特許第5702118号(P5702118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アスモ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000002
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000003
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000004
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000005
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000006
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000007
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000008
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000009
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000010
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000011
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000012
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000013
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000014
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000015
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000016
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000017
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000018
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000019
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000020
  • 特許5702118-ロータの構造及びモータ 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5702118
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】ロータの構造及びモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/27 20060101AFI20150326BHJP
【FI】
   H02K1/27 501A
   H02K1/27 501M
   H02K1/27 501K
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2010-258671(P2010-258671)
(22)【出願日】2010年11月19日
(65)【公開番号】特開2012-110181(P2012-110181A)
(43)【公開日】2012年6月7日
【審査請求日】2013年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】山田 洋次
(72)【発明者】
【氏名】加藤 茂昌
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/093865(WO,A1)
【文献】 特開2008−289300(JP,A)
【文献】 特開2007−221877(JP,A)
【文献】 特開2009−201300(JP,A)
【文献】 特開平06−351206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロータコアの周方向に、ステータ側に極が向くように第1磁石が複数配置されるとともに、各第1磁石間に前記第1ロータコアの一体形成された第1突極を極として機能するように構成した第1構成部と、
第2ロータコアの周方向に、前記第1構成部の同極の第1突極と軸方向に並んでステータ側に極が向くように複数の第2磁石が配置されるとともに、各第2磁石間に前記第2ロータコアの一体形成された第2突極を極として機能するように構成された第2構成部と、
前記第1構成部と前記第2構成部とに挟持され、前記第1ロータコアに配置された第1磁石及び第2ロータコアに配置された前記第2磁石よりも内側であって軸方向の両側面が第1及び第2磁石の内側面と直交するように近接配置されるとともに、前記第1ロータコア側をN極で前記第2ロータコア側をS極となるよう軸方向に磁化された環状磁石と
を備え
前記環状磁石の内周側に、前記環状磁石と同方向に磁極を配置した環状の補助磁石を設置し、前記補助磁石の軸方向の長さを前記環状磁石の軸方向の長さよりも長くしたことを特徴とするロータの構造。
【請求項2】
第1ロータコアの周方向に、ステータ側にS極が向くように第1磁石が複数配置されるとともに、各第1磁石間に前記第1ロータコアの一体形成された第1突極をN極として機能するように構成した第1構成部と、
第2ロータコアの周方向に、前記第1構成部の同極の第1突極と軸方向に並んでステータ側にN極が向くように複数の第2磁石が配置されるとともに、各第2磁石間に前記第2ロータコアの一体形成された第2突極をS極として機能するように構成された第2構成部と、
前記第1構成部と前記第2構成部とに挟持され、前記第1ロータコアに配置された第1磁石及び第2ロータコアに配置された前記第2磁石よりも内側であって軸方向の両側面が第1及び第2磁石の内側面と直交するように近接配置されるとともに、前記第1ロータコア側をN極で前記第2ロータコア側をS極となるよう軸方向に磁化された環状磁石と
を備え、
軸方向に並んで配置される前記第1突極と前記第2磁石との間、及び軸方向に並んで配置される前記第1磁石と前記第2突極との間には、前記環状磁石の外周側に設置され前記環状磁石と同方向に磁極を配置した環状の補助磁石を設けたことを特徴とするロータの構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロータの構造において、
前記補助磁石は、前記環状磁石よりも残留磁束密度が低い材質としたことを特徴とするロータの構造。
【請求項4】
第1ロータコアの周方向に、ステータ側にS極が向くように第1磁石が複数配置されるとともに、各第1磁石間に前記第1ロータコアの一体形成された第1突極をN極として機能するように構成した第1構成部と、
第2ロータコアの周方向に、前記第1構成部の同極の第1突極と軸方向に並んでステータ側にN極が向くように複数の第2磁石が配置されるとともに、各第2磁石間に前記第2ロータコアの一体形成された第2突極をS極として機能するように構成された第2構成部と、
前記第1構成部と前記第2構成部とに挟持され、前記第1ロータコアに配置された第1磁石及び第2ロータコアに配置された前記第2磁石よりも内側であって軸方向の両側面が第1及び第2磁石の内側面と直交するように近接配置されるとともに、前記第1ロータコア側をN極で前記第2ロータコア側をS極となるよう軸方向に磁化された環状磁石と
を備え、
前記第1ロータコアに形成した各第1突極の先端には、先細形状の第1凸部が前記第2ロータコアの第2磁石に向かって形成されているとともに、前記第2ロータコアに形成した各第2突極の先端には、先細形状の第2凸部が前記第1ロータコアの第1磁石に向かって形成され、前記各第1及び第2凸部の長さは環状磁石の1/2以上であることを特徴とするロータの構造。
【請求項5】
請求項4に記載のロータの構造において、
前記第1ロータコアに形成された第1突極の先端に設けた第1凸部は、前記第2構成部の第2ロータコアに配置した第2磁石と、一方、前記第2ロータコアに形成された第2突極の先端に設けた第2凸部は、前記第1構成部の第1ロータコアに配置した第1磁石と、それぞれ当接されていることを特徴とするロータの構造。
