(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5701921
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
H01L 33/38 20100101AFI20150326BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20150326BHJP
H01L 33/64 20100101ALI20150326BHJP
【FI】
H01L33/00 210
H01L33/00 440
H01L33/00 450
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-58453(P2013-58453)
(22)【出願日】2013年3月21日
(62)【分割の表示】特願2011-266999(P2011-266999)の分割
【原出願日】2011年12月6日
(65)【公開番号】特開2013-120945(P2013-120945A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2013年3月26日
【審判番号】不服2013-20477(P2013-20477/J1)
【審判請求日】2013年10月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504034585
【氏名又は名称】有限会社 ナプラ
(74)【代理人】
【識別番号】100081606
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 美次郎
(72)【発明者】
【氏名】関根 重信
(72)【発明者】
【氏名】関根 由莉奈
【合議体】
【審判長】
吉野 公夫
【審判官】
松川 直樹
【審判官】
鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−209494号公報(JP,A)
【文献】
特開2008−98442号公報(JP,A)
【文献】
特開2004−63732号公報(JP,A)
【文献】
特許第4778107号公報(JP,B1)
【文献】
特開2005−286134号公報(JP,A)
【文献】
特開2009−49342号公報(JP,A)
【文献】
特開2004−6468号公報(JP,A)
【文献】
特開2008−4689号公報(JP,A)
【文献】
特開2011−181699号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、基板とを含む発光デバイスであって、
前記発光素子は、P型半導体層及びN型半導体層を積層したPN半導体積層構造と、前記P型半導体層のP側電極と、前記N型半導体層のN側電極とを含み、基板の上に搭載されるものであり、
前記PN半導体積層構造は、前記積層の方向から見て、前記P型半導体層及び前記N型半導体層が重なる部分と、重ならない部分とを有し、
前記重ならない部分は、前記積層方向から見て、前記重なる部分の一側方に配置され、配置方向にとられた幅が、前記重なる部分の幅の1〜40%で、前記幅方向に直交する長さ方向に延びており、
前記P側電極及びN側電極は、光出射面とは反対側の面にあり、
前記P側電極は、前記P型半導体層の表面であって、前記重なる部分に設けられており、
前記N側電極は、N型半導体層の上に設けられ、前記重ならない部分を覆い、前記P型半導体層及び前記P側電極から絶縁ギャップにより電気絶縁されており、
前記P側電極は、前記絶縁ギャップを除き、前記P型半導体層の表面の全面を覆っており、
前記P側電極及び前記N側電極は、外部電極と接続されるものであり、
前記絶縁ギャップを含む前記N側電極の周囲に限って、電気絶縁物が充填され電気絶縁層が形成されており、
前記電気絶縁層は、その幅が、前記N側電極と、前記P型半導体層及び前記P側電極との間の電気絶縁に必要な寸法まで最小化されており、
前記基板は、厚み方向に貫通する第1電極及び第2電極を有しており、
前記第1電極及び第2電極は、端面が前記基板の一面に設けられた発光素子搭載領域の面内に露出しており、
前記第1電極は、前記端面の面積が、前記P側電極の電極面積とほぼ同じであり、
前記第2電極は、前記端面の面積が、前記N側電極の電極面積とほぼ同じであり、
前記発光素子は、前記P側電極の表面が前記第1電極に接合され、前記N側電極の表面が前記第2電極に接合され、
