【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立クレームのうちの1つの特徴によって実現されうる。従属クレームには、本発明の好適な実施形態が記載されている。
【0007】
記載されるこれらの実施形態はまた、製造工程の反復制御法、製造工程を反復制御する製造制御ユニット、製造装置、製造制御ユニットの使用、コンピュータプログラム要素、及びコンピュータ可読媒体にも関する。異なる実施形態を組み合わせることで相乗的な効果が生じうるが、それらは詳細に記載されていないものであってもよい。
【0008】
また、方法に係る本発明の実施形態は、すべて記載される工程の順序により行われうるが、一方で、それが当該方法の唯一かつ必須の順序とは限らないことに留意されたい。方法の工程については、あらゆる順序及び組み合わせが本願に開示される。
【0009】
本発明の第1の例示的な実施形態によれば、複合材料及び当該複合材料から形成される製品の少なくとも1つの製造工程の反復制御法が提供される。ここで、当該方法は、次の製造サイクルのための少なくとも1つの補正パラメータの設定が必要であるかどうかを判定する製造制御ユニットに、最初の製造のために少なくとも1つの名目パラメータを提供する工程を有する。当該判定は、指標パラメータ及び名目パラメータの分析に基づいて行われる。ここで、指標パラメータ及び名目パラメータは、工程パラメータ、材料配合パラメータ及び製品特性パラメータからなる群から選択される。よって、補正パラメータは、工程パラメータ及び材料配合パラメータからなる群から選択される。
【0010】
これに関して、2または3つの指標パラメータ及び2または3つの名目パラメータを同時に使用してもよく、これらのパラメータには、少なくとも1つの工程パラメータと、1つの材料配合パラメータと、1つの製品特性パラメータとが含まれる。
【0011】
用語「パラメータの付与」、「パラメータの選択」及び「パラメータの設定」には、パラメータセットからパラメータを選び出すことだけでなく、選択したパラメータの値を決定することも含まれることに留意されたい。例えば、工程パラメータ「圧力:p=500バール」を補正パラメータとして付与、選択または設定することには、「圧力」を補正パラメータとすることだけでなく、その値を500バールと定めることも含まれる。
【0012】
また、用語「製造制御ユニット」は、設定されたニーズ(名目パラメータ)に合わせて部品または材料特性を最適化することを目的とする製造制御ユニットと解されうることに留意されたい。これは、このユニットが、部品の製造工程もしくは変換工程、材料組成(もしくは配合)またはこの両者を同時に制御可能であることを意味する。
【0013】
したがって、「製造制御ユニット」は、コンピュータプログラムを記憶した、コンピュータ内の集積回路であってよい。また、汎用コンピュータで実行されるコンピュータプログラム要素であってもよい。また、製造制御ユニットは、名目パラメータの設定、実行中の工程、計算及び結果をユーザーに表示するディスプレイを有していてもよい。製造制御ユニットは、自動操作されうるが、ユーザーの手動による介入や手動操作も可能である。
【0014】
また、製造制御ユニットは、何らかの工程パラメータを変化させたり、及び/または材料配合について構成成分や構成割合(材料配合パラメータ)を変化させた場合に、製造される製品の最終的な性能に及ぼす結果を、短時間、すなわちオンラインで予測するシミュレーションプログラムと接続されまたは連係しうる。したがって、何らかの工程パラメータを変化させたことによる結果は、製造シミュレーションを実行することによって求められ、材料組成の構成成分及び構成割合を変化させたことによる結果は、材料特性シミュレーションを実行することにより求められ、そして、これらの工程パラメータ及び構成成分/構成割合特性に基づいた最終的な性能は、応用シミュレーションにより求められる。また、製造制御ユニットは、現在の製造設定について専門的な解析(最適化)をすることができる、より専門的な情報システムや例えば材料供給メーカーなどの(統計学的な)データベースと直接接続されうる。これは、工程パラメータとそれに対応する配合についての専門的な解析に相当し、材料供給メーカーによるカスタマーサポートが改善されることになりうる。
【0015】
用語「製造工程」には、あらゆる種類の変換工程が含まれうる。例えば、ポリマー、マスターバッチ及び添加剤といった種々の材料から、例えばプラスチック製品(例えば、フ
ロントバンパー)への変換工程である。プラスチック部品の品質は、製造工程の設定条件だけでなく、最終的な材料組成(配合)によっても決まることから、用語「製造工程」には、両者に関連するパラメータ、すなわちプラスチック部品の製造工程及び「最終」材料配合の作成が含まれる。
【0016】
また、「名目パラメータ」とは、所定または所望のパラメータであってよく、目標または要求を表す値を伴う。したがって、名目パラメータは、基準として用いられうる。名目パラメータは、自動または手動で設定することができ、またあらかじめ設定されたものであってもよい。したがって、処理される材料のあらゆる特性や、製造または変換工程のあらゆる特性、それに最終製品(プラスチック部品)のあらゆる特性が、名目パラメータとなりうる。
【0017】
また、いずれの名目パラメータも、所望の最小値及び最大値を含む幅域の範囲内となるよう制御される。この制御機構は、要求された各名目パラメータの目標を達成することを目的としている。材料配合及び/または工程パラメータを用いても達成不能である場合は、警告がなされ、さらなる提案(達成できる限度)が示される。名目パラメータは、さらに重要度によってランク付けされていてもよい。
【0018】
