(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パチンコ球が打ち出される遊技盤の盤面に、開閉機構を具備しない第1始動口と、開閉機構を有する第2始動口と、特別図柄を表示するための第1および第2の特図表示器とが設けられ、
第1始動口および第2始動口への入球をそれぞれ一定数まで保留しつつ、保留球を1つずつ消費して大当たりを成立させるか否かを決める大当たり抽選を実施し、第1始動口に対する保留球に対しては第1の特図表示器を対象とし、第2始動口に対する保留球に対しては第2の特図表示器を対象として、対象の特図表示器に所定時間図柄を変動表示させた後に前記抽選の結果に応じた図柄を停止表示させる図柄表示制御手段と、前記第2始動口が通常は閉鎖され、所定の遊技条件が成立したことに応じて所定時間開放されるように、前記第2始動口の開閉機構を制御すると共に、所定条件を満たす大当たり後に前記第2始動口が開放されやすくなる時短遊技モードを設定する遊技制御手段とを備えたパチンコ遊技機であって、
第2の特図表示器に表示される特別図柄による大当たりには、第1の特図表示器に表示される特別図柄による大当たりよりも高い価値が設定されており、
前記遊技盤の盤面には、第1始動口への入球を回避しつつ、開放状態の第2始動口への入球が望める遊技球打ち出しルートが設けられており、
前記図柄表示制御手段は、前記時短遊技モードにおいて、第2始動口に対する保留球を優先して消費すると共に、少なくとも前記時短遊技モード中に大当たり抽選に外れて外れ図柄を停止表示することになった場合の図柄の変動表示時間を第1および第2の始動口に対する保留球の数に応じて設定し、
前記時短遊技モードにおける変動表示時間の設定処理では、第1始動口に対する保留球数がゼロより大きいときには、第2始動口に対する保留球数が保留上限値より小さい所定値以下の場合の変動表示時間の平均値が当該保留球数が前記所定値を上回る場合の変動表示時間の平均値より長くなるようにし、第1始動口に対する保留球数がゼロの場合の変動表示時間の平均値が第1始動口に対する保留球数がゼロより大きくて第2始動口に対する保留球数が前記所定値以下の場合の変動表示時間の平均値よりも短くなるようにすることを条件として、図柄の変動表示時間を決定する、パチンコ遊技機。
パチンコ球が打ち出される遊技盤の盤面に、開閉機構を具備しない第1始動口と、開閉機構を有する第2始動口と、特別図柄を表示するための第1および第2の特図表示器とが設けられ、
第1始動口および第2始動口への入球をそれぞれ一定数まで保留しつつ、保留球を1つずつ消費して大当たりを成立させるか否かを決める大当たり抽選を実施し、第1始動口に対する保留球に対しては第1の特図表示器を対象とし、第2始動口に対する保留球に対しては第2の特図表示器を対象として、対象の特図表示器に所定時間図柄を変動表示させた後に前記抽選の結果に応じた図柄を停止表示させる図柄表示制御手段と、前記第2始動口が通常は閉鎖され、所定の遊技条件が成立したことに応じて所定時間開放されるように、前記第2始動口の開閉機構を制御すると共に、所定条件を満たす大当たり後に前記第2始動口が開放されやすくなる時短遊技モードを設定する遊技制御手段とを備えたパチンコ遊技機であって、
第2の特図表示器に表示される特別図柄による大当たりには、第1の特図表示器に表示される特別図柄による大当たりよりも高い価値が設定されており、
前記遊技盤の盤面には、第1始動口への入球を回避しつつ、開放状態の第2始動口への入球が望める遊技球打ち出しルートが設けられており、
前記図柄表示制御手段は、前記時短遊技モードにおいて、第2始動口に対する保留球を優先して消費すると共に、少なくとも前記時短遊技モード中に前記大当たり抽選に外れて外れ図柄を停止表示することになった場合の図柄の変動表示時間を第1および第2の始動口に対する保留球の数に応じて設定し、
前記時短遊技モードにおける変動表示時間の設定処理では、第1始動口に対する保留球数がゼロより大きいときには、第2始動口に対する保留球数が保留上限値より小さい所定値以下の場合の変動表示時間が当該保留球数が前記所定値を上回る場合の変動表示時間より長くなるようにし、第1始動口に対する保留球数がゼロのときには、第1始動口に対する保留球数がゼロより大きくて第2始動口に対する保留球数が前記所定値以下の場合に設定される時間より短い変動表示時間を設定する、パチンコ遊技機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
2種類の始動口を有するパチンコ遊技機では、一般に、電動チューリップのない始動口(以下「第1始動口」という。)に対応する特別図柄(以下「特1図柄」という。)よりも電動チューリップ付の始動口(以下「第2始動口」という。)に対応する特別図柄(以下「特2図柄」という。)の方に、価値の高い当たりが対応づけられている。また、このような機種では、一般に、盤面の右側にまで打ち出されたパチンコ球は第2始動口に入る可能性があるが、第1始動口には右側に打ち出されたパチンコ球は殆ど入らないように、各始動口の位置や釘配置などを調整している。
【0010】
上記の構成や遊技制御により、遊技者は、時短遊技モードにおいては、第2始動口がある盤面の右側を狙ってパチンコ球を発射させる操作(右打ち)を行うことにより、大きな利益が得られる可能性があると認識して遊技を行うようになる。
【0011】
しかし、通常の遊技では第2始動口が開放される頻度が低いため、第2始動口に対する保留球を蓄積するのは難しい。このため、時短遊技モードに移行した直後には、第2始動口に対する保留球は存在せず、まず第1始動口に対する保留球が消費されて特1図柄の変動表示が行われる場合が多い。時短遊技モードに移行して、開放された第2始動口にパチンコ球が入って保留されても、その保留球がすぐに消費されると、再び第1始動口に対する保留球が消費されるので、それが繰り返されると、第1始動口に対する保留球が度々消費されて価値が低い方の大当たりの成立頻度が高まり、遊技者は十分な利益を得られなくなる可能性がある。
【0012】
このため、従来の遊技機では、一般に、時短遊技モードにおいては、第2始動口に対する保留球数が少なくなるにつれて図柄の変動表示時間が長くなるように設定している。この設定によれば、遊技者は、長めの変動表示が行われている間に開いた第2始動口を狙ってパチンコ球を打ち出すことによって、有利な大当たりに関わる第2始動口への保留数を増やすことができる。特に、第2始動口に対する保留球を優先して消費する仕様の遊技機では、図柄の変動表示中に第2始動口への保留球を増やすことができれば、それらが第1始動口に対する保留球より先に消費されることにより、大きな利益が得られる可能性がある。
【0013】
