(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)重量平均分子量が1万〜30万である(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物、(B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体、及び(D)光重合開始剤を含有してなる光硬化性透明粘着シート用組成物であって、(A)重量平均分子量が1万〜30万である(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物が、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート化合物を反応させ、次いで、残存する水酸基又はイソシアネート基に対し、50〜80mol%の(メタ)アクリル基を有する化合物を反応させることで、分子中に(メタ)アクリル基を導入させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物であり、(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体に含まれるカルボキシル基含有単量体が(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体の全量に対して、0.1質量%以下であることを特徴とする光硬化性透明粘着シート用組成物。
光硬化性透明粘着シート用組成物の全量に対して、(A)重量平均分子量が1万〜30万である(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物10〜50質量%、(B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル1〜30質量%、(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体20〜88質量%、及び(D)光重合開始剤0.2〜5質量%を含有してなることを特徴とする請求項1記載の光硬化性透明粘着シート用組成物。
(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体がカルボキシル基含有単量体を含まないことを特徴とする請求項1又は2に記載の光硬化性透明粘着シート用組成物。
(B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体からなるポリマーの理論ガラス転移温度が0℃〜50℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性透明粘着シート用組成物。
請求項1〜4のいずれかに記載の光硬化性透明粘着シート用組成物を硬化させて得られる光硬化性透明粘着シートが透明導電膜の貼り合せに使用されることを特徴とする透明導電膜固定用透明粘着シート用組成物。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、ゲーム機器などの分野にタッチパネルが搭載され始めている。タッチパネルは、ITO(酸化インジウムスズ)などの透明導電膜を表層に有する透明基材やガラスとそれを保護する透明保護シート、さらには液晶ディスプレイなどの表示装置といった光学部材を、光学用の透明粘着シートを用いて貼り合せた積層体である。
【0003】
タッチパネルには、主に入力時の圧力で検知する抵抗膜方式のタッチパネルと、入力時の人体からの静電気で入力箇所を検知する静電容量方式のタッチパネルがある。静電容量方式のタッチパネルにおいては、透明導電膜の導電層面が、粘着シートの粘着剤層表面と接するように固定される。そのため、透明導電膜の導電層面に粘着剤層が接すると粘着剤に含まれる酸成分によって金属の酸化反応が起こり、導電機能の低下が起こるという問題がある。このため、透明導電膜固定用の粘着シートには高い金属腐食防止性が要求されている。
【0004】
金属腐食防止性を有する粘着シートとしては、金属腐食防止剤を含有する粘着シート(例えば、特許文献1)が提案されている。また、粘着剤層の酸成分に対して、特定量の窒素原子含有成分を含有させることで、透明導電膜に対する腐食性を低下させた粘着シート(例えば、特許文献2)が提案されている。
【0005】
しかしながら、金属腐食防止剤を含有する粘着シートは、金属腐食防止剤が耐久性試験で変色し、光学特性を低下させる等の問題があった。また、特定量の窒素原子含有成分を含有させた粘着シートは、粘着剤層に含まれる酸成分が原因で、ITOの電気抵抗値の上昇を十分に抑えられない問題があった。
【0006】
一方、タッチパネル等の中には、印刷段差等の段差を有する部材を含み、携帯電話などにおいて枠状の印刷部分が施された部材を有するタッチパネルなどが用いられている。その様な用途においては、粘着シートには、部材を貼付固定する性能と同時に印刷段差を埋める性能、即ち、優れた段差吸収性が要求される。透明粘着シートがかかる段差を吸収できないと、印刷層の端部周辺で透明粘着シートの浮き(気泡や空隙)が発生し、この浮き(気泡や空隙)による光の反射損失が生じて、液晶ディスプレイの視認性が低下するおそれがある。
【0007】
優れた段差吸収性を得るためには透明粘着シートは柔らかく、且つ、接着力が高いものが有利であるが、先に記載した理由から、酸成分を含まず接着性が高いことが要求される。この要求に対して、アルコキシアルキルアクリレートを主たるモノマーとする酸成分を含まない特定分子量のアクリル系ポリマーと架橋剤とからなる粘着剤組成物が、良好な接着性と金属腐食防止性を両立しうる透明粘着シートを与えること(例えば、特許文献3)が開示されている。
【0008】
