特許第5701817号(P5701817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5701817
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】タイヤバルブユニット
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20150326BHJP
   B60C 29/02 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   B60C23/04 H
   B60C29/02
   B60C23/04 N
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-117335(P2012-117335)
(22)【出願日】2012年5月23日
(65)【公開番号】特開2013-244747(P2013-244747A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 陸成
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−251635(JP,A)
【文献】 特開2009−126316(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0272758(US,A1)
【文献】 特開2006−015793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/04
B60C 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた複数の車輪のタイヤの状態を監視するために、前記車輪に設けられるタイヤバルブユニット、及び前記車両の車体に設置される受信機ユニットを備えるタイヤ状態監視装置の前記タイヤバルブユニットであって、
前記車輪の車両用ホイールのリムに装着されるタイヤバルブと、
前記タイヤ内に配置され、前記タイヤ内の状態を検出し、その検出結果を前記受信機ユニットに無線送信する検出装置を備えるとともに、該検出装置に電力を供給する電源を備えるセンサユニットと、を一体化してなり、
前記タイヤバルブと前記センサユニットを一体に連結する連結手段と、
前記電源と前記検出装置との間の電気接続を開閉可能な開閉器と、を備え、
前記連結手段によって前記タイヤバルブと前記センサユニットとが連結されると前記開閉器が閉じられて前記電源と前記検出装置が通電されることを特徴とするタイヤバルブユニット。
【請求項2】
前記連結手段は、前記タイヤバルブに形成された挿通孔と、
前記挿通孔に挿通されるボルトと、
前記センサユニットに設置され、前記ボルトが螺合可能なナット部材と、からなり、
前記開閉器は接触式のスイッチであり、該接触式のスイッチに対し、前記ナット部材に螺合された前記ボルトの先端が接触することによって前記スイッチがオンして前記電源と前記検出装置が通電される請求項1に記載のタイヤバルブユニット。
【請求項3】
前記連結手段は、前記タイヤバルブに形成された挿通孔と、
前記挿通孔に挿通されるボルトと、
前記センサユニットに設置され、前記ボルトが螺合可能なナット部材と、からなり、
前記開閉器は、前記ナット部材に螺合された前記ボルトの先端を挟んで対向配置される光センサであり、該光センサが前記ボルトを検知すると前記電源と前記検出装置が通電される請求項1に記載のタイヤバルブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ホイールのリムに装着されるタイヤバルブと、タイヤ内に配置され、タイヤ内の状態を検出し、その検出結果を無線送信する検出装置を備えるとともに、電源を備えるセンサユニットと、を一体化してなるタイヤバルブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用タイヤにおける空気圧等のタイヤ内の状態を車室内で監視するタイヤ状態監視装置が知られている。このタイヤ状態監視装置に用いられるタイヤバルブユニットは、タイヤバルブと、センサユニットとが一体化されてなるとともに、車両用ホイールのリムに装着されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7に示すように、特許文献1に開示のタイヤバルブユニット80は、タイヤバルブ81と、このタイヤバルブ81に一体化されてタイヤの状態を検出するタイヤセンサ91(センサユニット)とからなる。タイヤバルブ81は、車両用ホイール95のリム95aに装着されるとともに、タイヤバルブ81は、タイヤ内へ空気を導入するための導入路81aを内部に備えている。また、タイヤバルブ81の一端部には縮径部82が形成されるとともに、この縮径部82にはネジ部82aが形成されている。
