機33の稼働によって発生する空気は、第1送風管34aを通ってヒータ32に至り、そこで加熱されて高温空気となる。
【0024】
送風管34は、第1送風管34a、第2送風管34b、第3送風管34c及び第4送風管34dから成る。ヒータ32によって加熱された高温空気は、対向する吸着素子31の側面から吸着素子31の厚み方向に沿って進み、反対側の側面から出てくる。吸着素子31の高温空気が通過した領域は、高温空気に加熱されて水分を高温空気へ放出する。
【0025】
吸着素子31を通過した高温空気は、高温高湿空気となって第2送風管34bに入る。第2送風管34bは、吸着素子31を通過してきた高温高湿空気を完全に回収できるように、空気流路Aに対して吸着素子31の上流側の側面を覆うように配置されている。第2送風管34bは、外形が扇形であって、側面の6分の1程度を覆っている。
【0026】
第3送風管34cは、第2送風管34bから流れてくる高温高湿空気を、吸着素子31の径方向外側の外周に沿って流す。第3送風管34cには、空気流路Aと同じ方向に貫通する複数の長孔35aが設けられており、空気流路Aを流れる空気がその長孔35aを通過する。第3送風管34cを流れる高温高湿空気は、長孔35aの壁面に接触しながら流れているので、長孔35aを通過する空気は、高温高湿空気から熱量を奪う。このため、長孔35aの壁面に接触した高温高湿空気は冷却され、長孔35aの壁面は結露する。結露水は、所定の出口を通過して後述の貯水容器40へ入る。
【0027】
第4送風管34dは、第3送風管34cと第2送風機33とを連絡している。第3送風管34cを流れる高温高湿空気は、複数の長孔35aの壁面に接触して熱量と水分を奪われた後に、第4送風管34dを通って第2送風機33に吸い込まれる。
【0028】
長孔35aは、吸着素子31の径方向外側を囲むように設けられており、複数の長孔35aが熱交換部35を形成している。除湿ユニット3は、厚み方向の寸法がほぼ同じ値に設定された平坦領域3aが形成されており、第3送風管34cと熱交換部35とは、この平坦領域3aに含まれる。
【0029】
図4は、除湿ユニットをヒータ側から視た正面図である。図4において、除湿ユニット3は、駆動モータ36をさらに有している。駆動モータ36は、ピニオン歯車361を有しており、吸着素子31の外周には、ピニオン歯車361と噛み合う従動歯車311が設けられている。駆動モータ36が稼働している間、吸着素子31は回転しており、空気流路Aを通過する空気と接触して水分を吸着し、ヒータ32と対向する位置でその水分を放出し、再び空気流路Aを通過する空気と接触する。このため、吸着素子31は、水分の吸着と放出を繰り返すことができる。
【0030】
図1において、本体10の最上面には、空気清浄運転、除湿運転および加湿運転を選択する選択パネル11が設けられており、制御部6と接続されている。選択パネル11には、吸着素子31の回転と停止とを選択できる選択ボタン37が含まれており、除湿運転時に選択ボタン37をオフにすると、吸着素子31の回転が停止し、除湿されなくなる。このとき、ヒータ32と第2送風機33は稼働しているので、高温空気は送風管34内を循環する。このため、空気流路Aを流れる空気は、熱交換部35を通過するときに暖められるので、小規模な暖房が行なわれる。このときに加湿ユニット4を同時に稼働させることによって、暖房加湿運転が行なわれる。なお、本実施形態では、制御部6に予め暖房加湿運転モードが設定されており、選択パネル11から暖房加湿運転を選択できるようにしている。
【0031】
<加湿ユニット>
図5は、加湿ユニットの斜視図である。図5において、加湿ユニット4は、貯水容器40、気化素子41、水車42及び駆動部43を有している。貯水容器40は、空気流路Aを通る空気に与える水分の水源であり、本体10に脱着可能に収納されている。貯水容器40内の水が不足している場合は、ユーザーによって本体10の引き出し口から引き出されて、水が補充される。なお、本実施形態の加湿機においては、除湿ユニット3で捕獲された水を貯水容器40に貯めて、水の補充の回数を低減している。
【0032】
気化素子41は、不織布で円板状に成形され、回転することによって貯水容器40から送られてくる水を蒸発させる気化部材である。気化素子41は外周に第1歯車411を有しており、第1歯車411は駆動部43によって回転する。気化素子41は、貯水容器40の満水時の水位よりも上方に配置されているので、貯水容器40内の水とは直接接触していない。
【0033】