しかしながら、ポリマーに架橋剤を添加した組成物は、一液化後の安定性が十分でなく、ポリマーを塗布する場合には溶剤希釈する必要があることから100μm以上の厚手の粘着シートを作製するのは非常に困難であるといった問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、硬化させて得られる透明粘着シートが、透明導電膜の導電層面に対して直接貼り合わせても導電層を腐食させず、粘着剤層の凝集力、透明性、打ち抜き加工性に優れ、且つ段差吸収性に優れる一液型の光硬化性透明粘着シート用組成物を提供することにある。さらには該透明粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、タッチパネル用光硬化性透明粘着シートが抱える前記の問題点を背景にして、鋭意検討を重ねた結果、高分子量で、且つ、特定量の(メタ)アクリル基が導入されたポリオレフィン系ウレタンアクリレート化合物、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、カルボキシル基含有単量体の含有量が所定量未満である光重合性単量体、及び光重合開始剤を配合した光硬化性透明粘着シート用組成物が、該光硬化性透明粘着シート用組成物を硬化させて得られる光硬化性透明粘着シートの透明性、粘着性、透明導電膜の金属腐食防止性、段差吸収性が良好であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0012】
本発明は以下(1)〜(7)で示される。
【0013】
(1)(A)重量平均分子量が1万〜30万である(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物、(B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体、及び(D)光重合開始剤を含有してなる光硬化性透明粘着シート用組成物であって、(A)重量平均分子量が1万〜30万である(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物が、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート化合物を反応させ、次いで、残存する水酸基又はイソシアネート基に対し、50〜80mol%の(メタ)アクリル基を有する化合物を反応させることで、分子中に(メタ)アクリル基を導入させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物であり、(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体に含まれるカルボキシル基含有単量体が(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体の全量に対して、0.1質量%以下であることを特徴とする光硬化性透明粘着シート用組成物。
【0014】
(2)光硬化性透明粘着シート用組成物の全量に対して、(A)重量平均分子量が1万〜30万である(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物10〜50質量%、(B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル1〜30質量%、(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体20〜88質量%、及び(D)光重合開始剤0.2〜5質量%を含有してなることを特徴とする(1)記載の光硬化性透明粘着シート用組成物。
【0015】
(3)(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体がカルボキシル基含有単量体を含まないことを特徴とする(1)又は(2)に記載の光硬化性透明粘着シート用組成物。
【0016】
(4)(B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体からなるポリマーの理論ガラス転移温度が0℃〜50℃であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の光硬化性透明粘着シート用組成物。
【0017】
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の光硬化性透明粘着シート用組成物を硬化させて得られる光硬化性透明粘着シートが透明導電膜の貼り合せに使用されることを特徴とする透明導電膜固定用透明粘着シート用組成物。
【0018】
(6)上記(5)記載の透明導電膜固定用透明粘着シート用組成物を硬化させて得られることを特徴とする透明導電膜固定用透明粘着シート。
【0019】
(7)上記(6)記載の透明導電膜固定用透明粘着シートが、透明導電膜の導電層面に接着されていることを特徴とする積層体。
【発明の効果】
【0020】
本発明の光硬化性透明粘着シート用組成物は、組成物中に(メタ)アクリル基量を調整された高分子量の(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物を含むため、段差吸収性、耐透湿性に優れ、さらに組成物中のカルボキシル基の含有量が所定量以下であることから酸成分による透明導電膜の導電層面の腐食を抑制でき、さらに、組成物中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより高い凝集力と基材への密着性が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(光硬化性透明粘着シート用組成物)
本発明の光硬化性透明粘着シート用組成物は、(A)重量平均分子量が1万〜30万である(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物、(B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体、及び(D)光重合開始剤を含有してなる。
【0023】
((A)(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物)
