(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの布地は、折り畳まれるとともに、前記少なくとも1つの接合部によって第二エッジ部に取り付けられる第一エッジ部を有する、単一の布地を備えることを特徴とする請求項1に記載のヘッドギア。
前記少なくとも1つの布地が第一布地と第二布地とを備え、前記第一布地が、前記第二布地の第一エッジ部に第一接合部によって取り付けられた第一の折り畳まれたエッジ部と、前記第二布地の第二エッジ部に第二接合部によって取り付けられた第二の折り畳まれたエッジ部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のヘッドギア。
前記少なくとも1つの布地が第一布地と第二布地とを備え、前記第一布地の第一エッジ部が前記第二布地の第一エッジ部に、前記リジダイザの第一エッジ部の中央において第一接合部によって取り付けられ、且つ前記第一布地の第二エッジ部が前記第二布地の第二エッジ部に、前記リジダイザ第二エッジ部の中央において第二接合部によって取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のヘッドギア。
前記リジダイザがダイカットされたシート材料又は半剛性成形コンポーネントを備え、且つ前記適合材料が前記リジダイザにオーバーモールドされた軟質ポリマー材料を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のヘッドギア。
前記少なくとも1つの布地の前記エッジ部が、前記少なくとも1つの布地によって完全に密閉されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のヘッドギア。
前記リジダイザ、前記少なくとも1つの布地の前記エッジ部、及び前記少なくとも1つの接合部が、前記少なくとも1つの布地によって完全に密閉されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のヘッドギア。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明は、共通の特性と機構とを共有し得る幾つかの実施形態と関連して提供される。任意の一つの実施形態における1つ以上の機構が、他の実施形態における1つ以上の機構と組み合わせ可能であってもよいことは、理解されるべきである。また、任意の実施形態における単一の機構、又は組み合わせられた機構は、さらなる実施形態を構成することができる。
【0030】
本明細書において、語句「備えている(comprising)」は「open」な意味、即ち、「含む(including)」を意味すると理解されるべきであり、従って「close」な意味、即ち「〜のみからなっている(consisting only of)」という意味に限定されない。対応する語句「備える(comprise)」、「備えた(comprised)」及び「備える(comprises)」についても、同様の解釈がなされるべきである。リジダイザは、他の部材の剛性を増加させる任意の補強要素を意味し、且つ含み、そして1つ以上の軸線において剛性を増加させる物体を含んでいてもよい。
【0031】
本明細書において、「実質的に非伸展性(substantially inextensible)」構造とは、呼吸マスクの使用において通常遭遇する力を受けた際、約5%未満、より好ましくは約3%未満の伸長しか有しないであろう構造を意味する。
【0032】
本明細書において、「自己支持型(self−supporting)」構造とは、重力下において、実質的にそれ自身の重量を支持することが可能である構造、を意味する。このような自己支持型構造は、それ自身の重量を重力化において支えることができない「柔軟な」(floppy)構造と対比されよう。
【0033】
本明細書において、「剛性(rigid)」構造とは、ヘッドギアとして典型的に用いられる布地のような「柔軟」構造より、比較的剛性を有する構造を意味することを目的とする。このような布地は、通常は所定の形状を重力下において保持することができない。剛性構造は、屈曲又は座屈し得る柔軟布地とは異なり、耳のような物理的構造物の周囲において、ベクトルの向きを変えることができる。
【0034】
1.ヘッドギア
図に、本発明の別の実施形態によるヘッドギアを示す。図示された実施形態においてヘッドギアは、マスクに取り外し可能に取り付けられるよう構成され、これによりマスクを、患者の顔における望ましい位置に保持及び維持する。ヘッドギアは、特殊な種類のマスクと共に用いられるよう図示される場合があるが、それぞれのヘッドギアは他の適切なマスクと共に用いるために構成することができる、ということが理解されるべきである。即ち、それらのマスクは単なる例に過ぎず、それぞれのヘッドギア実施形態は、例えばフルフェイスマスク、鼻マスク、口マスク、ノズル又はパフ、鼻カニューレ等のような任意の適切なマスクとともに、任意の適切な構成(例えば前額部の支持の有無によらず)で用いられるよう、構成することができる。
【0035】
また、ヘッドギアは新しいマスクと共に用いられてもよく、又はヘッドギアは既存のマスクに組み込まれてもよいということが、理解されるべきである。
【0036】
実施形態において、ヘッドギアの構成、材質、及び/又は調節性は、使用性、メンテナンス性、快適性、及び/又は美観を向上させるよう設計することができる。また、ヘッドギアの構成、材質、及び/又は調節性は、例えば1つのサイズが全てに合うように、適合の範囲を向上させるよう設計することができる。
【0037】
本発明によるヘッドギアの利点は、それが比較的自己支持型であって、及び/又はその形状を着用されていなくても保持できることである。このことは、患者がヘッドギアの使用法を理解することを、より直観的に、又はより明白にすることを可能とし、且つこのことは、全体が柔軟であり、自身の形状を留めないヘッドギアシステムと対照をなし得る。一つの形態において、ヘッドギアの自己支持型の特徴は、硬化、及び/又は厚化された要素の使用によって提供される。別な実施形態において、ヘッドギアの構成、材質、及び/又は調節性は、例えばヘッドギアが箱から飛び出してほぼ使用時の構成となるよう、設計することができる。またヘッドギアの構成は、ひとたび箱の外にある場合、ヘッドギアの使用形状を保持してもよく、例えばリジダイザはヘッドギアの部分的な形状を維持するよう形成することができる。
【0038】
本発明における患者に対する利点は、1つ以上の以下の内容を含んでもよい(しかし限定されない)。即ち、快適なヘッドギアシステム、知覚されるレベルの快適性及び品質、消費者に訴えかけるなめらかに連続したヘッドギア形状、手触りが柔らかく着心地が良い枕状のヘッドギア外観、及び/又は着用されることを目的とし、自身の形状を支えることが可能であるような形状に前形成され、これによりヘッドギアの向きが明確であるヘッドギア、である。ヘッドギアの形状が患者のまさに後頭部に倣うように実質的に湾曲されるため、ヘッドギアの向きは患者にとって明確である。即ち、ヘッドギアは略ドーム形状である。
【0039】
またヘッドギアは、ヘッドギア及び/又はヘッドギアが備える材料の組み合わせを構成するために採用される製造プロセスによって、その形状を維持することが可能である。
【0040】
本明細書に記載のヘッドギアの別な態様は、マスクシステムを患者の顔と直接的に接触するように向かわせることであり、これは即ちヘッドギアのベクトルによって、マスクに、患者の顔に対する直角すなわち垂直な圧力を生じさせることである。
【0041】
ヘッドギアはさらに、患者の眼及び耳への接触を回避し、又は眼及び耳への障害とならないようにすることができる。
【0042】
またヘッドギアは、広い範囲の患者に対してただ一つのサイズによって構成され得るよう、構成することができる。
【0043】
1.1 マスクへのヘッドギアの接続
好ましくは、それぞれのヘッドギアは2つの側部を、側部に接続する後部と共に含む。側部は、従来のヘッドギアと両立するようにした(例えば従来のヘッドギアが後付けされるようにした)マスクとの4点接続を提供する。しかしながらヘッドギアは、例えばマスクとの2点接続、マスクとの3点接続、マスクとの5点接続のような、より多い、又はより少ない接続点を提供するように構成することができるということが、理解されるべきである。
【0044】
またヘッドギアは、従来のヘッドギアと両立するようにマスクに力ベクトルを提供するよう構成され且つ配置することができる。例えばヘッドギアは、このヘッドギアによってマスクに加えられる力ベクトルがマスクに対して略垂直であり、且つ互いに略平行であるように、構成することができる(例えば
図1を参照)。この構成は、ヘッドギアがマスクを直接患者の顔に押し付けるので、マスクの密閉性を向上させる。しかしながら、ヘッドギアベクトルの調節は、例えばヘッドギアとともに用いられるマスクの種類によっては必要とされる場合がある。
【0045】
1.2 リジダイザ
ヘッドギアは、剛性又は半剛性材料によって構成された1つ以上のリジダイザを含んでもよく、このリジダイザは剛性をヘッドギアに加え、使用中にヘッドギアを所定位置に固定するよう構成される。リジダイザは、リジダイザの長さに沿って屈曲又は変形可能であってもよいが、リジダイザの長さ方向におけるヘッドギアの伸展に抵抗するか、又は伸展を妨げることができる。リジダイザは実質的に非伸展性であってもよい。リジダイザは弾力性があってもよい。本発明によるリジダイザは好ましくは1つ以上の以下の特徴を有する。
