(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態に係るオーバーヘッド型スキャナにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
[実施形態]
図1から
図7を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、オーバーヘッド型スキャナに関する。
図1は、実施形態に係るオーバーヘッド型スキャナを示す側面図、
図2は、実施形態に係るオーバーヘッド型スキャナの斜視図、
図3は、最前方読取位置におけるオーバーヘッド型スキャナを示す側面図、
図4は、実施形態に係るオーバーヘッド型スキャナのブロック図である。
【0017】
図1および
図2に示すオーバーヘッド型スキャナ1は、読取媒体Sを鉛直方向上方から読み取る画像読取装置である。
図1に示すように、オーバーヘッド型スキャナ1は、本体10および光学ユニット20を有する。オーバーヘッド型スキャナ1は、光学ユニット20の鉛直方向下方の載置面2に載置された読取媒体Sの画像を読み取ることができる。載置面2は、例えば、机の上面等の平面である。
【0018】
本体10は、台座部11、アーム部12、支持部13およびカバー部14を有する。台座部11は、載置面2等に載置されて本体10全体を支持するものであり、本体10の基部である。オーバーヘッド型スキャナ1の電源スイッチや画像読取開始スイッチ等の操作部材は、例えば台座部11に配置される。台座部11は、例えば、扁平な形状とされており、その底面11dが載置面2と互いに対向するようにして設置される。台座部11の底面11dには、脚部11bが配置されている。脚部11bは、台座部11の底面11dの四隅にそれぞれ配置されており、台座部11を支持する。
【0019】
本実施形態の台座部11は、扁平な直方体あるいはこれと同様や類似の形状を有しており、幅方向(後述する主走査方向)の長さおよび奥行方向(後述する副走査方向)の長さのいずれよりも鉛直方向の長さが小さい。また、台座部11における幅方向の長さは、奥行方向の長さよりも大きくされてもよい。
【0020】
読取媒体Sは、台座部11の側方の4面の内の1つの面である前面11aに読取媒体Sの一辺を突き当てるようにして載置される。読取媒体Sは、例えば、前面11a側に配置された二つの脚部11bに突き当てるようにして載置される。つまり、読取媒体Sは、一辺が前面11aと平行となるようにして載置面2に載置される。本明細書では、矩形の読取媒体Sの一辺を前面11aに突き当てるようにして載置したときの読取媒体Sにおける前面11a側の一辺と平行な方向を「幅方向」あるいは「主走査方向」と記載する。また、読取媒体Sにおける前面11a側の一辺と直交する辺に平行な方向を「奥行方向」あるいは「副走査方向」と記載する。つまり、奥行方向とは、ユーザーが読取媒体Sを挟んでオーバーヘッド型スキャナ1と対向しているときのユーザーとオーバーヘッド型スキャナ1とが向かい合う方向である。奥行方向において、背面11cから前面11aに向かう向きを前方と記載し、前面11aから背面11cに向かう向きを後方と記載する。なお、背面11cとは、台座部11の側方の4面の内、奥行方向において前面11aと互いに対向する面である。
【0021】
アーム部12は、台座部11と接続されており、台座部11から鉛直方向上方に向けて延在している。アーム部12は、例えば、断面矩形の柱状もしくは煙突状に形成されている。アーム部12の下部は、鉛直方向下側へ向かうに従い断面積が拡大するテーパ形状に形成されている。より具体的には、アーム部12の下部は、鉛直方向下側へ向かうに従い幅方向の長さが拡大している。アーム部12は、台座部11の上面における1辺側に接続されている。具体的には、アーム部12は、台座部11の上面の縁を形成する4辺のうち読取媒体Sが配置される側と反対側の1辺側に接続されている。言い換えると、アーム部12は、台座部11における読取媒体Sから遠い背面11c側の端部に接続されている。また、アーム部12は、台座部11における幅方向の中央部に接続されている。
【0022】
アーム部12の鉛直方向上方の端部には、支持部13が接続されている。支持部13は、アーム部12の上端から副走査方向の前方に向けて突出している。また、支持部13は、アーム部12の上端から幅方向の両側へ突出している。すなわち、支持部13は、アーム部12から読取媒体Sが載置される載置側へ張り出しており、かつアーム部12から幅方向の両側に張り出している。
【0023】
台座部11と支持部13とは鉛直方向において互いに対向しており、両者における奥行方向の読取媒体S側と反対側の端部同士がアーム部12を介して接続されている。また、支持部13は、台座部11よりも奥行方向の前方に張り出している。つまり、支持部13の前端は、台座部11の前端よりも前方に位置している。よって、支持部13の少なくとも一部は、読取媒体Sが台座部11に突き当てるようにして載置面2に載置されると、その読取媒体Sと鉛直方向において互いに対向する。
【0024】
