(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1凸状部が前記陽極給電体を前記陰極給電体側に突出させると共に、前記第2凸状部が前記陰極給電体を前記陽極給電体側に突出させることによって、前記陽極給電体と前記陰極給電体と前記隔膜とが同じ波形の形状に矯正される請求項3記載の電解水生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の電解水生成装置1の概略構成を示している。電解水生成装置1は、家庭の飲料用及び料理用の水の生成や血液透析の透析液の生成に用いられてもよい。
【0016】
電解水生成装置1は、電気分解される水が流入する電解室2が形成された電解槽3と、電解室2内で、互いに対向して配置された陽極給電体4及び陰極給電体5と、陽極給電体4と陰極給電体5との間に配された隔膜6とを備えている。隔膜6は、電解室2を陽極給電体4側の陽極室2Aと、陰極給電体5側の陰極室2Bとに区分する。隔膜6は、電気分解で生じたイオンを通過させ、隔膜6を介して陽極給電体4と、陰極給電体5とが電気的に接続される。陽極給電体4と陰極給電体5との間に電圧が印加されると、電解室2内で水が電気分解され、電解水が得られる。
【0017】
電解水生成装置1は、電源部11と、極性切替部12と、電流計13と、流量計14と、流量制御弁15a及び15bと、流路切替弁16a及び16bと、制御部17を備えている。
【0018】
電源部11は、プラグ11aを介して商用交流電源に接続され、制御部17から入力された制御信号に応じて、陽極給電体4及び陰極給電体5に直流電圧を印加する。極性切替部12は、制御部17から入力された制御信号に応じて、陽極給電体4及び陰極給電体5に印加する直流電圧の極性を切り替える。極性切替部12が、陽極給電体4及び陰極給電体5に印加する直流電圧の極性を切り替えることにより、
図1中の陽極給電体4と陰極給電体5の極性が相互に入れ替わり、これに伴い、陽極室2Aと陰極室2Bとが相互に入れ替わる(以下、
図2以降においても同様である)。極性切替部12が、所定時間、所定流量又は所定の動作毎に給電体4、5の極性を切り替えることにより、陰極側の給電体にスケールが付着し続けることが防止される。電流計13は、電源部11、極性切替部12、陽極給電体4及び陰極給電体5等によって構成される回路を流れる電流を検知して、対応する信号を制御部17に出力する。
【0019】
流量計14は、給水路18に設けられ、電解水生成装置1に流入する水量を検知して、制御部17に出力する。給水路18には、浄化された水が供給される。流量計14の下流に設けられた給水路18は、第1給水路18a及び第2給水路18bに分岐する。
【0020】
流量制御弁15aは、第1給水路18aに設けられ、電解室2に流入する水量を制御する。流量制御弁15bは、排水路20に設けられ、電解室2から流出する水量を制御する。流量制御弁15a及び15bが陽極室2A又は陰極室2Bを流入出する水量を制限することにより、陽極室2Aを流入出する水量と陰極室2Bを流入出する水量との間に差が生ずる。これにより、排水路20から排出される排水を減らして、水の有効利用を図ることができる。陽極室2Aを流入出する水量と陰極室2Bを流入出する水量との比は、固定されてもよいし、手動又は制御部17の制御によって適宜変更可能に構成されていてもよい。陽極室2Aを流入出する水量と陰極室2Bを流入出する水量との比を変更することにより、陽極室2Aと陰極室2Bとの間で圧力差が生ずる場合がある。
【0021】
