(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
先端部に接触部を有するとともに、基端部に耳当て部を有し、接触部で感知した音を耳当て部に伝達する棒状部を備え、設備や機械の被測定部位に接触部を接触させて、耳当て部に耳を当てて被測定部位の音を聴診する聴診棒において、
接触部から軸線に沿って延長される延長線に対して直交する平面上に、前記延長線の外側を囲むように配置される当接部材と、
棒状部における先端部寄りの部位と当接部材との間を接続するように配置される支持部材と、
支持部材または支持部材と棒状部における先端部寄りの部位との間に設けられ、接触部を前記平面に対して耳当て部側に離間する方向に常時弾性付勢する弾性部材とを備えたことを特徴とする聴診棒。
【背景技術】
【0002】
発電所、化学工場などにおいては、多くの機器、装置、配管が有機的に結合されて、設備あるいはプラントが構成されている。そして、安全な又は安定した運転を行うために、装置や機器の稼働状況を確認する現場パトロールが行われている。
【0003】
現場パトロールでは、上述した稼働状況を判断する手段として、パトロール員による目視による観察、臭いの発生の有無の確認などの他、聴音による検査が行われている。そして、聴音による検査の場合、例えば、配管や回転機器の軸受け部で発生する異常音等は小さいため、聴診棒を用いて聴音されている。
【0004】
該聴診棒は、先端部に形成された円錐状の接触部と、基端部に設けられた球形の耳当て部とを備えた、細長い金属製の棒で構成されているのが一般的である。
【0005】
そして、前記従来の聴診棒で聴音する際は、配管や回転機器の軸受け部などの円筒部(被測定部位)に接触部を当接して、基端部の耳当て部を耳に当てて聴音する。具体的には、前記被測定部位に対して接触部を斜めに当接して聴音する。この場合、接触部を支持する手段はなく、被測定部位に対する接触部の当接状態が不安定なため、被測定部位から接触部が滑ってしまい、正確な聴音を行うことが難しい。
【0006】
このような問題を解決すべく、例えば、被測定部位に当接する接触部(棒状部の先端部)を面取りし、その端面を粗面加工することで、被測定部位との密着性を維持する聴診棒が知られている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記公報の聴診棒は、接触部(棒状部の先端部)を面取りしたり、磁化させたりするなどの加工が行われているため、従来の聴診棒に比較して、聴診棒の接触部が被測定部位から滑りにくくはなっているが、接触部を支持する手段がない点では、従来の聴診棒と何ら変わりはない。したがって、精度よく安定して聴音できるとは言い難い。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、配管や回転機器の軸受け部を含む被測定部位を聴音する際、聴診棒の接触部を安定した状態で、被測定部位に当接できて、精度よく聴音できる聴診棒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る聴診棒は、先端部に接触部を有するとともに、基端部に耳当て部を有し、接触部で感知した音を耳当て部に伝達する棒状部を備え、設備や機械の被測定部位に接触部を接触させて、耳当て部に耳を当てて被測定部位の音を聴診する聴診棒において、接触部から軸線に沿って延長される延長線に対して直交する平面上に、前記延長線の外側を囲むように配置される当接部材と、棒状部における先端部寄りの部位と当接部材との間を接続するように配置される支持部材と、支持部材または支持部材と棒状部における先端部寄りの部位との間に設けられ、接触部を前記平面に対して
耳当て部側に離間する方向に常時弾性付勢する弾性部材とを備えたことを特徴とする。
なお、支持部材に弾性部材を設けるというのは、支持部材自体が弾性部材で構成されること、支持部材の中間部に弾性部材が介挿されることを含むものとする。ことを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、接触部から軸線に沿って延長される延長線に対して直交する平面上に、延長線の外側を囲むように当接部材が配置されることで、被測定部位に対する当接位置が点、線、面のいずれかで確保されることになる。そして、当接部材と棒状部における先端部寄りの部位との間を接続するように配置される支持部材によって、聴診棒の接触部(棒の先端部)が前記平面から