カバー部14は、光学ユニット20の回転軸Xに設けられており、支持部13および光学ユニット20をカバーしている。カバー部14は、回転軸X、支持部13および光学ユニット20を鉛直方向上方から覆っており、支持部13および光学ユニット20を含む本体上部の外殻を形成している。なお、カバー部14は、支持部13と一体に形成されていてもよい。すなわち、光学ユニット20は、カバー部14によって本体10に対して回転軸X周りに回転自在に支持されていてもよい。
【0025】
本明細書では、特に記載しない限り「半径方向」とは、回転軸Xと直交する半径方向を示すものとする。また、本明細書では、特に記載しない場合、「軸方向視」とは回転軸Xの軸方向視を示すものとする。
【0026】
光学ユニット20は、本体10に対して回転軸X周りに回転することができる回転ユニットである。回転軸Xは、幅方向、すなわち前面11aと平行な方向に水平に延在している。つまり、回転軸Xは、鉛直軸Vと直交している。鉛直軸Vは、載置面2の法線と一致する。光学ユニット20は、光源21、撮像部22、本体23および軸部24を有する。軸部24は、円柱形状であり、軸受等を介して支持部13によって回転軸X周りに回転自在に支持されている。軸部24が支持部13によって支持されていることから、回転軸Xは、アーム部12の鉛直方向上方端部から台座部11に対して載置側に突出した位置にある。本体23は、軸部24と接続されており、軸部24から回転軸Xの半径方向外側に延在している。本体23は、例えば、軸方向視における断面形状が矩形の中空の部材である。光源21および撮像部22は、本体23内に搭載されている。
【0027】
支持部13には、駆動装置(
図4の符号31参照)が配置されている。駆動装置31は、光学ユニット20に対して回転軸X周りの駆動力を作用させることにより、光学ユニット20を回転軸X周りに揺動させることができる。駆動装置31は、例えば、電動式のモータ等の駆動源と、モータの回転軸と光学ユニット20とを接続する伝達部とを有する。モータは、例えば、ステッピングモータであり、光学ユニット20の回転角度を精度良く制御することができる。また、伝達部は、例えば、プーリ、ベルト、ウォームギア等の組合せからなり、モータの回転を減速して光学ユニット20に伝達する。
【0028】
光源21は、LED等の発光部を有しており、読取媒体Sに対して鉛直方向上方から光を照射することができる。光源21は、読取媒体Sに対してスリット状の光を照射する機能を有しており、例えば、スリット状に光を照射することができるレンズを備えている。光源21は、発光部およびレンズを有する照明モジュールを複数有していてもよい。例えば、撮像部22を挟んで主走査方向の両側にそれぞれ照明モジュールが配置されてもよい。
【0029】
図1に示すように、光源21と撮像部22とは、軸方向視において重なるように配置されている。より具体的には、光源21の光軸A1と撮像部22の光軸A2とは軸方向視において重なっており、同軸上にある。また、光源21と撮像部22とは、回転軸Xから半径方向外側に延在する同一の仮想線W上に配置されている。例えば、上記仮想線Wとして回転軸Xと後述するCCD27の受光面27aとを結ぶ半径方向の直線を引いた場合に、光源21がその仮想線W上に配置されている。
【0030】
撮像部22は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を有するイメージセンサであり、光学ユニット20の鉛直方向下方の載置面2に載置された読取媒体Sを撮像することができる。具体的には、撮像部22は、読取対象ラインL上の読取画像によって反射されて撮像部22に入射された反射光を光電変換により電子データに変換して読取画像の画像データを生成する。撮像部22は、読取レンズ26およびCCD27を有する。CCD27は、画像を読み取る複数の画素が主走査方向に配列されたラインセンサである。CCD27は、主走査方向が回転軸Xと平行な状態で光学ユニット20に配置されている。読取レンズ26は、読取媒体Sからの反射光をCCD27の受光面27aに結像させる。CCD27の各画素は、読取レンズ26によって受光面27aに結像した読取画像の光を受光し、受光した光に対応する電気信号を出力する。CCD27は、読取媒体Sの読取対象ラインL上の画像を読み取り、主走査方向のライン画像データを生成することができる。なお、CCD27のライン数は、単数であっても複数であってもよい。
【0031】
光源21は、読取媒体Sにおける読取対象ラインL上の画像、すなわち読取画像に対して光を照射する。光源21は、光軸A1に対して照射光が所定の角度で広がるように調整されている。この角度は、読取媒体S上における照射光の副走査方向の幅が所定の値となるように定められたものである。また、光源21は、照射光が主走査方向に広がって読取媒体Sの一端から他端までを照射することができるように調整されている。
【0032】
図4に示すように、オーバーヘッド型スキャナ1は、制御部30を有する。制御部30は、例えば、コンピュータを有する電子制御装置である。制御部30は、画像読み取り時に光源21、撮像部22および駆動装置31を制御する機能を有し、かつ、本体10の転倒時に光学ユニット20を待機位置に移動させる機能を有している。制御部30は、入出力インタフェース部33を介して光源21、撮像部22、駆動装置31および姿勢変化検出手段32と接続されている。また、制御部30は、入出力インタフェース部33を介してPCあるいは情報端末等の外部機器40と接続可能である。オーバーヘッド型スキャナ1は、外部機器40によって制御可能であり、例えば、外部機器40からの読取指令に応じて読取媒体Sの読み取りを行う機能や、読み取った読取媒体Sの画像データを外部機器40に出力する機能を有する。
