特許第5701859号(P5701859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5701859流体薬物送達システム及び薬物送達システムの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5701859
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】流体薬物送達システム及び薬物送達システムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/24 20060101AFI20150326BHJP
【FI】
   A61M5/24
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-510243(P2012-510243)
(86)(22)【出願日】2010年5月10日
(65)【公表番号】特表2012-526575(P2012-526575A)
(43)【公表日】2012年11月1日
(86)【国際出願番号】EP2010056352
(87)【国際公開番号】WO2010130682
(87)【国際公開日】20101118
【審査請求日】2013年4月15日
(31)【優先権主張番号】09006450.2
(32)【優先日】2009年5月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ニルス・バッソ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ナゲル
(72)【発明者】
【氏名】レーネ・リヒター
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・ヴィット
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−173450(JP,A)
【文献】 特開2005−027830(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0239115(US,A1)
【文献】 特開平10−165500(JP,A)
【文献】 特表平03−501216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体薬物送達システムであって、
−内側側壁、開口部(18)及び流路(13)を有する剛性シェル(10);
−遠位端及び近位端を有するコラプシブルカートリッジ(20)で、その遠位端が近位端よりも開口部(18)に近い状態で剛性シェル(10)内に配置され、そしてさらに近位端を含む第一の部分(14)、及び遠位端を含む第二の部分(15)を有し、第一の部分(14)は流路(13)に連結し、第二の部分(15)は剛性シェル(10)の内側側壁に接触する、コラプシブルカートリッジ(20);
を含んでなり、
ここで、第二の部分(15)が、内側側壁から剥離して、薬物を含みコラプシブルカートリッジ(20)中に含有される流体を、流路(13)を通して付勢することができ、
剛性シェル(10)及びコラプシブルカートリッジ(20)が略同じ長さを有し、
流体薬物送達システムが剛性シェル(10)内に摺動自在に配列するように適合される圧迫部材を含み、及び
コラプシブルカートリッジ(20)がその底に凹部(221)として構成される案内部材を含み、該凹部(221)が、圧迫部材(30)が剛性シェルに沿って前進するとき、圧迫部材(30)を案内するため使用される、上記流体薬物送達システム。
【請求項2】
剛性シェル(10)が少なくとも第一の複合材又はプラスチックを含み、そしてコラプシブルカートリッジ(20)が少なくとも第二の複合材又はプラスチックを含む、請求項1に記載の薬物送達システム。
【請求項3】
剛性シェル及び/又はコラプシブルカートリッジが多層複合材を含む、請求項1または2に記載の薬物送達システム。
【請求項4】
剛性シェル(10)の内側側壁とコラプシブルカートリッジ(20)の第二の部分(15)の間の粘着力が、コラプシブルカートリッジ(20)の第二の部分(15)の内側側壁(21)の2つの部分の間の粘着力より大きい、請求項1〜3の何れか1項に記載の薬物送達システム。
【請求項5】