前記第1電極の横断面積を、前記P側電極の前記電極面積まで拡大し、前記第1電極及び前記P側電極による放熱効果を最大化した、
発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを用いた発光素子及び発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードを用いた発光素子は、省エネルギー、長寿命という利点があり、照明装置、カラー画像表示装置、液晶パネルのバックライト、又は、交通信号灯などの光源として、注目されている。
【0003】
発光ダイオードを用いた発光素子は、例えば、青色発光素子を例に採ると、特許文献1に開示されているように、サファイアでなる基板の表面に、バッファ層、N型GaN層、活性層、P型GaN層、及び、透明電極層を順次に積層した構造となっている。
【0004】
透明電極層の一部表面にはP側電極が形成されており、また、透明電極層、P型GaN層及び活性層の一部をドライエッチングし、N型GaN層の一部を露出させ、この露出したN型GaN層にN側電極を形成した構造となっている。N型GaN層の一部を露出させた部分は、P型GaN層及び活性層と、N型GaN層とが重ならない部分であり、その他が重なる部分となる。重なる部分が発光領域となり、重ならない部分は、非発光領域となる。特許文献2、3にも、同様の積層構造及び電極構造が開示されている。
【0005】
パッケージング基板への実装に当たって、従来は、フリップ・チップ(FC)として構成されたLEDチップ型の発光素子をサブマウント基板に実装し、更に、この組み立て体をパッケージング基板に実装し、サブマウント基板に形成された電極と、パッケージング基板に形成された電極とを、ワイヤ・ボンディングによって接続していた。
【0006】
しかし、この組み立て構造では、AlN等の高価な材料で構成されたサブマウント基板を使用しなければならいことから、コスト高になる。しかも、サブマウント基板に形成された電極と、パッケージング基板に形成された電極とを、ワイヤ・ボンディングによって接続する必要があるため、ワイヤ・ボンディング装置が必要であり、生産設備費が増大し、それが製品コストに転嫁され、発光デバイスのコスト高を招いていた。
【0007】
上述した問題点を解決する手段として、特許文献4には、シリコン・サブマウントの一面に溝を形成し、その溝底部に2つのビア(貫通電極)を形成し、LEDダイスを、溝内にフリップ・チップ・マウントし、保護接着剤で溝を充填するLEDパッケージの製造方法が開示されている。
【0008】
このようなLEDパッケージ構造を採用する場合、従来は、P型半導体層、活性層及びN型半導体層が重なる部分に設けられる電極(通常は、P側電極)を、パッケージ側に備えられる貫通電極の端面の面積に合わせるのが一般的であった。このため、P側電極からP型半導体層に対する電流供給面積が、重なり面積よりもかなり小さな平面積に限定されてしまい、P型半導体層、活性層及びN型半導体層の接合部で見た電流密度が低下し、発光量、発光効率が低下するという問題点があった。
【0009】
また、パッケージング基板側に備えられる貫通電極の横断面積が小さいため、パッケージとしたときの放熱性が悪く、発光素子の温度上昇を招き、特性が悪化する。この特性悪化を回避するためは、供給電流値を小さい値に抑制しなければならず、必然的に、発光量、発光効率の改善に限界を生じる結果になっていた。
【0010】
重ならない部分に設けられる電極(通常は、N側電極)についても、貫通電極の端面形状に合わせ、N側電極を貫通電極の端面に接合する構造を採用していたため、N型半導体層における電極接触面積が小さくなっている。このため、P側電極の場合ほどではないにしても、やはり、発光量、発光効率に悪影響を与える。また、N側電極と貫通電極との位置合わせが難しくなり、僅かな位置ずれを生じただけで、両者間の接続不良を生じやすくなる。上述した問題点を解決するため、N側電極や貫通電極の面積を大きくすると、重ならない部分の幅を増大させなければならず、反射的に、発光領域となる重なる部分の面積が縮小され、発光量及び発光効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−210867号公報
【特許文献2】特開2009−71337号公報
【特許文献3】特開2008−153634号公報