主に製造工程の工程パラメータにより決まりうる「材料/製品特性」の例としては、質量、収縮(寸法)、反り、それにひけマーク、光沢、虎縞といった製品表面外観の効果がある。主に材料配合パラメータにより決まる「材料/製品特性」の例としては、色、密度、並びに弾性率、収率特性、破断ひずみ、強度、粘弾性挙動(クリープ)及び熱膨張係数といった材料力学及び熱力学がある。また、材料のレオロジーについては、材料の収縮、表面外観及びエミッションのパラメータが、主に材料配合によって決まる。最終製品の特性の例としては、製品剛性、耐衝撃性、製品寸法及び反りが挙げられる。これらはすべて、名目パラメータの例である。また、少なくとも1つの名目パラメータの付与は、ユーザーにより手動でなされてもよいし、あるいは、以前の製造日など一定の予め与えられた情報に基づいて、データベースから情報を取り出すコンピュータプログラムにより自動でなされてもよい。
【0019】
また、「指標パラメータ」は、製造工程に関するパラメータ、複合材料の配合に関するパラメータ、製造される製品(最終製品)の特性に関するパラメータ、及び製造工程の環境条件に関するパラメータ(例えば、温度)を含みうる、測定または分析パラメータであってよい。
【0020】
「工程パラメータ」の例としては、融点、工具温度、射出速度及び/またはプロファイル、転換点、充填圧力及び/またはプロファイル、充填時間、冷却時間、作業時間、または製造機械(例えば、射出成形機)に既定の作業コントローラーで制御されるようなその他の工程パラメータがありうる。また、実際の工程パラメータは、連続的に、すなわち例えば射出成形では製造のサイクル毎に、あるいは例えば押出成形では連続的に、製造制御ユニットによってモニターされてもよい。したがって、製造制御ユニットは、例えば射出成形制御ユニットであってよい。
【0021】
指標パラメータは、さらに材料配合パラメータを有する。「材料配合パラメータ」の例としては、あらゆる種類の高機能マスターバッチ及びそのマスターバッチの割合、それに添加システムにおけるその他のあらゆる制御可能なパラメータがありうる。ある種の高機能マスターバッチは、最終材料中に適切に分散されると当該材料及びそれより製造される製品の特定の特性に影響を及ぼすような物質が、濃縮して含有されている。例えば、粒子強化ポリマー複合材料における粒子含有量は、材料配合パラメータとなりうる。配合式、構成成分及びその割合は、何らかの方法によって、配合制御ユニットによりサイクル毎に
モニターされ、制御される。また、これらの指標パラメータまたは指標パラメータの値も、サイクル毎または連続的に製造制御ユニットに送信される。
【0022】
最終製品の「指標パラメータ」の例は、例えば色、質量、寸法、剛性、耐衝撃性、表面外観、エミッション、臭いなどの測定値であってもよく、測定数にかかわらず自動または手動で測定される。
【0023】
工程パラメータ、材料配合パラメータ及び製品パラメータなどの3種の指標パラメータは、すべてサイクル中またはサイクル後にモニターされ、製造制御ユニットと自動/手動で共有されることにも留意されたい。あるいは、製造制御ユニットは、工程の指標パラメータまたは材料配合の指標パラメータのみに基づいて作動することもできる。
【0024】
したがって、少なくとも1つの指標パラメータを、自動測定または自動分析によって供給することができ、あるいはオンラインで供給してもよい。しかし、ユーザーが指標パラメータを手動で設定(ユーザーが他の値を所望する場合)することも可能である。
【0025】
これは、反復方法の開始または第1ステップとなる最初の製造サイクル中に行ってよく、複数の工程サイクルにおける製造工程の改良へとつながる。このようにして、製造される材料または製品の品質管理が達成される。
【0026】
また、用語「補正パラメータ」には、工程パラメータ及び材料配合パラメータが含まれうる。「材料配合パラメータ」は、例えば、使用される高機能マスターバッチのあらゆる種類や、使用されるあらゆるマスターバッチのあらゆる割合であってよく、また、配合装置により制御可能なあらゆる他のパラメータも「材料配合パラメータ」に含まれうる。どちらの補正パラメータも、製造制御ユニットにより連続的(例えば、押出成形)またはサイクル毎(例えば、射出成形)にモニターされる。これにより、品質モニタリングができたり、名目パラメータとして与えられた所望の値を満たす複合材料からなる製品を迅速に製造することが可能な自己学習システムが得られたりする。
【0027】
また、補正パラメータは、製造制御ユニットの分析ロジックに基づいて定められる。これは、効率、工程パラメータまたは材料配合パラメータのみに応じて再設定されうる。場合によっては、両方のパラメータセットが同時に再設定される。いかなる補正パラメータの設定によっても名目パラメータを満たすことができない場合、製造制御ユニットは、ユーザーに警告を与えてもよい。つまり、複合材料または複合材料から形成される製品の製造に使用される材料配合についての情報と、製造装置または製造工程についての情報とが製造制御ユニットに与えられると、製造制御ユニットは、論理的及び算術的依存関係を用いて、複合材料及び/または製品の効率的な製造方法(工程の設定)を算出する。分析(シミュレーション)に基づいて、製造される製品において目標としている名目パラメータが達成されるように、最も効率的な補正パラメータセットが設定される。ここで、パラメータの変更が他のパラメータに及ぼす影響を、製造制御ユニットが検討する。
【0028】
すなわち、製造制御ユニットは、製造された複合材料の特性を制御することによって、及び/または製造部の工程パラメータを制御することによって、最終製品の品質(名目パラメータ)を達成することを目的とする。製造制御ユニットは、名目パラメータが達成されているかどうかを常時モニターする。達成されていない場合、製造制御ユニットは、次の工程サイクルのための補正パラメータ及び当該補正パラメータの数値を選択して、最終製品の特性を満足するように材料配合及び/または工程パラメータを改善する。
