特許第5702023号(P5702023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5702023走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡システムの作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5702023
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡システムの作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20150326BHJP
【FI】
   A61B1/00 300P
   A61B1/00 300T
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-517298(P2014-517298)
(86)(22)【出願日】2013年9月27日
(86)【国際出願番号】JP2013076249
(87)【国際公開番号】WO2014065077
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2014年4月14日
(31)【優先権主張番号】特願2012-233022(P2012-233022)
(32)【優先日】2012年10月22日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】酒井 悠次
(72)【発明者】
【氏名】沖田 佳也
【審査官】 小田倉 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−152244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から発せられた照明光を導くファイバと、
前記ファイバの側方に設けられ、印加される正の電圧の値に応じて縮まり前記ファイバを揺動させるための第1のアクチュエータと、
前記ファイバを挟んで前記第1のアクチュエータと対向する位置に配置され、印加される負の電圧の値に応じて縮まり前記ファイバを揺動させるための第2のアクチュエータと、
正の電圧を中心とする波形である前記第1のアクチュエータを駆動するための駆動信号を前記第1のアクチュエータに印加し、かつ、負の電圧を中心とし、前記第1のアクチュエータを駆動するための駆動信号と同位相の波形である前記第2のアクチュエータを駆動するための駆動信号を前記第2のアクチュエータに印加する駆動信号出力部と、
前記駆動信号出力部が印加する前記第1のアクチュエータを駆動するための駆動信号の波形の中心である前記正の電圧と、前記第2のアクチュエータを駆動するための駆動信号の波形の中心である前記負の電圧とのうち少なくとも一方を変更する制御を行なうコントローラと
を有することを特徴とする走査型内視鏡システム。
【請求項2】
前記導光部を経て入射される照明光を集光して被写体へ出射するように構成された集光光学系と、
前記集光光学系の光軸と、前記ファイバの基準位置と、の間のズレを補正するための前記正の電圧の値および前記負の電圧の値の設定値が格納されるメモリと、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の走査型内視鏡システム。
【請求項3】
前記正の電圧の値および前記負の電圧の値の設定値を個別に変化させるための指示を行うことが可能な入力部と、
前記入力部による前記指示に応じて変化された前記正の電圧の値および前記正の電圧の値の設定値が格納されるメモリと、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の走査型内視鏡システム。
【請求項4】
前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータは、前記所定の軸方向に沿った同一の分極方向となるように予め分極処理が施された圧電素子によりそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の走査型内視鏡システム。
【請求項5】
前記被写体へ照射された前記照明光の戻り光を受光する受光部と、
前記受光部において受光された前記戻り光の強度に応じた信号を生成して出力するように構成された光検出部と、
前記光検出部から出力される信号に基づいて前記被写体の画像を生成するように構成された画像生成部と、
をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の走査型内視鏡システム。
【請求項6】
光源から発せられた照明光を導くファイバが導くステップと、
前記ファイバの側方に設けられた第1のアクチュエータが、印加される正の電圧の値に応じて縮まり前記ファイバを揺動させるステップと、
