(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5701912
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】梱包装置及び梱包方法
(51)【国際特許分類】
B65B 11/10 20060101AFI20150326BHJP
【FI】
B65B11/10
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-520(P2013-520)
(22)【出願日】2013年1月7日
(65)【公開番号】特開2014-131918(P2014-131918A)
(43)【公開日】2014年7月17日
【審査請求日】2013年1月7日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513005143
【氏名又は名称】大麻技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】兼松 政博
(72)【発明者】
【氏名】大麻 隆義
【審査官】
八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭50−109079(JP,A)
【文献】
特開昭47−038385(JP,A)
【文献】
実開昭57−186302(JP,U)
【文献】
特開2003−054504(JP,A)
【文献】
特開昭50−005188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B11/00−11/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙ロールから繰り出された包装用原紙を切断した包装紙によって被梱包物を包み込み、その後に折り込んだ前記包装紙の所定箇所に対しテープを貼り付けることにより梱包体をつくりだす梱包装置において、
前記原紙ロールからの包装用原紙がローラを介して繰り出され、当該繰り出し方向の先端側が垂れ下がった状態の前記包装用原紙を包装準備状態とする紙送り機構と、
前記ローラにより前記包装用原紙が支持された状態で、前記被梱包物を押出手段によって前記包装準備状態の包装用原紙に押し付け、反対側に配置された保持部に前記包装用原紙を巻き込ませながら前記被梱包物を押し込む包み込み機構と、
前記保持部に前記被梱包物を巻き込んだ状態の前記包装用原紙を前記原紙ロールから切り離し、切り離された前記包装紙の上下両端部を、上下ともそれぞれ直角に折り曲げる一対の折込プレートを備える折り込む折込機構と、
折り込んだ包装紙の所定箇所にテープを貼り付けるテープ貼付機構とを有するものであること、
前記包み込み機構には、前記被梱包物の押し込み高さに合わせた上下一対の案内ローラが配置されており、前記上下一対の案内ローラにより、前記包装用原紙は、前記保持部に向けて水平方向に送り出され、前記被梱包物の形状に沿ってきつく巻き付けられた状態で、前記被梱包物に巻き込まれること、
前記上下一対の案内ローラと前記保持部との間で、前記包装用原紙は切り離されること、
を特徴とする梱包装置。
【請求項2】
請求項1に記載する梱包装置において、
前記包み込み機構は、前記被梱包物を前記包装準備状態の包装用原紙に押し付ける充填プッシャーと、反対側に上下に配置された包装用プレートとを備えたものであることを特徴とする梱包装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する梱包装置において、
前記紙送り機構は、前記原紙ロールが上下に2つ設けられ、各原紙ローラから繰り出された包装用原紙が積層ローラで重ね合わされ、前記包装用原紙が2枚重ねになって垂れ下がり、前記包装準備状態を構成しているものであることを特徴とする梱包装置。
【請求項4】
原紙ロールから繰り出された包装用原紙を切断した包装紙によって被梱包物を包み込み、その後に折り込んだ前記包装紙の所定箇所に対しテープを貼り付けることにより梱包体をつくりだす梱包方法において、
前記原紙ロールからの包装用原紙をローラを介して繰り出し、当該繰り出し方向先端側の前記包装用原紙を垂れ下がった包装準備状態とする紙送り工程と、
前記ローラにより前記包装用原紙が支持された状態で、前記被梱包物を押出手段によって前記包装準備状態の包装用原紙に押し付け、反対側に配置された保持部に前記包装用原紙を巻き込ませながら前記被梱包物を押し込む包み込み工程と、
前記保持部に前記被梱包物を巻き込んだ状態の前記包装用原紙を前記原紙ロールから切り離し、切り離された前記包装紙の上下両端部を、上下ともそれぞれ直角に折り曲げる折込工程と、