剛性シェル(10)の内側側壁と第二の部分(15)の間の静摩擦が、剛性シェル(10)の内側側壁と第二の部分(15)の間の動摩擦より小さい、請求項1〜4の何れか1項に記載の薬物送達システム。
【請求項6】
コラプシブルカートリッジ(20)が、第二の部分(15)の外側側壁を形成する第一の材料、及び第二の部分(15)の内側側壁(21)を形成する第二の材料を含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の薬物送達システム。
【請求項7】
剛性シェル(10)の内側側壁と第二の部分(15)の外側側壁の間の静摩擦が、第二の部分(15)の内側側壁(21)の二つの部材間の静摩擦より大きい、請求項6に記載の薬物送達システム。
【請求項8】
第一の部分(14)が剛性シェル(10)の内側側壁から距離を空けて配置される、請求項1〜7の何れか1項に記載の薬物送達システム。
【請求項9】
迫部材(30)が剛性シェル(10)内で前進したとき、コラプシブルカートリッジ(20)の第二の部分(15)が内側側壁から反跳する、請求項1〜8の何れか1項に記載の薬物送達システム。
【請求項10】
圧迫部材(30)が剛性シェル内に配列されるとき、圧迫部材(30)が前記凹部(221)内に少なくとも部分的に嵌合するように適合される、請求項8又は9に記載の薬物送達システム。
【請求項11】
圧迫部材(30)が切頭円錐(31)又は截頭体を含み、切頭円錐又は截頭体のより小さな上部表面(32)が圧平可能なカートリッジの第二の部分(15)に面する、請求項9又は10に記載の薬物送達システム。
【請求項12】
圧迫部材(30)の直径が、剛性シェル(10)の直径より、コラプシブルカートリッジ(20)の肉厚の少なくとも2倍だけ小さい、請求項9〜11の何れか1項に記載の薬物送達システム。
【請求項13】
圧縮性のカートリッジ(20)及び剛性シェル(10)が共押し出しされる、請求項1〜12の何れか1項に記載の薬物送達システム。
【請求項14】
圧迫部材(30)が、剛性シェル(10)の側壁に対して非接触式で剛性シェル(10)中を案内される、請求項1〜13の何れか1項に記載の薬物送達システム。
【請求項15】
コラプシブルカートリッジがその近位端にセプタムを含み、ここで、該セプタムは薬物送達のための針によって貫通するように適合される、請求項1〜13の何れか1項に記載の薬物送達システム。
【請求項16】
−側壁、開口部及び流路を有する剛性シェル、及び剛性シェル内のコラプシブルカートリッジを同時に形成し、そして脱着自在に連結する工程であって、コラプシブルカートリッジが、流路に連結する第一の部分及び剛性シェルの側壁に接触する第二の部分を含む、工程;
−薬物を含む流体を、コラプシブルカートリッジ内に備える工程;
を含んでなる、請求項1〜15の何れか1項に記載の薬物送達システムの製造方法。
【請求項17】
流体薬物送達システムであって、
−内側側壁、開口部(18)及び流路(13)を有する剛性シェル(10);
−遠位端及び近位端を有するコラプシブルカートリッジ(20)で、その遠位端が近位端よりも開口部(18)に近い状態で剛性シェル(10)内に配置され、そしてさらに近位端を含む第一の部分(14)、及び遠位端を含む第二の部分(15)を有し、第一の部分(14)は流路(13)に連結し、第二の部分(15)は剛性シェル(10)の内側側壁に接触する、コラプシブルカートリッジ(20);
を含んでなり、
ここで、第二の部分(15)が、内側側壁から剥離して、薬物を含みコラプシブルカートリッジ(20)中に含有される流体を、流路(13)を通して付勢することができ、
剛性シェル(10)及びコラプシブルカートリッジ(20)が略同じ長さを有し、
流体薬物送達システムが剛性シェル(10)内に摺動自在に配列するように適合され、及びフィード・フォワード機構によってのみ案内される圧迫部材(30)を含んでなる、上記流体薬物送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体薬物送達システムに関する。本発明はそのような薬物送達システムの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達システム又は薬物送達デバイスは、一般に、患者による自己投与に適する医薬品、例えば、インスリン、成長ホルモン又は他の薬物の投与のために知られている。
【0003】
この目的のために、薬物送達システムは、注射されるべき流体が充填されるバレル又はチャンバーを含んでよい。次いで、患者は薬物を含む流体を自らの体内に投与する。
