(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
[第1実施形態]
===腕金===
以下、
図1を参照して、本実施形態における腕金調整装置が適用される腕金について説明する。
図1は、本実施形態における電柱に取り付けられた状態の腕金調整装置を示す図である。
【0011】
本実施形態においては、Z軸は、電柱1の長手方向(垂直方向)にのびている軸であり、下側から上側に向かう方向を+Zとし、上側から下側に向かう方向を−Zとする。X軸は、腕金21の長手方向にのびている軸であり、腕金21の一方の端部から他方の端部に向かう方向を+Xとし、他方の端部から一方の端部に向かう方向を−Xとする。Y軸は、X軸及びZ軸の双方に対して直交する方向にのびている軸であり、手前側から奥側に向かう方向を−Yとし、奥側から手前側に向かう方向を+Yとする。
【0012】
腕金21は、電線(不図示)を支持するための金属部材である。腕金21は、地面からの高さが例えば4メートルから6メートルの位置において、電柱1に設けられる。腕金21は、略水平となり、且つ、電柱1の長手方向(Z軸)に対して略直交するように設けられる。つまり、腕金21は、電柱1に対する取付角度が所定角度(例えば略90度)となるように取り付けられている。腕金21は、アームタイ22、アームタイバンド23、ボルト24によって、電柱1に固定される。
【0013】
アームタイ22は、腕金21を支持するための例えば金属製の棒状部材である。アームタイ22の一端は、腕金21に固定される。アームタイ22の他端は、アームタイバンド23に固定される。
【0014】
アームタイバンド23は、腕金21を支持するための例えば金属製のベルトである。アームタイバンド23は、所定の高さ位置において電柱1に固定される。
【0015】
ボルト24は、電柱1に対して腕金21を固定するためのボルトである。ボルト24は、電柱1の長手方向(Z軸)及び腕金21の長手方向(X軸)の双方と交差する方向(Y軸)においてのびており、電柱1及び腕金21に対して連続的に螺着される。従って、腕金21は、ボルト24によって電柱1に固定され、アームタイバンド23及びアームタイ22によって支持されることになる。
【0016】
又、腕金21には、電線(不図示)を支持するための絶縁がいし2A、2B、2Cが設けられている。
【0017】
===腕金調整装置===
以下、
図1を参照して、本実施形態における腕金調整装置について説明する。
【0018】
腕金調整装置100は、腕金21の傾きを調整するための装置である。腕金調整装置100は、例えば2個の調整工具4、5、固定バンド3、例えば2個の固定具6、7を有する。尚、調整工具は、説明の便宜上、2個設けられていることとしたが、腕金21の種類に応じて1個でもよく、3個以上でもよい。固定具は、説明の便宜上、2個設けられていることとしたが、調整工具の数量以上であれば、1個でもよく、3個以上でもよい。
【0019】
固定バンド3(ベルト)は、電柱1に対して固定具6、7を取り付けるための例えば金属製のベルトである。つまり、固定バンド3は、調整工具4、5を支持するのに用いられる。
【0020】
固定具6、7(支持具)は、調整工具4、5を支持するための例えば金属製の部材である。固定具6、7は夫々同様な構成であるので、固定具6についてのみ説明し固定具7については、その説明を省略する。尚、固定バンド3、固定具6、7が支持部材に相当する。
【0021】
調整工具4、5は、腕金21の位置を調整するための工具である。
【0022】
===調整工具===
以下、
図1乃至
図4を参照して、本実施形態における調整工具について説明する。
図2は、本実施形態における調整工具の一部を示す斜視図である。
図3は、本実施形態における調整工具を示す側面図である。尚、ボルト46Aは、X軸においてのびている軸部材47を中心に回動した状態のボルト46を示している。ボルト46Aは、説明の便宜上、点線で示されている。
図4は、本実施形態における調整工具を示す正面図である。尚、複数の突起415、425は見えない状態となっているが、説明の便宜上、点線で示されている。
【0023】
