【実施例】
【0036】
(実施例1)
無細胞マトリックス接着剤の製剤プロセス
6800 Freezer Mill(SPEX CertiPrep、ニュージャージー州Metuchen所在)を用いて、Advanced UroScience(ミネソタ州St.Paul所在)が商品名DermMatrixで市販する無細胞ブタ真皮マトリックスをミリングして微粉末にした。無細胞真皮マトリックス粉末1.0グラムを、ポリプロピレン試験管内の水溶液10mL(グリセロール7%及び酢酸1.3%含有)に加えた。この試験管を80℃の水槽に入れ、磁気攪拌した。80℃で3時間培養した後、接着剤は不透明になった。接着剤を水槽から取り出し、37℃まで冷却させてから使用した。このプロセスは、
図1に図示されている。
【0037】
(実施例2)
無細胞ブタ真皮マトリックスの薄層の調製
Advanced UroScience(ミネソタ州St.Paul所在)が商品名DermMatrixで市販する無細胞ブタ真皮マトリックスを、革分割機を使用して薄層に分割(ペンシルベニア州Columbia所在のColumbia Organ Leatherが実施)し、プロトタイプ製剤とした。この無細胞ブタ真皮マトリックスは、IPAに24時間浸してから分割された。8cm×8cm四方の無細胞ブタ真皮マトリックスを分割機に供給し、0.19mm〜0.10mmの範囲の最終厚に分割した。分割後、無細胞ブタ真皮マトリックスシートをIPAに保管し、使用のための準備ができるまで更に処理した。このプロセスを、全ての無細胞ブタ真皮マトリックスの試料に繰り返した。
【0038】
(実施例3)
強化無細胞ブタ真皮マトリックスの調製
メッシュ強化無細胞真皮マトリックスの調製プロセスは、
図1に示されている。実施例2で調製された分割された無細胞真皮マトリックスの試料を、脱イオン水で洗浄してから20℃で凍結乾燥した。Ultraproメッシュ(Ethicon Inc.、ニュージャージー州Somerville所在)を50℃で10日間、脱イオン水中で培養して吸収性成分を取り除き、軽量のポリプロピレンメッシュを調整した。この軽量のポリプロピレンメッシュを3×5cmの分割された無細胞真皮マトリックスの2層の間に配置し、37℃に維持された実施例1で調整された無細胞マトリックス接着剤3mLを用いて共に接着した。この構築物全体を室温に冷却し、細胞培養フッド内で空気乾燥した。
【0039】
(実施例4)
メッシュ強化無細胞ブタ真皮マトリックスの安定化処理
実施例3に記述されているように調整された強化無細胞ブタ真皮マトリックスを、100mLのエタノールリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液(エタノール40%)で30分間洗浄した。次いで、洗浄された強化無細胞真皮マトリックスを、(調製された新鮮な)エタノールPBS中で、10mg/mLの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)50mLに移し入れた。室温で4時間培養後、架橋された強化無細胞マトリックスを、水中6重量%のグリセロールで2度洗浄した。架橋された強化無細胞マトリックスを空気乾燥した。
【0040】
(実施例5)
SEMによるメッシュ強化無細胞真皮マトリックスの評価
実施例4で調製した試料を顕微鏡のスタッドに装着し、EMS 550スパッタコーター(Electron Microscopy Sciences、ペンシルベニア州Hatfield所在))を用いて金の薄層をコーティングした。SEM解析は、JEOL JSM−5900LV SEM(JEOL、東京、日本所在)を用いて行った。各試料に関して、表面及び断面を調べた。SEM画像(
図2を参照)は、無細胞真皮マトリックスの2つの薄層の中央にメッシュが埋め込まれているのを示している。
【0041】
(実施例6)
動物のヘルニア修復モデル
ブタのモデルを使用し、被検体に従来の方法で麻酔を施して手術の準備をする。正中切開は臍孔に対して上/頭及び/又は下/尾に入れる。腹側正中切開は皮膚から皮下の組織にかけて入れて、正中/白線の腹壁筋膜を露出する。長さ約3cmの臍孔の頭及び尾の2つの中央値の欠陥を白線に作り、前腹膜脂肪組織及び腹膜を露出する。メッシュ強化無細胞マトリックスをおよそのサイズにトリムし、PROLENE定着縫合糸サイズ3−0(Ethicon,Inc.、ニュージャージー州Somerville所在)と共に腹壁筋膜上に平らに配備する。皮下組織及び皮膚をMonocryl縫合糸サイズUSP3−0単糸で閉じる。更に、早期の創傷汚染を防ぐために局所皮膚接着剤で接着する。
【0042】
(実施例7)
強化無細胞マトリックスを用いた切開式ヒトヘルニア修復