耳当て部側に離間した位置で安定した状態に支持されるようになる。さらに、支持部材または支持部材と棒状部における先端部寄りの部位との間に設けられる弾性部材によって、接触部が前記平面に対して
耳当て部側に離間する方向に常時弾性付勢されるので、棒状部における先端部寄りの部位において、作業者による人力と、弾性部材による弾性力とのつり合いがとれるようになる。そうすることで、当接部材と支持部材とで形成される空間内において、接触部を所望の位置で安定した状態で支持することができる。すなわち、被測定部位に対して接触部を安定した状態で当接させることができ、被測定部位に対する聴音を精度よく行えるようになる。
【0012】
また、本発明によれば、前記当接部材は、前記延長線に対して同心状に配置される環状または円弧状の部材で構成され、前記支持部材は、前記棒状部における先端部寄りの部位と前記当接部材とを結ぶ線上に沿って複数配置され、前記弾性部材は、前記棒状部における先端部寄りの部位に外挿され、前記棒状部における先端部寄りの部位に一端部が接続されるとともに、前記支持部材における棒状部側接続端部に他端部が接続されるような構成を採用することもできる。
【0013】
この場合、環状または円弧状の部材で構成される当接部材が、前記延長線に対して同心状に配置されるとともに、棒状部における先端部寄りの部位と当接部材とを結ぶ線上に沿って複数の支持部材が配置される。具体的に言うと、当接部材と支持部材によって錐体(仮想)が形成されるようになる。そして、棒状部における先端部寄りの部位に外挿される弾性部材の一端部が、棒状部における先端部寄りの部位に接続されるとともに、弾性部材の他端部が、支持部材における棒状部側接続端部に接続されるので、棒状部における先端部寄りの部位において、作業者による人力と、棒状部における先端部寄りの部位に外挿される弾性部材の弾性力とのつり合いがとれるようになる。そうすることで、接触部を軸線に沿って安定した状態で進出移動させることができるとともに、接触部を被測定部位に安定した状態で当接させることができる。
【0014】
また、本発明によれば、前記当接部材は、前記平面上に、前記延長線の外側を囲むように点在され、前記支持部材は、前記延長線に対して平行するように配置されるとともに、前記当接部材に接続される一方の平行部と、該一方の平行部に対して同一直線上に配置されるとともに、前記棒状部における先端部寄りの部位に接続される他方の平行部とを有し、前記弾性部材は、一対の平行部間に配置されるような構成を採用することもできる。
【0015】
この場合、前記平面上に、前記延長線の外側を囲むように点在される当接部材と、一方の平行部とが接続されることで、接触部を安定した状態で支持することができる。また、他方の平行部が棒状部における先端部寄りの部位と接続されるとともに、一対の平行部間に弾性部材が配置されることで、棒状部における先端部寄りの部位において、作業者による人力と、一対の平行部間に配置された弾性部材の弾性力とのつり合いがとれるようになる。そうすることで、接触部を軸線に沿って安定した状態で進出移動させることができるとともに、接触部を被測定部位に安定した状態で当接させることができる。
【0016】
また、本発明によれば、前記支持部材は、前記弾性部材で構成されることが好ましい。
【0017】
この場合、支持部材自体が弾性部材によって構成されることで、棒状部における先端部寄りの部位において、棒状部における先端部寄りの部位に作用する人力と、支持部材自体の弾性力とのつり合いがとれるようになり、接触部を軸線に沿って安定した状態で進出移動させることができるとともに、接触部を被測定部位に安定した状態で当接させることができる。
【0018】
また、本発明によれば、前記当接部材は、耐熱性を有することが好ましい。
【0019】
この場合、当接部材が耐熱性を有する構成になっているので、被測定部位が、流体温度や回転機器の回転エネルギーによって高温になっていたとしても、聴音による検査作業が行えるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、配管や回転機器の軸受け部などの被測定部位を聴音する際、聴診棒の接触部を安定した状態で被測定部位に当接できて、精度よく聴音することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る聴診棒について