【請求項6】
第1ロータコアの周方向に、ステータ側にS極が向くように第1磁石が複数配置されるとともに、各第1磁石間に前記第1ロータコアの一体形成された第1突極をN極として機能するように構成した第1構成部と、
第2ロータコアの周方向に、前記第1構成部の同極の第1突極と軸方向に並んでステータ側にN極が向くように複数の第2磁石が配置されるとともに、各第2磁石間に前記第2ロータコアの一体形成された第2突極をS極として機能するように構成された第2構成部と、
前記第1構成部と前記第2構成部とに挟持され、前記第1ロータコアに配置された第1磁石及び第2ロータコアに配置された前記第2磁石よりも内側であって軸方向の両側面が第1及び第2磁石の内側面と直交するように近接配置されるとともに、前記第1ロータコア側をN極で前記第2ロータコア側をS極となるよう軸方向に磁化された環状磁石と
を備え、
前記第1ロータコアに配置した各第1磁石は、前記第2ロータコア側に向かって先細形状に延出形成し、前記第2ロータコアの第2突極に当接させるとともに、前記第2ロータコアに配置した各第2磁石は、前記第1ロータコア側に向かって先細形状に延出形成し前記第1ロータコアの第1突極に当接させることを特徴とするロータの構造。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載のロータを、2組又は3組で構成したことを特徴とするロータの構造。
【請求項8】
第1ロータコアの周方向に、ステータ側に第1の磁極が向くように第1磁石が複数配置されるとともに、各第1磁石間に前記第1ロータコアの一体形成された第1突極を第2の磁極として機能するように構成した第1構成部と、
第2ロータコアの周方向に、前記第1構成部の同極の第1突極と軸方向に並んでステータ側に第2の磁極が向くように複数の第2磁石が配置されるとともに、各第2磁石間に前記第2ロータコアの一体形成された第2突極を第1の磁極として機能するように構成された第2構成部と、
前記第1構成部と前記第2構成部とに挟持され、前記第1ロータコアに配置された第1磁石及び第2ロータコアに配置された前記第2磁石よりも内側であって軸方向の両側面が第1及び第2磁石の内側面と直交するように近接配置されるとともに、前記第1ロータコア側を前記第1突極の第2の磁極と同極で前記第2ロータコア側を前記第2突極の第1の磁極と同極となるよう軸方向に磁化された環状磁石と
を備えたロータを複数組で構成するロータの構造であって、
軸方向に隣り合うロータ間において、両ロータの前記第2構成部が当接するとともに、当接する両第2構成部の前記第2磁石一体として構成されることを特徴とするロータの構造。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載のロータの構造において、
前記環状磁石は、前記第1ロータコアに配置した各第1磁石及び前記第2ロータコアに配置した各第2磁石よりも、保磁力を小さくしたことを特徴とするロータの構造。
【請求項10】
請求項1〜のいずれか1項に記載のロータの構造において、
前記環状磁石は、前記第1ロータコアに配置した各第1磁石及び前記第2ロータコアに配置した各第2磁石よりも、残留磁束密度を高くしたことを特徴とするロータの構造。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のロータの構造において、
前記第1ロータコアに配置した各第1磁石及び前記第2ロータコアに配置した各第2磁石は、2個の永久磁石からなり、磁石極中心軸対称の磁化配向をもつことを特徴とするロータの構造。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のロータの構造において、
前記第1及び第2ロータコアは、前記環状磁石の軸方向に延設される低磁気抵抗部位と径方向に延びる積層鋼板部位とで構成され、内側の回転軸は非磁性体で構成されることを特徴とするロータの構造。
【請求項13】
請求項1に記載のロータの構造において、
前記低磁気抵抗部位は、前記積層鋼板部位よりも軸方向に短く、前記積層鋼板部位が前記低磁気抵抗部位に軸方向にラップするように構成されることを特徴とするロータの構造。
【請求項14】
請求項1〜1のいずれか1項に記載のロータの構造において、
前記第1及び第2ロータコアは、圧粉磁心材料で一体構成されることを特徴とするロータの構造。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のロータを備えたことを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータの構造及びモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータに用いられるロータとして、ロータコアの周方向に永久磁石の一方の磁極が複数配置され、同ロータコアに一体形成された突極が各永久磁石間に配置され、同突極を他方の磁極として機能させるいわゆるコンシクエントポール型構造のロータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このコンシクエントポール型構造のロータは、永久磁石の数を減らせることから、モータのコストダウンを図る上で優れている。反面、各突極の起磁力が永久磁石の起磁力よりも小さくなる。そのため、ステータのティースに対して突極の磁極(例えば、S極)と永久磁石側の磁極(例えばN極)とが与える磁界の強さに差が生じる。その結果、モータは、モータトルクや、トルク脈動等の回転性能が低くなっていた。
【0004】
そこで、ロータコアを2分割し、分割したロータコア間にコイルを巻回して同コイルにて界磁磁束を発生させて各突極の起磁力を大きくしたロータが提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。また、コイルに代えて磁石を設置し各突極の起磁力を大きくしたロータが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−327139号公報
【特許文献2】特開2006−333642号公報
【特許文献3】特開2007−330038号公報
【特許文献4】特開2008−187826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2、3のようなロータでは、界磁磁束をコイルで発生させるために、給電構造が複雑になり、製造するにあたって、多くの工程を経て製造しなければならず、製造時間とコスト的にも問題となっていた。しかも、巻線外周部が大きく開くため、分割したロータコア間のデッドスペースが大きくなり、トルク発生面を有効に利用できない状態であった。
【0007】
また、特許文献4のロータは、コイルの代わりにリング磁石を設置するが、該リング磁石の外径が、外側ロータコアの外径より小さく内側ロータコアの外径とほぼ同じであるため、リング磁石の外径側においてトルクを発生させない軸方向短絡磁束が生じ、磁石磁束が有効に利用できていないという問題があった。
【0008】
そのため、小型高出力化には、ロータ構成の適正化を図ることが課題になっていた。
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、簡単な構成で軸方向の短絡磁束を低減し各突極の起磁力を大きくすることができるロータの構造及びモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、第1ロータコアの周方向に、ステータ側に極が向くように第1磁石が複数配置されるとともに、各第1磁石間に前記第1ロータコアの一体形成された第1突極を極として機能するように構成した第1構成部と、第2ロータコアの周方向に、前記第1構成部の同極の第1突極と軸方向に並んでステータ側に極が向くように複数の第2磁石が配置されるとともに、各第2磁石間に前記第2ロータコアの一体形成された第2突極を極として機能するように構成された第2構成部と、前記第1構成部と前記第2構成部とに挟持され、前記第1ロータコアに配置された第1磁石及び第2ロータコアに配置された前記第2磁石よりも内側であって軸方向の両側面が第1及び第2磁石の内側面と直交するように近接配置されるとともに、前記第1ロータコア側をN極で前記第2ロータコア側をS極となるよう軸方向に磁化された環状磁石とを備え、前記環状磁石の内周側に、前記環状磁石と同方向に磁極を配置した環状の補助磁石を設置し、前記補助磁石の軸方向の長さを前記環状磁石の軸方向の長さよりも長くした。