・形状を保持する
・ヘッドギアが、封止力ベクトルの向きを眼の周囲又は耳の周囲のような湾曲部に沿っ て変えることを可能にする
・可撓性を有する、及び/又は
・特定の面において、所定の形状を維持するための構造を提供する
【0046】
1.2.1 リジダイザの位置決め
1つ以上のリジダイザは、例えば快適性、美観、有用性等のために、患者の頭部の別の部位と係合するよう構成され、位置決めすることができる。
【0047】
患者の頭部における望ましい位置決めは、リジダイザを患者の頭蓋骨又は頭部の後部へ係合させることである。また、リジダイザは患者の後頭部を覆わず、これにより患者が睡眠中であるか又は腹臥位である間の快適性を促進することが有利である。好ましくは、リジダイザは部分的又は全体的に、患者の頭蓋骨の頂部及び/又は後部を包囲する。このリジダイザは好ましくは、ヘッドギアとマスクとの組み合わせが装着されている際に、患者の顔にあるマスクの方向と略平行である軸に取り付けられる。
【0048】
1.2.1.1 頭頂部リジダイザ
図1〜
図3に、リジダイザを含むヘッドギアを図示する。このリジダイザは、患者の頭頂骨において、いずれの側にも略垂直な方向で適合するよう構成され、これによりヘッドギアを所定位置に固定する。
【0049】
好ましくは、リジダイザは、その長さ方向に沿っては、相対的に弾性を有さず、伸展可能でもなく、且つ、本来弾力性を持つ材料によって概ね構成されている。
【0050】
図1においてリジダイザ60は、各々のリジダイザ60が細長い本体62と、本体下端から略横方向へ延伸する下部アーム64と、本体上端から略横方向へ下方に間隔をあけて延伸する上部アーム66とを含みながら、患者の頭部の両側に設けられる。上部サイドストラップ20は、マスク10の上部部位を(例えば前額部支持部を介して)上部アーム66へ取り外し可能に接続し、下部サイドストラップ30は、マスク10の下部部位を(例えばクリップ差込口と結合されるヘッドギアクリップを介して)下部アーム64へ取り外し可能に接続し、頂部ストラップ40(例えば弾性接続部材)は使用の際に患者の頭頂部を横切り、対向するリジダイザ60の上端を相互接続するよう構成され、そして後部ストラップ50は使用の際に患者の頭部の後ろを通り、対向するリジダイザ60の下端を相互接続するよう構成される。
【0051】
一つの実施形態において上部サイドストラップ20は、一つの上部アーム66から患者の頭部の反対側において対向する上部アーム66へ、患者の前額部を横切って延在する、単一の部品とすることができる。好ましくは、上部サイドストラップ20は、患者の耳を通り過ぎて後方へ著しく延伸することはない。また
図1において、上部及び下部アーム66、64の可動範囲を、破線にて図示する。別の実施形態において上部アーム66は、患者の前額部を横切って、1つの本体62から患者の頭部の反対側において対向する本体62へ延在するよう構成される、単一の部品とすることができる。
【0052】
図2において、それぞれのリジダイザ260は複合構造(以下に示す)を有し、上部及び下部サイドストラップ220、230は連続し、且つマスクの上部部位及び下部部位から、それぞれのリジダイザ260を通って延在するよう構成され、ここでリジダイザ260は患者の頭部の頭頂骨に沿って延在する。
【0053】
一つの実施形態において、上部サイドストラップ220と下部サイドストラップ230とリジダイザ260とは、それぞれ異なる弾性特性を有していてもよく、これにより患者の顔面にあるマスクに、使用の際に調節性及び安定性をもたらすことができる。
【0054】
一つの例において、上部サイドストラップ220は伸展性材料から構成することができ、これによりマスクに、使用の際に調節代を与える。例えば、上部サイドストラップ220は弾性素材から作られてもよい。さらに、上部ストラップによって設けられた伸展性は、患者にとってより大きな適合範囲を与え得る。加えて、下部サイドストラップ230は、上部サイドストラップと比較して低い伸展性を有する材料から作られてもよい。即ち下部サイドストラップ230は、上部サイドストラップ220に用いられている材料と比較した際に、加えられた力に対するより低い伸縮性を有する材料によって、構成することができる。これは、患者の顔におけるマスクの位置の幾分かの調整を可能にしながら、マスクを所定位置に固定するためである。さらに、リジダイザ260は、上部サイドストラップ220及び/又は下部サイドストラップ230と比較して低い伸展性及び低い弾性であってもよく、これにより構造及び支持をヘッドギアに設け、従って使用の際にマスクを患者の頭部へ適切に固定する。
【0055】
上部サイドストラップ220及び/又は下部サイドストラップ230は、Breath−O−Prene(登録商標)のような複合材料、及びバルク材からのダイカットから構成することができる。上部サイドストラップ220及び/又は下部サイドストラップ230は、狭い編みこみ材料によって構成されてもよく、これによりダイカットによって発生する廃棄物が減少するか、又は除去される。
【0056】
図3において、リジダイザ360は、患者の後頭部を覆って載置されるように構成されるメッシュ構造を有する。図示されるように、リジダイザ360は略台形形状であり、マスク上部部位に結合された上部サイドストラップ320に取り外し可能に接続されるよう構成された上端と、マスク下部部位に結合された下部サイドストラップ330に取り外し可能に接続されるよう構成された下端とを有する。メッシュ状リジダイザ360は、患者の頭部に適合するよう可撓性を有することができるが、例えばヘッドギアを所定位置に固定するために、非伸縮性であってもよい。しかしながら、メッシュは異なる適切な構造を有してもよい。
【0057】
それぞれの実施形態において、リジダイザは患者の頭部の頭頂骨に沿って略垂直に延在し、且つ、カップ型を為し、及び/又は患者の後頭部に静置されるよう構成される。図示されるように、頭頂骨リジダイザは(即ち後頭部を覆って載置するために)頂部及び/又は底部に接続されてもよく、且つ接続を容易にするための追加の剛性又は半剛性コンポーネントを含んでいてもよい(例えば
図2及び
図3におけるストラップ接続部を参照)。また、リジダイザによって、任意の剛性又は半剛性コンポーネントを後頭部において使用することが避けられる。この後頭部は、使用の際に患者の頭がベッドに触れることがある箇所である。好ましくはリジダイザは、患者の頭に対して、リジダイザの長さ方向に沿って、可撓性を有するか又は適合することが可能であるが、しかしながら、その幅方向には撓んだり変形することはできない。これにより、ヘッドギアは快適でありながら、マスクを所定位置に固定する構造機能を維持する。
【0058】
1.2.1.2 頭頂骨及び頬骨のリジダイザ
図4〜
図5に、患者の頭頂骨のいずれの側(即ち略垂直方向において)にも適合し、これによりヘッドギアを患者の後頭部における所定位置に固定し、且つ患者の頭部の前面と患者の頬骨とに延在するよう構成されるリジダイザを含む、ヘッドギアを図示する。
【0059】
図4においてリジダイザ460は、マスク10を横切って延在するよう構成される2つの側部を有する、連続的なコンポーネントである。図示されるように、それぞれの側部は、患者の頭頂骨に沿って患者の耳の上方を越え、且つ患者の頬骨の方へ延伸する上部ストラップ部462と、患者の耳の下方へ延伸する下部ストラップ部464とを含む。上部ストラップ部462は、マスク10の上部部位を横切って延在し、下部ストラップ部464は、マスク10の下部部位を横切って延在する。
【0060】
図4Aに示されるように、上部ストラップ部462はマスク10に取り外し可能にクリップ止めされてもよい。図示されるように、マスク10の上部部位は、間隙を介した複数のスロット15を含んでもよく、且つクリップ470は、上部ストラップ部462における開口部を通して、選択された一つのスロット15の内部へ延伸してもよい。
【0061】
後上部ストラップ440と後下部ストラップ450とを含む可撓性ストラップ構成は、患者の後頭部において、リジダイザ460の左右側面を接続する。後上部ストラップ440及び後下部ストラップ450は、連続的なコンポーネントであってもよく、又は別々なコンポーネントであってもよい。
【0062】
図5において、それぞれのリジダイザ560は、マスク10のそれぞれの側面に接続するよう構成された連続的なコンポーネントである。図示されるように、それぞれのリジダイザ560は、患者の頭頂骨に沿って患者の耳の上方を越えて、且つ患者の頬骨の方へ延伸する上部ストラップ部562と、患者の耳の下方へ延在する下部ストラップ部564と、マスク10に接続するよう構成される前部ストラップ部566とを含む。
【0063】
図示された実施形態において、それぞれのリジダイザ560は、マスク10の側面へ回転可能に係合する(例えば、マスク側面上にクリップ留めする、マスク側面上のアンカーに巻きつける)よう構成され、これによりリジダイザ560に対してマスクの回転動作が可能となり、マスクの適切な装着のためにマスクを回転させ且つ調節することが可能となる。
【0064】
後上部ストラップ540及び後下部ストラップ550は、リジダイザ560の左右側面を患者の後頭部に接続する。
【0065】
1.2.1.3 後頭部及び頭頂部のリジダイザ
図6〜