【特許文献4】特開2009−111006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、PN接合部で見た電流密度を大幅に向上させるとともに、ヒートシンク効果(放熱効果)を最大化し、発光量の増大、発光効率向上を図った発光素子及び発光デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明に係る発光素子は、P型半導体層及びN型半導体層を積層したPN半導体積層構造と、前記P型半導体層のP側電極と、前記N型半導体層のN側電極とを含む。前記PN半導体積層構造は、前記P型半導体層及び前記N型半導体層が重なる部分と、重ならない部分とを有する。前記重ならない部分は、前記重なる部分の側方に配置され、配置方向で見た幅が、前記重なる部分よりも狭幅である。
【0014】
前記P側電極及びN側電極は、光出射面とは反対側の面にあり、前記P側電極及び前記N側電極のうちの一方の電極(例えば、P側電極)は、前記P型半導体層及び前記N型半導体層のうちの一方(例えば、P型半導体層)の表面であって、重なる部分に設けられている。他方の電極(例えば、N側電極)は、前記重ならない部分において、他方の半導体層(例えば、N型半導体層)の上に設けられ、前記一方の半導体層(例えば、P型半導体層)及び前記一方の電極(例えば、P側電極)から、絶縁ギャップにより電気絶縁されている。上記構造において、前記一方の電極(例えば、P側電極)は、前記絶縁ギャップを除き、前記一方の半導体層(例えば、P型半導体層)の前記表面のほぼ全面を覆っている。
【0015】
上述したように、P側電極及びN側電極は、光出射面とは反対側の面にあるから、P側電極及びN側電極によって光出射面積が縮小されることがない。このため、発光量が大きく、発光効率の高い発光素子を実現することができるとともに、貫通電極等に対して、フリップ・チップ方式によって接続することができ、ワイヤ・ボンディング構造を採る必要がない。
【0016】
半導体積層構造は、P型半導体層及び前N型半導体層が重なる部分と、重ならない部分とを有し、重ならない部分は、重なる部分の側方に配置され、配置方向で見た幅が、重なる部分よりも狭幅であるから、重なる部分で見た発光面積が最大化され、発光量が大きく、発光効率の高い発光素子を実現することができる。
【0017】
P側電極及びN側電極のうちの一方の電極(例えば、P側電極)は、P型半導体層及びN型半導体層のうちの他方(例えば、P型半導体層)の表面に設けられており、他方の電極(例えば、N側電極)は、他方の半導体層(例えば、P型半導体層)から絶縁ギャップによって電気絶縁して一方の半導体層(例えば、N型半導体層)に設けられている。したがって、N側電極及びP側電極により、半導体積層構造に電流を供給し、発光動作をさせることができる。
【0018】
更に重要な構成及びその作用効果として、一方の電極(例えば、P側電極)は、絶縁ギャップを除き、一方の半導体層(例えば、P型半導体層)の表面のほぼ全面を覆っているから、P側電極からP型半導体層に対する電流供給面積が、重なり面積と同程度の面積に拡大される。このため、P型半導体層、活性層及びN型半導体層の接合部で見た電流密度が大幅に向上し、発光量、発光効率も向上する。一方の電極(例えば、P側電極)の面積は、絶縁ギャップの幅を、電気絶縁に必要な寸法まで最小化することにより、最大化することができる。
【0019】
しかも、パッケージ側に備えられる貫通電極の横断面積を、最大化された一方の電極(例えば、P側電極)の面積まで拡大し、一方の電極(例えば、P側電極)及び貫通電極によるヒートシンク効果(放熱特性)を、最大化することができる。
【0020】
他方の電極(例えば、N側電極)は、重ならない部分に設けられているから、重ならない部分を狭幅化して、重なる部分における発光面積の減少を回避しながら、電極面積を増大させることができる。即ち、他方の電極(例えば、N側電極)について、幅と直交する長さ方向に拡張することにより、電極面積を拡大することができる。このため、発光量の増大、発光効率向上を図るとともに、位置ずれによる接続不良を回避し得る。
【0021】
本発明に係る発光デバイスは、上述した発光素子を、基板と組み合わせることによって構成される。基板は、一面に発光素子搭載領域を有し、前記発光素子搭載領域の面内に厚み方向に設けられた第1電極及び第2電極の端面が露出しており、前記第1電極は、端面の面積が前記一方の電極(例えば、P側電極)の電極面積に合わせられている。
【0022】
