(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
記録媒体を載置可能な給紙カセットを、装置本体から引き出した引き出し位置と本体装置に装着した装着位置との間で、装着方向及び引き出し方向にスライド移動可能とする画像形成装置において、
前記給紙カセットに設けられた係合部材と、
弾性部を介した第1の箇所と第2の箇所が圧縮した状態で備えられ、前記第1の箇所が前記画像形成装置本体に対して回動軸を中心に回動自在に支持され、前記第2の箇所が前記係合部材と係合可能な付勢部材と、
前記画像形成装置本体に固定され、前記第2の箇所の移動を規制するガイド規制部材と
を有し、
前記付勢部材は、
前記給紙カセットが前記引き出し位置から前記装着位置に向かう前記装着方向に移動する過程において、前記係合部材と前記第2の箇所とが係合してから前記給紙カセットが前記装着位置に達するまでの間で常時圧縮した状態であることを特徴とする画像形成装置。
前記ガイド規制部材は、前記給紙カセットが前記引き出し位置にあるとき、前記第2の箇所を前記装着方向における前記第1の箇所の上流側で位置規制する位置規制部を有し、
前記位置規制部は、前記給紙カセットが前記引き出し位置にあるとき、前記付勢部材と前記係合部材とが係合可能な位置で前記付勢部材を位置規制することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
前記給紙カセットが前記装着位置にあるとき、前記付勢部材の前記第1の箇所が、前記付勢部材の前記第2の箇所より前記装着方向の上流側に位置することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像形成装置。
前記ガイド規制部材は、前記付勢部材の、前記第1の状態から前記第2の状態への移行、及び前記第4の状態から前記第1の状態への移行に伴って、前記付勢部材の前記第2の箇所を、前記給紙カセットの移動方向及び前記回動軸方向と直交する変位方向で変位させることを特徴とする請求項4又は5記載の画像形成装置。
前記係合部材は、前記給紙カセットの移動方向と垂直に形成されて互いに対向する、前記引き出し位置側の第1の面と前記装着位置側の第2の面とを備え、前記第1の面又は/及び前記第2の面が前記付勢部材の前記第2の箇所と当接することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
前記ガイド規制部材は、前記給紙カセットが前記装着位置にあるとき、前記係合部材の前記回動軸方向への移動を規制することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の画像形成装置。
前記付勢部材は、前記第1の箇所が、前記装着方向側の第1の支持位置と前記引き出し方向側の第2の支持位置との間で変位可能に支持され、前記第1の状態から前記第3の状態に移行する過程で、前記第1の箇所が前記第1の支持位置から前記第2の支持位置に変位することを特徴とする請求項3又は4記載の画像形成装置。
前記ガイド規制部材は、前記付勢部材の、前記第1の状態から前記第2の状態への移行に伴って、前記付勢部材の前記第2の箇所を、前記給紙カセットの移動方向及び前記回動軸方向と直交する変位方向のマイナス側に、又前記第4の状態から前記第1の状態への移行に伴って、前記付勢部材の前記第2の箇所を、前記変位方向プラス側にそれぞれ等しく変位させ、
前記変位方向において、前記第1の面の前記プラス側の端部位置が前記第の2面の前記プラス側の端部位置より前記プラス側に位置し、且つ前記第1の面の前記プラス側の端部位置と前記第の2面の前記プラス側の端部位置との間に、前記第2の箇所が前記係合部材と係合する前の第1の状態における前記第2の箇所が位置するように構成したことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明による実施の形態1の画像形成装置の要部構成を示す要部構成図である。
【0009】
同図において、給紙カセット50は、内部に積層された記録媒体としての記録用紙51を収容し、後述するように、保持台31a,31bによって、同図に示す装着位置と引き出し位置との間でスライド可能に画像形成装置1本体に保持されている。尚、画像形成装置1の給紙カセット50のように、本体に対して可動な構成要素の個々に対して、その構成要素を除いた部分を画像形成装置1本体と称す場合がある。また、給紙カセット50が
図1に示すように装着位置にある装着状態とそれ以外の状態を、単に着脱と称する場合がある。
【0010】
給紙カセット50の内部には、支持軸53によって回動可能に支持された用紙截置板54が設けられ、記録用紙51がこの用紙截置板54上に積載される。給紙カセット50の用紙繰り出し側には、支持軸32に回動可能にリフトアップレバー33が配設され、この支持軸32は、給紙カセット50の着脱に応じて、図示しない制御部によって回転制御されるモータ60と接離可能に係合し、装着時にはモータ60の回転が伝達される。
【0011】
リフトアップレバー33が回動することによって、リフトアップレバー33の先端部が用紙截置板54の底部を持ち上げ、用紙截置板54に積載された記録用紙51が上昇する。そして、記録用紙51がある高さまで上昇すると、ピックアップローラ62に当接し、上昇検知器73がこれを検知する。図示しない制御部は、上昇検知器73が検知した情報に基づいてモータ60の回転を停止させる。ピックアップローラ62は、接触した状態で対に配設されたフィードローラ63及びリタードローラ64と共に用紙繰り出し部61を形成している。
【0012】
ピックアップローラ62及びフィードローラ63は、図示しないモータによって矢印方向に回転駆動され、且つ内部に図示せぬワンウェイクラッチ機構を内蔵しているため回転駆動が停止した場合でも矢印方向には空転可能となっており、また、リタードローラ64は、図示しないトルク発生手段によって、フィードローラ63に従動する回転方向と異なる矢印方向のトルクを発生している。従って、ピックアップローラ62は、給紙カセット50内から当接した記録用紙51を引き出し、フィードローラ63及びリタードローラ64は、例えば、記録用紙51が複数同時に引き出されたような場合にも、一枚ずつこの記録用紙51を順次搬送経路に繰り出す。
【0013】