調整工具4は、調整工具4の長手方向に移動することで、腕金21に対して腕金21の傾きを調整するための力を付与するための工具である。調整工具4は、ハンド41(第1アーム)、アーム42(第2アーム)、第1ナット部材43A、第2ナット部材43B、第1ワッシャー44A、第2ワッシャー44B、ボルト46を有する。尚、ハンド41及びアーム42がアームに相当する。第1ナット部材43A、第2ナット部材43B、第1ワッシャー44A、第2ワッシャー44Bが、移動部材に相当する。
【0024】
ハンド41(
図2)は、腕金21に引っ掛けられて(取り付けられて)腕金21の傾きを調整するための例えば金属製のハンドである。ハンド41は、第1板部材413、第2板部材415、第3板部材414を有する。
【0025】
第1板部材413は、略矩形形状を呈し、XZ平面に平行な部材である。第1板部材413には、第1板部材413に対してボルト46を固定するための切り欠部411が設けられている。第2板部材415は、略矩形形状を呈し、第1板部材413の上側(+Z)の端部から、第1板部材413と直交する方向(−Y)にのびている。第3板部材414は、多角形形状を呈し、第2板部材415における第1板部材413から遠い側(−Y)の端部から、下側(−Z)に向かってのびている。従って、第3板部材414は、第1板部材413と略平行となり、第1板部材413と対向することになる。尚、第1板部材413、第2板部材415、第3板部材414は、一体的に形成されていることとしてもよい。これらの構成により、ハンド41は、例えば−X側から+X側に向かって見たときに、腕金21に引っ掛けられるように略コ字形状を呈することになる。
【0026】
アーム42は、ハンド41を回動可能に支持するための金属製の部材である。アーム42は、支持板421(
図3)、支持棒422を有する。
【0027】
支持棒422の外周面には、ナット部材43A、43Bの螺子溝に対応する螺子山423が形成されている。尚、螺子山423は、支持棒422の下側(−Z)の端部から例えば支持棒422の略中央まで設けられていることとする。
【0028】
支持板421は、支持棒422における上側(+Z)の端部に設けられ、ハンド41の第3板部材414が取り付けられる。支持板421には、ハンド41が腕金21に取り付けられたまま腕金21の傾斜に合わせて回動するように、ボルト451及びナット452によって第3板部材414が連結される。尚、支持板421と第3板部材414との連結については、後述する。
【0029】
ボルト46は、腕金21に対して下側から上側に向かう力を付与するための部材である。尚、ボルト46については、後述する。
【0030】
第1ナット部材43A、第2ナット部材43B、第1ワッシャー44A、第2ワッシャー44Bは、支持棒422を上側に移動させたり、下側に移動させたりするための部材である。尚、第1ナット部材43A、第2ナット部材43B、第1ワッシャー44A、第2ワッシャー44Bについては、後述する。
【0031】
尚、調整工具5(
図1)は、調整工具4と同様な工具であり、調整工具5のハンド51、アーム52、第1ナット部材53A、第2ナット部材53B、第1ワッシャー54A、第2ワッシャー54B、ボルト56の構成は夫々、ハンド41、アーム42、第1ナット部材43A、第2ナット部材43B、第1ワッシャー44A、第2ワッシャー44B、ボルト46の構成と同様である。
【0032】
===ボルト===
以下、
図3を参照して、本実施形態におけるボルトについて説明する。
【0033】
ボルト46(
図2)は、ハンド41の内部412に腕金21が設けられたときに、第1板部材413、第2板部材415、第3板部材414と共に、腕金21を取り囲んで、腕金21の傾きを調整するためのボルトである。ボルト46は、X軸においてのびている軸部材47に螺合される。軸部材47は、ボルト46が螺合される螺子孔が設けられ、軸部材47の長手方向(X軸)を中心に回動できるように第3板部材414の所定位置において軸支されていることとする。
【0034】
又、ボルト46は、ボルト46の長手方向を軸に回動させることにより、ボルト46における軸部材47からボルト46のヘッドまでの長さ(「ボルト46のヘッド側の長さ」とも称する)が調整される。
【0035】
