(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2条件は、前記回転砥石の回転速度を前記第1工程から変化させることなく前記ガラス基板の回転速度を前記第1工程から変化させた条件であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
前記フォーミング工程において、第1条件を用いて第1工程を行い、前記回転砥石を前記ガラス基板に押圧したままで第2条件に変更して第2工程を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
所定回数の第1加工および第2加工を行うごとに、前記第2条件の算出をやり直すことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0027】
図1はガラス基板の端面(外周端面および内周端面)の研削および面取り加工を施すフォーミング工程を説明する図である。
図1(a)はフォーミング工程を施す前のガラス基板の断面図である。図に示すように、フォーミング工程は、円板状のガラス基板の中心に内孔102を形成した円環状のガラス基板100に対して施される。
【0028】
図1(b)は端面研削装置200を模式的に示す図である。図に示す端面研削装置200は、ガラス基板100の外側に研削手段の例としての外側砥石210を配置し、内孔102にも研削手段の例としての内側砥石220を挿通している。外側砥石210と内側砥石220の軸212、222は移動可能であって、不図示の加圧手段によりガラス基板100を半径方向に挟み込むように加圧される。外側砥石210および内側砥石220はプーリー状の回転砥石であって、外周面に研削面(中央平坦部および傾斜部)を備えている。ガラス基板100、外側砥石210および内側砥石220はそれぞれ駆動手段の例としてのモータ214、224によって回転駆動され、その回転方向はそれぞれの接点でガラス基板の回転方向に対向する方向となるように設定している。モータ214、224の回転数は、回転制御部230によって制御される。なお、
図1においてガラス基板100の支持機構および回転駆動機構は省略している。
【0029】
そして
図1(c)に示すように、ガラス基板100の内周端面120および外周端面130を研削することにより、あわせてそれぞれに面取部120a、130aを形成する。
【0030】
上記構成の端面研削装置200を用いたフォーミング工程について説明する。フォーミング工程においては、ガラス基板を回転させつつ、外周端面130および内周端面120にそれぞれ外側砥石210、内側砥石220を押圧して回転することによって、外周端面130および内周端面120の研削(成形加工)を行う。このとき、冷却液(クーラント)をかけながら研削を行うことが望ましい。
【0031】
図2はフォーミング工程を説明するフローチャートである。フォーミング工程において、まず所定の条件を用いて研削を行う(S100)。ここで所定の条件とは外周端面を形成するための主たる加工を行うための条件であり、外側砥石210および内側砥石220の回転数、外側砥石210および内側砥石220の粗さ、ガラス基板100の回転数、圧力などを含む。ここで外周端面は円形に研削されるが、第1のうねりを生じる。本実施形態においては、このときの外周端面130に形成されるうねりを第1のうねりとし、所定の条件のうち特にガラス基板100の回転数を第1条件と称する。
【0032】
次に、外周端面130に形成された第1のうねりを測定する(S102)。外周端面130のうねりは、例えば針を用いた接触式の微細輪郭形状測定器を用いて測定することができる。また外観検査によってうねりの波長や振幅、頂点の個数などを測定することでもよい。
【0033】
そして、第1のうねりと波長の異なる第2のうねりを形成する第2条件を算出する(S104)。第2のうねりの波は、第1のうねりの波と
ガラス基板1周分のうねりの数が異なる関係であればよい。これにより、ガラス基板の外周端面に形成される第1のうねりを、第2のうねりによって解消することができる。ただし、第2のうねりの波長が第1のうねりの整数倍である場合を除く。この場合は、うねりのピークが重なってしまうために解消することができないためである。
【0034】
本実施形態において第2条件は、第1条件と同様にガラス基板の回転数である。すなわち、端面研削工程の条件は多岐にわたるが、ガラス基板の回転数を変えることにより、
ガラス基板1周分の第1のうねりの数に対して第2のうねりの数が異なる関係(特に、整数+半波長ずらした関係)とする第2条件を設定することができる。
【0035】
なお第1条件および第2条件を、ガラス基板の回転数ではなく、回転砥石の回転数としてもよい。ただし回転の速いものはギヤ比が大きく微調整が難しいため、回転が遅い方の回転数を制御することにより、より正確に第1のうねりを解消する第2のうねりを形成することができる。本実施形態においては後述するようにガラス基板のほうが回転砥石よりも回転数が低いため、ガラス基板の回転数を条件に用いている。
【0036】
さらに確実に第1のうねりを解消しうる第2のうねりを形成するために、第2条件を下記のようにして、第1条件と、S102で測定した実際の第1のうねりから求めることができる。
【0037】
回転砥石の回転数をA(rpm)、第1条件におけるガラス基板の回転数をB1(rpm)、第1のうねりの数をC個とし、第2条件におけるガラス基板の回転数B2(rpm)を求める。ここでうねりの数Cは実測値であるため信頼性の高い値、ガラス基板の回転数B1は低速であるため信頼性の高い値、回転砥石の回転数Aは高速であるため信頼性の低い値である。