【0004】
それらの薬物送達デバイスの幾つかは、複数の異なる選択可能な用量を送達するように構成される。その目的のために、薬物送達デバイスは、ペン型注射器における使用に好適な駆動機構を含んでよく、これによりあらかじめ設定された用量の医薬品の量を投与することができる。患者は、自らの体内に医薬品を投与するための薬物送達デバイスに、針ユニットを取り付けることができる。薬物送達デバイスの使用後、針ユニットは交換することができる。加えて、ペン型注射器システムを再使用し、そして流体及び薬物を含むカートリッジのみを交換することは有用であり得る。これによって、患者は、より円滑でより便利な薬物の投与のための自らの薬物送達デバイスに、より慣れることが可能になる。
【0005】
特許文献1は、長く引き伸ばされたシェル、引き伸ばされたシェル内に摺動自在に配列された圧迫部材、及び送達すべき流体を含有するコラプシブルカートリッジを含む、そのような目的のための薬物送達デバイスを示す。あらかじめ充填された注射流体を有するコラプシブルカートリッジは、引き伸ばされたシェル内に装填される。用量ダイアルシステムのピストン・ロッドは、引き伸ばされたシェル内に摺動自在に配列された圧迫部材に連結され、圧迫部材をシェルに沿って前進させ、そうすることによってコラプシブルカートリッジ内の流体を、薬物送達デバイスに連結された針ユニットを通して加圧することによって、それぞれの流体を提供する。
【0006】
しかしながら、引き伸ばされたシェル内へのコラプシブルカートリッジの装填は、もしコラプシブルカートリッジが流体を全く含有せず、そして流体が後で挿入されるとしても、複雑でかつ時間がかかる手順であり得る。更に、あらかじめ充填された注射流体を有するコラプシブルカートリッジは、引き伸ばされたシェル内への装填の際に損傷する可能性があり、又は正しい用量の送達を確保するのに十分な程度に円滑に嵌合されない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,620,134号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、公知のデバイスの不利な点を克服する、使用が簡単な薬物送達デバイスを提供する必要性は依然存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、流体薬物送達システムは、内側側壁、開口部及び流路を有する剛性の細長いシェルを含んでよい。遠位端及び近位端を有するコラプシブルカートリッジは、その遠位端が近位端よりも開口部に近い状態で剛性シェル内に配置される。コラプシブルカートリッジは、近位端を含む第一の部分及び遠位端を含む第二の部分も含む。第一の部分は、剛性の細長いシェルの流路に連結され、そして第二の部分は細長い剛性シェルの内側側壁に接触している。第二の部分は、更に、内側側壁から後退して、薬物を含みそしてコラプシブルカートリッジ中に含有される流体を、流路を通して付勢することができる。剛性の細長いシェル及びコラプシブルカートリッジは、略同じ長さを有する。
【0010】
剛性の細長いシェル及びコラプシブルカートリッジは共押し出ししてもよい。剛性の細長いシェル及びコラプシブルカートリッジの共押し出しによって、コラプシブルカートリッジの第二の部分と内側側壁の円滑でかつ嵌合する接触がもたらされる。コラプシブルカートリッジを弱体化させる又は送達されるべき注射流体の正しい量を制約する恐れがある、カートリッジ材料の捩じれ、歪み又は応力は全く起こり得ない。
【0011】
更なる実施態様において、シェル内に摺動自在に配列されるように適合する圧迫部材が提供されてよい。薬物を含む流体は、圧迫部材が引き細長いシェル内を前進した場合、流路を通して加圧される。圧迫部材のこの前進によって、第二の部分が内側側壁から剥離し又は反跳する。
【0012】
剛性の細長いシェル及びコラプシブルカートリッジの共押し出しによって、コラプシブルカートリッジと内側側壁の間での良好な把持を得、同時に圧迫部材の前進によって良好な後退性を得るように、種々の材料を選択することができる。
【0013】
この目的のために、剛性の細長いシェルは少なくとも第一の複合材又はプラスチックを含んでよく、一方、コラプシブルカートリッジは少なくとも第二の複合材又はプラスチックを含んでよい。剛性シェル並びにコラプシブルカートリッジは、それぞれ、内側及び外側の側壁をそれぞれ含んでよい。別の実施態様において、剛性シェル及び/又はコラプシブルカートリッジは多層複合材を含んでよい。