【0033】
制御部30は、光源21に対する電力供給を調節することで、光源21の点灯・消灯を制御する。また、制御部30は、光源21の発光量を制御する機能を有していてもよい。制御部30は、撮像部22による画像読み取り時に光源21を点灯させ、読取対象ラインLに対して光を照射させる。また、制御部30は、撮像部22を駆動して読取媒体Sを読み取らせ、撮像部22が生成した画像データを取得することができる。
【0034】
制御部30は、駆動装置31を制御して光学ユニット20を回転軸X周りに揺動させることができる。制御部30は、光学ユニット20の回転軸X周りの回転位置を調節することにより、読取媒体S上における副走査方向の任意の位置を読取対象ラインLとしてそのライン画像を読み取ることができる。オーバーヘッド型スキャナ1は、ライン画像データの取得と、光学ユニット20を回転させることによる読取対象ラインLの位置調整とを繰り返すことで、読取媒体S全体の画像データを取得することができる。つまり、オーバーヘッド型スキャナ1は、光源21の照射光が原稿面上を副走査方向に走査し、かつ光が照射されている読取対象ラインLの画像を撮像部22が読み取ることによって読取媒体Sの画像を生成する。オーバーヘッド型スキャナ1は、例えば、奥行方向の後方から前方へ順次読取対象ラインLの位置を移動させながら各読取対象ラインLのライン画像を読み取ることで、読取媒体Sの2次元画像データを生成する。
【0035】
本実施形態のオーバーヘッド型スキャナ1では、撮像部22が光学ユニット20と共に回転し、回転軸Xを中心とする円周上を回転軸X周りに回転しながら読取媒体Sを走査・撮像する。これにより、撮像部22と読取対象位置である読取対象ラインLとの光路長の変動が抑制される。
【0036】
図1には、読取可能範囲における最も後方側を撮像するときの回転位置にある光学ユニット20が示されている。以下、光学ユニット20のこの回転位置を「最後方読取位置」とも記載する。最後方読取位置の光学ユニット20は、台座部11の前方端に突き当てられた読取媒体Sの一辺を読み取ることができる。最後方読取位置は、画像の読み取りを開始するときの光学ユニット20の回転位置である。
【0037】
最後方読取位置では、光学ユニット20の本体23は、軸部24よりも後方に位置している。最後方読取位置の光学ユニット20は、回転軸Xからほぼ水平な方向に延在しており、詳しくは、回転軸Xから半径方向に離れるに従って鉛直方向下側に向かうようにわずかに傾斜している。つまり、本体23は、半径方向の外側の部分が内側の部分よりも副走査方向の後方かつ鉛直方向下方に位置するように傾斜した姿勢である。最後方読取位置は、光学ユニット20の待機位置でもある。この待機位置は、撮像部22が読取媒体Sの読み取りを行わないときの光学ユニット20の回転位置である。すなわち、光学ユニット20は、画像の読み取りを行わないときには最後方読取位置に置かれて画像読み取り開始の指令がなされるまで待機する。なお、待機位置は、最後方読取位置とは異なる位置であってもよい。例えば、待機位置は、最後方読取位置よりも本体23が鉛直方向上方にある位置、言い換えると最後方読取位置よりも矢印Y1で示す送り出し方向と反対方向まで回転した位置とされてもよい。
【0038】
最後方読取位置にある光学ユニット20は、台座部11とカバー部14との前方側の接線Tよりも後方側にある。言い換えると、待機位置にある光学ユニット20は、台座部11とカバー部14との載置側の接線Tよりも載置側と反対側にある。これにより、光学ユニット20が待機位置にある状態で本体10が転倒したとしても、光学ユニット20が載置面2に直接接触することが抑制される。また、光学ユニット20の揺動範囲は、光学ユニット20が少なくとも待機位置にある場合に、光学ユニット20が上記接線Tよりも載置側と反対側に位置するように定められている。言い換えると、最前方読取位置にあるときには、光学ユニット20の少なくとも一部が接線Tよりも載置側に位置するようにされていてもよい。
【0039】
図1に示すように、光学ユニット20が読取媒体Sの読み取りを開始する位置にあるときの光源21および撮像部22は、それぞれの光軸方向において載置面2と対向している。言い換えると、最後方読取位置にある状態の光源21および撮像部22は、それぞれ載置面2に光を照射可能な状態および載置面2の画像を読取可能な状態である。
図1に示すように、光源21の光軸A1および撮像部22の光軸A2は、いずれも回転軸Xと交差しておらず、軸方向視において回転軸Xから離間している。光学ユニット20が最後方読取位置にある場合の光軸A1,A2は、いずれも鉛直方向下方へ向かうに従い前方へ向かう傾斜を有している。
【0040】