しかしながら、第2始動口に対する保留球数が少なくなるにつれて図柄の変動表示時間を長くすると、第1始動口への保留数がゼロで第2始動口への保留数のみが蓄積されている場合でも、変動表示時間が長めになる場合がある。そうすると、特1図柄による大当たりが成立する可能性がないのに第2始動口への保留球の消費スピードが抑制されることになる。特1図柄による不利な大当たりが成立する可能性がないうちは、第2始動口への保留球をできるだけ多くかつ素早く補充した方が、遊技者の利にかなうから、上記の制御は妥当とは言えない。
【0014】
上記の問題に関して、先にあげた特許文献1に記載された発明では、時短遊技モードにおいては、保留球が途切れるのを防止するために、保留球数の合計値が少なくなった場合の変動表示時間として通常より長い時間が選択される可能性を高めている。しかし、特許文献1に記載の発明では、2種類の保留球数の関係を考慮することなく、両者の合計値に基づき一律の制御を実施するので、第1始動口に対する保留数がゼロで第2始動口に対する保留球のみが蓄積されている場合でも、変動表示時間が長めに設定されてしまい、上述した問題を解決するのは困難である。
【0015】
本発明は上記の問題に着目してなされたもので、時短遊技モード中に、遊技者にとって望ましくない特1図柄の変動表示に関わる保留球の蓄積状態に応じて図柄の変動表示時間の設定方法を切り替えることにより、特2図柄の変動表示に関わる保留球の蓄積や消費が効率良く行われるようにして、遊技者に魅力のある遊技機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、パチンコ球が打ち出される遊技盤の盤面に、開閉機構を具備しない第1始動口と、開閉機構を有する第2始動口と、特別図柄を表示するための第1および第2の特図表示器とが設けられたパチンコ遊技機に適用される。このパチンコ遊技機には、第1始動口および第2始動口への入球をそれぞれ一定数まで保留しつつ、保留球を1つずつ消費して大当たりを成立させるか否かを決める大当たり抽選を実施し、第1始動口に対する保留球に対しては第1の特図表示器を対象とし、第2始動口に対する保留球に対しては第2の特図表示器を対象として、対象の特図表示器に所定時間図柄を変動表示させた後に前記抽選の結果に応じた図柄を停止表示させる図柄表示制御手段と、前記第2始動口が通常は閉鎖され、所定の遊技条件が成立したことに応じて所定時間開放されるように、第2始動口の開閉機構を制御すると共に、所定条件を満たす大当たり後に前記第2始動口が開放されやすくなる時短遊技モードを設定する遊技制御手段とが設けられている。
【0017】
さらに、本発明によるパチンコ遊技機では、第2の特図表示器に表示される特別図柄による大当たりに、第1の特図表示器に表示される特別図柄による大当たりよりも高い価値が設定される。
また、遊技盤の盤面には、第1始動口への入球を回避しつつ、開放状態の第2始動口への入球が望める遊技球打ち出しルートが設けられている。
【0018】
前記図柄表示制御手段は、時短遊技モードにおいて、第2始動口に対する保留球を優先して消費すると共に、少なくとも前記時短遊技モード中に大当たり抽選に外れて外れ図柄を停止表示することになった場合の図柄の変動表示時間を第1および第2の始動口に対する保留球の数に応じて設定する。この設定処理では、第1始動口に対する保留球数がゼロより大きいときには、第2始動口に対する保留球数が保留上限値より小さい所定値以下の場合の変動表示時間の平均値が当該保留球数が前記所定値を上回る場合の変動表示時間の平均値よりも長くなるようにし、第1始動口に対する保留球数がゼロの場合の変動表示時間の平均値が第1始動口に対する保留球数がゼロより大きくて第2始動口に対する保留球数が前記所定値以下の場合の変動表示時間の平均値よりも短くなるようにすることを条件として、図柄の変動表示時間を決定する。
【0019】
上記のパチンコ遊技機によれば、時短遊技モードにおいて第2始動口に対する保留球がゼロまたは僅かしかなく、第1始動口に対する保留球が存在する場合には、図柄の変動表示時間が長めに設定される可能性が高められる。したがって、その設定による長い変動表示が実施されている間に第2始動口にパチンコ球を入れて特2図柄の変動表示用の保留球を増やし、特1図柄の変動表示が生じるのを防ぐことができる。一方、第1始動口に対する保留球がゼロであるが、第2始動口に対する保留球が1つ以上蓄積されている場合には、図柄の変動表示時間は短めになる可能性が高いので、蓄積されている保留球が速やかに消費されて変動表示のサイクルが早く進む。
よって、遊技者にとって不利となる第1始動口に対する保留球の消費を抑えて、第2始動口に対する保留球の蓄積や消化を効率良く行うことが可能になる。
【0020】
上記の変動表示時間の設定処理を実現するための一実施形態では、図柄表示制御手段は、大当たり抽選に外れた場合の図柄の変動表示時間を決定するための外れ変動時間決定用抽選を実行する。この場合、時短遊技モード中の外れ変動時間決定用抽選のための抽選テーブルでは、第1始動口に対する保留球数がゼロより大きいときには、第2始動口に対する保留球数が前記所定値以下の場合に選択される変動表示時間の平均値が当該保留球数が前記所定値を上回る場合に選択される変動表示時間の平均値よりも長くなり、第1始動口に対する保留球数がゼロの場合に選択される変動表示時間の平均値が、第1始動口に対する保留球数がゼロより大きくて第2始動口に対する保留球数が前記所定値以下の場合に選択される変動表示時間の平均値より短くなるように設定される。
【0021】
上記の実施形態によれば、大当たり抽選に外れて外れの図柄が停止表示されるまでに行われる変動表示の時間を制御することによって、第1始動口に対する保留球が存在する状態下で第2始動口に対する保留球がゼロまたは僅かしかない場合には図柄の変動表示時間が長めになる可能性が高められ、第1始動口に対する保留球がゼロの状態で第2始動口に対する保留球が蓄積されている場合には、図柄の変動表示時間が短くなる可能性が高められる。よって、第2始動口に対する保留球の蓄積や消費を効率良く実施することが可能になる。
【0022】
他の実施形態におけるパチンコ遊技機では、大当たり抽選に当選した可能性があることを示すリーチ演出を、大当たり抽選に外れた場合にも所定の確率で実施するリーチ演出実行手段をさらに具備する。図柄表示制御手段は、前記リーチ演出が行われるときには、その演出の時間に合わせて図柄の変動表示を実行すると共に、大当たり抽選に外れた場合には前記リーチ演出が実施されないときのみ前記外れ変動時間決定用抽選を実施する。
【0023】
リーチ演出実行手段が大当たり抽選に外れたときにリーチ演出を実施するか否かを決めるための抽選テーブルでは、第1始動口に対する保留球数がゼロより大きいときには、第2始動口に対する保留球数が前記所定値以下の場合に当該保留球数が前記所定値を上回る場合よりリーチ演出に当選する確率が高くなるように設定され、第1始動口に対する保留球数がゼロのときには、第1始動口に対する保留球数がゼロより大きくて第2始動口に対する保留球数が前記所定数以下の場合よりも前記リーチ演出に当選する確率が低くなるように設定される。