流路切替弁16aは、制御部17から入力された制御信号に応じて、第1給水路18a及び第2給水路18bと陽極室2A及び陰極室2Bとの接続を切り替える。流路切替弁16bは、制御部17から入力された制御信号に応じて、陽極室2A及び陰極室2Bと、送水路19及び排水路20との接続を切り替える。流路切替弁16aと流路切替弁16bとは、例えばモーター(図示せず)によって駆動される。送水路19は、陰極室2Bで生成された電解水素水を送出する。
【0022】
制御部17は、各部の制御を司る。例えば、制御部17は、電流計13から入力される信号に基づいて、電源部11の出力をフィードバック制御する。
【0023】
さらに、制御部17は、時間を計数し、所定時間が経過する毎に、極性切替部12及び流路切替弁16a及び16bの切替動作を制御する。極性切替部12及び流路切替弁16a及び16bの切替動作の制御は、上記時間によって管理する形態に替えて、又は上記時間によって管理する形態に加えて、送水路19から送水される水量によって管理する形態であってもよい。この場合、制御部17は、流量計14から入力される信号に基づいて、送水路19から送水される水量を積算し、所定水量が送水される毎に、極性切替部12及び流路切替弁16a及び16bの切替動作を制御するものであってもよい。さらに、極性切替部12及び流路切替弁16a及び16bの切替動作の制御は、所定の動作が行なわれる毎になされるものであってもよい。
【0024】
制御部17による管理の下で、極性切替部12及び流路切替弁16a及び16bが同期して動作することにより、送水路19から常に陰極室2Bで生成された電解水素水が送出され、排水路20から常に陽極室2Aで生成された酸性水が送出される。なお、陽極室2Aで生成された酸性水を送水路19から送水させる場合は、流路切替弁16bの動作を反転させればよい。この場合、送水路19から陽極室2Aで生成された酸性水が送出され、排水路20から陰極室2Bで生成された電解水素水が送出される。
【0025】
図2は、電解槽3の構造を示している。
図3は、電解槽3の組立て斜視図である。電解槽3は、陽極給電体4側の第1ケース片3Aと、陰極給電体5側の第2ケース片3Bとを有している。互いに対向して配置された第1ケース片3Aと第2ケース片3Bとが固着されることにより、その内部に電解室2が形成される。
【0026】
陽極給電体4及び陰極給電体5の外周縁の外側には、第1ケース片3Aと第2ケース片3Bとの合わせ面からの水漏れを防止するための封止部材3Cが設けられている。隔膜6の外周部は、封止部材3Cによって挟持されている。
【0027】
図3に示されるように、電解槽3は、電解室2内に、陽極給電体4、隔膜6及び陰極給電体5が重ねられてなる積層体10を収容している。本実施形態では、隔膜6として、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系の樹脂材料からなる固体高分子膜6aが用いられている。固体高分子膜6aの両面には、白金からなるめっき層6bが形成されている。固体高分子膜6aを隔膜6に用いた電解槽3では、隔膜6の陽極側と陰極側とで以下に示される反応が生ずる。
陽極側 : 6H
2O → 4H
3O
+ + O
2 + 4e
−
陰極側 : 4H
3O
+ + 4e
− → 2H
2 + 4H
2O
このとき、陽極側で生じたオキソニウムイオン4H
3O
+は、固体高分子膜6aを通過して陰極側に移動し、電子4e
−と結合して、水素分子2H
2が発生する。陰極側にて生じた水素分子H
2は、陰極室2B内の水に溶け込み、電解水素水を構成する。陰極室2Bで生じた電解水素水は、送水路19を介して送水される。一方、陽極室2Aで生じた酸性水は、排水路20を介して排出される。
【0028】