記録用紙51の搬送方向を示す矢印A方向における、用紙繰り出し部61の下流側には、順に用紙センサ74、記録用紙51の斜行を矯正する搬送ローラ対65、次の搬送ローラ対66の駆動タイミングを検出する用紙センサ75、2次転写部79に記録用紙51を送り込む搬送ロ一ラ対66及び67、画像形成部10での書き込みタイミングを取るための書き込みセンサ76が配設されている。これらの搬送ローラ対65、66及び67は、図示しない搬送駆動モータから、同じく図示しないギヤ等の駆動伝達手段を経由して動力が伝達される。
【0014】
図1における画像形成装置1の右側面には、用紙積載板82に積載された記録用紙81を給紙するマルチパーパストレイ(MPT)80が備えられる。MPT80は、記録用紙81を積載する用紙積載板82、記録用紙81に接触してこれを繰り出すピックローラ83、繰り出された記録用紙81を画像形成装置1本体の搬送路に送り出す給紙ローラ84、繰り出された用紙を1枚に分離するために給紙ローラ84に付勢され、当接するリタードローラ85等からなる。
【0015】
画像形成部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のトナー画像を各々に形成する4つのプロセスユニット11Y、11M、11C、11K(区別する必要がない場合には単に11を付す)を有し、これらが、後述する中間転写ベルトユニット40の中間転写ベルト44が、中間転写ベルトユニット40の上部で移動する移動方向を示す矢印B方向に沿って、その上流側から順に配置されている。
【0016】
これらプロセスユニット11の内部構成は共通しているため、たとえばブラックのプロセスユニット11Kを例にとり、これらの内部構成を説明する。
【0017】
プロセスユニット11Kには、感光体ドラム21が矢印方向に回転可能に配置され、この感光体ドラム21の周囲には、その回転方向上流側から順に、感光体ドラム21の表面に電荷を供給して帯電させる帯電ローラ22、帯電された感光体ドラム21の表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する露光装置12が配設される。
【0018】
更に、静電潜像が形成された感光体ドラム21の表面に、ブラックのトナーを付着させて現像する現像ローラ23、感光体ドラム21上のトナー現像を転写した際に残留した転写残トナーを除去するドラムクリーニング部24が配設される。トナー収納部25Kは、トナーを収納して現像ローラにこのトナーを供給する。尚、これら各装置に用いられているドラム又はローラは、図示しない駆動源からギヤなどを経由して動力が伝達され回転する。
【0019】
中間転写ベルトユニット40は、図示せぬ駆動部より駆動されるドライブローラ41、コイルスプリング等の付勢手段により中間転写ベルト44に張力を付与するテンションローラ43、2次転写ローラ46と対向して配置されて2次転写部79を構成する2次転写バックアップローラ42、及びそれらローラに張架された中間転写ベルト44を備え、更に、中間転写ベルト44上に残ったトナーを除去するベルトクリーニング部47、各プロセスユニット11の感光体ドラム21に対向して配置され、各感光ドラム21上に形成された各色トナー像を順次重ねて中間転写ベルト44上に転写するために所定の電圧を付加する4つの1次転写ローラ45等からなる。
【0020】
この転写ベルトユニット40は、上述した画像形成部10により形成されたトナー像を中間転写ベルト44に転写し、更にこのトナー像を、2次転写部79で給紙カセット50から供給された記録用紙51或いはMPT80から供給された記録用紙81に転写する。
【0021】
定着部90は、内部に熱源となるハロゲンランプ93を備え、表面を弾性体で形成されたアッパローラ91と、同じく熱源となるハロゲンランプ94を備え、表面を弾性体で形成されたロワローラ92のローラ対からなり、2次転写部79より送り出された記録用紙51(或いは81)上のトナー像に熱と圧力を印加してトナー像を融解し、この像を記録用紙51(或いは81)に定着させる。
【0022】
その後、記録用紙51(81)は、排出ローラ対68、69、70、71によって搬送され、やがてスタッカ部78へと排出される。これら排出ローラ対は、図示しない駆動源から図示しない駆動伝達手段を経由して動力が伝達される。定着部90の出力部に配設された用紙センサ77は、これら排出ローラ対68、69、70、71の駆動タイミングを検出する。
【0023】
尚、
図1中のX、Y、Zの各軸は、中間転写ベルト44がプロセスユニット11を通過する際の搬送方向(矢印B方向)にX軸をとり、感光体ドラム21の回転軸方向にZ軸をとり、これら両軸と直交する方向にY軸をとっている。また、後述する他の図においてX、Y、Zの各軸が示される場合、これらの軸方向は、共通する方向を示すものとする。即ち、各図のXYZ軸は、各図の描写部分が、
図1に示す画像形成装置1を構成する際の配置方向を示している。またここでは、Y軸が略鉛直方向となるように配置されるものとする。
【0024】
図2は、本実施の形態の画像形成装置1を右側面(X軸プラス側)からみた動作説明図である。
【0025】
同図に示すように、給紙カセット50は、画像形成装置1本体の下部で、記録用紙51が補充可能な引き出し位置(
図2に点線で示す)と、画像形成装置1に装着され、用紙繰り出し部61による給紙カセット50からの記録用紙51の搬出が可能となる装着位置(
図2に実線で示す)との間で、Z軸に沿った矢印C、D方向にスライド可能に、前記した保持台31a,31b(
図1)によって保持されている。給紙カセット50は、正面に面して給紙カセット本体に固定されたカセットカバー52を備え、操作者は、このカセットカバー52を掴んで給紙カセット50をスライド移動する。
【0026】
給紙カセット50の装着方向(矢印D方向)の下流側には、画像形成装置1本体に固定された固定部材201が配置され、この固定部材201には、引き込み部100が配設されている。この引き込み部100は、給紙カセット50の装着方向移動時、後述するように、給紙カセット50の後端部から延在する係合部材55を案内し、且つ装着方向(矢印D方向)に付勢する。
【0027】
図3は、本実施の形態の給紙カセット50の構成を示す図であって、同図(a)はその平面図であり、同図(b)はその斜視図である。
【0028】
