特許第5703124号(P5703124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5703124
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】オーブントースター
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20150326BHJP
   F24C 7/04 20060101ALI20150326BHJP
   F24C 15/34 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   F24C15/00 D
   F24C7/04 A
   F24C15/34 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-111694(P2011-111694)
(22)【出願日】2011年5月18日
(65)【公開番号】特開2012-241966(P2012-241966A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2013年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大下 直也
(72)【発明者】
【氏名】石井 琢也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】高比良 整
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−056867(JP,A)
【文献】 特開2008−039210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/00
F24C 7/04
F24C 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータが配設された加熱室を備えた本体に、前記加熱室の開口部を開閉する扉体と、前記開口部に隣接する樹脂製の操作パネルとを備えたオーブントースターであって、
前記加熱室内の熱が伝熱される金属製の枠体と前記操作パネルとが、断熱部材を介して配設され、
前記断熱部材が、前記枠体と前記操作パネルとの間に位置して、前記枠体を介する前記操作パネルへの伝熱を遮断する第1断熱部と、前記操作パネルと前記開口部に臨む部位との間に位置して、前記加熱室内から前記開口部を介して外部に流出する熱風による前記操作パネルへの伝熱を遮断する第2断熱部とを一体的に備えた方形の枠部材で構成され、
前記操作パネルが前記枠部材に嵌合配置されたオーブントースター。
【請求項2】
前記第2断熱部は、前記操作パネルの側面のうち前記開口部を臨む側面側において、前記操作パネルの上下方向の全高または左右方向の全幅に亘って配設されている請求項に記載のオーブントースター。
【請求項3】
前記操作パネルの裏面側には、前記操作パネルと前記断熱部材と基板ボックスとで囲繞される空間が形成されている請求項又はに記載のオーブントースター。
【請求項4】
前記操作パネル、前記断熱部材及び前記基板ボックスが、固定手段により一体固定されている請求項に記載のオーブントースター。
【請求項5】
前記枠体に、前記断熱部材、前記基板ボックス及び前記操作パネルの順で挿入され、前記断熱部材、前記基板ボックス及び前記操作パネルが前記固定手段により前記枠体に前記枠体の裏面から一体固定されている請求項に記載のオーブントースター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータが配設された加熱室を備えた本体に、加熱室の開口部を開閉する扉体と、開口部に隣接する樹脂製の操作パネルとを備えたオーブントースターに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるオーブントースターにおいて、例えば、特許文献1に示すように、加熱室(調理庫2)は、上下側、左右側及び後側が金属性の板状体(左右側板3,反射板4)で囲繞されており、前側に開口部が形成されている。そして、加熱室内の上部に2本、加熱室内の下部に1本の合計3本の赤外線ヒータ(ヒータ11a,11b,12)が、加熱室内の左右側の両板状体間に亘って延設されている。また、本体前側には、加熱室の開口部を開閉する扉体(扉8)と、開口部(扉体)の下方に樹脂製の操作パネル(パネル17)とが配設されている。