【0024】
大当たり抽選に外れた場合でも、リーチ演出が行われる場合には、リーチ演出が行われない場合よりも変動表示時間が長くなる可能性が高い。よって、第1始動口に対する保留球が存在する状態下で第2始動口に対する保留球がゼロまたは僅かしかない場合には、リーチ演出が実施される確率を高めることによって、図柄の変動表示時間を長めに設定することができる。また第1始動口に対する保留球がゼロで第2始動口に対する保留球が蓄積されている場合には、リーチ演出が実施される確率を低くすることによって、図柄の変動表示時間を短くして、第2始動口に対する保留球による変動表示のサイクルを早めることができる。
【0025】
第3の実施形態では、図柄表示制御手段が時短遊技モードにおける変動表示時間を設定する処理において、第1始動口に対する保留球数がゼロより大きいときには、第2始動口に対する保留球数が保留上限値より小さい所定値以下の場合の変動表示時間が当該保留球数が前記所定値を上回る場合の変動表示時間より長くなるようにする。一方、第1始動口に対する保留球数がゼロのときには、第1始動口に対する保留球数がゼロより大きくて第2始動口に対する保留球数が前記所定値以下の場合に設定される時間より短い変動表示時間を設定する。
【0026】
上記第3の実施形態によれば、時短遊技モードにおいて第2始動口に対する保留球数がゼロまたは僅かしかなく、第1始動口に対する保留球数が存在する場合には、図柄の変動表示時間が長く設定されるので、その長い変動表示時間を利用して第2始動口に対する保留球を蓄積することができる。一方、第1始動口に対する保留球がゼロであるが、第2始動口に対する保留球が1つ以上蓄積されている場合には、図柄の変動表示時間は短めに設定され、蓄積された保留球の消費を促進することができる。したがって、遊技者にとって不利となる第1始動口に対する保留球の消費を極力抑えて、第2始動口に対する保留球の蓄積や消費を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、第1始動口に対する保留球数が存在する状態下で第2始動口に対する保留球がゼロまたは僅かしかない場合には、図柄の変動表示時間が長めに設定されるので、この変動表示の期間を利用して第2始動口に対する保留球数を効率良く増やすことができる。一方、第1始動口に対する保留球数がゼロの状態下で第2始動口に対する保留球が蓄積されている場合には、図柄の変動表示時間が短めになって第2始動口に対する保留球の消費が促進される。よって、図柄の変動表示が無駄に長時間続くことにより生じるストレスから遊技者を解放し、次の大当たりをより早く発生させて、遊技者の満足感を高めることができる。また、図柄の変動表示中に、万一、第1始動口に対する保留球が発生した場合には、その次の変動表示から変動表示時間が長めに設定されて第1始動口に対する保留球は消費されにくい状態になるので、遊技の途中における状況の変化にも速やかに対応することができる。
【0028】
よって、遊技者は、時短遊技モードに入ると、第2始動口に対する保留球を効率良く蓄積し、それらを集中的に消費することができるから、期待感をもって第2の始動口を狙った発射操作を行うようになり、遊技の興趣を高めることができる。また、第2の特別図柄による大当たりの成立頻度が高まることによって、遊技者が獲得できる利益も増え、魅力的な遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明が適用されたパチンコ遊技機の構成例を示す。
この実施例のパチンコ遊技機1は、遊技機本体10とこの遊技機本体10を開閉可能に支持する本体枠11とから構成されている。遊技機本体10の前面の上部には、遊技盤2が嵌め込まれ、その下方に、上皿3、下皿4、発射ハンドル5、一対のスピーカ6a,6b、押しボタンスイッチ7a,7b,7cを有する操作部7などが設けられている。
遊技盤2は、ガラスが嵌め込まれた扉8により覆われており、その周囲にLEDによる電飾ランプ群86(
図3参照。)が配列されている。なお、
図1中の符号9は、電飾ランプ群86を覆うカバーである。
【0031】
遊技機本体10の前面の上皿3および下皿4に対応する箇所には、それぞれ賞球の払出口30,40が形成されている。払出口30から出たパチンコにより上皿3が満杯になると、賞球の払出先は下皿4へと変更される。
上皿3の内部はパチンコ球の取込口(図示せず。)にも連通しており、この取込口から機体内部に取り込まれたパチンコ球が発射ハンドル5によって遊技盤2の盤面に打ち出される。
【0032】
図1には示していないが、この実施例のパチンコ遊技機1の隣には、遊技媒体の貸出処理用の台間機90(
図3参照。)が配備されている。この台間機90は、パチンコ遊技機1に電気接続されており、有価価値を有するカードを受け付けた状態で貸出操作を受けると、カードの有価価値の範囲内で一定金額分のパチンコ球をパチンコ遊技機に対して払い出す。パチンコ遊技機3の上皿3の上縁部には、この貸出操作のための球貸スイッチ91、台間機90に投入されたカードを排出するためのカード排出スイッチ92、カードの残高を表示する残高表示器93(いずれも
図3を参照。)が設けられている。
【0033】
図2は、遊技盤2の盤面の詳細な構成を示す。
遊技盤2の前面には、複数の傷害釘(図示せず。)が適所に立設された円形状の遊技領域20が設けられる。この遊技領域20には、打ち出されたパチンコ球を盤面の上部へと導くためのガイドレール26が左側端縁に沿って設けられている。
【0034】
遊技領域20の中央には、飾り枠付の液晶パネル27が設けられ、その下方に第1始動口21が設けられ、さらにその下方に大入賞口24およびアウト口29が設けられている。第1始動口21の右手には、所定距離を隔てて電動チューリップ22Aを有する第2始動口22が配備され、その斜め右上にスルーチャッカーとなるゲート23が設けられている。
【0035】
遊技領域20の右下の端縁部には、第1および第2の特図表示器201,202ならびに普図表示器203が配備される。各特図表示器201,202は、上下に隣り合わせに配置され、下方の第1特図表示器202の周囲に8個の保留球ランプ204が設けられている。普図表示器203に対しても、その下端縁に沿って4個の保留球ランプ205が配備される。
【0036】
普図表示器203は、遊技領域20に打ち出されたパチンコ球がゲート23を通過したことに応じて図柄の変動表示を開始した後、所定時間後に変動表示を停止して1つの図柄を表示する。第1特図表示器201は第1始動口21にパチンコ球が入ったことに応じて、第2特図表示器202は第2始動口22にパチンコ球が入ったことに応じて、それぞれ図柄の変動表示を開始し、所定時間後に変動表示を停止して1つの図柄を表示する。