【0014】
別の実施態様において、剛性シェルの内側側壁とコラプシブルカートリッジの第二の部分の間の粘着力は、コラプシブルカートリッジの第二の部分の内側側壁の2つの部分の間の粘着力より強い。粘着力における差は、細長いシェルの内側側壁に沿って第二の部分を圧迫することなく、コラプシブルカートリッジの第二の部分の材料の「剥離」をもたらすことができる。その結果、コラプシブルカートリッジ内の実質的に全ての流体を、剛性の細長いシェルの流路を通して加圧することができる。
【0015】
更に、剛性シェルの内側側壁と第二の部分の間の静摩擦は、剛性シェルの内側側壁と第二の部分の間の動摩擦より小さい。従って、コラプシブルカートリッジの第二の部分は、剛性シェルの内側側壁に沿って内側の部分を圧迫するよりも容易に内側側壁から脱離することができる。その結果、第二の部分の後退又は剥離が確保される。
【0016】
前述したように、粘着性、つまり静摩擦と動摩擦の間の差を達成するために、コラプシブルカートリッジは、1つの実施態様において、第二の部分の外側側壁を形成する第一の材料、及び第二の部分の内側側壁を形成する第二の材料を含んでよい。特に、剛性シェルの内側側壁と第二の部分の外側側壁の間の静摩擦は、第二の部分の内側側壁の2つの部分の間の静摩擦より大きくてよい。従って、シェルの内側側壁を第二の部分の外側側壁から脱離させることは、コラプシブルカートリッジの第二の部分の内側側壁の2つの部分を脱離させることより容易である。
【0017】
別の実施態様において、コラプシブルカートリッジの第一の部分は、剛性シェルの内側側壁から離れて配置される。
【0018】
如何なる薬物送達をも円滑に行うために、剛性シェル内に摺動自在に配列された圧迫部材に対する案内を提供するため、コラプシブルカートリッジの遠位端は小さな凹部を含んでよい。圧迫部材が剛性の細長いシェル内に配列された場合、圧迫部材はその凹部の中に少なくとも部分的に嵌合するように適合されてよい。圧迫部材が剛性シェル内で前進した場合、凹部は、圧迫部材が剛性シェルの側壁と接触することを防ぐか又は少なくとも邪魔するように圧迫部材を案内する。従って、薬物送達の正確さを増すため、圧迫部材は剛性シェル内を実質的に自由に動くことができる。
【0019】
更なる実施態様において、コラプシブルカートリッジの遠位端は、それが剛性シェル内に前進した場合、圧迫部材を案内するための案内部材を一般に含んでよい。
【0020】
別の実施態様において、圧迫部材は切頭円錐又は截頭体を含んでよく、ここで、切頭円錐又は截頭体のより小さな頂部表面は、コラプシブルカートリッジの第二の部分に向き合っている。圧迫部材がシェル内を前進した場合、切頭円錐はカートリッジの第二の部分の後退を助けることができる。言い換えれば、コラプシブルカートリッジの第二の部分は、圧迫部材の切頭円錐の案内下に、剛性シェルの第二の部分から反跳する。
【0021】
更なる実施態様において、圧迫部材の材料とコラプシブルカートリッジの材料の粘着力又は静摩擦は、コラプシブルカートリッジの材料と内側側壁の間の粘着力又は摩擦と比べて非常に小さくてよい。従って、コラプシブルカートリッジの材料は、圧迫部材に沿って非常に容易に摺動し得る。
【0022】
更なる実施態様において、圧迫部材の直径は、コラプシブルカートリッジの肉厚の少なくとも2倍だけ、剛性シェルの直径より小さい。特に、圧迫部材の直径は、コラプシブルカートリッジの肉厚の少なくとも4倍だけ、剛性シェルの直径より小さくてよい。
【0023】
より小さな圧迫部材は、剛性シェルに沿った圧迫部材の実質的に自由な動きを可能にし、そして薬物送達の正確さを低下させ得る、圧迫部材と剛性シェルとの接触を防ぐことができる。更に、コラプシブルカートリッジの後退した材料は、圧迫部材と剛性シェルの内側側壁の間の空間に配列することができる。
【0024】
別の実施態様において、圧迫部材の直径は、最大でコラプシブルカートリッジの肉厚の10倍だけ剛性シェルの直径より小さい。その結果、圧迫部材が剛性シェル内を前進した場合、液体は後退したコラプシブルカートリッジの中に少ししか残らないか、又は全く残らないことさえある。
【0025】