最後方読取位置から読取媒体Sの読み取りを開始すると、駆動装置31は、光学ユニット20を送り出し方向Y1に回転させる。言い換えると、駆動装置31は、光学ユニット20の本体23が鉛直方向下方に移動し、かつ前方に移動するように光学ユニット20を回転させる。この回転方向は、光学ユニット20を読取媒体Sが載置される載置側に回転軸X周りに揺動させる方向であり、光学ユニット20を載置面2に近づける方向に回転軸X周りに揺動させる方向でもある。
【0041】
駆動装置31によって送り出し方向Y1に揺動されることにより、撮像部22による読取対象位置が前方へ移動し、後方から前方へ順次読取媒体Sを読み取ることができる。光学ユニット20の回転によって、撮像部22が鉛直方向下方に移動することで、撮像部22と読取対象ラインLとの鉛直方向の距離、すなわち光路長の鉛直方向成分が減少する。一方、光学ユニット20の回転によって、鉛直軸Vに対する撮像部22の光軸A2の傾斜角度θ1が増加し、撮像部22と読取対象ラインLとの副走査方向の距離、すなわち光路長の副走査方向成分が増加する。このように、光学ユニット20の回転に伴って光路長の鉛直方向成分が減少し、かつ副走査方向成分が増加することで、読取媒体Sを走査する間の光路長の変動が抑制される。
【0042】
図3は、光学ユニット20が読取可能範囲における最も前方側を撮像するときの回転位置にあるオーバーヘッド型スキャナ1を示す側面図である。以下、光学ユニット20のこの回転位置を「最前方読取位置」とも記載する。最前方読取位置では、光学ユニット20の本体23は、軸部24の鉛直方向下方に位置している。最前方読取位置の光学ユニット20の本体23は、半径方向の外側の部分が内側の部分よりも副走査方向の後方かつ鉛直方向下方に位置するように傾斜した姿勢である。このときの撮像部22および光源21は、回転軸Xよりも後方に位置している。撮像部22の光軸A2は、鉛直方向下側へ向かうに従い前方へ向かうように傾斜している。このときの鉛直軸Vに対する光軸A2の傾斜角度θ1は、最後方読取位置(
図1参照)の傾斜角度θ1よりも大きな角度である。
【0043】
本実施形態のオーバーヘッド型スキャナ1では、光学ユニット20が最後方読取位置から最前方読取位置まで回転する間に、回転に伴って光路長の鉛直方向成分が減少し続ける一方、光路長の副走査方向成分は増加し続ける。つまり、光路長の鉛直方向成分と副走査方向成分とは、光路長の増減に関して常に反対方向に変化し続ける。これにより、撮像部22と読取媒体Sとの光路長の最大値と最小値との差分が低減する。例えば、撮像部22の高さ位置を350[mm]としてA3サイズの読取媒体Sを読み取る場合を例に説明すると、本実施形態とは異なり回転軸X上に撮像部22を配置して撮像部22の鉛直方向の位置が変化しない状態で読み取りを行うと、光路長の最大値が510[mm]、最小値が350[mm]であり、光路長の差分は160[mm]となる。これに対して、本実施形態のように振子状の光学ユニット20の本体23に撮像部22を配置した場合、光路長の最大値を450[mm]程度に抑えることも可能であり、この場合の光路長の差分は100[mm]程度まで低減する。
【0044】
よって、本実施形態のオーバーヘッド型スキャナ1によれば、光学ユニット20の高さ位置を高くすることなく被写界深度を低減させることが可能となる。なお、光学ユニット20の高さ位置や光学ユニット20における撮像部22の半径方向位置、回転軸XとCCD27の受光面27aとを結ぶ半径方向Wに対する光軸A2の交差角度等は、適宜定めることができる。例えば、所与の条件に基づいて最後方読取位置から最前方読取位置まで光学ユニット20を回転させるときの光路長の変化率や変化量を極力少なくするように各寸法や角度等を設定するようにしてもよい。
【0045】
制御部30は、読取媒体Sの読み取りが終了すると、駆動装置31によって光学ユニット20を待機位置まで移動させる。待機位置まで移動した光学ユニット20は、カバー部14内の収納位置に収納されて保護される。このように、駆動装置31は、光学ユニット20を回転軸X周りに回転・揺動させることにより、待機位置から最前方読取位置までの揺動範囲の任意の位置に光学ユニット20を移動させることができる。
【0046】
また、本実施形態では、光源21が光学ユニット20に搭載されている。光源21は、光学ユニット20の回転に伴って回転軸Xを中心とする円周上を回転軸X周りに回転しながら読取媒体Sに光を照射する。これにより、光源21と読取対象ラインLとの光路長の変化が抑制され、副走査方向の位置による照度変化が抑制される。撮像部22の場合と同様、光学ユニット20の回転に伴い、光源21と読取対象ラインLとの光路長の鉛直方向成分は減少し、副走査方向成分は増加する。よって、光源21が読取媒体Sを後方端から前方端まで走査する間の光源21と読取対象ラインLとの光路長の変化が抑制される。よって、副走査方向の位置による照度の変化が抑制され、オーバーヘッド型スキャナ1が生成する画像の画質が向上する。また、本実施形態のオーバーヘッド型スキャナ1によれば、光学ユニット20の高さ位置が高くなることが抑制される。よって、読取対象ラインLの照度を確保し、生成される画像の画質を向上させることができる。
【0047】