【0037】
各始動口21,22やゲート23に対する入球はそれぞれ4個まで保留可能であって、保留球ランプ204,205の点灯数によって遊技者に保留球数が通知されるようになっている。なお、特図用の8個の保留球ランプ204は、第1始動口21への保留球数と第2始動口22への保留球数との合計値を表示するが、制御上の保留球数は始動口21,22毎に個別に管理される。
【0038】
さらに、遊技領域20の左下の端縁部には3個の一般入賞口25a,25b,25cが設けられ、右下の端縁部にも1個の一般入賞口25dが設けられる。また、液晶パネル27の下部の左側および右側には、それぞれパチンコ球の流れに影響を与える風車28a,28bが配備されている。これら風車28a,28bおよび傷害釘や始動口21,22の配置によって、この実施例では、盤面の幅中央部付近まで達した後に盤面の左側に落下するように打ち出されたパチンコ球が第1始動口21に入球可能となり、幅中央部を越えて盤面の右側にまで打ち出されたパチンコ球が第2始動口22に入球可能になる。
【0039】
なお、第1始動口21および第2始動口22の配置は上記に限らず、たとえば、遊技領域20の中央部において第1始動口21の下方に第2始動口22を配置してもよいが、この場合にも、遊技盤2の盤面のゲージ構成として、第1始動口21への入球を回避しつつ、開放状態の第2始動口22への入球が望めるような遊技球打ち出しルート(たとえば、遊技領域20の幅中央部より右側に向けて遊技球を打ち出す、所謂右打ちルート)を備えた構成を採用するのが望ましい。
【0040】
第2入賞口22の電動チューリップ22Aは通常は閉じているが、変動表示を停止した普図表示器203に当たり図柄が表示されると、それに応じて電動チューリップ22Aが一定時間開く。
大入賞口24も、開口部に配備された開閉機構によって通常は閉じているが、特1図柄表示器201や特2図柄表示器202に大当たり図柄が表示されると、大入賞口24が所定時間開放される特別遊技が所定回数繰り返される。
【0041】
液晶パネル27には、各特図表示器201,202の表示や遊技の進行状態に応じて種々の演出画面が表示される。特に、第1および第2の特図表示器201,202で図柄が変動している間の液晶パネル27では、複数の図柄配列のスクロール表示やスクロールの停止を伴う演出が展開される。特図表示器201,202に大当たりの図柄が停止表示された場合には、液晶パネル27の演出画面でも、各図柄配列のスクロール表示の停止によって当たりの図柄組み合わせが表示される。
【0042】
この実施例のパチンコ遊技機1では、特2図柄による大当たりに、特1図柄による大当たりよりも高い価値を設定している。具体的には、大当たり時に獲得できる遊技数の平均値、大当たりの終了後の時短の回数の平均値、大当たり後に確率変動となる確率、小当たりが発生する確率など、出玉の特性を決める各種設定値の中の1または複数を対象に、特2図柄に対する設定値を特1図柄に対する設定値より高くすることにより、特2図柄にかかる出球率の期待値を特1図柄より高くする。
【0043】
図3は、上記パチンコ遊技機1の電気構成を示す。この実施例のパチンコ遊技機1の制御部100は、機体各部を統括制御して遊技の進行を制御する主制御部50と、演出に関する制御を担当する副制御部60と、賞球の払出や玉貸し処理を担当する払出制御部70とにより構成される。主制御部50,副制御部60,払出制御部70は、それぞれCPU51,61,71、ROM52,62,72、RAM53,63,73を備え、ROM52,62,72には、それぞれ対応するCPU51,61,71の動作に必要なプログラムや設定データが格納されている。
副制御部60および払出制御部70の入力ポート64,74は、それぞれ主制御部50の出力ポート55に接続されている。これらの接続線によって、主制御部50から副制御部60や払出制御部70に対する一方向の通信が実施される。
【0044】
主制御部50の入力ポート54には、第1および第2の始動口21,22、ゲート23,大入賞口24、各一般入賞口25a,25b,25c,25dのそれぞれの内部に設けられたパチンコ球検出用のセンサ81,82.83,84,85a,85b,85c,85dが接続される。また、主制御部50の出力ポート55には、第1および第2の特図表示器201,202、普図表示器203、保留球ランプ204,205、第2始動口22の開閉機構206、大入賞口24の開閉機構207などが接続される。
【0045】
副制御部60の入力ポート64には、操作部7に設けられた各押ボタンスイッチ7a,7b,7cが接続され、出力ポート65には、液晶パネル27、スピーカ6a,6b,および前面扉8の周囲に配備された電飾ランプ群86が接続される。なお、押ボタンスイッチ7a,7b,7cは、液晶パネル27に適宜表示される演出用のゲームに用いられる。
【0046】
払出制御部70の入力ポート74および出力ポート75は台間機90に接続されている。また入力ポート74には、賞球の検出用センサ87、球貸スイッチ91、カードの排出スイッチ92が接続され、出力ポート75には、賞球の払出装置88や残高表示器93が接続される。球貸スイッチ91およびカード排出スイッチ92から入力ポート74を介して払出制御部70に入力された信号は、出力ポート75を介して台間機90へと出力される。また、残高表示器93には、台間機90から入力ポート74を介して入力された残高データが表示される。
【0047】
上記構成において、主制御部50のCPU51は、各パチンコ球検出センサ81〜84,85a〜85dからの信号に基づき、始動口21,22、ゲート23、および各種入力口24,25a〜25dに対する入球の有無を判別し、入球を検出すると、払出制御部70に、その入球場所に応じた数のパチンコ球の払い出しを指示するコマンドを送信する。払出制御部70のCPU71は、このコマンドに応じて賞球払出装置88を駆動し、賞球検出センサ87により払出数を確認しながら指示された数のパチンコ球の払い出しを実施する。
【0048】
主制御部50のRAM53には、第1および第2の始動口21,22、ならびにゲート23に対し、それぞれ個別の記憶領域が設定される。CPU51は、これらの対応関係を始動口センサ81,82、ゲートセンサ83との対応関係として管理しており、これらのセンサ81〜83からの信号を受ける都度、所定数の乱数を取得して入力した信号に対応する記憶領域に保存する。なお、ここで取得する乱数の数は、その後に行われる抽選の数に対応する。
【0049】
上記の記憶領域は、4個の保留球に対する情報を先入れ先出し方式で保存するものである。CPU51は、各記憶領域に保存された情報に基づき、保留球毎に、保存された乱数を用いた抽選を実施し、その抽選結果に基づき図柄の変動表示や停止表示を制御する。またCPU51は、乱数の保存や読み出しに応じて各保留球ランプ204,205の点灯・消灯動作を制御し、また、第2始動口開閉機構206や大入賞口開閉機構207の動作を制御する。
