(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フロー方向に沿ってオーバーフロー式、アンダーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板の間隔は、前記フロー方向に沿ってアンダーフロー式、オーバーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板の間隔よりも大きい、請求項2記載の化学反応装置。
前記フロー方向に沿ってアンダーフロー式、オーバーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板の間隔は、前記フロー方向に沿ってオーバーフロー式、アンダーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板の間隔よりも大きい、請求項2記載の化学反応装置。
前記アンダーフロー式の仕切り板の下方側に存在する内容物の流路において、当該アンダーフロー式の仕切り板と前記リアクターの下方側の面との隙間の間隔は一定である、請求項1から請求項5のいずれか記載の化学反応装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による化学反応装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による化学反応装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による化学反応装置は、オーバーフロー式の仕切り板とアンダーフロー式の仕切り板とによって内部が複数の室に分けられたリアクターの内容物に対してマイクロ波を照射するものである。
【0016】
図1は、本実施の形態による化学反応装置1の構成を示す図である。本実施の形態による化学反応装置1は、混合部12と、リアクター13と、マイクロ波発生器14と、導波管15と、マイクロ波制御部16と、触媒分離部17と、処理液貯留槽18とを備える。
【0017】
混合部12は、原料と固体触媒とを混合させる。混合部12は、原料等と反応剤とを混合させてもよい。原料は、複数の物質を含むものであってもよい。例えば、リアクター13においてエステル化を行う場合には、油脂とアルコールが原料であってもよい。その原料と、固体触媒とは、
図1で示されるように、ポンプ11によって混合部12に供給されてもよく、または、他の方法によって混合部12に供給されてもよい。混合部12は、例えば、羽根状の部材や翼状の部材、スクリュー状の部材を回転させることによって、2以上の物質を混合してもよい。なお、本実施の形態では、原料と混合される触媒が固体触媒(不均一系触媒)である場合について説明するが、触媒は液状の触媒(均一系触媒)であってもよい。また、固体触媒は、リアクター13内で流動床を形成してもよく、または、そうでなくてもよい。また、その固体触媒の形状は問わない。固体触媒の形状は、例えば、無定型の粒状、円柱状(中空であってもよく、そうでなくてもよい)、球状、ペレット状、リング状、シェル状等であってもよい。また、その固体触媒は、例えば、マイクロ波吸収性もしくはマイクロ波感受性を有してもよく、または、そうでなくてもよい。固体触媒がマイクロ波吸収性やマイクロ波感受性を有する場合には、後述するリアクター13の内部においてマイクロ波を照射した際に、固体触媒がマイクロ波によって加熱されることになり、その固体触媒近傍での化学反応が促進されることになる。なお、そのマイクロ波吸収性やマイクロ波感受性については、照射されるマイクロ波の周波数やリアクター13の内部の温度等に依存することになる。すなわち、使用するマイクロ波の周波数、及び原料を反応させるリアクター13の内部の温度において、誘電損失係数の高いものがマイクロ波吸収性の高いものとなる。したがって、例えば、そのようなマイクロ波吸収性の高い物質を含む固体触媒を用いるようにしてもよい。例えば、2.45GHzのマイクロ波が照射される場合には、マイクロ波吸収性を有する物質として、フラーレンを除くカーボン類(例えば、グラファイト、カーボンナノチューブ、または活性炭など)や、鉄、ニッケル、コバルト、またはフェライト等がある。したがって、固体触媒は、そのようなマイクロ波吸収性を有する物質を含むものであってもよい。具体的には、固体触媒は、そのようなマイクロ波吸収性やマイクロ波感受性を有する物質と、金属もしくは金属酸化物とを組み合わせたコンポジットであってもよく、そのようなマイクロ波吸収性やマイクロ波感受性を有する物質と、アルカリ触媒もしくは酸触媒等の触媒とを組み合わせたコンポジットであってもよく、または、マイクロ波吸収性やマイクロ波感受性を有する物質と、アルカリ触媒もしくは酸触媒等の触媒と、金属もしくは金属酸化物とを組み合わせたコンポジットであってもよい。そのコンポジット化は、例えば、物理吸着によって行われてもよく、化学結合によって行われてもよく、合金化によって行われてもよく、または、その他の方法によって行われてもよい。また、混合部12において、リアクター13での反応に備えて、予備的な加熱を行ってもよく、または、行わなくてもよい。その予備的な加熱を行う場合には、原料等がリアクター13に入る時点において所望の温度または所望の温度幅の範囲内となるように、混合部12における予備的な加熱の温度が制御されることが好適である。なお、混合部12での予備加熱が行われない場合には、その予備加熱に対応する加熱がリアクター13において行われてもよい。混合部12で混合された原料と固体触媒は、リアクター13に入れられる。