隔膜6は、電解室2内で、陽極給電体4及び陰極給電体5によって挟持されている。従って、隔膜6の形状は陽極給電体4及び陰極給電体5によって保持されている。このような、隔膜6の保持構造を有する本実施形態によれば、電解槽3の陽極室2Aと陰極室2Bとの間に生ずる圧力差に起因する応力の大部分は、陽極給電体4及び陰極給電体5によって負担され、隔膜6にかかる応力は減少する。これにより、陽極室2Aと陰極室2Bとの間で大きな圧力差が生ずる状態で電解水生成装置1を動作させても、隔膜6には大きな応力が生じない。従って、水の利用効率を高めることが可能となる。また、隔膜6が陽極給電体4及び陰極給電体5で挟持されているので、隔膜6のめっき層6bと陽極給電体4との間及び隔膜6のめっき層6bと陰極給電体5との間での接触抵抗が減少し、電圧降下が抑制される。これにより、電解室2内での電気分解が促進され、高い溶存水素濃度の電解水素水が生成可能となる。
【0029】
図4は、
図2で示される電解槽3のA−A線断面を示している。
図4に示されるように、陽極給電体4は、第1ケース片3Aと第2ケース片3Bとによって矯正されることにより、波形に形成されている。このような波板状の陽極給電体4は、大きな曲げ剛性を有しているので、隔膜6を介して陽極給電体4が電解室2内での圧力差により大きな応力を受けても、その変形が抑制され、隔膜6の損傷が抑制される。
【0030】
隔膜6は、陽極給電体4に沿って波形に形成されている。すなわち、陽極給電体4と隔膜6とは、同振幅、同波長かつ同位相の波形に形成されている。これにより、隔膜6と陽極給電体4との間の接触抵抗が小さくなることから、隔膜6と陽極給電体4との間の導通が良好となり、電解室2内での電気分解が促進される。
【0031】
陰極給電体5は、第1ケース片3Aと第2ケース片3Bとによって矯正されることにより、波形に形成されている。すなわち、陰極給電体5と隔膜6とは、同振幅、同波長かつ同位相の波形に形成されている。このような波板状の陰極給電体5は、大きな曲げ剛性を有しているので、隔膜6を介して陰極給電体5が電解室2内での圧力差により大きな応力を受けても、その変形が抑制され、隔膜6の損傷が抑制される。また、隔膜6と陰極給電体5との間の接触抵抗が小さくなることから、隔膜6と陰極給電体5との間の導通が良好となり、電解室2内での電気分解が促進される。
【0032】
本実施形態では、陽極給電体4、隔膜6及び陰極給電体5が、それぞれ対応する波形に形成されている。従って、極性切替部12が給電体の極性を反転させた場合であっても、隔膜6は、少なくとも一方の給電体によって保持されるので、電解槽3の陽極室2Aと陰極室2Bとの間で大きな圧力差が生じても、隔膜6の変形が抑制され、隔膜6の損傷が抑制される。
【0033】
陽極給電体4及び陰極給電体5は、それぞれ、その板厚方向で水が行き来可能に構成されている。本実施形態では、
図3によく示されるように、陽極給電体4及び陰極給電体5の各々は、第1網状給電体7と第2網状給電体8とを含む。このような、網状の陽極給電体4及び陰極給電体5は、隔膜6を挟持しながら、隔膜6の表面に水を行き渡らせることができ、電解室2内での電気分解を促進する。
【0034】
第1網状給電体7と第2網状給電体8とは、互いに重ねられた状態で、電解室2に収容されている。隔膜6と、隔膜6を挟んで設けられた一対の第2網状給電体8及び一対の第1網状給電体7とによって、積層体10が構成される。第1網状給電体7には、電解槽3の外部に突出する端子7aが設けられている。第2網状給電体8は、隔膜6の側に配されている。端子7aを介して、陽極給電体4及び陰極給電体5に直流電圧が印加される。
【0035】
図5は、電解室2に収容される前の第1網状給電体7及び第2網状給電体8を拡大して示している。本実施形態の第1網状給電体7及び第2網状給電体8は、エクスパンドメタルによって構成されている。第1網状給電体7及び第2網状給電体8は、織金網等によって構成されていてもよい。