図1〜
図9を参照しながら説明する。
【0023】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る聴診棒1について
図1〜
図3を参照して説明する。該聴診棒は、
図1に示すように、棒状部10と、当接部材11と、支持部材12と、弾性部材13とを備える。
【0024】
棒状部10は、先端部に接触部10aを有するとともに、基端部に球形の耳当て部10bを有し、接触部10aで感知した音を耳当て部10bに伝達する。
【0025】
当接部材11は、接触部10aから軸線に沿って延長される延長線Aに対して直交する四角形状の平面B上に、前記延長線Aの外側を囲むように配置される。具体的には、棒状部10よりも大径の円環状体で構成される当接部材11が、前記延長線Aに対して同心状に配置される。したがって、被測定部位に対する当接位置が面状に確保され、安定した支持面が形成される。また、当接部材11は、ゴム製または合成樹脂製の滑り止め部材で構成される。
【0026】
支持部材12は、後述する遊動側ばね受板130aと当接部材11との間を接続するように複数配置される細長い板部材で構成される。そして、支持部材12は、遊動側ばね受板130aと当接部材11とを結ぶ線上に沿って複数配置される。したがって、当接部材11と支持部材12によって錐体(仮想)が形成されるようになり、この錐体によって、聴診棒1の接触部(自由端となっている棒状部10の先端部)10aが安定した状態に支持されるようになる。
【0027】
弾性部材13は、棒状部10における先端部寄りの部位に外挿されるコイルスプリングで構成される。そして、弾性部材13は、棒状部10に挿通された遊動側ばね受板130aに一端部13aが接続(固定)されるとともに、遊動側ばね受板130aから所定距離おいた位置(請求の範囲でいう、棒状部10の先端部寄りの位置)に固設された固定側ばね受板130bに他端部13b(請求の範囲でいう、棒状部側接続端部)が接続(固定)される。したがって、弾性部材13は、接触部10aを前記平面Bに対して離間する方向に常時弾性付勢する。
【0028】
このため、弾性部材13によって固定側ばね受板130bに生じる弾性力と、作業者の人力によって接触部10aに生じる操作力とのつり合いがとれるので、接触部10aが、当接部材11の中心位置(測定点)との間を前記延長線Aに沿って安定した状態で進退することになる。すなわち、被測定部位Pに接触部10aを正確に当接することができる。
【0029】
つぎに第1実施形態に係る聴診棒1の使用態様について
図2および
図3を参照して説明する。なお、第1実施形態においては、測定対象物を配管とし、配管の表面(曲面)を被測定部位とする。
【0030】
まず、
図2に示すように、当接部材11を配管の曲面、すなわち被測定部位Pに当接する。この際、当接部材11は、被測定部位(配管の曲面)Pに対して接線方向に当接することになる。また、接触部10aは、弾性部材13によって弾性付勢されて、被測定部位Pから離間した状態になっている。すなわち、被測定部位Pに対する接触部10aの進出ストロークが確保されたスタンバイ状態になっている。
【0031】
つぎに、作業者は、棒状部10を把持して、接触部10aを弾性部材13の弾性力に抗して被測定部位Pに向かって進出させる。この際、
図3に示すように、遊動側ばね受板130aの位置が、当接部材11と支持部材12によって固定されるので、棒状部10は、被測定部位Pに向かって進出することになる。したがって、
図2に示される、遊動側ばね受板130aと接触部10aとを結ぶ距離L1よりも、
図3に示される、遊動側ばね受板130aと接触部10aとを結ぶ距離L2の方が長くなる。
【0032】
また、固定側ばね受板130bの進出移動によって、弾性部材13が圧縮されるとともに、当接部材11が支持部材12に押圧されて被測定部位(配管)Pの曲面に沿うようになり、棒状部10の軸線が、被測定部位Pの直径の延長線上に位置することになる。すなわち、聴診棒1の作業位置が固定されるようになる。
【0033】
さらに、棒状部10を進出させると、接触部10aが被測定部位Pに当接する。そして、固定側ばね受板130b(力のつり合いがとれる基準点)において、作業者による進出方向の操作力(鎖線)F1と、その反力としての弾性部材13による弾性力(実線)F2とがつり合いがとれるので、被測定部位Pに対する接触部10aの当接状態を維持できる。つまり、聴音する作業状態を容易に維持できる。
