(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5701811
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】片面タッチパネル構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/044 20060101AFI20150326BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
G06F3/044 129
G06F3/041 400
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-90165(P2012-90165)
(22)【出願日】2012年4月11日
(65)【公開番号】特開2012-221509(P2012-221509A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2012年5月25日
(31)【優先権主張番号】201110089426.5
(32)【優先日】2011年4月11日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512095406
【氏名又は名称】富創得科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】張智順
【審査官】
遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−040028(JP,A)
【文献】
特開2010−020315(JP,A)
【文献】
特開2009−259063(JP,A)
【文献】
特表2006−511879(JP,A)
【文献】
特開2010−140369(JP,A)
【文献】
特開2011−028476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/044
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
複数のマスク層であって、不透明材料から構成されて前記基板の上部に形成され、各マスクが厚さを有し、前記基板を部分的に露出させるマスクパターンと、前記マスク層の間に位置する空間とを有し、前記基板の下に配置された表示装置から発せられた光を遮蔽するための複数のマスク層と、
前記マスク層及び前記基板の露出部分の上部に形成されて前記空間に充填され、第1の方向に沿って平行に配置された複数の第1のパターンを有し、前記マスク層に対する第1の高さと前記基板に対する第2の高さとを有し、前記第2の高さが前記第1の高さより大きい第1の透明導電層と、
前記第1の透明導電層の上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層の上に形成され、前記第1の方向と角度をなして交差する第2の方向に沿って平行に配置され、前記絶縁層を介して前記第1のパターンと互いに隔てられつつ、複数のコンデンサが形成される交差点において前記第1のパターンと互いに交差する複数の第2のパターンを有する第2の透明導電層と、
を備えたことを特徴とする片面タッチパネル構造。
【請求項2】
前記基板はガラス基板であり、前記第1の透明導電層及び前記第2の透明導電層はインジウムスズ酸化物(ITO)から構成され、前記絶縁層は二酸化ケイ素(SiO2)から構成されることを特徴とする請求項1に記載の片面タッチパネル構造。
【請求項3】
各第1のパターンは、複数の第1の本体部及び複数の第1の接続部を、隣接する2つの第1の本体部が1つの第1の接続部を介して互いに接続した状態で備え、
各第2のパターンは、複数の第2の本体部及び複数の第2の接続部を、隣接する2つの第2の本体部が1つの第2の接続部を介して互いに接続した状態で備え、
前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、当該第1の接続部の上部に当該第2の接続部が配置されるように前記絶縁層を介して互いに垂直方向に隔てられつつ、前記第1のパターンと前記第2のパターンとの間の交差点に位置し、
前記第1の接続部、前記絶縁層、及び前記第2の接続部は、当該第2の接続部が押圧されると静電容量値が変化する複数のコンデンサを形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の片面タッチパネル構造。
【請求項4】
前記第1の本体部及び前記第2の本体部は、正方形、長方形、菱形、円形、楕円形、又は多角形の形状を有し、前記第1の接続部及び前記第2の接続部の各々は、細長い形状を有することを特徴とする請求項3に記載の片面タッチパネル構造。
【請求項5】
銀を含む導電材料から構成され、外部装置に接続するための外部接続配線層を、前記第2の透明導電層の上にさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の片面タッチパネル構造。
【請求項6】
基板と、
複数のマスク層であって、不透明材料から構成されて前記基板の上部に形成され、各マスクが厚さを有し、前記基板を部分的に露出させるマスクパターンと、前記マスク層の間に位置する空間とを有し、前記基板の下に配置された表示装置から発せられた光を遮蔽するための複数のマスク層と、