図6は、図5の空気流れの下流側から視た加湿ユニットの斜視図である。図6において、水車42は、貯水容器40に回転可能に支持されており、貯水容器40内の水を汲み上げて気化素子41に向って放出する。加湿ユニット4の厚み方向の寸法を小さくするため、気化素子41と水車42は、回転の軸を並行にし、互いに近接して対向している。
【0034】
したがって、水車42は側面で水を汲み上げ、側面から気化素子41の側面に向って放出する必要があり、水車42の側面の外周近傍には、台形上の開口を有する複数の凹部421aが設けられている。
【0035】
図7は、水車の分解斜視図である。図7において、水車42は、車輪421、車輪カバー422及び第2歯車423から成る。車輪421には、一方の側面から反対側の側面に向って窪んだ複数の凹部421aが円周を描くように形成されている。そして、凹部421aの開口側を覆うように、車輪421に車輪カバー422が組み合わされている。
【0036】
車輪カバー422には、台形上の孔422aが車輪421の凹部421aと対向する位置に円周を描くように形成されている。孔422aの大きさは、凹部421aの開口の半分程度であるので、車輪421に車輪カバー422が組み合わされたとき、凹部421aの開口の半分程度が開いた状態となる。
【0037】
第2歯車423は、気化素子41の第1歯車411と噛み合う歯車であり、回転の中心には、車輪421、車輪カバー422および第2歯車423が共有する回転軸424が設けられている。回転軸424を同軸として、第2歯車423、車輪カバー422、車輪421が順に重ねて組み合わされている。
【0038】
水車42は、回転することによって、凹部421aが順番に貯水容器40の水中を通過して上昇してくる。凹部421aが浸水したとき、孔422aから凹部421aの内部へ水が入るので、水中から出てきた凹部421aの内部は水で満たされている。
【0039】
凹部421aが最上位置に近づくにしたがって、凹部421a内の水は孔422aから流出し、最上位置を通過したときにほぼ全ての水が流出する。水は、流出する際に重力によってある程度の勢いが付加されているので、凹部421aと近接している気化素子41の側面に向って流出する。
【0040】
図6において、回転軸424は、貯水容器40の軸受40aに回転可能に支持されており、貯水容器40の底面から軸受40aの軸芯までの高さは、水車42が配置されたときに貯水容器40が最低水位のときであっても、水車42の最下位置にある凹部421aが水没するように設定されている。
【0041】
また、軸受40aは、上半分が開いているので、貯水容器40が本体10から引き出されたときに、ユーザーは水車42を貯水容器40から取り出して洗浄することができる。
【0042】
図8は、除湿ユニットと加湿ユニットとが組み合わされた状態の斜視図である。図8において、加湿ユニット4は、除湿ユニット3の第2送風機33の下方に、重なるように配置されている。加湿ユニット4の気化素子41は、除湿ユニット3の吸着素子31及び図8では不可視の熱交換部35と対向している。そして、水車42は、気化素子41と熱交換部35とで挟まれるように配置されている。
【0043】
図1で示したように、貯水容器40は、引き出し式の第1扉10aを引き出すことによって本体10の引き出し口12から取り出すことができ、気化素子41は、回転式の第2扉10bを開けることによって、本体10の取り出し口13から取り出すことができる。これによって、ユーザーは、貯水容器40を取り出して、水の補給および水車42の洗浄を行うことができ、気化素子41を取り出して交換することもできる。
【0044】
なお、貯水容器40内の水の過不足は、第1扉10aに設けられた窓部10cから目視によって確認することができる。本実施形態では、窓部10cは矩形状の孔であり、この孔に貯水容器40に予め形成されている凸部40c(図6参照)が嵌合している。ユーザーは、窓部10cの孔から凸部40cに映る水位を目視することができる。
【0045】
図5図6で示すように、気化素子41は、本体10からの取り出しを容易にするために、回転軸を突出させない形状に成形されている。このため、気化素子41は、第1歯車411が駆動歯車431及び第2歯車423と噛み合うことによって支持されている。第1歯車411が、安定した姿勢を維持するために、駆動歯車431及び第2歯車423は、第1歯車411の回転軸よりも下方に位置し、且つ気化素子41の鉛直中心線に対して互いに反対側に位置している。このため、気化素子41は、軸支持されていなくても、安定して回転することができ、本体10から取り出されるときには、突出する軸がないので、本体10内部に引っ掛かることなく容易に取り出される。