ここで、載置面2に載置された読取媒体Sを鉛直方向上方から撮像するオーバーヘッド型スキャナ、例えば本実施形態のオーバーヘッド型スキャナ1では、台座部11に対して光学ユニット20が鉛直方向上方に配置される。このことから、装置全体の高さが大きくなりやすく、転倒の虞がある。例えば、人や物体がぶつかってきた場合に、本体10がバランスを崩して転倒する可能性が考えられる。本体10が転倒するときに、光学ユニット20が、撮像部22による読取媒体Sの読み取りを行うことができる読取可能位置にあると、光学ユニット20が載置面2等に接触してしまう虞がある。また、本体10が転倒したままで読取媒体Sの読み取りが開始あるいは継続されると、駆動装置31に過大な負荷がかかる虞がある。光学ユニット20の構成要素や駆動装置31を保護する観点から、転倒時に光学ユニット20が載置面2等と接触することを抑制できることが望ましい。
【0048】
本実施形態のオーバーヘッド型スキャナ1は、本体10の姿勢変化を検出する姿勢変化検出手段32を備えており、光学ユニット20が読取可能位置にあるときに本体10が転倒すると判断すると、光学ユニット20を待機位置に向けて揺動させる。これにより、転倒時に光学ユニット20を保護することができる。
図4に示すように、制御部30は、入出力インタフェース部33を介して姿勢変化検出手段32と接続されている。本実施形態に係る姿勢変化検出手段32は、以下に説明するように、本体10の転倒を検出するスイッチである。以下の説明において、姿勢変化検出手段32を単に「スイッチ32」とも記載する。
【0049】
図1に示すように、スイッチ32は、台座部11の底部に配置されており、台座部11の底面11dから突出している。スイッチ32は、底面11dから突出する方向にバネ等の付勢力を受けており、スイッチ32の先端は、当該付勢力によって脚部11bの先端よりも底面11dから離間した位置まで突出することができる。オーバーヘッド型スキャナ1が載置面2に載置されると、スイッチ32は、載置面2によって台座部11内に向けて押し込まれる。
【0050】
スイッチ32は、載置面2に当接して押し込まれることによりON/OFF状態が切り替わるものである。スイッチ32は、例えば、載置面2等に当接していない場合など、付勢力によって脚部11bよりも突出している状態ではOFFとなり、載置面2等に当接して台座部11内に押し込まれている状態でONとなるように構成されている。
【0051】
図1に示すように、オーバーヘッド型スキャナ1が載置面2に載置された状態、すなわち、台座部11の底面11dが載置面2と平行な状態では、スイッチ32は、載置面2に当接して載置面2から押圧されることにより台座部11内に押し込まれている。このとき、スイッチ32はONの状態である。本明細書では、台座部11の底面11dが載置面2と平行な状態で本体10が載置面2に載置されている状態を「水平載置状態」と記載する。制御部30は、スイッチ32がONの状態であると、本体10が安定した姿勢にある水平載置状態であると判断する。本体10が安定した姿勢にあるとは、台座部11の脚部11bがそれぞれ適切に載置面2に当接した状態、底面11dが載置面2と平行な状態、本体10が転倒すると判定されない状態である。
【0052】
図5は、本体10が傾斜した状態を示す図である。人や物がオーバーヘッド型スキャナ1に接触した場合など、本体10が傾斜した場合、スイッチ32がONからOFFに切り替わる。
図5に示すように、本体10の姿勢が変化し、脚部11bが載置面2から浮き上がると、載置面2がスイッチ32を押し込む押圧力が低下し、スイッチ32が突出してOFFの状態に切り替わる。制御部30は、スイッチ32がOFFの状態であると、本体10が転倒すると判断する。スイッチ32がOFFの状態は、台座部11が有する複数の脚部11bの少なくとも一部が載置面2から離間した状態、底面11dが載置面2に対して傾斜した状態、本体10がバランスを崩した状態である。この状態は、本体10が転倒すると判断できる状態、あるいは本体10が転倒する虞がある状態である。
【0053】
制御部30は、スイッチ32がOFFの状態であることを検出すると、駆動装置31によって光学ユニット20を待機位置に向けて揺動させる。このときの光学ユニット20の回転方向は、
図5に矢印Y2で示す戻り方向、すなわち、
図1に示す送り出し方向Y1とは逆方向である。言い換えると、制御部30は、本体10が転倒すると判断すると、駆動装置31によって光学ユニット20をカバー部14内に収納する方向、すなわち最前方読取位置から最後方読取位置へ向かう方向に移動させる。これにより、転倒時に光学ユニット20が載置面2等に接触することが抑制され、光学ユニット20が保護される。
【0054】
図6は、本体10が傾倒する途中で光学ユニット20の待機位置への移動が完了した状態を示す図である。光学ユニット20が待機位置に収納された状態であると、転倒するときに、まずカバー部14が載置面2に当たる。また、光学ユニット20が待機位置まで戻されていなくても、台座部11とカバー部14との前方側の接線Tよりも後方側の位置にあれば、転倒時にカバー部14が載置面2に当たる。これにより、光学ユニット20が載置面2等に接触することが抑制される。また、転倒による衝撃がカバー部14によって吸収され、光学ユニット20に対する衝撃が緩和される。よって、本実施形態のオーバーヘッド型スキャナ1は、転倒時に光学ユニット20を保護することができる。