図11に、略完全円/楕円形状(例えば、後頭部において切り離された、調節性のための円弧を有することができる形状)を形成するよう構成され、これによりヘッドギアを患者の後頭部における所定位置に固定するリジダイザを含むヘッドギアを図示する。図示されるように、リジダイザは患者の頭頂骨及び後頭骨に沿って延在する。
【0066】
図6及び
図7において、リジダイザ660は、下端において切り離された円弧を有する略円形又は略楕円形形状を含む。下端において切り離された部位は、円/楕円形状のサイズ調整を可能とすることができる。
【0067】
上部サイドストラップ620は、マスク10の上部部位を(例えば前額部支持部を介して)リジダイザに取り外し可能に接続し、下部サイドストラップ630は、マスク10の下部部位を(例えばクリップ差込口と結合されるヘッドギアクリップを介して)リジダイザに取り外し可能に接続する。
【0068】
好ましくは、下部サイドストラップ630及び/又はリジダイザ660は、後頭骨に係合し、これによりリジダイザを所定位置に維持し、使用中にヘッドギアが患者の後頭部をずり上がることを防ぐ。異なる望ましい形態において、上部サイドストラップ620及び/又はリジダイザ660は使用中に、患者の頭頂骨上方の大部分を捕捉するか、又は横切ることが可能であり、これにより使用中にヘッドギアが患者の頭部から滑り落ちることを防ぐ。
【0069】
異なる実施形態において、上部サイドストラップ620及び/又は下部サイドストラップ630は、調節可能な長さを有していてもよい。これは、例えばフックアンドループファスナー(hook and loop fastener)の使用を通じて達成することができる。上部サイドストラップ620、及び/又は下部サイドストラップ630の長さは、リジダイザ660が患者の耳に当たらない程度であるべきである。例えば、上部サイドストラップ620、又は下部サイドストラップ630の長さが、リジダイザが患者の顔に付勢され、ひいては耳に接触する程度に調節され得る場合がある。これによって患者に不快感が引き起こされる場合がある。
【0070】
異なる望ましい実施形態において、下部サイドストラップ630はリジダイザ660における開口部を通して螺着され、これによりリジダイザ660は下部サイドストラップ630の長さに沿ってスライドし得、その結果、リジダイザ660によって密閉された(encapsulated)空間のサイズが調節され、次いでヘッドギアの形状が、異なる患者の頭部サイズに適合するよう変更される。異なる望ましい形態において、下部サイドストラップ630は係合部をその長さに沿って有していてもよく、これにより、リジダイザ660によって密閉された空間の大きさを、リジダイザ660を下部ストラップ630の長さに沿ってスライドさせることで調節した場合、下部ストラップ630におけるリジダイザ660の位置を、所定位置に固定することが可能となる。例えば係合部は、クリップ、ベルクロ(Velcro)、隆起された編み目(raised stitching)、又はリジダイザ660を所定位置に固定するその他の手段であってもよい。
【0071】
異なる望ましい実施形態において、上部サイドストラップ620、下部サイドストラップ630、及び/又はリジダイザ660を、個別に形成してもよく、これによりそれぞれのコンポーネントは、以下に記述するように、(即ちコンポーネントをネスト(nest)式に配置することにより)効率的に製造され、且つ経済的となる。
【0072】
図15に示すように、リジダイザ660は平坦なコンポーネントから形成されてもよく、次いで使用に適した形状に屈曲又は変形されてもよい。リジダイザ660はシート材料からダイカットされてもよい。リジダイザ660は上部サイドストラップ620との係合のための上部開口部2000を有してもよい。多数の上部開口部2000が設けられてもよく(例えば
図15に示されるような4つの開口部)、これにより患者は上部サイドストラップ620の位置を調節することが可能となる。またリジダイザ660は、下部サイドストラップ630との係合のための下部開口部2100を有してもよい。
【0073】
図8及び
図9に、異なる構成によってマスクに接続される、
図6及び
図7のヘッドギアを示す。この実施形態において、上部サイドストラップ620はマスク10の側面張出し材に接続され、下部サイドストラップ630はマスク10に、マスクのクリップ差し込み口と結合されたヘッドギアクリップを介して、取り外し可能に接続される。
図8に最もよく示されるように、上部サイドストラップ630はマスク10の側面張出し材に接着剤によって接続されてもよく、これにより上部サイドストラップは、リジダイザにおいてのみ調節可能となる。あるいは、上部サイドストラップ630は、マスク10の側面張出し材の端部に設けられたスロットへ調節可能に接続されてもよく、これにより上部サイドストラップは、リジダイザと側面張出し材との両方において調節可能とすることができる。
【0074】
図10及び
図11に、リジダイザ660を、以下に説明するように、上部及び下部サイドストラップ620、630に取り付けるための別の構成を示す。
【0075】
図40に、使用の際に患者の頭部のほぼ後部に沿って位置するよう構成されるリジダイザ7560のための、別の構成を示す。リジダイザは略電球形状に形成されてもよく、この形状には2つの略円形部位又は略湾曲部位が存在し、即ち使用の際に患者の頭部のほぼ頭頂骨領域に係合するよう構成された上部部位7562と、使用の際に患者の頭部のほぼ後頭骨領域に係合するよう構成された下部部位7564とを備えている。上部ストラップ7512は、マスク上部部位との係合のために上部部位7562に設けられ、下部ストラップ7514は、マスク下部部位との係合のために下部部位7564に設けられる。
【0076】
1.2.2 リジダイザ/ストラップの取り付け
1つ以上のリジダイザは、マスク及び/又は異なる物と、異なる構成において連結することができる。
【0077】
実施形態において、それぞれのリジダイザは1つ以上のスロットを含んでもよく、これによりヘッドギアストラップをそこへ通すことが可能となる。例えば
図1において、本体62のそれぞれの端部と、下部アーム64の端部と、上部アーム66の端部とはスロットを含み、これにより使用中に、ヘッドギアストラップをそのスロットに通すことが可能となる。
図3に、メッシュ状リジダイザ360を、ヘッドギアストラップを収容するためのスロットを有する上部と、下部コネクタ365及び366(例えばメッシュにオーバーモールドされた物)と、ともに示す。
図5において、リジダイザ560の後部は、後上部及び後下部ストラップ540、550を収容するための上部及び下部スロットを含んでもよい。また
図6〜
図11に、ヘッドギアストラップを収容するためにリジダイザ660に備えられた、1つ以上のスロットを示す。
【0078】
異なる実施形態においてリジダイザは、ヘッドギアストラップを収容するために、ループを設けてもよい。例えば
図2において、リジダイザ260の上端及び下端はコネクタ265を含み、このコネクタはヘッドギアストラップそれぞれを収容するためのループを提供している。下部コネクタ265は、覆っているリジダイザにおけるスロットと位置合わせされ、これにより下部ストラップ230は患者の後頭部に位置するスロットを貫通する。即ち、下部ストラップ230はリジダイザ260における空隙を貫通する。
【0079】
図10〜
図13に、リジダイザとストラップとが押圧スタッド(press stud)構成を設ける構成を示す。図示されるように、リジダイザ下端は複数の穴663を有するストラップ部662を含んでいてもよく、そして下部ストラップ630の1つの端部が、穴663の選択された1つに圧入されるよう構成されるスタッド665(例えばストラップへオーバーモールドされるか、又は超音波溶着されたもの)を設けてもよい。
図13に示すように、スタッド665及び穴663はスナップフィット(snap fit)構成を設けるよう構成される。下部ストラップ630の反対側の端部は、マスクに取り付けるために、ベルクロ(登録商標)タブを含んでもよい。
【0080】
図25A〜
図25Cに、頂部ストラップ4412のためのさらなる調節機構を示す。前額部支持部5000はマスク10に設けられてもよい。前額部支持部5000は、頂部ストラップが開口部5005を通してループすることを可能にしてもよい。
図25Cに最もよく示されるように、前額部支持部にはプッシュタブ5010が設けられてもよく、このプッシュタブはばね5025によって与圧を与えられているか又は付勢されており、これにより頂部ストラップ4412のループした部分の係合と係脱とを可能にする。グリップ部5015は、前額部支持部5000と対向する側に設けられてもよく、これにより、患者が自らの前額部の機構を安定させるためにタブ5010を押す。追加グリップ部5020が、頂部ストラップ4412のループ部の端部に設けられてもよい。また追加グリップ部5020は、開口部5005を通して引き戻されることによるループ部の分解を、妨げてもよい。
【0081】
また
図26は、底部ストラップ4513を調節するためのさらなる別の方法を示す。ここでは穿孔6000が底部ストラップ4513の長さに沿って設けられてもよく、このことにより患者が底部ストラップ4513のセグメントを引き裂くか又は切断し、底部ストラップの長さを短くすることができる。穿孔6000は、例えば薄くされた横断面、狭くされたストラップ幅のような、底部ストラップ4513に沿った脆弱部位であってもよい。