【0038】
ここで次式のように、砥石の回転数を基板の回転数で割った値を、回転数比Nとする。
【数1】
1/j=0のとき、ガラス基板の表面にはi個の山が形成される。1/j=0.5のとき研削面粗さ及びピッチの長さは半分になり、山数はNの2倍(2i+1)となるため、高い真円を得ることができる。
【0039】
そこでまず、第1条件を設定するにあたり、第1条件における回転数比N1の小数点第1位が5となるように設定する。理論的にはこの状態で高い真円を得ることができるが、実際には軸のぶれや振動、精度、摩耗など様々な阻害要因がからむためにバランスが崩れ、外周端面に粗いうねりが形成される。このときの関係を次式のように表すことができる。次式においてガラス基板の回転数B1およびうねりの数Cは、上記したように精度が高い値であるため、正しいものと仮定する。
【数2】
【0040】
次に、上記のうねりを解消する第2のうねりを形成するために、第2条件におけるガラス基板の回転数B2を設定する。うねりの波が
異なるときに関係であるときに第1のうねりを第2のうねりによって解消することができるため、第2条件における回転数比N2の小数点第1位が5となるように、第2条件における基板の回転数B2を求める。
すなわち、回転数比N2は整数+半波長(0.5)とする。
【数3】
【0041】
式3から式2を用いて「実際の砥石の回転数A’」を消去すれば、次式のように表すことができる。
【数4】
すなわち、(B1/B2)×Cの演算結果(第2条件における回転数比N2)の小数点第2位を四捨五入したときの小数点第1位の値が5となるように、基板の回転数B2を求める。このように第2条件を設定することにより、
ガラス基板1周分のうねりの数を第1のうねりと第2のうねりとで異ならせる(整数+半波長のずれを生じさせる)ことができ、第1のうねりを確実に解消して平滑な外周端面を得ることができる。
【0042】
上記のようにして第2条件を算出した後に(S104)、生産にかかるフォーミング工程を行う。まず第1条件でバッチ研削する第1工程を行い(S106)、回転砥石をガラス基板に押圧したままで(ガラス基板を装置にセットしたままで)研削条件を第2条件に変更して加工する第2工程を行う(S108)。第1条件による研磨は取代を見込んでいるが、第2条件による研磨は砥石を進入させない、いわゆるゼロカットによってうねりを解消することのみを目的として行う。従って第2条件による研磨は短時間でよく、例えば10秒程度(4回転程度)であってもよい。このように連続的に加工を行うことにより、加工時間の短縮を図ることができる。また、第1条件および第2条件が回転数であることにより、特に連続的に条件変更が可能である。
【0043】
しかし外側砥石210および内側砥石220は、バッチ処理の回数を重ねれば摩耗していく。また外側砥石210および内側砥石220は複数の研削面を有し、摩耗すれば段を切り換えて新たな研削面で加工を行う。このように状況(実際の回転数Dなど)が変化してしまうとS104で求めた第2条件は適用できなくなってしまう。そこで所定回数のバッチ処理を行ったか否かを判断し(S110)、行っていなければ次のバッチ処理を行い(S106)、行っていればS100に戻って第2条件の算出をやりなおす。このように、所定回数の第1加工および第2加工を行うごとに第2条件の算出をやり直すことにより、常に実情に即した最適な第2条件を用いることができる。
【0044】
上記構成によれば、ひとつの研削条件によってうねりを解消するに充分な加工時間を待つことなく、短い加工時間でガラス基板の外周端面のうねりを解消することができる。従って大量生産を行うことができ、生産コストの低減を図ることができる。
【0045】
図3はガラス基板の主表面を研磨するための両面研磨装置の説明図である。
図3に示す両面研磨装置300はそれぞれ所定の回転比率で回転駆動される太陽ギヤ330及び内歯歯車(以下、「インターナルギヤ340」という。)を有するキャリヤ装着部と、このキャリヤ装着部を挟んで互いに逆回転駆動される上定盤350及び下定盤360とを有する。上定盤350および下定盤360のガラス基板100と対向する面にはそれぞれ研磨パッド310が貼り付けられている。
【0046】
外周にギヤを有するキャリヤ370は太陽ギヤ330及びインターナルギヤ340に噛合され、太陽ギヤ330とインターナルギヤ340が相対的に回転することによって遊星歯車運動をする。キャリヤ370にはそれぞれ複数の小孔が設けられており、この小孔にガラス基板100が保持されている。
【0047】
下定盤360は固定的に設置されており、上定盤350は上下移動可能に構成されて、キャリヤ370に保持されたガラス基板100を研磨パッド310で挟んで押圧することができる。遊離砥粒を含む研磨液(スラリー)を供給しながらキャリヤ370を遊星歯車運動させることにより、ガラス基板100の表裏の主表面が研磨される。
【0048】
上記装置を用いた主表面研磨工程は、後述のように、外周端面を鏡面研磨した後に行われる。そのときガラス基板100はキャリヤ370の小孔に装着されて研磨されるが、本実施形態にかかるガラス基板100では外周端面130のうねりを解消して円滑にすることができるために、うねりの頂点にキャリヤとの摺擦によるマダラなキズを発生することがない。従って外周端面から生じるパーティクルの発生を効果的に防止し、かつ磁気ディスクにした後も外周端面からのコロージョンの発生を抑制することができる。
