特許第5703228号(P5703228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5703228
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】紫外線障害軽減経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/198 20060101AFI20150326BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20150326BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20150326BHJP
   A61P 27/12 20060101ALI20150326BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20150326BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20150326BHJP
   A23L 1/305 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   A61K31/198
   A61P17/16
   A61P17/00
   A61P27/12
   A61P17/04
   A61P35/00
   A23L1/305
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-534100(P2011-534100)
(86)(22)【出願日】2010年3月31日
(86)【国際出願番号】JP2010055841
(87)【国際公開番号】WO2011040070
(87)【国際公開日】20110407
【審査請求日】2013年3月5日
(31)【優先権主張番号】特願2009-228267(P2009-228267)
(32)【優先日】2009年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】芦田 豊
(72)【発明者】
【氏名】東條 洋介
(72)【発明者】
【氏名】水本 智恵子
(72)【発明者】
【氏名】三田 真史
(72)【発明者】
【氏名】島田 正一郎
【審査官】 杉江 渉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−246396(JP,A)
【文献】 特表2007−525201(JP,A)
【文献】 特表2009−532480(JP,A)
【文献】 特表2008−513455(JP,A)
【文献】 特開平05−320036(JP,A)
【文献】 特開2007−284435(JP,A)
【文献】 特開平08−225428(JP,A)
【文献】 特開平10−279543(JP,A)
【文献】 特表2007−509955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/198
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
D−メチオニンと、その塩とからなる群から選択される1種類又は2種類以上の化合物を含むことを特徴とする、UV−A障害軽減経口組成物。
【請求項2】
シワ抑制剤であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
皮膚疾患用医薬品として用いられることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記皮膚疾患は、性光線皮膚症、avre−Racouchot病、光線過敏症、光接触皮膚炎、ベルロック皮膚炎、光線過敏性薬疹、多形日光疹、光蕁麻疹、慢性光線過敏性皮膚炎、卵斑、斑、リテマトーデスらなるグループから選択されることを特徴とする、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
前記皮膚疾患用医薬品は皮膚疾患用治療剤であることを特徴とする、請求項又はに記載の組成物。
【請求項6】
前記皮膚疾患用医薬品は皮膚疾患用予防剤であることを特徴とする、請求項又はに記載の組成物。
【請求項7】