【0082】
[追加の実施形態]
また
図18に、弓状部又は屈曲部4000を有しうるリジダイザ3001を備え、密閉された第一ストラップ3010を示す。屈曲部4000は、リジダイザ3001の限定された部位に設けられてもよく、これによりこの部位においてリジダイザを容易に曲げるか、又は蝶番状に折り曲げることが可能となる。このことは、より広い範囲の患者の頭部サイズに適合するために有益な場合がある。
図18に示されるように屈曲部4000は、リジダイザの下部部位を患者の耳に向かって外側へ曲げるか、又は患者の頭部の中心に向かって内側へ曲げるかを可能にするように、位置決めすることができる。屈曲部4000は脆弱部位であってもよく、これによりリジダイザ3001において同様の可撓性を達成する。例えば、屈曲部4000はリジダイザ3001における湾曲部位、横断面が薄化された部位、幅が狭くされた部位であってもよい。この屈曲部位は、例えばマスクシステムへの直接接続のための上部及び下部ヘッドギアストラップのような、ヘッドギアの異なる部位のように、張力をかけることはできない。
【0083】
図20に、さらなる構成を示す。ここでは第一ストラップ3010が密閉されたリジダイザ3001(図示されない)を有してもよく、頂部ストラップ3012及び底部ストラップ3013が設けられてもよい。頂部ストラップ3012及び底部ストラップ3013は、それぞれ単一長さの材料であってもよく、この材料はループされるか、さもなくば第一ストラップ3010に取り付けられてもよい。固定手段(例えばフックアンドループ接続、押圧スタッド、接着剤)は、頂部ストラップ3012及び底部ストラップ3013の端部に取り付けられてもよく、これによりストラップの長さの調節が可能となる。
【0084】
図21に、さらなる構成を示す。ここでは第一ストラップ4010(密閉されたリジダイザ(記載されない)が設けられた)が自身の下端部において、縫合、糊付け、溶着又は他の手段によって接合される。あるいは、第一ストラップ4010はサークル材料又はループ材料によって形成することができる。第一ストラップ4010は、超音波ダイカットによって一体的に形成することができる。第一ストラップの外周は(内側のエッジ部、又は頂部ストラップ4012及び底部ストラップ4013から最も離れたエッジ部から計測して)約420〜600mmであってもよい。好ましくは、外周は約480〜550mmであってもよい。好ましくは、外周は約490〜505mmであってもよい。好ましくは、外周は約500mmであってもよい。これらの値の外周によって、ヘッドギアは、一般人の大部分の頭部の頭頂部に装着可能なように構成され得る。加えて、リジダイザが患者の耳に接触することを回避し得る。さらに、リジダイザが患者の下頸部、又は上背、又は背骨に接触することを回避し得る。
【0085】
また
図21に、第一ストラップ4010に接合部4035において取り付けられる頂部ストラップ4012を示す。接合部4035は縫合、超音波溶着、糊付け又は他の接合手段、又は手段の組み合わせであってもよい。頂部ストラップ4012には、頂部ストラップの自由端における、例えばフックオアループ(hook or loop)材料、押圧スタッド等の調節手段4020が設けられてもよい。底部ストラップ4013は、第一ストラップ4010に、接合部4035によって取り付けられてもよい。接合部4035は縫合、超音波溶着、糊付け又は他の接合手段、又は手段の組み合わせであってもよい。底部ストラップ4013には、底部ストラップの自由端における例えばフックオアループ材料、押圧スタッド等のような調節手段4020が設けられてもよい。さらなる別の実施形態において、第一ストラップ4010、頂部ストラップ4012及び底部ストラップ4013は一体的に形成することができる。単一コンポーネントは、コンポーネントの外周に沿って、手動で超音波溶着機を回転させることによって形成することができる。ある実施形態においては、この方法は手作業に頼っているので、幾らかのばらついたエッジ部が生じる場合がある。単一コンポーネントは、超音波ダイカットによって構成することができる。このことは、プロセスをより厳密に制御できるので、それぞれのヘッドギアがより一様な、又は一貫したものとなり得る、という利点となり得る。また超音波溶着及びCNCナイフ切断を含む、別の構成方法も可能である。
【0086】
図22に、第一ストラップ4110(密閉されたリジダイザ(
図22では、外面的に不可視)が設けられ得る)の、使用位置における背面図を示す。角度aは、水平面に対する底部ストラップ4113のアライメント角を示す。底部ストラップ4113は好ましくは下方へ角度aまで曲げられるか偏移され、これにより底部ストラップが患者の耳の下方へ案内される。角度aは0度以上であってもよい。角度aは0度〜90度であってもよい。好ましくは、角度aは約10度〜30度であってもよい。好ましくは、角度aは約15度〜20度であってもよい。角度aは約11度であってもよい。また第一ストラップ4110には、弾性を有し得る頂部ストラップ4112が設けられてもよい。底部ストラップ4113は接合部4134、4135によって第一ストラップ4110に取り付けられてもよい。
【0087】
また
図22に、第一ストラップにおける、接合部4130にもっとも近い下部部位の幅である長さLを示す。好ましくは、長さLは約60mm未満であってよく、これにより患者の頸部又は上背又は背骨への接触を回避する。好ましくは、長さLは約30mm〜50mmであってもよい。
【0088】
図22に示すように、第一ストラップ4110によって形成されるヘッドギアの上部部位は、患者の頭頂部に係合するようアーチ状に曲げられる。使用の際、第一ストラップ4110は水平面4115に向かって、アーチ状領域における最も広い部位を経て延伸し、これにより患者の頭頂部において平坦に横たわる。第一ストラップ4110の下部部位又は側面は、下部部位の最も幅広い部位における垂直面(垂直軸4116に平行)、又は第一ストラップの側面を経て延伸する。この構成によって、第一ストラップ4110を含むヘッドギア部位が、患者の後頭部において平坦に横たわることが可能となる。第一ストラップ4110に、密閉されたリジダイザが設けられる場合、リジダイザと組み合わされる第一ストラップ4110の構成によって、三次元形状のヘッドギアが提供される。
【0089】
図23にさらなる構成を示す。ここでは第一ストラップ4210(密閉されたリジダイザ(記載されない)が設けられ得る)が頂部ストラップ4212に、接合部4235によって取り付けられ得る。接合部4235は超音波溶着として示されているが、頂部ストラップ4212を第一ストラップ4210に取り付けるための他の妥当な方法であってもよい。頂部ストラップ4212は弾性体、又は他の適切な材料であってもよい。底部ストラップ4213は第一ストラップ4210におけるループ4235を貫通してもよい。底部ストラップ4213は弾性体又は他の適切な材料によって作られてもよい。また底部ストラップ4213は、自身の端部にラダーロック(ladder lock)4220を設けることによって調節できる。ラダーロック4220を底部ストラップ4213の長さに沿って滑らせることで、ストラップの長さを変えてもよい。
【0090】
図23においてさらに、リジダイザ下部部位4250を示す。このリジダイザ下部部位は、使用時に患者の耳の後ろに接触することを避けるような方法で、湾曲されていてもよい。
図20におけるこの下部部位4250の曲率は、第一ストラップ4210が自身の長さに沿って同様な曲率半径に倣うようにされる。
図23に示されるように、下部部位4250の曲率半径は、上部部位4260の曲率半径とは異なる。下部部位4250は、上部部位4260の曲率半径より小さい曲率半径を有してもよい。第一ストラップ4210の形状は、第一ストラップの中に密閉されるリジダイザ4201(
図23においては、外面的には不可視である)と類似していてもよい。
【0091】
図27に、リジダイザ4201を示す。この場合、下部部位4251は、上部部位4261より小さい曲率半径を有してもよい。あるいは、屈曲部4200がリジダイザ4201に設けられてもよく、これにより下部部位4251は患者の頭部の中心をさらに越えて位置し、それにより使用中に患者の耳の後ろに接触することを避ける。
【0092】
図28に、単一の基材に多数個取りが可能なようにネスト式に配置されたリジダイザ4201を示し、これにより多数のリジダイザ4201が、廃材の量を最小化しつつ製造され得ることを説明している。
【0093】
図29に、平坦化された第一ストラップ4210を、密閉されたリジダイザ4201(破線によって記述される)と共に示し、これにより、形成又は互いに結合される際の、二つの部品の類似した湾曲又は略弓型形状について、明らかにする。本実施形態においてリジダイザ4201のいずれの端部4280も、好ましくは第一ストラップ4210の端部4211の最遠点を越えない最大長さを有し、且つ、さらなるストラップが端部4211に接続され、ヘッドギアが患者の頭部において締め付けられる際に、端部4211を変形又は屈曲しないようにするために必要とされる距離以上の好ましい最小長さを有する。またこの特徴によって、リジダイザ4201が不快感又は炎症を患者の頸部又は上背/背骨に引き起こすことを、回避し得る。
【0094】