【0018】
リアクター13は、液状の内容物が、上方に未充填空間を有した状態で入れられる水平方向に延びた形状を有する反応器である。そのリアクター13は、フロー式のものである。すなわち、リアクター13は、液状の内容物が、上方に未充填空間を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式の反応器である。なお、内容物の流れる方向は、リアクター13の長さ方向である。
図1で示されるリアクター13では、図中左右方向がリアクター13の長さ方向であり、図中左側から右側に内容物が流れることになる。したがって、内容物は、リアクター13の上流側、すなわち、図中の左側に入れられることになる。リアクター13の内容物は、例えば、原料と触媒との混合物である。そのリアクター13の内部を、混合部12で混合された、原料と触媒とが流れることになる。なお、リアクター13における化学反応によって、原料から生成物が生成されるため、リアクター13の内容物には生成物が含まれていると考えてもよい。すなわち、その内容物は、原料及び/または生成物であると言うこともできる。また、内容物の上方に未充填空間が存在するため、内容物は通常、気体以外のものである。また、内容物は、リアクター13内部において、流動性を有するものであり、また、液面が平らになるものであるため、固体(例えば、粉体や粒状体等)以外のものである。したがって、内容物は、液状のものである。その液状の内容物は、例えば、水や油、水溶液、コロイド溶液等のように、流動性の高いものであってもよく、または、スラリーや懸濁液のように、流動性の低いものであってもよい。なお、リアクター13内部において、内容物の液面は水平であることが好適であるため、液状の内容物は、流動性が低かったとしても、外部から振動を加えることなく、ある程度の時間の経過に応じて液面が水平になる程度の流動性を有していることが好適である。すなわち、液状の内容物は、外部からの振動がなくても、表面が変形しうる程度の流動性を有していることが好適である。なお、液面の水平状態は、完全な平坦であってもよく、または、細かい凹凸があったとしても全体として平坦であるといった程度であってもよい。内容物の流動性が高くない場合には、完全な平坦にならないこともありうるからである。リアクター13の内壁は、マイクロ波を反射する物質で構成されていることが好適である。マイクロ波を反射する物質としては、例えば、ステンレス等の金属がある。このリアクター13の内部の構成については後述する。
【0019】
マイクロ波発生器14は、マイクロ波を発生する。本実施の形態による化学反応装置1は、1個のマイクロ波発生器14を備えていてもよく、または、2個以上のマイクロ波発生器14を備えていてもよい。そのマイクロ波の周波数は限定されるものではないが、例えば、2.45GHzであってもよく、5.8GHzであってもよく、24GHzであってもよく、915MHzであってもよく、その他の300MHzから300GHzの範囲内の周波数であってもよい。なお、化学反応装置1が2個以上のマイクロ波発生器14を備えている場合に、各マイクロ波発生器14の発生するマイクロ波の周波数は、同じであってもよく、または、異なっていてもよい。後者の場合には、例えば、リアクター13のフロー方向における上流側で周波数Aのマイクロ波が照射され、下流側で周波数Bのマイクロ波が照射されるようにしてもよく、または、リアクター13のフロー方向における同じ位置で、周波数A,Bのマイクロ波が照射されるようにしてもよい。なお、周波数Aと、周波数Bとは異なるものとする。
【0020】
導波管15は、マイクロ波発生器14の発生したマイクロ波を、リアクター13の未充填空間に伝送する。導波管15は、
図1で示されるように、マイクロ波発生器14の個数と同じ個数だけ存在してもよい。また、導波管15は、分岐を有し、未充填空間の2以上の位置にマイクロ波を伝送してもよい。なお、導波管15は、マイクロ波発生器14が発生するマイクロ波の周波数に応じた規格のものを使用することが好適である。
【0021】
マイクロ波制御部16は、後述する温度測定部25が測定した温度に応じて、リアクター13に照射するマイクロ波の出力(パワー)を制御する。このマイクロ波制御部16による制御によって、リアクター13の内部を所望の温度または所望の温度幅に維持することが可能となる。
【0022】