(A)(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物としては、ポリオレフィン骨格を有し、さらに(メタ)アクリル基が導入されているもので有れば使用することが出来る。(A)(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物に使用できるポリオレフィン骨格としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ブタジエン、イソプレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、シクロオレフィン等の骨格が挙げられる。耐光性、透明性(非結晶性)、作業性(液状)の点で、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン骨格が好ましい。なお、(メタ)アクリル基とはCH
2=CH−CO− または CH
2=C(CH
3)−CO−を意味する。
【0024】
本発明の(A)(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物は、ヒドロキシル基又はイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートをウレタン化反応させることにより、分子中に(メタ)アクリル基を導入して得られる(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物が、接着性、靭性の点から好ましい。(A)(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物の合成方法としては、以下のような2段階反応によるものを例示できる。
【0025】
1番目の例としての2段階反応は以下の通りである。まず、ポリオレフィンポリオールに対して、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する多官能イソシアネート化合物(以下、「多官能イソシアネート化合物」ということがある。)を、イソシアネート基当量を水酸基当量より多い割合で反応させて、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成する。この時、ポリオレフィンポリオールの水酸基当量と多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基当量の比を調整することで、分子量を調整することが可能である。イソシアネート基に対する水酸基当量の比が大きくなればなるほど、得られるポリウレタン化合物の分子量は大きくなり、イソシアネート基当量に対する水酸基当量の比が小さくなればなるほど、得られるポリウレタン化合物の分子量は小さくなる。次に、得られたウレタンプレポリマーにヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとして、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや各種ポリオール由来の(メタ)アクリレートモノオール(1個の水酸基を残して、各種ポリオールを(メタ)アクリレート化したもの)を反応させて、残存するイソシアネート基を(メタ)アクリル基に転換することにより(A)(メタ)アクリレート基含有ポリオレフィン化合物が得られる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオール(メタ)アクリレート等が例示でき、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、イソシアネート基との反応性、光硬化性の点で、2−ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。この時、アルキルアルコールをイソシアネート基に反応させることで(メタ)アクリル基含有量を調整することが出来る。使用できる飽和アルコールとしては特に限定はなく、直鎖型、分岐型、脂環型のアルキルアルコールを1種又は2種以上使用できる。
【0026】
2番目の例としての2段階反応は以下の通りである。まず、ポリオレフィンポリオールに多官能イソシアネート化合物を、水酸基当量をイソシアネート基当量より多い割合で反応させて、鎖長延長した、水酸基を有するポリウレタン化合物を合成する。この時、ポリオレフィンポリオールの水酸基当量と多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基当量の比を調整することで、分子量を調整することが可能である。イソシアネート基に対する水酸基当量の比が大きくなればなるほど、得られるポリウレタン化合物の分子量は小さくなり、イソシアネート基当量に対する水酸基当量の比が小さくなればなるほど、得られるポリウレタン化合物の分子量は大きくなる。次に、得られたポリウレタン化合物に、イソシアネート基含有(メタ)アクリレートを反応させることにより(A)(メタ)アクリレート基含有ポリオレフィン化合物が得られる。この時、残存する水酸基に対して反応させるイソシアネート基含有(メタ)アクリレートの量を調整することで(メタ)アクリル基の含有量を調整することが出来る。イソシアネート基含有(メタ)アクリレートは、市販の化合物を使用しても良いし、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや各種ポリオール由来の(メタ)アクリレートモノオールとジイソシアネート化合物を反応させて片末端にイソシアネート基、もう一方の末端に(メタ)アクリル基を有するイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを合成したものでも良い。イソシアネート基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、1,1−ビス(アクロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等があげられる。中でも、水酸基との反応性、及び光硬化性の点から、2−イソシアネートエチルアクリレートが好ましい。