【0029】
材料配合パラメータ及び工程パラメータは、異なる形で互いに影響を及ぼしうることに留意されたい。この場合、製造制御ユニットは、当該ユニットが備えうるデータベース及
び/またはアルゴリズム及びシミュレーションにより、こうした相互作用が製造する部品の特性に及ぼす影響及びその強さを理解する。このデータベースには、使用される材料、配合及び工程の内容についての情報が含まれうる。また、数的なシミュレーションを相互作用的に実行して、工程パラメータ及び/または材料配合パラメータが最終製品の特定の品質に関わるパラメータに及ぼす影響についての詳細情報を、製造制御ユニットに与えてもよい。
【0030】
ここで、用語「複合材料」は、少なくとも2つの異なる原材料からなる、製造工程において使用されるあらゆる材料を含む。例えば、ポリマー材料に少なくとも1つのマスターバッチ添加したものを何らかのプラスチック材料へと変換すると、これに本願に記載される反復法が適用されうる。例えば、配合制御部を使って、マトリクスポリマーと1つまたは幾つかの機能性マスターバッチとを射出成形機で直接混合すると、これは本発明の反復法により制御される製造工程となりうる。
【0031】
また、あらゆる種類のプラスチック材料の製造工程についてのこれらの例は、製造方法に係る本発明の反復法を、それらの工業分野や製造方法に限定するものではない。
【0032】
工程設定及び材料配合は、どちらも非常に複雑な系であり、互いに依存関係にある。例えば、材料配合A及び材料配合Bは、類似の特定の作業条件であっても異なる反応を示す。また、材料配合Aは、類似の作業条件であっても異なる2つの製造工具間で、例えば製品の厚さや流動長が異なれば、違った反応を示す。したがって、作業条件は様々な形で製品特性に影響を及ぼすので、工程パラメータを任意に変化させることはできない。工程の設定及びそのすべての依存関係は、ノウハウとして製造制御ユニットに与えられる。また、所定の作業条件下における、最適な材料配合やマスターバッチの種々の物質が材料の性能に与える影響もまた、本発明の反復法のノウハウであり、例えば相互作用的に生成された数的シミュレーションによって、製造制御ユニットに与えられる。
【0033】
したがって、本発明の方法の利点は、例えばプラスチック材料やプラスチック製品といった材料や製品の安価で効率的な製造であってもよい。さらに本方法では、既成の準備済み材料を用いず、所望及び所定の値を考慮しつつ、どの材料組成が最適であるか反復的に見つけ出す。言い換えると、本方法は、工程を自己学習型の製造工程に変えるものである。これにより、工程の設定が最適化されるだけでなく、名目パラメータセットで設定された製品特性についての要求に沿って、材料配合を最適化することができるようになる。したがって、材料配合及び工程パラメータについて相互関連するパラメータセットを最適化することで、工具の細かな選択(すなわち、縮小)が不要となりうる。一般的な工業的な工程と比べて、迅速かつ安価に工具の設定が実現される。
【0034】
本方法のこれらの効果は、材料、配合、工程及び製品デザインについての情報を、同時かつ反復的に組み合わせることで得られるものであってよい。
【0035】
さらに、本発明の方法により、製品特性に関して実行工程の均一性が保証されうる。同時に、製造の品質管理も達成されうる。本発明の方法の有益な効果として、工具の設定において試験される化合物数や器材が削減されてもよく、その結果製造コストが削減されうる。種々の材料や工程を扱う自由度が増すことも、本発明の別の効果であってよい。本発明の追加的な特徴として、専門家や専門的な分析及び/または数的シミュレーションシステムによるオンラインサポートがあってよい。
【0036】
これらの本発明の効果の他にも、経済的な効果や、製造、器材及び輸送に影響を及ぼす化合物の複雑度が低減するといった、さらなる効果が得られうる。また、本発明によれば、高機能マスターバッチを大ロットサイズで標準的に生産することが可能となりうる。ま
た、材料供給メーカーによる、特定のマトリクス材料及び幾つかの対応するマスターバッチ材料を取引するための新規なビジネスモデルが、本願において開示される。例えば、使用についてのノウハウは、種々の顧客に対するリース業のビジネスモデルとなりうる。これにより、材料についての責任を顧客に負わせる必要のない、開放複合型(open compound
style)の生産が可能となる。総じて、化合物の複雑度が低減され、同時に製品製造の均一性が改善されうる。
【0037】
すなわち:一般的なプラスチック生産の場合、製造制御ユニットにより、材料及び成分のデザインを含む応用工学の分野と、加工、工具、材料成分を含む品質工学の分野とが組み合わされて適用される。
【0038】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、本方法は、指標パラメータ及び名目パラメータに基づいて、次の工程サイクルのための少なくとも1つの補正パラメータを設定する工程を有する。
【0039】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、本方法は、前記少なくとも1つの名目パラメータに関して、第1見込み補正パラメータの第1効率及び第2見込み補正パラメータの第2効率を算出する工程と、前記第1及び第2見込み補正パラメータから、効率の良い方を補正パラメータとして選択する工程とを有する。
【0040】