折り込んだ包装紙の所定箇所にテープを貼り付けるテープ貼付工程とを有するものであること、
前記包み込み工程では、前記被梱包物の押し込み高さに合わせて配置された上下一対の案内ローラにより、前記包装用原紙を、前記保持部に向けて水平方向に送り出して、前記被梱包物の形状に沿ってきつく巻き付けられた状態で、前記被梱包物に巻き込むこと、
前記折込工程では、前記上下一対の案内ローラと前記保持部との間で、前記包装用原紙を切り離すこと、
を特徴とする梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被梱包物をクラフト紙などの包装紙によって梱包するための梱包装置に関し、特にロール状に巻かれた原紙ロールから繰り出された包装紙によって被梱包物を梱包するようにした梱包装置及び梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパーやティッシュペーパーなどは、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルムによって数個単位にまとめてパック詰めされ、更に輸送に当たっては複数個のパック詰品が梱包される。そうした輸送用に行う梱包のうち、クラフト包装袋を使用した梱包方法が下記特許文献1に開示されている。
図4は、同文献に記載された梱包方法を示した斜視図である。この梱包方法では、折り畳まれた複数のクラフト包装袋101が積層され、一袋ずつ取り出される。クラフト包装袋101は、開口部111が開けられ、そこから複数のパック詰品102が挿入される。その後、開口部111が折りたたまれ、粘着テープによって封緘されて輸送用の梱包体となる。
【0003】
次に、
図5は、こうした梱包方法を実行する従来の梱包装置を概念的に示した平面図である。トイレットペーパーなどのパック詰品102は、供給コンベア121によって搬送され、その先の積段部122では複数のパック詰品102が重ねられる。そうしてできた積段パック詰品103は、次に袋開き充填部123へと移され、充填プッシャー131によって開口したクラフト包装袋101へと押し込められる。袋詰めされた積段パック詰品103は、フラップ折込部124へと送られ、クラフト包装袋101の開口部が折り畳まれてできたフラップ部101aが重ねられる。その後、テープ貼付部125に送られ、テープリール132からのテープが貼り付けられ、封緘された梱包体105が反転部125および排出部126へと順に送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−221068号公報
【特許文献2】特開2003−054504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の梱包装置110は、クラフト包装袋101を使用するものであるため、そのクラフト包装袋101に費用がかかり、梱包体105による輸送コストを押し上げることになる。また、クラフト包装袋101は大きさが決まっているため、パック詰品102などの被梱包物の大きさや形によっては、袋内に余分な隙間を生じさせてしまうことがある。つまり、クラフト包装袋101内に積段パック詰品103を隙間無く挿入して梱包することは、開口部に押し込むだけの梱包装置110にとって困難である。
【0006】
そのため、被梱包物の大きさに比べて梱包体105のサイズが大きくなり、本来輸送すべき被梱包物の大きさに比べて積み込み量が少なくなってしまい、輸送効率を低下させることになる。更に、従来の梱包装置は、
図5に示すX方向、すなわち供給コンベア121の供給部から排出部126までの長手方向が長く、更にY方向である幅方向の寸法も大きいため、広い設置面積が必要であった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、原紙ロールから繰り出された包装紙によって被梱包物を梱包する梱包装置及び梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の梱包装置は、原紙ロールから繰り出された包装用原紙を切断した包装紙によって被梱包物を包み込み、その後に折り込んだ前記包装紙の所定箇所に対しテープを貼り付けることにより梱包体をつくりだすものであって、前記原紙ロールからの包装用原紙がローラを介して繰り出され、当該繰り出し方向の先端側が垂れ下がった状態の前記包装用原紙を包装準備状態とする紙送り機構と、前記ローラにより前記包装用原紙が支持された状態で、前記被梱包物を押出手段によって前記包装準備状態の包装用原紙に押し付け、反対側に配置された保持部に前記包装用原紙を巻き込ませながら前記被梱包物を押し込む包み込み機構と、前記保持部に前記被梱包物を巻き込んだ状態の前記包装用原紙を前記原紙ロールから切り離し、切り離された前記包装紙の上下両端部を、上下ともそれぞれ直角に折り曲げる一対の折込プレートを備える折り込む折込機構と、折り込んだ包装紙の所定箇所にテープを貼り付けるテープ貼付機構とを有するものであること