前記マスク層及び前記基板の露出部分の上部に形成されて前記空間に充填されるバッファ層と、
前記バッファ層の上部に形成され、第1の方向に沿って平行に配置された複数の第1のパターンを有し、前記マスク層に対する第1の距離と前記基板に対する第2の距離とを有し、前記第2の距離が前記第1の距離より大きい第1の透明導電層と、
前記第1の透明導電層の上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層の上に形成され、前記第1の方向と角度をなして交差する第2の方向に沿って平行に配置され、前記絶縁層を介して前記第1のパターンと互いに隔てられつつ、複数のコンデンサが形成される交差点において前記第1のパターンと互いに交差する複数の第2のパターンを有する第2の透明導電層と、を備え、
前記バッファ層は反射防止層又は他の絶縁層の機能を有する
ことを特徴とする片面タッチパネル構造。
【請求項7】
前記基板はガラス基板であり、前記第1の透明導電層及び前記第2の透明導電層はインジウムスズ酸化物(ITO)から構成され、前記絶縁層は二酸化ケイ素(SiO2)から構成されることを特徴とする請求項6に記載の片面タッチパネル構造。
【請求項8】
各第1のパターンは、複数の第1の本体部及び複数の第1の接続部を、隣接する2つの第1の本体部が1つの第1の接続部を介して互いに接続された状態で備え、
各第2のパターンは、複数の第2の本体部及び複数の第2の接続部を、隣接する2つの第2の本体部が1つの第2の接続部を介して互いに接続した状態で備え、
前記第1の接続部及び前記第2の接続部は、当該第1の接続部の上部に当該第2の接続部が配置されるように前記絶縁層を介して互いに垂直方向に隔てられつつ、前記第1のパターンと前記第2のパターンとの間の交差点に位置し、
前記第1の接続部、前記絶縁層、及び前記第2の接続部は、当該第2の接続部が押圧されると静電容量値が変化する複数のコンデンサを形成する
ことを特徴とする請求項6に記載の片面タッチパネル構造。
【請求項9】
前記第1の本体部及び前記第2の本体部は、正方形、長方形、菱形、円形、楕円形、又は多角形の形状を有し、前記第1の接続部及び前記第2の接続部の各々は、細長い形状を有することを特徴とする請求項8に記載の片面タッチパネル構造。
【請求項10】
銀を含む導電材料から構成され、外部装置に接続するための外部接続配線層を、前記第2の透明導電層の上にさらに備えたことを特徴とする請求項6に記載の片面タッチパネル構造。
【請求項11】
基板の上部に、複数のマスク層であって、不透明材料から構成されて、各マスクが厚さを有し、前記基板を部分的に露出させるべくエッチングによって形成されたマスクパターンと、前記マスク層の間に位置する空間とを有し、前記基板の下に配置された表示装置から発せられた光を遮蔽するための複数のマスク層を形成するステップと、
それぞれが、複数の第1の本体部及び複数の第1の接続部を、隣接する2つの第1の本体部が1つの第1の接続部を介して互いに接続された状態で備え、前記マスク層及び前記基板の露出部分の上部、及び前記空間の中に第1の方向に沿って平行に配置された複数の第1のパターンを有し、前記マスク層に対する第1の高さと前記基板に対する第2の高さとを有し、前記第2の高さが前記第1の高さより大きい第1の透明導電層を形成するステップと、前記第1の透明導電層の上に絶縁層を形成するステップと、
それぞれが、複数の第2の本体部及び複数の第2の接続部を、隣接する2つの第2の本体部が1つの第2の接続部を介して互いに接続された状態で備え、第2の方向に沿って平行に配置され、前記絶縁層を介して前記第1のパターンと互いに隔てられつつ、複数のコンデンサが形成される交差点において前記第1のパターンと互いに交差する複数の第2のパターンを有する第2の透明導電層を前記絶縁層の上に形成するステップと、
を備えたことを特徴とする片面タッチパネル構造の製造方法。
【請求項12】
前記基板はガラス基板であり、前記第1の透明導電層及び前記第2の透明導電層はインジウムスズ酸化物(ITO)から構成され、前記絶縁層は二酸化ケイ素(SiO2)から構成されることを特徴とする請求項11に記載の片面タッチパネル構造の製造方法。
【請求項13】
前記第1の本体部及び前記第2の本体部は、正方形、長方形、菱形、円形、楕円形、又は多角形の形状を有し、前記第1の接続部及び前記第2の接続部の各々は、細長い形状を有することを特徴とする請求項11に記載の片面タッチパネル構造の製造方法。
【請求項14】
銀を含む導電材料から構成され、外部装置に接続するための外部接続配線層を、前記第2の透明導電層の上に形成するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項11に記載の片面タッチパネル構造の製造方法。
【請求項15】
基板の上部に、複数のマスク層であって、不透明材料から構成されて、各マスクが厚さを有し、前記基板を部分的に露出させるべくエッチングによって形成されたマスクパターンと、前記マスク層の間に位置する空間とを有し、前記基板の下に配置された表示装置から発せられた光を遮蔽するための複数のマスク層を形成するステップと、
前記マスク層及び前記基板の露出部分の上部にバッファ層を形成して前記空間に充填するステップと、