給紙カセット50は、ユーザが掴むためのカセットカバー52に備えられた装着位置決め面58が、画像形成装置1本体に固定されている突き当て部202に当接することで装着方向(Z軸に沿った矢印D方向)の装着位置が決められ、カセットカバーポスト56が突き当て部202の係合孔202aに嵌入し且つカセットポスト57が画像形成装置1本体に固定されている固定部材201(
図2)の対応する位置に形成された図示しない係合孔に嵌入することで、X軸方向の位置決めがなされる。後述する係合部材55は、給紙カセット50の装着方向下流の背面に、この背面から矢印D方向の下流側に向かって突出するように形成されている。
【0029】
図4は、係合部材55と共に本実施の形態の引き込み部100の構成を示す図であって、同図(a)はその斜視図であり、同図(b)はその分解斜視図である。
【0030】
図4中、コ字状に形成された回動支持部材104とガイド支持部材107は、画像形成装置1本体に固定されている固定部材201(
図2)に固定されている。回動支持部材104の、対向する一対の軸孔104aにはバネシャフト106が固定され、このバネシャフト106には、後述する付勢部材としてのダブルトーションコイルバネ110が回動自在に支持されている。ガイド支持部材107には、後述するガイド部材101が固定されており、後述するようにこの溝部を移動する給紙カセット50の係合部材55と係合するダブルトーションコイルバネ110の係合部110aを案内する。尚、ここでは固定部材201、ガイド支持部材107、及びガイド部材101がガイド規制部材に相当する。
【0031】
図5は、
図4に示すように、給紙カセット50の装着方向下流の背面から突出するように形成された係合部材55の構成図であり、同図(a)はその正面図、同図(b)はその平面図、そして同図(c)はその右側面図である。
【0032】
図5に示すように、係合部材55は、全体としてZ軸方向に延在する略直方体形状の部材で、先端部近傍の上側に幅方向(X軸方向)に溝部55hが形成され、この溝部55hを境に、矢印C側(給紙カセット50側)には上平面55fが形成され、矢印D側(先端側)には、上平面55fより所定の段差h1だけ低い上平面55dが形成され、この先端側では、両側がくさび状に形成され先端にいくほど狭くなっている。溝部55hの、矢印C側の壁である係合面55aと矢印D側の壁である係合面55bとは、底部55cを介して対峙してZ軸に垂直に形成され、後述するように、動作時にダブルトーションコイルバネ110の係合部110aと係合してお互いに作用し合う。
【0033】
図6は、
図4に示すように、ガイド支持部材107に固定的に保持されたガイド部材101の構成図であり、同図(a)はその正面図、同図(b)はその左側面図である。
【0034】
図6に示すようにガイド部材101は、断面コ字状に形成され、左右のガイド壁101b、101cと底部101dとで溝部101aを形成し、この溝部101aには、給紙カセット50の装着方向移動時、矢印D方向に移動する係合部材55が嵌入し、左右のガイド壁101b、101cに規制されながら底部101d上を移動する。
【0035】
ガイド壁101b、101cは、左右対称に形成され、各上面が、底部101dからの高さh4の位置に形成され矢印D方向端部から中央部を超える位置まで形成された第1水平部101gと、矢印C方向の端部近くに形成され、第1水平部より段差h3だけ高い位置に形成された第2水平部101hと、第1水平部101gと第2水平部101hとの間に形成されて両水平部をなだらかな傾斜面で接続する傾斜部101fとで形成されている。
【0036】
図7は、
図4に示すように、回動支持部材104のバネシャフト106に回動自在に支持されたダブルトーションコイルバネ110の構成図であり、同図(a)はその正面図、同図(b)はその左側面図である。
【0037】
ダブルトーションコイルバネ110は、中心線bを境に略左右対称に形成され、係合部110aを介してその両側に巻き線部110c,110eが形成されている。第1の箇所としての係合部110aは、各巻き線部110c,110eの一端側によってクランク状に形成されているのに対して、両巻き線部110c,110eの他端側は、一端側に対して鈍角に延在し、各先端部近傍に第2の箇所としての軸孔110b,110dが形成されている。このとき、係合部110aと一対の軸孔110b,110dの中心との自然状態での長さはL0となっている。
【0038】
次に、引き込み部100、即ちガイド部材101、ダブルトーションコイルバネ110、及びこれらを支持する各部材が、係合部材55と共に画像形成装置1内に配備された時の動作について説明する。
【0039】
図8(a)は、給紙カセット50を、
図2に点線で示す引き出し位置に移動したときの引き込み部100の待機状態を示す状態説明図である。この待機状態において、ダブルトーションコイルバネ110は、一対の軸孔110b,110dが、バネシャフト106と嵌合することで回動自在に支持されると共に、その係合部110aが、ガイド部材101の第2水平部101hにガイドされ、且つ圧縮した状態で固定部材201に当接して移動が規制されている。従って、ダブルトーションコイルバネ110は、この待機状態において、矢印F方向の付勢力を発生した状態で、同図に示す態勢で待機している。
【0040】
即ち、この態勢で、ダブルトーションコイルバネ110の係合部110aは、ガイド部材101の第2水平部101hと固定部材201の当接部201aとからなる位置規制部250によって移動が規制され、下記するように、装着位置に向かって移動する給紙カセット50の係合部材55の溝部55h(
図5(a))と係合可能な状態となっている。
【0041】
また、
図8(b)は、給紙カセット50が、
図2に点線で示す引き出し位置から矢印D方向に移動し、その係合部材55の先端部が、ガイド部材101の溝部101a(
図6(b))に嵌入し始めた時点の状態を示している。
図8(b)に示すように、係合部材55の上平面55dとガイド部材101の第2水平部101hとでは、高さ方向(Y軸方向)において、ガイド部材101の第2水平部101hの方が間隔h2だけ高く形成される。即ち待機状態の係合部110aに対して、第2水平部101hよりも上平面55dの方が高さ方向においてh2だけ離れた位置となるように配置される。
【0042】