白内障用医薬品として用いられることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記白内障用医薬品は白内障用治療剤又は白内障用予防剤であることを特徴とする、請求項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メチオニンと、その誘導体及び/又は塩とからなる群から選択される1種類又は2種類以上の化合物を含む、紫外線障害軽減経口組成物と、メチオニンと、その誘導体及び/又は塩とからなる群から選択される1種類又は2種類以上の化合物を投与するステップを含む紫外線曝露による皮膚疾患及び皮膚の美容状態の改善方法と、前記化合物を投与するステップを含む白内障を治療及び/又は予防する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線は、約320nmより長い長波長域紫外線(UV−A)と、約320〜約280nmの中波長域紫外線(UV−B)と、約280nmより短い短波長域紫外線(UV−C)とに分類される。このうちUV−Cはオゾン層に吸収されるので地上に達する太陽光には含まれない。UV−Aはオゾン層に吸収されず、地上に達する紫外線の大部分を占める。また、UV−Bはオゾン層に一部が吸収されるが、UV−Aの1000分の1の光量で皮膚障害を起こす。したがって、UV−A及びUV−Bはともに皮膚障害の主な原因として重要である。非特許文献1によると、紫外線が関与する疾病には、シワ、紅斑、色素性乾皮症、慢性光線性皮膚炎、扁平上皮癌、基底細胞癌、悪性黒色腫、Bowen病、日光角化症、光線過敏症、種痘様水疱症及び光接触皮膚炎が、非特許文献2によると、日光皮膚炎、慢性光線皮膚症、光線角化症、光線口唇炎、Favre−Racouchot病、光線過敏症、光接触皮膚炎、ベルロック皮膚炎、光線過敏性薬疹、多形日光疹、種痘様水泡症、日光蕁麻疹、慢性光線過敏性皮膚炎、色素性乾皮症、雀卵斑、ポルフィリン症、ペラグラ、Hartnup病、日光角化症、皮膚筋炎、扁平苔癬、Darier病、毛孔性紅色粃糠疹、酒さ、アトピー性皮膚炎、肝斑、単純性疱疹及びエリテマトーデス等が挙げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】皮膚疾患最新の治療 2005−2006(南江堂)
【非特許文献2】標準皮膚科学 第7版(医学書院)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の紫外線による皮膚障害の予防及び/又は治療剤は、紫外線の皮膚吸収を阻害する酸化チタンのような紫外線散乱剤やパラメトキシケイ皮酸2エチルヘキシルのような紫外線吸収剤か、紫外線によって発生した遊離ラジカルを除去する抗酸化剤かが知られている。しかし、紫外線散乱剤、紫外線吸収剤は屋外での日焼け止めには有効だが、日常的に使用するものではない。また、抗酸化剤は安定性及び安全性に問題がある。さらに、紫外線による皮膚障害に対する治療剤は対症療法剤しか知られていない。なお、皮膚外用剤では連続的に投与することが困難である。そこで、日常的に使用でき、経口摂取が可能で、安定かつ安全な紫外線障害軽減経口組成物と、シワ抑制剤と、皮膚疾患治療用及び/又は予防用医薬品組成物と、食品組成物と、白内障の予防又は治療用医薬品組成物とを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、メチオニンと、その誘導体及び/又は塩とからなる群から選択される1種類又は2種類以上の化合物を含む、紫外線障害軽減経口組成物を提供する。
【0006】
本発明の紫外線障害軽減経口組成物において、前記メチオニンはD−体の場合がある。
【0007】
前記紫外線障害軽減経口組成物は、シワ抑制剤の場合がある。
【0008】
前記紫外線障害軽減経口組成物は、皮膚疾患用医薬品として用いられる場合がある。
【0009】
前記皮膚疾患は、紅斑、日光皮膚炎、慢性光線皮膚症、光線角化症、光線口唇炎、Favre−Racouchot病、光線過敏症、光接触皮膚炎、ベルロック皮膚炎、光線過敏性薬疹、多形日光疹、種痘様水泡症、日光蕁麻疹、慢性光線過敏性皮膚炎、色素性乾皮症、雀卵斑、ポルフィリン症、ペラグラ、Hartnup病、日光角化症、皮膚筋炎、扁平苔癬、Darier病、毛孔性紅色粃糠疹、酒さ、アトピー性皮膚炎、肝斑、単純性疱疹、エリテマトーデス、扁平上皮癌、基底細胞癌及びBowen病からなるグループから選択される場合がある。
