特許第5701901号(P5701901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5701901
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】発電機用のナット固定装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/124 20060101AFI20150326BHJP
【FI】
   H02K5/124
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-544491(P2012-544491)
(86)(22)【出願日】2010年10月1日
(65)【公表番号】特表2013-514757(P2013-514757A)
(43)【公表日】2013年4月25日
(86)【国際出願番号】US2010051038
(87)【国際公開番号】WO2011084199
(87)【国際公開日】20110714
【審査請求日】2012年10月12日
(31)【優先権主張番号】12/640,090
(32)【優先日】2009年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599078705
【氏名又は名称】シーメンス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトナー、ランディ イー
(72)【発明者】
【氏名】ソト、スティーヴン ティー
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ネイル アール
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−006348(JP,U)
【文献】 米国特許第05015895(US,A)
【文献】 特開昭63−115911(JP,A)
【文献】 米国特許第04971497(US,A)
【文献】 実開平05−030530(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 5/00− 5/26
F16B 39/00−39/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ(11)を有し、径方向リード(21)がシール(23)と共に前記ロータ(11)の径方向リード孔(20)内に配置され発電機(10)における、前記径方向リード(21)のシール(23)を固定するためのシステムであって、
前記径方向リード孔(20)に隣接して、前記ロータ(11)の本体に配置される受け入れポケット(15)と、
前記径方向リード(21)と同軸上に配置されるナット(24)であって当該ナット(24)の軸方向面に配置されるシール接触面(35)を有すると共に、前記シール接触面(35)の反対側には、当該ナット(24)へ向かって軸方向に延びるように周方向溝(29)が形成されていて、その周方向溝(29)によって互いに隔てられた最外周側のリガメント(26)最内周側のリガメント(27)とが形成されているナット(24)
を備えており
前記ナット(24)は、当該ナット(24)を前記径方向リード(21)の周囲で回転しないようにロックするべく前記最外周側のリガメント(26)の一部を前記受け入れポケット(15)に係合するように変形するにあたり、前記ナット(24)の前記周方向溝(29)内へとその外部から挿入可能に形成されたナット接触部(31)とそのナット接触部(31)の反対側に配置されたレバー部(32)とを有する工具(30)を用いて、前記ナット接触部(31)を前記周方向溝(29)内に挿入した状態で前記工具(30)の前記レバー部(32)に変形力が印加されると、その変形力が前記レバー部(32)から前記ナット接触部(31)へと伝達され、前記ナット接触部(31)が前記ナット(24)の前記周方向溝(29)内で当該ナット接触部(31)の先端を支点として前記最外周側のリガメント(26)の一部に向かって傾動し、その傾動によって、前記変形力が前記最外周側のリガメント(26)の一部に作用して、その最外周側のリガメント(26)の一部が前記ナット(24)の径方向外側に向かって変形されて前記ロータ(11)の前記受け入れポケット(15)に係合するように設定されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記受け入れポケット(15)が、ロータ中心軸位置(1)から離れて配置されてい
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記受け入れポケット(15)は、前記径方向リード(21)に隣接する前記ロータ(11)の相対的に最大の繰り返し応力の位置を含まない