また、係合部材55の上平面55dと係合面55aの最上部55g(ここでは上平面55fに相当)との段差h1に対し間隔h2は、
h1>h2>0
となるように配置される。即ち、高さ方向において、上平面55dと最上部55gとの間にガイド部材101の第2水平部101hが位置するように構成されている。
【0043】
また、
図8(b)に示すように、この待機状態において、ダブルトーションコイルバネ110の係合部110aが、給紙カセット50が移動するZ軸方向において、ダブルトーションコイルバネ110の回動軸となるバネシャフト106よりも矢印C側となる領域Z1内で、係合部材55の係合面55aと当接するように配置される。
【0044】
以上のように構成することで、給紙カセット50を、
図2に点線で示す引き出し位置から矢印D方向に移動した時、その係合部材55を引き込み部100内に導くことができる。
【0045】
また、
図8(b)に示すように、係合部材55の上平面55dとガイド部材101の第1水平部101gとでは、高さ方向(Y軸方向)において、係合部材55の上平面55dの方が間隔h5だけ高く形成されている。更に、ダブルトーションコイルバネ110の係合部110aの直径をDとした場合、後述する理由により、
h5>D/2
とする。
【0046】
図9(a)、(b)、(c)は、給紙カセット50が、
図2に点線で示す引き出し位置から矢印D方向に移動し、やがて
図2に実線で示す装着位置まで移動する際の引き込み部100の動作状態を示す動作説明図である。これらの動作説明図を参照しながら、引き込み部100の動作について説明する。
【0047】
図8(b)で説明したように構成されているため、
図9において、ダブルトーションコイルバネ110の回動中心210から、
図9(a)に示す待機時のダブルトーションコイルバネ110の係合部110aの位置までの高さをY1、同じくダブルトーションコイルバネ110の回動中心210から、ガイド部材101の一対の第1水平部101gまでの高さをY2、そして同じくダブルトーションコイルバネ110の回動中心210から、給紙カセット50の係合部材55の上平面55dまでの高さをY3としたとき、
Y2>Y3>Y1
の関係が成り立つ。
従って、係合部材55が、ガイド部材101の溝部101a(
図6(b))に嵌入し、係合面55aがダブルトーションコイルバネ110の係合部110aに当接することが可能となっている。
【0048】
図9(a)に示す待機状態のとき、ダブルトーションコイルバネ110は、その係合部110aが、ガイド部材101と固定部材201とに圧縮した状態で当接して静止し、矢印F方向の付勢力を発生している。この状態から係合部材55が、給紙カセット50の移動に伴って矢印D方向に移動すると、その係合面55aがダブルトーションコイルバネ110の係合部110aに当接する。さらに矢印D方向に給紙カセット50を移動すると、ダブルトーションコイルバネ110による付勢力Fに抗してその係合部110aが矢印D方向に移動し、係合部110aが回動中心210の鉛直下方となる死点位置に至る。
図9(b)は、係合部110aがこの死点位置に至った死点位置状態を示している。
【0049】
この間、係合部110aは、ガイド部材101の第2水平部101h、傾斜部101f、及び第1水平部101gにガイドされながら移動し、傾斜部101fを下る過程で、係合部材55の溝部55h(
図5参照)のもう一方の係合面55bによって囲まれ、この溝部55h内に収まる。
【0050】
この死点位置では、ダブルトーションコイルバネ110の付勢力Gは、係合部110aをガイドする第1水平部101gに対して垂直に働くため、移動方向への付勢力はゼロとなる。矢印D方向移動により、係合部110aがこの死点位置から更に矢印D方向の下流側に移動すると、ダブルトーションコイルバネ110の付勢力の分力が矢印D方向にも作用するようになり、その係合部110aが、係合部材55のもう一方の係合面55bを押圧するようになる。
【0051】
これにより給紙カセット50は、ダブルトーションコイルバネ110の付勢力による押圧力のみで、或いは操作者によって押される力の合力で矢印D方向に移動するようになり、やがて、カセットカバー52の装着位置決め面58(
図2)が、画像形成装置1本体に固定されている突き当て部202(
図2)に当接する装着位置に至る。
図9(c)は、このときの引き込み部100によって維持される装着状態を示している。
【0052】
このとき、ダブルトーションコイルバネ110の付勢力Hの分力が矢印D方向に作用するため、ダブルトーションコイルバネ110は、その係合部110aが、係合部材55の係合面55bを矢印D方向に付勢した状態となり、カセットカバー52を
図2に実線で示す装着位置に位置決めする。
【0053】
図9(a)に示す待機状態での、ダブルトーションコイルバネ110の、回動中心210と係合部110a間の距離をL1、同じく、
図9(b)に示す死点位置状態での、ダブルトーションコイルバネ110の、回動中心210と係合部110a間の距離をL2、同じく、
図9(c)に示す装着状態での、ダブルトーションコイルバネ110の、回動中心210と係合部110a間の距離をL3としたとき、
L0>L1>L2、L0>L3>L2
となるように構成されている。
【0054】
尚、L0は、自然状態でのダブルトーションコイルバネ110の、回動中心210と係合部110a間の距離であり、L1、L3の大きさは、それぞれ、待機状態から装着状態への移行時、及び装着状態から待機状態への移行時の操作感を良くするために、L1とL2、及びL3とL2の差をなるべく小さくするよう構成している。
【0055】
給紙カセット50を引き出す時の引き込み部100の動作は、上記した装着方向移動時と逆となる。即ち、操作者は、
図9(c)の装着状態から
図9(b)の死点位置状態までは、ダブルトーションコイルバネ110による付勢力に抗して給紙カセット50を引き出す必要があるが、その後は、ダブルトーションコイルバネ110による矢印C方向への付勢力のみで、或いは操作者は、この力を受けて、
図9(a)の待機位置まで引き出すことができる。
【0056】
以上説明したように、操作者は、給紙カセット50を装着する際には、
図2に点線で示す引き出し位置から、係合部材55が
図9(a)に示す待機状態のダブルトーションコイルバネ110に当接するまでこれを押し込み、更に