【0034】
この状態で、作業者は、耳当て部10bに耳を当てて、配管を聴音すれば、精度の高い検査が行える。
【0035】
聴音検査終了後、作業者の力を緩めると、接触部10aは、弾性部材13の弾性力によって、元の状態、すなわち
図2の状態に戻る。
【0036】
このように、第1実施形態に係る聴診棒1によれば、円環状体の当接部材11が、前記延長線Aに対して同心状に配置されるとともに、遊動側ばね受板130aと当接部材11とを結ぶ線上に沿って複数の支持部材12が配置される。そして、棒状部10に外挿される弾性部材13の一端部13aが、遊動側ばね受板130aに接続(固定)されるとともに、弾性部材13の他端部13bが固定側ばね受板130bに接続(固定)されるので、当接部材11と、複数の支持部材12とで構成される錐体(空間)内において、接触部10aを軸線に沿って安定した状態で進退させることができる。すなわち、聴診棒1の接触部10aを安定した状態で、被測定部位Pに当接できて、精度よく聴音することができる。
【0037】
なお、本発明に係る聴診棒は、前記第1実施形態に限定することなく種々変更することができる。
【0038】
例えば、前記第1実施形態の場合、板部材で構成される支持部材12を備えた聴診棒1としたが、
図4に示すように、圧縮ばねで構成される支持部材12Aを備えた聴診棒1Aとするようにしてもよい。
【0039】
また、前記第1実施形態の場合、円環状の部材で構成される当接部材11としたが、円弧状の部材で構成される当接部材としてもよい。要は、接触部10aに対する支持部を線状または面状の部材で確保できるものであればよく、その形状は限定されるものではない。
【0040】
(第2実施形態)
つぎに第2実施形態に係る聴診棒について
図5〜
図7を参照して説明する。これらの図において、
図1と同一符号は同一、もしくは相当するものを示し、異なる点のみを以下に説明する。
【0041】
第2実施形態に係る聴診棒1Bは、
図5に示すように、複数の当接部材110が、聴診棒1Bの軸線の延長線Aに対して直交する三角形状の平面B上に、前記延長線Aの外側を囲むように点在される。また、後述する支持部材としての一対の平行部120a,120bが、前記延長線Aに対して平行するように配置されている。また、弾性部材130が、一対の平行部120a,120b間に配置されている。
【0042】
当接部材110は、ゴム製または合成樹脂製の部材によって円板状に作製された滑り止め部材で構成されている。
【0043】
支持部材は、当接部材110に接続される一方の平行部120aと、該一方の平行部120aに対して同一直線上に配置される他方の平行部120bと、該他方の平行部120bと棒状部10における先端部寄りの部位とを接続する傾斜部120cと、棒状部10における先端部寄りの部位に突設された鍔状の固定板120dとを有している。
【0044】
そして、当接部材110が、一対の平行部120a,120b、傾斜部120c、および固定板120dを介して、棒状部10における先端部寄りの部位に接続されることから、接触部10aを安定した状態で支持することができる。
【0045】
弾性部材130は、一対の平行部120a,120bと同一直線上に配置される圧縮ばねで構成され、上下に配置された一対のばね受板130a,130aの対向する内面に、弾性部材130の両端部が接続されている。そして、下側のばね受板130aの外面に一方の平行部120aが接続され、上側のばね受板130aの外面に他方の平行部120bが接続されている。
【0046】
したがって、弾性部材130の弾性力が、一対の平行部120a,120b、傾斜部120cを介して固定板120dに伝達され、聴診棒1Bの棒状部10を把持した作業者の進出方向の操作力が固定板120dに伝達されるようになり、弾性部材130の弾性力と、作業者の操作力とがつり合うことになる。そうすることで、接触部10aが、3つの当接部材110によって形成される三角形の重心位置(測定点)との間を前記延長線Aに沿って安定した状態で進退することになる。すなわち、被測定部位Pに接触部10aを正確に当接することができる。
【0047】
つぎに第2実施形態に係る聴診棒1Bの使用態様について
図6および