【0004】
タイヤセンサ91は、ハウジング92内に種々の電子部品や電源、アンテナ等を備え、タイヤの状態(内部空気圧等)を検出する機能や、検出したタイヤ状態を車室内に設けられる受信装置(図示略)に送信する送信機能等を備えている。このタイヤセンサ91のハウジング92には、タイヤバルブ81のネジ部82aを螺着するためのナット部材93がインサート成形により一体化されている。そして、タイヤバルブ81のネジ部82aと、タイヤセンサ91のナット部材93との螺着により、タイヤバルブ81とタイヤセンサ91とが一体化され、タイヤバルブユニット80が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−94208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のタイヤバルブユニット80においては、タイヤバルブ81のネジ部82aと、タイヤセンサ91のナット部材93との締結が緩み、タイヤバルブ81からタイヤセンサ91が離脱してしまう場合がある。この場合であっても、タイヤセンサ91は、タイヤ内にはあるため、電源を駆動源として作動し、検出したタイヤの状態に関する情報を受信装置に送信し続ける。よって、車室内では、タイヤセンサ91から送信される情報が確認できるため、タイヤセンサ91がタイヤバルブ81から離脱したことを確認できないという問題があった。
【0007】
本発明は、センサユニットがタイヤバルブから離脱したことを検出可能にしたタイヤバルブユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両に設けられた複数の車輪のタイヤの状態を監視するために、前記車輪に設けられるタイヤバルブユニット、及び前記車両の車体に設置される受信機ユニットを備えるタイヤ状態監視装置の前記タイヤバルブユニットであって、前記車輪の車両用ホイールのリムに装着されるタイヤバルブと、前記タイヤ内に配置され、前記タイヤ内の状態を検出し、その検出結果を前記受信機ユニットに無線送信する検出装置を備えるとともに、該検出装置に電力を供給する電源を備えるセンサユニットと、を一体化してなり、前記タイヤバルブと前記センサユニットを一体に連結する連結手段と、前記電源と前記検出装置との間の電気接続を開閉可能な開閉器と、を備え、前記連結手段によって前記タイヤバルブと前記センサユニットとが連結されると前記開閉器が閉じられて前記電源と前記検出装置が通電されることを特徴とする。
【0009】
これによれば、連結手段によってセンサユニットとタイヤバルブが連結された状態では、連結手段によって開閉器が閉じられて電源と検出装置が通電されている。そして、センサユニットにおいては、電源からの電力供給により検出装置が作動し、タイヤ状態の検出動作が行われ、その検出結果が受信機ユニットに向けて無線送信される。受信機ユニットにおいては、タイヤに関する情報等を車室内で表示させる。
【0010】
万一、タイヤバルブとセンサユニットの連結が解除され、タイヤバルブからセンサユニットが離脱してしまったとする。すると、連結手段によるセンサユニットとタイヤバルブの連結解除に伴い開閉器が開かれ、電源と検出装置との電気的な接続が遮断される。その結果、検出装置は作動せず、センサユニットによるタイヤ状態の検出動作が行われず、受信機ユニットに向けた検出結果の送信動作も行われなくなる。このため、車室内では、タイヤに関する情報等が確認できず、ユーザーは、タイヤ状態監視装置の異常を認識し、その異常からユーザーはタイヤバルブからセンサユニットが離脱したことを検出できる。
【0011】
また、前記連結手段は、前記タイヤバルブに形成された挿通孔と、前記挿通孔に挿通されるボルトと、前記センサユニットに設置され、前記ボルトが螺合可能なナット部材と、からなり、前記開閉器は接触式のスイッチであり、該接触式のスイッチに対し、前記ナット部材に螺合された前記ボルトの先端が接触することによって前記スイッチがオンして前記電源と前記検出装置が通電される。
【0012】
これによれば、開閉器は接触式(機械式)のスイッチであるため、簡単なスイッチをセンサユニットに設けるだけで、センサユニットのタイヤバルブからの離脱を検出可能にすることができる。
【0013】