前記ファイバを挟んで前記第1のアクチュエータと対向する位置に配置された第2のアクチュエータが、印加される負の電圧の値に応じて縮まり前記ファイバを揺動させるステップと、
駆動信号出力部が、正の電圧を中心とする波形である前記第1のアクチュエータを駆動するための駆動信号を前記第1のアクチュエータに印加し、かつ、負の電圧を中心とし、前記第1のアクチュエータを駆動するための駆動信号と同位相の波形である前記第2のアクチュエータを駆動するための駆動信号を前記第2のアクチュエータに印加するステップと、
コントローラが、前記駆動信号出力部が印加する前記第1のアクチュエータを駆動するための駆動信号の波形の中心である前記正の電圧と、前記第2のアクチュエータを駆動するための駆動信号の波形の中心である前記負の電圧とのうち少なくとも一方を変更する制御を行なうステップと、
を有することを特徴とする走査型内視鏡システムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡システムの作動方法に関し、特に、被写体を走査して画像を取得する走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡システムの作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野の内視鏡においては、被検者の負担を軽減するために、当該被検者の体腔内に挿入される挿入部を細径化するための種々の技術が提案されている。そして、このような技術の一例として、前述の挿入部に相当する部分に固体撮像素子を有しない走査型内視鏡、及び、当該走査型内視鏡を具備して構成されたシステムが知られている。
【0003】
具体的には、走査型内視鏡を具備するシステムは、例えば、光源部から発せられた照明光を導光する照明用ファイバの先端部を揺動させることにより被写体を予め設定された走査パターンで2次元走査し、当該被写体からの戻り光を照明用ファイバの周囲に配置された受光用ファイバで受光し、当該受光用ファイバで受光された戻り光に基づいて当該被写体の画像を生成するように構成されている。そして、このようなシステムに類似する構成を具備するものとしては、例えば、米国出願公開2008/0218824号に開示された走査ビームシステムが知られている。
【0004】
ところで、前述したような走査型内視鏡によれば、例えば、挿入部の径の細さ等の構造上の理由により、照明用ファイバから出射される照明光の光軸調整が困難である、という問題点が存在している。
【0005】
一方、米国出願公開2008/0218824号には、前述の問題点を解消可能な手法等について特に言及されておらず、すなわち、前述の問題点に応じた課題が依然として存在している。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、走査型内視鏡における光軸調整を簡易に実施することが可能な走査型内視鏡システム及び走査型内視鏡システムの作動方法を提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の走査型内視鏡システムは、光源から発せられた照明光を導くファイバと、前記ファイバの側方に設けられ、印加される正の電圧の値に応じて縮まり前記ファイバを揺動させるための第1のアクチュエータと、前記ファイバを挟んで前記第1のアクチュエータと対向する位置に配置され、印加される負の電圧の値に応じて縮まり前記ファイバを揺動させるための第2のアクチュエータと、正の電圧を中心とする波形である前記第1のアクチュエータを駆動するための駆動信号を前記第1のアクチュエータに印加し、かつ、負の電圧を中心とし、前記第1のアクチュエータを駆動するための駆動信号と同位相の波形である前記第2のアクチュエータを駆動するための駆動信号を前記第2のアクチュエータに印加する駆動信号出力部と、前記駆動信号出力部が印加する前記第1のアクチュエータを駆動するための駆動信号の波形の中心である前記正の電圧と、前記第2のアクチュエータを駆動するための駆動信号の波形の中心である前記負の電圧とのうち少なくとも一方を変更する制御を行なうコントローラとを有する。
【0008】
本発明の一態様の走査型内視鏡システムの作動方法は、光源から発せられた照明光を導くファイバが導くステップと、前記ファイバの側方に設けられた第1のアクチュエータが、印加される正の電圧の値に応じて縮まり前記ファイバを揺動させるステップと、前記ファイバを挟んで前記第1のアクチュエータと対向する位置に配置された第2のアクチュエータが、印加される負の電圧の値に応じて縮まり前記ファイバを揺動させるステップと、駆動信号出力部が、正の電圧を中心とする波形である前記第1のアクチュエータを駆動するための駆動信号を前記第1のアクチュエータに印加し、かつ、負の電圧を中心とし、前記第1のアクチュエータを駆動するための駆動信号と同位相の波形である前記第2のアクチュエータを駆動するための駆動信号を前記第2のアクチュエータに印加するステップと、コントローラが、前記駆動信号出力部が印加する前記第1のアクチュエータを駆動するための駆動信号の波形の中心である前記正の電圧と、前記第2のアクチュエータを駆動するための駆動信号の波形の中心である前記負の電圧とのうち少なくとも一方を変更する制御を行なうステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係る走査型内視鏡システムの要部の構成を示す図。