【0010】
本発明の紫外線障害軽減経口組成物において、前記皮膚疾患用医薬品は皮膚疾患用治療剤の場合がある。
【0011】
本発明の紫外線障害軽減経口組成物において、前記皮膚疾患用医薬品は皮膚疾患用予防剤の場合がある。
【0012】
本発明の紫外線障害軽減経口組成物は、食品として用いられる場合がある。
【0013】
本発明の紫外線障害軽減経口組成物は、白内障用医薬品として用いられる場合がある。
【0014】
本発明の紫外線障害軽減経口組成物において、前記白内障用医薬品は、白内障用治療剤又は白内障用予防剤の場合がある。
【0015】
前記白内障は老人性白内障の場合がある。
【0016】
本発明は、メチオニンと、その誘導体及び/又は塩とからなる群から選択される1種類又は2種類以上の化合物を含む、紫外線障害軽減経口組成物を投与するステップを含む、紫外線曝露による皮膚疾患を治療及び/又は予防する方法を提供する。前記皮膚疾患は、紅斑、日光皮膚炎、慢性光線皮膚症、光線角化症、光線口唇炎、Favre−Racouchot病、光線過敏症、光接触皮膚炎、ベルロック皮膚炎、光線過敏性薬疹、多形日光疹、種痘様水泡症、日光蕁麻疹、慢性光線過敏性皮膚炎、色素性乾皮症、雀卵斑、ポルフィリン症、ペラグラ、Hartnup病、日光角化症、皮膚筋炎、扁平苔癬、Darier病、毛孔性紅色粃糠疹、酒さ、アトピー性皮膚炎、肝斑、単純性疱疹、エリテマトーデス、扁平上皮癌、基底細胞癌及びBowen病からなるグループから選択される場合がある。前記メチオニンはD−体の場合がある。
【0017】
本発明は、メチオニンと、その誘導体及び/又は塩とからなる群から選択される1種類又は2種類以上の化合物を含む、紫外線障害軽減経口組成物を投与するステップを含む、皮膚の美容状態の改善方法を提供する。前記皮膚の美容状態の改善方法において、前記メチオニンと、その誘導体及び/又は塩とからなる群から選択される1種類又は2種類以上の化合物を含む、紫外線障害軽減経口組成物は食品組成物の場合がある。前記メチオニンはD−体の場合がある。
【0018】
本発明の皮膚の美容状態の改善方法において、皮膚の美容状態の改善とは、シワ抑制の場合があるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明は、L−及びD−メチオニンと、それらの誘導体及び/又は塩とからなる群から選択される1種類又は2種類以上の化合物を含む組成物を投与するステップを含む、白内障を治療及び/又は予防する方法を提供する。
【0020】
本発明の白内障を治療及び/又は予防する方法において、前記白内障は老人性白内障の場合がある。
【0021】
本明細書においてメチオニンの「塩」とは、メチオニンの紫外線障害の軽減効果を損なわないことを条件として、金属塩、アミン塩等を含むいずれかの塩をいう。前記金属塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を含む場合がある。前記アミン塩は、トリエチルアミン塩、ベンジルアミン塩等を含む場合がある。
【0022】
本明細書においてメチオニンの「誘導体」とは、メチオニンの紫外線障害の軽減効果を損なわないことを条件として、メチオニン分子が、アミノ基か、カルボキシル基か、側鎖かにおいて、いずれかの原子団と共有結合したものを指す。前記いずれかの原子団は、N−フェニルアセチル基、4,4’−ジメトキシトリチル(DMT)基等のような保護基と、タンパク質、ペプチド、糖、脂質、核酸等のような生体高分子と、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニル、ポリエステル等のような合成高分子と、エステル基等のような官能基とを含むがこれらに限定されない。前記エステル基は、例えば、メチルエステル、エチルエステルその他の脂肪族エステルか、芳香族エステルかを含む場合がある。
【0023】
アミノ酸には光学異性体としてL−体とD−体とがあるが、天然のタンパク質はL−アミノ酸がペプチド結合したものであり、細菌の細胞壁などの例外を除きL−アミノ酸のみが利用されていることから、ヒトを始めとする哺乳類にはL−アミノ酸のみが存在し、L−アミノ酸のみを利用していると考えられてきた。(木野内忠稔ら、蛋白質 核酸 酵素、50:453−460 (2005)、レーニンジャーの新生化学[上]第2版 pp132−147 (1993) 廣川書店、ハーパー・生化学 原書22版 pp21−30(1991) 丸善)したがって、従前より、学術的にも産業的にもアミノ酸としてはL−アミノ酸のみが専ら使用されてきた。