【0027】
上記2例の2段階反応は、いずれも、水酸基とイソシアネート基との反応であり、イソシアネート基に不活性な有機溶媒存在下、ジブチル錫ジラウレートやジブチル錫ジエチルヘキソエートのような一般的なウレタン化触媒を用いて、通常30〜100℃、1〜5時間程度継続して行われる。ウレタン化触媒の使用量は反応に供される原料の合計質量基準で、通常50〜500ppmである。
【0028】
本発明で用いられる多官能イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びこれらの水素添加物等のジイソシアネート化合物が挙げられる。中でも、耐光性、反応性制御のしやすさの点から、イソホロンジイソシアネートが好ましい。これらの1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。イソシアネート基当量を水酸基当量より多い割合で反応させる場合における、多官能イソシアネート化合物の使用量としては、ポリオレフィンポリオール1モルに対し、1.8〜2.2モルであることが好ましく、1.9〜2.1モルであることがより好ましい。1.95〜2.05モルであることがさらに好ましい。多官能イソシアネート化合物の使用量が1.8モルより少なくなると、得られる(A)(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物の分子量が高くなりすぎるために取り扱い困難となり、多官能イソシアネート化合物の使用量が2.2モルより多くなると、得られる(A)(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物の分子量が低くなりすぎるために、粘着シートの強度が十分に得られない傾向にある。水酸基当量をイソシアネート基当量より多い割合で反応させる場合における、多官能イソシアネート化合物の使用量としては、ポリオレフィンポリオール1モルに対し、0.4〜0.6モルであることが好ましく、0.45〜0.55モルであることがより好ましい。0.48〜0.52モルであることがさらに好ましい。多官能イソシアネート化合物の使用量が0.4モルより少なくなると、得られる(A)(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物の分子量が低くなりすぎるために、粘着シートの強度が十分に得られない傾向にあり、多官能イソシアネート化合物の使用量が0.6モルより多くなると、得られる(A)(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物の分子量が高くなりすぎるために取り扱い困難となる。
【0029】
本発明の(A)重量平均分子量が1万〜30万である(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物であるウレタン(メタ)アクリレート化合物は、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート化合物を反応させることで、高分子量化させ、次いで残存する水酸基又はイソシアネート基に対して50〜80mol%の(メタ)アクリル基を導入させる。残存する水酸基、又はイソシアネート基に対して、55〜75mol%の(メタ)アクリル基を導入することがより好ましく、60〜70mol%の(メタ)アクリル基を導入することがさらに好ましい。(メタ)アクリル基を導入する割合が、50mol%より少ない場合には、(メタ)アクリル基を導入できないポリオレフィンポリオールが存在することとなり粘着力が低くなる可能性があり好ましくない。80mol%より大きい場合には、得られる粘着シートが硬くなりすぎる可能性があり好ましくない。
【0030】
(A)(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物の分子量は、重量平均分子量が1万〜30万であることが好ましく、より好ましくは2万〜20万であり、さらに好ましくは5万〜10万である。分子量の調整は、ポリオレフィンポリオールと多官能イソシアネート化合物の量を調整することで可能である。重量平均分子量が1万未満では、得られる粘着シートの凝集力が低くなることから粘着シートの強度が十分でない可能性があり好ましくない。また、分子量が30万より大きい場合には、光硬化性透明粘着シート用組成物の粘度が高くなりすぎるために取り扱いが困難となり作業性が著しく悪くなり好ましくない。なお、本発明における重量平均分子量の値は、ゲル・パーミッション・クロマトグラフィー(昭和電工株式会社製Shodex GPC−101)を用いて、下記条件にて常温で測定し、ポリスチレン換算にて算出されるものである。
カラム:昭和電工製LF−804
カラム温度:40℃
試料:共重合体の0.2質量%テトラヒドロフラン溶液
流量:1ml/分
溶離液:テトラヒドロフラン
【0031】
(A)(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物の含有量としては、光硬化性透明粘着シート用組成物中10〜50質量%であることが好ましく、15〜45質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましい。10質量%より少ない場合には、得られる粘着シートが脆くなり好ましくない。50質量%より多い場合には、得られる粘着シートの粘着力が低くなる可能性があり好ましくない。
【0032】
((B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル)