図30に、本発明におけるさらなる実施形態を示す。この場合リジダイザ4601は、第一ストラップ4610の内部に密閉されていてもよい。リジダイザ4601は、使用時に患者の頭部の実質的に頂部、上半分のみに位置するように、第一ストラップ4610の中央部のみを横切って延在してもよい。このことにより、先の実施形態における復元力を維持しながら、快適性が増大し得る。加えて、長さが減少したリジダイザ4601によって、本実施形態における快適性が増大し、且つさらにストラップが形状及び構成を留めることが可能となり得、使用者あるいは患者がヘッドギアを迅速に装着することが可能となり得る。ヘッドギア内部に備え付けられたリジダイザの一つの利点は、患者の頭部の後部に係合し、これによりヘッドギアの基本的な形状を保ち、且つ患者がヘッドギアを着用する間に変形が防止又は制限されるように剛性を有する形状が維持された、ヘッドギア部分を有することにある。
【0095】
図24に、さらなる実施形態を示す。この場合、頂部ストラップ4312及び底部ストラップ4313はラダーロック4320によって調節できる。頂部ストラップ4312及び底部ストラップ4313は、密閉されたリジダイザ(記載されない)と共に第一ストラップ4310に取り付けられてもよい。
【0096】
実施形態において、ヘッドギアの1つ以上の特徴は、使用中にヘッドギアが患者の頭をずり上がり、ストラップが患者の耳の下面に隣接又は接触する可能性を、妨げるか又は少なくとも減少させるよう、構成することができる。
【0097】
例えば
図36に示されるように、頭頂部ストラップ7360の位置を後部に動かしてもよく(即ち頭頂部ストラップの角度の変更)、これによりヘッドギアがずり上がる可能性が減少する。頭頂部ストラップ7360の本来の位置は、
図36に実線によって表示される。頭頂部ストラップ7360の本来の位置は、垂直方向、又は本体前頭面の方向であってもよい。例えば、頭頂部ストラップ7360は、
図36において示される位置から最大40度まで後退してもよく、例えばα1によって表示される15度、α2によって表示される20度、α3によって表示される40度まで後退してもよい。また、頭頂部ストラップの後部への移動は、患者の頭頂部部位の保持を改善させ、これにより支持を向上させる。例えば、頭頂部ストラップは患者の頭頂部において過剰に緩むことはない。さらに
図36に示すように、ストラップは、ヘッドギアのベクトルを耳の周囲に向かせるための「J」型、又は「ドッグレッグ(dog leg)」型のような湾曲を含んでもよく、例えば約50mm〜70mm、より好ましくは約55mm〜65mmの半径を有する。
図37に、頭頂部ストラップ7360がいかにして、患者の耳から下部ストラップ7364の十分な間隔を保つための一助となっているかを示す。
【0098】
異なる例において、
図38及び39に示すように、リジダイザ7460は、首の底部に沿う底部ストラップに沿った支持を強化するように延在してもよい。また頂部ストラップ7466の長さは、頭頂部ストラップの位置決めをより向上させるように延在してもよい。好ましくはリジダイザ7460は、ヘッドギアの下部ストラップを、患者の耳の下部、又は患者の耳と接触しない領域へ、支持するか又は位置決めすることができる。またリジダイザ7460は、ヘッドギアが患者の頭をずり上がるか、又は患者の頭の垂直上方へ移動することを、ヘッドギアを患者の後頭部及び/又は頸部に固定することにより防止することができる。またリジダイザ7460の非伸展性は、頭頂部ストラップ7462が引き延ばされて患者の耳に当たることを防止する。頭頂部ストラップ7462はヘッドギアを所定位置に固定し、これによりヘッドギアは患者の頭部の前方又は周囲へスライドしない。底部及び頂部ストラップ7464、7466は、頭頂部ストラップ7462と比較して、より弾性的であり得るか、又はより伸展性を有し得る。
【0099】
例えば、
図38及び
図39において示されるように、頭頂部ストラップ7462の直径dは、好ましくは約500mmであってもよく、且つ頂部ストラップ7466は、頭頂部ストラップに対して約90度である角度α1に方向づけられてもよい。下部ストラップ7464は、水平方向から下方へ約15度〜30度、例えば20度である角度α2に方向づけられてもよい。さらなる例において、頭頂部ストラップ7462の直径dは約440mm〜600mmであってもよい。さらなる例において、頭頂部ストラップ7462の直径dは約500mm〜600mmであってもよい。さらなる例において、頭頂部ストラップ7462の直径dは約550mm〜600mmであってもよい。さらなる例において、頭頂部ストラップ7462の直径dは約440mm〜550mmであってもよい。さらなる例において、頭頂部ストラップ7462の直径dは約440mm〜500mmであってもよい。直径dはヘッドギア後部のループを形成し、このループは患者の後頭部を囲み、これにより患者が仰臥する際に、患者の頭部と、枕又はベッドとの間にヘッドギアがほとんど、又は全く位置しない。
【0100】
1.2.3 リジダイザ/ストラップの調節
実施形態において、リジダイザ及びヘッドギアストラップの調節は、フックアンドループ(hook and loop)材料(例えばベルクロ(登録商標)、弾性体、押圧スタッド、等)によって提供することができる。
【0101】
例えば、
図1及び
図2及び
図6〜
図10において、ストラップ20、30、220、230、620、630の一端又は両端部は、ストラップの残りに係合するよう構成されたベルクロ(登録商標)タブを含み、これによりストラップを所定位置に固定し、調節(例えばリジダイザ及び/又はマスクに関して)を可能とする。
【0102】
図1、4及び5において、1つ以上のストラップ40、440、450、540、550は、弾性コンポーネントの形態であり、これにより調節が可能となる。
【0103】
ヘッドギアの頂部ストラップ(例えば
図20における頂部ストラップ3012)に設けられた弾性体は、長さ250〜450mmであってもよい。好ましくは、弾性頂部ストラップは約320〜400mmであってもよい。弾性頂部ストラップは、本来の長さから弾性的に100mm伸展するために、10Nを超える力を必要としないことが好ましい。弾性頂部ストラップは、本来の長さから弾性的に100mm伸展するために、6Nを超える力を必要としないことが好ましい。弾性頂部ストラップは、本来の長さから弾性的に100mm伸展するために、4Nを超える力を必要としないことが好ましい。弾性頂部ストラップは、本来の長さから弾性的に100mm伸展するために、3Nを超える力を必要としないことが好ましい。これにより、患者の様々な範囲の頭部サイズに対して、ヘッドギアが快適であることを保証し得る。
【0104】
図10〜
図13において、1つ以上のストラップは、上述されたように押圧スタッド構成を含み、これにより調節が可能となる。
【0105】
1.2.4 リジダイザ材料
リジダイザは、2つ以上の材料を有する複合構造(より軟質であり、患者に接触する材料によって、構成された被覆を有する、剛性又は半剛性材料)を有してもよく、別の布地又はポリマー材料(三次元織物、編物、不織布、積層体)によって構成されてもよく、且つ別の方法において製造することができる。
【0106】
例えばリジダイザは、ナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ウレタン(TPU)、シリコーン、ポリエステル等のような任意の可撓性の適当な材料によって作製することができる(例えば
図1を参照)。
図3において、リジダイザ360は、エッジ部に逃げ加工を施された三次元織物/編物である。
【0107】
またリジダイザは布地を厚化又は処理することによって構成されてもよく、これによりリジダイザはより硬化されるかまたは伸展を防止できる。例えば、布地には焼付け(print)を施してもよく、焼付けのインクが布地の伸展の余地を抑えるか又は減少させる。加えて、布地は選択された部位において縫い合わせられていてもよく、これにより硬化される。また、布地は選択された部位において超音波溶着されてもよく、これにより硬化される。
【0108】
リジダイザは不織材料、例えば網によって構成されてもよく、これにより少なくとも一つの方向における伸展に対して抵抗力を持つ。
【0109】
あるいはリジダイザは織物材料によって形成されてもよく、この場合材料の布目が整列し、このため布地は(患者の頭部に位置する際に)側方に伸展しないようにすることができ、これによりヘッドギアを患者の頭部の所定位置に締め付けて固定する。
【0110】
またリジダイザは、シリコーン、ポリウレタン又は他の粘着性材料のようなさらなる材料の層によって形成されていてもよく、これらの材料は布地ストラップに構成され得、これによりストラップを補強する。またシリコーンビーズ、又はポリマーによるオーバーモールディングが用いられてもよい。
【0111】
リジダイザは厚さ0.1mm〜10mmであってもよい。リジダイザの構造材料に応じて、リジダイザは好ましくは厚さ0.5mm〜5mmであってもよい。一般的に、リジダイザがより薄ければ、結果として患者にとってより快適なヘッドギアとなり得る。リジダイザがより厚ければ、寸法的により安定し得るか、より剛性となり得る。
【0112】
リジダイザは幅1mm〜30mmであってもよい。好ましくは、リジダイザは幅5〜20mmであってもよい。好ましくは、本明細書に記載のいくつかの実施形態におけるリジダイザは幅10mmであってもよい。リジダイザ長さに沿った柔軟性を向上させるために、材料は、幅を高さよりも薄くするか、又はより厚い材料については、幅をより狭くすることができる。