触媒分離部17は、リアクター13における反応後の生成物から触媒を分離する。原料と混合された触媒が固体触媒である場合には、例えば、フィルタによって固体触媒を分離してもよく、固体触媒と生成物の一方を沈澱させることによって固体触媒を分離してもよい。また、固体触媒が磁性体を含むものである場合には、磁石によって固体触媒を吸着することによって、固体触媒を分離してもよい。なお、分離された固体触媒は、適宜、再利用することができうる。また、液体の触媒を用いた場合には、触媒分離部17において、蒸留や抽出、中和を行うことによって、触媒を分離してもよい。
【0023】
処理液貯留槽18には、触媒分離部17において触媒の分離された生成物が入れられる。そして、適宜、最終的な製造物と副生成物等に分けられる。例えば、原料が遊離脂肪酸であり、リアクター13においてエステル化が行われた場合には、バイオディーゼル燃料である製造物と、水である副生成物とが得られる。その場合には、酸触媒が用いられる。また、例えば、原料がトリグリセリドであり、リアクター13においてエステル交換が行われた場合には、バイオディーゼル燃料である製造物と、グリセリンである副生成物とが得られる。その場合には、アルカリ触媒が用いられる。
【0024】
なお、リアクター13の後段に、リアクター13での反応後の物質を冷却する図示しない冷却器を備えてもよく、または、そうでなくてもよい。前者の場合には、例えば、その冷却器は、リアクター13での反応後の物質を水冷するものであってもよい。
【0025】
図2Aは、本実施の形態によるリアクター13の内部構造の一例を示す図である。未充填空間22は、リアクター13の長さ方向(
図2Aでは左右方向)の全体に対して存在することが好適であるが、そうでなくてもよい。
図2Aにおいて、リアクター13は、内部が仕切り板41〜43によって複数の室31〜34に仕切られている。その複数の室31〜34は、直列に連続した室である。複数の仕切り板41〜43のうち、仕切り板41,43は、内容物20が上方を通過するオーバーフロー式の仕切り板である。すなわち、仕切り板41,43を介して内容物20が後段の室に移動する際には、内容物20が主に仕切り板41,43の上方を通過することになる。また、仕切り板42は、内容物20が下方を通過するアンダーフロー式の仕切り板である。すなわち、仕切り板42を介して内容物20が後段の室に移動する際には、内容物20が主に仕切り板42の下方を通過することになる。
図2Aのリアクター13では、オーバーフロー式の仕切り板41,43と、アンダーフロー式の仕切り板42とは、内容物20のフロー方向(
図2Aにおける左から右の方向)に沿って交互に配設されている。なお、オーバーフロー式の仕切り板と、アンダーフロー式の仕切り板とが交互に配設されているとは、リアクター13内の複数の仕切り板のうち、少なくとも一部の仕切り板が、そのように配設されていることであってもよい。また、仕切り板41〜43のうち、隣接する2個の仕切り板の間隔は均等となっている。すなわち、仕切り板41,42の間隔と、仕切り板42,43の間隔とは等しくなっている。仕切り板41,43の位置では、内容物20が仕切り板41の上方側を通過し、仕切り板42の位置では、内容物20が仕切り板42の下方側を通過する。したがって、例えば、室32では、上方側から流入した内容物20が、下方側から流出することになり、室32の両側の仕切り板が両方ともオーバーフロー式のものである場合よりも、内容物20の移動経路が長くなる。その結果、リアクター13内での反応が促進され、未反応の内容物20がリアクター13から排出される可能性を低減することができる。
【0026】
リアクター13の内部には、前述のように、上方に未充填空間22が存在する。その未充填空間22に対して、導波管15を介して、マイクロ波発生器14で発生されたマイクロ波が照射される。なお、
図2Aでは、リアクター13内部の未充填空間22が、仕切り板42によって分断されている場合について示しているが、例えば、
図2Bで示されるように、そうでなくてもよい。すなわち、未充填空間22は、すべての室31〜34において共有されていてもよく、または、少なくとも一部の室において共有されていなくてもよい。前者の場合には、リアクター13内に単一の未充填空間が形成されることになり、後者の場合には、リアクター13内に複数の未充填空間が形成されることになる。各導波管15は、各室の中央付近の位置に設けられてもよく、または、そうでなくてもよい。前者の場合には、例えば、一の導波管15によって未充填空間22に伝送されたマイクロ波が、その下方に存在する室に主に照射される。なお、マイクロ波は未充填空間22を伝わるため、例えば、室33の位置の導波管15によって伝送されたマイクロ波が、未充填空間22を介して室34の内容物20にも照射されることになる。なお、導波管15を仕切り板41〜43の位置、すなわち、仕切り板41〜43の上方の位置に設けてもよい。そのようにすることで、一の導波管15によって未充填空間22に伝送されたマイクロ波が、その導波管15に対応する位置の仕切り板で区切られる2個の室に主に照射されることになる。なお、未充填空間22が複数の室で共有されている場合には、その共有されている未充填空間22に伝送されたマイクロ波は、その未充填空間22を共有している複数の室の内容物20に照射されることになる。また、
図2Aでは、室34にはマイクロ波が直接照射されていないが、室34においても、マイクロ波が導波管15を介して照射されるようにしてもよい。