(B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、カルボキシル基を有しないものが好ましく、例えば、アルキル基の炭素数が2〜7であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオール(メタ)アクリレート等が例示でき、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、得られる粘着シートの粘着力の点で、2−ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。(B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量としては、光硬化性透明粘着シート用組成物中1〜30質量%含むことが好ましく、より好ましくは5〜25質量%であり、さらに好ましくは10〜20質量%である。1質量%未満では、得られる粘着シートの基材への密着性が不十分となり好ましくない。また、30質量%より多い場合には、粘着シートの耐水性が悪くなり好ましくない。
【0033】
((C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体)
(C)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外の光重合性単量体(以下、「(C)の光重合性単量体」ということがある。)は、光重合性単量体であって、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外のものを指し、カルボキシル基(化学式:−COOH)を含有しない単量体が好ましい。当該単量体としては特に限定はなく、ビニル基、(メタ)アクリル基等を有する、単官能性又は多官能性光重合性単量体を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。本発明の(C)の光重合性単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルナニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントインジ(メタ)アクリレート、α,ω−ジ(メタ)アクリルビスジエチレングリコールフタレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジアクリロキシエチルフォスフェート、ジペンタエリスリトールトリヒドロキシ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート、アクリルアミド及びジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等のアクリルアミド誘導体、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等があげられる。本発明の(C)の光重合性単量体としては、(A)(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物との混和性、粘着シートの粘着性、強度、耐光性、耐熱性の観点から、アルキル(メタ)アクリレート、又は環状アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。ここで言う単官能もしくは多官能の官能基とは、(メタ)アクリル基を指す。(C)の光重合性単量体の含有量は、光硬化性透明粘着シート用組成物中20〜88質量%含むことが好ましく、より好ましくは20〜70質量%である。さらに好ましくは、40〜69質量%である。20質量%未満では、得られる粘着シートの基材への密着性が不十分となり好ましくない。また、88質量%より多い場合には、粘着シートの凝集力が低くなることから粘着力が低くなり好ましくない。
【0034】
本発明では、(C)の光重合性単量体に含まれるアクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体は、(C)の光重合性単量体の全量に対して0.1質量%以下であり、0.05質量%以下であることがより好ましい。(C)の光重合性単量体は、カルボキシル基含有単量体を含まないことがさらに好ましい。カルボキシル基含有単量体が(C)の光重合性単量体の全量に対して0.1質量%より多くなると、透明導電膜の導電層面の腐食の抑制が困難となる。
【0035】
本発明の(B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び(C)の光重合性単量体からなるポリマーの理論ガラス転移温度は、粘着シートの強度、接着力の観点から0〜50℃であることが好ましく、5〜45℃であることがより好ましく、10〜40℃であることがさらに好ましい。0℃より低い場合には、得られる粘着シートが(A)(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物の影響により柔らかくなりすぎるために粘着シートの接着力が低くなり好ましくない。また、50℃より高い場合には、得られる粘着シートが硬くなりすぎ、十分な粘着性が得られないので好ましくない。ここで、理論ガラス転移温度(Tg)は、モノマー原料を構成する各モノマーの単独重合体(ホモポリマー)のTgおよび該モノマーの質量分率(共重合割合)に基づいて下記のフォックス(FOX)の式(1)から算出することができる。
【数1】
【0036】
式(1)中のW
1、W
2・・・W
nは各モノマーの質量分率(=(各モノマーの配合量/モノマー全質量))であり、T
1、T
2・・・T