【0113】
異なる実施形態において、リジダイザは布地の裏当材料に対して等しい幅か、又はより小さい幅を有してもよい。布地の裏当材料は、使用中に患者の頭部に接触している。これは使用中におけるヘッドギアシステムの快適性を増大させるためである。
【0114】
さらなる実施形態において、リジダイザは、適切な布地材料の内部に密閉されていてもよく、これにより患者の快適性と装着性とを向上させる。
【0115】
リジダイザはオーバーモールドされてもよく(例えばより軟質な材料によってオーバーモールドされたTPE(例えば
図10参照))、又は別々に形成され、次いで患者に接触する材料(例えばBreath−O−Prene(商標))のソック部(sock)によってリジダイザを包むようにして覆うか、又はスライドさせて覆ってもよい(例えば
図2、
図6及び
図9参照)。別の実施形態において、患者に接触する材料が、接着、超音波溶着、縫合、フックアンドループ材料、及び/又はスタッドコネクタ(stud connector)によってリジダイザに設けられてもよい。実施形態において、患者に接触する材料は、リジダイザにおける患者に接触する側にのみ存在してもよく、これによりヘッドギアの体積とコストとが低減される。
【0116】
またリジダイザの弾力性構造によって、リジダイザに対するストラップの固定性を向上させて、患者による通常の使用状況下において、ストラップがリジダイザを通して引き裂かれたり破れたりすることを防止することができる。
【0117】
図14A〜
図14Gは、別のリジダイザ構成を示す断面図である。
図14Aに示されるように、リジダイザはダイカットされたシート材料780を含んでいてもよく、このシート材料は、例えば縫合又は糊付けによって接合された2つの布地のような、布地781に覆われる。好ましくは、布地の接合部はストラップ内部にあり、これにより、接合部は使用中に患者の顔に接触できなくなる。これは、ストラップを裏返して縫合し、意図されたストラップの向きに戻すことによって達成されてもよく、これにより縫合部は布地のポケットの内部にある。布地は、使用中に患者の顔と接触させるために、軟質な材料によって設けられる。また、軟質な材料は、ベルクロ(登録商標)タブの選択的な取り付けのために適切であろう。患者に接触する側の布地は、患者に接触しない側の布地と同一であってもよい。患者に接触する側の布地は、好ましくは、患者に接触しない側の布地と同一の編み方を有してもよく、これによりストラップの伸展特性は両側において略均等となる。また、患者に接触する側の布地は、患者に接触しない側と同一の熱収縮特性を有することが望ましい。これにより、熱成形、又は他のプロセス、又は熱に晒される際に、ヘッドギアが不均一に変形することを防止することができる。患者に接触する側の布地は、患者に接触しない側と異なる布地であってもよく、これにより患者に接触する側の布地は、患者に接触しない側と比較してより快適となる。
【0118】
図14Bに示すように、リジダイザはダイカットされたシート材料880を含んでいてもよく、このシート材料には例えばTPE、TPUのような軟質ポリマー材料881がオーバーモールドされる。ポリマー材料は、使用中に患者の顔に接触するために、より軟質な材料によって設けられる。
【0119】
図14Cに示されるように、リジダイザは半剛性成形コンポーネント980を含んでいてもよく、このコンポーネントは、例えば2つの布地を縫合によって接合することで、布地981に覆われる。
【0120】
図14Dに示されるように、リジダイザは半剛性成形コンポーネント1080を含んでいてもよく、このコンポーネントは、(例えば溶着、糊付け、オーバーモールドによって)布地複合材料1081(例えばBreath−O−Prene(登録商標)材料、又はこれに類する材料)に取り付けられる。布地複合材料は、使用中に患者の顔に接触するために、より軟質な材料によって設けられる。
【0121】
図14Eに示されるように、リジダイザは半剛性成形コンポーネント1180を含んでいてもよく、このコンポーネントには軟質ポリマー材料1181、例えばTPE、TPUがオーバーモールドされる。ポリマー材料は、使用中に患者の顔に接触するために、より軟質な材料によって設けられる。
【0122】
図14Fに示されるように、リジダイザは、例えばTPE、TPUのような軟質ポリマー材料によって成形された軟質成形コンポーネント1280を含んでいてもよい。実施形態において、成形コンポーネントには、ソフトタッチコーティング又はフロックコーティングが設けられてもよい。
【0123】
図14Gに示されるようにリジダイザは、熱成形され、リジダイザ1380に取り付けられる布地外部層1381を含んでいてもよい。リジダイザはダイカットされたシート材料であってもよい。あるいは、リジダイザは成形された部品、機械加工された部品又は他の形成された部品とすることができる。布地外部層は、互いに熱封止されるか、縫合されるか、超音波切断されるか、CNCナイフ切断されるか又は他の接合が為されてもよい。図示されるように、布地外部層1381は、エッジ部の略中心、又は略中間において接合される。好ましくは、接合部はヘッドギア側面の中心にあるか、中心に近接している。あるいは、使用の際に接合部を、患者の顔から離れて位置させてもよい。また使用の際に、接合部を患者の顔に隣接又は近接させることも可能である。好ましくは、発泡体、又は他の適合材料による層が、リジダイザ1380を囲んでもよく、又はリジダイザ1380の周囲に位置させることができる。発泡体は好ましくはリジダイザ1380の側面の水平なエッジ部に延在してもよく、これによりリジダイザ端部が患者の顔に隣接し、不快感あるいは顔に跡を発生させるのを防ぐ。例えば
図14Hに、リジダイザ1480の少なくとも一部に沿って設けられる布地外部層1481及び発泡体層1482を有するリジダイザ1480を図示する。図示されるように、発泡体層1482は、使用中に結合部1483を患者の顔から離して位置させる。
【0124】
実施形態において、ヘッドギアストラップは熱成形されてもよく、次いでストラップのエッジ部は超音波切断されてもよい。熱成形及び超音波切断されたストラップは、丸みのあるエッジ部7081(
図31に示される)を設け、このエッジ部を設けることにより、使用中に顔面に跡が残ることを実質的に防止することができる。また、熱成形及び超音波切断されたエッジ部は、より軟質で、顔面への当たりが柔らかく、このエッジ部は、使用中の患者の顔におけるより快適な感触(例えば患者の耳の周辺におけるより快適な感触)を提供する。
【0125】
さらなる実施形態において、ヘッドギアの少なくとも一部はスペーサーファブリック(spacer fabric)から構成されてもよく、この場合スペーサーファブリックのエッジ部は超音波溶着されてもよい。このことが原因で、スペーサーファブリックのエッジ部は丸みを帯び、それにより患者の顔に跡が残ることが少なく、快適性が増大する。
【0126】
別の実施形態において、複数の布地外部層は共に接着剤によって接続されてもよい。例えば
図14Iに示されるように、布地第一層1581(1)は、一端又は両端に位置する翼状部1585を有してもよい。接着剤1586(例えば糊)が、布地第二層1581(2)の端部に配置されていてもよく、これにより翼状部1585が接着剤の上に折り畳まれて、ヘッドギアの内部部位を布地層内部に封止することが可能となる。図示されるように、ヘッドギア内部部位は発泡体1582、又はリジダイザ1580、又は両者の組み合わせのような適合材料を含んでもよい。別の内部コンポーネントが、三次元織物のような、本明細書で開示される異なる要素を含んでもよい。さらに接着剤及び翼状部は、接着剤が翼状部に配置される、又は翼状部が布地第二層に配置されるような、別の実施形態で配置されてもよいということが理解されるべきである。さらに布地第一及び第二層は、単一の、連続した1枚の布地であることも可能であり、この布地は一端において、翼状部と接着剤との構成によって封止される。例えば
図14Jに、翼状部1685を一端に含む単一の布地1681を示し、この翼状部は、他端において接着剤1686(例えば糊)の上に折り畳まれるよう構成される。図示されるように、ヘッドギア内部部位は発泡体1682及びリジダイザ1680のような適合材料を含む。
【0127】
好ましくは、ヘッドギアのエッジ部は完全に閉鎖され、即ち、ヘッドギアの内部コンポーネント(リジダイザと適合材料とのようなもの)は完全に布地外部層の内部に収容される。これは、髪の毛が内部コンポーネントに絡まること、又は内部要素と接触することが原因となる不快感を回避するためである。また内部コンポーネントが完全に密閉されているか、又は布地層内部に収容されている場合、システムの清潔感と耐久性とを、より簡単に維持することができる。
【0128】
好ましくは、布地層が相互に接触するエッジ部は、密閉されるか、又はさもなくば隠され、これにより布地が分離すること、又は外れてしまうことを回避する。またこの構成は、丸みのある連続したエッジ部を作成するために好ましい物となり得る。例えば
図14Aを参照されたい。
【0129】