いずれの実施形態においても、製造制御ユニットが、最も効果的な補正パラメータの変更を求める。算出された制御変数を用いて、制御変数を直接的に設定することも可能であってよい。これによって、工程パラメータ、製品特性パラメータ及び材料パラメータを考慮した全自動工程が、例えば等式及び/またはデータベース値及び/または数的シミュレーションによって提供される。また、オペレーターによる手動制御も可能であり、これは部分自動化に相当する。また、人工知能を実装して、自己学習制御ロジックとすることも可能である。また、本ユニットをさらに手動で補助してもよい。つまり、ユーザーが行った実験の結果を用いてもよい。
【0041】
すなわち、製造制御ユニットは、種々の補正パラメータによる種々の可能性を計算して、名目パラメータの所望の値を達成する。これは、材料、製造工程及び製品の物理的形態についての情報を組み合わせることでなされる。複合材料へと加工される原材料についての情報を製造制御ユニットに与え、また製造工程及び当該工程に用いる製造装置についての情報を製造制御ユニットに与えることにより、製造制御ユニットは、名目パラメータが迅速で効果的かつ安価に満たされるように、これらの情報を組み合わせうる。パラメータセットについて起こりうるあらゆる効果や相互関係が、製造制御ユニットにより考慮されうる。
【0042】
したがって、この本発明の例示的な実施形態では、名目パラメータに与える効果の効率に基づいて、補正パラメータが選択される。名目パラメータからの乖離が大きすぎると測定された場合は、少なくとも1つの補正パラメータが用いられる。必要に応じて、数個の補正パラメータを同時に使用してもよい。最適化のプロセスでは、工程パラメータに属するか材料配合パラメータに属するかにかかわらず、最も効果的な補正パラメータ、または最も効果的な異なる補正パラメータの組み合わせが選択される。
【0043】
したがって、用語「見込み」とは、異なる補正パラメータの組み合わせ中の補正パラメータが、計算が行われた後に、算出された効率に基づいて選択されたりされなかったりすることを表すものとする。
【0044】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、本方法は、データベース及び/またはシミュ
レーションルーティンにより、補正パラメータの効率及び補正パラメータの効果を含む群から要素を算出するためのデータを提供する工程を有する。
【0045】
用語「効果」は、ここでは、補正パラメータの変更が他のパラメータに与える相互作用が、計算において考慮されることを表すものとする。工程パラメータと材料パラメータが相互作用しうることに、特に留意されたい。
【0046】
ここで、データベースは製造制御ユニットに含まれうるが、データベースが製造制御ユニットにオンラインで接続されるなど、外部供給とすることも可能である。ここで、データベースには、工程に用いられるすべての原材料やそれらが互いにどのように反応するかについての情報、及び工程及び製造装置についての情報がまとめられていてもよい。したがって、製造制御ユニットは、材料側、工程側あるいはその両方における、あらゆる変更による相互作用を算出可能である。
【0047】
したがって、工程パラメータ及び材料配合パラメータの検証を含む、部品特性の閉ループ制御が、製造制御ユニットにより可能となりうる。製造制御ユニットを用いることにより、双方のパラメータセットの考慮に加えて製品特性を考慮することによる開放的で複合的な概念(open compound concept)がもたらされる。実際にモニターされた工程パラメータ及び材料配合パラメータに基づいて、製造制御ユニットは、両系統(工程パラメータ及び材料配合パラメータ)の最も効果的な設定を提案する。2つ以上の製造または変換工程が検討される場合であっても、製造制御ユニットを用いるだけで、一貫した製品特性を作り出すことができうる。
【0048】
本発明のさらなる実施形態によれば、材料配合パラメータは、種々の原材料成分のパラメータと当該成分の割合のパラメータとを有する。
【0049】
例えば、プラスチック工学の分野では、製造される材料は、材料配合を用途のニーズに合わせてあつらえることによって最適化される。名目パラメータとは、これらのニーズを記述あるいは翻訳したものであってよい。「材料配合パラメータ」の例としては、種々のポリマーマトリクス、ゴムなどの添加物質、タルクなどの2次的な物質、カラーマスターバッチ及び複数の添加剤がある。これらの物質は、溶解物または(純粋な)非溶解物の添加剤として、ポリマーに用いられうる。また、これらのマスターバッチ(溶媒)が、製造されるプラスチック材料の特性を決めたり、その特性に影響を及ぼしたりしうる。これらのマスターバッチ自体がポリマーであってもよく、工業的なプラスチック生産では、固体状態、液体状態、ガス状状態などいかなる状態でも用いられうる。また、2つ以上のマスターバッチにより、最終的なマスターバッチ配合が定められてもよい。
【0050】
本発明の別の例示的な実施例によれば、製造制御ユニットによる少なくとも1つの補正パラメータの設定には、前記少なくとも1つの名目パラメータを得るために、異なる製造工程を開始することが含まれる。
【0051】
ここで、製造制御ユニットは、必要に応じて、名目パラメータを迅速で安価かつ効果的な方法により満たすべく、製造/変換工程の変更を開始しうる。これは、同一の製造装置により行われてもよいが、他の製造装置が製造制御ユニットにより指名され、起動されてもよい。したがって、種々の製造装置の起動に必要な、製造制御ユニット間のあらゆる接続も、製造制御ユニットに含まれうる。しかし、1つの同一の製造装置において、種々の製造工程を切り替えることも可能である。
【0052】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、本方法は、さらに以下の工程を含む:前記少なくとも1つの名目パラメータに関して、材料および製品のうち少なくとも1つを分析す