【0027】
仕切り板41〜43は、それぞれ独立して、マイクロ波透過性のものであってもよく、マイクロ波吸収性のものであってもよく、または、マイクロ波を反射するものであってもよい。マイクロ波を透過する材料としては、例えば、テフロン(登録商標)や、石英ガラス、セラミック、窒化珪素アルミナ等がある。したがって、マイクロ波透過性の仕切り板は、そのようなマイクロ波を透過する材料で構成されたものであってもよい。また、マイクロ波を吸収する材料としては、例えば、フラーレンを除くカーボン類等がある。したがって、マイクロ波吸収性の仕切り板は、そのようなマイクロ波を吸収する材料で構成されたものであってもよい。また、マイクロ波を反射する材料としては、例えば、金属がある。したがって、マイクロ波を透過しない仕切り板は、そのようなマイクロ波を反射する材料で構成されたものであってもよい。また、仕切り板は、マイクロ波透過性の材料、マイクロ波吸収性の材料、マイクロ波反射性の材料のうち、任意の2以上の材料の組み合わせによって構成されてもよい。
【0028】
また、
図2Aで示されるように、化学反応装置1は、リアクター13内の内容物20を回転撹拌する1以上の撹拌手段23を有してもよい。
図2Aでは、各室31〜34に撹拌手段23が存在する場合について示しているが、そうでなくてもよい。1以上の室に撹拌手段23が存在しなくてもよい。また、
図2Aでは、撹拌手段23が羽根状のものである場合について示しているが、これは撹拌手段23を模式的に示したものであり、その撹拌は、例えば、羽根状、翼状、または、棒状の回転部材が回転されることによって行われてもよい。その回転部材は、マイクロ波透過性のものであってもよく、マイクロ波吸収性のものであってもよく、マイクロ波反射性のものであってもよく、または、マイクロ波透過性の材料、マイクロ波吸収性の材料、マイクロ波反射性の材料のうち、任意の2以上の材料の組み合わせによって構成されたものであってもよい。その回転は、例えば、シャフトに装着された回転部材がシャフトの回転に応じて回転されることによって行われてもよく、または、マグネティックスターラーのように、磁性を用いて回転部材が回転されてもよい。シャフトを用いる前者の場合には、そのシャフトは室ごとに独立したものであってもよく、または、複数の室において共通して用いられるものであってもよい。磁性を用いる後者の場合には、棒状や羽根状、翼状等の回転部材(磁性撹拌子)が、磁石によって回転されることになる。なお、撹拌手段23による内容物20の撹拌が、内容物20を上流から下流の方向、もしくは、逆の方向に流すために用いられてもよく、または、そうでなくてもよい。なお、回転撹拌については、すでに公知であり、それらの詳細な説明を省略する。
【0029】
ここで、撹拌手段23がリアクター13の内容物20を回転撹拌する理由について簡単に説明する。撹拌手段23が内容物20を撹拌する第1の理由は、マイクロ波によって内容物20が均一に加熱されるようにするためである。内容物20の種類や内容物の温度にも依存するが、あるマイクロ波が浸透する深さは決まっているため、内容物20の全体に均一にマイクロ波が照射され、均一に加熱されるように撹拌することになる。また、未充填空間22における内容物20の表面積が大きくなると、マイクロ波をより効率よく内容物20に照射することができるようになる。したがって、内容物20を撹拌する第2の理由は、マイクロ波の照射面積をより広くするためである。そのため、撹拌手段23による内容物20の撹拌は、未充填空間22における内容物20の表面に波が起こる程度の激しさであることが好適であるが、そうでなくてもよい(第1の理由に応じた撹拌が行われるのであれば、結果として内容物20の全体が加熱され、それで十分である場合もあるからである)。また、このように、撹拌手段23を用いて原料等の撹拌を行うため、原料に密度の異なる2以上の物質が含まれている場合であっても、両者を適切に混合して反応させることができるようになる。例えば、縦型のフロー式のリアクターにおいて、アルコールと廃油のように、密度の違うものを反応させようとしても、両者が容易に分離してしまうことになるが、本実施の形態のように横型のフロー式のリアクター13であって、撹拌手段23が存在する場合には、両者を適切に混合して反応させることができるようになる。
【0030】
また、
図2Aで示されるように、リアクター13は、温度測定部25をも有してもよい。すなわち、本実施の形態による化学反応装置1は、リアクター13の内部の温度を測定する温度測定部25を備えていてもよい。リアクター13の内部の温度は、リアクター13の内容物20の温度であることが好適である。
図2Aでは、各室31〜34に温度測定部25が存在する場合について示しているが、そうでなくてもよい。1以上の室に温度測定部25が存在しなくてもよい。また、