それぞれが、複数の第1の本体部及び複数の第1の接続部を、隣接する2つの第1の本体部が1つの第1の接続部を介して互いに接続された状態で備え、前記バッファ層の上部に第1の方向に沿って平行に配置された複数の第1のパターンを有し、前記マスク層に対する第1の距離と前記基板に対する第2の距離とを有し、前記第2の距離が前記第1の距離より大きい第1の透明導電層を形成するステップと、
前記第1の透明導電層の上に絶縁層を形成するステップと、
それぞれが、複数の第2の本体部及び複数の第2の接続部を、隣接する2つの第2の本体部が1つの第2の接続部を介して互いに接続された状態で備え、第2の方向に沿って平行に配置され、前記絶縁層を介して前記第1のパターンと互いに隔てられつつ、複数のコンデンサが形成される交差点において前記第1のパターンと互いに交差する複数の第2のパターンを有する第2の透明導電層を形成するステップと、
を備えたことを特徴とする片面タッチパネル構造の製造方法。
【請求項16】
前記基板はガラス基板であり、前記第1の透明導電層及び前記第2の透明導電層はインジウムスズ酸化物(ITO)から構成され、前記絶縁層は二酸化ケイ素(SiO2)から構成されることを特徴とする請求項15に記載の片面タッチパネル構造の製造方法。
【請求項17】
前記第1の本体部及び前記第2の本体部は、正方形、長方形、菱形、円形、楕円形、又は多角形の形状を有し、前記第1の接続部及び前記第2の接続部の各々は、細長い形状を有することを特徴とする請求項15に記載の片面タッチパネル構造の製造方法。
【請求項18】
銀を含む導電材料から構成され、外部装置に接続するための外部接続配線層を、前記第2の透明導電層の上に形成するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項15に記載の片面タッチパネル構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル及びその製造方法に関し、特に、連結ブリッジ構造を持たない片面タッチパネル構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
台湾特許第M378433号に開示されているように、従来型静電容量式タッチパネルは、通常、X方向及びY方向の信号線によって画定された透明導電層に形成された絶縁層を含む。当該絶縁層の上には最終的に金属層を形成するが、該金属層は、X方向及びY方向に沿って交差する交差点において信号線を直列接続する連結ブリッジ構造としての役割を果たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、絶縁層に連結ブリッジ構造を形成するためには、多くのフォトマスクが必要となるため、製造コストが増加するという不都合がある。
さらに、絶縁層の形成が不完全な場合は、交差点で接続不良を起こして、タッチパネルのタッチ機能の不具合を招いてしまう。
また、連結ブリッジ構造に亀裂が入りやすくなり、歩留まりが大きく低下してしまう。
【0004】
そのため、連結ブリッジ構造を持たない片面タッチパネル構造の必要性が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、片面タッチパネル構造及びその製造方法を提供することである。
前記片面タッチパネル構造は、基板と、マスク層と、第1の透明導電層と、絶縁層と、第2の透明導電層と、を備え、前記マスク層、前記第1の透明導電層、前記絶縁層、及び前記第2の透明導電層は、前記基板の上に下から上に向かって順に形成される。
前記第1の透明導電層は、複数の第1パターンを有し、前記第2の透明導電層は、複数の第2のパターンを有する。
前記マスク層は、入射光を遮蔽するために用いられるとともに、マスクパターンを有するので、第1の透明導電層の一部分が基板と接触することができる。
【0006】
前記第1のパターンは、第1の方向に沿って平行に配置される。前記第2のパターンは、前記第1の方向と角度をなして交差する第2の方向に沿って平行に配置される。
前記第1のパターン及び前記第2のパターンは互いに交差し、前記絶縁層によって互いに隔てられる。そのため、前記第1のパターンと前記第2のパターンとの間の交差点に複数のコンデンサが形成され、指を触れると静電容量を変化させることができる。
【0007】
前記第1の方向と前記第2の方向との間に画定された角度は、90°よりも小さくする又は、90°とする又は、90°よりも大きくすることができる。
【0008】
前記第1のパターンの各々は、複数の第1の本体部及び複数の第1の接続部を備え、2つの隣接する第1の本体部は1つの第1の接続部を介して互いに接続される。すなわち、前記第1の本体部及び前記第1の接続部は互いに交互に接続される。
前記第2のパターンの各々は、複数の第2の本体部及び複数の第2の接続部を備え、2つの隣接する第2の本体部は1つの第2の接続部を介して互いに接続される。すなわち、前記第2の本体部及び前記第2の接続部は互いに交互に接続される。
前記第2の接続部はそれぞれ、対応する前記第1の接続部の上方に位置し、絶縁層によって前記第1の接続部から隔てられる。
前記第1の本体部及び前記第2の本体部は、正方形、長方形、菱形、円形、楕円形、又は多角形の形状を有することが可能であり、前記第1の接続部及び前記第2の接続部の各々は細長い形状を有することが可能である。