実施形態において、ヘッドギアストラップの1つ以上の態様は、頭頂部ストラップの快適性を強化するよう構成することができる(即ちストラップは、使用の際に患者の頭頂部を横切るよう構成される)。例えば、リジダイザは比較的薄く、例えば1mm未満、0.5mm〜0.8mm程度であってもよい。異なる例において、ストラップは発泡体によって包まれたナイロンリジダイザを含んでいてもよい。このような実施形態において、発泡体の密度を増大させることができ、これにより快適性を向上させ、ナイロンリジダイザの感触を得る可能性を減少させる。さらに、発泡体の厚さが、ヘッドギアのエッジ部の軟質性又は真円度を変更するために利用されてもよい。例えば、厚い発泡体層は、薄い発泡体層と比較して、より丸い角を作るためにより好適であろう。さらなる実施形態において、発泡体はある厚さから始まって、プロセスにおいて異なる厚さまで圧縮されてもよい。発泡体の最初の厚さは5〜30mmであってもよい。好ましくは、最初の厚さは7〜12mmであってもよい。あるいは、最初の発泡体厚さは10〜20mmであってもよい。第二発泡体の厚さは、0.1〜10mmであってもよい。好ましくは、第二発泡体の厚さは、2〜5mmであってもよい。第二発泡体の厚さは、あるいは3〜7mmであってもよい。
【0130】
異なる例において、不織材料(
図32に示されるような物)が頭頂部ストラップのために用いられてもよく、何故なら不織材料は、織物材料と比較してより剛性を有するか、又はより可撓性が低い場合があるためであり、例えばビジネスシャツの襟硬化材は不織材料である。
【0131】
異なる例において、剛性コンポーネントは頭頂部ストラップから取り外すことができ、別の方法として布地頭頂部ストラップ7181が内部発泡体7180と共にヒートプレス又はエンボス加工されてもよく、これにより溶融して形成され、硬質部位が作成される(
図33及び34参照)。例えば、熱成形されたリブは、発泡体を約80%まで加圧することによって形成することができる。
【0132】
異なる例において、多数のリブ7280は、リジダイザにエンボス加工されてもよく、これにより
図35に示すように、外観の体積を減少させながらも剛性を付加している。
【0133】
また、リジダイザはエンボス加工されたリブ、又は他の機構を含んでいてもよく、これにより、ヘッドギアの柔軟性を増大させるか、又は特定の領域における動作を制御している。またエンボス加工を、ブランドロゴをスタンプするために用いてもよい。
【0134】
例えば、ヘッドギアストラップは2つの発泡体層を含んでいてもよい。しかしながら、例えば1層、2層、3層又はより多くの発泡体層のような、他の適切な構成が可能である。実施形態において、患者に接触する側における発泡体は、患者に接触しない側における発泡体と比較して、より低い密度を有していてよく、又はより低い硬度を有していてもよい。また、2つ以上の発泡体層と2つ以上のリジダイザコンポーネントとを有することも可能である。あるいは、ヘッドギアは2つ以上のリジダイザと1つの発泡体層とを備えてもよい。
【0135】
例えば、不織材料が、さらなる発泡体又は布地層の間に、ナイロンリジダイザの代わりに挿入されてもよい。
【0136】
実施形態において、材料及び/又はヘッドギアの構成は、コストを低減するように選択することができる。
【0137】
2.0 製造
好ましくは、ヘッドギアの製造方法は、生産量を最大化し、材料の廃棄を削減することによって、コストを低減し得る。例えばコンポーネントは、コンポーネントをバルク材料において接近してネスト式に配置させることが可能であるよう形作られてもよく、これにより、個別のコンポーネントにダイカットする際に、廃材が減少し、従ってコストが低減される。
【0138】
図41及び
図42に、記載されるヘッドギアを製造するための典型的なプロセスステップを示す。また別の製造ステップも可能である。
【0139】
例えば
図41に、剛性化されたヘッドギアの作成のための典型的なプロセスを示す。この典型的なプロセスは、材料の積層(発泡体及び布地を、積層プロセスによって結合する)、熱成形(発泡体と布地との積層物とを成形型内に配置し、第一積層の頂部において前形成リジダイザを成形型内に配置し、発泡体と布地との第二積層物をリジダイザ頂部に配置し、工具を閉じ、加熱し、積層物を成形型表面の周囲において永久的に結合する)、超音波ダイカット(熱形成シートをダイカット装置に配置し、超音波溶着機をヘッドギア外周に沿って動かす)、及び結合(ヘッドギア頭頂部キャップの下部部位を結合し、ヘッドギアストラップを頭頂部キャップに接続する)を含む。一つのプロセスにおいて、積層は除外されてもよい。異なるプロセスにおいて、熱成形及び超音波切断は、一つのステップにおいて完了されてもよい。
【0140】
図42に、非剛性化ヘッドギアの作成のための典型的なプロセスを示す。この典型的なプロセスは、材料の積層(発泡体と布地とを、積層プロセスによって結合する)、熱成形(発泡体と布地との積層物を成型型内に配置し、工具を閉じ、加熱し、積層物を成形型表面の周囲において永久的に結合する)、超音波ダイカット(熱形成シートをダイカット装置に配置し、超音波溶着機をヘッドギア外周に沿って動かす)、及び縫合(ヘッドギア頭頂部キャップの下部部位を結合し、ヘッドギアストラップをリジダイザに接続する)を含む。
【0141】
図16Aに図示されるように、本発明によるヘッドギアコンポーネント660は、シートからのダイカットのために構成することができる。
図16Aの例において、12個のヘッドギアコンポーネント660は、布地材料の単一のシート2500から切り取られてもよい。
図16Aに示されるヘッドギアコンポーネント660は、比較的直線的であるストラップのセットと接合されてもよく、このストラップは効率的にネスト式に配置することができ(図示されない)、この組み合わせによって完全なヘッドギアアセンブリが作製される。従来技術である
図16Bにおいて示される構成では、
図16Bにおいて示される異なる設計のように、たった3つのヘッドギアアセンブリ2600しか同様のサイズのシート2500から切り出すことができない。
図16Bにおいては、1平方メートルあたり約11.5個のヘッドギアが作製される。本明細書における目的のために、本明細書において「高い製造量」とは、1平方メートルあたり11.5個のヘッドギアを超える任意の製造量であると規定されるものとする。
【0142】
ResMedQuattro(登録商標)ヘッドギアのような、他の従来技術ヘッドギア構成とは対照的に、ここに示される実施形態は、複数のコンポーネントから構成され、分離されている際は、これらのコンポーネントは置き場所にも困らない単純な幾何学的外形を有している。例えば、
図6において示される実施形態において、上部ヘッドギアストラップ620及び下部ヘッドギアストラップ630は略直線、略長方形コンポーネントであり、このコンポーネントはネスト式に配置可能であり、材料のバルクピースから廃棄物を出さずに切り出すことが可能である。あるいは、上部ヘッドギアストラップ620と下部ヘッドギアストラップ630は織物材料から形成され、廃棄物なく決まった長さに切り出すことが可能である。リジダイザ660は、
図15に示されるように、平坦なピースから形成することができる。このような構成においては、リジダイザを
図16Aにおいて示されるように互いに近接してネスト式に配置することが可能であるため、多数のリジダイザを、リジダイザ材料の単一のバルクシートから、廃棄物を最小にしながら形成することが可能である。リジダイザ660は略弓型形状を有するが、当業者であれば、これを比較的単純な幾何学的形状であると考えるであろう。
【0143】
ResMedQuattro(登録商標)ヘッドギアのような従来技術ヘッドギアとは対照的に、このような形状であれば近接してネスト式に配置することが可能であるが、ヘッドギアの一般的な形状 (即ち、打ち抜きで形成される、ヘッドギアにおける開口部又は穴)がに起因して廃棄物は生成される。
【0144】
さらなる実施形態が
図17〜
図20において描写される。
図20において、患者の頭部への医療機器の取り付けに用いるための、組み立てられたヘッドギア3015が描写される。本実施形態において望ましい医療機器とは、CPAP装置のマスクである。
【0145】
描写されるヘッドギア3015は、患者の顔にフェイスマスクを取り付けるよう構成される。ヘッドギア3015は、第一ストラップ3010、第二ストラップ3012、及び第三ストラップ3013を備える。第二ストラップ3012及び第三ストラップ3013は、接続手段によって第一ストラップ3010に取り付けられ、この接続手段は、他のストラップを収容するよう構成される一連の又は複数の穴若しくは開口部、を第一ストラップ3010において備える。第二ストラップ3012及び第三ストラップ3013は、元のストラップへ折り返され、好ましくはストラップ外表面における軟質な布地材料へ接続される1つ以上のベルクロ(登録商標)タブの使用によって、第一ストラップ3010へ固定又は接続することができる。好ましくは、ストラップにおいて用いられるベルクロ(登録商標)タブ及び軟質な布地は、ベルクロ(登録商標)の使用と共通する「フックアンドループ(hook and loop)」取付具において互いに選択的に係合することが可能である。
【0146】
第一ストラップ3010は、
図17及び
図18において示される構造を備える。弾力性のある材料である剛性又は半剛性層3001は、軟質な布地材料である第一層3004と第二層3002との間に密閉される。好ましくは、軟質布地は生体適合性があるよう構成され、使用中に、層3002及び3004は患者の皮膚層に接触してもよい。生体適合性及び軟質性は共に、患者の肌の炎症を減少させ得る。