図7を参照して説明する。なお、第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様に、測定対象物を配管とし、配管の曲面を被測定部位Pとする。
【0048】
まず、
図6に示すように、当接部材110を配管の曲面、すなわち被測定部位Pに当接する。この際、1つの当接部材110は、被測定部位(配管の曲面)Pに対して接線方向に当接することになる。また、残りの当接部材110は、前記1つの当接部材110を挟んで、前記接線方向(平面B)に横並びに位置する。また、接触部10aは、弾性部材130によって弾性付勢されて、被測定部位Pから離間した状態になっている。すなわち、被測定部位Pに対する接触部10aの進出ストロークが確保されたスタンバイ状態になっている。
【0049】
つぎに、
図7に示すように、作業者は、棒状部10を把持して、接触部10aを弾性部材130の弾性力に抗して被測定部位Pに向かって進出させる。この際、棒状部10の進出移動に伴って、作業者の操作力が、固定板120d、傾斜部120c、他方の平行部120b、上側のばね受板130aに伝達され、弾性部材130が圧縮される。なお、棒状部10が進出移動しても、固定板120dと接触部10aとを結ぶ距離L3は、
図6および
図7において変化することはなく、同じである。
【0050】
一方、残りの当接部材110が、被測定部位Pの曲面に沿うようにして当接する。そうすることで、3つの当接部材110によって、棒状部10が安定した状態で支持される。この際、棒状部10の軸線が配管の直径の延長線上に沿って位置することになる。すなわち、聴診棒1Bの作業位置が固定されるようになる。
【0051】
そして、棒状部10をさらに進出させると、接触部10aが被測定部位Pに当接する。この際、固定板120d(力のつり合いがとれる基準点)において、作業者による進出方向の操作力F1(鎖線)と、その反力としての弾性部材130による弾性力F2(実線)とがつり合うことになるので、被測定部位Pに対する接触部10aの当接状態を維持できる。つまり、聴音する作業状態を容易に維持できる。
【0052】
この状態で、耳当て部10bに耳を当てて、配管を聴音すれば、前記第1実施形態と同様に、精度の高い検査が行える。
【0053】
このように、第2実施形態に係る聴診棒1Bによれば、前記平面B上に、前記延長線Aの外側を囲むように点在される当接部材110と、同一直線上に配置される支持部材としての一対の平行部120a,120bとが接続されることで、接触部10aを安定した状態で支持することができる。また、一対の平行部120a,120bが傾斜部120cを介して、固定板120dに接続されるとともに、一対の平行部120a,120b間に弾性部材130が配置されることで、固定板120dに作用する人力および弾性力のつり合いがとれるようになり、当接部材110と支持部材とで形成される空間内において、接触部10aを軸線に沿って安定した状態で進退させることができる。すなわち、聴診棒1Bの接触部10aを安定した状態で、被測定部位Pに当接できて、精度よく聴音できるようになる。
【0054】
また、前記第1および第2実施形態によれば、
図8に示すモータ(回転機器)の歯車機構部のカバー50および軸受け部のカバー51のように、大きさの異なる部材が連設されることによって、被測定部位(測定点)の周辺に凹凸があったとしても、当接部材11,110を凹凸部に点接触させることで、接触部10aを被測定部位に容易に当接することができ、聴音検査を容易に行うことができる。
【0055】
なお、第1および第2実施形態に係る聴診棒1,1Bは、前記第1および第2実施形態に限定することなく種々変更することができる。
【0056】
例えば、前記第1および第2実施形態の場合、当接部材110を、滑り止め部材で構成するようにしたが、これに加えて、耐熱性を有する素材で構成するようにしてもよい。この場合、
図8に示すように、モータ(回転機器)の歯車機構部のカバー50、または、該歯車機構部から導出される出力軸の軸受け部のカバー51などの発熱する部材においても、聴音検査を容易に行うことができる。
【0057】
また、前記第1および第2実施形態の場合、支持部材12,120a,120bと弾性部材13,130とを個別に設ける聴診棒1,1Bとしたが、
図9に示すように、支持部材自体を、例えば、下面が開口されたドーム状の弾性部材1300で構成し、該弾性部材1300の下面の開口周縁部を滑り止め部材による当接部材1100で構成する聴診棒1Cとしてもよい。