前記発光素子は、前記発光素子搭載領域に搭載され、前記一方の電極(例えば、P側電極)が前記第1電極に接合され、前記他方の電極(例えば、N側電極)が前記第2電極に接合されている。これにより、発光素子に対して、第1電極及び一方の電極(例えば、P側電極)による略同一断面積の電流供給路が形成されるから、発光素子の電流密度を向上させ、発光量、発光効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上述べたように、本発明によれば、PN接合部で見た電流密度を大幅に向上させるとともに、ヒートシンク効果(放熱効果)を最大化し、発光量の増大、発光効率向上を図った発光素子及び発光デバイスを提供することができる。
【0024】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る発光素子の一形態を示す断面図である。
【
図3】本発明に係る発光素子を組み込んだ発光デバイスを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1及び
図2を参照すると、本発明に係る発光素子は、透明結晶層3の光出射面30とは反対側の他面に、P型半導体層11及びN型半導体層13を積層したPN半導体積層構造1を含んでいる。P型半導体層11及びN型半導体層13の間には、活性層12が設けられる。透明結晶層3は、代表的にはサファイアであり、その一面が光出射面30となる。サファイアで構成される透明結晶層3は、層厚が3μm〜200μmの範囲であることが好ましい。サファイアによって構成されている透明結晶層3の一面上には、バッファ層(図示しない)があり、PN半導体積層構造1は、バッファ層を介して、透明結晶層3の上に成長させてある。
【0027】
PN半導体積層構造1は、発光素子において周知である。PN接合を持ち、代表的にはIII−V族化合物半導体が用いられる。もっとも、公知技術に限らず、これから提案されることのある化合物半導体を含むことができる。本発明において、発光素子は、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子、橙色発光素子の何れであってもよいし、白色発光素子であってもよい。それらの発光素子において、PN半導体積層構造1を構成する半導体材料及びその製造方法は既に知られている。
【0028】
本発明に係る発光素子は、P型半導体層11及びN型半導体層13を積層したPN半導体積層構造1と共に、P型半導体層11のP側電極5と、N型半導体層13のN側電極7とを含んでいる。P側電極5及びN側電極7は、例えば、パケージに設けられた貫通電極等の外部電極に対して、フリップ・チップ接続されるものであって、光出射面30とは反対側の面に設けられている。
【0029】
P側電極5及びN側電極7のうち、P側電極5は、光出射面30とは反対側に位置するP型半導体層11の表面に設けられた電極である。P側電極5は、絶縁ギャップG1を除き、P型半導体層11の表面のほぼ全面を覆っている。一方、N側電極7は、P型半導体層11及び活性層12を切欠いて形成した重ならない部分14を埋め、N型半導体層13に設けられている。重ならない部分14には、N側電極7を、P型半導体層11及び活性層12から電気絶縁する電気絶縁層9が充填されている。電気絶縁層9は、N側電極7及びP側電極5の間に露出するP型半導体層11の表面をも覆っており、N側電極7は、重ならない部分14において、P型半導体層11及びP側電極7から絶縁ギャップG1により電気絶縁されている。
【0030】
P型半導体層11及びN型半導体層13は、重ならない部分14を除き、活性層12を介して互いに重なっており、重なる部分が発光領域となる。N側電極7及びP側電極5の配置方向で見たN側電極7の幅W1は、P側電極5の幅W2よりも著しく小さい。例えば、幅W2に対する幅W1の割合は、1〜40%の範囲に選定することができる。幅方向に直交する長さL1は、実施の形態では、N側電極7及びP側電極5ともに、ほぼ等しくなっている。
【0031】
電気絶縁層9は、有機絶縁層又は無機絶縁層の何れであってもよい。また、N側電極7は、めっき法、溶融金属充填法、流動性導電材埋め込み法等によって形成することができる。重ならない部分14は、この実施の形態では、PN半導体積層構造1の全長にわたって形成されているが、長さ方向の中間部に設けてもよい。また、帯状に限らず、他の形状であってもよい。
【0032】