【0055】
図7は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
図7を参照して、本実施形態の動作について説明する。
図7に示す制御フローは、例えば、撮像部22によって読取媒体Sを読み取っている場合など、光学ユニット20が読取可能位置にある場合に実行されるものであり、所定の間隔で繰り返し実行されることができる。
【0056】
まず、ステップS1では、制御部30により、本体10の姿勢が取得される。制御部30は、姿勢変化検出手段であるスイッチ32のON/OFF状態を取得する。スイッチ32の検出結果は、本体10の姿勢変化を示す。例えば、スイッチ32がONからOFFに変化することは、本体10の姿勢が水平載置状態から傾斜した状態に変化したことを示す。スイッチ32がOFFからONに変化することは、本体10の姿勢が傾斜した不安定な状態から水平載置状態に変化したことを示す。また、スイッチ32がOFF状態のままであることは、本体10の姿勢が傾斜した不安定な状態のままであることや傾斜の度合いが増して転倒しつつあることを示す。ステップS1が実行されると、ステップS2に進む。
【0057】
ステップS2では、制御部30により、本体10が転倒するか否かが判定される。制御部30は、スイッチ32の検出結果に基づいてステップS2の判定を行う。制御部30は、例えば、スイッチ32のOFF状態を検出した場合や、スイッチ32のON状態からOFF状態への変化を検出した場合に、本体10が転倒すると判断する。ステップS2の判定の結果、本体10が転倒すると判定された場合(ステップS2−Y)にはステップS3に進み、そうでない場合(ステップS2−N)には本制御フローは終了する。
【0058】
ステップS3では、制御部30により、光学ユニット20が待機位置に移動される。制御部30は、駆動装置31によって光学ユニット20を待機位置に向けて揺動させる。なお、このときに光学ユニット20を待機位置に向けて回転させる回転速度は、駆動装置31の能力の範囲内で可能な限り高速とされてもよい。例えば、転倒時に待機位置に待避させるときの光学ユニット20の回転速度は、本体10が転倒すると判断されていないときに光学ユニット20を待機位置まで移動させるときの回転速度よりも高速であることが好ましい。また、転倒時に待機位置に待避させるときの光学ユニット20の回転速度は、駆動装置31によって光学ユニット20を回転させることができる最大速度とされてもよい。ステップS3が実行されると、ステップS4に進む。
【0059】
ステップS4では、制御部30により、光源21が消灯される。制御部30は、光源21に対する電力供給を停止させ、光源21を消灯させる。光源21を消灯させることにより、駆動装置31に対して供給する電力量を増加させることができる。例えば、駆動装置31のモータに対する駆動電流を増加させて光学ユニット20の回転速度を増加させることが可能となる。なお、ステップS4において、光源21のみならず、撮像部22に対する電力供給を停止するようにしてもよい。また、光学ユニット20の全ての機器に対する電力供給を停止するようにしてもよい。ステップS4が実行されると、ステップS5に進む。
【0060】
ステップS5では、制御部30により、光学ユニット20が待機位置にあるか否かが判定される。制御部30は、例えば、光学ユニット20の回転移動を検出するエンコーダの検出結果に基づいて、光学ユニット20が待機位置にあるか否かを判定することができる。なお、これに限らず、光学ユニット20が待機位置にあることを検出できるスイッチの検出結果等に基づいてステップS5の判定がなされてもよい。ステップS5の判定の結果、光学ユニット20が待機位置にあると判定された場合(ステップS5−Y)には本制御フローは終了し、そうでない場合(ステップS5−N)にはステップS3に移行する。
【0061】
なお、スイッチ32のON/OFFの切り替わりは、本体10が転倒に至る傾斜状態において生じることが好ましい。
図5を参照して説明すると、例えば、本体10が前方に傾斜した場合に、底面11dと載置面2とのなす角度、すなわち本体10の傾斜角αが、ある閾値を超えると本体10が転倒に至る。一方、本体10の傾斜角αが、閾値未満であれば、本体10は転倒には至らずに水平載置状態に復する。この場合、スイッチ32は、傾斜角αが閾値未満であればONとなり、傾斜角αが閾値を超えるとOFFとなるように切り替わり位置が定められていることが好ましい。
【0062】
なお、姿勢変化検出手段32は、スイッチ32に限定されるものではない。姿勢変化検出手段32は、例えば、加速度センサ、圧力スイッチ等であってもよい。例えば、オーバーヘッド型スキャナ1が姿勢変化検出手段32として加速度センサを備える場合、本体10の主走査方向の加速度、副走査方向の加速度、鉛直方向の加速度の少なくとも一つに基づいて本体10が転倒するか否かが判断されてもよい。加速度センサは、例えば、カバー部14等の本体10における上部に配置されてもよく、台座部11等の本体10における下部に配置されてもよい。加速度センサによって、一定以上の加速度が検出された場合に本体10が転倒すると判断することが可能である。
【0063】