、前記包み込み機構には、前記被梱包物の押し込み高さに合わせた上下一対の案内ローラが配置されており、前記上下一対の案内ローラにより、前記包装用原紙は、前記保持部に向けて水平方向に送り出され、前記被梱包物の形状に沿ってきつく巻き付けられた状態で、前記被梱包物に巻き込まれること、前記上下一対の案内ローラと前記保持部との間で、前記包装用原紙は切り離されること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明の梱包装置は、
前記包み込み機構が、前記被梱包物を前記包装準備状態の包装用原紙に押し付ける充填プッシャーと、反対側に上下に配置された包装用プレートとを備えたものであることが好ましい。
また、本発明の梱包装置は、前記紙送り機構が、前記原紙ロールを上下に2つ設け、各原紙ローラから繰り出された包装用原紙が積層ローラで重ね合わされ、前記包装用原紙が2枚重ねになって垂れ下がり、前記包装準備状態を構成しているものであることが好ましい。
【0010】
本発明の梱包方法は、原紙ロールから繰り出された包装用原紙を切断した包装紙によって被梱包物を包み込み、その後に折り込んだ前記包装紙の所定箇所に対しテープを貼り付けることにより梱包体をつくりだすものであって、前記原紙ロールからの包装用原紙をローラを介して繰り出し、当該繰り出し方向先端側の前記包装用原紙を垂れ下がった包装準備状態とする紙送り工程と、前記ローラにより前記包装用原紙が支持された状態で、前記被梱包物を押出手段によって前記包装準備状態の包装用原紙に押し付け、反対側に配置された保持部に前記包装用原紙を巻き込ませながら前記被梱包物を押し込む包み込み工程と、前記保持部に前記被梱包物を巻き込んだ状態の前記包装用原紙を前記原紙ロールから切り離し、切り離された前記包装紙の上下両端部を、上下ともそれぞれ直角に折り曲げる折込工程と、折り込んだ包装紙の所定箇所にテープを貼り付けるテープ貼付工程とを有するものであること
、前記包み込み工程では、前記被梱包物の押し込み高さに合わせて配置された上下一対の案内ローラにより、前記包装用原紙を、前記保持部に向けて水平方向に送り出して、前記被梱包物の形状に沿ってきつく巻き付けられた状態で、前記被梱包物に巻き込むこと、前記折込工程では、前記上下一対の案内ローラと前記保持部との間で、前記包装用原紙を切り離すこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、原紙ロールから繰り出され、垂れ下がった包装準備状態の包装用原紙に対し、被梱包物を押し付けるようにしたので、包装用原紙の自重による適度な抵抗を受けてきつく巻き付けることができる。そのため、テープを貼り付けてできた梱包体は、ほぼ被梱包物の大きさにすることができ、トラックなどへの積み込みを無駄なく行うことにより輸送効率を向上させることができる。また、垂れ下がった包装準備状態の包装用原紙に対して被梱包物を包み込むので、包装用クラフト紙を横に広げて包み込むのに対し包み込み工程のスペースを大幅に縮小させることができ、装置自体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の包装装置における包装方法を示した図であり、装置側面方向から一部を示している。
【
図2】実施形態の包装装置における包装方法を示した図であり、装置側面方向から一部を示している。
【
図3】実施形態の梱包装置を概念的に示した平面図である。
【
図4】クラフト包装袋を使用した従来の梱包方法を示した斜視図である。
【
図5】従来の梱包装置を概念的に示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る梱包装置及び梱包方法について図面を参照しながら以下に説明する。本実施形態の梱包装置は、従来と同様にクラフト紙を用いてパック詰品などの被梱包物を複数個まとめて包装するものであるが、形作られたクラフト包装袋を使用するのではなく、原紙ロールから送り出されたクラフト原紙によって被梱包物を直接包装するようにしたものである。
図1及び
図2は、そうした本実施形態の包装装置における包装方法を示した図であり、装置側面方向から示している。
【0014】