る工程、当該分析及び前記少なくとも1つの名目パラメータに基づいて、次の製造サイクルのための少なくとも1つの指標パラメータの新たな値を付与する工程及び当該指標パラメータの新たな値を製造制御ユニットに付与する工程。
【0053】
ここで、材料及び製品の「分析」には、材料特性の分析及び製品または部品特性の分析が含まれる。用語「測定」及び「分析」は、文書全体において等価に用いられていることに留意されたい。この同一性は、「分析する」及び「測定する」のあらゆる動詞の活用形にも適用される。
【0054】
最初の工程で名目パラメータを設定した後、続いて製造された材料または製品を分析または測定する。そして、名目パラメータとして表される所望の値を満たしているかどうかが判定される。この分析または測定により、必要に応じて、次の製造サイクルに用いられる指標パラメータセットについて1つまたは複数の補正パラメータの値がもたらされる。これは、製造または製品制御ユニットがあらたな補正パラメータを設定または再設定する際の基礎とする検証情報である。すなわち、製造と、予め設定された名目パラメータに関する測定と、指標パラメータの新たな(補正された)値の収集と、さらに当該新たな値を製造制御ユニットに付与して、分析または測定の結果、所望の値に未だ達していなかった特性を改善するために、次の製造サイクルを再設定することとが、本発明の例示的な実施形態に係る方法の工程となりうる。
【0055】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、自動及び/またはユーザーにより、指標パラメータセットのうちの少なくとも1つの値の分析及び付与が行われる。
【0056】
これには、データベースの値の使用、または算出された相互関係パラメータの使用、または材料特性、変換工程の詳細もしくは最終製品(部品)の特性(実用試験)のいずれかを仮想的に計算するシミュレーションプログラムの結果の使用が含まれる。
【0057】
分析される材料または製品特性が、測定機器により集められる場合、指標パラメータの新たな値は、自動的に生成され、通信機器を介して製造制御ユニットに送信されうる。この通信機器は、有線接続されたものでも無線でもよい。例えば、指標パラメータ値の分析、測定またはシミュレーションおよび作成を行うユニットから製造制御ユニットへのオンライン接続を備えることができるが、ユーザーが、ユーザーインターフェースを介して新たな指標パラメータ値や全く新しい指標パラメータセットを手動で入力して提供してもよい。これにより、ユーザーは、製造された材料または製品(部品)の特性を検査した後に、手動によるフィードバックを行いうる。
【0058】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、本方法は、工程パラメータ及び/または材料配合パラメータの検証を含む、製品特性パラメータの閉ループ制御を提供する工程を有する。プラスチック製品の製造において、双方のパラメータ群、つまり工程パラメータと材料パラメータの制御が「閉ループ」によって行われる限り、その制御は、本願に開示される方法の意味するところに含まれると解される。
【0059】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、製造工程は、射出成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、スピニング、あらゆる連続及び非連続製造工程、及び材料配合パラメータ及び工程パラメータが最終製品の特性に影響を及ぼすあらゆる製造工程からなる群から選択される。
【0060】
したがって、あらゆる連続及び非連続のプラスチックの変換工程が、用語「製造工程」に含まれうる。これらの工程において、添加時間の制御及び添加位置の制御は任意である。また、添加物数の制御も任意であり、プラスチック製造の場合、ポリマーマトリクスに
最低でも1種の原材料を添加することが必要となりうる。
【0061】
製造される材料または製品の例としては、カバーシート、表面板、シートシェル、ディスプレイ、ディスプレイ枠、構造部品、フロントエンド、ファン、換気系の構成部品、コントローラー及びインストルメント、ショックアブソーバー、ダンパー、フェンダー、泥除け、ウイング、バックドア部品、車体パネル並びに装飾ストリップなどの自動車産業向けに製造されるあらゆるプラスチック部品がありうる。さらに、洗浄機の本体や筐体、洗浄機のバレル、洗浄機の基部、掃除機の筐体、冷蔵庫、または家電もしくは輸送、物流産業において用いられるあらゆるプラスチック部品がある。水または排液システムなどの配管系の部品も含まれうる。また、非連続または連続の製造工程で製造されるかどうかにかかわらず、フィルム製品や形材、半完成部品も含まれうる。
【0062】
本方法は、様々な製造工程に適用可能であるため、高品質で均質な材料及び製品を、与えられた所望の値を考慮しつつ短時間で製造する普遍的で効率的な方法が実現しうる。
【0063】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、本製造工程により、少なくとも1つのポリマー及び少なくとも1つのマスターバッチが、製品/部品の最終材料組成物(複合材料)へと変換される。
【0064】
ここで、用語「マスターバッチ」には、例えばカラーマスターバッチや、何らかのポリマーマトリクスに混合されて特定の特性を持つプラスチック材料を作り出すその他のあらゆる添加物質が含まれうる。プラスチック材料は、ポリマーマトリクスとマスターバッチといった、少なくとも異なる2種の原材料から作り出される複合材料とされる。
【0065】
本発明のさらなる例示的な実施例によれば、材料とは、あらゆる種類のプラスチック材料である。
【0066】