図2Aでは、温度測定部25を模式的に示しているが、温度測定部25は、例えば、熱電対によって温度を測定してもよく、赤外線センサによって温度を測定してもよく、光ファイバーによって温度を測定してもよく、その他の方法によって温度を測定してもよい。温度測定部25が測定した温度(厳密に言えば、温度を示すデータである)は、マイクロ波制御部16に渡され、マイクロ波発生器14によるマイクロ波の出力の制御のために用いられる。その制御は、前述のように、各室31〜34の温度を所望の温度または所望の温度幅に維持するための制御である。例えば、仕切り板41〜43の位置にマイクロ波が照射される場合には、その位置に照射されるマイクロ波の出力の制御を、例えば、マイクロ波が照射される位置の仕切り板で区切られる2個の室の温度のうち、一方を用いて行ってもよく、または、両者を用いて行ってもよい。前者の場合には、例えば、低い方の温度を用いて制御を行ってもよく、高い方の温度を用いて制御を行ってもよく、または、あらかじめ決められた室の温度を用いて制御を行ってもよい。後者の場合には、例えば、両者の平均を用いて制御を行ってもよく、または、両者の室の容量に応じた加重平均(室の容量に応じた重みを考慮した平均)を用いて制御を行ってもよい。
【0031】
次に、仕切り板41〜43について説明する。リアクター13に入った原料等の内容物20は、各室31〜34の間を流通し、最終的に下流(
図2Aのリアクター13の右端)から出力される。なお、その仕切り板41〜43には、内容物が流通する流路が存在する。前述のように、
図2Aのリアクター13の仕切り板41,43では、その流路は、仕切り板41,43の上方におけるオーバーフローの流路であり、仕切り板42では、その流路は、仕切り板42の下方におけるアンダーフローの流路40である。その流路は、内容物20がリアクター13の上流側(
図2Aの左側)から、下流側(
図2Aの右側)に向かって流れていく流路である。なお、
図2Aや
図2Bのリアクター13において内容物20が流れる方向には、厳密には、上下方向もあるが、全体としては左から右の方向であるため、リアクター13において、内容物20が水平方向に流れているということができる。
【0032】
図4A〜
図4Eは、オーバーフロー式の仕切り板41を、リアクター13の長さ方向から見た図である。なお、ここでは、仕切り板41について説明するが、オーバーフロー式の仕切り板43についても同様である。その仕切り板41では、未充填空間22の位置に仕切りが存在せず、その位置(すなわち、仕切り板41の上方)を内容物20が流れることになる。仕切り板41は、オーバーフローの流路において、
図4Aで示されるように、切り込みや切り欠き等の凹形状を有しておらず、リアクター13の幅全体がオーバーフローの流路となってもよく(全幅堰)、または、オーバーフローの流路において、
図4B〜
図4Eのように、凹形状を有していてもよい。その凹形状は、
図4B〜
図4Dの仕切り板41のように、1個であってもよく、または、
図4Eの仕切り板41のように3個であってもよく、または、その他の個数(2個や4個以上)であってもよい。また、その凹形状である流路の形状は、
図4B、
図4Eで示されるようにV字状(くさび形状)であってもよく、
図4Cで示されるように四角形状(矩形状)であってもよく、
図4Dで示されるようにU字形状であってもよく、または、その他の形状(例えば、半円形状、半楕円形状、台形状等)であってもよい。
【0033】
図5A,
図5Bは、アンダーフロー式の仕切り板42を、リアクター13の長さ方向から見た図である。その仕切り板42の下方側には、内容物20の流路40が存在する。その流路40は、
図5Aや
図5Bで示されるように、リアクター13の下方側の面との隙間の間隔が一定であるものであってもよく、またはそうでなくてもよい。前者の場合には、内容物20の流速が最も低い箇所に流路40が存在することになり、その仕切り板42が流出側となる室の内容物20の滞在時間をより長くすることができるようになる。また、その流路40の幅は、
図5Aや
図5Bで示されるように、内容物20の種類等に応じて、任意のものにすることができる。
【0034】
また、
図2B,
図5Cで示されるアンダーフロー式の仕切り板42aのように、仕切り板42aの未充填空間22に相当する箇所に、マイクロ波の通過可能な空間44が存在してもよい。そのような空間44が存在することで、アンダーフロー式の仕切り板42aによって未充填空間22が分断されないようにすることができる。また、そのマイクロ波の通過可能な空間は、
図5Dで示されるアンダーフロー式の仕切り板42bに設けられた、マイクロ波の通過孔45によって実現されてもよい。なお、その空間44や通過孔45は、内容物20が通過できない位置に設けられることが好適である。アンダーフロー式の仕切り板42a,42bに、オーバーフローの流路が形成されないようにするためである。
【0035】
また、リアクター13に複数のオーバーフロー式の仕切り板が存在する場合に、各仕切り板は同じ形状であってもよく、またはそうでなくてもよい。また、リアクター13に複数のアンダーフロー式の仕切り板が存在する場合に、各仕切り板は同じ形状であってもよく、またはそうでなくてもよい。また、仕切り板41〜43の厚さは、例えば、1〜30mm程度であってもよく、またはその他の厚さであってもよい。いずれにしても、各仕切り板41〜43の厚さは、各室31〜34の長さ(リアクター13の長さ方向の長さ)と比較して十分に小さいものである。また、各仕切り板41〜43には、