この操作パネルは、樹脂の弾性を利用して作動する複数のスイッチ(スイッチ部17c)を備えており、加熱室を形成する金属製の板状体に金属製の枠体(前板14)を介して固定されている。なお、カッコ内の名称及び参照符号は、参考のため、特許文献1の記載から引用した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−206750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示のオーブントースターでは、樹脂製の操作パネルが、加熱室を形成して高温となる金属製の板状体(左右側板3,反射板4)に熱的に接続される金属製の枠体(前板14)に、直接接触する状態で保持固定されているため、加熱室の熱が金属製の枠体を介して操作パネルに伝熱し、操作パネルが加熱されて高温になる虞がある。
また、操作パネルを、本体前面における加熱室の開口部の下方や周囲に配設した場合には、扉体と枠体等との間に形成された隙間を介して、或いは、扉体の開閉によって、加熱室内から流出する高温の熱風が操作パネルの近傍に接触する状態で流動し、当該操作パネルが加熱されて高温になる虞がある。
このように樹脂製の操作パネルに、加熱室からの熱が伝熱してしまうと、操作パネルが熱劣化や熱変形してしまう虞があり、製品寿命が短くなるという問題がある。
【0005】
特に、操作パネルに備えられた複数のスイッチは樹脂の弾性を利用するものであるため、この樹脂は柔らかく靭性の高い樹脂材料であることが条件とされるが、一般的にこのような樹脂材料は耐熱温度が低く、熱劣化や熱変形を生じ易い。そのため、上述のように、樹脂製の操作パネルに伝熱して高温になると、熱劣化や熱変形を生じて製品の寿命が短くなり易いという問題がより生じ易くなる。
一方で、操作パネルを耐熱性の高い樹脂で形成することもできるが、そのような耐熱性の高い樹脂材料は高価でありコスト高となる問題が発生する。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱室からの伝熱を良好に遮断し樹脂製の操作パネルの熱劣化や熱変形を防止して長寿命化を図りつつ、製造コストを削減可能なオーブントースターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るオーブントースターは、
ヒータが配設された加熱室を備えた本体に、前記加熱室の開口部を開閉する扉体と、前記開口部に隣接した樹脂製の操作パネルとを備えたオーブントースターであって、その特徴構成は、
前記加熱室内の熱が伝熱される金属製の枠体と前記操作パネルとが、断熱部材を介して配設され、
前記断熱部材が、前記枠体と前記操作パネルとの間に位置して、前記枠体を介する前記操作パネルへの伝熱を遮断する第1断熱部と、前記操作パネルと前記開口部に臨む部位との間に位置して、前記加熱室内から前記開口部を介して外部に流出する熱風による前記操作パネルへの伝熱を遮断する第2断熱部とを一体的に備えた方形の枠部材で構成され、
前記操作パネルが前記枠部材に嵌合配置された点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、加熱室内の熱が伝熱される金属製の枠体と操作パネルとが、断熱部材の第1断熱部を介して配設されるので、枠体と操作パネルとの隣接間に第1断熱部が配設された状態となり、操作パネルを金属製の枠体に取り付けても、枠体を介する操作パネルへの直接的な伝熱を第1断熱部によって良好に遮断できる。
また、操作パネルと開口部に臨む部位との間には断熱部材の第2断熱部が配設されているので、加熱室内から開口部を介して外部に流出する高温の熱風が到達する箇所に第2断熱部が配設された状態となり、当該熱風が直接接触することによる操作パネルへの直接的な伝熱を第2断熱部によって良好に遮断することができる。
特に、断熱部材に第1断熱部及び第2断熱部が一体的に設けられているので、この断熱部材を設けることのみで、高温の枠体および高温の熱風から樹脂製の操作パネルへの伝熱を同時に、しかも簡易な構成で良好に遮断することができる。
さらに、操作パネルを方形の断熱部材(枠部材)に嵌合配置するだけで、操作パネルの周囲に断熱部材を配設することができるので、簡易な構成で、加熱室内から操作パネルへの伝熱を遮断することができる。
これにより、加熱室からの伝熱を良好に遮断し樹脂製の操作パネルの熱劣化や熱変形を防止して長寿命化を図りつつ、製造コストを削減することができる。
【0011】