また、姿勢変化検出手段32として、圧力スイッチが用いられてもよい。圧力スイッチは、例えば、台座部11の脚部11bの底部に配置され、本体10が載置面2に載置されたときの圧力を検出する。圧力スイッチによって検出される圧力の低下に基づいて、本体10の傾斜等の姿勢変化を検出することができる。制御部30は、例えば、圧力スイッチの検出する圧力が低下した場合に本体10が転倒すると判断してもよく、検出された圧力低下が一定時間継続した場合に本体10が転倒すると判断してもよく、検出される圧力の低下度合いが大きい場合に本体10が転倒すると判断してもよい。
【0064】
なお、撮像部22によって読み取られた画像データに基づいて、本体10が転倒するか否かが判断されてもよい。例えば、載置面2に現在の読取位置を判断できるスリット等の目印があれば、生成される画像に基づいて本体10の姿勢変化を検出することが可能である。
【0065】
なお、本実施形態では、光源21が光学ユニット20に搭載されていたが、これには限定されない。光源21は、光学ユニット20とは独立して本体10に配置されていてもよい。この場合に、本体10の転倒時に光源21を消灯するようにすれば、光源21が周囲に光を照射して眩しさを感じさせることを抑制することができる。
【0066】
本体10に対する回転軸Xおよび光学ユニット20の配置、駆動装置31の駆動方式、姿勢変化検出手段32の検出方法等は、本実施形態において例示したものには限定されず、適宜定めることができる。
【0067】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。上記実施形態のオーバーヘッド型スキャナ1は、さらに、トルクリミッタを備えていてもよい。
図8は、本変形例に係るオーバーヘッド型スキャナ50を示す側面図、
図9は、本変形例に係るオーバーヘッド型スキャナ50の動作説明図である。
【0068】
図8に示すように、オーバーヘッド型スキャナ50は、トルクリミッタ41を備える。トルクリミッタ41は、駆動装置31と光学ユニット20との間に介在している。すなわち、トルクリミッタ41は、駆動装置31が光学ユニット20を回転駆動する駆動力の伝達経路に配置されている。トルクリミッタ41は、例えば、光学ユニット20の軸部24に配置されており、駆動装置31の駆動源であるモータが出力するトルクを軸部24に伝達する。トルクリミッタ41は、伝達するトルクの大きさが所定トルクを超えた場合に空転し、それ以上の大きさのトルクが伝達されることを制限する。トルクリミッタ41は、いずれか一方の回転方向のトルク伝達を制限可能なものであっても、両方の回転方向のトルク伝達を制限可能なものであってもよい。
【0069】
例えば、トルクリミッタ41が両回転方向の過大なトルクの伝達を制限可能なものであれば、光学ユニット20を待機位置から最前方読取位置に向かう送り出し方向Y1に移動させるときの過負荷、および光学ユニット20を最前方読取位置から待機位置に向かう戻り方向Y2に移動させるときの過負荷をそれぞれ抑制することができる。これにより、光学ユニット20が障害物に接触した場合やユーザーが光学ユニット20に誤って触れた場合に光学ユニット20に過大な力やトルクが作用することが抑制され、光学ユニット20が保護される。また、駆動装置31の過負荷を抑制し、駆動装置31を保護することができる。
【0070】
本変形例によれば、例えば、
図9を参照して説明するように、転倒検知前に光学ユニット20および駆動装置31が保護される。
図9には、オーバーヘッド型スキャナ50が前方に傾斜して転倒するときであって、姿勢変化検出手段32に基づく転倒判断前に光学ユニット20が障害物42に接触した状態が示されている。転倒判断がなされて光学ユニット20が待機位置に向けて揺動される前に光学ユニット20が障害物42に接触してしまうと、転倒の勢いやオーバーヘッド型スキャナ50の自重によって、光学ユニット20と駆動装置31との駆動力の伝達経路に過大なトルクが作用する虞がある。ユーザーが光学ユニット20に触った場合も同様であり、例えば、転倒しかけた本体10を支えようとしてユーザーが光学ユニット20に触れると、駆動力の伝達経路に過大なトルクが作用する虞がある。これに対して、本変形例のオーバーヘッド型スキャナ50では、トルクリミッタ41が作動して過大なトルクの伝達を制限し、光学ユニット20および駆動装置31を保護する。
【0071】
また、トルクリミッタ41は、転倒時に限らず、光学ユニット20と駆動装置31との駆動力の伝達経路における過負荷を抑制することができる。光学ユニット20の揺動制御における制御精度を向上させる場合、駆動装置31の駆動源から光学ユニット20までの減速比を大きくすることが有利である。一方、この場合、光学ユニット20に対して外部からの力によって過大なトルクが作用したときに、駆動装置31の負荷が過大となりやすい。本実施形態のオーバーヘッド型スキャナ50は、駆動装置31の減速比を大きなものとした場合の駆動装置31の過負荷を効果的に抑制し、駆動装置31を保護することができる。
【0072】