また、前記連結手段は、前記タイヤバルブに形成された挿通孔と、前記挿通孔に挿通されるボルトと、前記センサユニットに設置され、前記ボルトが螺合可能なナット部材と、からなり、前記開閉器は、前記ナット部材に螺合された前記ボルトの先端を挟んで対向配置される光センサであり、該光センサが前記ボルトを検知すると前記電源と前記検出装置が通電される。
【0014】
これによれば、光センサは、ボルトに対し非接触であるため、電源と検出装置を通電させる構成を、ボルトに対し非接触にすることができる。よって、ナット部材にボルトが螺合されることで開閉器が損傷することを無くすことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、センサユニットがタイヤバルブから離脱したことを検出可能にしたタイヤバルブユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】タイヤ状態監視装置が搭載された車両を示す概略構成図。
図2】センサユニットの回路構成を示すブロック図。
図3】タイヤバルブユニットを示す平面図。
図4】タイヤバルブユニットを示す断面図。
図5】別例のスイッチを示す部分拡大断面図。
図6】(a)は別例のタイヤバルブユニットを示す分解斜視図、(b)は別例のタイヤバルブユニットを示す部分側面図。
図7】背景技術を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1図4に従って説明する。
図1に示すように、タイヤ状態監視装置は、車両1の4つの車輪2にそれぞれ設けられる4つのタイヤバルブユニット10(センサユニット3と)、車両1の車体に設置される受信機ユニット4とを備えている。各車輪2は、車両用ホイール5と、この車両用ホイール5に装着されるタイヤ6とを含む。
【0018】
図3に示すように、各タイヤバルブユニット10は、センサユニット3とタイヤバルブ40とが一体化されてなる。タイヤバルブユニット10は、センサユニット3がタイヤ6の内部空間に配置されるように、そのタイヤ6が装着された車両用ホイール5に対してタイヤバルブ40が取り付けられている。各センサユニット3は、対応するタイヤ6の状態(タイヤ内圧力、タイヤ内温度)を検出して、検出されたタイヤ状態を示すデータを含む信号、即ちタイヤ状態データ信号(以下、データ信号と称する)を受信機ユニット4に無線送信する。
【0019】
図2及び図3に示すように、各センサユニット3は、箱状のハウジング20を備えるとともに、このハウジング20内にはタイヤ6内の状態を検出し、送信するための検出装置21が内蔵されている。図2に示すように、センサユニット3の検出装置21は、電源22からの電力によって作動する。検出装置21は、圧力センサ11、温度センサ12、センサユニットコントローラ14、及び、RF送信回路16が信号接続されている。RF送信回路16には送信アンテナ18が接続されている。また、図3に示すように、ハウジング20には、タイヤ6内の空気をハウジング20内に導入するための通気孔20aが形成されている。
【0020】
そして、圧力センサ11は、通気孔20aを介してハウジング20内に導入された空気の圧力を検出することにより、タイヤ6内の圧力を検出して、その検出によって得られたタイヤ内圧力データをセンサユニットコントローラ14に出力する。温度センサ12は、通気孔20aを介してハウジング20内に導入された空気の温度を検出することにより、対応するタイヤ6内の温度を検出して、その検出によって得られたタイヤ内温度データをセンサユニットコントローラ14に出力する。
【0021】
図2に示すように、検出装置21におけるセンサユニットコントローラ14は、CPU及び記憶部14a(RAMやROM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、記憶部14aには各センサユニット3に固有の識別情報であるIDコードが登録されている。このIDコードは、各センサユニット3を受信機ユニット4において識別するために使用される情報であり、センサユニットコントローラ14からの送信信号に含められる。センサユニットコントローラ14は、タイヤ内圧力データ、タイヤ内温度データ及びIDコードを含むデータを、RF送信回路16に出力する。RF送信回路16は、センサユニットコントローラ14からのデータを変調して変調信号としたデータ信号を生成し、そのデータ信号を送信アンテナ18から無線送信する。
【0022】