本発明に係るオーブントースターの更なる特徴構成は、前記第2断熱部は、前記操作パネルの側面のうち前記開口部を臨む側面側において、前記操作パネルの上下方向の全高または左右方向の全幅に亘って配設されている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、第2断熱部が操作パネルの開口部を臨む側面側の上下方向の全高または左右方向の全幅に亘って配設されているので、開口部を臨む側面側の上下方向または左右方向の全域において操作パネルが第2断熱部により熱から遮断されており、加熱室の開口部の上下方向または左右方向におけるいずれの位置から高温の熱風が操作パネル側に流出した場合でも、当該操作パネルへの伝熱を確実に遮断することができる。これにより、樹脂製の操作パネルの熱劣化や熱変形を防止して長寿命化をより一層図ることができる。
また、操作パネルの開口部を臨む側面側、つまり、加熱室の開口部から流出する熱風に晒される側のみに第2断熱部を設けることで、操作スイッチの配置スペースとなる操作パネル前面部分を広く取ることができ、さらには、熱風が流出しない側面側において第2断熱部を設けるための材料および加工コストを削減することができ、製造コストをより一層削減することができる。
【0013】
本発明に係るオーブントースターの更なる特徴構成は、前記操作パネルの裏面側には、前記操作パネルと前記断熱部材と基板ボックスとで囲繞される空間が形成されている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、操作パネルの裏面側に、操作パネルと断熱部材と基板ボックスとで囲繞された空間が形成されており、例えば、基板ボックスが、板状の操作パネルと断熱部材が設けられる側に開口部を有する略直方体形状とされて、開口部が操作パネルの裏面と断熱部材によって略塞がれた状態とされ、当該空間内への水の浸入を防止することができる。これにより、当該空間内に操作パネルのスイッチの感応部等を備えた制御基板や電力供給を制御する電源基板を配設することで、水の影響により制御基板や電源基板等が誤作動或いは破損することを良好に防止することができる。
また、基板ボックスにより、加熱室内から制御基板や電源基板等への伝熱、更には操作パネルの裏面側から操作パネルへの伝熱を、ある程度防止することができる。
【0015】
本発明に係るオーブントースターの更なる特徴構成は、前記操作パネル、前記断熱部材及び前記基板ボックスが、固定手段により一体固定されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、操作パネル、断熱部材及び基板ボックスが、固定手段により一体固定されているので、各部材を固定するために個別の固定部を設ける必要がなく、簡易な構成としながら、各部材を強固に結びつけて固定することができる。
【0017】
本発明に係るオーブントースターの更なる特徴構成は、前記枠体に、前記断熱部材、前記基板ボックス及び前記操作パネルの順で挿入され、前記断熱部材、前記基板ボックス及び前記操作パネルが前記固定手段により前記枠体に前記枠体の裏面から一体固定されている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、枠体に断熱部材、基板ボックス、操作パネルの順で挿入し、その後、この配置順で、固定手段により各部材を枠体に、枠体の裏面から一体固定するので、例えば、固定手段としてビスを採用した場合には、単に各部材をビスで枠体に、枠体の裏面から一体固定するだけで、容易に組立てが完了することとなる。しかも、ビスが表面側に露出することなく外観を美しいものとしながら、一体固定することができる。
これにより、組み立てを容易に行うことが可能な構成として製造コストをより一層削減することができながら、上述のとおり、外観を美しいものとしながら、加熱室内からの伝熱を断熱部材により遮断する構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るオーブントースターの斜視図
図2】オーブントースターの操作部近傍の分解斜視図
図3】オーブントースターの操作部近傍の組み立て状態を示す分解横断面図
図4】オーブントースターの操作部近傍の横断面図
図5】別実施形態(A)に係るオーブントースターの操作部近傍の横断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るオーブントースターの実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、オーブントースターの本体1は、前面側が開口した概略直方体の筐体2と、ヒータ3が配設されて反射板4で形成された加熱室5と、その加熱室5の開口部5aを形成する金属板体Vと、その開口部5aを開閉する透明窓6aを有する扉体6と、開口部5aの周囲となる本体1の前面右側(筐体2を開口部側から見て右側)に設けられた操作部8より構成されている。