上述したように、P側電極5及びN側電極7は、光出射面30とは反対側にあるから、P側電極5及びN側電極7によって光出射面積が縮小されることがない。このため、発光量が大きく、発光効率の高い発光素子を実現することができるとともに、貫通電極等に対して、フリップ・チップ方式によって接続することができる。信頼性、作業性の悪いワイヤ・ボンディング構造を採る必要がない。
【0033】
PN半導体積層構造1は、P型半導体層11及びN型半導体層13が重なる部分と、重ならない部分14とを有し、重ならない部分14は、重なる部分の側方に配置されている。N側電極7の周囲は、電気絶縁層9によって埋められているが、電気絶縁層9の厚みは薄いので、重ならない部分14の幅をN側電極7の幅W1とみなせる。また、重なる部分の幅は、P側電極5の幅W2とみなせる。この状態では、重ならない部分14は、幅W2に対する幅W1の割合が1〜40%の範囲になる。したがって、発光面積が最大化され、発光量が大きく、発光効率の高い発光素子を実現することができる。
【0034】
P側電極5及びN側電極7のうち、P側電極5は、P型半導体層11の表面に設けられており、N側電極7は、P型半導体層11から、電気絶縁層9によって電気絶縁してN型半導体層13に設けられている。したがって、N側電極7及びP側電極5により、PN半導体積層構造1に電流を供給し、発光動作をさせることができる。
【0035】
しかも、P側電極5は、絶縁ギャップG1及び不可避的に生じる絶縁部分を除き、P型半導体層11の表面のほぼ全面を覆っているから、P側電極5からP型半導体層11に対する電流供給面積が、重なり面積と同程度の面積に拡大される。このため、P型半導体層11、活性層12及びN型半導体層13の接合部で見た電流密度が大幅に向上し、発光量、発光効率も向上する。上記構造のもとでは、P側電極5の面積は、絶縁ギャップG1を、電気絶縁に必要な寸法まで最小化すること、及び、N側電極7の幅W1を最小化することにより、最大化することができる。
【0036】
N側電極7は、重ならない部分14に設けられているから、重ならない部分14を狭幅化して、重なる部分における発光面積の減少を回避しながら、電極面積を増大させることができる。即ち、N側電極7について、幅W1と直交する長さ方向L1に拡張することにより、電極面積を拡大することができる。このため、発光量の増大、発光効率向上を図りつつ、位置ずれによる接続不良を回避し得る。
【0037】
図3〜
図5を参照すると、本発明に係る発光素子を、基板に搭載した発光デバイスが図示されている。基板2は、一面に発光素子搭載領域S1を有し、発光素子搭載領域S1の面内に厚み方向に設けられた第1電極21及び第2電極22の端面が露出している。第1電極21は、端面の面積がP側電極5の電極面積と、ほぼ同じになっている。第2電極22も同様であって、端面の面積がN側電極7の電極面積と、ほぼ同じになっている。第1電極21及び第2電極22は、一般には、パッケージ基板等でなる基板1を、厚み方向に貫通するように設けられた貫通電極となる。第1及び第2電極21,22とN側電極7及びP側電極5は、Au−Sn系接合材、はんだペースト、Agペースト、Cu拡散ペースト等によって接合することができる。
【0038】
発光素子100は、発光素子搭載領域S1に搭載され、P側電極5が第1電極21に接合され、N側電極7が第2電極22に接合されている。これにより、発光素子100に対して、第1電極21及びP側電極5による略同一断面積の電流供給路が形成されるから、発光素子100の電流密度を向上させ、発光量、発光効率を向上させることができる。
【0039】
しかも、パッケージング基板等でなる基板2に貫通電極として備えられる第1電極21の横断面積を、最大化されたP側電極5の面積まで拡大し、P側電極5及び貫通電極たる第1電極21によるヒートシンク効果(放熱効果)を、最大化することができる。
【0040】
実施の形態では、第2電極22も、端面の面積がN側電極7の電極面積と、ほぼ同じになっているから、N側電極7及び貫通電極たる第2電極22によるヒートシンク効果(放熱効果)も向上させることができる。また、N側電極7の第2電極22に対する位置ずれによる接続不良を生じることがない。
【0041】
本発明に係る発光素子及び発光デバイスは、単一の発光素子、複数の発光素子を例えばマトリクス状に配置した面発光装置、照明装置、液晶ディスプレイ用バックライト、信号灯等、広範な用途を持っている。
【0042】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0043】
1 PN半導体積層構造
3 透明結晶層
5 N側電極
7 P側電極