各センサユニット3は、例えば、タイヤ状態の検出動作を第1の所定時間間隔(例えば、1〜15秒間隔)で定期的に行う一方、データ信号の送信動作を、第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔(例えば、1分間隔)で定期的に行う。但し、検出されたタイヤ状態が異常を示す場合(例えば、タイヤ内圧力の異常低下、タイヤ内圧力の急変、タイヤ内温度の急変等)、センサユニット3は定期的な送信動作とは関係無く、直ちに送信動作を行う。
【0023】
図1に示すように、受信機ユニット4は、車体の所定箇所に設置され、例えば車両1のバッテリ(図示せず)からの電力によって動作する。受信機ユニット4は、車体の任意の箇所に配置された受信アンテナ32を備えている。そして、受信機ユニット4は、各センサユニット3から送信されたデータ信号を受信アンテナ32を通じて受信して、その受信した信号を処理する。受信機ユニット4は、受信機ユニットコントローラ33を備えるとともに、RF受信回路35を備え、さらに、表示器38を備えている。
【0024】
受信機ユニットコントローラ33はCPU及び記憶部33a(ROMやRAM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、受信機ユニット4の動作を統括的に制御する。RF受信回路35は、各センサユニット3から受信アンテナ32を通じて受信されたデータ信号(変調信号)を復調して、受信機ユニットコントローラ33に送る。受信機ユニットコントローラ33は、RF受信回路35からのタイヤ内圧力データ、タイヤ内温度データ及びIDコード(データ信号)に基づき、発信元のセンサユニット3に対応するタイヤ6のタイヤ内圧力及びタイヤ内温度を把握する。受信機ユニットコントローラ33は、タイヤ内圧力及びタイヤ内温度に関する情報等を表示器38に表示させる。
【0025】
次に、タイヤバルブユニット10について説明する。図3及び図4に示すように、タイヤバルブユニット10は、車両用ホイール5のリム5aに装着されるタイヤバルブ40と、このタイヤバルブ40に一体化されるとともに、タイヤ6内に配置されるセンサユニット3と、を連結手段により連結して構成されている。
【0026】
タイヤバルブ40は、金属材料により筒状に形成されるバルブステム41の外周面にゴム製の胴体部42が装着されて形成されている。また、バルブステム41内には導入路41aが形成されるとともに、バルブステム41の先端側にはバルブ機構Vが導入路41aと連通するように内蔵されている。タイヤバルブ40において、胴体部42のセンサユニット3側(基端側)の外周面には、装着凹部42aが形成されている。バルブステム41の先端にはキャップ46が装着されている。そして、タイヤバルブ40は、装着凹部42aが、車両用ホイール5のリム5aにおける装着孔5bの内周面に密接した状態で装着孔5bに嵌合されることでリム5aに装着されている。したがって、本実施形態のタイヤバルブ40は、スナップインタイプのバルブである。
【0027】
また、タイヤバルブ40において、バルブステム41の基端側は、胴体部42の軸方向の一端面より突出するとともに、この突出端部によってセンサユニット3との連結部47が形成されている。連結部47における胴体部42側には、連通路47aが導入路41aと連通するように形成されている。そして、バルブステム41に供給された空気は、導入路41a及び連通路47aを介してタイヤ6内に導入されるようになっている。さらに、連結部47における連通路47aより先端側には、挿通孔47bが連結部47を径方向に貫通して形成されている。この挿通孔47bには、タイヤバルブ40をセンサユニット3に締結するためのボルト49が挿入されている。
【0028】
センサユニット3のハウジング20には、嵌合溝20bがハウジング20の上面から凹設されるとともに、この嵌合溝20bにはタイヤバルブ40の連結部47が嵌合されている。また、ハウジング20において、嵌合溝20bの内底面には、ナット部材48がインサート成形によって埋込まれている。そして、嵌合溝20bの内底面には、ナット部材48の螺子孔48aが露出している。この螺子孔48aには、タイヤバルブ40の挿通孔47bに挿通されたボルト49が螺合されている。そして、ボルト49とナット部材48との螺合により、センサユニット3とタイヤバルブ40とが連結されている。よって、本実施形態では、連結部47に形成された挿通孔47bと、ボルト49と、ナット部材48とから連結手段が構成されている。
【0029】
ハウジング20内であって、ナット部材48の軸方向に沿った奥側には、開閉器としてのスイッチ50が設置されている。図2に示すように、このスイッチ50は、可動部材51と固定接点52を有する。電源22の1つの端子は配線51aにより検出装置21に電気的に接続され、他方の端子は配線51bにより可動部材51に電気的に接続されている。