【0021】
筐体2内には加熱室5が設けられており、その加熱室5は、前方に位置する開口部5aを除き、反射板4が上下左右および後方に設けられて形成されている。加熱室5に設けられたヒータ3は赤外線ヒータであり、加熱室5の上部に2本および加熱室5の下部に2本の計4本の赤外線ヒータが、それぞれ加熱室5の左右方向に延びる状態で設けられている。また、加熱室5内には、前後にスライド自在に設けられた焼網9が備えられている。なお、図1では、焼網9の矩形状の枠部のみ図示し、枠部の中央部に設けられる網目部分については図示を省略した。
【0022】
加熱室5の開口部5aを開閉する扉体6は、開口部5aの下部において開閉自在に支持されて本体1に取り付けられている。そして、この扉体6の加熱室5側には、支持体把持部6bが設けられて焼網9が把持されており、これにより、この扉体6の開閉に連動して焼網9が前後にスライドする。
【0023】
金属板体Vは、加熱室5の開口部5aの周縁部と、後述する操作部8を取り付ける取付枠Cを一体的に備えて形成されている。そして、取付枠Cは加熱室5を形成する反射板4と接続されているので、加熱室5の熱が伝熱されて高温となる。また、取付枠Cは、取付枠Cの上部に設けられたボルト孔C2および取付枠Cの下部に設けられたネジ孔C3によってネジで締付け固定され、さらに、図示しないその他の固定部においても本体1と固定されている。そして、取付枠Cには、開口部C4の周縁部から後方に延びるアーム部の先端に貫通孔を有する固定用凸部Caが設けられている。
【0024】
次に、操作部8の構成について、図2および図3に基づいて説明する。なお、図2はオーブントースターの操作部近傍の分解斜視図であり、図3はオーブントースターの操作部近傍の組み立て状態を示す分解横断面図である。本体1の前面右側において、高さ方向に長い略長方形に形成された操作部8が設けられている。操作部8には、各種スイッチ10、ロータリースイッチ11および液晶モニタ12が配置されている。操作部8は本体1の前面に設けられた操作パネルFと、その操作パネルFの裏面(後面)側に設けられた基板ボックスEとで構成されている。
【0025】
板状の操作パネルFは樹脂製とされ、樹脂の弾力性を利用して動作するスイッチ10、および、ロータリースイッチ11、液晶モニタ12の開口部Fbが配置されている。また、操作パネルFの表面は装飾および防水用の表面シートFcで覆われており、一方、操作パネルFの裏面には、裏面の左右にそれぞれ4か所ずつ計8か所にネジ穴が設けられた円筒状の凸部Faが裏面から後方に延びる状態で設けられている。また、操作パネルFは、ポリプロピレンやアクリロニトリルとブタジエンとスチレンの共重合ポリマーを主成分とするABS樹脂等の樹脂材料から構成される。
【0026】
操作パネルFと断熱部材Dが設けられる側に開口部を有する略直方体形状とされる基板ボックスEは、操作パネルFの裏面側に設けられ、液晶モニタ12、操作パネルFに設けられたスイッチ類と連動して動作する電子部品類およびそれらの電子部品類と接続されているは回路基板(図示せず)が内部に収容されている。また、基板ボックスEの両側面には、取付枠Cの固定用凸部Caの形状に合わせて、左右それぞれの側面に4本ずつの溝部Ebが、基板ボックスEの前面側から裏面側に前後方向に延びる状態で形成されるとともに、基板ボックスEを取付枠Cに固定するための貫通孔を備えた固定用凸部Eaが、その貫通孔の孔軸方向が溝部Ebの延びる方向と同じ方向となるように溝部Ebに設けられている。そして、基板ボックスEの裏面には、遮熱板Bをネジで挟持して締付け固定するためのネジ穴を備えた凸部Ecが形成されている。
【0027】