nは、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)である。ホモポリマーのTgとしては、公知資料である株式会社日刊工業新聞社の「粘着技術ハンドブック」またはWiley−Interscienceの「ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)」に記載の値を採用するものとする。上記公知資料に記載のないモノマーのホモポリマーのTgについては、以下の方法で求められた値を採用するものとする。すなわち、対象となるモノマーを溶液重合して得られたホモポリマー溶液を剥離ライナー上に流延乾燥させて試験サンプルを作製する。この試験サンプルにつき、示差走査熱量計(DSC)を用いて、10℃/分の昇温速度で−80℃から280℃まで温度を変化させて示差走査熱量測定を行い、ガラス転移による吸熱開始温度を当該ホモポリマーのTgとして採用するものとする。
【0037】
((D)光重合開始剤)
本発明における(D)光重合開始剤としては、例えば、カルボニル系光重合開始剤、スルフィド系光重合開始剤、キノン系光重合開始剤、アゾ系光重合開始剤、スルホクロリド系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、過酸化物系光重合開始剤等が挙げられる。
【0038】
カルボニル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ω−ブロモアセトフェノン、クロロアセトン、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−N,N’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0039】
スルフィド系光重合開始剤としては、例えば、ジフェニルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルアンモニウムモノスルフィド等が挙げられる。キノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾキノン、アントラキノン等が挙げられる。アゾ系光重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロパン、ヒドラジン等が挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン等が挙げられる。過酸化物系光重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシド等が挙げられる。これらの(D)光重合開始剤の中では、得られる光硬化性透明粘着シート用組成物における溶解性の点から、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが好ましい。これらの(D)光重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0040】
(D)光重合開始剤の含有量は、光硬化性及び得られる粘着シートの強度、粘着性のバランスの点から、光硬化性透明粘着シート用組成物中0.2〜5質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%である。(D)光重合開始剤の含有量が0.2質量%未満であると、光硬化が不十分となる傾向にあり、5質量%を超えると得られる粘着シートの粘着性が低下する傾向にあり好ましくない。
【0041】
本発明の光硬化性透明粘着シート用組成物は、好ましくは、光硬化性透明粘着シート用組成物の全量に対して、(A)成分10〜50質量%、(B)成分1〜30質量%、(C)成分20〜88質量%、及び(D)成分0.2〜5質量%を含有してなる。そして、より好ましくは、光硬化性透明粘着シート用組成物の全量に対して、(A)成分15〜45質量%、(B)成分5〜25質量%、(C)成分20〜70質量%、及び(D)成分0.2〜5質量%を含有してなる。そして、更に好ましくは、光硬化性透明粘着シート用組成物の全量に対して、(A)成分20〜40質量%、(B)成分10〜20質量%、(C)成分40〜69質量%、及び(D)成分0.5〜3質量%を含有してなる。
【0042】
本発明の光硬化性透明粘着シート用組成物には、必要に応じて、得られる粘着シートの接着力を向上させるため、透明性を低下させない範囲で粘着付与樹脂を添加しても良い。粘着付与樹脂の例としては、ロジンやロジンのエステル化物等のロジン系樹脂;ジテルペン重合体やα−ピネン−フェノール共重合体等のテルペン系樹脂;脂肪族系(C5系)や芳香族系(C9系)等の石油樹脂;その他、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。耐光性の点から不飽和二重結合が少ない水添ロジンや不均化ロジンのエステル化物や、脂肪族や芳香族系石油樹脂、高Tgアクリル樹脂等を粘着シートに添加することが好ましい。粘着付与樹脂の添加量としては、光硬化性透明粘着シート用組成物100質量部に対して((A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計量100質量部に対して)、1〜10質量部を添加することが好ましい。
【0043】
また、本発明の光硬化性透明粘着シート用組成物には、必要に応じて、透明性を損なわない範囲で、公知の各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、ベンゾトリアゾール系等の光安定剤、リン酸エステル系およびその他の難燃剤、界面活性剤のような帯電防止剤などが挙げられる。
【0044】
また、本発明の光硬化性透明粘着シート用組成物は、塗工時の粘度調整を目的として有機溶媒を用いて溶液としてもよい。用いられる有機溶媒としては、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、n−プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合してもよい。
【0045】
(透明導電膜固定用透明粘着シート用組成物)
本発明の透明導電膜固定用粘着シート用組成物は、上記の光硬化性透明粘着シート用組成物からなる透明導電膜固定用粘着シート用組成物である。
【0046】