【0036】
第1網状給電体7及び第2網状給電体8は、例えば、チタニウムからなり、その表面には白金からなるめっき層(図示せず)が形成されている。めっき層は、チタニウムの酸化を防止する。
【0037】
第2網状給電体8の曲げ剛性は、第1網状給電体7の曲げ剛性よりも小さく設定されている。より具体的には、第2網状給電体8のストランド幅S2は、第1網状給電体7のストランド幅S1よりも小さく設定されている。このような第1網状給電体7は、隔膜6と共に柔軟に変形可能であり、隔膜6の損傷を抑制する。
【0038】
さらに、第2網状給電体8のピッチP2は、第1網状給電体7のピッチP1よりも小さく設定されている。このような第2網状給電体8は、隔膜6との接触抵抗を少なくする。これにより、隔膜6と第2網状給電体8との間の導通が良好となり、電解室2内での電気分解が促進される。
【0039】
一方、
図4に示されるように、陽極給電体4及び陰極給電体5の外側に設けられている第1網状給電体7の厚さT1は、第2網状給電体8の厚さT2よりも大きく設定されている。このような第1網状給電体7は、曲げ剛性が大きいので、積層体10に曲げ応力が加えられたとき、より大きな応力を負担することが可能であり、隔膜6には生ずる応力を抑制する。これにより、隔膜6の損傷をより一層抑制することが可能となる。
【0040】
本実施形態では、積層体10の外側に曲げ剛性の高い第1網状給電体7が配設されているので、積層体10全体の曲げ剛性が高くなり、隔膜6には生ずる応力がより一層抑制される。さらに、隔膜6と第1網状給電体7との間に配設されている第2網状給電体8が、両者の緩衝材として機能し、隔膜6の損傷をより一層抑制する。
【0041】
図6は、第1ケース片3A及び第2ケース片3Bを示している。
図4、6に示されるように、第1ケース片3Aの電解室2側を向く内面には、電解室2に流入した水が流通する複数の第1溝部31と、陽極給電体4と当接する複数の第1凸状部32とが交互に形成されている。第1溝部31及び第1凸状部32は、縦長形状の第1ケース片3Aの長手方向に沿って連続的にのびている。第1溝部31は、陽極室2Aを構成する。
【0042】
一方、第2ケース片3Bの電解室2側を向く内面には、電解室2に流入した水が流通する複数の第2溝部33と、陰極給電体5と当接する複数の第2凸状部34とが交互に形成されている。第2溝部33及び第2凸状部34は、縦長形状の第2ケース片3Bの長手方向に沿って連続的にのびている。第2溝部33は、陰極室2Bを構成する。
【0043】
第1凸状部32は、陽極給電体4、隔膜6及び陰極給電体5を挟んで、第2溝部33に対向する位置に設けられている。一方、第2凸状部34は、陰極給電体5、隔膜6及び陽極給電体4を挟んで、第1溝部31に対向する位置に設けられている。第1凸状部32と第2凸状部34とは、第1ケース片3Aと第2ケース片3Bとが固着されたときに交互に位置するように形成されている。
【0044】
図4に示されるように、第1ケース片3Aの第1凸状部32の先端部は、陽極給電体4の第1網状給電体7と当接し、陽極給電体4を陰極給電体5の側に突出させる。一方、第2ケース片3Bの第2凸状部34は、陰極給電体5の第1網状給電体7と当接し 、陰極給電体5を陽極給電体4の側に突出させる。これにより、陰極給電体5、隔膜6及び陽極給電体4からなる積層体10が波形の形状に矯正される。すなわち、陽極給電体4と陰極給電体5と隔膜6とが同じ波形に矯正される。
【0045】