断熱部材Dは、取付枠Cと操作パネルFとの間に位置して、取付枠Cを介する操作パネルFへの伝熱を遮断する第1断熱部D1と、操作パネルFと開口部5aに臨む部位との間に位置して、加熱室5から開口部5aを介して流出する熱風Hによる操作パネルFへの伝熱を遮断する第2断熱部D2とが一体的に備えられている。また、方形の枠部材とされる断熱部材Dは、第2断熱部D2を備えて、本体1に取り付けた状態で操作パネルFの裏面と接触する前方枠部Dfと、その前方枠部Dfの後方において、前方枠部Dfより小さい方形の枠体形状とされて、枠体の後端部の内側に取付枠Cを介して本体1と接続するための貫通孔を有する固定用凸部Daを備えた後方枠部Dgとによって一体的に構成されている。ここで、第2断熱部D2は、操作パネルFの両側面のうち開口部5aを臨む側面側において、操作パネルFの上下方向の全高に亘って配設されている。また、断熱部材Dは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やフェノール樹脂等の樹脂材料から構成される。なお、断熱部材Dを構成する樹脂材料は、操作パネルFや基板ボックスEを構成する断熱材料よりも耐熱性を有するものであれば、他の材料でも構わない。
【0028】
また、基板ボックスEよりも加熱室5側において、加熱室5から操作部8に伝わる熱を遮熱する遮熱板Bが設けられている。遮熱板Bは、ネジ穴Bcに固定用ネジP(図4参照)を挿入して基板ボックスEの裏面の凸部Ecに設けられたネジ穴に締付けて固定されている。固定された状態では、遮熱板Bは取付枠Cの側面部Cbの内周面側に遮熱板Bの側面部Bbが接続される状態となる(図4参照)。
【0029】
次に、図2および図3に基づいて、断熱部材D、基板ボックスE及び操作パネルFの本体1への取り付けについて説明する。まず、反射板4に接続された取付枠Cの開口部C4に、断熱部材D、基板ボックスE及び操作パネルFの順で挿入し、ネジRを取付枠C、断熱部材Dおよび基板ボックスEのそれぞれに設けられた固定用凸部Ca、Da、Eaの各貫通孔に、取付枠Cの裏面から貫通させて、操作パネルFの凸部Faに設けられたネジ穴に締め付け固定することで本体1に一体固定される。
【0030】
取付枠Cの長方形形状の開口部C4には、断熱部材Dの後方枠部Dgが組み込み可能で、取付枠Cの前面部C5が断熱部材Dの前方枠部Dfの裏面に当接するような開口寸法とされている。そして、取付枠Cの開口部C4に断熱部材Dの後方枠部Dgを挿入すると、取付枠Cの前面部C5が断熱部材Dの前方枠部Dfの裏面に当接するとともに、断熱部材Dの固定用凸部Daと取付枠Cの固定用凸部Caとが当接するように構成されている。
そして、基板ボックスEの固定用凸部Eaの裏面が、断熱部材Dの固定用凸部Daの前面側に当接されるまで基板ボックスEの溝部Ebを断熱部材Dの固定用凸部Daに係合させつつ基板ボックスEを断熱部材Dの後方枠部Dg内に挿入する。
次に、すでに取付枠Cに組み込まれた基板ボックスEおよび断熱部材Dの前面側から、基板ボックスEの溝部Ebと後方部材Dgの固定用溝部Dbに操作パネルFのネジ穴を備えた凸部Faを挿入しつつ、基板ボックスEの溝部Ebに設けられた固定用凸部Eaの前面側に操作パネルFのネジ穴を備えた凸部Faの裏面を当接させる。
【0031】
このように互いに組み立てられた状態で、取付枠Cの固定用凸部Ca、断熱部材Dの固定用凸部Da基板ボックスEの固定用凸部Eaが、それぞれ基板ボックスEの溝部Ebに嵌め込まれて並んだ状態となっている。ここで、取付枠C側(裏面側)からネジRを挿入し、操作パネルFの凸部Faに設けられるネジ穴に締め付けすることで、取付枠C、断熱部材D、基板ボックスEおよび操作パネルFが一体固定される。
【0032】
図4にオーブントースターの操作部近傍の横断面図を示す。このように、一体固定された状態では、加熱室5の熱が伝熱される取付枠Cと操作パネルFとが、断熱部材Dの第1断熱部D1を介して配設された状態となる。この時、断熱部材Dの固定用溝部Dbに操作パネルFのネジ穴が設けられた円筒状の凸部Faが嵌合配置される状態となっている。そして、断熱部材Dの前方枠部Dfは、操作パネルFの外周部を包含する大きさとされ、前方枠部Dfの前面と操作パネルFの裏面が当接する状態となっている。
操作パネルFと開口部5aに臨む部位との間に位置する第2断熱部D2は、操作パネルFの側面のうち開口部5aを臨む側面側において、操作パネルFの上下方向の全高に亘って配設される。第2断熱部D2の前面側は前後方向において、操作パネルFの前面と並ぶ状態で設けられている
【0033】
また、一体固定された状態においては、操作パネルFの裏面側には、操作パネルFと断熱部材Dと基板ボックスEとで囲繞される空間Sが形成されている。例えば、基板ボックスEが、板状の操作パネルFと断熱部材Dが設けられる側に開口部を有する略直方体形状とされて、開口部が操作パネルの裏面と断熱部材によって略塞がれた状態とされた空間S内には、操作パネルFに設けられたスイッチ10およびロータリースイッチ11と連動して動作する感応部等の電子部品類(図示せず)およびこれらの電子部品類と接続されている回路基板(図示せず)が収容されている。ここで、回路基板としては、例えば、操作パネルEのスイッチ10の感応部等を備えた制御基板や電力供給を制御する電源基板がある。