【0024】
例外的にD−アミノ酸が使用されるケースとしては、細菌に産生させる抗生物質の原料として使用する場合、およびアミノ酸を化学合成した際に等量得られるL−アミノ酸とD−アミノ酸混合物からL−アミノ酸のみを分取するコストを省くために、そのままDL−アミノ酸混合物としてD−アミノ酸を使用している食品添加物の例がある。しかし、L−アミノ酸を含まないD−アミノ酸だけを生理活性物質として産業的に使用している例は従来なかった。
【0025】
D−セリンやD−アスパラギン酸はD−体の割合が高いことから比較的研究が進んでいる。D−セリンは大脳、海馬に局在し、脳内のNMDA受容体の調節因子で明らかにされている。D−アスパラギン酸は精巣や松果体に局在が認められ、ホルモン分泌の制御に関与していることが示されている(特開2005−3558号公報)。しかし皮膚、特に紫外線障害におけるL―及びD−メチオニンの生理作用は明らかにされていない。
【0026】
以下の実施例に示すとおり、L−体又はD−体か、その混合物かとしてのメチオニンについて紫外線障害を軽減する効果はこれまで知られていなかった。したがって本発明のL−及び/又はD−メチオニンを含む紫外線障害軽減経口組成物は新規発明である。
【0027】
近年、ddYマウスに10mMのD−アミノ酸水溶液を2週間自由摂取させた後、各器官でD−アミノ酸濃度を測定したところ、松果体では松果体1腺あたり3−1000pmolであり、脳組織では湿重量1グラムあたり2−500nmolであることが報告された(Morikawa,A.ら、Amino Acids,32:13−20(2007))。これに基づいて、以下に説明する本発明の組成物に含まれるL−及びD−メチオニンの一日摂取量の下限が算出された。
【0028】
本発明のメチオニンは、以下の実施例に示すとおり、培養ヒト線維芽細胞に対しては0.001〜100μMか、マウスに対しては10mMかの濃度で紫外線障害を軽減する効果を有する。したがって、本発明の医薬品組成物と、シワ抑制剤及び食品組成物とに含まれるメチオニンの量は、この濃度範囲のメチオニンが生体皮膚組織の線維芽細胞に送達されることを条件として、いかなる含有量であってもかまわない。本発明の組成物が内服剤の場合におけるメチオニンの含有量は、0.000001重量%〜100重量%の範囲であればよい。本発明の組成物が内服剤の場合におけるメチオニンの含有量は、0.000002重量%〜80重量%が望ましく、0.00002重量%〜60重量%であることが最も望ましい。なお、本発明の組成物に含まれるD−メチオニンの一日摂取量の下限は、体重1kgあたり0.01ngであればよく、0.1ngが好ましく、1ngがより好ましい。本発明の組成物に含まれるL−メチオニンの一日摂取量の下限は、臨床薬の投与量(体重1kgあたり2mg以上)より少ない量であって、体重1kgあたり0.01mgであればよく、0.1mgが好ましく、1mgがより好ましい。
【0029】
本発明の医薬品組成物は、メチオニンの単体、メチオニンの塩及び/又は生体内で薬物代謝酵素その他によってメチオニンを放出できる誘導体に加えて、メチオニンの紫外線障害の軽減効果を損なわないことを条件として、さらに1種類又は2種類以上の薬学的に許容される添加物を含む場合がある。前記添加物は、希釈剤及び膨張剤と、結合剤及び接着剤と、滑剤と、流動促進剤と、可塑剤と、崩壊剤と、担体溶媒と、緩衝剤と、着色料と、香料と、甘味料と、防腐剤及び安定化剤と、吸着剤と、当業者に知られたその他の医薬品添加剤とを含むが、これらに限られない。
【0030】
本発明のシワ抑制剤は、有効成分として、メチオニン、メチオニンの塩及び/又は生体内で薬物代謝酵素その他によってメチオニンを放出できる誘導体のみを使用して調製することも可能であるが、通常本発明の効果を損なわない範囲で、医薬部外品を含む化粧品や医薬品等の皮膚外用剤等に用いられる他の成分を、必要に応じて適宜配合することができる。前記他の成分(任意配合成分)としては、例えば、油分、界面活性剤、粉末、色材、水、アルコール類、増粘剤、キレート剤、シリコーン類、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、香料、各種薬効成分、防腐剤、pH調整剤、中和剤等が挙げられる。