請求項2に記載の発明は、第1ロータコアの周方向に、ステータ側にS極が向くように第1磁石が複数配置されるとともに、各第1磁石間に前記第1ロータコアの一体形成された第1突極をN極として機能するように構成した第1構成部と、第2ロータコアの周方向に、前記第1構成部の同極の第1突極と軸方向に並んでステータ側にN極が向くように複数の第2磁石が配置されるとともに、各第2磁石間に前記第2ロータコアの一体形成された第2突極をS極として機能するように構成された第2構成部と、前記第1構成部と前記第2構成部とに挟持され、前記第1ロータコアに配置された第1磁石及び第2ロータコアに配置された前記第2磁石よりも内側であって軸方向の両側面が第1及び第2磁石の内側面と直交するように近接配置されるとともに、前記第1ロータコア側をN極で前記第2ロータコア側をS極となるよう軸方向に磁化された環状磁石とを備え、軸方向に並んで配置される前記第1突極と前記第2磁石との間、及び軸方向に並んで配置される前記第1磁石と前記第2突極との間には、前記環状磁石の外周側に設置され前記環状磁石と同方向に磁極を配置した環状の補助磁石を設けた。
請求項4に記載の発明は、第1ロータコアの周方向に、ステータ側にS極が向くように第1磁石が複数配置されるとともに、各第1磁石間に前記第1ロータコアの一体形成された第1突極をN極として機能するように構成した第1構成部と、第2ロータコアの周方向に、前記第1構成部の同極の第1突極と軸方向に並んでステータ側にN極が向くように複数の第2磁石が配置されるとともに、各第2磁石間に前記第2ロータコアの一体形成された第2突極をS極として機能するように構成された第2構成部と、前記第1構成部と前記第2構成部とに挟持され、前記第1ロータコアに配置された第1磁石及び第2ロータコアに配置された前記第2磁石よりも内側であって軸方向の両側面が第1及び第2磁石の内側面と直交するように近接配置されるとともに、前記第1ロータコア側をN極で前記第2ロータコア側をS極となるよう軸方向に磁化された環状磁石とを備え、前記第1ロータコアに形成した各第1突極の先端には、先細形状の第1凸部が前記第2ロータコアの第2磁石に向かって形成されているとともに、前記第2ロータコアに形成した各第2突極の先端には、先細形状の第2凸部が前記第1ロータコアの第1磁石に向かって形成され、前記各第1及び第2凸部の長さは環状磁石の1/2以上である。
請求項6に記載の発明は、第1ロータコアの周方向に、ステータ側にS極が向くように第1磁石が複数配置されるとともに、各第1磁石間に前記第1ロータコアの一体形成された第1突極をN極として機能するように構成した第1構成部と、第2ロータコアの周方向に、前記第1構成部の同極の第1突極と軸方向に並んでステータ側にN極が向くように複数の第2磁石が配置されるとともに、各第2磁石間に前記第2ロータコアの一体形成された第2突極をS極として機能するように構成された第2構成部と、前記第1構成部と前記第2構成部とに挟持され、前記第1ロータコアに配置された第1磁石及び第2ロータコアに配置された前記第2磁石よりも内側であって軸方向の両側面が第1及び第2磁石の内側面と直交するように近接配置されるとともに、前記第1ロータコア側をN極で前記第2ロータコア側をS極となるよう軸方向に磁化された環状磁石とを備え、前記第1ロータコアに配置した各第1磁石は、前記第2ロータコア側に向かって先細形状に延出形成し、前記第2ロータコアの第2突極に当接させるとともに、前記第2ロータコアに配置した各第2磁石は、前記第1ロータコア側に向かって先細形状に延出形成し前記第1ロータコアの第1突極に当接させる。
【0010】
請求項1,2,4,6に記載の発明によれば、環状磁石の内径側及び外径側における短絡磁束が減少し、各第1及び第2突極の起磁力を大きくすることができることから、環状磁石の磁束を有効利用でき、高出力で、トルク脈動の小さいモータを提供できる。しかも、第1ロータコアと第2ロータコアの間に環状磁石を配置しただけの簡単な構成なので、小型で高出力のロータとなる。
【0012】
請求項に記載の発明のように環状磁石の内周側に補助磁石を設けた場合には、環状磁石の内径側を経由する短絡磁束が減少し、磁束を有効利用することで、出力が向上できる。また、請求項2に記載の発明のように環状磁石の外周側に補助磁石を設けた場合には、環状磁石の外径側を経由する短絡磁束が減少し、磁束を有効利用することで、出力が向上できる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のロータの構造において、前記補助磁石は、前記環状磁石よりも残留磁束密度が低い材質とした。
請求項3に記載の発明によれば、安価な残留磁束密度の低い補助磁石を使うことで、補助磁石に起因した漏れ磁束を防止でき、効率的に環状磁石の漏れ磁束を抑制することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、第1及び第2ロータコアの各第1及び第2突極の先端と、第1及び第2ロータコアに設けた相対向する同極の第1及び第2磁石とのデットスペースを小さくでき、各第1及び第2凸部の外周面がロータのトルク発生面として有効利用することができる。また、各第1及び第2凸部を先細形状にして、当接する同極の第1及び第2磁石と隣接する第1及び第2ロータコアの異極の第1及び第2突極とそれぞれ離間するようにしたので、第1及び第2凸部と異極の第1及び第2突極との間で磁束が短絡することはない。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のロータの構造において、前記第1ロータコアに形成された第1突極の先端に設けた第1凸部は、前記第2構成部の第2ロータコアに配置した第2磁石と、一方、前記第2ロータコアに形成された第2突極の先端に設けた第2凸部は、前記第1構成部の第1ロータコアに配置した第1磁石と、それぞれ当接されている。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、第1及び第2凸部を第1及び第2ロータコアの第1及び第2磁石と当接させたので、各第1及び第2凸部の外周面がロータのトルク発生面としてより有効利用することができる。また、各第1及び第2凸部を先細形状にして、当接する同極の第1及び第2磁石と隣接する第1及び第2ロータコアの異極の第1及び第2突極とそれぞれ離間するようにしたので、第1及び第2凸部と異極の第1及び第2突極との間で磁束が短絡することはない。また、第1及び第2凸部が同極の第1及び第2永久磁石に当接すことによって、第1及び第2永久磁石の軸方向の位置決めが容易にできる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、第1及び第2ロータコアの各第1及び第2磁石の先端と、第1及び第2ロータコアに設けた相対向する同極の第1及び第2突極とのデットスペースがなくなり、各第1及び第2磁石凸部の外周面がロータのトルク発生面として有効利用することができる。また、第1及び第2磁石凸部を同極の第1及び第2突極に当接すことによって、第1永久磁石24の軸方向の位置決め容易にできる。
【0020】
しかも、各第1及び第2磁石凸部を先細形状にして、当接する同極の第1及び第2突極と隣接する第1及び第2ロータコアの異極の第1及び第2磁石とそれぞれ離間させたので、第1及び第2磁石凸部と異極の第1及び第2磁石34との間で磁束が短絡することはない。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のロータを、2組又は3組で構成した。
請求項7に記載の発明によれば、複数組にすることにより、より高トルクを発生させるロータにでき、しかも、各ロータは、同じ構造なので、部品点数を減すことができるとともに、製作が容易で、低コスト化が図れる。
請求項8に記載の発明は、第1ロータコアの周方向に、ステータ側に第1の磁極が向くように第1磁石が複数配置されるとともに、各第1磁石間に前記第1ロータコアの一体形成された第1突極を第2の磁極として機能するように構成した第1構成部と、第2ロータコアの周方向に、前記第1構成部の同極の第1突極と軸方向に並んでステータ側に第2の磁極が向くように複数の第2磁石が配置されるとともに、各第2磁石間に前記第2ロータコアの一体形成された第2突極を第1の磁極として機能するように構成された第2構成部と、前記第1構成部と前記第2構成部とに挟持され、前記第1ロータコアに配置された第1磁石及び第2ロータコアに配置された前記第2磁石よりも内側であって軸方向の両側面が第1及び第2磁石の内側面と直交するように近接配置されるとともに、前記第1ロータコア側を前記第1突極の第2の磁極と同極で前記第2ロータコア側を前記第2突極の第1の磁極と同極となるよう軸方向に磁化された環状磁石とを備えたロータを複数組で構成するロータの構造であって、軸方向に隣り合うロータ間において、両ロータの前記第2構成部が当接するとともに、当接する両第2構成部の前記第2磁石が一体として構成される。