【0049】
[実施例]
以下に、本発明を適用した磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について実施例を説明する。
【0050】
(1)形状加工工程および第1ラッピング工程
本実施形態においてガラス基板の材質としてはソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、結晶化ガラス等が挙げられるが、中でもアルミノシリケートガラスが好適である。アルミノシリケートガラスは、平滑かつ高剛性が得られるので、磁気的スペーシング、特に、磁気ヘッドの浮上量をより安定して低減できる。また、アルミノシリケートガラスは化学強化により、高い剛性強度を得ることができる。
【0051】
まず、溶融させたアルミノシリケートガラスを上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスによりディスク形状に成型し、アモルファスの板状ガラスを得た。なお、アルミノシリケートガラスとしては、化学強化用のガラスを使用した。ダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスから研削砥石で切り出して円板状の磁気ディスク用ガラス基板を得てもよい。なお、アルミノシリケートガラスとしては、SiO2:58〜75重量%、Al2O3:5〜23重量%、Li2O:3〜10重量%、Na2O:4〜13重量%を主成分として含有する化学強化ガラスを使用した。
【0052】
次に、この板状ガラスの両主表面をラッピング加工し、ディスク状のガラス母材とした。このラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行った。具体的には、板状ガラスの両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液を板状ガラスの主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行った。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス母材を得た。
【0053】
(2)切り出し工程(コアリング、フォーミング)
次に、ダイヤモンドカッタを用いてガラス母材を切断し、このガラス母材から円板状のガラス基板を切り出した。次に、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に内孔を形成し、円環状のガラス基板100とした(コアリング)。
【0054】
次に、上述したフォーミング工程を行うことによりガラス基板の端面(外周端面および内周端面)の研削および面取り加工を行った。
【0055】
図4は実施例にかかる研削条件と外周端面のうねりを説明する図である。外周端面の研削にあたり、まず、第1条件を設定する。第1条件においては回転数比N1の小数点第1位が5となるように設定する。本実施例において砥石の回転数A=2,412、第1条件における基板の回転数B1=24とする。このとき回転数比Nは、2,412/24=100.5である。理論的にはこの状態で高い真円を得ることができるが、実際には軸のぶれや振動、精度、摩耗など様々な阻害要因がからむためにバランスが崩れ、外周端面にうねりが形成される。本実施例において測定したうねりの数C=114であった。そして第1のうねりを解消する第2のうねりを形成するために、上記の(式4)に値を代入し、第2条件における基板の回転数B2を求める。
【数5】
2736/B2により求まる回転数比N2の小数点第1位が5になる値を算出すると、B2が23.9(rpm)のとき回転数比N2=114.5(114.47)、B2が24.1(rpm)のとき回転数比N2=113.5(113.52)と算出することができる。従って、第2条件としての基板の回転数B2は、23.9や24.1などに設定することができる。なおB1とB2とが1以上の差を有していてもよく、端数(小数点第1位)が5であれば
第1のうねりを解消することが可能となる。
【0056】
上記の第1条件および第2条件を用いることにより、第1のうねりを第2のうねりによって解消することができ、短い加工時間でガラス基板の外周端面のうねりを解消して円滑に加工することができた。
【0057】
図5は実施例と比較例を対比する図である。上述したように、第1条件のみで研削したとしても、加工時間を長く取れば所望の表面粗さに仕上げることができる。しかし
図5(a)に示すように、同程度の粗さ(例えばRa=約200nm=約0.2μm)に仕上げるためには、第1条件のみでは約120秒間必要であったのに対し、実施例のように第1条件の後に第2条件で研削した場合には、約60秒間で達成することができた。このことから、加工時間を短縮しつつ早期に外周端面のうねりを解消することができることがわかる。
【0058】
また、同じ加工時間で処理をした場合には、外周端面のうねりに差が生じる。これに起因して、パーティクルの発生やコロージョンの発生の程度に差が生じる。すなわち
図5(b)に示すように、比較例においてはうねり高さが約1μm、ピッチが約1.3mmであった。これに対し実施例においてはうねり高さが約0.5μm、ピッチが約1.3mmとなり、うねり高さがきわめて低く抑えられていることがわかる。
【0059】
(3)第2ラッピング工程