そのような薬物送達システムを製造するために、剛性シェル及びコラプシブルカートリッジは同時に形成され、そして脱着自在に連結され、ここで、剛性シェルは側壁、開口部及び流路を含み、そしてコラプシブルカートリッジは、流路に連結されている第一の部分、及び剛性シェルの側壁に接触している第二の部分を有して、剛性シェル内に配列される。薬物を含む流体は、コラプシブルカートリッジ内に提供される。
【0026】
この製造方法によって、そのようなシステムの簡単で、迅速で、よく制御されたそして安価な製造方法が可能になる。別の実施態様において、圧迫部材が剛性シェル内に提供されそして配列され、その結果、圧迫部材がシェル内を前進した場合、薬物を含み、そしてコラプシブルカートリッジ中に含有される流体が加圧され、一方で、第二の部分が内側側壁から反跳する。
【0027】
その他の特長は、添付図面と併せて考えた場合、以下の詳細な記述から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に記載の薬物送達システムの実施態様の断面を示す。
図2】本発明に記載の薬物送達システムの、コラプシブルカートリッジを通る切断面を含む断面を模式的に説明する。
図3】本発明の別の実施態様に従う薬物送達システムの一部分の模式図を示す。
図4】本発明に記載の実施態様の一部分の更に別の断面を示す。
図5】本発明の更に別の実施態様の異なる面における模式図を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
尚、以下の図面において示されるような薬物送達システムの記述は、単に説明のためのものである。薬物送達システムの部分又は部品は、他の部品に対して拡大されて説明されている。しかしながら薬物送達システムの部分及び部品の寸法は単に説明目的のためのものであり、そして実際の寸法又は比率を表していない。類似の部品は同じ参照符号を含み得る。加えて、実施態様の1つに対してより詳細に開示されたそして説明された異なる態様は、本明細書に示された異なる実施態様の中に組み込むことができる。異なる実施態様からの態様を特長付ける如何なる組み合わせも、薬物送達デバイス中に組み込むことができる。
【0030】
本明細書で使用する用語「薬物」又は「薬剤」は、好ましくは、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン若しくはオリゴヌクレオチド、又は上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は関節リウマチの処置、及び/又は予防に有用であり、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置、及び/又は予防のための、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセジン−3又はエキセジン−4、若しくはエキセジン−3又はエキセジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0031】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0032】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−
ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン; B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0033】
エキセンジン−4は、例えばエキセンジン−4(1−39)、配列H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2のペプチドを意味する。
【0034】
エキセンジン−4誘導体は、例えば以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0035】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体;
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,
Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のエキセンジン−4誘導体のいずれか1つの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0036】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に表示されているような脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストである。
【0037】
多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはそれらの誘導体などのグルコアミノグリカン、又は上述の多糖類のスルホン化された、例えば、ポリスルホン化形態、及び/又は、薬学的に許容可能なそれらの塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0038】
薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されたC1−C6アルキル基;場合により置換されたC2−C6アルケニル基;場合により置換されたC6−C10アリール基、又は場合により置換されたC6−C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark
Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0039】
薬学的に許容可能な溶媒和物は、例えば、水和物である。
【0040】
薬物送達システム1は、複数の固定された又は使用者が設定可能な用量の薬物を送達するために構成されてよい。薬物送達システム1は、ペン型デバイス、好ましくはペン型注射器であってよい。それは一端上に開口部18、そして針ユニットがそこに取り付けられ得る他端上に流路12を有する剛性シェル10を含む。剛性シェル10は、流路12に近いその近位端及び開口部18に近いその遠位端を持つ円筒の形態を有する。流路12は剛性シェル10の底板を通って伸び、そしてシェル内に第二の部分15を含む。流路12の該第二の部分は、流路部分13に連結した第一の部分を有するボトルの形態を含むコラプシブルカートリッジ20に連結し、そして第二の部分15は、剛性シェル10の側壁と接触している。
【0041】
コラプシブルカートリッジは、剛性シェル10のそれぞれの長さより少しばかり短い長さを有し、その結果、シェル10の開口部18の近くの遠位端11の小さな部分は空いた空間になる。これによって、剛性の細長いシェル10中に圧迫部材30が配列され、コラプシブルカートリッジ20の第二の部分が後退し又は剥離することが可能になる。
【0042】
圧迫部材30は側壁31及び頂部表面32を有する切頭円錐を含む。頂部表面32は、剛性シェル10内に圧迫部材30が配列された場合、コラプシブルカートリッジの底22に向かい合っている。圧迫部材30が剛性シェル内を前進した場合、コラプシブルカートリッジの第二の部分15はシェル10の内側側壁から剥離し、そうすることによってカートリッジ20の容積が減少し、そしてカートリッジ内の流体が流路12及び13を通って押し出される。
【0043】
図2は、コラプシブルカートリッジ30が剛性の細長いシェル10内に配列される、それぞれの実施態様を示す。コラプシブルカートリッジ20は、カートリッジ20の内部部品がより明確に見えるように切開されている。コラプシブルカートリッジ20の底22は、圧迫部材30の上部表面32に接触する。圧迫部材30がシェル内を前進するとき、カートリッジ20の第二の部分15の材料は剛性シェルの内側側壁から脱離し、剥離し、巻いて圧迫部材30と接触する。
【0044】
この目的のために、コラプシブルカートリッジ20の第二の部分15の外側側壁と剛性シェル10の内側側壁の間の粘着力又は摩擦は、コラプシブルカートリッジ20の第二の部分15の内側側壁21の2つの部材又は部分の間の粘着力より小さい。その結果、コラプシブルカートリッジ20の第二の部分はシェル10の内側側壁から後退し、そして粘着力における差のためシェル内を前方に押し進められない。同時に、第二の部分15は圧迫部材30の切頭円錐に沿って摺動して剛性シェル10の内側側壁と圧迫部材30の間に配列し、その結果、第二の部分15の材料の間の空間中の実質的に全ての液体が押し出される。言い換えれば、圧迫部材30が剛性シェルに沿って前進した場合、第二の部分15の材料の間の空間に流体が実質的に全く残らない。
【0045】