ボルト46のヘッド側の長さがのばされた場合、ボルト46をA1方向に回動させてボルト46が第1板部材413と略直交したとき、ボルト46は、切り欠部411に嵌ることになる。このとき、ボルト46のヘッド側の長さを縮めた場合、ボルト46のヘッドは、第1板部材413に対して締め付けられることになる。そして、ボルト46は、第1板部材413と略直交した状態で固定されることになる。
【0036】
この後、ボルト46のヘッド側の長さがのばされた場合、ボルト46は、第1板部材413から外れて、A1方向又はA2方向に回動可能となる。
【0037】
===支持板と第3板部材===
以下、
図5を参照して、本実施形態における支持板と第3板部材について説明する。
図5は、本実施形態における調整工具の一部を示す側面図である。尚、突起452、415は、ボルト451の周りに複数ずつ設けられている(
図4)が、説明の便宜上、例えば1つずつ示されている。
【0038】
支持板421と第3板部材414とは、ボルト451(回動軸)の長手方向(Y軸)において隣り合っている。支持板421と第3板部材414とは、ハンド41がボルト451を中心に回動するように、ボルト451及びナット452によって連結されている。
【0039】
又、支持板421における第3板部材414と対向する対向面426、第3板部材414における支持板421と対向する対向面416には夫々、突起425、415が設けられている。突起425、415は、ハンド41が回動したとき摩擦力を発生させるための突起である。突起425、415は、所定の摩擦力が発生させるための樹脂製の突起であることとしてもよい。
【0040】
===ナット部材===
以下、
図1及び
図4を参照して、本実施形態におけるナット部材について説明する。
【0041】
第1ナット部材43A、第2ナット部材43Bは、アーム42を移動させるための一対のナット部材である。
【0042】
第1ナット部材43A、第2ナット部材43Bは、アーム42における固定具6の両側に設けられる。第1ナット部材43A、第2ナット部材43Bは夫々、アーム42における固定具6の例えば上側(+Z)、下側(−Z)に設けられる。尚、このとき、第1ナット部材43A、第2ナット部材43Bは、支持棒422(
図4)と螺合されることになる。
【0043】
第1ナット部材43Aと固定具6との間には、第1ワッシャー44Aが設けられる。又、第2ナット部材43Bと固定具6との間には、第2ワッシャー44Bが設けられる。一対のワッシャーである第1ワッシャー44A及び第2ワッシャー44Bが設けられることにより、第1ナット部材43A及び第2ナット部材43Bによって、固定具6を確実に把持することができることになる。尚、固定具6については、後述する。
【0044】
第1ナット部材43A、第2ナット部材43Bは、固定具6を把持できる位置に設けられる。このとき、アーム42は、固定具6に固定されることになる。又、第1ナット部材43A及び第2ナット部材43Bの回転力に基づいて、アーム42は、上側に移動したり、下側に移動したりすることになる。
【0045】
===固定バンド===
以下、
図6を参照して、本実施形態における固定バンドについて説明する。
図6は、本実施形態における固定バンドと固定具を示す図である。
【0046】
固定バンド3は、第1板部材31、第2板部材32、ボルト33、34、ナット33A、34Aを有する。
【0047】
第1板部材31、第2板部材32は、第1板部材31と第2板部材32との間に電柱1が設けられるように、電柱1の外周面に沿って湾曲している例えば金属製の部材である。ボルト33及びナット33Aと、ボルト34及びナット34Aとは、固定バンド3の径の大きさを調整するための一対のボルト及びナットである。固定バンド3の径の大きさを調整することにより、電柱1に対して固定バンド3を固定したり、電柱1に沿って固定バンド3を移動させたりすることが可能となる。
【0048】
===固定具===
以下、
図7及び
図8を参照して、本実施形態における固定具について説明する。
図7は、本実施形態における固定具を示す斜視図である。
図8は、本実施形態における固定具と支持棒を示す断面図である。尚、
図8においては、固定具6に支持されている支持棒422と、
図7における固定具6の略中央を通り、且つYZ平面に平行な断面から−X方向に向かって見た状態の固定具6とが示されている。