先ず、本実施形態の梱包装置10は、装置上流側に2本の原紙ロール1,2が上下に装着されている。原紙ロール1,2は回転軸に支持され、その原紙ロール1,2からは、互いに巻かれたクラフト原紙31,32が繰り出されている。クラフト原紙31,32は、反転ローラ3及びテンションローラ4を介して上下に向きを変えながら積層ローラ5まで送られている。2枚のクラフト原紙31,32は、積層ローラ5で重ね合わされて2層の包装紙となる。ここで2枚重ねになったクラフト原紙31,32をまとめて複層クラフト原紙30と記す。
【0015】
複層クラフト原紙30は横向きに送られ、その先端側部分が一対の貼合ローラ6を介して高い位置からそのまま下向きに降ろされている。複層クラフト原紙30は、拘束されることなく自重によって真っ直ぐに垂れ下がっており、この状態が被梱包物80を包装するための包装準備状態となる。一方、被梱包物80は、供給コンベア7によって梱包装置10内に搬送され、複数の被梱包物80が重ね合わされて一つにまとめられる。これには不図示の積段機構が設けられ、テーブル8上の被梱包物80が垂れ下がった複層クラフト原紙30に接近して配置される。
【0016】
本実施形態では、複層クラフト原紙30に対して被梱包物80を直接包装する方法が採られている。そこで、積段された被梱包物80に対して充填プッシャー(エアシリンダとサーボモータによって構成されている)9が配置され、その充填プッシャー9によって押し出される被梱包物80が複層クラフト原紙30に巻き込まれるようになっている。また、複層クラフト原紙30を挟んだ反対側には、被梱包物80の押し込み高さに合わせ、上下に一対の案内ローラ11が所定の間隔をあけて配置されている。更にその反対側には、包装用プレート12が上下2列に配置された保持部が構成されている。この保持部は、押し込まれた被梱包物80を上下で挟み込むように支えつつ、複層クラフト原紙30が巻き込むようにしたものである。
【0017】
包装用プレート12は、上下平行にプレートが配置されたものであり、押し出される被梱包物80の上下方向の寸法に合わせて配置されている。これにより、上方で吊られた複層クラフト原紙30は、押し込まれる被梱包物80の移動に従って下側が巻き上げられる。上側の案内ローラ11の隣には、直交方向に折り曲げられた複層クラフト原紙30を切るためのカッタ13が設置されている。以下、カッタ13によって切り取られ、被梱包物80を包装する複層クラフト原紙30を、包装用クラフト紙30xと記す。その包装用クラフト紙30xは、
図2に示すように、支持部内では横向きの形状が逆コの字のようになり、その上下の端部がほぼ同じ位置に揃えられる。
【0018】
また、上下の包装用プレート12に隣接して、包装用クラフト紙30xの上下の端部を折り畳むための折込プレート15が設けられている。その折込プレート15によって包装用クラフト紙30xの上下の端部が90度に曲げられ、被梱包物80が巻き付けられる。そして、重ねられた端部に対しテープを貼り付けるテープ貼付機構が設けられている。こうした包み込み工程Oにおいて、被梱包物80を胴巻包装した包装用クラフト紙30xは、
図2に示すフラップ折込工程P、テープ貼付工程Q、そして反転搬送工程Rへと送られるように不図示の搬送手段が設けられている。各工程には、それぞれ不図示の折込機構、貼付機構そして反転機構が設けられている。
【0019】
続いて、
図3は、以上のような本実施形態の梱包装置10を、
図5に示した従来例と同様に概念的に示した平面図である。図面右側の装置端部には、原紙ロール1(及び不図示の原紙ロール2)が装着されている。原紙ロール1,2は、軸受けによって支持された回転軸がギヤを介してモータに接続され、所定のタイミングで回転が伝えられる。原紙ロール1,2からは、所定幅のクラフト原紙31(及び不図示のクラフト原紙32)が繰り出され、その繰り出し方向(
図3に示すX方向)に対して直交する方向(同Y方向)に供給コンベア7が設けられている。
【0020】
反転ローラ3、テンションローラ4、積層ローラ5及び貼合ローラ6は、供給コンベア7の搬送方向であるY方向を向いて配置され、その供給コンベア7から送られた被梱包物80も、Y方向に寸法が長くなるように送られる。一方、包み込み工程O、フラップ折込工程P、テープ貼付工程Q及び反転搬送工程Rは、原紙ロール1,2からの繰り出し方向(X方向)に沿って一列に設けられている。
【0021】
包み込み工程Oには、テープリール16が配置され、そこからテープを引き延ばす引出手段と、所定長さでテープを切断する切断手段と、重ねられた包装用クラフト紙30xの表面側端部に所定長さに切られたテープ16aを押し付ける押圧手段とを備えたテープ貼付機構が設けられている。そして、次のフラップ折込工程Pには折込機構が設けられている。折込機構は、包み込み工程Oにおいて被梱包物80を胴巻包装した包装用クラフト紙30xに対し、その長手方向(Y方向)両側にある開放部を折り畳むためのものである。
【0022】