本発明の透明導電膜固定用粘着シート用組成物が使用される透明導電膜としては、少なくとも片面の表層に導電層を有するものであればよく、透明基材の表層に導電物質が蒸着やコーティングにより設けられた透明導電膜を挙げられる。透明導電膜の導電層において蒸着やコーティングされる導電物質は、特に限定されないが、具体的には、酸化インジウムスズ、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化ガリウム、酸化チタンなどが挙げられる。なかでも、透明性、導電性に優れる酸化インジウムスズが好適に用いられる。透明導電膜において、導電物質が蒸着またはコーティングされる基材としては、特に限定されるものではないが、ガラス、樹脂フィルムなどが挙げられる。
【0047】
(透明導電膜固定用透明粘着シート)
本発明の透明導電膜固定用透明粘着シートは、上記の透明導電膜固定用透明粘着シート用組成物を硬化させてなる透明導電膜固定用透明粘着シートであって、透明導電膜の導電層面と好適に接着でき、かつ導電層の腐食が生じ難いものである。したがって、透明導電膜固定用透明粘着シートを透明導電膜の導電層面と接着させた積層体はタッチパネルとして好適に用いることができる。また、本発明の透明導電膜固定用透明粘着シートは、基材を有するものであっても、基材を有さず粘着剤層のみからなる両面粘着シートであってもよい。また、粘着剤層は単一層からなるものであっても複数層が積層されていてもよい。なかでも、透明性の確保や、形状追従性の観点からは、基材を有さず、粘着剤層のみからなる両面粘着シートであることが好ましい。
【0048】
本発明の透明導電膜固定用透明粘着シートは、離型PETフィルムに透明導電膜固定用透明粘着シート用組成物を塗布し、塗布した組成物に紫外線照射装置等を用いて紫外線を照射して光硬化させることで、得ることができる。透明導電膜固定用粘着シートの膜厚は、5〜500μmとすることが好ましく、10〜300μmとすることがより好ましい。透明導電膜固定用粘着シートの膜厚が5μmより薄くなると、粘着シートの貼り合わせが困難となり、500μmより厚くなると、膜厚の制御が困難となる傾向にある。
【実施例】
【0049】
以下に実施例、及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0050】
<(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物(A−1)>
温度計、撹拌器、滴下ロート、乾燥管付き冷却管を備えた四つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート2モル及び水酸基末端水素添加ポリブタジエン(日本曹達株式会社製、製品名:GI‐3000、水酸基価25mgKOH/g)を1モル仕込み、60℃で4時間反応させ、イソシアネート基末端水素添加ポリブタジエンを得た。これに2−ヒドロキシエチルアクリレート1.4モル(残存イソシアネート基に対して、70mol%)及びイソブタノール0.6モルを仕込み70℃まで昇温して2時間反応をさせ、IR測定によりイソシアネート基が消失したことを確認した後、反応を終了し、(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物(A−1)(重量平均分子量50,000)を得た。
【0051】
<(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物(A−2)>
温度計、撹拌器、滴下ロート、乾燥管付き冷却管を備えた四つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート1モル及び水酸基末端水素添加ポリブタジエン(日本曹達株式会社製、製品名:GI‐3000、水酸基価25mgKOH/g)を2モル仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.1%以下となった時点で、2−イソシアネートエチルアクリレート1.4モル(残存水酸基に対して、70mol%)を仕込み70℃まで昇温して2時間反応をさせ、IR測定によりイソシアネート基が消失したことを確認した後、反応を終了し、(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物(A−2)(重量平均分子量50,000)を得た。
【0052】
<(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物(A−3)>
温度計、撹拌器、滴下ロート、乾燥管付き冷却管を備えた四つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート2モル及び水酸基末端水素添加ポリブタジエン(日本曹達株式会社製、製品名:GI‐3000、水酸基価25mgKOH/g)を1モル仕込み、60℃で4時間反応させ、イソシアネート基末端水素添加ポリブタジエンを得た。これに2−ヒドロキシエチルアクリレート2.0モル(残存イソシアネート基に対して、100mol%)を仕込み70℃まで昇温して2時間反応をさせ、IR測定によりイソシアネート基が消失したことを確認した後、反応を終了し、(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物(A−3)(重量平均分子量50,000)を得た。
【0053】
<(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物(A−4)>
温度計、撹拌器、滴下ロート、乾燥管付き冷却管を備えた四つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート2モル及び水酸基末端水素添加ポリブタジエン(日本曹達株式会社製、製品名:GI‐3000、水酸基価25mgKOH/g)を1モル仕込み、60℃で4時間反応させ、イソシアネート基末端水素添加ポリブタジエンを得た。これに2−ヒドロキシエチルアクリレート0.4モル(残存イソシアネート基に対して、20mol%)及びイソブタノール1.6モルを仕込み70℃まで昇温し2時間反応をさせ、IR測定によりイソシアネート基が消失したことを確認した後、反応を終了し、(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物(A−4)(重量平均分子量50,000)を得た。