【0031】
本発明の食品組成物は、メチオニン、メチオニンの塩及び/又は生体内で薬物代謝酵素その他によってメチオニンを放出できる誘導体に加えて、メチオニンの紫外線障害の軽減効果を損なわないことを条件として、調味料、着色料、保存料その他の食品として許容される成分を含む場合がある。
【0032】
本発明の食品組成物は、例えば、清涼飲料、グミ、キャンディー、錠菓等、従来食品組成物に用いるものであればいずれでもよく、前記例示に限定されるものでない。
【0033】
紫外線曝露は皮膚疾患だけでなく眼疾患、特に、白内障の原因の1つであると考えられている。マウスでは長時間紫外線曝露が水晶体の前部皮質に白濁を生じさせ、実験的に白内障モデルを作製することができることが知られている(前里多佳美及び岩田修造、「水晶体 その生化学的機構」、318−323頁、岩田修造編、メディカル葵出版、東京(1986))。また、老人性白内障の原因の1つは紫外線である考えられており(藤永豊、「白内障 眼科MOOK No.17」、10頁、三島濟一ら編、金原出版、東京(1982))、Zigmanらは、マニラ、タンパ及びロチェスターでの疫学的調査によって、紫外線の照射量と、白内障の発生率とに相関があり、紫外線は白内障のリスク因子であることを示した(Zigman, S.ら、Invest. Ophthalmol. Visual Sci.18:462−467(1979))。したがって、これらの知見と、以下の実施例とによれば、紫外線障害を軽減する効果を有するL−及びD−メチオニンは、白内障の予防又は治療に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】正常ヒト真皮線維芽細胞での紫外線照射前のL−又はD−メチオニン添加の効果を示すグラフ。
図2】正常ヒト真皮線維芽細胞での紫外線照射後のD−メチオニン添加の効果を示すグラフ。
図3】紫外線照射マウスの皮膚厚増加におけるD−メチオニン投与の効果を示すグラフ。
図4】紫外線照射マウスのシワ形成におけるD−メチオニン投与の効果を示すグラフ。
図5】紫外線照射マウスのシワ形成におけるL−又はD−メチオニン投与の効果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。
【0036】
以下の検討は、アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health(NIH))のガイドラインに従って資生堂リサーチセンターの倫理委員会によって承認された後に実施された。
【実施例1】
【0037】
培養細胞を用いた紫外線障害試験
紫外線照射及びメチオニン添加の方法
細胞は、市販のヒト新生児真皮線維芽細胞(Cryo NHDF−Neo、三光純薬)が用いられた。前記細胞は2x10個/mLとなるように市販の35mm径の培養ディッシュ(BD FALCON 353001、日本ベクトン・ディッキンソン)に播種され、市販の細胞培養用培地(D−MEM(1g/Lグルコース)、和光純薬)に牛胎児血清を10%、抗生物質(15240−062、GIBCO)を1%添加した培地(以下、「通常培地」という。)を用いて培養された。前記細胞は、37°C、5%CO及び飽和水蒸気雰囲気下で約24時間培養された。
【0038】
その後前記細胞を培養する培地は、グルタチオンの生合成阻害剤であるBSO(L−buthionine−(S,R)−sulfoximine、和光純薬)を1×10−3%添加したBSO培地1mLに切り替えられ、37°C、5%CO及び飽和水蒸気雰囲気下で約24時間培養された。前記BSO培地は、0.2%BSOをエチルアルコールに溶解した保存用原液を前記通常培地に200倍希釈して調製された。
【0039】
紫外線照射前のメチオニン添加
紫外線照射前のメチオニン添加(以下、「照射前添加」という。)の効果を検討する場合には、照射24時間前に0.001ないし100μMのL−又はD−メチオニンを添加したBSO培地に切り換えた。0.1μMのD−プロリンを添加した培地に切り換えた後の紫外線照射を陽性対照とし、これらのアミノ酸を添加しない培地のままでの紫外線照射を陰性対照とした。
【0040】
紫外線照射用培地