【0050】
以下、主制御部50により実施される制御のうち、ゲートセンサ83からの信号を入力したことに応じて普図表示器203の変動表示を伴う遊技を実施するための制御(以下、「普図遊技制御」という。)、および第1および第2の始動口センサ81,82からの信号を入力したことに応じて特図表示器201,202の変動表示を伴う遊技を実施するための制御(以下、「特図遊技制御」という。)について、それぞれフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0051】
図4は、普図遊技制御の手順を示すフローチャートである。
この制御では、RAM53内の普図に対応する記憶領域に保存されている保留球数が0より大きく、4以下である(ステップS101が「YES」)ことを条件に、実質的な処理が実行される。なお、保留球数は、この普図遊技制御に並列して実行されている保留球受付処理(図示せず。)において計数され、この計数と共に乱数の取得処理が行われる。
【0052】
保留球数が上記の条件を満たす場合には、ステップS102において、保留球数を1減算した後、ステップS103において、RAM53の対応する記憶領域から減算された保留球に対応する乱数群(一番古い乱数群)を読み出す。この読み出しに応じて、読み出された乱数群はRAM53から消去され、後続の保留球に対応する乱数群の保存位置が繰り上げられる。
【0053】
つぎにステップ104では、ステップS103で読み出された乱数群の中の1つを用いて、普図の変動表示後に停止表示する図柄を決める抽選(普図抽選)を実施する。この普図抽選は、高い確率で当選するように当選確率が設定された抽選テーブルを用いて行われる。
【0054】
この後、通常は、図柄の変動表示時間が30秒に設定され(ステップS105が「NO」でステップS106に移行。)、普図表示器203において図柄の変動表示が行われた後、設定された時間が経過すると、抽選の結果に応じて当たり図柄または外れ図柄が表示される(ステップS108,S109からS110またはS111。)。一方、時短遊技モード中であれば、図柄の変動表示時間は3秒に設定され(ステップS106が「YES」でステップS107に移行。)、普図表示器23においてその3秒分の変動表示が行われた後に、当たり図柄または外れ図柄が停止表示される。
【0055】
普図抽選に外れた場合には、ステップS111での外れ図柄の表示をもって1つの保留球に対する処理が終了する。一方、普図表示器23に当たり図柄が表示された場合には、主制御部50は、ステップS112,S113において、電動チューリップ22Aの開放時間および開放回数を設定し、その設定に従って電動チューリップ22Aの開動作を制御する。
ステップS112では、たとえば、通常の遊技では電動チューリップ22Aの開放回数を1回とし、時短遊技中には電動チューリップ22Aの開放回数を3回とする。また、開放時間は抽選により決定されるが、時短中に選択される開放時間の平均値は通常の遊技で選択される開放時間の平均値よりも大幅に長くなる。
【0056】
上記のとおり、この実施例の時短遊技モードでは、普図の変動表示時間の短縮と電動チューリップ22Aの開放動作の態様を変更する制御との組み合わせによって、第2始動口22へのパチンコ球の入球を容易にしているが、時短遊技モードの設定はこれに限らず、普図の変動表示時間の短縮および電動チューリップ22Aの開放動作の態様の変更のいずれか一方を実施するのみでもよい。または普図抽選の当選確率が通常より高められた遊技モードを時短遊技モードとしてもよく、この当選確率の変更を普図の変動表示時間の短縮や電動チューリップ22Aの開放動作の態様の変更と組み合わせて実施してもよい。
【0057】
特1図柄に関する特図遊技制御と特2図柄に関する特図遊技制御とは、別個のモジュールにより実施されるが、各モジュールにおける主要な手順は共通している。その共通の手順を
図5に示す。
【0058】
この特図遊技制御でも、保留球数が0より大きく、4以下であること(ステップS201が「YES」)を条件に、実質的な処理が実施される。当該条件を満たす場合には、ステップS202において保留球数が1減算され、ステップS203において、RAM53内の対応する記憶領域にアクセスし、減算された保留球に対して保存された乱数群を読み出す。なお、読み出された乱数群はRAM53から消去され、後続の保留球に対応する乱数群の保存位置が繰り上げされる。
【0059】
この後、まず大当たりを成立させるか否かを決める抽選(大当たり抽選)を実施し(ステップS204)、この抽選に外れた場合(ステップS205が「NO」)には、外れリーチ演出を実施するか否かを決める抽選(外れリーチ演出抽選)を実施する(ステップS206)。大当たり抽選に当選した場合(ステップS205が「YES」)、または大当たり抽選には外れたが外れリーチ演出抽選に当選した場合(ステップS207が「YES」)には、ステップS209に進み、リーチ演出のパターンを決定するための抽選(リーチ演出パターン決定用抽選)を実施する。
【0060】
なお、リーチ演出とは、液晶パネル27において図柄配列のスクロール表示を順に停止させてゆく間に「リーチ」の図柄組み合わせを成立させることによって、大当たり抽選に当選した可能性があることを示す演出である。リーチ演出パターン決定用抽選では、態様が異なる複数とおりの演出パターンの中の1つが選択されるが、ここで選択される演出パターンによって演出の時間にばらつきが生じる。特図の変動表示の時間長さは選択された演出パターンに合わせて設定されるので、同様にばらつきが生じる。
【0061】
一方、大当たり抽選および外れリーチ演出抽選の双方に外れた場合(ステップS205およびS207が「NO」)には、ステップS208に進んで外れ演出パターン決定用抽選を実施する。外れ演出でも、特図の変動表示と共に液晶パネル27において図柄配列のスクロール表示を含む演出画面が表示されるが、スクロール停止後に停止表示されるのは「外れ」の図柄組み合わせとなる。ステップS208の外れ演出パターン決定用抽選でも、外れの図柄組み合わせや演出の態様の異なる複数とおりの演出パターンの中の1つが選択され、選択された演出パターンによって特図の変動表示時間が決まるが、その変動表示時間の平均値はリーチ演出における変動表示時間の平均値よりも短くなる。
【0062】
上記のとおり、特図遊技制御では、大当たり抽選のほか、特図の変動表示を含む演出のパターンを決定するための抽選を実施し,後者の抽選によって変動表示時間が設定される。ステップS210では、外れ演出パターン決定用抽選またはリーチ演出パターン決定用抽選により決まった演出パターンに基づき特図の変動表示および液晶パネル27の表示動作を制御する。なお、液晶パネル27に対する具体的な制御は、主制御部50からのコマンドを受けた副制御部60により実施される。