従って、前記片面タッチパネル構造は、ブリッジ構造を必要とせず、異なる透明導電層を用いてタッチパネルのコンデンサを形成することができる。その結果、前記構造を簡略化することができ、前記片面タッチパネル構造の信頼性を向上させることができる。
【0009】
本発明の他の態様は、基板の上に、当該基板の上面を部分的に露出させるマスクパターンを有するマスク層を形成するステップと、前記マスク層及び前記基板の露出した上面に、第1の方向に沿って平行に配置された複数の第1パターンを有する第1の透明導電層を形成するステップと、前記第1の透明導電層の上に絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層の上に、前記第1の方向と角度をなして交差する第2の方向に沿って平行に配置される複数の第2パターンを有する第2の透明導電層を形成するステップと、を備えた片面タッチパネル構造の製造方法を提供することである。
前記第1のパターン及び前記第2のパターンは互いに交差し、絶縁層によって隔てられるので、複数のコンデンサがそれぞれ、前記第1のパターンと前記第2のパターンとの間の複数の交差点に形成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る片面タッチパネル構造では、ブリッジ構造を必要とせず、異なる透明導電層を用いてタッチパネルのコンデンサを形成することができる。その結果、前記構造を簡略化することができ、前記片面タッチパネル構造の信頼性を向上させることができる。
さらに本発明に係る片面タッチパネルの製造方法では、フォトマスクの数を減らすことができ、前記絶縁層が前記基板を全体的に覆って、エッチングの悪さや露出の悪さによって起こる短絡の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る片面タッチパネル構造の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る片面タッチパネル構造の上面図である。
【
図4】本発明のもう一つの実施形態に係る片面タッチパネル構造の概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る片面タッチパネル構造の製造方法のフローチャートである。
【
図6】本発明のもう他の実施形態に係る片面タッチパネル構造の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前述した本発明の特徴を詳細に理解できるように、先に簡潔に本発明の概要を述べるとともに、添付図面にて例示した幾つかの実施の形態を参照しつつ、より具体的に説明する。
なお、添付した図面の記載は、本発明の典型的な実施の形態を説明するものであって、本発明を限定する制限するものではない。
【実施例】
【0013】
図1は本発明の一実施形態たる片面タッチパネル構造の概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係る片面タッチパネル構造は、基板10と、マスク層20と、第1の透明導電層30と、絶縁層40と、第2の透明導電層50とを備える。
マスク層20、第1の透明導電層30、絶縁層40、及び第2の透明導電層50は、基板10の上に下から上に向かって順に形成される。
基板10は、ガラス基板とすることができ、表示装置(図示せず)は、基板10の下に配置することができる。表示装置には、画像を表示する液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、電子発光ディスプレイ、又はLEDディスプレイを含む。
【0014】
不透明材料で作られるマスク層20は、基板10の下に配置された表示装置から発せられた光を遮蔽するために用いられる黒色層とすることができる。
また、部分的に基板10を露出させるためにマスク層20をパターン成形する。
第1の透明導電層30は、マスク層20及び基板10の露出部分の上に形成される。
絶縁層40は、第1の透明導電層30の上に形成される。第2の透明導電層50は、絶縁層40に形成される。
第1の透明導電層30及び第2の透明導電層50は、インジウムスズ酸化物(ITO)で作ることができ、絶縁層40は、二酸化ケイ素(SiO
2)で作ることができる。
【0015】
本発明の片面タッチパネル構造の上面図及び部分拡大図である
図2及び
図3を参照して説明すると、第1の透明導電層30は、第1の方向Xに沿ってそれぞれが平行に配置される複数の第1パターンを有する。
第2の透明導電層50は、90°よりも小さい角度、90°と等しい角度、又は90°よりも大きい角度で第1の方向Xと交差する第2の方向Yに沿ってそれぞれが平行に配置される複数の第2のパターンを有する。
方向Xと方向Yとの間の角度は本実施形態では90°であるが、90°に限定されるものではない。
第1のパターン及び第2のパターンは互いに交差し、
図2の領域Aに示したように、絶縁層40によって隔てられている。
【0016】
各第1のパターンは、直列に配置される複数の第1の本体部32及び複数の第1の接続部34を備え、2つの隣接する第1の本体部32は、1つの第1の接続部34を介して互いに接続される。すなわち、第1の本体部32及び第1の接続部34は、互いに交互に接続される。