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記受け入れポケット(15)は、前記径方向リード(21)に隣接する前記ロータ(11)の相対的に最小の繰り返し応力の位置を含む四分円(A、B)内に配置されてい
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記受け入れポケット(15)が、前記径方向リード孔(20)内へ開口してい
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
発電機(10)と共に使用するためのキットにおいて、
一方の軸方向面にシール接触面(35)を備え、前記シール接触面(35)の反対側に配置される周方向溝(29)を備えナット(24)であって、前記周方向溝(29)が当該ナット(24)へ向かってその軸方向に延びて最外周側のリガメント(26)と最内周側のリガメント(27)形成してなるナット(24)と、
前記ナット(24)の外部から前記周方向溝(29)内へと挿入可能に形成されたナット接触部(31)と前ナット接触部(31)の反対側に配置されレバー部(32)とを有する工具(30)とを備えて、
ナット接触部(31)を前記周方向(29)内に挿入た状態で前記工具(30)の前記レバー部(32)に変形力を印加すると、その変形力が前記レバー部(32)から前記ナット接触部(31)へと伝達され、前記ナット接触部(31)が前記ナット(24)の前記周方向溝(29)内で当該ナット接触部(31)の先端を支点として前記最外周側のリガメント(26)の一部に向かって傾動し、その傾動によって前記変形力が前記ナット接触部(31)から前記最外周側のリガメント(26)の一部へと作用して、その最外周側のリガメント(26)の一部が前記ナット(24)の径方向外側に向かって変形され、以て前記ナット(24)を前記発電機(10)にロックして当該ナット(24)の回転を阻止するように設定されている
ことを特徴とするキット。
【請求項7】
シール(23)を更に備え
ことを特徴とする請求項に記載のキット。
【請求項8】
径方向リード孔(20)と、前記径方向リード孔(20)に隣接して表面に配置され受け入れポケット(15)とを備えるロータ(11)と、
前記径方向リード孔(20)内に配置される径方向リード(21)と、
前記径方向リード孔(20)に対して同軸上にシールするように構成される外径を有するシール(23)であってかつ当該シール(23)が圧縮されるときに前記径方向リード(21)に対して同軸上にシールするように構成される内径を有する圧縮性シール(23)と、
前記径方向リード(21)と同軸上に配置されるナット(24)であって前記径方向リード孔(20)にねじ込まれるときに圧縮性の前記シール(23)を圧縮するシール接触面(35)を有すると共に、前記シール接触面(35)の反対側には、当該ナット(24)へ向かって軸方向に延びるように周方向溝(29)が形成されていて、その周方向溝(29)によって互いに隔てられた最外周側のリガメント(26)と最内周側のリガメント(27)とが形成されているナット(24)
を備えており
前記最外周側のリガメント(26)の一部を前記受け入れポケット(15)に係合するように変形せしめて、前記ロータ(11)に対して前記ナット(24)が回転しないようにするにあたり、前記ナット(24)の前記周方向溝(29)内へとその外部から挿入可能に形成されたナット接触部(31)とそのナット接触部(31)の反対側に配置されたレバー部(32)とを有する工具(30)を用いて、前記ナット接触部(31)を前記周方向溝(29)内に挿入した状態で前記工具(30)の前記レバー部(32)に変形力が印加されると、その変形力が前記レバー部(32)から前記ナット接触部(31)へと伝達され、前記ナット接触部(31)が前記ナット(24)の前記周方向溝(29)内で当該ナット接触部(31)の先端を支点として前記最外周側のリガメント(26)の一部に向かって傾動し、その傾動によって、前記レバー部(32)に印加された変形力が前記ナット接触部(31)から前記最外周側のリガメント(26)の一部へと作用して、その最外周側のリガメント(26)の一部が前記ナッ(24)の径方向外側に向かって変形されて前記ロータ(11)の前記受け入れポケット(15)に係合し、以て前記シール(23)に対する所望の圧縮度を維持しつつ前記発電機(10)前記ロータ(11)前記径方向リード(21)がシールされ
ことを特徴とする装置。
【請求項9】
前記受け入れポケット(15)が、ロータ中心軸位置(1)から離れて配置されてい
ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記受け入れポケット(15)は、前記径方向リード(21)に隣接する前記ロータ(11)の相対的に最大の繰り返し応力の位置を含まない
ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記受け入れポケット(15)は、前記径方向リード(21)に隣接する前記ロータ(11)の相対的に最小の繰り返し応力の位置を含む四分円(A、B)内に配置される
ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項12】
前記受け入れポケット(15)が、前記径方向リード孔(20)内へ開口してい
ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に発電機の分野に関し、特に、発電機の径方向リードナットを固定するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、ロータとして知られる回転シャフトと、ステータとして知られる固定部とを含む。ターボ機械としては、蒸気タービン、ガスタービン、発電機、コンプレッサ、および、ポンプが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、発電機は、一般に、ロータおよび固定導電体のような主要部品を含む。ロータは、一般に、電流で励磁されるときに磁場を生み出すロータ導電体を含む。
【0003】
発電機のロータは、ロータの端部に結合される励磁装置から励磁電流を受ける。ロータは、一般に、励磁装置と結合して軸方向導電体を介して励磁電流をロータ軸中心線に沿って経路付ける導電体を含む。その後、径方向リード導電体が、励磁電流をロータ中心線からロータ表面へと径方向に経路付ける。ロータ表面では、その後、励磁電流が磁場発生導電体へと方向付けられる。
【0004】
励磁電流が直流電流である場合には、生み出される磁場の大きさが一定である。しかしながら、ロータが回転すると、固定点での磁場強度は、磁場の磁極を通り過ぎるにつれて変化する。固定電気巻線がロータを取り囲み、回転磁場と交差するように配置され、それにより、固定電気巻線で交流電流が誘導される。固定巻線は、誘導される交流電流が多くのユーザへ分配されるように電気ネットワークに接続される。
【0005】
発電機の動作は、発電機の内部部品内で熱を生み出す。一般に、発電機は、空気、水、または、水素ガスなどの冷却媒体によって冷却される。水素ガスの場合には、水素ガスと周囲空気との混合を防止して、水素と酸素との爆発性混合を回避するように気を付けなければならない。一般に、水素冷却発電機は、水素と酸素との可燃性混合が発電機内で生じないようにするために、正圧下で且つ高い水素純度の下で動作される。水素冷却発電機は一般に強力なシェル状フレーム内に入れられ、このフレームは、発電機の重量と作動荷重および過渡荷重とを支え、水素ガスを収容して水素ガスが可燃混合気を形成し得る大気へと逃げるのを防止する。
【0006】
径方向リード導電体に沿う水素ガス漏れ経路を防止するために、導電体が周囲の構造に対してシールされる。水素ガスが漏れないようにシールする1つの手段は、径方向リード導電体の周囲に積層される変形可能なシールを使用し、それにより、径方向リード導電体とロータ本体との間に気密バリアを形成することである。変形可能なシールは、径方向リード導電体を取り囲んでロータ本体にねじ込まれる径方向リードナットによって圧縮される。シールの軸方向圧縮がシールを径方向に拡張させ、それにより、周囲のロータ構造に対する気密シールが形成される。変形可能なシールの圧縮は、動作中に適切なシールを維持するために欠かせない。シールの圧縮量は、径方向リードナットがロータ本体にねじ込まれる度合いによりロータのアセンブリで決定される。変形可能なシールの正確な圧縮を保つためには、ロータ本体に対する径方向リードナットの時計回り或いは反時計回りの更なる回転を有利に抑制しなければならない。
【0007】
一般に、径方向リードナットの望ましくない回転を防止するため、ロータ本体の一部がパンチやハンマーなどの工具を使用して、径方向リードナット内へ変形される。ハンマーは、工具に衝撃を与えてロータ本体の一部を径方向リードナットのネジまたは受け入れスロット内へ塑性変形させ、それにより、径方向リードナットと結合して望ましくない回転を防止するために使用される。回転を防止するためにロータ本体材料を径方向リードナット内へと変形させることは、カシメとして知られる良く知られたプロセスである。しかしながら、カシメによってもたらされる変形されたロータ本体材料は、望ましくない応力集中部および亀裂発生部位をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の説明では、図面を考慮して本発明を明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】発電機の長手方向図である。
