【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示のオーブントースターでは、樹脂製の操作パネルが、加熱室を形成して高温となる金属製の板状体(左右側板3,反射板4)に熱的に接続される金属製の枠体(前板14)に、直接接触する状態で保持固定されているため、加熱室の熱が金属製の枠体を介して操作パネルに伝熱し、操作パネルが加熱されて高温になる虞がある。
また、操作パネルを、本体前面における加熱室の開口部の下方や周囲に配設した場合には、扉体と枠体等との間に形成された隙間を介して、或いは、扉体の開閉によって、加熱室内から流出する高温の熱風が操作パネルの近傍に接触する状態で流動し、当該操作パネルが加熱されて高温になる虞がある。
このように樹脂製の操作パネルに、加熱室からの熱が伝熱してしまうと、操作パネルが熱劣化や熱変形してしまう虞があり、製品寿命が短くなるという問題がある。
【0005】
特に、操作パネルに備えられた複数のスイッチは樹脂の弾性を利用するものであるため、この樹脂は柔らかく靭性の高い樹脂材料であることが条件とされるが、一般的にこのような樹脂材料は耐熱温度が低く、熱劣化や熱変形を生じ易い。そのため、上述のように、樹脂製の操作パネルに伝熱して高温になると、熱劣化や熱変形を生じて製品の寿命が短くなり易いという問題がより生じ易くなる。
一方で、操作パネルを耐熱性の高い樹脂で形成することもできるが、そのような耐熱性の高い樹脂材料は高価でありコスト高となる問題が発生する。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱室からの伝熱を良好に遮断し樹脂製の操作パネルの熱劣化や熱変形を防止して長寿命化を図りつつ、製造コストを削減可能なオーブントースターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るオーブントースターは、
ヒータが配設された加熱室を備えた本体に、前記加熱室の開口部を開閉する扉体と、前記開口部に隣接した樹脂製の操作パネルとを備えたオーブントースターであって、その特徴構成は、
前記加熱室内の熱が伝熱される金属製の枠体と前記操作パネルとが、断熱部材を介して配設され、
前記断熱部材が、前記枠体と前記操作パネルとの間に位置して、前記枠体を介する前記操作パネルへの伝熱を遮断する第1断熱部と、前記操作パネルと前記開口部に臨む部位との間に位置して、前記加熱室内から前記開口部を介して外部に流出する熱風による前記操作パネルへの伝熱を遮断する第2断熱部とを一体的に備え
た方形の枠部材で構成され、
前記操作パネルが前記枠部材に嵌合配置された点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、加熱室内の熱が伝熱される金属製の枠体と操作パネルとが、断熱部材の第1断熱部を介して配設されるので、枠体と操作パネルとの隣接間に第1断熱部が配設された状態となり、操作パネルを金属製の枠体に取り付けても、枠体を介する操作パネルへの直接的な伝熱を第1断熱部によって良好に遮断できる。
また、操作パネルと開口部に臨む部位との間には断熱部材の第2断熱部が配設されているので、加熱室内から開口部を介して外部に流出する高温の熱風が到達する箇所に第2断熱部が配設された状態となり、当該熱風が直接接触することによる操作パネルへの直接的な伝熱を第2断熱部によって良好に遮断することができる。
特に、断熱部材に第1断熱部及び第2断熱部が一体的に設けられているので、この断熱部材を設けることのみで、高温の枠体および高温の熱風から樹脂製の操作パネルへの伝熱を同時に、しかも簡易な構成で良好に遮断することができる。
さらに、操作パネルを方形の断熱部材(枠部材)に嵌合配置するだけで、操作パネルの周囲に断熱部材を配設することができるので、簡易な構成で、加熱室内から操作パネルへの伝熱を遮断することができる。
これにより、加熱室からの伝熱を良好に遮断し樹脂製の操作パネルの熱劣化や熱変形を防止して長寿命化を図りつつ、製造コストを削減することができる。
【0011】
本発明に係るオーブントースターの更なる特徴構成は、前記第2断熱部は、前記操作パネルの側面のうち前記開口部を臨む側面側において、前記操作パネルの上下方向の全高または左右方向の全幅に亘って配設されている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、第2断熱部が操作パネルの開口部を臨む側面側の上下方向の全高または左右方向の全幅に亘って配設されているので、開口部を臨む側面側の上下方向または左右方向の全域において操作パネルが第2断熱部により熱から遮断されており、加熱室の開口部の上下方向または左右方向におけるいずれの位置から高温の熱風が操作パネル側に流出した場合でも、当該操作パネルへの伝熱を確実に遮断することができる。これにより、樹脂製の操作パネルの熱劣化や熱変形を防止して長寿命化をより一層図ることができる。
また、操作パネルの開口部を臨む側面側、つまり、加熱室の開口部から流出する熱風に晒される側のみに第2断熱部を設けることで、操作スイッチの配置スペースとなる操作パネル前面部分を広く取ることができ、さらには、熱風が流出しない側面側において第2断熱部を設けるための材料および加工コストを削減することができ、製造コストをより一層削減することができる。
【0013】
本発明に係るオーブントースターの更なる特徴構成は、前記操作パネルの裏面側には、前記操作パネルと前記断熱部材と基板ボックスとで囲繞される空間が形成されている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、操作パネルの裏面側に、操作パネルと断熱部材と基板ボックスとで囲繞された空間が形成されており、例えば、基板ボックスが、板状の操作パネルと断熱部材が設けられる側に開口部を有する略直方体形状とされて、開口部が操作パネルの裏面と断熱部材によって略塞がれた状態とされ、当該空間内への水の浸入を防止することができる。これにより、当該空間内に操作パネルのスイッチの感応部等を備えた制御基板や電力供給を制御する電源基板を配設することで、水の影響により制御基板や電源基板等が誤作動或いは破損することを良好に防止することができる。
また、基板ボックスにより、加熱室内から制御基板や電源基板等への伝熱、更には操作パネルの裏面側から操作パネルへの伝熱を、ある程度防止することができる。
【0015】
本発明に係るオーブントースターの更なる特徴構成は、前記操作パネル、前記断熱部材及び前記基板ボックスが、固定手段により一体固定されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、操作パネル、断熱部材及び基板ボックスが、固定手段により一体固定されているので、各部材を固定するために個別の固定部を設ける必要がなく、簡易な構成としながら、各部材を強固に結びつけて固定することができる。
【0017】
本発明に係るオーブントースターの更なる特徴構成は、前記枠体に、前記断熱部材、前記基板ボックス及び前記操作パネルの順で挿入され、前記断熱部材、前記基板ボックス及び前記操作パネルが前記固定手段により前記枠体に前記枠体の裏面から一体固定されている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、枠体に断熱部材、基板ボックス、操作パネルの順で挿入し、その後、この配置順で、固定手段により各部材を枠体に、枠体の裏面から一体固定するので、例えば、固定手段としてビスを採用した場合には、単に各部材をビスで枠体に、枠体の裏面から一体固定するだけで、容易に組立てが完了することとなる。しかも、ビスが表面側に露出することなく外観を美しいものとしながら、一体固定することができる。
これにより、組み立てを容易に行うことが可能な構成として製造コストをより一層削減することができながら、上述のとおり、外観を美しいものとしながら、加熱室内からの伝熱を断熱部材により遮断する構成とすることができる。