図9(b)に示す死点位置を越えるまでダブルトーションコイルバネ110の付勢力に抗してこれを押し込む。これによって、給紙カセット50を装着位置に位置決めすることがでる。また、給紙カセット50を引き出す際には、
図9(b)に示す死点位置状態を越えるまでダブルトーションコイルバネ110の付勢力に抗してこれを引き出すことによって、
図9(a)に示す待機状態まで、給紙カセット50を引き出すことが可能となる。
【0057】
尚、本実施の形態では、給紙カセット50は、
図2に示すように、引き出し位置(
図2に点線で示す)と装着位置(
図2に実線で示す)との間で、Z軸に沿った矢印C、D方向にスライド可能に保持されているとしたが、給紙カセット50は、引き出し位置から更に画像形成装置1本体から分離して取り出せるように構成してもよい。
【0058】
更に、本実施の形態では、
図8(b)に示すように、係合部材55の溝部の底部55cの高さを、ガイド部材101の第1水平部101gの高さより低く構成したが、これに限定されるものではなく、両者の高さが等しく、或いは底部55cの高さが、第1水平部101gの高さより高くなるように構成してもよい。このように構成することによって、下方に働くダブルトーションコイルバネ110の付勢力の分力が底部55cに作用し、カセットカバー52を下方に押し付ける効果が生じ、装着位置でのカセットカバー52の位置決めをより安定させることができる。
【0059】
図10は、ダブルトーションコイルバネ110によって発生する矢印C,D方向(Z軸方向)の力を、ダブルトーションコイルバネ110の係合部110aのZ軸方向における位置に応じて算出し、グラフ化したものである。尚、
図9において、Z1=15mm、Z2=30mm、Y2=30mmとして算出した。横軸の値は、ダブルトーションコイルバネ110の係合部110aのZ軸方向における待機状態からの移動距離であり、Y軸の値はダブルトーションコイルバネ110によって発生する付勢力の水平方向の分力を、矢印D方向をプラス、矢印C方向をマイナスとして示したものである。
【0060】
同図に示すように、死点位置状態である、横軸の値が15mmの点を境に、カセット着脱方向に対して、ダブルトーションコイルバネ110によって発生する力の向きが反転し、装着状態では給紙カセット50を給紙可能な装着位置に付勢する方向に力が発生し、待機状態では給紙カセット50を引き出す方向に力が発生していることが分かる。
【0061】
また
図9に示すように、装着状態で発生する付勢力Hは、給紙カセット50を矢印D方向に付勢するが、同時に垂直下方(Y軸のマイナス方向)にも付勢しているため、給紙カセット50を、Y軸方向においても正確な装着位置に保持することが可能となる。
【0062】
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、ダブルトーションコイルバネ110による付勢力によって、給紙カセット50が装着位置に位置決めされるため、特別に位置決め機構を設けることなく、水平方向及び上下方向において確実に保持することが可能となる。また、給紙カセット50を着脱する際には、付勢力による助力を受けることが可能となる。
【0063】
実施の形態2.
図11は、本発明に基づく実施の形態2の画像形成装置に採用される係合部材355の構成図であり、
図12は、同じく本発明に基づく実施の形態2の画像形成装置に採用されるガイド部材301の構成図であり、
図13は、同じく本発明に基づく実施の形態2の引き込み部300の動作説明図である。これらの係合部材355及びガイド部材301を採用する引き込み部300が、前記した
図9の示す実施の形態1の引き込み部100と主に異なる点は、係合部材355及びガイド部材301の形状と引き込み部300の動作である。
【0064】
従って、この引き込み部300を採用する画像形成装置が、前記した実施の形態1の画像形成装置1(
図1)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置の要部構成は、引き込み部300以外において
図1に示す実施の形態1の画像形成装置1の要部構成と共通するため、必要に応じて
図1〜
図4を参照する。
【0065】
図11は、係合部材355の構成図であり、同図(a)はその正面図、同図(b)はその平面図、そして同図(c)は、その右側面図である。
【0066】
図11に示すように、係合部材355は、
図5に示す前記した実施の形態1の係合部材55に対して上下方向において対称的な構成をしている。即ち、係合部材355は、全体としてZ軸方向に延在する略直方体形状の部材で、先端部近傍の下側に幅方向(X軸方向)に溝部355hが形成され、この溝部355hを境に、矢印C側(給紙カセット50側)には下平面355fが形成され、矢印D側(先端側)には下平面355fより、所定の段差h1だけ高い下平面355dが形成され、この先端側では、両側がくさび状に形成され先端にいくほど狭くなっている。
【0067】
溝部355hの、矢印C側の壁である係合面355aと矢印D側の壁である係合面355bとは、底部355cを介して対峙してZ軸に垂直に形成され、後述するように、動作時にダブルトーションコイルバネ110の係合部110aと係合してお互いに作用し合う。
【0068】
図12は、ガイド支持部材107(
図4)に固定的に保持されるガイド部材301の構成図であり、同図(a)はその正面図、同図(b)はその左側面図である。
【0069】
図12に示すようにガイド部材301は、断面コ字状に形成され、左右のガイド壁301b、301cと底部301dとで溝部301aを形成し、この溝部301aには、給紙カセット50の装着方向移動時、矢印D方向に移動する係合部材355が嵌入し、左右のガイド壁301b、301cに規制されながら底部301d上を移動する。
【0070】
ガイド壁301b、301cは、左右対称に形成され、各上面が、底部301dからの高さh7の位置に形成され矢印D方向端部から中央部を超える位置まで形成された水平部301gと、この水平部301gの矢印C方向端部とガイド壁301b、301cの矢印C方向端部をなだらかな傾斜面で接続する傾斜部301fとで形成されている。尚この傾斜部301fによる端部間の段差はh8である。
【0071】
図13(a)、(b)、(c)は、給紙カセット50が、
図2に点線で示す引き出し位置から矢印D方向に移動し、やがて