次に、得られたガラス基板の両主表面について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング加工を行った。この第2ラッピング工程を行なうことにより、前工程である切り出し工程や端面研磨工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができ、後続の主表面に対する研磨工程を短時間で完了させることができるようになる。
【0060】
(4)端面研磨工程
次に、ガラス基板の外周端面について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行った。このとき、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いた。
【0061】
そして、端面研磨工程を終えたガラス基板を水洗浄した。この端面研磨工程により、ガラス基板の端面は、ナトリウムやカリウムの析出の発生を防止できる鏡面状態に加工された。特に内周端面は、200〜300枚ほどの多数枚を積層して研磨した場合であっても、内孔の公差や真円度が低下することなく良好な状態であった。
【0062】
(5)主表面研磨工程
主表面研磨工程として、まず第1研磨工程を施した。この第1研磨工程は、前述のラッピング工程において主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とするものである。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質樹脂ポリッシャを用いて、主表面の研磨を行った。研磨剤としては、酸化セリウム砥粒を用いた。
【0063】
この第1研磨工程を終えたガラス基板100を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
【0064】
次に、主表面研磨工程として、第2研磨工程を施した。この第2研磨工程は、主表面を鏡面状に仕上げることを目的とする。この第2研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、軟質発泡樹脂ポリッシャを用いて、主表面の鏡面研磨を行った。研磨剤としては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒よりも微細な酸化セリウム砥粒を用いた。
【0065】
この第2研磨工程を終えたガラス基板100を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽には、超音波を印加した。
【0066】
(6)化学強化工程
次に、前述のラッピング工程および研磨工程を終えたガラス基板100に、化学強化を施した。化学強化は、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を400℃に加熱しておくとともに、洗浄済みのガラス基板100を300℃に予熱し、化学強化溶液中に約3時間浸漬することによって行った。この浸漬の際には、ガラス基板100の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板100が端面で保持されるように、ホルダに収納した状態で行った。
【0067】
このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板100の表層のリチウムイオンおよびナトリウムイオンが、化学強化溶液中のナトリウムイオンおよびカリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板が強化される。ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層の厚さは、約100μm乃至200μmであった。
【0068】
化学強化処理を終えたガラス基板100を、20℃の水槽に浸漬して急冷し、約10分間維持した。そして、急冷を終えたガラス基板100を、約40℃に加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄を行った。さらに、硫酸洗浄を終えたガラス基板を純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波を印加した。
【0069】
上記の如く、第1ラッピング工程、切り出し工程、端面研磨工程、第2ラッピング工程、第1および第2研磨工程、ならびに化学強化工程を施すことにより、平坦で平滑な、高剛性の磁気ディスク用ガラス基板100を得た。また、外周端面も平滑で真円度の高いガラス基板100を得ることができた。
【0070】
(7)磁気ディスク製造工程
上述した工程を経て得られたガラス基板100の両面に、ガラス基板100の表面にCr合金からなる付着層、CoTaZr基合金からなる軟磁性層、Ruからなる下地層、CoCrPt基合金からなる垂直磁気記録層、水素化炭素からなる保護層、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を順次成膜することにより、垂直磁気記録ディスクを製造した。なお、本構成は垂直磁気ディスクの構成の一例であるが、面内磁気ディスクとして磁性層等を構成してもよい。
【0071】
得られた磁気ディスクも外周端面が平滑で真円度が高かった。これにより、パーティクルによる膜欠陥や凸状欠陥が極めて少なく、また外周端面から生じるコロージョンも抑制された磁気ディスクを得ることができた。