【実施例】
【0019】
以下に説明するように、「より粗い」顔料を選択するための主基準は、PCCグレードB(または、PCCグレードC)とS−PCCのブレンドと混合したとき(すべては以下及び表1に例示されている)、前記ブレンドの粒度分布データの最細部分に明らかな影響を与えない粒度分布の特徴を有していなければならず、特に粒子<0.2μmの量に殆ど寄与してはならず、好ましくは<0.3μmの粒子の量、より好ましくは<0.5μmの粒子の量、最も好ましくは<1μmの粒子の量に全く寄与してはならないことである。
【0020】
上記基準に適合する填料または顔料が許容され得、製紙業界または類似業界で使用されているもの、例えばPCC、GCC(重質炭酸カルシウム、天然)、クレー、カオリン、ドロマイト、酸化チタン(TiO
2)等の中から当業者は日常的に試験することができる。
【0021】
表1は、実験において言及されている「顔料データ」を示す。
【0022】
左欄中、測定値及び特性はすべて当業者に公知の標準のものであり、例えばBET比表面積はISO標準9277に従って測定され、粒度分布はMicromeritics(商標)が製造しているSedigraph(商標)5100装置で証明されている。
【0023】
粘度Bは、ブルックフィールド粘度計を用いて25℃、適当なスピンドル及び速度で測定したブルックフィールド粘度を意味する。
【0024】
表面電荷は、公知方法に従って測定されるが、本発明を理解するために特に有用ではない。しかしながら、デフォルトにより水性インクジェットを(今日、新聞用紙のために頻用されており、当該インクを適用することもできる)フレクソグラフィーと結びつけたくない場合を除いて、帯電染料を含む水性インクを考えるとき表面電荷は非常に有用であり得ると当業者は認識している。
【0025】
白色度R−457も当業者に公知であり、白色度R−457は装置DATACOLOR ELREPHO(商標)3300を用いてDIN標準53140に従って測定される。
【0026】
分散剤は公知であり、製紙業界で使用されている一般的物質、例えばポリカルボキシレート等の中から選択される。分散剤は本発明を理解するために特に有用でない。しかしながら、ポリマーが特定のインク染料の吸収を促進する特定の表面電荷を与えるならば、理解するために非常に関連し得る。再び、上記コメントが当てはまる。
【0027】
吸油量は公知方法に従って測定され、本発明を理解するために特に有用でない。
【0028】
HYDREX(商標)Pは、公知標準に相当するケイ酸Naである市販品である。表、具体的には表1「顔料データ」を分析するとき、表から分かるように本発明の組成物はHYDREX Pよりもかなり低いBET値を有し、他の特性はより良好または類似であることは注目すべきことである。
【0029】
試験1は、固体含量が38重量%のH
3PO
4で処理した白亜に関する。
【0030】
試験2は、固体含量が38重量%のH
3PO
4で処理した大理石に関する。
【0031】
試験「C3」は、「PCCグレードC」製品に関する。
【0032】
試験「INV4」は、PCCグレードC/S−PCC 50/50(乾燥重量%)のブレンドである本発明の好ましい組成物である。
【0033】
試験「B5」は、「PCCグレードB」製品に関する。
【0034】
試験「S6」は、「S−PCC」(Sは「偏三角面体の」)に関する。
【0035】
実験(実験)1及び2は、本発明に従って実施した実験である。
実験1は、本発明のPCCグレードB/S−PCCの50/50乾燥重量%ブレンドに相当する。
実験2は、本発明のPCCグレードC/S−PCCの70/30乾燥重量%ブレンドに相当する。
【0036】
実験3は、PCCグレードB及び白亜の50/50重量%ブレンドである比較製品である。
【0037】
試験7は、100% 白亜である天然(重質)炭酸カルシウムを用いて実施した比較験である。
【0038】
試験8は、重質炭酸カルシウムを用いて実施した別の比較実験である。
【0039】
表2 試験条件
【0040】
実験製紙試験の条件を表2に要約する。
【0041】
DIPは、公知のような脱墨パルプを意味する。
【0042】
歩留改良剤は、使用されているPolymin(商標)とは異なり得、非限定的に一成分または所謂「二成分」系のいずれか、例えば特にアクリル酸(コ)ポリマー及び当業者に公知の二次歩留改良剤、例えばベントナイト、或いは澱粉または澱粉誘導体等であり得る。
【0043】
表3 填料含量(二次/一次)
【0044】
二次(すなわち、基本的)顔料/填料ブレンドは、3.5重量% CaCO
3及び7.5重量% クレーの混合物であり、最小許容と見なされる11%のSレベルを形成する。
【0045】
比較において、この11重量%の基本的填料に加えて、表1の試験及び実験に相当する表の下に示す填料をブレンドの全量の2重量%(左側)または4重量%(右側)添加した。
【0046】
表3中の%は、繊維パルプ+填料の全量中の顔料の総重量%に関する。
【0047】
繊維パルプまたはストックに填料を導入する方法に関して、添加順序は決定的でない。しかしながら、既に少なくとも11%の最小Sレベル以上を含有しているパルプ中に本発明の2つまたは3つの顔料の「一次」ブレンドを導入することが好ましい。完全さについて言及するために、一次填料の影響は二次填料の量に関係なく、二次顔料を有していない100%新鮮パルプで実施することも可能である。
【0048】