図3は、圧迫部材30と剛性シェル10の間のコラプシブルカートリッジ20の第二の部分15の材料の配列を説明する実施態様を示す。領域40において、コラプシブルカートリッジ20の材料は、或る部分は剛性シェル10の内側側壁に接触しており、一方、第二の部分15内のコラプシブルカートリッジ20の材料の他の部分は、巻いて圧迫部材30と接触する。
【0046】
コラプシブルカートリッジ20はその底部に凹部221を含む。その凹部は圧迫部材30が剛性シェル10に沿って前進するとき、それを案内するための案内部材として使用される。これによって、圧迫部材30が剛性シェルに沿って前進するとき、より円滑で正確な流体の送達が可能になる。圧迫部材30の直径は、図3に示される通り、剛性シェル10の直径より少なくとも4倍小さくなるように選択される。これによって、圧迫部材30と剛性シェル10の内側側壁の間の自由空間中に、コラプシブルカートリッジ20の第二の部分15の材料を配列することが可能になる。同時に、流体は、領域40において今や第二の部分15の重なっている材料から押し出される。
【0047】
図3の実施態様に従うコラプシブルカートリッジは、多層複合材を含んでよく、その場合、コラプシブルカートリッジ20の第二の部分15の内側側壁の材料の間の粘着力は、第二の部分15の外側側壁と剛性シェル10の内側側壁の間、及び/又は第二の部分15の外側側壁と圧迫部材30の内側側壁の間の各粘着力より弱い。その結果、第二の部分15は、圧迫部材30が剛性シェル10内を前進するとき、内側側壁から反跳し、そして剛性シェルに沿って前方に押し出されない。
【0048】
図4は、本発明に記載の流体薬物送達システムの別の実施態様を示す。この実施態様において、コラプシブルカートリッジ20は、コラプシブルカートリッジ20の凹部221を有する底が剛性シェル10の開口部で終わるように、剛性シェル10内に埋め込み式にされる(flash-mounted)か、又は配列される。凹部221は圧迫部材30の上部に取付けしたエンハンスメント31を含む圧迫部材30のための案内部材として機能する。エンハンスメント31は凹部221内に嵌合し、内側側壁に接触することなく剛性シェルに沿って圧迫部材30を案内する。圧迫部材30は、ピストン・ロッド34と接触しており、そのピストン・ロッド34は注射器投与デバイス33の一部分である。本発明に記載の流体薬物送達システムは、そのような用量送達デバイス中に置かれ、それは正確な量の薬物流体を送達するために患者によって使用されるペン注射器型であり得る。
【0049】
圧迫部材30のより小さな直径によって、圧迫部材30と剛性シェルの間の如何なる粘着力も低減される。コラプシブルカートリッジ20及び剛性シェル10の内側側壁用に使用される材料は、コラプシブルカートリッジ2の第二の部分15と剛性シェル10の内側側壁の間の特定の粘着力をもたらし、その結果、圧迫部材30の前進により第二の部分15が内側側壁から反跳する。この粘着力は、また、カートリッジ20の更なる容積安定性をももたらす。
【0050】
従って、流路12とそれに取り付けられる注射針の間の追加のバルブ又は出口は必要とされない。
【0051】
圧迫部材30と剛性シェル10の内側側壁の間の空間は、コラプシブルカートリッジ20の第二の部分15が、一緒に押しこまれることなく正確に反跳するのに十分大きく、しかしこの領域の如何なる流体も実質的に押し出されるのに十分小さく選択される。
【0052】
流体薬物送達システムは共押し出しブロープロセスを用いて製造することができ、剛性シェル10及び可撓性のコラプシブルカートリッジを実質的に同時に成形する。この目的のために、コラプシブルカートリッジ並びに剛性シェルは、種々の種類のプラスチック又は複合材、及び多層複合材でさえも含んでよい。剛性シェル10及びコラプシブルカートリッジ20用に使用される材料は、カートリッジ内の流体の残留している容積を光学的に制御するために、透明若しくは少なくとも半透明、又は幾つかの領域において透明であってよい。
【0053】
別の実施態様において、可撓性でかつ圧縮性のカートリッジは、カートリッジと剛性シェルの内側側壁の間に如何なる空隙も形成することなく剛性シェルを成形した後、剛性シェル内に配置される。コラプシブルカートリッジの折れ曲がり、そしてそれにより局部的に小さい流体チャンバーが発生するのを防ぐために、コラプシブルカートリッジ20と剛性シェルの間のそれぞれの粘着力が生みだされなければならない。更に、この粘着力は内側側壁からコラプシブルカートリッジ20の第二の部分を後退させるために、十分に小さくなければならない。