図2に実線で示す装着位置まで移動する際の引き込み部300の動作状態を示す動作説明図である。
【0072】
図13において、ダブルトーションコイルバネ110の回動中心210から、
図13(a)に示す待機時のダブルトーションコイルバネ110の係合部110aの位置までの高さをY1、同じくダブルトーションコイルバネ110の回動中心210から、ガイド部材301の一対の水平部301gまでの高さをY2、そして同じくダブルトーションコイルバネ110の回動中心210から、給紙カセット50の係合部材355の下平面355dまでの高さをY3としたとき、
Y1>Y3>Y2
の関係が成り立つように構成されている。
これにより係合部材355が、ガイド部材301の溝部301a(
図12(b))に嵌入し、係合面355aがダブルトーションコイルバネ110の係合部110aに当接することが可能となっている。
【0073】
図13(a)、(b)、(c)の動作説明図を参照しながら引き込み部300の動作について説明する。
【0074】
図13(a)に示す待機状態のとき、ダブルトーションコイルバネ110は、その係合部110aが、ガイド部材301と固定部材201とに圧縮した状態で当接して静止し、矢印K方向の付勢力を発生している。この状態から係合部材355が、給紙カセット50の移動に伴って矢印D方向に移動すると、その係合面355aがダブルトーションコイルバネ110の係合部110aに当接し、ダブルトーションコイルバネ110による付勢力Kに抗してその係合部110aを矢印D方向に移動し、係合部110aが回動中心210の鉛直下方となる死点位置に至る。
図13(b)は、係合部110aがこの死点位置に至った死点位置状態を示している。
【0075】
この間、係合部110aは、ガイド部材301の傾斜部301f、及び水平部301gにガイドされながら移動し、傾斜部301fを上がる過程で、係合部材355の溝部355hのもう一方の係合面355bによって囲まれ、この溝部355h内に収まる。
【0076】
この死点位置では、ダブルトーションコイルバネ110の付勢力Gは、係合部110aをガイドする水平部301gに対して垂直に働くため、移動方向への付勢力はゼロとなる。矢印D方向移動により、係合部110aがこの死点位置を越えると、ダブルトーションコイルバネ110の付勢力の分力が矢印D方向にも作用するようになり、その係合部110aが、係合部材355のもう一方の係合面355bを押圧するようになる。
【0077】
これにより給紙カセット50は、この押圧力のみで、或いは操作者によって押される力の合力で矢印D方向に移動するようになり、やがて、カセットカバー52の装着位置決め面58(
図2)が、画像形成装置1本体に固定されている突き当て部202(
図2)に当接して装着位置に至る。
図13(c)は、このときの引き込み部300によって維持される装着状態を示している。
【0078】
このとき、ダブルトーションコイルバネ110の付勢力Mの分力が矢印D方向に作用するため、ダブルトーションコイルバネ110は、その係合部110aが、係合部材355の係合面355bを矢印D方向に付勢した状態となり、カセットカバー52を
図2に実線で示す装着位置に位置決めする。
【0079】
また、この
図13(c)の状態にあるとき、ダブルトーションコイルバネ110による付勢力Mの矢印D方向への分力をFd、給紙カセット50と保持台31a,31b(
図1)との間の動摩擦係数をμ、給紙カセット50の重量をNとしたとき、
Fd>μ・N
とするのが好ましい。また、より確実に給紙カセット50を
図13(b)から
図13(c)の状態へと移動するためには、給紙カセット50と保持台31a,31b(
図1)との静止摩擦係数をμ´としたとき、
Fd>μ´・N
とするのが好ましい。
【0080】
図13(a)に示す待機状態での、ダブルトーションコイルバネ110の、回動中心210と係合部110a間の距離をL1、同じく、
図13(b)に示す死点位置状態での、ダブルトーションコイルバネ110の、回動中心210と係合部110a間の距離をL2、同じく、
図13(c)に示す装着状態での、ダブルトーションコイルバネ110の、回動中心210と係合部110a間の距離をL3としたとき、
L0>L1>L2、L0>L3>L2
となるように構成されている。
【0081】
尚、L0は、自然状態でのダブルトーションコイルバネ110の、回動中心210と係合部110a間の距離であり、L1、L3の大きさは、それぞれ、待機状態から装着状態への移行時、及び装着状態から待機状態への移行時の操作感を良くするために、L1とL2、及びL3とL2の差をなるべく小さくするよう構成している。
【0082】
給紙カセット50を引き出す時の引き込み部300の動作は、上記した装着方向移動時と逆となる。即ち、操作者は、
図13(c)の装着状態から
図13(b)の死点位置状態までは、ダブルトーションコイルバネ110による付勢力に抗して給紙カセット50を引き出す必要があるが、その後は、ダブルトーションコイルバネ110による矢印C方向への付勢力のみで、或いは操作者は、この力を受けて、
図13(a)の待機位置まで引き出すことができる。
【0083】
以上説明したように、操作者は、給紙カセット50を装着する際には、
図2に点線で示す引き出し位置から、係合部材355が
図13(a)に示す待機状態のダブルトーションコイルバネ110に当接するまでこれを押し込み、更に
図13(b)に示す死点位置を越えるまでダブルトーションコイルバネ110の付勢力に抗してこれを押し込む。
【0084】
これによって、給紙カセット50を装着位置に位置決めすることができる。また、給紙カセット50を引き出す際には、
図13(b)に示す死点位置状態を越えるまでダブルトーションコイルバネ110の付勢力に抗してこれを引き出すことによって、
図13(a)に示す待機状態まで、給紙カセット50を引き出すことが可能となる。
【0085】
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、ダブルトーションコイルバネ110による付勢力によって、給紙カセット50が装着位置に位置決めされるため、特別に位置決め機構を設けることなく、水平方向において確実に保持することが可能となる。また、給紙カセット50を着脱する際には、付勢力による助力を受けることが可能となる。
【0086】
実施の形態3.