図2】走査型内視鏡に設けられたアクチュエータ部の構成を説明するための断面図。
図3】走査型内視鏡に設けられたアクチュエータ部の駆動に用いられる第1の駆動信号の波形の一例を示す図。
図4】走査型内視鏡に設けられたアクチュエータ部の駆動に用いられる第2の駆動信号の波形の一例を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0011】
図1から図4は、本発明の実施例に係るものである。図1は、実施例に係る走査型内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【0012】
走査型内視鏡システム1は、例えば図1に示すように、被検者の体腔内に挿入される走査型内視鏡2と、走査型内視鏡2に接続される本体装置3と、本体装置3に接続されるモニタ4と、本体装置3に対する情報の入力及び指示を行うことが可能な入力装置5と、を有して構成されている。なお、入力装置5は、図1に示したような本体装置3とは別体の装置として構成されているものに限らず、例えば、本体装置3と一体化したインターフェースとして構成されていてもよい。
【0013】
走査型内視鏡2は、被検者の体腔内に挿入可能な細長形状及び可撓性を備えて形成された挿入部11を有して構成されている。なお、挿入部11の基端部には、走査型内視鏡2を本体装置3に着脱自在に接続するための図示しないコネクタ等が設けられている。
【0014】
挿入部11の内部における基端部から先端部にかけての部分には、本体装置3の光源ユニット21から供給された照明光を集光光学系14へ導く導光部としての機能を具備する照明用ファイバ12と、被写体からの戻り光を受光して本体装置3の検出ユニット23へ導く受光用ファイバ13と、がそれぞれ挿通されている。
【0015】
照明用ファイバ12の光入射面を含む端部は、本体装置3の内部に設けられた合波器32に配置されている。また、照明用ファイバ12の光出射面を含む端部は、挿入部11の先端部に設けられたレンズ14aの光入射面の近傍において、固定部材等により固定されない状態で配置されている。
【0016】
受光用ファイバ13の光入射面を含む端部は、挿入部11の先端部の先端面における、レンズ14bの光出射面の周囲に固定配置されている。また、受光用ファイバ13の光出射面を含む端部は、本体装置3の内部に設けられた分波器36に配置されている。
【0017】
集光光学系14は、レンズ14a及びレンズ14bを具備し、照明用ファイバ12を経てレンズ14aに入射される照明光を集光し、当該集光された照明光をレンズ14bから被写体へ出射することができるように構成されている。
【0018】
挿入部11の先端部側における照明用ファイバ12の中途部には、本体装置3のドライバユニット22から出力される駆動信号に基づいて駆動するアクチュエータ部15が設けられている。
【0019】
一方、照明用ファイバ12及びアクチュエータ部15は、挿入部11の長手軸方向に垂直な断面において、例えば、図2に示す位置関係を具備するようにそれぞれ配置されている。図2は、走査型内視鏡に設けられたアクチュエータ部の構成を説明するための断面図である。
【0020】
図2に示すように、照明用ファイバ12とアクチュエータ部15との間には、接合部材としてのフェルール41が配置されている。具体的には、フェルール41は、例えば、ジルコニア(セラミック)またはニッケル等により形成されている。
【0021】
フェルール41は、図2に示すように、四角柱として形成されており、X軸方向(紙面の左右方向)に対して垂直な側面42a及び42cと、Y軸方向(紙面の上下方向)に対して垂直な側面42b及び42dとを有する。また、フェルール41の中心には、照明用ファイバ12が固定配置されている。なお、フェルール41は、角柱である限りにおいては、四角柱以外の他の形状として形成されていてもよい。
【0022】
アクチュエータ部15は、図2に示すように、側面42aに沿って配置されたアクチュエータ15aと、側面42bに沿って配置されたアクチュエータ15bと、側面42cに沿って配置されたアクチュエータ15cと、側面42dに沿って配置されたアクチュエータ15dと、を有している。
【0023】
換言すると、光走査部としての機能を具備するアクチュエータ部15は、照明用ファイバ12を挟んでY軸に対向する(あるいはY軸に対称な)位置であるとともにX軸方向に沿って配置された一対のアクチュエータ15a及び15cと、照明用ファイバ12を挟んでX軸に対向する(あるいはX軸に対称な)位置であるとともにY軸方向に沿って配置された一対のアクチュエータ15b及び15dと、を有して構成されている。
【0024】