【0147】
剛性層3001と第一軟質布地層3004との間に、クッション層3003が密閉される。好ましくは、このクッション層3003は、軟質な発泡体状の材料によって構成される。使用中に、第一ストラップ3010は好ましくは、第一軟質布地層3004と接触させることにより患者の皮膚層に接触するよう構成される。
図17において描写される第一ストラップ3010の多層化された構成は、一つのストラップ部に沿って延在し、これにより本実施形態において開示されるように正確に機能するためにのみ必要とされる。
【0148】
好ましくは、第一ストラップ3010の層は、お互いに加硫又は糊付けによって取り付けられてもよい。加えて、第一布地層3004と第二布地層3002とは、同等又は同一の材質であることは必要とされず、且つヘッドギア3015の美的外観を向上させるために他の材料で代替されても構わない。
【0149】
本実施形態において、第二ストラップ3012と第三ストラップ3013とは完全に軟質布地材料によって構成されてもよく、これにより快適性が向上する。しかしながら、他のストラップ構成も可能である。
【0150】
剛性層3001又はリジダイザは、好ましくはポリカーボネート、レキサン(Lexan)(登録商標)又は同様の弾力性がある材料であって、厚さが約1〜2mmであるものによって構成することができる。軟質布地材料はBreath−O−Prene(商標)、又はナイロン又はスパンデックス(Spandex)(商標)が含まれるがこれらに限定されない他の軟質布地材料であってもよい。
【0151】
好ましくは、第一ストラップ3010は、
図20において示されるヘッドギアアセンブリ又は構成3015の全体の中で、リジダイザとして機能させることができる。この構造の中にリジダイザを含むことの一つの利点は、特に
図20に示される構成で設置された際に、患者の頭部に沿った圧力の均等配分を可能とし得ることである。本実施形態は、リジダイザを患者の後頭部に沿って、又は後頭部の上に備え付けることで、患者の快適性を向上させることができる。
【0152】
本実施形態におけるさらなる利点によって、ストラップの構造は最適化され得、これにより廃棄物が減少する。従来、ヘッドギアのストラップは、材料の単一バルクピースからヘッドギア全体を切り出すことによって構成され、この切り出しは比較的大量の廃棄材料を伴っていた。
図19に、製造材料のバルクピースから切り出される複数のストラップが描写される。描写されるように、第一ストラップ3010の軟質布地材料の第二層3002は、材料のバルクシート3011の中に示される。この例において廃棄物は、それぞれのコンポーネントストラップを同一のバルクシート3011において隙間なくネスト式に配置させることにより、制限され、最小化される。
【0153】
さらなる実施形態において、発泡体の内部層は成形されてもよく、これにより剥き出しの(skinne)発泡体がヘッドギア形状を形成する。あるいは、任意の発泡体(剥き出しか、剥き出しではないか、又は部分的に剥き出されたもの)は最初にヘッドギア形状に形成されるか、又は他の手段で形作られてもよい。布地は、次いで発泡体層上に積層することができる。
【0154】
さらなる別の実施形態において、布地又は織物はモールド及びポリマーの中に配置されてもよく、又は他のこのような成形用材料が布地上に射出されてもよく、これにより望ましいヘッドギア形状となる。
【0155】
さらなる実施形態において、布地外部層はゲル、空気、及び/又は他のガスによって満たされていてもよい。ガスは、各々のポケットにおいて可変である体積を有しながら、ポケット内部に選択的に満たされてもよく、これによりヘッドギアのセクションによって提供される剛性又は支持に影響する。布地外部層は気密性を必要とし、このため例えば不浸透性のポリマー層によって積層することができる。
【0156】
さらなる別の実施形態において、布地外部層は2本の撚糸材料(cords of material)に沿って、又は撚糸材料の周囲に形成することができる。撚糸材料は、材料の側面において環状エッジを作成することを目的とする。例えば、
図43に、提案されるヘッドギア又はその部位の横断面を示す。この場合撚糸1785は布地外部層1781の内部に設けられ、材料において丸みのある箇所を為す。撚糸は両側に設けられてもよく(図示される通り)、又はヘッドギアストラップのちょうど片側に設けられてもよい。撚糸は発泡体、ゲル、ポリマー、又は他の適合材料によって構成することができる。撚糸は別の形状を有していてもよく、例えばそれらは卵型又は楕円形断面を有していてもよい。撚糸はさらに、分離された物として示される(即ち、ヘッドギアセクションの中央部を通してお互い接合されることはない)が、しかしながら撚糸をもう一方に接続することが可能である。
【0157】
また発泡体外部層も単一ピースの材料によって構成されてもよく、この材料は布地のチューブを作るために連続して編まれているということもまた理解されるべきである。
【0158】
本発明はマスクシステムのためのヘッドギアに関して記載されるが、本発明はマスクシステムの前額部パッド、マスククッション、快適なパッド、チューブラップ(tube wrap)、快適なソックス状器具、顎ストラップ、マスクフレーム、又は他の適切な部位のような、マスクシステムの異なる部位に対して適用可能であり得るということが理解されるべきである。
【0159】
迅速な取り外し機構をヘッドギアに取り付けることも可能であり、これは例えばヘッドギア後部における選択的な取り外し可能部位である。この取り外し機構は、引き紐を有するフックアンドループ材料による接続を含んでもよい。あるいは迅速な取り外し機構は、クリップ留め、又は他の機構であってもよく、これにより患者がマスクシステムの取り外しを緊急の際に行うことが可能となる。
【0160】
さらなる実施形態において、チューブ取付コンポーネントを、ヘッドギアに取付可能にするか、又は形成することが可能である。例えば、チューブに巻きつくためのストラップがヘッドギアに設けられてもよく、このストラップはチューブにフックアンドループ接続によって取り付けられてもよい。あるいは、チューブと係合するためのクリップ又はリングがヘッドギアに取り付けられるか、又は形成されてもよい。
【0161】
またリジダイザは、選択的に調節が可能な形状可変材料によって形成することができる。例えば、リジダイザは金属から形成されてもよく、これにより患者はヘッドギア形状を望ましい位置に調整させることが可能となる。またリジダイザの形成を、熱変形材料によって行うことも可能であり、これによりヘッドギアは加熱され患者の頭部に配置されてもよく、次いで患者の頭部の形状又は輪郭をとる。ヘッドギアが冷却される際、ヘッドギアはこの形状を留め得る。またリジダイザはニチノール(nitinol)のような、形作ることが可能である展性材料によって形成することができる。
【0162】
またヘッドギアには、付加的な材料の挿入のための、又は材料の取り外しのためのポケット又は間隙部が設けられてもよい。ポケット又は間隙部は、患者が特定の部位におけるヘッドギアの硬さ又は快適性を、変更及び適合させることができるように設けられてもよい。例えば、ポケット又は空間は、ヘッドギア後部に設けられてもよく、これにより患者は詰め物又は適合材料をヘッドギアのこの部位に加えることが可能となる。
【0163】
さらなる実施形態においてヘッドギアには、もし患者が必要とするならば、詰め物又は軟質材料のソックス部(socks)若しくはラップ部(wraps)が設けられてもよく、これにより患者に付加的な快適性を提供する。ソックス部若しくはラップ部はヘッドギアストラップに、例えばクリップ止め、フックアンドループ材料、プルオーバー又は他の適切な接続方法によって、選択的に取り付けられる。
【0164】
またヘッドギアを、患者を診察又はモニタリングするためのセンサーと共に設けることができる。
【0165】
別の実施形態において、上述のリジダイザは、実質的に非伸展性及び/又は弾力性を有する1つ以上の要素によって代替又は補完されてもよい。例えば、上述のリジダイザの使用の代わりに、縫合又はエンボス加工が、実質的に非伸展性構造を作成するために用いられてもよい。さらに、非剛性ばね構造によって弾力性を与えてもよい。
【0166】
本発明は、現在最も実用的且つ望ましいと考えられる実施形態に関連して記載されるが、本発明は開示された実施形態に限定されるべきではなく、しかしそれどころか、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変更形態及び同等の構成を包含することを目的とすることは、理解されるべきである。また、上述された様々な実施形態は、他の実施形態と組み合わせて実施されてもよく、例えば一つの実施形態の態様は、もう一つの実施形態を実現させるために、異なる実施形態の態様と組み合わされてもよい。さらに、任意の与えられたアセンブリにおける、それぞれの独立した機構又はコンポーネントは、さらなる実施形態を構成してもよい。また、本発明はOSAを患う患者に対する特定のアプリケーションを有するが、異なる疾患(例えば鬱血性心不全、糖尿病、病的肥満、脳卒中、肥満手術、等)を患う患者への利益を上述の教示より導き出すことが可能であるということが理解されるべきである。さらに、上述の教示は、非医療アプリケーションにおいても同様に、患者及び非患者に対する適用範囲を有する