【0030】
可動部材51は、固定接点52から離間する方向にバネ性を持ち、ナット部材48の螺子孔48aにボルト49が螺合されていない状態では、可動部材51と固定接点52とが非接触となり、電気的に接続されていない。一方、ナット部材48の螺子孔48aにボルト49が螺合され、そのボルト49がナット部材48を貫通すると、ボルト49の先端によって可動部材51が押下される。そして、可動部材51が押下されると、可動部材51が固定接点52に接触するようになっている。
【0031】
次に、タイヤバルブユニット10及びタイヤ状態監視装置の作用について記載する。
さて、車両用ホイール5の装着孔5bにタイヤバルブユニット10が装着されている。図4に示すように、タイヤバルブユニット10のタイヤバルブ40は、連結部47がセンサユニット3の嵌合溝20bに嵌合されるとともに、挿通孔47bに挿通されたボルト49が、ハウジング20内のナット部材48に螺合されている。そして、ナット部材48を貫通したボルト49の先端が、スイッチ50の可動部材51を押下し、スイッチ50が機械式スイッチとして機能している。このため、可動部材51と固定接点52とが接触し、電源22と検出装置21とが通電されている。
【0032】
そして、検出装置21が作動し、センサユニット3においては、第1の所定時間間隔でタイヤ状態の検出動作が行われている。具体的には、圧力センサ11は、タイヤ6内の圧力を検出して、その検出によって得られたタイヤ内圧力データをセンサユニットコントローラ14に出力する。温度センサ12は、タイヤ6内の温度を検出して、その検出によって得られたタイヤ内温度データをセンサユニットコントローラ14に出力する。
【0033】
センサユニットコントローラ14は、データ信号の送信動作を、第2の所定時間間隔で行っている。具体的には、検出されたタイヤ内圧力データ、タイヤ内温度データ及びIDコードを含むデータを、RF送信回路16及び送信アンテナ18を介して受信機ユニット4に向けて無線送信している。そして、受信機ユニットコントローラ33は、タイヤ内圧力及びタイヤ内温度に関する情報等を車輪2の位置とともに表示器38に表示させる。
【0034】
万一、タイヤバルブ40とセンサユニット3を連結するボルト49が、ナット部材48から螺退し、タイヤバルブ40からセンサユニット3が離脱してしまったとする。すなわち、タイヤバルブ40とセンサユニット3の連結が解除されてしまったとする。ボルト49がナット部材48から螺退されると、ボルト49による可動部材51の押下が無くなり、可動部材51はバネ性によって固定接点52から離間する。その結果、可動部材51と固定接点52とが非接触となり、電源22と検出装置21との電気的な接続が遮断される。その結果、検出装置21は作動せず、センサユニット3によるタイヤ状態の検出動作が行われず、データ信号の送信動作も行われない。このため、タイヤ状態に関する情報が表示器38で表示されず、ユーザーはタイヤ状態を確認できなくなる。
【0035】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)タイヤバルブユニット10は、センサユニット3に設置されたナット部材48に、タイヤバルブ40の挿通孔47bに挿通したボルト49を螺合して一体に連結されている。また、センサユニット3内において、ナット部材48より奥側にスイッチ50を設置し、このスイッチ50のオン・オフにより電源22と検出装置21の電気接続を開閉可能にした。そして、ボルト49をナット部材48に螺合してセンサユニット3とタイヤバルブ40を連結するのに合わせて、ボルト49によってスイッチ50をオンさせ、電源22と検出装置21を通電させるようにした。このため、ボルト49がナット部材48から螺退すると、スイッチ50がオフされ、センサユニット3によるタイヤ状態の検出、及びデータ信号の送信動作が行われなくなる。すなわち、タイヤ状態監視装置が作動せず、ユーザーはタイヤ状態監視装置の異常を認識することができる。
【0036】
言い換えると、表示器38によってタイヤ内の状態を確認できれば、ボルト49がナット部材48に螺合され、ボルト49によってスイッチ50がオンされていることになる。よって、タイヤ状態を表示器38の表示で確認することで、センサユニット3とタイヤバルブ40が連結されていることを確認することができる。逆に、タイヤ状態を表示器38の表示で確認できなければ、ユーザーはセンサユニット3がタイヤバルブ40から離脱したことを検出することができる。
【0037】