【0063】
この後、抽選で決定した変動表示時間が経過すると、変動表示を停止し、大当たり抽選で大当たりに当選している場合には大当たり図柄を表示する(ステップS211が「YES」でステップS212に移行。)。またここで時短付きの大当たりに当選している場合(ステップS213が「YES」)には、ステップS214において時短遊技フラグを設定する。一方、大当たり抽選に外れている場合(ステップS211が「NO」)には、ステップS215に進み、外れ図柄を表示する。
【0064】
時短遊技フラグが設定された場合には、図示しない大当たり処理において、設定された回数分の大当たり遊技を実施した後、時短遊技モードに移行する。
【0065】
図5には示していないが、ステップS208やステップS209の抽選処理では、時短遊技モードおよび通常遊技モードのいずれであるかによって、使用する抽選テーブルが切り替えられる。また、特1図柄用の特図遊技制御と特2図柄用の特図遊技制御とで、内容が異なる抽選テーブルが使用される。
【0066】
また、第1始動口21に対する保留球による特1図柄の遊技制御と第2始動口22に対する保留球による特2図柄の遊技制御とは、それぞれ個別のモジュールにより実施されるが、両制御は並列では実施されず、保留球の蓄積状況などに応じていずれか一方の制御が選択される。具体的に、この実施例では、第2始動口22に対する保留球がある場合には、特2図柄の遊技制御を選択し、第2始動口22に対する保留球数が0で第1始動口21に対する保留球のみが存在する場合に、特1図柄の遊技制御を実施するようにしている。
【0067】
なお、上記実施例では、常時、特2図柄の遊技制御が優先される構成を採用したが、少なくとも時短遊技モードのときに特2図柄の遊技制御が優先されるようにすればよく、通常の遊技モード(非時短遊技モード)においては、他の方式、たとえば発生した順序に従って保留球を消化する方式や、特1図柄の遊技制御を優先する方式を採用してもよい。
【0068】
図4の普図遊技制御は特図遊技制御と並列して実施される。
時短遊技モードに入ると、変動表示時間が大幅に短縮されるために普図抽選が実施される頻度が高まり、それに伴い電動チューリップ22Aが開放される頻度も高められる上に、電動チューリップ22Aの1回分の開放時間が通常より長くなる。よって、第2入賞口22に対する保留球が蓄積されて、その保留球による特図遊技制御が実施される頻度が高められる。本実施例では、遊技領域20の幅中央部より右側の領域にパチンコ球が届くような発射操作(右打ち)を行うことにより、第2始動口22やゲート23にパチンコ球を入れることができるので、時短遊技モードになると、遊技者は右打ち操作を積極的に実施するようになる。
【0069】
さらにこの実施例では、時短遊技モードにおいては、特1図柄の表示に関わる第1始動口21に対する保留球(以下「特1保留球」という。)と特2図柄の表示に関わる第2始動口22に対する保留球(以下「特2保留球」という。)のそれぞれの保留数に応じて、特2保留球の蓄積や消費がスムーズに進行するようにしている。
【0070】
通常の遊技モードでは、第2始動口22が開放される頻度が低いので、特2保留球が発生する頻度も低く、時短遊技モードが開始されたときに特2保留球が存在する可能性も低い。一方、開閉機構を有さない第1始動口21に対する特1保留球は、時短遊技前にある程度蓄積される可能性があるので、時短遊技モードの開始直後には、まず特1保留球が消費されて特1図柄の特図遊技制御が実施される可能性が高い。したがって、この特1図柄の変動表示時間が短いと、その変動表示中に特2保留球を蓄積するのが困難になり、特1保留玉の消費が続く可能性がある。また時短遊技モードがしばらく続いて特2保留球が1〜2個程度蓄積されても、これらが直ちに消費されると、また特1保留球が消費される状態に戻ってしまう。そうなると、時短遊技モードであるのに、価値が低い方の特1図柄による大当たりが多く成立し、遊技者の利益が損なわれるおそれがある。
【0071】
この問題に鑑み、この実施例では、
図5のステップS208における外れ演出パターン決定用抽選に使用される抽選テーブルのうち、時短遊技モードにおいて使用される設定値を調整することにより、時短遊技モードにおける変動表示時間と各保留数との間に、
図6(1)または
図6(2)に示すような関係を設定する。
【0072】
図6(1)(2)は、時短遊技モードにおける外れ演出パターン決定用抽選において設定される変動表示時間の最小の長さ(以下「最小変動時間」という。)と各保留球数との関係を、保留球の消費により特1図柄および特2図柄のいずれが変動するかに対応づけてテーブル形式にして示したものである。なお、この
図6以下の図面においては、特1保留球の保留数を「特1保留数」とし、特2保留球の保留数を「特2保留数」としており、明細書でもその呼び名を使用する。また、「変動する特図」の欄の「特1」は特1図柄を意味し、「特2」は特2図柄を意味する。
また、各図面においては、特2保留数が2個以下となる場合の設定や「変動する特図」の欄の「特1」を網点のパターンにより明示する。この明示が示すように、特1図柄による変動表示が生じるのは、特2保留数がゼロのときのみである。また、
図6,
図7,
図8に示す特1保留数および特2保留数には、実行中の抽選に対応する保留球が含まれている(つまり、
図5のステップS202で減算される前の保留球数が適用される。)。
【0073】
図6(1)の例では、特1保留数が0の場合と特1保留数が0より大きい場合とでテーブルを分けている。特1保留数が0で特2保留数が0より大きいときには、最小変動表示時間は2秒となる。これに対し、特1保留数が1以上のときには、特2保留数が3個または4個の場合の最小変動時間は2秒であるが、特2保留数が2個のときの最小変動時間は6秒となり、特2保留数が1個または0個の場合の最小変動時間は12秒になる。
【0074】
図6(2)では、特1保留数ごとにテーブルを分けて示している。この例でも、特1保留数が0のときには、最小変動表示時間は2秒に設定されるが、特1保留数が1以上で特2保留数が2以下の場合には、最小変動時間が長く設定される。特に、この例では、特2保留数が2個のときの最小変動時間を、特1保留数が多くなるにつれて長く設定している。
【0075】
図6(1)(2)のいずれの設定例でも、特1保留数がゼロより大きい場合には、特2保留数が2以下になるときの図柄の変動表示時間が長く設定される。時短遊技モードが開始された直後など、特2保留数がゼロであるために特1保留球が消費された場合でも、その消費による特1図柄の変動表示が12秒間以上続くので、その長い変動表示の間に特2保留球を蓄積することが可能になる。また、特2保留球が1〜2個蓄積され、その特2保留球が消費される場合にも、その消費による特2図柄の変動表示時間が長く設定されるので、変動表示の間に特2保留球を追加することによって、特2保留数がゼロになるのを防ぐことができる。