アクチュエータ15a、15b、15c及び15dは、ドライバユニット22から出力される駆動信号に応じてそれぞれ駆動するように構成されている。
【0025】
アクチュエータ15aは、例えば、分極方向がX軸の負方向(図2の紙面右から左へ向かう方向)に一致するように予め分極処理が施された圧電素子により形成されており、ドライバユニット22から出力される駆動信号に応じ、正の値の電圧が印加された際に(駆動信号の供給に伴って発生する電界の方向が分極方向に対して順方向である場合に)Z軸方向(紙面の法線方向)に沿って収縮するとともに、負の値の電圧が印加された際に(駆動信号の供給に伴って発生する電界の方向が分極方向に対して逆方向である場合に)Z軸方向に沿って伸長するように構成されている。
【0026】
アクチュエータ15bは、例えば、分極方向がY軸の負方向(図2の紙面上から下へ向かう方向)に一致するように予め分極処理が施された圧電素子により形成されており、ドライバユニット22から出力される駆動信号に応じ、正の値の電圧が印加された際にZ軸方向に沿って収縮するとともに、負の値の電圧が印加された際にZ軸方向に沿って伸長するように構成されている。
【0027】
アクチュエータ15cは、例えば、分極方向がX軸の負方向に一致するように予め分極処理が施された圧電素子により形成されており、ドライバユニット22から出力される駆動信号に応じ、負の値の電圧が印加された際にZ軸方向に沿って収縮するとともに、正の値の電圧が印加された際にZ軸方向に沿って伸長するように構成されている。
【0028】
アクチュエータ15dは、例えば、分極方向がY軸の負方向に一致するように予め分極処理が施された圧電素子により形成されており、ドライバユニット22から出力される駆動信号に応じ、負の値の電圧が印加された際にZ軸方向に沿って収縮するとともに、正の値の電圧が印加された際にZ軸方向に沿って伸長するように構成されている。
【0029】
なお、本実施例によれば、前述したような分極方向及び伸縮方向を具備するアクチュエータ15a〜15dを用いてアクチュエータ部15が構成されるものに限らず、他の分極方向及び伸縮方向を具備するアクチュエータ15a〜15dを用いてアクチュエータ部15が構成されてもよい。
【0030】
挿入部11の内部には、走査型内視鏡2の個体識別情報等の種々の情報を含む内視鏡情報が予め格納されたメモリ16が設けられている。そして、メモリ16に格納された内視鏡情報は、走査型内視鏡2と本体装置3とが接続された際に、本体装置3のコントローラ25により読み込まれる。
【0031】
一方、本体装置3は、光源ユニット21と、ドライバユニット22と、検出ユニット23と、メモリ24と、コントローラ25と、を有して構成されている。
【0032】
光源ユニット21は、光源31aと、光源31bと、光源31cと、合波器32と、を有して構成されている。
【0033】
光源31aは、例えばレーザ光源等を具備し、コントローラ25の制御によりオンされた際に、赤色の波長帯域の光(以降、R光とも称する)を合波器32へ出射するように構成されている。
【0034】
光源31bは、例えばレーザ光源等を具備し、コントローラ25の制御によりオンされた際に、緑色の波長帯域の光(以降、G光とも称する)を合波器32へ出射するように構成されている。
【0035】
光源31cは、例えばレーザ光源等を具備し、コントローラ25の制御によりオンされた際に、青色の波長帯域の光(以降、B光とも称する)を合波器32へ出射するように構成されている。
【0036】
合波器32は、光源31aから発せられたR光と、光源31bから発せられたG光と、光源31cから発せられたB光と、を合波して照明用ファイバ12の光入射面に供給できるように構成されている。
【0037】
ドライバユニット22は、駆動信号出力部としての機能を具備し、信号発生器33と、D/A変換器34a及び34bと、アンプ35と、を有して構成されている。
【0038】
信号発生器33は、コントローラ25の制御に基づき、照明用ファイバ12の光出射面を含む端部を揺動させるための駆動信号を生成してD/A変換器34a及び34bに出力するように構成されている。
【0039】
D/A変換器34a及び34bは、信号発生器33から出力されたデジタルの駆動信号をアナログの駆動信号に変換してアンプ35へ出力するように構成されている。
【0040】
アンプ35は、D/A変換器34a及び34bから出力された駆動信号を増幅してアクチュエータ部15へ出力するように構成されている。
【0041】
一方、検出ユニット23は、分波器36と、検出器37a、37b及び37cと、A/D変換器38a、38b及び38cと、を有して構成されている。
【0042】
分波器36は、ダイクロイックミラー等を具備し、受光用ファイバ13の光出射面から出射された戻り光をR(赤)、G(緑)及びB(青)の色成分毎の光に分離して検出器37a、37b及び37cへ出射するように構成されている。
【0043】