【0054】
剛性シェル10は、アンプル又は医薬ファイル(pharmaceutical file)の形態を含んでよい。
【0055】
図5は、本発明の別の実施態様の模式図を説明する。本明細書中に示された容器はペン型注射器の交換可能な部分であり、そして薬物送達システム中に配置することができる。容器1aは硬い外部シェル10及び可撓性で圧縮性の内部カートリッジ20又はバッグを含む。剛性シェル10はその遠位端に底を有しないが、それを通して圧迫部材30又は注射器のプランジャ(plung)が挿入され得る開口部を有する。圧迫部材30は、それが注射器デバイス内に挿入された後、可撓性のバッグと接触する。
【0056】
剛性シェル10は、コラプシブルカートリッジ20と同様、1つ又はそれより多くの一般的な製造工程において共押し出しするか、又は2K−射出成形プロセスにおいて成形してよく、ここで、コラプシブルカートリッジ20は剛性シェル10内に射出される。従って、コラプシブルカートリッジの外部表面は、二段階製造プロセスの場合は剛性シェル10の内部表面と等しいかそれより少しばかり小さく、又は共押し出し若しくは射出プロセスの場合は、内部表面に略等しい。
【0057】
図5において図示されている通り、容器1は剛性の外部シェル、及び圧縮性で可撓性の内部カートリッジを有する二重壁アンプルを含む。容器1は交換可能であり、そして注射器中に配置されて薬物送達デバイスを形成する。可撓性の内部カートリッジ20は、外部シェル10と略同じ長さを含む。
【0058】
充填された容器を注射器デバイス内に挿入後、圧迫部材が背後から剛性シェル10内に挿入されるが、外部の剛性シェル10とは接触状態にない。この目的のために、圧迫部材30は、2つの異なる直径であて、両者共剛性シェル10の内径よりも小さな直径を含んでよい。コラプシブルカートリッジ20の底22に隣接する圧迫部材30の第一の部分30bは、剛性シェルの内径からコラプシブルカートリッジの側壁の厚みの4倍だけ足りない値と略同じ直径を含む。第二の部分30aは、圧迫部材30が剛性シェルの側壁との接触を避けるように、同じであるかむしろ小さな直径を有してよい。部分30bの長さは、可撓性の内部カートリッジ20の長さの少なくとも半分であってよく、その結果、コラプシブルカートリッジが部分的に又は完全に折り畳まれた場合、圧迫部材30と剛性シェル10の内側側壁の間に、カートリッジ中に含有される流体用の空間が全く提供されない。圧迫部材30は、注射器中のフィード・フォワード機構(feed-forward mechanism)によってのみ案内される。フィード・フォワード機構はペン又は注射器自身の中に組み込まれるので、それは適切な装置(例えば、スピンドル・ナット駆動)及び高い用量精度を、それぞれ、提供する。
【0059】
圧迫部材が前方に移動したとき、コラプシブルカートリッジは図示された通りに反跳する。その内部圧力は、薬物投与中に局部ウェル(well)が分離するのを防ぐことができる。容器1aは、この実施態様においては、針及びそのホルダは注射器の部分であるので、針用のホルダを含まない。薬物送達デバイスの目的で、容器1aの近位端におけるセプタムは、注射器内への容器の挿入後、針の部分によって突き刺されるであろう。図5の実施態様において、コラプシブルカートリッジのセプタムは、剛性シェル10の突起1bに隣接して配置される。それ故、図示されるように容器の2K−生産のために、容器の肩領域でさえ絶対的に必要なものではない。
【0060】
注射器はピストン及び圧迫部材を含めて再使用することができるので、コラプシブルカートリッジは圧迫部材に取り付けられていない。そうすることによって、両方のパートナーの正しい接触嵌合を確保し、そして保証された全長の着実な剥離を保証するために、圧迫部材はコラプシブルカートリッジの中央と同じ形を有することができる。薬物の残留容積を低減するために、コラプシブルカートリッジ及び/又は剛性シェルの近位端も、また、円錐形の形状を含んでよい。
【符号の説明】
【0061】
1 流体薬物送達システム
10 剛性シェル
12、13 流路
11 遠位端
14 第一の部分
15 第二の部分
18 剛性シェルの開口部
20 コラプシブルカートリッジ
21 材料、内側側壁
22 底部
30 圧迫部材
31 切頭円錐、エンハンスメント
32 上部表面
33 用量注射システム
34 ピストン・ロッド
40 領域
図1
図2
図3
図4
図5