折込機構は、開放部を上下から90度折り曲げて押さえ込むためのプレートを持った上下折込手段と、それによって左右に出来たフラップ部を押さえ込むためのプレートを持った左右折込手段とを備えている。続くテープ貼付工程Qには、テープ貼付機構が設けられている。テープ貼付機構は、テープリール17,18が左右両側(Y方向両側)に配置され、そこからテープを引き延ばす引出手段と、所定長さでテープを切断する切断手段と、重ねられたフラップ部に対し所定長さに切られたテープ17a,18aを押し付ける押圧手段とが備えられている。そして、反転搬送工程Rには、被梱包物80を下からすくい上げ、進行方向(X方向)に90度回転させる反転機構が設けられている。
【0023】
次に、以上のような梱包装置10では、以下のようにして梱包が行われる。先ず、原紙ロール1,2から各々クラフト原紙31,32が繰り出され、途中で重ねられた複層クラフト原紙30が包み込み工程Oの前で垂れ下がる。そうした複層クラフト原紙30に対し、充填プッシャー9によって被梱包物80が押し付けられる。このとき、複層クラフト原紙30は、その先端側が引っ張り上げられ、被梱包物80を巻き込みながら上下に配置された包装用プレート12内に押し込まれる。その際、複層クラフト原紙30は被梱包物80の形状に沿ってきつく巻き付けられることとなる。
【0024】
その後、複層クラフト原紙30からカッタ13によって包装用クラフト紙30xが切り取られ、重ねられた上下の端部に対し、テープリール16から所定長さに切られたテープ16aが貼り付けられる。こうした胴巻包装によって包装用クラフト紙30xは筒状になり、次のフラップ折込工程Pへと送られる。フラップ折込工程Pでは、包装用クラフト紙30xの長手方向両端の開口部が折り畳まれ、できたフラップ部30zが重ねられる。
【0025】
被梱包物80を包み込んだ梱包体90は、テープ貼付工程Qへと送られ、重ねられたフラップ部30zに対し、テープリール17,18から所定長さに切られたテープ17a,18aが貼り付けられる。そして、続く反転搬送工程Rでは、封緘された梱包体90が90度転がされ、テープ16aが貼り付けられた面を上にして排出コンベア19へ載せられ、
図3に示すY方向の上下それぞれに送られる。
【0026】
以上、本実施形態の梱包装置10によれば、原紙ロール1,2から繰り出されて垂れ下がった複層クラフト原紙30に対し被梱包物80を押し付けるようにしたので、複層クラフト原紙30の自重による適度な抵抗を受けてきつく巻き付けることができる。そのため、封緘してできた梱包体90は、包装用クラフト紙30xが被梱包物80の形状に沿って包み込んでおり、ほぼ被梱包物80の大きさにすることができる。よって、クラフト包装袋を使用した従来のように、包装用クラフト紙30xと被梱包物80との間に余分な隙間を生じさせしまうことがないため、トラックなどへの積み込みを無駄なく行うことで輸送効率を向上させることができる。
【0027】
同じオーバーラッピング包装であっても、前記特許文献2には、予め原紙ロールから所定の大きさに包装用クラフト紙を切り取り、その後に被梱包物を包み込む方法を採用するものがある。しかし、これでは包装用クラフト紙を切断する工程と、その包装用クラフト紙と被梱包物を包み込む工程とが別々になり、装置が大型化するだけではなく複雑になる。この点、本実施形態の梱包装置10では、包み込みと切断の両工程が一箇所で行われ、しかも、垂れ下がった状態の複層クラフト原紙30に対して包み込むため、包装用クラフト紙を横に広げて包み込むのに対し包み込み工程のスペースを大幅に縮小させることができる。
【0028】
また、本実施形態では、積段した被梱包物80を装置内で移動させる際、その長手方向を横にして各工程間を移動する被梱包物80の移動距離を短くしている。そのため、各工程の間隔が短くなり、装置全体をコンパクトにすることができる。
更に、前記特許文献2に記載の梱包方法では、クラフト包装袋を使用した場合と同様に、被梱包物をきつく包み込むことが困難で、クラフト包装袋の場合と同様にクラフト包装紙と被梱包物との間に隙間ができてしまい、トラックなどへの積み込みに無駄が生じてしまう。その点、本実施形態では前述したように被梱包物80を包装用クラフト紙30xできつく包装することができる点で有利である。
【0029】
以上、本発明に係る梱包装置及び梱包方法の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1,2 原紙ロール
3 反転ローラ
4 テンションローラ
5 積層ローラ
6 貼合ローラ
9 充填プッシャー
10 梱包装置
11 案内ローラ
12 包装用プレート
13 カッタ
30 複層クラフト原紙
30x 包装用クラフト紙
31,32 クラフト原紙
80 被梱包物