本発明のさらなる例示的な実施例によれば、材料は、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリメチルアクリレート、メラミン樹脂、ゴム状材料、その他のあらゆる熱可塑性及び熱硬化性ポリマー、非強化複合材料、強化複合材料、及び部分強化複合材料殻なる群から選択される。
【0067】
よって、これらの材料からなるあらゆる混合物が、この例示的な実施形態の範囲に含まれる。非強化複合材料は、ブレンド可能な1つまたはそれ以上の均一ポリマーからなるものであってよい。添加剤の添加も可能である。強化複合材料は、ナノスケール、ミクロスケール及びマクロスケールで存在しうる異成分からなる材料構造(相形態)により定義されるものであってよい。また、強化複合材料は、1つまたはそれ以上のポリマーマトリクス、幾つかの充填系、及び/または添加剤からなるものであってよい。特に、強化複合材料は、硬粒子及び軟粒子またはこれらのあらゆる組み合わせからなるものであってよい。また、本願に記載される混合物、添加剤、粒子及び色顔料は、あらゆる割合が可能である。
【0068】
また、本願で論じた製造工程に用いられる配合物質は、他の材料に溶解した状態(その溶媒をマスターバッチという)、または、純粋な状態(純粋なタルク粒子)のどちらであってもよい。マスターバッチは、さらに他の材料により希釈されても希釈されなくてもよい。さらに、個別に添加される構成成分の物質濃度は任意であってよく、すなわち、純粋な粒子であっても、いかなる粒子含有量の高機能マスターバッチであってもよい。また、溶解した物質の混合物であってもよい。ここで、添加される物質の数及び量は、限定されなくともよい。また、製造工程において、異なる添加システムが同時に作動してもよい。異なる添加システムにより添加される物質の数及び量は、限定されなくともよい。また、
配合を規定する数及び物質も限定されないものであってよい。また、マスターバッチ材料は、任意であってよい。例えば、マスターバッチ材料は、ポリマー、固形物、液体または気体であってよい。また、1つのマスターバッチに溶解している物質の数も、限定されなくともよい。また、マスターバッチの担体は、製品の配合材料(容積の大部分)と同じ材料であっても、それ自体が配合材料の性能に影響を及ぼす物質であってもどちらでもよい。マトリクス担体は、最終配合のマトリクスと同じマトリクス材料であってもよい。ここで、マトリクス材料とは、最終配合における主要な材料担体であり、物質のマトリクス担体とは、マスターバッチの主要材料であり、すべてのマトリクスは同一でも異なってもよい。したがって、マスターバッチは種々のバリエーションが可能となりうる。また、1つのマスターバッチ担体を定めるマトリクスの数は、限定されなくともよい。異なる添加ユニットにおいて制御される単一のマスターバッチの数は、限定されなくともよい。物質によって、純粋、即ち非溶解物であったり、マスターバッチに溶解されていたりする。配合を決める単一物質の数は、限定されなくともよいが、最低でも1種の非溶解物または溶解物の添加物質が、提案されるような制御を受けて添加されなければならない。この制御を受けて添加される物質は、単一の最終的な特性または幾つかの異なる特性に影響を与えるものであってよい。影響を受ける特性の数及び添加される物質の数は、任意であってよい。単一の物質が、一般的には様々な形で種々の特性に影響を与えることに留意されたい。また、1つの物質が他の物質と連係して、所望の効果を奏するものであってもよい。変換工程では、最低でも1つの単一の添加物質が、制御された方法にて添加されうる。
【0069】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、材料及びその材料から形成される製品のうち少なくとも1つの製造工程を反復制御する製造制御ユニットが提供される。この製造制御ユニットは、計算部と入力インターフェースとを有し、前記入力インターフェースは少なくとの1つの名目パラメータを受信するよう構成され、また前記入力インターフェースは、最初の製造サイクルにおいて少なくとの1つの指標パラメータを受信するよう構成されている。また、計算部は、指標パラメータ及び名目パラメータに基づいて、次の工程サイクル(または時間)のための少なくとの1つの補正パラメータを算出するよう構成されており、前記指標パラメータ及び名目パラメータは、工程パラメータ、材料配合パラメータ及び製品特性パラメータからなる群から選択される。また、補正パラメータは、工程パラメータ及び材料配合パラメータからなる群から選択される。
【0070】
通常の場合、「製造工程」は、非連続工程であり、製造制御ユニットが指標パラメータの数値を非連続的に受信する。すなわち、サイクル毎に行われる。あるいは、連続製造工程の場合、製造制御ユニットは、製造時間を通じて指標パラメータの情報を連続的に受信する。
【0071】
このような製造制御ユニットをいずれかの種類の製造工程、特にプラスチック及びプラスチック製品の製造に適用することによって、工程パラメータ及び材料配合パラメータの検証を含む、製品特性の閉ループ制御が具現される。工程パラメータ及び材料配合パラメータの両方のパラメータセットを考慮するだけで、製造される製品の特性を決定する閉ループ製造制御ユニットが実現される。これは、本発明の製造制御ユニットにより実現されうる。実際にモニターされた工程パラメータ及び材料配合パラメータに基づいて、製造制御ユニットは、両系の最も効果的な設定を提案する。これは、実際の製品特性の名目パラメータセット(要求)を満たすのに最も効果的な、次の製造サイクルまたは製造時間のための補正パラメータまたはパラメータセットを算出し、適用することによりなされる。