本発明の顔料ブレンドを1つの操作または注入で、またラインの異なるポイントでの幾つかの注入で添加することが可能である。基本的(「二次」)填料の一部と本発明の(「一次」)填料の一部または全量のプレミックスを含めた各種填料のプレミックスを調製することもできる。幾つかのプレミックスをラインに沿った異なるポイントで導入してもよい。二次顔料がDIP繊維完成紙料内にあるので、一次填料をDIP中の二次填料とプレ混合することは余り実際的でないが、使用され得る。この業界では、当業者は既存の装置、所望の剪断度、接触時間等にてらして上記注入ポイントを適合することができる。
【0049】
表4 光学密度「プリントストライクスルー」
【0050】
この表は、記載されている製紙試験において上記配合物を用いて得た結果を示す。
【0051】
「プリントストライクスルー」は付属文書A及びEP 1 712 597に詳記されている方法で測定される特性である。
【0052】
表5 「プリントショースルー」
【0053】
この表は、記載されている製紙試験において上記配合物を用いて得た結果を示す。
【0054】
「プリントショースルー」は、付属文書Aの方法に従って測定される公知の特性である。
【0055】
本発明は、製紙プラントで製紙するための繊維含有パルプまたはストックをも包含し、上記した本発明の顔料ブレンドの組成物を有効量、具体的には上記されている有効量含有していることを特徴とする。
【0056】
本発明は、上記パルプまたはストックから製造される紙製品をも包含する。記載されているように、100%機械的繊維、機械的繊維とDIP/DIPのブレンド、最も適当には100%新鮮化学パルプを用いても作業される。
【0057】
新聞用紙のプリントスルー [付属文書A]
【0058】
新聞用紙のプリントスルーの原因は紙の不透明度、多孔度、灰分、粗さ及び見掛重量(surface weight)に関連している。
【0059】
新聞印刷インクは完全に物理的方法により乾き、曲面オフセット印刷の場合のような酸化、或いはロールオフセット/加熱オフセット印刷の場合のような揮発性物質の蒸発によっては乾かないので、鉱油や植物油のような移動性物質は紙に移行し、これらは紙繊維及び填料により吸収される。移行する油の割合が余りに多く(印刷インクの割合が余りに高く)、紙の内表面層が余りに薄いならば、油の一部が紙の他面に達し、透明性が高くなる
(1)。
【0060】
この試験方法により、製紙の製造コントロールがなされ得る。インク量及び印刷圧が非常に高いと、印刷物の明らかなプリントスルーが目に見えるようになるはずであり、よって弱いまたは強いプリントスルーも認識され得るので、製造の変化の良好な目安を得ることができる。
【0061】
この方法は、製造品質をコントロールしたいのではなく、各種業者からの異なる見掛重量を有する紙を相互にできるだけ客観的に比較したいので、我々の試験実験室で標準試験として使用され得ない。加えて、我々は最も一般的に実施されているインク量及び印刷圧で作業しなければならない
(2)。
【0062】
我々は各種新聞に対する一般的なプラクティスに対する最も正確な目安を得たいので、この方法は一般的に実施されている印刷圧に従ってインク量を必要な光学密度に設定する。
【0063】
このようにして、プリントスルーは使用した紙の結果であり、インク量の結果ではない。
【0064】
余りに多いインク量及び余りに高い印刷圧を使用すると、見掛重量がより低い紙は自動的に不利となる。
【0065】
条件:インク:Stehlin & Hostag,Lachen製のRollo−Temp Black“Hit”29C0262.000新聞印刷インク
スプリング荷重張力:70kgf(35kp/cm
2)
印刷側に実験用紙を用いた3個の試験ストリップ
各側に一般的な新聞紙を用いた3個の試験ストリップ。
【0066】
サンプリング:各サンプル紙(特に実験用紙)の個々の重量を測定した後、この試験は見掛重量の点で相互に最も近くなる紙のみを使用した。これは、試験しようとするすべての範囲の紙に適用可能であった。
【0067】
試験のランニング:
1.0cm
3のインクを置く;
インクを8分間擦りこむ;
インクを圧力ディスクに1分間入れる;
2枚の印刷物(1つの上面、1つの下面)を作る;
更に0.060cm
3のインクを加える;
4分間擦る;
インクを圧力ディスクに1分間入れる;
12枚印刷し続けた後、インクを再び入れる。
【0068】
印刷したストリップの反対側に現れるプリントスルーのみを少なくとも6時間後デンシトメトリーにより調べる。
【0069】
18cmの印刷面後ストリップの幅全体を調べる。3つの個々のスポットの測定値の平均を求める。
【0070】
結果:ストリップの上面及び下面(実験用試験シートを除いて、1つの面でのみ測定)からの3つの測定値の平均。結果を光学密度値として示し、測定した面(上面「O」または下面「U」)も示す。
【0071】
特記事項:試験装置(印刷ドラム)を各印刷後にペトロリウムスピリットを用いて十分に洗浄しなければならない。張力スプリングを外さなければならない。
【0072】
透明性の測定:100/密度プリント×密度プリントスルー=プリントショースルー。
【0073】
評価:<5:良好、
>5:限界。
【0074】
余りに多いインク量及び余りに高い印刷圧を使用すると、見掛重量のより低い紙は自動的に不利となる。
【0075】
注:
(1)しかしながら、この文献は水性であり得、酸化的プロセスも採用できるフレキソグラフィーを用いて今日印刷されている大量の新聞用紙を考慮していない。
【0076】
(2)実験室でのこの試験は絶対標準であると意図されないが、公知の許容される性能及び許容されない性能を持つ紙と性能を比較するために設計されている。よって、インク量及び印刷圧は紙の重量及び適用基準に従って調節されるが、実際に使用されるものにできるだけ近く維持される。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】