第1凸状部32の先端部は、陽極給電体4の第1網状給電体7と当接しているので、陽極室2Aと陰極室2Bとの圧力差によって陽極給電体4が隔膜6を介して第1ケース片3Aの側に力を受けたとき、陽極給電体4を支持しながら陽極給電体4の変形を抑制する。同様に、第2凸状部34の先端部は、陰極給電体5の第1網状給電体7と当接しているので、陽極室2Aと陰極室2Bとの圧力差によって陰極給電体5が隔膜6を介して第2ケース片3Bの側に力を受けたとき、陰極給電体5を支持しながら陰極給電体5の変形を抑制する。
【0046】
図2、3に示されるように、電解槽3には、L字状の継手35、36、37、38が設けられている。継手35、36は、第1ケース片3A、第2ケース片3Bの下部に装着され、流路切替弁16aと接続される。継手37、38は、第1ケース片3A、第2ケース片3Bの上部に装着され、流路切替弁16bと接続される。
【0047】
図3、6に示されるように、第1ケース片3Aの内面の下部には、第1分水路41が形成されている。第1分水路41は、第1ケース片3Aの短手方向に沿ってのび、第1溝部31と連通している。同様に、第2ケース片3Bの内面の下部には、第2分水路42が形成されている。第2分水路42は、第2ケース片3Bの短手方向に沿ってのび、第2溝部33と連通している。継手35、36から流入した水は、それぞれ第1分水路41又は第2分水路42を介して、第1溝部31又は第2溝部33に流れ込み、第1溝部31又は第2溝部33に沿って上方に流れる。
【0048】
一方、第1ケース片3Aの内面の上部には、第1集水路43が形成されている。第1集水路43は、第1ケース片3Aの短手方向に沿ってのび、第1溝部31と連通している。同様に、第2ケース片3Bの内面の上部には、第2集水路44が形成されている。第2集水路44は、第2ケース片3Bの短手方向に沿ってのび、第2溝部33と連通している。第1溝部31又は第2溝部33に沿って上方に移動した水は、それぞれ第1集水路43又は第2集水路44によって集められて、継手37又は38から流出する。
【0049】
陰極室2Bにて発生した水素分子は、微小な気泡となって陰極室2Bの上方に移動する。本実施形態では、電解室2の下部に設けられた継手35、36から流入した水は、第2溝部33を上方に流れる。従って、水素分子の移動方向と水の流れる方向が一致するため、水素分子が水に溶け込み易くなり、溶存水素濃度が高められる。さらには、第2溝部33が縦長形状の第2ケース片3Bの長手方向に沿ってすなわち短手方向に垂直にのびているので、流路の断面積が小さくなる。これにより、第2溝部33を流れる水の流速が高くなるため、水素分子が水に溶け込み易くなり、溶存水素濃度が高められる。
【0050】
第1ケース片3Aの第1分水路41及び第1集水路43には、複数の凸部45が設けられている。凸部45の先端は、陽極給電体4の第1網状給電体7と当接する。同様に第2ケース片3Bの第2分水路42及び第2集水路44には、複数の凸部46が設けられている。凸部46の先端は、陰極給電体5の第1網状給電体7と当接する。凸部45及び凸部46の先端が陽極給電体4及び陰極給電体5とそれぞれ当接することにより、陽極給電体4及び陰極給電体5がそれらの上部及び下部で挟持され、積層体10が保持される。
【0051】
図7は、電解水生成装置1の製造方法の主要工程を示している。
図7(a)に示される給電体配置工程では、陽極給電体4、隔膜6及び陰極給電体5の積層体10が、第1ケース片3Aと、第2ケース片3Bとの間に配置される。すなわち、第1網状給電体7、第2網状給電体8、隔膜6、第2網状給電体8及び第1網状給電体7の積層体10が、第1ケース片3Aと、第2ケース片3Bとの間に配置される。
【0052】
図7(b)乃至(c)に示される積層体押圧工程では、第1ケース片3Aと第2ケース片3Bとが固着される。すなわち、