【0072】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、製造制御ユニットは、さらに出力インターフェースを有し、前記出力インターフェースは、補正パラメータに基づいて製造装置の制御を開始するよう構成されている。
【0073】
すなわち、製造制御ユニットは、製造装置の又はそのための新たな工程または材料配合パラメータを、変換装置及び/または添加装置の1つ、あるいは製品製造に必要な他の何らかの関連装置の1つに設定しうる。
【0074】
指標パラメータまたは指標パラメータの値を分析・測定した後、そして名目パラメータからの乖離を算出した後に、工程信号が、製造制御ユニットから、出力インターフェースによってまたは経由して、その信号によって製造制御装置の制御を受ける製造装置へと送信される。これは、算出された補正パラメータに基づいてなされ、使用される材料についての情報が、関連する変換工程についての情報と組み合わされて、最良の状態で適用されることが保障される。
【0075】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、製造制御ユニットは、設定された前記少なくとも1つの名目パラメータに関して、少なくとも1つの材料及び/または少なくとも1つの製品特性を分析する、少なくとも1つの測定装置を有する。
【0076】
製造された材料または製造された部品の特性及び特徴を検査するため、測定装置は、満たさなければならない特性について種々の分析、検査及び測定を行いうる。測定される特性(名目パラメータ)は、製造工程が開始する前に予め設定されていてもよいし、製造工程中に設定することもできる。
【0077】
例えば、名目パラメータが、OEMの指定する特定のヤング率(純粋な材料パラメータ)であった場合、製品について機械的検査を行なって、材料のヤング率の関数である、実際の製品の剛性を収集する。収集された剛性及びそれによるヤング率が適合しない場合、次の製造サイクルを改善すべく、最も効果的な補正パラメータ値を算出・設定する。材料パラメータ(ヤング率)は、例えばOEMのオブリゲーションブック(obligation book)で予め設定され、そして例えば標準試験体(試料)や可能であれば直接製品(部品)によって検査されてもよく、これが、例えば指標パラメータ「ヤング率(材料剛性)」の実際の値となる。
【0078】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、測定装置は、寸法測定装置、密度及び質量測定装置、光学測定装置、機械的測定装置、磁気的測定装置、温度測定装置、電気的測定装置、色測定装置、及び製品材料、製造された部品(例えば、寸法)または工程の特性を測定可能なあらゆるセンサーからなる群から選択される。
【0079】
材料特性は、製品から取り出した標準試験試料でも測定しうる。したがって、指標パラメータの測定値を入力するためのユーザーインターフェースを備えうる。
【0080】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、製造制御ユニットは、リモート制御装置を有し、当該リモート制御装置により、ユーザーは離れた場所から製造制御ユニットの操作が可能となる。
【0081】
この例示的な実施形態により、例えば材料供給メーカーや製造装置供給メーカーの人やシステムが、離れた場所で行われうる製造工程を遠隔操作できるようになるという効果がもたらされうる。
【0082】
さらなる例示的な実施形態によれば、製造制御ユニットは、補正パラメータの効率及び/または補正パラメータの効果を求める、少なくとも2つの異なるシミュレーション部をさらに有する。
【0083】
さらなる例示的な実施形態によれば、製造制御ユニットは、種々の製造工程及び/また
は製造工程に用いる種々の原材料のうち少なくとも1つのデータを記憶する、少なくとも2つの異なるデータベースを有し、各データベースは製造制御ユニットに接続されており、製造制御ユニットは、種々の製造工程のため、接続を介して種々のユーザーによって使用可能である。
【0084】
本発明の他の実施形態では、2つのデータベースは互いに等価であって、1つのデータベースのみが存在し、そこに特性や全ての相互関係が記憶されていることに留意されたい。
【0085】
すなわち、材料及び製品のうち少なくとも1つの製造工程を反復制御する、複数ユーザーによる製造制御システムが提供される。
図5に記載の例では、特定の材料データ及び/または特定の工程データについて独自のデータベースを持つ種々のユーザーが、製造制御ユニットにアクセスしうる。したがって、様々な場所にいる種々のユーザーが、製造制御ユニットの効果を受ける。彼らは、すべて製造制御ユニットについての独自の用途を持っており、それらは自身の材料や製造工程に特有のものであってよい。これは、例えば材料供給メーカーが、材料や材料配合についての情報を持っており、材料供給メーカーの提供する材料を用いてそれぞれ異なる製品を生産している種々の顧客に、種々の可能性を提案するような状況に適用しうる。材料についての特定の情報を特定の各顧客と共有して、その顧客の持つ製造工程についての特定の情報と組み合わせると、それによって各顧客は、各自の製造工程において効果を得ることができる。これは、それぞれ異なる特定の製造工程を、効果的かつ迅速に制御し最適化する製造制御ユニットを使用することにより可能となる。
【0086】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、複合材料及び当該複合材料からなる製品のうち少なくとも1つを反復制御により製造する製造装置が提供される。ここで、製造装置は、上記及び下記の製造制御ユニットを有する。
【0087】