請求項8に記載の発明によれば、環状磁石の内径側及び外径側における短絡磁束が減少し、各第1及び第2突極の起磁力を大きくすることができることから、環状磁石の磁束を有効利用でき、高出力で、トルク脈動の小さいモータを提供できる。しかも、第1ロータコアと第2ロータコアの間に環状磁石を配置しただけの簡単な構成なので、小型で高出力のロータとなる。また、第2磁石の数が削減される。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載のロータの構造において、前記環状磁石は、前記第1ロータコアに配置した各第1磁石及び前記第2ロータコアに配置した各第2磁石よりも、保磁力を小さくした。
【0022】
請求項に記載の発明によれば、環状磁石は、第1及び第2磁石に比べてステータからの距離もあり、且つ、第1及び第2ロータコアに囲まれた状態にあり、ステータの磁束による減磁作用の影響を第1及び第2磁石に比べて受けないので、保磁力が小さな安価な磁石で実施できる。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載のロータの構造において、前記環状磁石は、前記第1ロータコアに配置した各第1磁石及び前記第2ロータコアに配置した各第2磁石よりも、残留磁束密度を高くした。
【0024】
請求項10に記載の発明によれば、残留磁束密度が高い環状磁石によって第1の磁極及び第2の磁極として機能する各第1及び第2突極の起磁力をより大きくすることができる。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のずれか1項に記載のロータの構造において、前記第1ロータコアに配置した各第1磁石及び前記第2ロータコアに配置した各第2磁石は、2個の永久磁石からなり、磁石極中心軸対称の磁化配向をもつ。
【0025】
請求項11に記載の発明によれば、それぞれ2個からなる第1及び第2磁石の磁束を、極中央に集中させることができ、出力の向上を図ることできる。
請求項1に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載のロータの構造において、 前記第1及び第2ロータコアは、前記環状磁石の軸方向に延設される低磁気抵抗部位と径方向に延びる積層鋼板部位とで構成され、内側の回転軸は非磁性体で構成される。
【0026】
請求項1に記載の発明によれば、第1及び第2ロータコアの各第1及び第2突極の起磁力を大きくすることができる、環状磁石の磁束を有効利用でき、高出力で、トルク脈動の小さいモータを提供できる。
【0027】
請求項1に記載の発明は、請求項1に記載のロータの構造において、前記低磁気抵抗部位は、前記積層鋼板部位よりも軸方向に短く、前記積層鋼板部位が前記低磁気抵抗部位に軸方向にラップするように構成される。
【0028】
請求項1に記載の発明によれば、第1及び第2ロータコアの各積層鋼板部位が、それぞれ低磁気抵抗部位の軸方向にラップするようしたので、ロータの端部における軸方向の磁気抵抗が高くなり、環状磁石の軸方向へ漏れる磁束を低減できる。
【0029】
請求項1に記載の発明は、請求項1〜1のいずれか1項に記載のロータの構造において、前記第1及び第2ロータコアは、圧粉磁心材料で一体構成される。
請求項1に記載の発明によれば、第1ロータコア及び第2ロータコアの設計の自由度が高く、製造プロセスが非常に簡単になるとともに、第1及び第2ロータコアの磁気抵抗を小さくできる。
【0032】
請求項15に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか1項に記載のロータを備えたモータである。
請求項15に記載の発明によれば、小型でトルク脈動が小さく、しかも、高出力のモータを得ることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、簡単な構成で軸方向の短絡磁束を低減し各突極の起磁力を大きくすることができるロータの構造及びモータを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1実施形態のブラシレスモータの断面図。
図2】同じくロータの斜視図。
図3】同じくロータコアの分解の斜視図。
図4】同じくロータの正面図。
図5】同じくロータコアの断面図。
図6】同じく短絡磁束を説明するための断面図。
図7】第2実施形態のロータの斜視図。
図8】同じくロータコアの分解の斜視図。
図9】同じくロータコアの断面図。
図10】第3実施形態のロータの斜視図。
図11】同じくロータコアの分解の斜視図。
図12】同じくロータコアの断面図。
図13】第4実施形態のロータであって、(a)は第1ロータコアの側面図、(b)は第2ロータコアの側面図。
図14】第5実施形態のロータの斜視図。
図15】同じくロータコアの断面図。
図16】第6実施形態のロータの斜視図。
図17】同じくロータコアの分解の斜視図。
図18】同じくロータコアの断面図。
図19】ステータの別例を示す断面図。
図20】同じくステータの別例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図1図6に従って説明する。
図1に示すように、ブラシレスモータ1のモータケース2は、有底筒状に形成されたケースハウジング3と、同ケースハウジング3のフロント側の開口部を閉塞するフロントブラケット4とを有している。ケースハウジング3の内周面にはステータ5が固定されている。ステータ5のステータコア6は、鋼板よりなるステータコア片(図示略)を複数積層して形成されている。
【0036】
ステータ5の内側には、図1に示すように、ロータ8が配設され、回転軸10に貫挿固着されている。回転軸10は、本実施形態では非磁性体の金属のシャフトであって、ケースハウジング3の底部及びフロントブラケット4に設けられた軸受け11,12により回転可能に支持されている。回転軸10に固着されたロータ8は、コンシクエントポール型構造のロータである。
【0037】
ロータ8は、図2に示すように、軸方向に、第1構成部14と、第2構成部15と、第1構成部14と第2構成部15との間に設けられた環状磁石16(図3及び図5参照)と、環状磁石16の内側に設けた第1補助磁石17(図3及び図5参照)、及び、環状磁石16の外側に設けた第2補助磁石18から構成されている。
【0038】
第1構成部14は、図3に示すように、鋼板よりなるロータコア片20(図1、2、4においては図示略)が複数積層されて形成された第1ロータコア21を有し、回転軸10に固着されている。第1ロータコア21は、円柱状をなし、周方向に、扇状の凹部22が複数個(図2、3では、7個)等角度の間隔で凹設されている。そして、扇状の凹部22を形成することで、凹部22と凹部22の間に形成される複数個(7個)の第1突極23が形成される。
【0039】
第1ロータコア21に形成した各凹部22には、扇形状の第1永久磁石24が嵌合固着されている。各第1永久磁石24は、本実施形態ではフェライト磁石よりなり、磁極が径方向において外側がS極(第1の磁極)、内側がN極(第2の磁極)となるように配置される。従って、各第1永久磁石24間に形成された第1突極23は、磁極がN極(第2の磁極)として機能する。その結果、第1構成部14は、図2図4に示すように、N極とS極が周方向に交互に配置される。
【0040】
第2構成部15は、図3に示すように、鋼板よりなるロータコア片30(図1、2、4においては図示略)が複数積層されて形成された第2ロータコア31を有し、回転軸10に固着されている。第2ロータコア31は、円柱状をなし、周方向に、扇状の凹部32が複数個(図2、3では、7個)等角度の間隔で凹設されている。そして、扇状の凹部32を形成することで、凹部32と凹部32の間に形成される複数個(7個)の第2突極33が形成される。
【0041】