図4F,
図5Eで示されるように、撹拌手段が有するシャフトが貫通する孔46が設けられていてもよい。そのような孔46が存在する場合であっても、内容物20が、オーバーフローの流路や、アンダーフローの流路40の方を主に流れるようになっていることが好適である。すなわち、孔46とシャフトとの隙間が小さいことが好適である。
【0036】
なお、
図2A,
図2Bのリアクター13では、仕切り板41〜43の間隔が等しくなっているが、そうでなくてもよい。例えば、
図3Aで示されるように、フロー方向に沿ってアンダーフロー式、オーバーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板の間隔が、フロー方向に沿ってオーバーフロー式、アンダーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板の間隔よりも大きくなっていてもよい。ここで、フロー方向とは、内容物20が流れる方向であり、上流側から下流側への向きである。
図3Aでは、図中の右向きが、フロー方向となる。
図3Aにおいて、仕切り板51,53,55は、オーバーフロー式の仕切り板であり、仕切り板52,54,56は、アンダーフロー式の仕切り板である。
図3Aにおいて、フロー方向に沿ってアンダーフロー式、オーバーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板は、例えば、仕切り板52,53、仕切り板54,55である。また、
図3Aにおいて、フロー方向に沿ってオーバーフロー式、アンダーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板は、例えば、仕切り板51,52、仕切り板53,54、仕切り板55,56である。すなわち、仕切り板51,52の間隔、仕切り板53,54の間隔、仕切り板55,56の間隔は、それぞれ仕切り板52,53の間隔、仕切り板54,55の間隔よりも狭くなっている。なお、
図3Aでは、狭い方の間隔、すなわち仕切り板51,52の間隔、仕切り板53,54の間隔、仕切り板55,56の間隔がすべて等しく、広い方の間隔、すなわち仕切り板52,53の間隔、仕切り板54,55の間隔がすべて等しい場合について示しているが、そうでなくてもよい。
【0037】
また、例えば、
図3Bで示されるように、フロー方向に沿ってオーバーフロー式、アンダーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板の間隔が、フロー方向に沿ってアンダーフロー式、オーバーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板の間隔よりも大きくなっていてもよい。
図3Bでも、図中の右向きが、フロー方向となる。
図3Bにおいて、仕切り板61,63,65は、アンダーフロー式の仕切り板であり、仕切り板62,64,66は、オーバーフロー式の仕切り板である。
図3Bにおいて、フロー方向に沿ってオーバーフロー式、アンダーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板は、例えば、仕切り板62,63、仕切り板64,65である。また、
図3Bにおいて、フロー方向に沿ってアンダーフロー式、オーバーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板は、例えば、仕切り板61,62、仕切り板63,64、仕切り板65,66である。すなわち、仕切り板61,62の間隔、仕切り板63,64の間隔、仕切り板65,66の間隔は、それぞれ仕切り板62,63の間隔、仕切り板64,65の間隔よりも狭くなっている。なお、
図3Bでは、狭い方の間隔、すなわち仕切り板61,62の間隔、仕切り板63,64の間隔、仕切り板65,66の間隔がすべて等しく、広い方の間隔、すなわち仕切り板62,63の間隔、仕切り板64,65の間隔がすべて等しい場合について示しているが、そうでなくてもよい。
【0038】
なお、
図3A,
図3Bにおいては、説明の便宜上、撹拌手段23や温度測定部25を省略しているが、リアクター13内に撹拌手段23や温度測定部25が存在してもよいことは言うまでもない。なお、
図3A,
図3Bのリアクター13において、撹拌手段23は、広い方の室71,73,75,77の少なくともいずれかに存在してもよく、広い方の室81,83,85,87の少なくともいずれかに存在してもよい。また、
図3A,
図3Bのリアクター13において、狭い方の室72,74,76,82,84,86には、撹拌手段23が存在しなくてもよい。
図3A,
図3Bのリアクター13の広い方の室では、内容物20が下方側から流入して上方側から流出するか、または、その逆であるため、広い方の室において撹拌を行うことにより、内容物20を効果的に撹拌することができ、内容物20が短絡して流通することを抑制することができる。
【0039】