さらに、製造装置は、以下の工程:射出成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、スピニング、あらゆる連続及び非連続製造工程、及び材料配合パラメータ及び工程パラメータが製品の特性に影響を及ぼすあらゆる製造工程、のうち少なくとも1つを実行可能ないかなる装置であってもよい。
【0088】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、製造装置は、材料制御部と、工程制御部とをさらに有し、前記材料制御部は、製造制御ユニットとの協働により、原材料構成成分及び当該構成成分の割合を制御するよう構成され、前記工程制御部は、製造制御ユニットとの協働により、工程パラメータを制御するよう構成されている。
【0089】
すなわち、材料制御部は、製造制御ユニットに代わって、材料組成の選択及び添加に係る役割を請け負い、例えば変換装置の工程制御部は、製造制御ユニットに代わって、工程パラメータの制御を請け負う。これは、製造制御ユニットとの協働によりなされることに留意されたい。つまり、例えば材料制御部及び工程制御部は、指標パラメータを測定または分析するが、正しい補正パラメータを算出するためにそれを製造制御ユニットに与える。さらに、当該補正パラメータが、製造制御ユニットから材料制御部及び工程制御部へと送信される。次いで材料制御部は、新たな補正パラメータに基づいて、添加システムの設定を変更する。工程制御部は、さらに製造または変換工程に係る補正パラメータ、あるいは製造装置に係るいずれかのパラメータを設定する。
【0090】
製造装置は、製造制御ユニットにより制御されるいずれかの種類の添加システム及び製造システムをさらに有してもよく、製造制御ユニットは、開放型複合生産(open compound production)の両システムを組み合わせる。
【0091】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、あらゆる材料を、製品を形成するプラスチック材料に変換するための、製造制御ユニットの使用が提供される。
【0092】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、コンピュータプログラム要素が提供され、当該要素は、汎用コンピュータにおいて使用される際に、当該コンピュータに本方法の工程を実行させるよう構成されていることを特徴とする。
【0093】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、前記コンピュータプログラム要素が記憶されたコンピュータ可読媒体が提供される。
【0094】
したがって、このコンピュータプログラム要素がコンピュータ計算部に記憶されて、これが本発明の実施形態の一部となってもよい。このコンピュータ計算部は、本方法の上記工程を実施するよう、または実施させるよう構成されうる。さらに、上記装置の構成部を操作するよう構成されていてもよい。コンピュータ計算部は、自動で動作するよう、及び/またはユーザーの命令を実行するよう構成することができ、あるいは遠隔で動作してもよい。また、コンピュータ計算部は、ユーザーによる選択を要求して、ユーザーからの入力を処理することができる。
【0095】
本発明のこの実施形態には、全くの初めから本発明を用いるコンピュータプログラムと、アップデートによって既存のプログラムを本発明に基づくプログラムへと変換するコンピュータプログラムとの両方が含まれる。
【0096】
また、本発明の他の例示的な実施形態は、コンピュータプログラム要素をダウンロードにより入手可能とする媒体であってよく、当該コンピュータプログラム要素は、上記実施形態のいずれか1つに記載の方法を実行するよう構成されうる。
【0097】
本発明の別の側面は、材料の情報と、工程の情報と、及び製品の特定の特性を形成する際に両者が相互関連する効果についての情報とが、少なくとも2つの材料からのプラスチック製造が、迅速、効果的、一貫的、安価そして複数使用可能に実行されるような方法によって組み合わされていることであってよい。また、これは遠隔制御されてもよく、これによって1つの製造制御ユニットを用いて複数の製造を制御すること(マルチタスク)ができるようになる。
【0098】
本発明の別の側面は、シュミレーションプログラムが、材料組成物についての指標パラメータ及び/または製品特性について設定された名目パラメータのための工程パラメータを算出することであってよく、当該材料組成物は、少なくとも、複合材料へと変換される1つのポリマーと少なくとも1つのマスターバッチからなる。ここで、あらゆるコンピュータ計算方法及びコンピュータ計算方法のあらゆる組み合わせ−プログラム化された経験的情報、確率的解析(データベース)、物理分析モデル、または詳細な数的シミュレーション−を、指標パラメータの最適な初期設定またはいずれかの指標パラメータの最も効果的な補正を見つけ出すために適用することができる。さらに、シミュレーション方法(プログラム)を、次のステップにおいて、最適化及び/またはインバース・エンジニアリングに係る数的な方法とリンクさせることができる。これらすべてのコンピュータプログラムは、製造制御ユニットと直接的に連係することができ、あるいはコンピュータプログラムは、遠隔で実行することができる。
【0099】
本発明の要旨は、材料についての情報と、製造工程または製造装置についての情報とを組み合わせて、迅速で、効果的で、一貫的で、適合した、または安価な製造工程の制御を達成することとみなしうる。
【0100】
本発明の上記の側面及びさらなる側面、特徴及び効果は、以下に記載する実施形態の例によりもたらされるものであってもよい。以下、実施形態の例を参照することにより本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。