各第2のパターンは、直列に配置される複数の第2の本体部52及び複数の第2の接続部54を備え、2つの隣接する第2の本体部52は、1つの第2の接続部54を介して互いに接続される。すなわち、第2の本体部52及び第2の接続部54は、互いに交互に接続される。
第2の接続部54はそれぞれ、第1の接続部34の上部に配置される。
さらに、第1の接続部34及び第2の接続部54は、第1のパターンと第2のパターンとの間の交差点に位置し、絶縁層40によって互いに垂直方向に隔てられる(
図1に示す)。
そのため、第1の接続部34、絶縁層40、及び第2の接続部54は、第2の接続部54が押圧されると静電容量値が変化するコンデンサを形成する。このようにして静電容量式タッチパネルが提供される。
【0017】
第1の本体部32及び第2の本体部52は、正方形、長方形、菱形、円形、楕円形、又は多角形を有することができる。
また、第1の接続部34及び第2の接続部54はそれぞれ、細長い形状を有することができる。
【0018】
図4は、本発明の片面タッチパネル構造のもう一つの実施形態の概略図である。
図4の本発明の片面タッチパネル構造は、
図1のものと同様であるが、
図4の片面タッチパネル構造では、第1の透明導電層30の下部且つマスク層20及び基板10の露出部分の上部に形成されるバッファ層60をさらに含むという違いがある。
バッファ層60は、反射防止材料で作られる。バッファ層60を反射防止層として用いて下層の表示装置から発せられた光の反射を低減させることができるので、光透過率が増加する。さらに、バッファ層60は、絶縁層40と同じ材料で他の絶縁層として形成することもできる。
【0019】
図1及び
図4に示した構造は、第2の透明導電層50に形成され、外部装置(図示せず)に接続するために用いられる外部接続配線層(図示せず)をさらに備える。この外部接続配線層は、銀などの導電性材料で作ることができる。
【0020】
本発明に係る片面タッチパネル構造では、ブリッジ構造は必要ない。本発明に係る片面タッチパネル構造では、第1の透明導電層の第1のパターンの第1の本体部が、第1の接続部を介して互いに接続される。同様に、第2の透明導電層の第2のパターンの第2の本体部が、第2の接続部を介して互いに接続される。さらに、第1のパターン及び第2のパターンは互いに交差し、絶縁層によって隔てられる。
【0021】
図5は、本発明に係る片面タッチパネル構造の製造方法を示すフローチャートである。ステップS10において、基板を部分的に露出させるためのマスクパターンを有するマスク層を当該基板の上に形成する。マスクパターンは、エッチングによって形成することができる。
【0022】
ステップS12において、第1の透明導電層をマスク層及び基板の露出部分の上に形成する。第1の透明導電層は、第1の方向に沿って平行に配置される複数の第1パターンを有する。第1のパターンは、直列に配置される複数の第1の本体部及び複数の第1の接続部を備え、2つの隣接する第1の本体部は、1つの第1の接続部を介して互いに接続される。すなわち、第1の本体部及び第1の接続部は、互いに交互に接続される。
【0023】
ステップS14において、絶縁層を第1の透明導電層の上に形成する。ステップS16において、第2の透明導電層を絶縁層の上に形成する。第2の透明導電層は、第2の方向に沿って平行に配置される複数の第2のパターンを有する。第2のパターンは、直列に配置される複数の第2の本体部及び複数の第2の接続部を備え、2つの隣接する第2の本体部は、1つの第2の接続部を介して互いに接続される。すなわち、第2の本体部及び第2の接続部は、互いに交互に接続される。
【0024】
図6は、片面タッチパネル構造の他の製造方法のフローチャートである。
図6のフローチャートには、ステップS10とステップS12との間にバッファ層を形成するステップS11がさらに含まれる。バッファ層は、マスク層及び基板の露出部分の上に形成される。ステップS12において、第1の透明導電層をバッファ層の上に形成する。残りのステップは、
図5に示した実施形態と同様である。
【0025】
図5及び
図6の実施形態は、第2の透明導電層の上に外部接続配線層を形成するステップをさらに含むことができ、外部接続配線層を用いて外部装置に接続する。この外部接続配線層は、銀などの導電性材料で作ることができる。
【0026】
本発明に係る方法を用いることで、適用されるフォトマスクの数を減らすことができ、形成されたパターンを簡略化することができる。ブリッジ構造を必要とせず、絶縁層が基板の全面に形成されるので、エッチングの悪さや露出の悪さ等による短絡の発生を防止することができる。よって、製品の歩留まり及び動作信頼性が向上する。
【0027】
既述した記載は、本発明の例示を示したに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。前記した説明は本発明の実施形態のためのものであり、本発明の基本的な範囲と同等の置換や変更も本発明の範囲に含まれるべきものである。
【符号の説明】
【0028】
10 基板
20 マスク層
30 第1の透明導電層
32 第1の本体部
34 第1の接続部
40 絶縁層
50 第2の透明導電層
52 第2の本体部
54 第2の接続部
60 バッファ層