なお、撮像部22によって読取媒体Sを読み取っている間に光学ユニット20が障害物42に接触し、トルクリミッタ41が空転し続ける場合、撮像部22は同一の読取対象ラインLの読み取りを繰り返すこととなる。この場合、制御部30は、撮像部22によって生成された画像データに基づき、トルクリミッタ41により光学ユニット20と駆動装置31とのトルク伝達が制限されている異常発生と判断するようにしてもよい。つまり、撮像部22は、トルクリミッタ41によりトルク伝達が制限されていることを検出するトルク制限検出手段として機能することが可能である。更に、制御部30は、異常発生と判断した場合に駆動装置31を停止したり、光学ユニット20を現在の揺動方向と反対方向に揺動させたりするようにしてもよく、あるいはユーザーに対して異常検知の注意喚起をするようにしてもよい。また、異常発生と判断した場合には、光学ユニット20に対する電力供給を停止するようにしてもよい。
【0073】
なお、トルクリミッタ41によるトルク伝達の制限を検知する手段は、撮像部22が生成する画像データに基づくものには限定されない。制御部30は、例えば、光学ユニット20の回転方向を検出する手段の検出結果に基づき、光学ユニット20が駆動装置31の発生するトルクによる回転方向と逆方向に回転する場合に異常と判断するようにしてもよい。例えば、駆動装置31が光学ユニット20を送り出し方向Y1に揺動させているにもかかわらず、光学ユニット20の実際の揺動方向が戻り方向Y2となっていれば、トルク伝達が制限されていると判断することが可能である。光学ユニット20の回転方向や回転量は、エンコーダ等によって検出可能である。
【0074】
また、制御部30は、駆動装置31の駆動電流値に基づいて異常判定を行うようにしてもよい。駆動装置31のモータに対する駆動電流値を検出する検出手段の検出結果に基づいて、トルクリミッタ41がトルク伝達を制限しているか否かを判断することができる。
【0075】
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。
図10は、本変形例に係るオーバーヘッド型スキャナ60を示す側面図である。オーバーヘッド型スキャナ60において、光学ユニット20の揺動範囲は、転倒時に光学ユニット20が載置面2に直接接触してしまうことを抑制できるように定められている。具体的には、揺動限界時における光学ユニット20は、台座部11とカバー部14との前方側の接線Tよりも後方側にある。これにより、本変形例に係るオーバーヘッド型スキャナ60によれば、光学ユニット20に対する保護性能を高めることができる。
【0076】
図10には、光学ユニット20が最前方読取位置にあるときのオーバーヘッド型スキャナ60が示されている。最前方読取位置は、待機位置から送り出し方向Y1に光学ユニット20を揺動させるときの揺動限界の位置である。揺動限界の位置にある光学ユニット20は、カバー部14の前端と台座部11の前端とに接する接線Tよりも後方側にある。言い換えると、揺動限界時における光学ユニット20は、台座部11とカバー部14との載置側の接線Tよりも載置側と反対側にある。
【0077】
従って、仮に光学ユニット20が揺動限界位置にある状態のままで本体10が前方に傾斜して転倒したとしても、光学ユニット20が載置面2に直接接触することが抑制される。よって、本実施形態のオーバーヘッド型スキャナ60によれば、転倒時に駆動装置31によって光学ユニット20を待機位置まで揺動させること、および転倒時に載置面2に接触してしまうことを抑制可能な範囲で光学ユニット20を揺動させることにより、光学ユニット20および駆動装置31を適切に保護することができる。
【0078】
[実施形態の第3変形例]
実施形態の第3変形例について説明する。
図11は、本変形例に係るオーバーヘッド型スキャナ70を示す側面図である。本変形例に係るオーバーヘッド型スキャナ70は、転倒時に光学ユニット20が載置面2に接触した場合に、光学ユニット20に対して戻り方向Y2の力が作用するように揺動限界の位置が定められている。これにより、光学ユニット20が揺動限界位置を超えて回転してしまうことが抑制され、光学ユニット20が保護される。
【0079】
図11には、オーバーヘッド型スキャナ70が転倒し、揺動限界位置にある光学ユニット20が載置面2に接地した状態が示されている。
図11では、転倒時に光学ユニット20の本体23における送り出し方向Y1の端部23aが載置面2に当接している。このときの回転軸Xと端部23aとを結ぶ半径方向Bは、鉛直方向下方へ向かうに従い後方へ向かう傾斜を有している。言い換えると、端部23aが接地する位置は、回転軸Xから載置面2に下ろした垂線の足Hよりも台座部11側の位置である。
【0080】
これにより、光学ユニット20には、戻り方向Y2の力が働く。よって、揺動限界位置において光学ユニット20に対して更に送り出し方向Y1の力が作用することが抑制され、光学ユニット20および駆動装置31が保護される。転倒判断時に駆動装置31が光学ユニット20を待機位置に向けて移動させているときに、駆動装置31から光学ユニット20に加えられるトルクの向きと、載置面2から受ける力により光学ユニット20に発生するトルクの向きとが一致することで、駆動装置31の負荷が軽減される。
【0081】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実施することができる。