【0054】
<(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物(A−5)>
温度計、撹拌器、滴下ロート、乾燥管付き冷却管を備えた四つ口フラスコに2−イソシアネートエチルアクリレートを1.4モル及び水酸基末端水素添加ポリブタジエン(日本曹達株式会社製、製品名:GI−1000、水酸基価75mgKOH/g)を1モル仕込み、60℃で4時間反応させ、IR測定によりイソシアネート基が消失したことを確認した後、反応を終了し、(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物(A−5)(重量平均分子量5,000)を得た。
【0055】
<(メタ)アクリル基含有ポリオレフィン化合物(A−6)>
温度計、撹拌器、滴下ロート、乾燥管付き冷却管を備えた四つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート1.5モル及び水酸基末端水素添加ポリブタジエン(日本曹達株式会社製、製品名:GI‐3000、水酸基価25mgKOH/g)を1モル仕込み、60℃で4時間反応させ、イソシアネート基末端水素添加ポリブタジエンを得た。これに2−ヒドロキシエチルアクリレートを0.8モル(残存イソシアネート基に対して、80mol%)及びイソブタノールを0.2モル仕込み70℃まで昇温して反応を行なったが、高分子量化し反応途中でゲル化してしまった。
【0056】
実施例1〜6、比較例1〜4
表1に示す組成でそれぞれ配合し、室温下でディスパーを用いて混合することで均一な光硬化性透明粘着シート用組成物を調製した。調製した光硬化性透明粘着シート用組成物を、アプリケーターを用い、膜厚が200μmとなるように離型PETフィルム(100mm×100mm×100μm)に塗布し、上面を25μm厚の離型PETフィルムで覆った後、紫外線照射装置(日本電池株式会社製 UV照射装置4kw×1、出力:160W/cm、メタルハライドランプ)を用い、照射距離12cm、ランプ移動速度20m/min、照射量約500mJ/cm
2の条件で紫外線を照射して硬化させ、離型PETフィルムに挟まれた膜厚が約200μmの粘着シートを得た。
【0057】
(理論ガラス転移温度の算定)
実施例及び比較例について、用いた(B)ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び(C)の光重合性単量体からなるポリマーの理論ガラス転移温度を、上記式(1)から算出した。結果を表1に示す。
【0058】
(酸化インジウムスズ膜の電気抵抗値測定)
上で得られた粘着シートを50mm×50mmの大きさに切り取り、25μm厚の離型PETフィルムを剥がし、100mm×100mmの酸化インジウムスズ蒸着PETフィルムの酸化インジウムスズ膜面に貼り合わせを行う。貼り合せた粘着シートの両端に電気抵抗値測定機 三菱化学株式会社製「ロレスターGP」を使用し、初期の電気抵抗値(R
1)を測定した。粘着シートを貼り合わせた酸化インジウムスズ蒸着PETフィルムを60℃、)90%RH条件下に500時間放置し、23℃、50%RH条件下に1時間放置した後、初期と同じ箇所での電気抵抗値(R
2)を測定した。酸化インジウムスズ膜の電気抵抗値上昇率は下記の式(2)で算出した。
【数2】
【0059】
電気抵抗値上昇率の評価は、下記の基準で行なった。結果を表1に示す。
○;電気抵抗値上昇率5%未満
△;電気抵抗値上昇率5〜10%未満
×;電気抵抗値上昇率10%以上
【0060】
(粘着シートの粘着力測定)
上で得られた粘着シートを25×100mmの大きさに切り取り、粘着シートの両面に存在する離型PETフィルムのうち100μm厚の離型PETフィルムを剥がした後、粘着面(測定面)を試験板に2kgのゴムローラー(幅:約50mm)を1往復させることにより貼付し、測定用サンプルを作製した。試験板としてガラス板を用いた。得られた測定用サンプルについて、23℃、湿度50%の環境下で24時間放置し、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、粘着シートのガラス板に対する粘着力(N/25mm)を測定した。得られた測定値を粘着力とした。結果を表1に示す。
【0061】
(全光線透過率測定)
上で得られた粘着シートを30mm×30mmの大きさに切り取り、粘着シートの両面に存在する離型PETフィルムのうち25μm厚の離型PETフィルムを剥がし、ガラス板に貼り合わせたものを測定用サンプルとした。測定用サンプルについて、株式会社村上色彩技術研究所製「HR−100型」を使用し、全光線透過率(%)を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
(段差吸収性)
上で得られた粘着シートにPETフィルム(厚み25μm)を貼り合わせ、総厚225μmの段差テープを作製した。矩形のガラス板の主面の四辺に沿う周縁に上記段差テープを額縁状に貼り付けて、段差付きガラス板を作った。この段差付きガラス板の段差テープを貼付した面の全面に対し、粘着シートを貼り付け、段差部分の粘着層の浮きを目視で観察した。
【0063】
段差吸収性の評価は、下記の基準で行なった。結果を表1に示す。
○;段差のある部分にて粘着層の浮きが確認されない状態を合格
×;浮きが確認される状態を不合格
【0064】
【表1】
【0065】
表1の結果から明らかなように、実施例で得られた本発明の光硬化性透明粘着シート用組成物は、比較例と比べて、電気抵抗値上昇率、全光線透過率、粘着力、段差吸収性に優れていることがわかる。