第2ロータコア31に形成した各凹部32には、扇形状の第2永久磁石34が嵌合固着されている。各第2永久磁石34は、本実施形態ではフェライト磁石よりなり、磁極が径方向において外側がN極(第2の磁極)、内側がS極(第1の磁極)となるように配置される。従って、各第2永久磁石34間に形成された第2突極33は、磁極がS極(第1の磁極)として機能する。その結果、第2構成部15は、図2図4に示すように、N極とS極が周方向に交互に配置される。
【0042】
ここで、第1構成部14と第2構成部15の回転軸10を回転中心とする周方向の相対位置は、第1構成部14の磁極と第2構成部15の磁極が軸方向で一致するように、相対配置されている。即ち、第1構成部14の第1永久磁石24と第2構成部15の第2突極33が軸方向で一致し、第1構成部14の第1突極23と第2構成部15の第2永久磁石34が軸方向で一致するようになっている。
【0043】
図3及び図5に示すように、第1構成部14(第1ロータコア21)と第2構成部15(第2ロータコア31)の間には、環状磁石16が挟持されている。環状磁石16は、軸方向の両側面16a、16bが第1及び第2ロータコア21,31の対向面21a,31aの中央部に環状に当接されている。環状磁石16の外周面16cは、第1及び第2ロータコア21,31の凹部22,32の底面22a,32aと一致し、かつ、同一曲面となるように円弧状に形成されている。
【0044】
すなわち、環状磁石16は、第1ロータコア21と第2ロータコア31の間において、第1ロータコア21に配置された第1永久磁石24及び第2ロータコア31に配置された第2永久磁石34よりも内側であって軸方向の両側面16a、16bが第1及び第2磁石24,34の内側面24a,34aと直交するように近接配置されている。
【0045】
環状磁石16は、軸方向に磁化され、第1構成部14(第1ロータコア21)側をN極、第2構成部15(第2ロータコア31)側をS極となるように磁化されている。また、環状磁石16は、本実施形態では希土類磁石よりなり、前記フェライト磁石よりなる第1及び第2永久磁石24,34に比べて残留磁束密度を高くしているとともに、保磁力を小さくしている。
【0046】
環状磁石16の内側には、図3及び図5に示すように、円筒形状の第1補助磁石17が設けられている。第1補助磁石17は、外周面17aが環状磁石16の内周面16dに当接されているとともに、内周面17bが回転軸10に固着されている。第1補助磁石17は、軸方向が環状磁石16よりも長く、第1及び第2ロータコア21,31の対向面21a,31aの軸芯側に形成した環状溝25,35に嵌合固着されている。第1補助磁石17は、軸方向に磁化され、第1構成部14(第1ロータコア21)側をN極、第2構成部15(第2ロータコア31)側をS極となるように磁化されている。また、第1補助磁石17は、本実施形態ではフェライト磁石よりなり、前記希土類磁石よりなる環状磁石16に比べて残留磁束密度を低くしている。
【0047】
これによって、図6に示すように、環状磁石16の内径側における短絡磁束φ1が第1補助磁石17によって減少し、環状磁石16の磁束を有効利用することで、出力が向上できる。
【0048】
しかも、内径側の第1補助磁石17の軸方向の長さを、環状磁石16よりも長くし、第1及び第2ロータコア21,31内まで、第1補助磁石17を配置したことで、内径側の短絡磁束φ1をさらに減少させ、環状磁石16の磁束を出力に有効に作用させることができる。
【0049】
環状磁石16の外側には、同環状磁石16の軸方向の長さが同じに形成されたリング形状の第2補助磁石18が設けられている。第2補助磁石18は、外周面18aが第1構成部14及び第2構成部15の外周面と面一に形成されているとともに、内周面18bが環状磁石16の外周面16cと当接固着されている。第2補助磁石18は、その径方向の長さが、第1及び第2ロータコア21,31の凹部22,32の嵌着した第1及び第2永久磁石24,34の径方向の長さと同じになっている。
【0050】
第2補助磁石18は、軸方向に磁化され、第1構成部14(第1ロータコア21)側をN極、第2構成部15(第2ロータコア31)側をS極となるように磁化されている。また、第2補助磁石18は、本実施形態ではフェライト磁石よりなり、前記希土類磁石よりなる環状磁石16に比べて残留磁束密度を低くしている。
【0051】
これによって、図6に示すように、環状磁石16の外径側における短絡磁束φ2が第2補助磁石18によって減少し、環状磁石16の磁束を有効利用することで、出力が向上できる。
【0052】
次に、上記のように構成した第1実施形態の作用効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、ステータ5側にS極が向くように第1永久磁石24を複数配置するとともに、各第1永久磁石24間に同第1永久磁石24にてN極として機能する第1突極23を形成した第1ロータコア21を設けた。また、第1ロータコア21の同極の第1突極23と軸方向に並んでステータ5側にN極が向くように第2永久磁石34を複数配置するとともに、各第2永久磁石34間に同第2永久磁石24にてS極として機能する第2突極33を形成した第2ロータコア31を設けた。
【0053】
さらに、第1ロータコア21と第2ロータコア31の間において、第1ロータコア21に配置された第1永久磁石24及び第2ロータコア31に配置された第2永久磁石34よりも内側であって軸方向の両側面が第1及び第2磁石の内側面と直交するように環状磁石16を近接配置した。そして、環状磁石16は、軸方向であって、第1永久磁石24のN磁極と第2永久磁石34のS磁極と同極になるように磁化した。
【0054】
従って、環状磁石16の内径側及び外径側における短絡磁束φ1,φ2が減少し、各第1及び第2突極の起磁力を大きくすることができる。その結果、環状磁石16の磁束を有効利用でき、高出力で、トルク脈動の小さいモータを提供できる。
【0055】
しかも、第1ロータコア21と第2ロータコア31の間に環状磁石16を配置しただけの構成なので、小型で高出力のモータに利用されるロータとなる。
(2)上記実施形態によれば、環状磁石16の内側に、第1ロータコア21側をN極に第2ロータコア31側をS極に磁化した第1補助磁石17を設けた。従って、環状磁石16の内径側の第1ロータコア21、回転軸10、第2ロータコア31を経由する短絡磁束φ1がこの第1補助磁石17によって減少し、各第1及び第2突極の起磁力をより大きくすることができる。その結果、環状磁石16の磁束をより有効利用でき、高出力で、トルク脈動の小さいモータを提供できる。
【0056】
また、第1補助磁石17の軸方向の長さを、環状磁石16よりも長くし、第1及び第2ロータコア21,31内まで、第1補助磁石17を配置した。従って、内径側の短絡磁束φ1をさらに減少させることができ、環状磁石16の磁束をさらに有効利用でき、高出力で、トルク脈動の小さいモータを提供できる。
【0057】
さらに、回転軸10は、非磁性体の金属シャフトで形成されているため、内径側の短絡磁束φ1をさらに減少させることができる。
(3)上記実施形態によれば、環状磁石16の外側に、第1ロータコア21側をN極に第2ロータコア31側をS極に磁化した第2補助磁石18を設けた。従って、環状磁石16の外径側の第1ロータコア21、第1永久磁石24(空間又は第2永久磁石)、第2ロータコア31を経由する短絡磁束φ2(トルクを発生させない軸方向短絡磁束)がこの第2補助磁石18によって減少し、各第1及び第2突極の起磁力をより大きくすることができる。その結果、環状磁石16の磁束をより有効利用でき、高出力で、トルク脈動の小さいモータを提供できる。
【0058】
(4)上記実施形態によれば、ロータ8(第1及び第2ロータコア21,31)に14磁極で構成した。即ち、ロータコア8(第1及び第2ロータコア21,31)の極数対が奇数個とした。
【0059】
従って、環状磁石16の磁束は、隣接する第1永久磁石24に対し180度向かい合う第1突極23に流れ、より漏れ磁束を減少させることができる。
(5)上記実施形態によれば、第1及び第2永久磁石24,34はフェライト磁石よりなり、環状磁石16に比べて残留磁束密度が低い希土類磁石を使用した。即ち、環状磁石16は、第1及び第2永久磁石24,34に比べて残留磁束密度が高くなるようにした。
【0060】
従って、残留磁束密度が高い第1及び第2永久磁石24,34によってN極及びS極として機能する各第1及び第2突極の起磁力をより大きくすることができる。その結果、その結果、環状磁石16の磁束をより有効利用でき、高出力で、トルク脈動の小さいモータを提供できる。