また、
図3Aのリアクター13では、狭い方の室72,74,76において、下向きに内容物20が流れるため、例えば、リアクター13内を流れる固体触媒の比重が内容物20よりも小さい場合には、流速を調整することにより、その固体触媒が室72等を通過できないようにする、すなわち、その固体触媒が室72等に滞留し、次段の室に移動できないようにすることができる。そのため、固体触媒を継続して使用することができ、新たに投入する固体触媒を低減させたり、なくしたりすることができるようになる。
【0040】
また、
図3Bのリアクター13では、狭い方の室82,84,86において、上向きに内容物20が流れるため、例えば、リアクター13内を流れる固体触媒の比重が内容物20よりも大きい場合には、流速を調整することにより、その固体触媒が室82等を通過できないようにする、すなわち、その固体触媒が室82等に滞留し、次段の室に移動できないようにすることができる。そのため、固体触媒を継続して使用することができ、新たに投入する固体触媒を低減させたり、なくしたりすることができるようになる。
【0041】
また、
図3A,
図3Bのリアクター13においては、室73や室83等のように、広い方の室における内容物20の滞留時間が長く、また撹拌手段23が存在する場合には、より均等にマイクロ波が照射されることになるため、マイクロ波が、その広い方の室に主に照射されるようにしてもよい。そのため、例えば、
図3Aのリアクター13においては、フロー方向に沿ってアンダーフロー式、オーバーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板で区切られる室の略中央に導波管15が位置するようにしてもよい。なお、その略中央は、リアクター13の長さ方向における略中央である。また、例えば、
図3Bのリアクター13においては、フロー方向に沿ってオーバーフロー式、アンダーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板で区切られる室の略中央に導波管15が位置するようにしてもよい。
【0042】
また、
図3A,
図3Bでは、アンダーフロー式の仕切り板の未充填空間22に相当する箇所に、マイクロ波の通過可能な空間が存在しない場合について示しているが、そうでなくてもよい。仕切り板52等は、
図5Cで示される仕切り板42aや、
図5Dで示される仕切り板42bのように、マイクロ波の通過可能な空間を有していてもよい。
【0043】
また、リアクター13には、
図3Aで示される、フロー方向に沿ってアンダーフロー式、オーバーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板の間隔が、フロー方向に沿ってオーバーフロー式、アンダーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板の間隔よりも大きくなっている箇所と、
図3Bで示される、フロー方向に沿ってオーバーフロー式、アンダーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板の間隔が、フロー方向に沿ってアンダーフロー式、オーバーフロー式の順に隣接する2個の仕切り板の間隔よりも大きくなっている箇所との両方が存在してもよい。例えば、リアクター13の上流側が
図3Aで示されるようになっており、下流側が
図3Bで示されるようになっていてもよい。
【0044】
なお、隣接する仕切り板の間隔のうち、狭い方の間隔は特に限定されないが、例えば、2〜30cmの範囲内であってもよい。また、隣接する仕切り板の間隔のうち、広い方の間隔は特に限定されないが、例えば、20〜100cmの範囲内であってもよい。また、その広い方の間隔は、狭い方の間隔の2〜10倍の範囲内であってもよい。
【0045】
なお、本実施の形態による化学反応装置1で行われる反応は特に限定されないが、例えば、エステル化反応や、エステル交換反応、イオン交換反応、アミド化反応、ハロゲン化反応、アミン置換反応であってもよく、その他の置換反応であってもよく、または、付加反応、脱離反応、転位反応等であってもよい。
【0046】
以上のように、本実施の形態による化学反応装置1によれば、オーバーフロー式の仕切り板とアンダーフロー式の仕切り板とが隣接している箇所では、内容物20が、リアクター13の下方から上方に向かって、または、上方から下方に向かって移動することになり、内容物20の移動距離が大きくなる。その結果、内容物20にマイクロ波がより長時間照射されることになり、未反応の物質が出力される可能性を低くすることができる。また、オーバーフロー式の仕切り板とアンダーフロー式の仕切り板とで挟まれている室に撹拌手段が存在する場合には、内容物20が上流側から下流側に流れる際に、その室において、撹拌手段の位置を通過することになり、結果として、内容物20が適切に撹拌されることになり、反応が促進されることになる。
【0047】