検出器37aは、分波器36から出力されるR光の強度を検出し、当該検出したR光の強度に応じたアナログのR信号を生成してA/D変換器38aへ出力するように構成されている。
【0044】
検出器37bは、分波器36から出力されるG光の強度を検出し、当該検出したG光の強度に応じたアナログのG信号を生成してA/D変換器38bへ出力するように構成されている。
【0045】
検出器37cは、分波器36から出力されるB光の強度を検出し、当該検出したB光の強度に応じたアナログのB信号を生成してA/D変換器38cへ出力するように構成されている。
【0046】
A/D変換器38aは、検出器37aから出力されたアナログのR信号をデジタルのR信号に変換してコントローラ25へ出力するように構成されている。
【0047】
A/D変換器38bは、検出器37bから出力されたアナログのG信号をデジタルのG信号に変換してコントローラ25へ出力するように構成されている。
【0048】
A/D変換器38cは、検出器37cから出力されたアナログのB信号をデジタルのB信号に変換してコントローラ25へ出力するように構成されている。
【0049】
メモリ24には、本体装置3の制御を行うための制御プログラム等が予め格納されている。また、メモリ24には、本体装置3のコントローラ25により読み込まれた内視鏡情報が格納される。
【0050】
コントローラ25は、CPU等を具備し、メモリ24に格納された制御プログラムを読み出し、当該読み出した制御プログラムに基づいて光源ユニット21及びドライバユニット22の制御を行うように構成されている。すなわち、光走査部としての機能を具備するアクチュエータ部15は、前述のようなコントローラ25の制御に応じてドライバユニット22から出力される駆動信号に基づき、被写体へ照射される照明光の照射位置が所定の走査パターンに応じた軌跡を描くように照明用ファイバ12を揺動させることができる。
【0051】
コントローラ25は、挿入部11が本体装置3に接続された際にメモリ16から出力される内視鏡情報をメモリ24に格納させるように動作する。
【0052】
コントローラ25は、検出ユニット23から出力されるR信号、G信号及びB信号に基づいて画像を生成し、当該生成した画像をモニタ4に表示させるように構成されている。
【0053】
続いて、以上に述べたような構成を具備する走査型内視鏡システム1の動作等について説明する。
【0054】
まず、ユーザは、走査型内視鏡2及びモニタ4を本体装置3に接続した後、走査型内視鏡システム1の各部の電源を投入する。
【0055】
内視鏡システム1の各部の電源が投入されると、挿入部11のメモリ16に格納された内視鏡情報がコントローラ25により読みこまれ、当該読み込まれた内視鏡情報がメモリ24に格納される。
【0056】
次に、ユーザは、所定のチャート(不図示、以下同様)と挿入部11の先端面とが対向し、かつ、当該所定のチャートにおける所定の位置と集光光学系14の光軸(またはレンズ14bの中心)の位置とが一致するように走査型内視鏡2を配置した後、入力装置5に設けられた所定のスイッチ(不図示、以下同様)をオンにする操作を行うことにより、走査型内視鏡2の光軸調整に係る動作を開始させるための指示を行う。
【0057】
コントローラ25は、入力装置5の所定のスイッチがオンされた際に出力される指示に基づき、光源31a、31b及び光源31cをオフからオンへ切り替える制御を光源ユニット21に対して行うとともに、後述の第1及び第2の駆動信号を信号発生器33から出力させるための制御をドライバユニット22に対して行う。
【0058】
信号発生器33は、コントローラ25の制御に基づき、アクチュエータ15a及び15bを駆動するための駆動信号として、例えば、図3に示すような波形を具備する第1の駆動信号を生成してD/A変換器34aに出力する。図3は、走査型内視鏡に設けられたアクチュエータ部の駆動に用いられる第1の駆動信号の波形の一例を示す図である。
【0059】
具体的には、信号発生器33は、コントローラ25の制御に基づき、例えば、0より大きい正の電圧値VPAを中心として周期的に電圧値が変動する正弦波を第1の駆動信号として生成する(図3参照)。
【0060】
また、信号発生器33は、コントローラ25の制御に基づき、アクチュエータ15c及び15dを駆動するための駆動信号として、例えば、図4に示すような波形を具備する第2の駆動信号を生成してD/A変換器34bに出力する。図4は、走査型内視鏡に設けられたアクチュエータ部の駆動に用いられる第2の駆動信号の波形の一例を示す図である。
【0061】
具体的には、信号発生器33は、コントローラ25の制御に基づき、例えば、0より小さい負の電圧値VNAを中心として周期的に電圧値が変動する正弦波を第2の駆動信号として生成する(図4参照)。
【0062】
なお、本実施例においては、前述の第1及び第2の駆動信号は、互いに同位相の信号として生成されるものとする。
【0063】