【0061】
(6)上記実施形態によれば、また、環状磁石16は、第1及び第2永久磁石24,34に比べて保磁力を小さくした。
つまり、第1及び第2永久磁石24,34は、ステータ5の磁束の受け減磁しないように保磁力の高いものが求められる、環状磁石16は、ステータ5から距離もあり、第1及び第2ロータコア21,31内部に収容されていることから、ステータ5の磁束の影響を受けない。
【0062】
従って、環状磁石16は、第1及び第2永久磁石24,34に比べて保磁力を小さくでき、安価な磁石で実施できる。
(7)上記実施形態によれば、第1及び第2補助磁石17,18はフェライト磁石よりなり、希土類磁石よりなる環状磁石16に比べて残留磁束密度が低い材質の磁石を使用した。
【0063】
つまり、第1及び第2補助磁石17,18が環状磁石16に比べて残留磁束密度が高いと、再び、第1及び第2補助磁石17,18の内周側に漏れ磁束が発生しまい逆効果となる。従って、第1及び第2補助磁石17,18を安価な残留磁束密度が低い材質の磁石を使うことで、効率的に漏れ磁束を抑制することができる。
【0064】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図7図9に従って説明する。
本実施形態は、第1実施形態で示したロータ8の構成が相違する。そのため、説明の便宜上、相違するロータの部分について詳細に説明し、その他、第1実施形態と共通部分は符号を同じにして詳細な説明は省略する。
【0065】
図7、8に示すように、第1構成部14であって、第1ロータコア21の各第1突極23の先端対向面21a側には第1凸部26が、それぞれ第2ロータコア31側に向かって突出形成されている。各第1凸部26は、軸方向からみて、径方向において第2ロータコア31に設けた相対向する第2永久磁石34の外側半分と重なるように突出形成させている。
【0066】
また、各第1凸部26は、先細形状であって、図7に示すように、周方向において両端部から中央側に向かって斜状に突出形成させている。従って、各第1凸部26は、台形状の山形形状となり、その上辺である面26aが第2ロータコア31に設けた相対向する同極の第2永久磁石34とそれぞれ当接するとともに、その同極の第2永久磁石34と隣接する第2ロータコア31の異極の第2突極33とそれぞれ離間するようになっている。
【0067】
一方、第2構成部15であって、第2ロータコア31の各第2突極33の先端対向面31a側には第2凸部36が、それぞれ第1ロータコア21側に向かって突出形成されている。各第2凸部36は、軸方向からみて、径方向において第1ロータコア21に設けた相対向する第1永久磁石24の外側半分と重なるように突出形成させている。
【0068】
また、各第2凸部36は、先細形状であって、図7に示すように、周方向において両端部から中央側に向かって斜状に突出形成させている。従って、各第2凸部36は、台形状の山形形状となり、その上辺である面36aが第1ロータコア21に設けた相対向する同極の第1永久磁石24とそれぞれ当接するとともに、その同極の第1永久磁石24と隣接する第1ロータコア21の異極の第1突極23とそれぞれ離間するようになっている。
【0069】
環状磁石16と、環状に交互に設けられた第1及び第2凸部26,36との間には、図9に示すように、第2補助磁石18が設けられている。本実施形態の第2補助磁石18の外径は、第1及び第2凸部26,36が設けられた分だけ、前記第1実施形態の第2補助磁石18に比べて短くなっている。そのため、第2補助磁石18の外周面18aは、第1及び第2凸部26,36の内側であって第1及び第2凸部26,36の内周面と当接している。
【0070】
次に、上記のように構成した第2実施形態の作用効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、第1ロータコア21の各第1突極23の先端に、相対向する同極の第2ロータコア31の第2永久磁石34と当接する第1凸部26を突出形成した。
【0071】
従って、第1ロータコア21の各第1突極23の先端と、第2ロータコア31に設けた相対向する同極の第2永久磁石34とのデットスペースがなくなり、各第1凸部26の外周面がロータのトルク発生面として有効利用することができる。また、第1凸部26を同極の第2永久磁石34に当接すことによって、第2永久磁石34の軸方向の位置決め容易にできる。
【0072】
しかも、各第1凸部26は、先細形状にし、当接する同極の第2永久磁石34と隣接する第2ロータコア31の異極の第2突極33とそれぞれ離間するようにした。従って、第1凸部26と異極の第2突極33との間で磁束が短絡することはない。
【0073】
(2)上記実施形態によれば、第2ロータコア31の各第2突極33の先端に、相対向する同極の第1ロータコア21の第1永久磁石24と当接する第2凸部36を突出形成した。
【0074】
従って、第2ロータコア31の各第2突極33の先端と、第1ロータコア21に設けた相対向する同極の第1永久磁石24とのデットスペースがなくなり、各第2凸部36の外周面がロータのトルク発生面として有効利用することができる。また、第2凸部36を同極の第1永久磁石24に当接すことによって、第1永久磁石24の軸方向の位置決め容易にできる。
【0075】
しかも、各第2凸部36は、先細形状にし、当接する同極の第1永久磁石24と隣接する第1ロータコア21の異極の第1突極23とそれぞれ離間するようにした。従って、第2凸部36と異極の第1突極23との間で磁束が短絡することはない。
【0076】
(3)また、上記第2実施形態によれば、第1実施形態の作用効果で説明した(1)〜(7)と同様な作用効果を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図10図12に従って説明する。
【0077】
本実施形態は、第1実施形態で示したロータ8の構成が相違する。そのため、説明の便宜上、相違するロータの部分について詳細に説明し、その他、第1実施形態と共通部分は符号を同じにして詳細な説明は省略する。
【0078】
図10図11に示すように、第1構成部14であって、第1ロータコア21の各第1永久磁石24の先端第2ロータコア31側には第1磁石凸部27が、それぞれ第2ロータコア31側に向かって突出形成されている。そして、各第1磁石凸部27は、図12に示すように、第2ロータコア31に形成された相対向する同極の第2突極33と当接するように突出形成させている。
【0079】
また、各第1磁石凸部27は、先細形状であって、図10に示すように、周方向において両端部から中央側に向かって斜状に突出形成させている。従って、各第1磁石凸部27は、台形状の山形形状となり、その上辺である面27aが第2ロータコア31に設けた相対向する同極の第2突極33とそれぞれ当接するとともに、その同極の第2突極33と隣接する第2ロータコア31の異極の第2永久磁石34とそれぞれ離間するようになっている。
【0080】
一方、第2構成部15であって、第2ロータコア31の各第2永久磁石34の先端第1ロータコア21側には第2磁石凸部37が、それぞれ第1ロータコア21側に向かって突出形成されている。そして、各第2磁石凸部37は、図12に示すように、第1ロータコア21に形成された相対向する同極の第1突極23と当接するように突出形成させている。
【0081】
また、各第2磁石凸部37は、先細形状であって、図10に示すように、周方向において両端部から中央側に向かって斜状に突出形成させている。従って、各第2磁石凸部37は、台形状の山形形状となり、その上辺である面37aが第1ロータコア21に設けた相対向する同極の第1突極23とそれぞれ当接するとともに、その同極の第1突極23と隣接する第1ロータコア21の異極の第1永久磁石24とそれぞれ離間するようになっている。
【0082】
次に、上記のように構成した第3実施形態の作用効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、第1ロータコア21の各第1永久磁石24の先端に、相対向する同極の第2ロータコア31の第2突極33と当接する第1磁石凸部27を突出形成した。
【0083】
従って、第1ロータコア21の各第1永久磁石24の先端と、第2ロータコア31に設けた相対向する同極の第2突極33とのデットスペースがなくなり、各第1磁石凸部27の外周面がロータのトルク発生面として有効利用することができる。また、第1磁石凸部27を同極の第2突極33に当接すことによって、第1永久磁石24の軸方向の位置決め容易にできる。