図2】発電機のロータの励磁機端部の詳細断面図である。
図3】ロータの径方向リードの詳細図である。
図4図3の平面図である。
図5図3のナットの実施形態である。
図6】径方向リードナットの更なる実施形態である。
図7】工具の実施形態である。
図8】使用開始時の図7の工具を示している。
図9】使用終了時の図7の工具を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、電力生成設備の発電機内のロータに対するナットの固定との関連で開示される。しかしながら、本発明の原理は、発電機と共に使用すること或いは電力生成設備内に限定されない。例えば、方法及び/又はシステムは、航空宇宙産業、輸送産業、または、製造産業、あるいは、回転可能な部品を固定部品に対して固定する必要がある任意の他の分野で使用することができる。当業者は、本明細書中に開示されるシステム、キット、および、装置のための更なる用途を見出してもよい。したがって、例示的な発電機の文脈における本発明の例示および説明は、本発明の1つの想定し得る用途にすぎない。しかしながら、本発明は、発電機内で部品を回転しないように固定する手段として使用するための特定の適用性を有する。
【0012】
図1を参照すると、水素冷却発電機10は、一般に、中心線1に沿って中心付けられ且つ発電機10のステータによって取り囲まれるロータ11を備える。ロータ11は、該ロータ11を電気的に励磁する電気励磁装置13に接続される。励磁装置13の反対側には、ロータを作用的に回転させる原動機(図示せず)がある。ロータ11は励磁装置13に接続されるロータ導電体を含み、励磁装置13はロータ導電体に励磁電流を供給する。ロータ導電体における励磁電流は、供給される電流の大きさに比例する可変強度の磁場をもたらす。ロータ11は、前述した磁場を生成しつつ作用的に回転する。回転磁場は、ロータ11を取り囲むステータ12に交流電流を誘導する。このとき、ステータは、誘導された交流電流をユーザへ伝える配電ネットワークに電気的に接続される。
【0013】
励磁電流は、図2に見られる軸方向導電体22および径方向リード導電体21を介して、励磁装置13とロータ導電体との間で伝導される。軸方向導電体22はロータ中心線1に沿って配置される。径方向リード導電体21は、軸方向リード22と交差して、励磁電流をロータ中心線1からロータ界磁導電体に電気的に接続するためのロータ外径へと径方向に伝導する。図2および図3に見られるように、径方向リード21は径方向リード孔20内にセットされる。径方向リード21と径方向リード孔20との間には、積極的なシール機構がない限り水素冷却ガスの漏れを許容できる径方向クリアランスが存在する。
【0014】
水素冷却ガスを密封するため、図3に見られるようにナット24と肩部25との間で圧縮されるときに径方向リード孔20と径方向リード21との間の径方向隙間をシールする1つのシールまたは複数のシール23を使用できる。シール23の圧縮は、肩部25に対するナット24のシール接触面35の径方向位置によって決まる。動作中、振動、遠心荷重、熱サイクル、および、他の要因が、径方向リード孔20内でのナット24の回転に起因してシール接触面35の径方向位置に影響を及ぼし得る。したがって、ナット24の回転は、シール23の圧縮に影響を与え、最終的に、水素ガスの漏れに対するシール23の有効性に影響を及ぼす。シール23の適切な圧縮を維持するため、ナット24の回転位置を固定することが好ましい。
【0015】
図3に見られるように、径方向リード孔20に隣接するロータ本体11の外径には受け入れポケット15が設けられる。受け入れポケット15は、図3および図4に見られるように受け入れポケット15が径方向リード孔内へ開口するように構成することができる。しかしながら、受け入れポケットは、受け入れポケット15が径方向リード孔20内へ開口しないように構成することができる。いずれの場合にも、ポケット15は、以下で更に十分に説明するように、径方向リードナットの変形部を受けるために孔に隣接する。
【0016】
ロータ作動中の繰り返し応力状態は、ロータ中心軸1に沿って相対的に最小値にあり、ロータ中心線に対して垂直な図4に見られる軸2に沿って相対的に最大値にある。したがって、ロータの作動応力状態は、ロータの中心軸1と垂直軸2との間で勾配がある。そのため、受け入れポケット15は、最も高い応力の領域から離れて配置されるのが有益な場合がある。受け入れポケット15を四分円A、Bに基づいて配置することができる。この場合、四分円Aは最小の繰り返し応力の位置を含み、四分円Bは最大の繰り返し応力の位置を含む。具体的に、四分円Aは、ロータ中心線1を含むライン3、4間のロータ11の領域であり、また、四分円Bは、図4に見られる軸2を含むライン3、4間のロータ11の領域である。したがって、受け入れポケット15は、四分円B内ではなく、四分円A内に配置されてもよい。また、作動繰り返し応力が最大になる軸2に沿って受け入れポケット15を配置することを避けることが望ましい。また、受け入れポケット15は、一般的な技術的手法にしたがって、応力集中をもたらす可能性がある鋭利な角部を回避するべく滑らかな表面および半径を有して形成されるのが好ましく、それにより、亀裂発生および想定し得るロータ故障の可能性が減少する。