【0049】
固定具6は、調整工具4を支持するための例えば金属製の部材である。固定具6は、固定バンド3に取り付けられる。固定具6は、第1板部材61、第2板部材62、第3板部材63、第4板部材64、第5板部材65を有し、一体的に形成されている。
【0050】
第1板部材61は、固定具6の底板を形成する部材である。第1板部材61には、第1挿通孔61Aが設けられる。第1挿通孔61Aは、支持棒422が挿通される丸孔である。
【0051】
第2板部材62は、固定具6の天板を形成する部材である。第2板部材62は、第1板部材61と略平行となるように、第1板部材61と対向している。第2板部材62には、第2挿通孔62Aが設けられる。第2挿通孔62Aは、支持棒422が挿通される長孔である。
【0052】
第3板部材63及び第4板部材64は、第1板部材61と第2板部材62とを連結するための部材である。第3板部材63は、湾曲している。第3板部材63は、第1板部材61及び第2板部材62における第5板部材65側(−Y)とは反対側(+Y)の端部を連結している。第4板部材64は、第2板部材62の端部621が第5板部材65側に向かって突出するように、第1板部材61及び第2板部材62における固定具6の中央寄りの位置を連結している。
【0053】
第5板部材65は、電柱1と固定バンド3との間に挿入される挿入片である。第5板部材65は、第4固定部64との間において隙間65Aが設けられるように、第4板部材64における第3板部材63側(+Y)とは反対側(−Y)の端部から上側(+Z)に向かってのびている。隙間65Aは、固定具6が固定バンド3に沿って移動可能に取り付けられるように、固定バンド3が挿入される隙間部である。尚、隙間65Aに固定バンド3が嵌められた場合、固定バンド3は、端部621と当たって、隙間65Aから外れ難くなる。つまり、端部621は、隙間65Aに挿入された固定バンド3が外れるのを防止するための規制片として機能する。
【0054】
===腕金の傾き===
以下、
図1及び
図9を参照して、本実施形態における腕金の傾きについて説明する。
図9は、本実施形態における位置がずれた状態の腕金を示す図である。
【0055】
腕金21は、前述したように、アームタイ22、アームタイバンド23、ボルト24によって、電柱1に固定されている(
図1)。例えば、ボルト24が電柱1の螺子孔24A(
図9)から外れた場合、腕金21の位置がずれて傾くことになる。腕金21の位置がずれるとは、例えば、腕金21における絶縁がいし2C側の一端(+X)が、腕金21の一端とは反対側の他端(−X)よりも低くなること等を示す。又、腕金21の位置がずれるとは、例えば、電柱1に対する取付角度が所定角度(例えば略90度)からずれることを示す。
【0056】
腕金21の位置がずれた場合、例えば、腕金21が脱落したりする虞があるために、腕金21の傾きを調整して、腕金21を復旧する必要がある。尚、腕金21を復旧するとは、例えば、電柱1に対する腕金21の取付角度を所定角度(例えば略90度)に戻すことを示す。
【0057】
===腕金の傾きの調整===
以下、
図9乃至
図12を参照して、本実施形態における腕金の傾きの調整について説明する。
図10は、本実施形態における位置がずれた状態の腕金と腕金調整装置とを示す図である。
図11は、本実施形態における傾きが調整された状態の腕金と腕金調整装置とを示す図である。
図12は、本実施形態における復旧された状態の腕金を示す図である。
【0058】
腕金21の位置がずれた場合、腕金21の傾きを調整するべく腕金調整装置100が取り付けられる。この後、腕金調整装置100を用いて腕金21の傾きが調整される。
【0059】
<腕金調整装置100の取り付け>
固定ベルト3が、電柱1におけるアームタイバンド23を避けた位置に固定される。
【0060】
固定具6、7が、固定ベルト3における板部材31、32に取り付けられる。固定具6の隙間65Aに対して板部材31又は板部材32が嵌められることにより、固定具6が固定ベルト3に取り付けられる。尚、固定具7は、固定具6と同様に、固定ベルト3に取り付けられる。
【0061】