【0076】
さらに、
図6(2)の設定によれば、特1保留数の増加に応じて、特2保留数が少ない場合の変動表示時間が段階的に長くなる。
特1保留球の数が増えるほど、特2保留球数がゼロに戻った場合により多くの特1保留球が消費される可能性が高まるので、遊技者にとって不利な大当たりに移行するリスクが高まるが、
図6(2)の設定によれば、そのリスクの高まりに対して速やかに変動表示時間を調整して対応することができる。よって、特2保留数がゼロに戻って特1保留球の消費が頻発するのを効率よく抑制することができる。
【0077】
一方、時短遊技モードの開始直後に特1保留球が消費されるなどして特1保留数がゼロとなったときに、ある程度の数の特2保留球が蓄積されていると、特2保留球の消費による特2図柄の変動表示は短い時間で終了するので、蓄積されている特2保留球を速やかに消費して変動表示のサイクルを早めることができる。特1保留球が存在しない間には特1図柄による不利な大当たりが生じるおそれはないから、特2保留球を効率良く消費して特2保留球の追加保留を可能にした方が、遊技者にとって得策となる。
【0078】
上記の実施例は、最小変動時間を
図6(1)または(2)に示す設定にすることを条件に、特図の変動表示時間を抽選(
図5のステップS208)で決定するもので、特1保留数がゼロの場合の最小変動時間は、特2保留数の大小に関係なく、2秒に統一されている。しかし、これに限らず、特1保留数がゼロの場合でも、たとえば、特2保留数が少なくなるほど最小変動時間を長めにするなど、特2保留数の数によって最小変動時間にばらつきをもたせてもよい。
また、上記の実施例では、特1保留数がゼロより大きく、特2保留数が2個以下の場合の特図の最小変動時間がその他の場合より確実に長くなるようにしたが、これも必須の設定ではない。たとえば、特1保留数がゼロの場合でも12秒に近い変動が生じるケースや、特1保留数がゼロより大きく、特2保留数が2個以下の場合でも2〜3秒程度の短い変動が生じるケースを設定してもよい。ただし、その場合でも、特1保留数がゼロより大きいときには、特2保留数が2以下の場合に選択される変動表示時間の平均値が特2保留数が3以上の場合に選択される変動表示時間の平均値よりも長くなり、特1保留数がゼロの場合に選択される変動表示時間の平均値が、特1保留数がゼロより大きくて特2保留数が2以下の場合に選択される変動表示時間の平均値より短くなるようにする必要がある。
勿論、変動表示時間を抽選により定める方法のみならず、特2保留数の値に応じて変動表示時間が一意に定まるようにしてもよい。
【0079】
上記のとおり、この実施例では、
図6(1)または(2)に示した設定内容に基づき、時短遊技モード中の外れ演出時の特図の変動表示時間が調整されるので、外れ演出の頻度が高い場合には、この設定のみで特2図柄の保留球の蓄積や消費を効率良く進めることが可能になる。しかし、効果をより高めるには、
図7および
図8のいずれかに示す設定、または
図7及び
図8の双方による設定を導入するとよい。
【0080】
図7の例は、時短遊技モード中の外れリーチ演出抽選(
図5のステップS206)における当選確率を調整することによって、特図の変動表示時間を間接的に調整するものである。
図5に示したとおり、外れリーチ演出抽選に当選した場合(ステップS207が「YES」)には、リーチ演出パターン決定用抽選(ステップS209)によって特図の変動表示時間が決められるので、外れ演出での変動表示よりも変動表示時間が長くなる可能性が高い。この点に着目して、
図7の実施例では、時短遊技モードにおいて、特1保留数が0より大きく、特2保留数が2個以下となった場合には、その他の場合よりもリーチ演出抽選の当選確率を高めることによって、特図の変動表示時間が長くなるようにしている。
【0081】
具体的に、
図7(1)の設定例では、特1保留数が0の場合には、外れリーチ演出抽選への当選確率を1/20に設定する。一方、特1保留数が1以上の場合には、特2保留数が0個か1個であれば当選確率を1/10とし、特2保留数が2個であれば当選確率を1/14とする。特2保留数が3個以上の場合の当選確率は、特1保留数がゼロの場合と同様に、1/20となる。
【0082】
図7(2)の設定例も、概ね
図7(1)と同様であるが、特1保留数が0より大きく、特2保留数が2個である場合の当選確率を、特1保留数が増加するにつれて高くしている。この設定によれば、遊技者にとって望ましくない特1保留球が増えるにつれて、外れリーチ演出が実施される可能性が高められ、それにより特図の変動表示時間が長くなるので、特1保留数の増加に伴って不利な遊技状態に移行するリスクが高まるのを防ぐことができる。
【0083】
なお、
図7(1)(2)の例では、特1保留数がゼロの場合の外れリーチ演出への当選確率については、特2保留数による差を設けることなく、一定の比率に統一したが、これに限らず、特2保留数によって当選確率に若干のばらつきをもたせてもよい。
外れリーチ演出への当選確率については、特1保留数がゼロより大きいときには、特2保留数が2以下の場合の確率が特2保留数が3以上の場合の確率よりも高くなり、特1保留数がゼロの場合の確率が特1保留数がゼロより大きくて特2保留数が2以下の場合の確率より低くなる、という条件を満たす範囲で、種々に変更することができる。
【0084】
なお、この実施例の特図遊技制御では、外れリーチ演出によって大当たり抽選に外れた場合にも長めの変動表示が実施されるケースが生じるようにしたが、機種によっては、大当たり抽選に外れた場合には、外れリーチ演出抽選を行わずに、一律に、特図の変動表示時間を決める抽選を実施して、その抽選結果に基づき、外れ図柄を停止表示するまでの変動表示時間を制御する遊技機がある。このような仕様の遊技機においても、特1保留数がゼロより大きいときには、特2保留数が2以下の場合に選択される変動表示時間の平均値が特2保留数が3以上の場合に選択される変動表示時間の平均値よりも長くなり、特1保留数がゼロの場合に選択される変動表示時間の平均値が、特1保留数がゼロより大きくて特2保留数が2以下の場合に選択される変動表示時間の平均値より短くなるように設定された抽選テーブルを用いて、大当たり外れ時の変動表示時間を決定することによって、特2保留球の蓄積や消化を効率良く行うことが可能になる。
【0085】
次に、
図8の例は、リーチ演出パターン決定用抽選(
図5のステップS209)により決定されるリーチ演出の変動表示時間を調整するものである。この調整によれば、大当たり抽選に外れたときだけでなく、大当たりに当選している場合も含めた変動表示時間が調整されるので、特2保留球の数がゼロまたは少ない場合にその保留数を増やすことが容易になる。
【0086】