【0084】
しかも、各第1磁石凸部27は、先細形状にし、当接する同極の第2突極33と隣接する第2ロータコア31の異極の第2永久磁石34とそれぞれ離間するようにした。従って、第1磁石凸部27と異極の第2永久磁石34との間で磁束が短絡することはない。
【0085】
(2)上記実施形態によれば、第2ロータコア31の各第2永久磁石34の先端に、相対向する同極の第1ロータコア21の第1突極23と当接する第2磁石凸部37を突出形成した。
【0086】
従って、第2ロータコア31の各第2永久磁石34の先端と、第1ロータコア21に設けた相対向する同極の第1突極23とのデットスペースがなくなり、各第2磁石凸部37の外周面がロータのトルク発生面として有効利用することができる。また、第2磁石凸部37を同極の第1突極23に当接すことによって、第2永久磁石34の軸方向の位置決め容易にできる。
【0087】
しかも、各第2磁石凸部37は、先細形状にし、当接する同極の第1突極23と隣接する第1ロータコア21の異極の第1永久磁石24とそれぞれ離間するようにした。従って、第2磁石凸部37と異極の第1永久磁石24との間で磁束が短絡することはない。
【0088】
(3)また、上記第3実施形態によれば、第1実施形態の作用効果で説明した(1)〜(7)と同様な作用効果を得ることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を図13に従って説明する。
【0089】
本実施形態は、第1実施形態で示したロータ8の構成が相違する。そのため、説明の便宜上、相違するロータの部分について詳細に説明し、その他、第1実施形態と共通部分は符号を同じにして詳細な説明は省略する。
【0090】
図13(a)に示すように、第1構成部14の第1ロータコア21に形成した各凹部22には、それぞれ同一形状の2個の第1永久磁石28a,28bが固着されている。この2個の第1永久磁石28a,28bは、これら第1永久磁石28a,28bの互いの当接面28を磁石極中心軸対称とした磁化配向をもつように着磁されている。
【0091】
一方、図13(b)に示すように、第2構成部15の第2ロータコア31に形成した各凹部32には、それぞれ同一形状の2個の第2永久磁石38a,38bが固着されている。この2個の第2永久磁石38a,38bは、これら第2永久磁石38a,38bの互いの当接面38を磁石極中心軸対称とした磁化配向をもつように着磁されている。
【0092】
次に、上記のように構成した第4実施形態の作用効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、第1ロータコア21に形成した各凹部22に、同一形状の2個の第1永久磁石28a,28bを嵌合固着した。そして、2個の第1永久磁石28a,28bについて、両第1永久磁石28a,28bの当接面28を磁石極中心軸対称とした磁化した。
【0093】
従って、図13(a)に示すように、第1永久磁石28a,28bの磁束φ3a,φ3bが、極中央(当接面28の位置)に集中して、出力の向上を図ることできる。
(2)上記実施形態によれば、第2ロータコア31に形成した各凹部32に、同一形状の2個の第2永久磁石38a,38bを嵌合固着した。そして、2個の第2永久磁石38a,38bについて、両第2永久磁石38a,38bの当接面38を磁石極中心軸対称とした磁化した。
【0094】
従って、図13(b)に示すように、第2永久磁石38a,38bの磁束φ4a,φ4bが、極中央(当接面38の位置)に集中して、出力の向上を図ることできる。
(3)また、上記第4実施形態によれば、第1実施形態の作用効果で説明した(1)〜(7)と同様な作用効果を得ることができる。
【0095】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を図14図15に従って説明する。
本実施形態は、第1実施形態で示したロータ8の構成が相違する。そのため、説明の便宜上、相違するロータコアについて詳細に説明し、その他、第1実施形態と共通部分は符号を同じにして詳細な説明は省略する。
【0096】
図14図15に示すように、本実施形態のロータ40は、第1実施形態のロータ8を2組用意し、これを層構造に、1層目のロータ41と、2層目のロータ42として、互いに重なるようにして回転軸10に固着されている。本実施形態では、1層目のロータ41の第2構成部15と、2層目のロータ42の第2構成部15とが当接するとともに、同極の第2永久磁石34が重なり合うように相対配置される。
【0097】
そして、本実施形態では、ロータ41側の第2永久磁石34とロータ42側の第2永久磁石34を一体化し1つの第2永久磁石34で構成し、軸方向に連なるロータ41側の凹部32とロータ42側の凹部32に対してその1つの第2永久磁石34を嵌着させている。これによって、ロータ41,42よりなるロータ40は、各ロータ41,42の同極の第2永久磁石34が一体として構成されることで、部品点数を減らし、低コスト化が図れる。
【0098】
次に、上記のように構成した第5実施形態の作用効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、2つのロータ41,42を合わせることによって、より高トルクを発生させるロータにできる。しかも、ロータ41,42は、同じ構造なので、部品点数を減すことができるとともに、製作が容易で、低コスト化が図れる。
【0099】
(2)上記実施形態によれば、重なる合うロータ41,42の同極の第2永久磁石34が一体として、1つの第2永久磁石34で兼用できることから、さらに部品点数を減らし、低コスト化が図れる。
【0100】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態を図16図18に従って説明する。
本実施形態は、第1実施形態で示したロータ8とその構成が相違する。そのため、説明の便宜上、相違するロータコアについて説明し、その他、第1実施形態と共通部分は符号を同じにして詳細な説明は省略する。
【0101】
図16図17に示すように、第1ロータコア21は、同第1ロータコア21の対向面21aに円筒形の嵌合凹部51を凹設し、その嵌合凹部51に低磁気抵抗部位52を嵌着させている。ここで、第1ロータコア21は、鋼板よりなるロータコア片20(図18においては図示略)が複数積層されて形成されていることから、嵌合凹部51を凹設した後の形状を、低磁気抵抗部位52に対して積層鋼板部位53という。そして、積層鋼板部位53の嵌合凹部51に低磁気抵抗部位52を嵌着させていることで、第1ロータコア21が形成されることになる。従って、第1ロータコア21(積層鋼板部位53)は、低磁気抵抗部位52を軸方向にラップ(被覆)するようになっている。
【0102】
低磁気抵抗部位52は、同低磁気抵抗部位52をラップした積層鋼板部位53に比べてより磁気抵抗が小さくなっており、第1ロータコア21の反第2ロータコア31側の端部における軸方向の磁気抵抗を高くするように形成している。
【0103】
一方、第2ロータコア31は、同第2ロータコア31の対向面31aに円筒形の嵌合凹部55を凹設し、その嵌合凹部55に低磁気抵抗部位56を嵌着させている。ここで、第2ロータコア31は、鋼板よりなるロータコア片30(図18においては図示略)が複数積層されて形成されていることから、嵌合凹部55を凹設した後の形状を、低磁気抵抗部位56に対して積層鋼板部位57という。そして、積層鋼板部位57の嵌合凹部55に低磁気抵抗部位56を嵌着させていることで、第2ロータコア31が形成されることになる。従って、第2ロータコア31(積層鋼板部位57)は、低磁気抵抗部位56を軸方向にラップ(被覆)するようになっている。
【0104】
低磁気抵抗部位56は、同低磁気抵抗部位56をラップした積層鋼板部位57に較べて磁気抵抗が小さくなっており、第2ロータコア31の反第1ロータコア21側の端部における軸方向の磁気抵抗を高くするように形成している。
【0105】
次に、上記のように構成した第6実施形態の作用効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、第1ロータコア21は、積層鋼板部位53に嵌合凹部51を凹設し、その嵌合凹部51に積層鋼板部位53に較べて磁気抵抗が小さい低磁気抵抗部位52を嵌着させた。そして、積層鋼板部位53は、低磁気抵抗部位52を軸方向にラップ(被覆)するようにした。