【0034】
〔温度計測結果〕
上記実施形態に係るオーブントースターにおいて、操作パネルFをポリプロピレン(PP)で形成し、断熱部材Dをポリブチレンテレフタレートで形成して、ヒータ3を最高出力で加熱した状態で、図4に示した断熱部材Dの開口部5a側の測定点A1および断熱部材Dの操作パネルF側の測定点A2の温度を測定した。結果、測定点A1では135℃であり、測定点A2では113℃であった。
ここで、一般的に、ポリプロピレンの熱変形温度は115℃、溶解温度は170℃とされ、ポリブチレンテレフタレートの熱変形温度は200℃、溶解温度は225℃とされる。
【0035】
従って、上記温度測定結果において、断熱部材Dの開口部5a側の測定点A1は135℃であるが、断熱部材D(ポリブチレンテレフタレート)の熱変形温度(200℃)および溶解温度(225℃)よりも低い温度である。また、断熱部材Dの操作パネルF側の測定点A2の温度は113℃であり、断熱部材Dにより効果的に断熱されて、隣接する操作パネルF(ポリプロピレン)の熱変形温度(115℃)および溶解温度(170℃)よりも低い温度である。
【0036】
よって、加熱室5から操作パネルFへの伝熱を断熱部材D(第1断熱部D1及び第2断熱部D2)により良好に遮断して、操作パネルFの温度上昇を防止しながら、操作パネルFが熱変形することを防止しつつ、熱劣化の進行を遅くして、製品の長寿命化を図ることができる。
一方で、断熱部材Dが配設されず、測定点A1に操作パネルF(ポリプロピレン)が配置されるとすると、測定点A1は135℃となるため、操作パネルFは熱変形温度(115℃)以上の温度に晒されることとなる。この場合、操作パネルFの温度が上昇して、操作パネルFの熱変形の発生の可能性が高くなるとともに、熱劣化の速度が速められることとなる。
【0037】
〔別実施形態〕
(A)上記実施形態においては、断熱部材Dにおいて、前方枠部Dfと後方枠部Dgを一体的に構成したが、これに限らず、図5に示すように、前方枠部Dfと後方枠部Dgを個別に構成してもよい。この場合、前方枠部Dfが本願にいう、第1断熱部D1および第2断熱部D2を備えた断熱部材Dとなる。この場合、図4に示す取付枠Cの、開口部C4の周縁部から後方に延びて先端に固定用凸部Caを備えたアーム部を削除して、図5に示すように、前方枠部Dfと後方枠部Dgとによって取付枠Cが前面側と裏面側から挟み込まれた状態で、後方枠部Dg、基板ボックスEおよび操作パネルFがネジRで締め付けられて一体固定され、前方枠部Dfが操作パネルFの裏面に押えられた状態で一体固定されている。
これにより、高温となる取付枠Cと断熱部材Dとの接触面積を小さくすることができ、取付枠Cから断熱部材Dに伝えられる熱がより少なくなるため、操作パネルFへ伝わる熱を少なくすることができ、操作パネルFの熱劣化及び熱変形を防止することができる。
なお、上記実施形態においては、遮熱板Bを取付枠Cと接触させて構成したが、本別実施例では、遮熱板Bは取付枠Cと接触せずに、断熱部材Dの後方枠部Dgの裏面に接触させた状態とされている。
【0038】
(B)上記実施形態においては、操作パネルFを本体1の前面右側に設けたが、これに限らず、操作パネルFを本体1の前面左側に設けてもよいし、本体1の前面下部または上部に設けてもよい。
【0039】
(C)上記実施形態においては、それぞれ個別に構成された取付枠C、反射板4および遮熱板Bが接続されているが、これに限らず、反射板4と取付枠Cを一部材で構成してもよいし、遮熱板Bと取付枠Cを一部材で構成してもよい。また、反射板4と遮熱板Bと取付枠Cを一部材で構成してもよい。さらに、遮熱板Bを2重構造としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上説明したように、加熱室からの伝熱を良好に遮断し樹脂製の操作パネルの熱劣化や熱変形を防止して長寿命化を図りつつ、製造コストを削減可能なオーブントースターを提供することができた。
【符号の説明】
【0041】
1 本体
3 ヒータ
5 加熱室
5a 開口部
6 扉体
C 取付枠(枠体)
D 断熱部材
D1 第1断熱部
D2 第2断熱部
E 基板ボックス
F 操作パネル
H 熱風
R ネジ(固定手段)
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5