(2)また、ボルト49がナット部材48から螺退し、さらにはセンサユニット3がタイヤバルブ40から離脱してしまうと、スイッチ50がオフされ、センサユニット3によるタイヤ状態の検出、及びデータ信号の送信動作が行われなくなる。このため、タイヤ状態監視装置が作動しなければ、ユーザーはセンサユニット3がタイヤバルブ40から離脱してしまったことを認識することができる。そして、ユーザーが、タイヤバルブユニット10の修理を速やかに行うことで、センサユニット3がタイヤ6内で長期に亘って離脱したままになることを防止することができる。
【0038】
(3)ボルト49がナット部材48から螺退し、さらにはセンサユニット3がタイヤバルブ40から離脱してしまうと、スイッチ50がオフされ、センサユニット3によるタイヤ状態の検出、及びデータ信号の送信動作が行われなくなる。このため、センサユニット3は、タイヤバルブ40から離脱すると、電源22の電力が使われることがなく、離脱中に無駄な電力が使われることを防止することができる。
【0039】
(4)タイヤバルブユニット10を、センサユニット3とタイヤバルブ40とに分離して輸送し、車両用ホイール5にタイヤバルブユニット10を装着する際に、センサユニット3とタイヤバルブ40を連結する。このようにすれば、タイヤバルブユニット10が車両用ホイール5に装着されたときに、初めて電源22と検出装置21が通電することになる。よって、輸送中は、電源22と検出装置21との電気接続は遮断されており、電源22の電力が使われることがない。したがって、センサユニット3の電源22を、タイヤバルブユニット10が形成されたときだけ使用することができ、センサユニット3とタイヤバルブ40が輸送時から一体化されている場合と比べると、車輪2への装着時点からの電源22の寿命を長くすることができる。
【0040】
(5)スイッチ50は、可動部材51と固定接点52とから構成され、ボルト49によって可動部材51を押下することで、可動部材51を固定接点52に接触させるものであり、接触式(機械式)のスイッチである。よって、簡単なスイッチ50をセンサユニット3に設けるだけで、センサユニット3のタイヤバルブ40からの離脱、タイヤ状態監視装置の異常をユーザーは確認することができ、さらには、電源22の無駄な電力消費を無くすことができる。
【0041】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図5に示すように、開閉器を光センサ60に変更してもよい。光センサ60は、発光素子61と、この発光素子61の発光面に対して受光面が対向配置された受光素子62と、受光素子62と信号接続された制御部63とから構成されている。このように構成した場合、発光素子61の発光した光が、両素子61,62間を通過したボルト49によって遮断されると制御部63が、ナット部材48にボルト49が螺合されたこと(センサユニット30とタイヤバルブ40が連結されたこと)を検知する。すると、制御部63は、電源22と検出装置21とを通電させる。
【0042】
このように構成すると、実施形態の(1)〜(4)と同様の効果に加え、電源22と検出装置21を通電させる構成(光センサ60)を、ボルト49に対し非接触にすることができ、ボルト49の増締め等による光センサ60の損傷を無くすことができる。その結果として、センサユニット3のタイヤバルブ40からの離脱、タイヤ状態監視装置の異常を、安定して検出することができる。
【0043】
図6(a)及び(b)に示すように、センサユニット3とタイヤバルブ40との連結手段を、センサユニット3から立設された一対の係止片65と、タイヤバルブ40における連結部47の外周面に形成された一対の係止溝47cと、から構成する。また、開閉器を、電源22及び検出装置21と電気的に接続された一対の係止片65とする。
【0044】
図6(a)に示すように、一対の係止片65は、ハウジング20からタイヤ6の径方向に沿って延びるように設けられ、各係止片65は、タイヤ6の径方向に沿った上部が開口する横C字状に形成されている。また、各係止片65は、それぞれ対向する一対の爪片65aを備えるとともに、各爪片65aは弾性変形可能に形成されている。各爪片65aの先端には係止突部65bが互いに近付く方向に向けて突設されるとともに、係止突部65b同士の間には隙間が形成されている。
【0045】
一対の爪片65aの内側には、タイヤバルブ40の連結部47が挿通可能な挿通口65dが形成されている。また、一対の爪片65aの間であり、タイヤ6の径方向に沿って、係止突部65b間の隙間と対向する位置には、支持片65cが形成されている。
【0046】