図14は、本発明に基づく実施の形態3の画像形成装置に採用される係合部材455の構成図であり、
図15は、同じく本発明に基づく実施の形態3の画像形成装置に採用されるガイド部材401の構成図であり、
図16は、同じく本発明に基づく実施の形態3の動作説明図である。これらの係合部材455及びガイド部材401を採用する画像形成装置が、前記した
図1の示す実施の形態1の画像形成装置と主に異なる点は、係合部材455及びガイド部材401の形状のみである。
【0087】
従って、これらの係合部材455及びガイド部材401を採用する画像形成装置が、前記した実施の形態1の画像形成装置1(
図1)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置の要部構成は、引き込み部以外において
図1に示す実施の形態1の画像形成装置1の要部構成と共通するため、必要に応じて
図1〜
図4を参照する。
【0088】
図14は、係合部材455の構成図であり、同図(a)はその正面図、同図(b)はその平面図、そして同図(c)は、その右側面図である。
【0089】
図14に示すように、係合部材455は、全体としてZ軸方向に延在する略直方体形状の部材で、先端部近傍の上側に幅方向(X軸方向)に溝部455hが形成され、この溝部455hを境に、矢印C側(給紙カセット50側)には上平面455fが形成され、矢印D側(先端側)には、上平面455fより所定の段差h1だけ低い上平面455dが形成され、この先端側では、両側がくさび状に形成され先端にいくほど狭くなっている。溝部455hの、矢印C側の壁である係合面455aと矢印D側の壁である係合面455bとは、底部455cを介して対峙して略垂直に形成され、動作時にダブルトーションコイルバネ110の係合部110aと係合してお互いに作用し合う。
【0090】
また、両側面の最下部には、先端部からZ軸方向に距離w1離間した位置から終端部にかけて、幅方向(X軸方向)に突出する突出部445j,445kが形成されている。
【0091】
図15は、ガイド支持部材107(
図4)に固定的に保持されるガイド部材401の構成図であり、同図(a)はその正面図、同図(b)はその平面図、同図(c)はその左側面図である。
【0092】
図15に示すようにガイド部材401は、断面コ字状に形成され、左右のガイド壁401b、401cと底部401dとで溝部401aを形成し、この溝部401aには、給紙カセット50の装着方向移動時、矢印D方向に移動する係合部材455が嵌入し、左右のガイド壁401b、401cに規制されながら底部401d上を移動する。
【0093】
ガイド壁401b、401cは、左右対称に形成され、各上面には、底部401dからの高さh4の位置に形成され矢印D方向端部から中央部を超える位置まで形成された水平部401g、この水平部401gに連続して形成され矢印C方向に向かってなだらかに上昇する傾斜部401f、そしてこの傾斜部401fに連続して係止部401hが形成されている。
【0094】
そして、両ガイド壁401b、401cには、Z軸方向の傾斜部401fの位置から矢印C方向の端部にかけて、Z軸方向において互いに対向し、かつ接近するように迫り出した係合部401j,401kが形成されている。
【0095】
図16(a)、(b)の動作説明図を参照しながらガイド部材401と係合部材455の動きについて説明する。
【0096】
図16(a)は、給紙カセット50が、
図2に点線で示す引き出し位置から矢印D方向に移動し、やがて
図2に実線で示す装着位置まで移動するまでの過程で、係合部材455がガイド部材401の溝部401aに入り始めた段階の状態を示し、
図16(b)は、給紙カセット50が装着位置に達した段階の状態を示している。
【0097】
これらの図から明らかなように、係合部材455がガイド部材401の溝部401aを矢印D方向に移動する過程で、係合部材455の突出部455j,455kとガイド部材401の係合部401j,401kとが当接し、画像形成装置1本体に対する給紙カセット50のX軸方向の位置を位置決めするように構成されている。
【0098】
尚、本実施の形態のように、突出部455j,455kと係合部401j,401kとを、例えば前記した実施の形態1の係合部材55及びガイド部材101に採用する場合、
図9(b)に示す死点位置状態から
図9(c)に示す装着状態となるまでの区間で、突出部455j,455kと係合部401j,401kとが当接するよう、即ち突出部455j,455kと係合部401j,401kとが、
図16(b)に示す位置決め領域Hを形成するように構成することが好ましい。この区間では、前記したように、ダブルトーションコイルバネ110の付勢力の分力が矢印D方向に作用するため、上記当接による装着移動時の摺動負荷を軽減することができる。
【0099】
図14(a)に示す係合部材455における、先端部からの突出部445j,445kの位置w1は、上記したように、ガイド部材401の係合部401j,401kとの当接開始タイミングを考慮して決める。
【0100】
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、給紙カセット50が装着位置に至るまでに画像形成装置1本体に対するX軸方向の位置が正確に決まるため、装着位置での位置精度をあげることができ、更に装着移動時の摺動負荷も軽減することができる。
【0101】
実施の形態4.
図17は、本発明に基づく実施の形態4の画像形成装置に採用される引き込み部500の構成図であって、同図(a)はその斜視図であり、同図(b)はその分解斜視図である。この引き込み部500が前記した
図4に示す実施の形態1の引き込み部100と主に異なる点は、回動支持部材504、ガイド部材501、及び係合部材555の形状、及び引き込み部500の動作である。
【0102】
従って、この引き込み部500を採用する画像形成装置が、前記した実施の形態1の画像形成装置1(
図1)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置の要部構成は、引き込み部500以外において
図1に示す実施の形態1の画像形成装置1の要部構成と共通するため、必要に応じて
図1〜
図4を参照する。
【0103】
図17中、コ字状に形成された回動支持部材504とガイド支持部材107は、画像形成装置1本体に固定されている固定部材201(
図2)に固定されている。回動支持部材504の対向する側面には、対向する一対の円弧孔504aが形成され、この一対の円弧孔504aには、バネシャフト506の両端部に、バネシャフト506に対して回転自在に取り付けられたシャフトカップリング508a,508bが摺動自在に保持されている。バネシャフト506には、ダブルトーションコイルバネ110が回動自在に支持されている。シャフトカップリング508a,508bをガイドする一対の円弧孔504aは、後述するように、そのガイド中心が半径R1の円弧状に形成されている。
【0104】
ガイド支持部材107には、ガイド部材501が固定されており、後述するようにこの溝部501aを移動する給紙カセット50の係合部材555と係合するダブルトーションコイルバネ110の係合部110aを案内する。
【0105】
本実施の形態で使用するガイド部材501は、前記した実施の形態3で説明した