【0106】
一方、同様に、第2ロータコア31は、積層鋼板部位57に嵌合凹部55を凹設し、その嵌合凹部55に積層鋼板部位57に較べて磁気抵抗が小さい低磁気抵抗部位56を嵌着させた。そして、積層鋼板部位57は、低磁気抵抗部位56を軸方向にラップ(被覆)するようにした。
【0107】
従って、図18に示すように、第1及び第2ロータコア21,31の積層鋼板部位53,57が、低磁気抵抗部位52,56の軸方向にラップするように構成されることで、ロータ8の端部における軸方向の磁気抵抗が高くなり、環状磁石16の軸方向へ漏れる磁束を低減できる。
【0108】
さらに、第1及び第2永久磁石24,34によって第1及び第2突極23,33に導かれる磁石磁束は、第1及び第2突極23,33に径方向に導く強制力がないため、ロータ8の軸方向端部において軸方向に逃げる漏れ磁束が生じやすくなる。しかし、本実施形態では、積層鋼板部位53,57によってロータ8の端部における軸方向の磁気抵抗が高くなることで、軸方向への漏れ磁束を抑制できる。
【0109】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記第1〜第6実施形態では、第1補助磁石17を設けたが、この第1補助磁石17を省略してもよい。この場合、環状磁石16が回転軸10まで達し、第1及び第2ロータコア21,31に形成した環状溝25,35が省略されることになる。
【0110】
・上記第1〜第6実施形態では、第1補助磁石17の軸方向の長さを、環状磁石16より長くしたが、同じ長さで実施してもよい。この場合、第1及び第2ロータコア21,31に形成した環状溝25,35が省略されることになる。
【0111】
・上記第1、第2、第4〜第6実施形態では、第2補助磁石18を設けたが、この第2補助磁石18を省略してもよい。このとき、併せて、第1補助磁石17を省略して実施してもよいことは勿論である。
【0112】
・上記第3実施形態では、第2補助磁石18を設けていなかったが、第2補助磁石18を設けて実施してもよい。この場合、第1磁石凸部27及び第2磁石凸部37の内径(回転軸10の中心軸線Cから内周面までの長さ)を長くするか、環状磁石16の外径を短くする必要がある。
【0113】
・上記第2実施形態では、各第1凸部26及び第2凸部36は、軸方向からみて、相対向する第2及び第1永久磁石34,24の外側半分と重なるように突出形成さていたが、軸方向からみて、径方向に第2及び第1永久磁石34,24の全体と重なるようにして実施してもよい。
【0114】
・上記第2実施形態では、第1凸部26及び第2凸部36を、それぞれ対向する第1及び第2永久磁石24,34に当接させた。これを、第1及び第2永久磁石24,34に当接させなくてもよく、第1凸部26及び第2凸部36の突出長さを、少なくとも環状磁石16の軸方向の長さの1/2以上突出させて実施してもよい。
【0115】
・上記第2実施形態では、第1凸部26及び第2凸部36を設けたが、これをいずれか一方を省略して実施してもよい。
・上記第3実施形態では、第1磁石凸部27及び第2磁石凸部37を、それぞれ対向する第1及び第2突極23,33に当接させた。これを、第1及び第2突極23,33に当接させなくてもよく、第1磁石凸部27及び第2磁石凸部37の突出長さを、少なくとも環状磁石16の軸方向の長さの1/2以上突出させて実施してもよい。
【0116】
・上記第3実施形態において、第1磁石凸部27又は第2磁石凸部37を設けたが、これをいずれか一方を省略して実施してもよい。
・上記第2実施形態と第3実施形態を合わせた構成で実施してもよい。つまり、第1及び第2凸部26,36と第1及び第2磁極凸部27,37をそれぞれ軸方向において、環状磁石16の軸方向の長さの1/2にして第1及び第2ロータコア21,31の中間位置で、第1及び第2凸部26,36と第1及び第2磁極凸部27,37を当接させる。
【0117】
・上記第5実施形態では、第1実施形態のロータ8を2組用意し、これを層構造に、1層目のロータ41と、2層目のロータ42として、互いに重ねて1つのロータ40を構成した。これを、ロータ8を3組用意し、3層構造にして実施してもよい。
【0118】
この場合、例えば、図14において、2層目のロータ42と重なる3層目のロータは、2層目のロータ42側に第1構成部14(第1ロータコア21)が当接するとともに、同極の第1永久磁石24同士が重なり合うように相対配置される。このとき、重なり合う同極の第1永久磁石24は1つの永久磁石で構成される。従って、部品点数を減らし、低コスト化が図れる。
【0119】
・上記第5実施形態では、第1実施形態のロータ8を使ってロータ40を構成したが、第1実施形態以外の上記各実施形態及び各別例で示したロータを使用して実施してもよい。
【0120】
・上記第5実施形態では、重なる合うロータ41,42の同極の第2永久磁石34を一体化して1つの第2永久磁石34で兼用したが、それぞれ、別々の第2永久磁石34を使用して実施することは勿論可能である。
【0121】
・上記各実施形態では、ステータ5について特に限定していなかったが、上記各実施形態のロータは、種々のステータに対応でき、例えば、図19に示す、分布巻きのSC巻線のステータ60や、図20に示す、集中巻きのステータ61に具体化し、小型で高出力が得られるモータに応用してもよい。
【0122】
・上記各実施形態では、ロータ8はSPM(Surface Permanent Magnet Motor)型のロータに具体化したが、図20に示すように、IPM(Interior Permanent magnet Motor)のロータ63に具体化し、小型で高出力が得られるモータに応用してもよい。
【0123】
・上記第6実施形態では、積層鋼板部位53,57は、低磁気抵抗部位52,56を軸方向にラップ(被覆)するようにした。これを、積層鋼板部位53,57を円筒状に形成し、低磁気抵抗部位52,56のロータ8の端部側が露出させるようにして実施してもよい。この場合でも第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0124】
・上記第6実施形態において、上記第2実施形態の第1凸部26及び第2凸部36を設けたり、上記第3実施形態の第1磁石凸部27及び第2磁石凸部37を設けて実施してもよい。
【0125】
・上記第1〜第6実施形態では、第1ロータコア21及び第2ロータコア31を、鋼板よりなるロータコア片20,30を積層して形成した。これを、圧粉磁心材料で形成してもよい。例えば、鉄粉等の磁性粉末と樹脂等の絶縁物を混ぜて金型で加熱プレス成形して第1ロータコア21及び第2ロータコア31を作るようにする。
【0126】
この場合、第1ロータコア21及び第2ロータコア31の設計の自由度が高く、製造プロセスが非常に簡単になるとともに、第1ロータコア21及び第2ロータコア31の磁気抵抗を小さくできる。
【0127】
・上記第1〜第6実施形態では、磁極が14磁極であったが、これに限定されるものでなく、磁極の数を適宜変更して実施してもよい。勿論、極数対が奇数個でなく、偶数個にであってもよい。
【0128】
・上記第1〜第6実施形態では、第1の磁極をS極、第2の磁極をN極としたが、逆の第1の磁極をN極、第2の磁極をS極として実施してもよい。
【符号の説明】
【0129】
1…ブラシレスモータ、2…モータケース、3…ケースハウジング、4…フロントブラケット、5…ステータ、6…ステータコア、8…ロータ、11,12…軸受け、14…第1構成部、15…第2構成部、16…環状磁石、16a,16b…側面、16c,17a,18a…外周面、16d,17b,18b…内周面、17…第1補助磁石(補助磁石)、18…第2補助磁石(補助磁石)、20…第1ロータコア片、21…第1ロータコア、21a…対向面、22…凹部、23…第1突極、24,28a,28b…第1永久磁石(第1磁石)、25…環状溝、26…第1凸部、26a,27a…面、27…第1磁石凸部、30…第2ロータコア片、31…第2ロータコア、31a…対向面、31a…対向面、32…凹部、33…第2突極、34,38a,38b…第2永久磁石(第2磁石)、35…環状溝、36…第2凸部、37…第2磁石凸部、37a…面、40,41,42…ロータ、51…嵌合凹部、52…低磁気抵抗部位、53…積層鋼板部位、55…嵌合凹部、56…低磁気抵抗部位、57…積層鋼板部位、φ1,φ2,φ3a,φ3b,φ4a,φ4b…磁束。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20