図7(b)の矢印Aに示されるように、第1ケース片3Aと第2ケース片3Bとが接近され、第1ケース片3Aの第1凸状部32が陽極給電体4の第1網状給電体7と当接する。このとき、第2ケース片3Bの第2凸状部34も、陰極給電体5の第1網状給電体7と当接する。
【0053】
さらに、
図7(c)の矢印Bに示されるように、第1ケース片3Aと第2ケース片3Bとが接近され、両者が接合される。このとき、第1ケース片3Aの第1凸状部32と、第2ケース片3Bの第2凸状部34とが、積層体10を挟み込んで押圧する。これに伴い、第1ケース片3Aの第1凸状部32は、積層体10を第2ケース片3Bの第2溝部33の側に突出させる。同様に、第2ケース片3Bの第2凸状部34は、積層体10を第1ケース片3Aの第1溝部31の側に突出させる。これにより、積層体10は波形に変形され、波形の陽極給電体4、隔膜6及び陰極給電体5を有する電解水生成装置1を安価かつ容易に製造できる。なお、第1ケース片3Aと第2ケース片3Bとは、例えば、ボルト(図示せず)等によって接合され、固着される。
【0054】
(変形例1)
図8は、電解槽3の変形例を示している。電解槽3は、第1ケース片3Aの第1凸状部32が、陰極給電体5、隔膜6及び陽極給電体4を挟んで、第2ケース片3Bの第2凸状部34と対向するように配置されている点で、
図3等に示される電解槽3とは異なる。これに伴い、第1ケース片3Aの第1溝部31は、陰極給電体5、隔膜6及び陽極給電体4を挟んで、第2ケース片3Bの第2溝部33と対向するように配置される。
【0055】
この電解槽3では、陽極給電体4、隔膜6及び陰極給電体5の形状は、平板状のまま維持されている。陽極給電体4、隔膜6及び陰極給電体5の積層体10は、第1凸状部32及び第2凸状部34によって挟持されている。すなわち、陽極給電体4の第1網状給電体7は、第1ケース片3Aの第1凸状部32によって支持されている。同様に、陰極給電体5の第1網状給電体7は、第2ケース片3Bの第2凸状部34によって支持されている。従って、電解槽3の陽極室2Aと陰極室2Bとの間に生ずる圧力差に起因する応力の大部分は、陽極給電体4、第1凸状部32又は陰極給電体5、第2凸状部34によって負担され、隔膜6にかかる応力は減少する。これにより、陽極室2Aと陰極室2Bとの間で大きな圧力差が生ずる状態で電解水生成装置1を動作させても、隔膜6には大きな応力が生じないので、隔膜6の損傷が抑制される。
【0056】
(変形例2)
図9は、
図6に示される第1ケース片3A及び第2ケース片3Bの変形例である第1ケース片9A及び第2ケース片9Bを示している。第1ケース片9Aは、第1凸状部32に替えて第1ケース片9Aの長手方向に沿って断続的にのびる複数の第1凸状部92を有している点で、第1ケース片3Aとは相違している。第1凸状部92は、第1ケース片9Aの電解室2側を向く内底面91から電解室2側に隆起して形成されている。電解室2に流入した水は、第1ケース片9Aの短手方向に隣り合う第1凸状部92の間を流通する。
【0057】
同様に、第2ケース片9Bは、第2凸状部34に替えて第2ケース片9Bの長手方向に沿って断続的にのびる複数の第2凸状部94を有している点で、第2ケース片3Bとは相違している。第2凸状部94は、第2ケース片9Bの電解室2側を向く内底面93から電解室2側に隆起して形成されている。電解室2に流入した水は、第2ケース片9Bの短手方向に隣り合う第2凸状部94の間を流通する。
【0058】
第1凸状部92と第2凸状部94とは、第1ケース片9Aと第2ケース片9Bとが固着されたときに交互に位置するように形成されている。このとき、第1凸状部92及び第2凸状部94は、陽極給電体4及び陰極給電体5と当接し、陽極給電体4及び陰極給電体5を波形に矯正する。
【0059】
(変形例3)
図10は、