図15に示すガイド部材401と同形状のものであるため、ここでの詳細な説明は省略するが、後述するように、傾斜部401fが半径R2の円弧状に形成されている。
【0106】
本実施の形態で使用する係合部材555は、前記した実施の形態3で説明した
図14に示す係合部材455と同形状のものであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0107】
図18(a)、(b)、(c)は、給紙カセット50が、
図2に点線で示す引き出し位置から矢印D方向に移動し、やがて
図2に実線で示す装着位置まで移動する際の引き込み部500の動作状態を示す動作説明図である。
【0108】
図18において、ダブルトーションコイルバネ110の回動中心510から、
図18(a)に示す待機時のダブルトーションコイルバネ110の係合部110aの位置までの高さをY1、同じくダブルトーションコイルバネ110の回動中心510から、ガイド部材501の一対の水平部501gまでの高さをY2、そして同じくダブルトーションコイルバネ110の回動中心510から、給紙カセット50の係合部材555の上平面555dまでの高さをY3としたとき、
Y2>Y3>Y1
の関係が成り立つように構成されている。
これにより係合部材555が、ガイド部材501の溝部501a(
図17(b))に嵌入し、係合面555aがダブルトーションコイルバネ110の係合部110aに当接することが可能となっている。
【0109】
また、回動支持部材504の、ガイド中心が半径R1の円弧状に形成された円弧孔504aと、ガイド部材501の、半径R2の円弧状に形成された傾斜部501fとは、
図18(c)に示すように、同心円上に配置される。従ってR1=R2である。
【0110】
図18(a)、(b)、(c)の動作説明図を参照しながら引き込み部500の動作について説明する。
【0111】
図18(a)に示す待機状態のとき、ダブルトーションコイルバネ110は、その係合部110aが、ガイド部材501の係止部501hの最下部に当接して静止し、矢印P方向の付勢力を発生している。この状態から係合部材555が、給紙カセット50の移動に伴って矢印D方向に移動すると、その係合面555aがダブルトーションコイルバネ110の係合部110aに当接し、ダブルトーションコイルバネ110による付勢力Pに抗してその係合部110aを矢印D方向に移動し、係合部110aが回動中心510の鉛直下方となる死点位置に至る。
図18(b)は、係合部110aがこの死点位置に至った死点位置状態を示している。
【0112】
この待機状態から死点位置状態に至るまでの過程において、円弧孔504aのガイド中心と傾斜部501fとが同心円上にあるため、係合部110aは、傾斜部501fにガイドされて水平部501gとの境まで移動し、バネシャフト506の位置に相当するダブルトーションコイルバネ110の回動中心510は、同図(a)に示す円弧孔504aの一端P1から、同図(b)に示す円弧孔504aの最上部に相当する中央部P2まで移動する。このように移動するのは、ダブルトーションコイルバネ110が圧縮された状態にあって、自然状態に戻ろうとする作用による。
【0113】
ここで、
図18(a)に示す待機状態での、ダブルトーションコイルバネ110の、回動中心510と係合部110a間の距離をL1、同じく、
図18(b)に示す死点位置状態での、ダブルトーションコイルバネ110の、回動中心510と係合部110a間の距離をL2とすると、L1=L2であってこの2点間移動の間、同じ距離が保たれて縮むことがないため、この間の移動時の負荷が軽減される。また、係合部110aは、傾斜部501fを下る過程で、係合部材555の溝部555hのもう一方の係合面555bによって囲まれ、この溝部内に収まる。
【0114】
この死点位置では、ダブルトーションコイルバネ110の付勢力Gは、係合部110aをガイドする水平部501gに対して垂直に働くため、移動方向への付勢力はゼロとなる。矢印D方向移動により、係合部110aがこの死点位置を越えると、ダブルトーションコイルバネ110の付勢力の分力が矢印D方向にも作用するようになり、その係合部110aが、係合部材555のもう一方の係合面555bを押圧すると共に、回動中心510が円弧孔504aの他端P3に向けて移動するようになる。
【0115】
このため、給紙カセット50は、この押圧力のみで、或いは操作者によって押される力の合力で矢印D方向に移動するようになり、やがて、カセットカバー52の装着位置決め面58(
図2)が、画像形成装置1本体に固定されている突き当て部202(
図2)に当接して装着位置に至る。
図18(c)は、このときの引き込み部500によって維持される装着状態を示している。
【0116】
このとき、ダブルトーションコイルバネ110の付勢力Qの分力が矢印D方向に作用するため、ダブルトーションコイルバネ110は、その係合部110aが、係合部材555の係合面555bを矢印D方向に付勢した状態となり、カセットカバー52を
図2に実線で示す装着位置に位置決めする。
【0117】
図18(c)に示す装着状態での、ダブルトーションコイルバネ110の、回動中心510と係合部110a間の距離をL3としたとき、
L0>L3>L1=L2
となるように構成されている。
【0118】
給紙カセット50を引き出す時の引き込み部500の動作による作用は、上記した装着方向移動時と逆となる。即ち、操作者は、
図18(c)の装着状態から
図18(b)の死点位置状態までは、ダブルトーションコイルバネ110による付勢力に抗して給紙カセット50を引き出し、その後は、ダブルトーションコイルバネ110による矢印C方向への弱い付勢力を受けて、
図18(a)の待機位置まで引き出すことができる。
【0119】
図19は、本実施の形態において、ダブルトーションコイルバネ110が発生させる矢印C,D方向(Z軸方向)の力を、ダブルトーションコイルバネ110の係合部110aのZ軸方向における位置に応じて算出し、グラフ化したものである。尚、
図18において、前記した実施の形態1の場合と同様に、Z1=15mm、Z2=30mm、Y2=30mmとし、更にZ3=15mmとして算出した。横軸の値は、ダブルトーションコイルバネ110の係合部110aのZ軸方向における待機状態からの移動距離であり、Y軸の値はダブルトーションコイルバネ110によって発生する付勢力の水平方向の分力を、矢印D方向をプラス、矢印C方向をマイナスとして示したものである。比較のため、実施の形態1の引き込み部100において同様に算出し、グラフ化した例を合わせて表記した。
【0120】
同図に示すように、本実施の形態による引き込み部500によれば、実施の形態1の引き込み部100の構成に比べ、待機状態から装着状態とするまでに必要とするZ軸方向のスペースが45mmから30mmに短縮している。この短縮量は、ダブルトーションコイルバネ110の回動中心510の移動距離Z3(=15mm)に等しい。
【0121】
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、引き込み部における待機状態から装着状態とするまでのストロークが短縮できるため、給紙カセット50を画像形成装置本体に装着保持するためのスペースを縮小でき、更に給紙カセット50の着脱時に必要な仕事量を減らすことが可能となる。