なお、本実施の形態では、原料と触媒とを混合する混合部12が存在する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、あらかじめ混合された原料と触媒とを用いる場合や、リアクター13において混合をも行う場合、リアクター13内を流れる固体触媒がリアクター13内に留まっている場合、リアクター13内を流れる固体触媒に代えて固定床の固体触媒を用いる場合、または、触媒を使用しない場合などには、化学反応装置1は、混合部12を備えなくてもよい。なお、固定床の固体触媒を用いる場合には、通常、その固定床の固体触媒はリアクター13の内部に存在することになる。その固定床の固体触媒は、例えば、リアクター13の内壁に貼着されたものであってもよく、または、リアクター13の内部において触媒充填層やカラム等に充填されることによって固定されたものであってもよい。その固体触媒の形状は、例えば、無定型の粒状、円柱状(中空であってもよく、そうでなくてもよい)、球状、ペレット状、リング状、シェル状、ハニカム状、発泡体状、繊維状、布状、板状、または、その他の形状であってもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、リアクター13が、
図2A等で示されるように、直列に連続した4個の室を有する場合等について説明したが、この室の個数は4個や7個に限定されるものではなく、それ以外の個数であってもよい。通常、室の数が多いほど、リアクター13の流入孔から流出孔に対して原料が短絡して流れることを効果的に防止できる。
【0049】
また、本実施の形態では、化学反応装置1が温度測定部25とマイクロ波制御部16とを備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、マイクロ波の出力をあらかじめ決められた値にすることによって、リアクター13の内部の温度を所望の温度や温度幅に維持することができる場合には、温度を用いたマイクロ波の出力の制御を行わなくてもよい。
【0050】
また、本実施の形態では、リアクター13の後段に触媒分離部17を備えた場合について説明したが、そうでなくてもよい。他の装置によって触媒を分離する場合や、リアクター13内を流れる固体触媒がリアクター13内に留まっている場合、リアクター13内を流れる固体触媒に代えて固定床の固体触媒を用いる場合、リアクター13での化学反応に触媒を用いない場合などのように、本実施の形態による化学反応装置1において触媒の分離を行わなくてもよい場合には、触媒分離部17を備えていなくてもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、原料と触媒とが混合されてリアクター13に投入される場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、原料のみがリアクター13に投入されてもよい。また、原料と触媒との混合が行われない場合には、リアクター13の内部を、原料のみが流れてもよい。すなわち、リアクター13の内容物は、例えば、複数の原料の混合物であってもよい。また、原料と触媒との混合が行われない場合であっても、例えば、リアクター13内を流れる固体触媒がリアクター13内に留まっているときには、リアクター13の内部を原料と触媒とが流れてもよい。また、原料と触媒との混合が行われない場合には、混合部12は、例えば、原料を混合させてもよく、または、原料(基質)と反応剤とを混合させてもよい。また、その原料等の混合が必要ない場合には、前述のように、化学反応装置1は、混合部12を備えていなくてもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、リアクター13内の原料を撹拌する1以上の撹拌手段23を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、リアクター13がマイクロ波を原料の全体に容易に照射することができるような構成である場合(例えば、リアクター13の内径が小さい場合等)には、撹拌手段23がなくてもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、化学反応装置1が処理液貯留槽18を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、化学反応装置1から出力された生成物や副生成物が混合したものについて、他の装置において生成物の抽出等が行われてもよい。
【0054】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【解決手段】化学反応装置1は、液状の内容物20が、上方に未充填空間22を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式のリアクター13と、マイクロ波を発生するマイクロ波発生器14と、マイクロ波発生器14の発生したマイクロ波を、リアクター13の未充填空間33に伝送する導波管15とを備え、リアクター13は、内容物20が上方を通過するオーバーフロー式の仕切り板41,43と、内容物20が下方を通過するアンダーフロー式の仕切り板42とによって内部が複数の室31〜34に仕切られている。