図6に示される第1ケース片3A及び第2ケース片3Bの別の変形例である第1ケース片9C及び第2ケース片9Dを示している。第1ケース片9Cは、第1凸状部32に替えて離散的に設けられた複数の第1凸状部97を有している点で、第1ケース片3Aとは相違している。第1凸状部97は、平面視でドット状の円柱にて形成されている。第1凸状部97は、平面視で楕円形に形成されていてもよい。第1凸状部97は、第1ケース片9Aの電解室2側を向く内底面96から電解室2側に隆起して形成されている。電解室2に流入した水は、第1ケース片9Cの短手方向に隣り合う第1凸状部97の間を流通する。
【0060】
同様に、第2ケース片9Dは、第2凸状部34に替えて離散的に設けられた複数の第2凸状部99を有している点で、第2ケース片3Bとは相違している。第2凸状部99は、平面視でドット状の円柱にて形成されている。第2凸状部99は、平面視で楕円形に形成されていてもよい。第2凸状部99は、第2ケース片9Dの電解室2側を向く内底面98から電解室2側に隆起して形成されている。電解室2に流入した水は、第2ケース片9Dの短手方向に隣り合う第2凸状部99の間を流通する。
【0061】
第1凸状部97と第2凸状部99とは、第1ケース片9Cと第2ケース片9Dとが固着されたときに交互に位置するように形成されている。このとき、第1凸状部97及び第2凸状部99は、陽極給電体4及び陰極給電体5と当接し、陽極給電体4及び陰極給電体5を波形に矯正する。
【0062】
以上のような構成を有する本実施形態の電解水生成装置1によれば、隔膜6が、陽極給電体4及び陰極給電体5で挟持されているので、隔膜6の形状は陽極給電体4及び陰極給電体5によって保持され、隔膜6にかかる応力は減少する。従って、電解槽3の陽極室2Aと陰極室2Bとの間で大きな圧力差が生じても隔膜6の損傷が抑制される。
【0063】
以上、本発明の電解水生成装置1が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。すなわち、電解水生成装置1は、少なくとも、電気分解される水が流入する電解室2を区画する電解槽3と、電解室2内で、互いに対向して配置された陽極給電体4及び陰極給電体5と、陽極給電体4と陰極給電体5との間に配され、かつ、電解室2を陽極給電体4側の陽極室2Aと、陰極給電体5側の陰極室2Bとに区分する隔膜6とを備え、隔膜6が、陽極給電体4及び陰極給電体5で挟持されていればよい。
【0064】
また、複数の電解槽3を直列に設けることにより、透析装置に供給する電解水素水の溶存水素濃度を高めることができる。
【0065】
陽極給電体4及び陰極給電体5は、それぞれ、その板厚方向で水が行き来可能な導電体から構成されていればよい。例えば、陽極給電体4及び陰極給電体5は、パンチングメタルから構成されていてもよい。また、陽極給電体4及び陰極給電体5の各々が第1網状給電体7と第2網状給電体8とを含む構成を示したが、陽極給電体4及び陰極給電体5は1枚の網状給電体から構成されていてもよい。
【解決手段】電解水生成装置は、電解室2内で互いに対向して配置された陽極給電体及び陰極給電体と、電解室2を陽極給電体側の陽極室と、陰極給電体側の陰極室とに区分する隔膜とを備える。第1ケース片3Aの内面には、陽極給電体と当接する第1凸状部32と、陽極室に流入した水が流通する第1溝部31と、陽極室に流入した水を第1溝部31に導く第1分水路41と、第1溝部31を流通した水を集める第1集水路43とが形成される。第2ケース片3Bの内面には、陰極給電体と当接する第2凸状部34と、陰極室に流入した水が流通する第2溝部33と、陰極室に流入した水を第2溝部33に導く第2分水路42と、第2溝部33を流通した水を集める第2集水路44とが形成される。第2溝部33は、第2分水路42及び第2集水路44よりも浅く形成される。