ヒト患者を、切開式ヘルニア修復手術のために従来の方法で準備する。従来の方法で全身麻酔を与えるが、ヘルニアの位置及び修復の複雑さによっては、所望により、患者は従来の局所又は部分麻酔を受ける場合がある。所望により、カテーテルを膀胱に挿入して尿を取り除き、膀胱を収縮させる。
【0043】
ヘルニアの近くの腹壁から脂肪及び瘢痕組織を取り除くために、ぎりぎりの大きさの切開を入れる。弱まったヘルニアエリアの外縁を画定し、そのエリアから余分な組織を取り除く。次いで、本発明の強化無細胞マトリックスを、その弱まったエリアの周囲全方向に数センチメートル(インチ)外側まで重なるように適用し、非吸収性縫合糸で固定する。次いで、腹壁を近寄せ、非吸収性縫合糸で閉じる。縫合糸を結び、ノットにする。
【0044】
合成構築物と無細胞マトリックスとを組み合わせる従来のアプローチと比較して、本発明に開示されている構築物の合成構築物と無細胞マトリックスはよく一体化され、層間剥離を回避する。結果として、これらの構築物はフレキシブルである。この無細胞マトリックス接着剤は、複合構築物に生理活性材料を組み込むための送達媒体を提供する。
【0045】
本発明は、その詳細な実施態様に関して図示及び説明が行われたが、当業者には、当該形態及び詳細におけるさまざまな変更が、請求される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されるであろう。
【0046】
〔実施の態様〕
(1) 無細胞マトリックス及び水溶液を含む、無細胞マトリックス接着剤。
(2) 前記無細胞マトリックスが、ヒト、ヤギ、ブタ、ウシ、ヒツジ、及びウマからなる群から選択される哺乳類源から得られる脱細胞化組織を含む、実施態様1に記載の無細胞マトリックス接着剤。
(3) 前記脱細胞化組織が、心弁、小腸粘膜下層、真皮、羊膜、膀胱、大網、心膜、靭帯、及び血管からなる群から選択される、実施態様2に記載の無細胞マトリックス接着剤。
(4) 前記水溶液が、水、生理緩衝液、及び生理食塩水からなる群から選択される、実施態様1に記載の無細胞マトリックス接着剤。
(5) グリセロール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される可塑剤を更に含む、実施態様1に記載の無細胞マトリックス接着剤。
(6) 前記接着剤が、約2w/v%の無細胞マトリックスと、約30w/v%の水溶液とを含む、実施態様1に記載の無細胞マトリックス接着剤。
(7) 無細胞マトリックス層と、無細胞マトリックス接着剤層と、強化層と、を備える、強化無細胞マトリックス。
(8) 前記無細胞マトリックス接着剤が、無細胞マトリックスと水溶液とを含む、実施態様7に記載のマトリックス。
(9) 前記無細胞マトリックス接着剤が、ヒト、ヤギ、ブタ、ウシ、ヒツジ、及びウマからなる群から選択される哺乳類源から得られる脱細胞化組織を含む、実施態様8に記載のマトリックス。
(10) 前記無細胞マトリックス接着剤が、心弁、小腸粘膜下層、真皮、羊膜、膀胱、大網、心膜、靭帯、及び血管からなる群から選択される脱細胞化組織を含む、実施態様7に記載のマトリックス。
【0047】
(11) 前記無細胞マトリックス接着剤が、水、生理緩衝液、及び生理食塩水からなる群から選択される水溶液を含む、実施態様7に記載のマトリックス。
(12) 前記無細胞マトリックス接着剤が、追加的に、グリセロール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコールからなる群から選択される可塑剤を含む、実施態様7に記載のマトリックス。
(13) 前記無細胞マトリックス接着剤が、約2w/v%の無細胞マトリックスと、約30w/v%の水溶液とを含む、実施態様7に記載のマトリックス。
(14) 前記強化層が繊維製品を含む、実施態様7に記載のマトリックス。
(15) 前記強化層が、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリトリメチレンカーボネート(PTMC)、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、並びにこれらのコポリマー及び配合物からなる群から選択される材料を含む、実施態様7に記載のマトリックス。
(16) 前記強化層がポリマーシートを含む、実施態様7に記載のマトリックス。
(17) 前記無細胞マトリックス接着剤層と前記無細胞マトリックス層とが架橋されている、実施態様7に記載のマトリックス。
(18) 外科手順において組織を強化する方法であって、
強化無細胞マトリックスを提供することにおいて、前記マトリックスが、
無細胞マトリックス層と、無細胞マトリックス接着剤から作製される無細胞マトリックス接着剤層と、強化層と、を備える、提供することと、
前記マトリックスを組織に取り付けることと、を含む、方法。
(19) 前記無細胞マトリックス接着剤が無細胞マトリックスと水溶液とを含む、実施態様18に記載の方法。