図8(1)(2)は、リーチ演出パターン決定用抽選により決定される変動表示時間の平均値(以下「平均変動時間」という。)と特1保留数および特2保留数との関係を、変動する特図に対応づけてテーブルにして示したものである。
図8(1)の設定例では、特1保留数が0個の場合には、平均変動時間を30秒とする。一方、特1保留数が1以上の場合には、特2保留数が3個以上であれば平均変動時間を同様に30秒とするが、特2保留数が2個以下になると、平均変動表示時間を50秒とする。
【0087】
図8(2)では、特1保留数の数に応じてテーブルを分けている。特1保留数がゼロの場合の平均変動時間は、
図8(1)の例と同様に、30秒に設定されている。
特1保留数が1以上の場合には、特2保留数が2個以下の場合の平均変動時間を、特1保留数が増えるにつれて長くなるようにしている(特2保留数が1個または2個の場合の平均変動時間を変化させている。)。特2保留数が3個以上の場合の平均変動時間は30秒に設定されている。
【0088】
図8(2)の設定によれば、遊技者にとって好ましくない特1保留球の数が増えるにつれて、リーチ演出や特図の変動時間が長くなるので、特1保留数の増加に伴って不利な遊技状態に移行するリスクが高まるのを防ぐことができる。
【0089】
図8(1)(2)の設定によれば、大当たりまたは外れリーチ演出の際の変動表示においても、特1保留数と特2保留数との関係に応じて特図の変動表示時間が調整されるので、特2保留球の蓄積や消費の効率化が容易になる。
なお、
図8(1)(2)の例では、特1保留数が0個の場合の平均変動時間を30秒に統一しているが、これに限らず、特2保留数によって平均変動時間に若干のばらつきが生じるようにしてもよい。
また、
図6〜
図8に示した実施例においては、特図の平均変動時間に長短を生じさせる特2保留数に関する閾値として2個を採用したが、この閾値については2個に限らず、1〜最大保留数未満の間で任意に選択可能である。
【0090】
つぎに、
図6〜
図8では、特1保留数と特2保留数との関係に応じて特図の変動表示時間を変動するための設定例を示したが、これらに加えて、1つの保留球の消費による変動表示が終了してから次の保留球による変動表示が開始されるまでの待ち時間を調整してもよい。
【0091】
図9は、特1図柄または特2図柄の変動表示が停止してから次の変動表示を実施するまでの待ち時間(以下、「変動停止時間」という。)と特1保留数および特2保留数との関係をテーブルにして示したものである。なお、
図9のテーブルにおける第1保留数、第2保留数は、変動表示が終了した時点の数である。
【0092】
この実施例では、直前に変動した特図の種類によって変動停止時間の設定を変動させている。直前に特1図柄による変動表示が生じた場合には、
図9(A)に示すように、変動停止時間は2.5秒となる。
【0093】
図9(B−1)(B−2)は、直前に特2図柄による変動表示が生じた場合の変動停止時間の設定例であり、いずれか一方の設定が
図9(A)の設定と組み合わせて実施される。
図9(B−1)の設定例では、特1保留数が0個の場合には、変動停止時間を0.5秒とする。特1保留数が1以上の場合には、特2保留数が2個以上であれば、同様に変動停止時間を0.5秒とするが、特2保留数が1個または0個の場合には、変動停止時間は2.5秒となる。
【0094】
図9(B−2)の設定例でも、特1保留数が0個の場合の変動停止時間は0.5秒に設定される。第1保留数が1以上の場合には、第2保留数が1個の場合の変動停止時間が第1保留数の数が増加するほど長くなる。その他の変動停止時間は、
図9(B−1)と同様である。
【0095】
上記の設定が時短遊技モードに導入される場合、主制御部50は、特図の変動表示が終了する都度、その時点の特1保留数と特2保留数との関係に基づき変動停止時間を決定すると共に、次に消費する保留球を特定する。そして、変動停止時間が経過するまで待機した後に、特定した保留球に対応する特図表示器に変動表示を開始させる。また、決定した変動停止時間に関する情報を主制御部50から副制御部60に送信することにより、液晶パネル27上で変動停止時間に応じた演出を実施することも可能となる。
【0096】
なお、
図9(A)の設定においては、変動停止時間が2.5秒に統一されているが、特1保留数の数に応じて変動停止時間に若干のばらつきをもたせてもよい。
図9(B−1)(B−2)の設定においても、特1保留数が0個の場合や、特1保留数がゼロより大きく、特2保留数が2個以上の場合の変動停止時間が0.5秒に統一されているが、たとえば、特2保留数が増えるにつれてて変動停止時間が段階的に短くなるようにしてもよい。
【0097】
図6〜
図8に示した設定によれば、特1保留数がゼロの状態で特2保留球の消費による特2図柄の変動表示が生じた場合には、その変動表示時間は短く設定される。しかし、特2保留球が1つしか保留されていない状態でその保留球が消費され、短い変動表示の間に、遊技者の発射操作ミスや発射装置の不具合などにより盤面の左側にパチンコ球が発射されてしまうと、特2保留球を補充できないまま、特1保留球が蓄積される可能性が生じる。つまり、特1保留数がゼロで特2保留数が1の場合には、その最後の1つの特2保留球の消費による変動表示が終了した後に、遊技者にとって不利な特1図柄の変動表示が開始されるリスクが生じる。
【0098】
しかしながら、
図9に示した設定による制御を導入すれば、変動表示が停止した時点での保留球の関係に基づき変動停止時間が調整されるので、1つしかない特2保留球が消費されて特2保留数がゼロとなった場合には2.5秒の変動停止時間を確保することができる。よって、この長くなった変動停止時間の間に特2保留球を補充することができれば、特1保留球が消費されるのを回避することができる。よって、上述したリスクの高まりを防ぐことができる。
【0099】
また、特2保留数が2個の状態でそのうちの1個が消費された場合には、その消費による特2図柄の変動表示が時間を長くすることができると共に、当該変動表示の停止後の変動停止時間も長くなり、さらに最後の特2保留球の消費による変動表示の時間も長くなるので、これらの時間内に第2保留球を補充することが可能になり、上記リスクの高まりをより軽減することができる。
さらに、
図9(B−2)の設定によれば、特2保留球の残りが1個となった場合の変動停止時間が特1保留数が多いほど長くなるので、上記のリスクの高まりをより一層軽減することができる。
【0100】
上記のとおり、特図の変動開始時における特1保留数と特2保留数との関係に応じて図柄の変動表示時間を可変設定することに加えて、
図9に示した設定に基づき特図の変動表示の終了時にも特1保留数と特2保留数との関係に基づき図柄の変動停止時間を可変設定することによって、2箇所で各保留球の関係を確認して特2保留球の補充が可能な時間を延ばすことができるので、特1保留球の消費の抑制および特2保留球の消化を効率良く行うことができる。