アーム42に対して、第1ナット部材43A、第1ワッシャー44Aが取り付けられた後、アーム42が固定具6の第2挿通孔62A、第1挿通孔61Aの双方に挿通される。尚、第2挿通孔62Aが長孔になっているために、アーム42を、アーム42における第2挿通孔62Aよりも下側(−Z)の所定位置を中心に、第2挿通孔62Aがのびている方向に移動可能となる。この後、アーム42に対して、第2ナット部材43B、第2ワッシャー44Bが取り付けられる。そして、アーム42が、固定具6に固定されることになる。尚、アーム52は、アーム42と同様に、固定具7に固定される。
【0062】
アーム42が固定具6に固定されるとき、ハンド41は、腕金21における電柱1の一方側(−X)に引っ掛けられる。ハンド41が腕金21に引っ掛けられた後、ボルト46(
図3)がA1方向に回動された後、ボルト46のヘッド側の長さを縮めることにより、ボルト46は、第1板部材413と略直交した状態で固定されることになる。このとき、腕金21は、第1板部材413、第2板部材415、第3板部材414、ボルト46に取り囲まれることになる。アーム52が固定具7に固定されるとき、ハンド51は、ハンド41と同様に、腕金21における電柱1の他方側(+X)に引っ掛けられる。
【0063】
以上より、腕金調整装置100は、電柱1及び腕金21に取り付けられることになる。
【0064】
<腕金21の位置の調整>
絶縁がいし2A、2B、2Cが、絶縁性のシート等で覆われる。例えば、位置がずれている腕金21における他方側の端部(+X)が、例えばヤットコ装置等の間接用工具(不図示)を用いて把持される。これは、腕金21の位置ずれの度合いが大きくなって、例えば腕金21が脱落するのを防止するためのである。
【0065】
ハンド41とアーム42とを連結しているボルト451を緩めて、アーム42に対するハンド41の回動が可能な状態にする。複数の突起415、425によって、ハンド41とアーム42との間において、ハンド41の自重に応じてハンド41が回動しない程度の摩擦力が発生する。又、調整工具5についても、調整工具4と同様に、ハンド51とアーム52とを連結しているボルト551を緩めて、アーム52に対するハンド51の回動が可能な状態にする。
【0066】
例えば、第1ナット部材43A及び第2ナット部材43Bの回転力に基づいて、アーム42及びハンド41は、下側に移動する。このとき、ハンド41から腕金21に対して上側から下側に向かう力(引き下げる力)が付与される。又、例えば、第1ナット部材53A及び第2ナット部材53Bの回転力に基づいて、アーム52及びハンド51は、上側に移動する。このとき、ハンド51に固定されているボルト56から腕金21に対して下側から上側に向かう力(押し上げる力)が付与される。
【0067】
支持工具4、5から腕金21に対して付与される力等に基づいて、腕金21の傾きは調整される(
図11)。この後、腕金21は、例えば改修用バンド24C等を用いて、電柱1に固定されて、腕金21が復旧されることになる(
図12)。
【0068】
[第2実施形態]
第2実施形態における腕金調整装置100Bは、調整工具4Bを有する。腕金調整装置100Bにおける調整工具4B以外の構成は、腕金調整装置100の構成と同様である。
【0069】
===腕金調整装置===
以下、
図13及び
図14を参照して、本実施形態における腕金調整装置について説明する。
図13は、本実施形態における電柱に取り付けられた状態の腕金調整装置を示す図である。尚、固定ボルト481の一部は見えない状態となっているが、説明の便宜上、点線で示されている。
図14は、本実施形態における調整工具を示す側面図である。尚、
図3と同様な構成には、同様な符号を付しその説明については省略する。
【0070】
腕金調整装置100Bは、調整工具4Bを有する。調整工具4Bは、ハンド41B、固定ボルト481(突起)を有する。
【0071】
ハンド41Bは、板部材415B(
図14)を有する。板部材415Bには、固定ボルト481が螺合される螺子孔(不図示)が設けられる。尚、板部材415Bにおける螺子孔以外の構成は、第2板部材415(第1実施形態)の構成と同様である。
【0072】
固定ボルト481は、ハンド41Bが腕金21Bに取り付けられる際の、腕金21Bに対するハンド41Bの位置決めを行うためのボルトである。固定ボルト481は、板部材415Bの螺子孔に螺合して、ハンド41Bに取り付けられる。このとき、固定ボルト481の先端は、板部材415Bから下側(−Z)に向かって突出する。