そして、各係止片65の係止突部65b間から挿通口65dに連結部47を挿入すると、各係止溝47cに各係止片65及び各支持片65cが当接しつつ係止する。その結果、各係止溝47cと、各係止突部65b及び各支持片65cとの当接により、各係止突部65bの隙間からのタイヤ6の径方向に沿った連結部47の抜け出しが規制されるとともに、挿通口65dからの連結部47の軸方向に沿った抜け出しが規制される。その結果、タイヤバルブ40とセンサユニット3が一体化される。
【0047】
図6(b)に示すように、電源22の一方の端子には、配線51aにより検出装置21が電気的に接続され、他方の端子は配線51bにより一方の係止片65に電気的に接続されている。また、検出装置21と他方の係止片65とは、配線51cにより電気的に接続されている。
【0048】
そして、一対の係止片65と、一対の係止溝47cとの係止により、タイヤバルブ40とセンサユニット3が連結されると、連結部47を介して一対の係止片65が通電されるとともに、配線51a〜51cを介して、一対の係止片65と、連結部47と、電源22と、検出装置21が電気的に接続され、電源22と検出装置21が通電される。
【0049】
このように構成すると、実施形態の(1)〜(4)と同様の効果に加え、一対の係止片65と、一対の係止溝47cとの係止により、タイヤ6の径方向に沿ったタイヤバルブ40の抜け出し、及び連結部47の軸方向に沿ったタイヤバルブ40の抜け出しを簡単に防止することができる。
【0050】
○ ボルト49とナット部材48の螺合によるセンサユニット3とタイヤバルブ40の連結に加え、連結部47の外周面に形成した雄ねじと、嵌合溝20bに形成した雌ねじとの螺合によってセンサユニット3とタイヤバルブ40を連結してもよい。
【0051】
○ 実施形態では、連結部47に挿通したボルト49と、ハウジング20内のナット部材48との螺合により、センサユニット3とタイヤバルブ40を連結したが、連結手段はこれに限らない。例えば、ナット部材48を削除するとともに、嵌合溝20bの内底面に螺入孔を形成する。そして、挿通孔47bに挿通されたボルト49を螺入孔に強制螺入してセンサユニット3とタイヤバルブ40を連結してもよい。この場合、ボルト49と螺入孔が連結手段を構成する。
【0052】
○ 実施形態では、連結部47に挿通したボルト49と、ハウジング20内のナット部材48との螺合により、センサユニット3とタイヤバルブ40を連結したが、連結手段はこれに限らない。例えば、ナット部材48を削除するとともに、嵌合溝20bの内底面に圧入孔を形成する。そして、挿通孔47bに挿通された圧入ピンを圧入孔に圧入してセンサユニット3とタイヤバルブ40を連結してもよい。この場合、圧入ピンと圧入孔が連結手段を構成する。
【0053】
○ 実施形態では、ナット部材48を貫通したボルト49によりスイッチ50をオンさせるようにしたが、これに限らない。ボルト49によって連結された連結部47の先端より奥側に接触式のスイッチを設置する。そして、ボルト49とナット部材48を用いてタイヤバルブ40がセンサユニット3に連結された状態で、連結部47の先端でスイッチをオンしてもよい。
【0054】
○ 実施形態では、タイヤバルブ40をスナップインタイプとしたが、これに限らない、タイヤバルブ40は、車両用ホイール5のリム5aに対し締結されてリム5aに装着されるクランプインタイプであってもよい。
【0055】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)前記連結手段は、前記センサユニットから立設された複数の係止片と、前記タイヤバルブの外周面に形成された複数の係止溝と、からなり、前記開閉器は、前記電源と電気的に接続された前記一対の係止片である請求項1に記載のタイヤバルブユニット。
【0056】
(ロ)車両に設けられた複数の車輪のタイヤの状態を監視するために、前記車輪の前記タイヤ内に設けられるタイヤバルブユニット、及び前記車両の車体に設置される受信機ユニットを備えるタイヤ状態監視装置であって、前記タイヤバルブユニットは請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のタイヤバルブユニットであるタイヤ状態監視装置。
【符号の説明】
【0057】
1…車両、2…車輪、3…センサユニット、4…受信機ユニット、5…車両用ホイール、5a…リム、6…タイヤ、10…タイヤバルブユニット、21…検出装置、22…電源、40…タイヤバルブ、47b…挿通孔(連結手段)、48…ナット部材(連結手段)、49…ボルト(連結手段)、50…スイッチ(開閉器)、60…光センサ(開閉器)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7