【0017】
また、受け入れポケット15は、ナット24の変形可能部を受けるように更に構成される。ナット24の変形可能部は、図5および図6に見られるように最外周側のリガメント26として具現化され得る。
【0018】
図5はナット24の特定の実施形態を示しており、この実施形態では、最外周側のリガメント26が、シール接触面35とは反対側のナット24の軸方向面から上方へ延びるソールリング状の突出部である。最外周側のリガメント26の内周側は、図5に見られる工具接触面28を形成する。この場合、工具接触面28は、最外周側のリガメント26を受け入れポケット15内へ変形させるための工具と相互に作用するように構成される。
【0019】
図6はナット24の代替の実施形態を示しており、この実施形態では、最外周側のリガメント26が溝29によって最内周側のリガメント27から分離される。溝29は、工具30を受けるように構成される工具接触面28を形成する。ナット24は、図5および図6に具現化されるようなスパナーナットであってもよいが、他の構成を成してもよく、ナット24を回転するための特定の構成は本発明の限定因子ではない。
【0020】
図7は、図8に見られるような溝29に挿入するように寸法付けられて構成されるナット接触部31を有する工具30を示している。工具30は、ナット接触部31の反対側に配置されるレバー部32も有する。レバー部32は、図9に見られるようにナット接触部31付近の最外周側のリガメント26の部分を受け入れポケット15内へ変形させる変形力を接触部31を介して工具接触面28に加えるように構成される。ナット接触部31とレバー部32との間にはロータ接触部33が設けられる。
【0021】
工具30は、最外周側のリガメント26を過度に歪ませて最外周側のリガメント26またはナット24のベース材料の亀裂を引き起こすことなく、最外周側のリガメント26を受け入れポケット15内へ十分に変形させるように形成されるのが有益である。したがって、最外周側のリガメント26の変形は、図7に見られるようなナット接触部31とロータ接触部33との間の角度θの有利な決定によって制御できる。この場合、ナット接触部31は、ロータ接触部33がロータ11の外面と接触するまで最外周側のリガメント26を変形させ、これにより、図9に見られるように最外周側のリガメント26の更なる変形が防止される。このように、角度θの適切な決定は、最外周側のリガメント26の十分な変形をもたらし、それにより、受け入れポケット15と適切に係合してナット24の回転を防止すると同時に、最外周側のリガメント26の過度な歪みも防止する。
【0022】
つまり、最外周側のリガメント26は、受け入れポケット15内へ変形されてロータ孔20に対するナット24の回転を効果的に防止するように構成される。したがって、最外周側のリガメント26が工具30によって受け入れポケット15内へ変形されると、シール接触面35の径方向位置が肩部25に対して固定されて、発電機10の作動中にシール23の圧縮が保たれ、水素ガスが逃げないように適切にシールされる。
【0023】
本発明の利点は、最外周側のリガメント26の任意の角度部分を受け入れポケット15内へ変形できるという点である。したがって、ナット24の角度位置は、シール23の最適な圧縮に悪影響を及ぼす可能性がある次の最も近い所定のロック位置へナットを指標付けすることを必要とする六角形状のスパナーナットまたは同様の装置などの所定のロック位置を有するナットまたはシステムの場合のように、受け入れポケット15の相対的な角度位置に依存しない。つまり、ナット24をロータ本体11に対して回転しないように固定するためにナット24の角度位置を所定の位置へ指標付けする必要がない。
【0024】
本発明の様々な実施形態を本明細書中で図示して説明してきたが、そのような実施形態が単なる一例として与えられていることは言うまでもない。本発明から逸脱することなく多くの変形、変更、および、置き換えを行うことができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲によってのみ限定されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9