【0073】
ハンド41Bが腕金21Bに取り付けられる際、固定ボルト481が腕金21Bの位置決め孔(不図示)に挿入されて、腕金21Bに対するハンド41Bの位置決めが行われる。尚、腕金21Bには、固定ボルト481が挿入される位置決め孔が所定位置に設けられていることとする。
【0074】
[第3実施形態]
第3実施形態における腕金調整装置100Cは、調整工具4Cを有する。腕金調整装置100Cにおける調整工具4C以外の構成は、腕金調整装置100の構成と同様である。
【0075】
===腕金調整装置===
以下、
図15乃至
図17を参照して、本実施形態における腕金調整装置について説明する。
図15は、本実施形態における電柱に取り付けられた状態の腕金調整装置を示す図である。
図16は、本実施形態におけるハンドを示す図である。
図17は、本実施形態が適用される電柱と腕金とを示す図である。
【0076】
腕金調整装置100Cは、調整工具4Cを有する。調整工具4Cは、ハンド8を有する。ハンド8は、湾曲部材81、連結部材82を有する。
【0077】
連結部材82は、アーム42における支持板421(
図4)と連結される部材である。連結部材82は、螺子孔82Aが設けられる。螺子孔82Aには、ボルト451(
図3)が挿通される。
【0078】
湾曲部材81は、腕金21Cのボルト23Cに引っ掛けられる部材である。湾曲部材81は、ボルト23Cに引っ掛けられるように、所定の曲率で湾曲している。尚、ボルト23C(
図17)は、電柱1Cに対して腕金21Cを固定するためのベルト22Cに設けられているボルトであり、所定方向(例えば+Y)に向かって突出している。ボルト23Cは、ベルト22Cが電柱1Cに締め付けられるように、ベルト22Cの径を調整するのに用いられる。湾曲部材81は、連結部材82がのびている方向(Z軸)と平行であり、且つ、連結部材82の中央を通る回動軸81Aを中心に、B1方向又はB2方向に360度回動可能に、連結部材82に取り付けられる。
【0079】
腕金調整装置100Cにおいては、ハンド8がボルト23Cに引っ掛けられて、ベルト22Cを下側(−Z)に移動させることにより腕金21Cの傾きが調整される。
【0080】
前述したように、腕金調整装置100は、電柱1に対する腕金21の取付角度が所定角度となるように、腕金21の傾きを調整する装置である。腕金調整装置100は、アーム42、ハンド41、固定バンド3、固定具6、第1ナット部材43A、第2ナット部材43Bを有する。アーム42及びハンド41は、アーム42の長手方向に移動することで、腕金21に対して腕金21の傾きを調整するための力を付与する。固定バンド3及び固定具6は、電柱1に固定され、アーム42がアーム42の長手方向に移動できるようにアーム42を支持する。第1ナット部材43A、第2ナット部材43Bは、アーム42をアーム42の長手方向に移動させる。これらの構成により、腕金21の傾きを調整するための力を腕金21に付与して、腕金21の傾きを調整することができる。
【0081】
又、ハンド41は、腕金21に取り付けられる。アーム42は、固定バンド3及び固定具6に支持される。アーム42は、ハンド41が腕金21に取り付けられたまま腕金21の傾きに合わせて回動するようにハンド41を支持する。これらの構成により、腕金21に対して腕金21の傾きを調整するための力を確実に付与して、腕金21の傾きを確実に調整することができる。
【0082】
又、腕金21Bには、位置決め孔が設けられている。ハンド41Bには、ハンド41Bが腕金21Bに取り付けられるときにハンド41Bが腕金21Bに対して位置決めされるように位置決め孔に挿入される固定ボルト481が設けられている。これらの構成により、腕金21Bに取り付けられるハンド41Bの位置ずれを防止して、腕金21Bの傾きを確実に調整することができる。
【0083】