信号発生器33により生成された第1の駆動信号は、D/A変換器34a及びアンプ35を経た後、アクチュエータ15a及び15bへ出力される。また、信号発生器33により生成された第2の駆動信号は、D/A変換器34b及びアンプ35を経た後、アクチュエータ15c及び15dへ出力される。そして、図3及び図4に示したような第1及び第2の駆動信号によりアクチュエータ部15が駆動されるに伴い、照明用ファイバ12が円状または楕円状の走査パターンで揺動される。
【0064】
一方、ユーザは、走査型内視鏡2から所定のチャートへ順次照射される照明光の照射位置を目視で観察することにより、当該所定のチャートにおける所定の位置と、当該照明光の照射位置により描かれる円状または楕円状の軌跡における中心の位置と、が一致しているか否かを確認する。
【0065】
その後、ユーザは、所定のチャートにおける所定の位置と、当該所定のチャートへ順次照射される照明光の照射位置により描かれる円状または楕円状の軌跡における中心の位置と、が一致していないことを確認した場合には、(走査型内視鏡2の配置を変えないようにしつつ、)入力装置5に設けられた所定の入力インターフェース(不図示、以下同様)を操作することにより、正の電圧値VPA及び負の電圧値VNAのうちの少なくとも一方を変化させるための指示を行う。
【0066】
一方、コントローラ25は、入力装置5の所定の入力インターフェースからの指示に基づき、第1の駆動信号における正の電圧値VPAと、第2の駆動信号における負の電圧値VNAと、を個別に増加または減少させるための制御をドライバユニット22に対して行う。
【0067】
そして、ユーザは、走査型内視鏡2から所定のチャートへ順次照射される照明光の照射位置を目視で観察しつつ、入力装置5の所定の入力インターフェースを操作することにより、当該所定のチャートにおける所定の位置と、当該照明光の照射位置により描かれる円状または楕円状の軌跡における中心の位置と、が一致していることを確認した場合には、入力装置5の所定のスイッチをオフにする操作を行うことにより、走査型内視鏡2の光軸調整に係る動作を終了させるための指示を行う。
【0068】
コントローラ25は、入力装置5の所定のスイッチがオフされた際に出力される指示に基づき、光源31a、31b及び光源31cをオンからオフへ切り替える制御を光源ユニット21に対して行うとともに、信号発生器33からの第1及び第2の駆動信号の出力を停止させるための制御をドライバユニット22に対して行う。
【0069】
また、コントローラ25は、入力装置5の所定のスイッチがオフされたタイミングにおける正の電圧値VPA及び負の電圧値VNAの設定値を、メモリ16から読み込んだ内視鏡情報に関連付けてメモリ24に格納させる。
【0070】
すなわち、本実施例によれば、例えば、走査型内視鏡2が本体装置3に接続された際にメモリ16から読み込まれたものと同一の内視鏡情報が既にメモリ24に格納されている場合において、当該内視鏡情報に関連付けられた正の電圧値VPAの設定値で第1の駆動信号を出力させるとともに、当該内視鏡情報に関連付けられた負の電圧値VNAの設定値で第2の駆動信号を出力させるような制御をドライバユニット22に対して行うことができる。
【0071】
なお、本実施例によれば、第1のスイッチがオフされたタイミングにおける正の電圧値VPA及び負の電圧値VNAの設定値がメモリ24に格納されるように構成したものに限らず、例えば、当該設定値がメモリ16に格納されるように構成してもよい。そして、このような構成によれば、例えば、走査型内視鏡2が本体装置3に接続された際に、内視鏡情報と、正の電圧値VPA及び負の電圧値VNAの設定値と、が併せてメモリ16から読み込まれることにより、当該読み込まれた正の電圧値VPAの設定値で第1の駆動信号を出力させるとともに、当該読み込まれた負の電圧値VNAの設定値で第2の駆動信号を出力させるような制御を(コントローラ25が)ドライバユニット22に対して行うことができる。
【0072】
すなわち、メモリ16及び(または)メモリ24には、集光光学系14の光軸と、所定の走査パターンに応じて描かれる照明光の照射位置の軌跡の中心となる位置と、の間のずれを補正可能な正の電圧値VPA及び負の電圧値VNAの設定値と、走査型内視鏡2の個体識別情報等の種々の情報を含む内視鏡情報と、が併せて格納される。
【0073】
以上に述べたように、本実施例によれば、正の電圧値VPA及び負の電圧値VNAを調整することにより、所定の走査パターンで被写体を走査する際に中心となる位置(所定の走査パターンに応じて描かれる照明光の照射位置の軌跡の中心となる位置)と、集光光学系14の光軸と、の間のずれを補正することができる。その結果、本実施例によれば、走査型内視鏡における光軸調整を簡易に実施することができる。
【0074】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
【0075】
本出願は、2012年10月22日に日本国に出願された特願2012−233022号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
図1
図2
図3
図4