【0046】
貯水容器40を本体10から取り出したときに、気化素子41から落下してくる水をどう処理するかが問題となる。本実施形態では、図8に示すように、気化素子41の下方に、水受け容器44が設けられている。水受け容器44は、支持枠4bの下方に遥動可能に支持されており、遥動の中心となる遥動軸44bに対して気化素子41側には、水を下方に流すための注ぎ口44aを有し、遥動軸44bに対して駆動部43側には、水を一時的に貯える予備容器44cを有している。
【0047】
水受け容器44は、気化素子41が正規位置にあるときは、注ぎ口44aを下方に向けて水を貯水容器40に流し、気化素子41が取り出されたときは、注ぎ口44aを上方に向けて、気化素子41から落下してきた水を予備容器44cに貯めている。
【0048】
<特徴>
(1)
加湿機1では、気化素子41が貯水容器40の水面から離れており、水車42の稼働を停止すれば水が気化素子41へ移動しないので、加湿を確実に停止させることができる。
われる。
【0049】
(2)
加湿機1では、複数の凹部421aが水車42の側面に設けられており、水車42の側面と気化素子41の側面とが近接して対向しているので、厚み方向の寸法が小さい。また、気化素子41は本体10に回転可能に収納されており、駆動部43が水車42と気化素子41とを同時に回転させるので、部品が共有され部品点数が低減されている。
【0050】
(3)
加湿機1では、駆動歯車431および第2歯車423の回転中心が第1歯車411の回転中心よりも下方に位置し、駆動歯車431と第2歯車423とが第1歯車411の鉛直中心線に対して互いに反対側に位置している。このため、気化素子41は回転軸を支持されなくても回転可能に保持され、軸などの突出部を無くした平坦な形状となり、厚み寸法が小さい。
【0051】
(4)
加湿機1では、貯水容器40が本体10から取り出されるときに、水車42が貯水容器40と共に取り出されるので、貯水容器40、水車42の清掃が容易である。また、気化素子41が本体10から取り出されるときの取り出し口13と、貯水容器40および水車42が本体10から取り出されるときの引き出し口12とが異なるので、気化素子41だけの取り出しが可能となり、清掃、交換等のメンテナンス作業の実施が容易である。
【0052】
(5)
加湿機1では、水受け容器44が、貯水容器40と気化素子41との間に遥動可能に配置され、気化素子41から落下する水を受ける。水受け容器44の注ぎ口44aは、貯水容器40が本体10に収納されているときは、下方へ傾けられ、貯水容器40が本体10から取り出されたときは、上方へ傾けられる。このため、貯水容器40を取り出した後に気化素子41から水の落下があっても、本体内部にその水が落下することがないので、本体内部が濡れて汚れることがない。
【0053】
<他の実施形態>
上述の実施形態に記載した以外の、水車から気化素子への水の移送機構として、水車の側面に水を汲み上げる水汲み用バケットを設け、気化素子の側面に汲み上げられた水を受ける水受け用バケットを設ける、という機構でもよい。
【0054】
また、水車および気化素子の外周に水を吸収する水吸収部材を貼り付け、水車の外周と気化素子の外周とを面接触させる、という機構でもよい。
【0055】
一方、水車を採用しない方法として、気化素子から汲み上げ用のバケットを吊るし、気化素子が1回転する間にバケットが貯水容器の水を汲み上げて気化素子に水をかける、という機構でもよい。
【0056】
また、貯水容器内の水を吸い込んで気化素子に向って水を吐き出すポンプを採用してもよい。例えば、歯車ポンプ、インペラポンプ、アルキメデスポンプ、サイホン式のポンプなどがある。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明によれば、加湿運転停止時には確実に加湿作用が停止し、水の自然消費が抑制される。このため、貯水容器が小型化され加湿機も小型になるので、卓上の多機能加湿機として有用である。
【符号の説明】
【0058】
1 加湿機
10 本体
40 貯水容器
41 気化素子(気化部材)
43 駆動部
411 第1歯車
423 第2歯車
431 駆動歯車
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2006−220390号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8