又、アーム42の支持棒422の外周面には、螺子山423が設けられている。固定具6は、支持棒422が挿通される第1挿通孔61A及び第2挿通孔62Aを有する。第1ナット部材43A及び第2ナット部材43Bは、第1ナット部材43A及び第2ナット部材43Bの回転力に応じて支持棒422が移動するように支持棒422に螺合される一対のナット部材である。第1ナット部材43A、第2ナット部材43Bは、第1挿通孔61A及び第2挿通孔62Aに挿通されている支持棒422における固定具6の両側に設けられる。これらの構成により、第1ナット部材43A、第2ナット部材43Bの回転量を微調整することにより、腕金21の傾きの調整量を微調整することができる。従って、腕金21の傾きの調整精度を向上させることができる。
【0084】
又、固定バンド3は、電柱1の外周面を取り囲んで電柱1に締め付けられるベルトである。固定具6は、第5板部材65と、隙間65Aを有する。第5板部材65は、電柱1と固定バンド3との間に挿入される。隙間65Aは、固定具6が固定バンド3に沿って移動可能に取り付けられるように、固定バンド3が挿入される。よって、電柱1に対する固定バンド3の位置、及び、固定バンド3に対する固定具6の位置を調整することにより、腕金21の傾きを調整する作業を確実に行える位置において調整工具4を支持することが可能となる。従って、使い勝手のよい腕金調整装置100を提供することができる。
【0085】
又、ハンド41の第3板部材414とアーム42の支持板421とは、ボルト451により互いに連結されている。対向面416、426には突起425、415が設けられている。対向面416、426は、ボルト451の長手方向におけるハンド41及びアーム42の対向面である。突起425、415は、ハンド41が回動したときに摩擦力を発生させるための突起である。これらの構成により、例えばハンド41の自重等によりハンド41が回動するのを防止して、腕金21に対して腕金21の傾きを調整するための力を確実に付与することができる。従って、腕金21の傾きを確実に調整することが可能となる。
【0086】
腕金調整相違100は、第1ワッシャー44A、第2ワッシャー44Bを更に有する。第1ワッシャー44A、第2ワッシャー44Bは、第1挿通孔61A及び第2挿通孔62Aに挿通されている支持棒422における第1ナット部材43A、第2ナット部材43B夫々と固定具6との間に設けられる一対のワッシャーである。これらの構成により、支持棒422が比較的強固に支持(固定)されることになる。従って、例えば、腕金21の重さに応じて調整工具4がずれるのを防止して、腕金21の傾きを確実に調整することが可能となる。
【0087】
尚、第1乃至第3実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0088】
第2実施形態においては、腕金21Bに位置決め孔が設けられ、ハンド41Bに固定ボルト481が設けられることについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、腕金21Bに固定ボルト481と同様な構成の固定ボルトが設けられ、ハンド41Bに位置決め孔が設けられることとしてもよい。
【0089】
又、第1実施形態におけるいて、例えば、ハンド41が腕金21における電柱1から離れた位置に取り付けられるように、支持棒422が電柱1から離れる方向に向かって曲げられていることとしてもよい。
【0090】
又、第3実施形態においては、ハンド8がボルト23Cに引っ掛けられることについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ハンド8が、腕金21Cに引っ掛けられることとしてもよい。
【0091】
又、第1実施形態においては、固定バンド3が電柱1における腕金21の下側に設けられることについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、固定バンド3が電柱1における腕金21の上側に設けられることとしてもよい。
【0092】
又、第1実施形態においては、対向面416、426に突起425、415が設けられていることについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、対向面416、426の少なくとも一方に突起が設けられることとしてもよい。又、例えば、対向面416、426の一方に突起が設けられており、対向面416、426の他方に当該突起の先端が引っ掛かるような溝が設けられることとしてもよい。