塩化鉄(II)を蒸留水に2×10−3%となるように溶解し、その溶解液を200倍希釈(終濃度1×10−5%)となるようにカルシウムイオン、マグネシウムイオンを含んだリン酸緩衝生理食塩水PBS(+)で希釈して作製した培地(以下、「紫外線照射用培地」という。)を37°Cに予め加温して用いた。
【0041】
紫外線照射
UV−A照射前に培地は前記紫外線照射用培地1mLに置換された。UV−A照射は紫外光均一露光装置UVE−502S+EL−160(三永電機製作所)を用いて、培養ディッシュの蓋を除去した状態で該培養ディッシュのおよそ20cm上部から320nmないし400nmの紫外線を8又は9J/cm照射して実施された。紫外線量はUV RADIOMETER UVR−3036/S(株式会社トプコン)を用いて測定された。
【0042】
紫外線照射後のメチオニン添加
紫外線照射後、前記通常培地に戻して40時間、37°C、5%CO及び飽和水蒸気雰囲気下で培養された。紫外線照射後のメチオニン添加(以下、「照射後添加」という。)の効果を検討する場合には、この40時間の培養の培地に0.001ないし100μMのL−又はD−メチオニンを添加した。
【0043】
照射前添加及び照射後添加時の細胞障害の定量
その後、培地にalamarBlue(商標、Invitrogen)を最終濃度10%となるように添加し、3時間後に、Ahmed S.A.ら、(J. Immunol. Method. 170,211−224(1994))及び製造者の指示書に従って励起波長544nm、蛍光波長590nmで上清の蛍光強度を測定した。
【0044】
照射前添加の結果
図1にUV―A 9J/cmの紫外線照射による線維芽細胞の障害に対するL−又はD−メチオニンの照射前添加の効果を調べた実験結果を示す。各実験条件の誤差棒は同一条件で4回繰り返した実験結果の測定値の標準偏差を示す。また、Bonferroni/Dunn検定において、アステリスク(*)はpが5%未満、アステリスク(**)はpが1%未満、アステリスク(***)はpが0.1%未満であることを示す。
【0045】
UV−A 9J/cmの照射前にアミノ酸非添加の場合(陰性対照)の生細胞率は24%であった。0.1μMのD−プロリン照射前添加の場合(陽性対照)の生細胞率は100%であり、細胞障害が軽減された。0.01μM、0.1μM、1μM、10μM又は100μMのD−メチオニン照射前添加の場合の生細胞率は、それぞれ、102%、81%、97%、114%又は76%であった。0.001μM、0.01μM、0.1μM、1μM、10μM又は100μMのL−メチオニン照射前添加の場合の生細胞率は、それぞれ、40%、72%、67%、45%、73%又は62%であった。以上の結果から、L−又はD−メチオニンを添加すると生細胞率が増大し、細胞死が軽減された。
【0046】
照射後添加の結果
図2にUV―A 8J/cmの紫外線照射による線維芽細胞の障害に対するD−メチオニンの照射後添加の効果を調べた実験結果を示す。各実験条件の誤差棒は同一条件で4回繰り返した実験結果の測定値の標準偏差を示す。また、アステリスク(***)はBonferroni/Dunn検定でpが0.1%未満であることを示す。
【0047】
UV−A 8J/cmの照射後にアミノ酸非添加の場合(陰性対照)の生細胞率は64%であった。0.1μMのD−プロリンを添加した場合(陽性対照)の生細胞率は82%に増大し、細胞死が軽減された。0.01μM、0.1μM、1μM、10μM又は100μMのD−メチオニン照射後添加の場合の生細胞率は、それぞれ、93%、84%、82%、81%又は87%であった。以上の結果から、D−メチオニンを添加すると生細胞率が増大し、細胞死が軽減された。細胞死の軽減効果は、D−メチオニン添加を紫外線照射の前後いずれかに添加するかには関係がないことも明らかとなった。また、L−メチオニンも紫外線照射による細胞死を軽減する。したがって、L−メチオニンを紫外線照射の前後いずれかに添加するかには関係がないと示唆された。
【実施例2】
【0048】
ヘアレスマウスを用いた紫外線障害によるシワ生成抑制試験(1)
紫外線照射及びD−メチオニン投与の方法
雄性ヘアレスマウス(Hos:HR−1、6週齢、星野実験動物)を用い、シュワルツらの方法(Haratake A.et al.J.Invest.Dermatol.108:769−775,1997.)を一部変更して、UV−Bを繰り返し照射する方法(Naganuma M.et al.J.Dermatol.Sci.25:29−35,2001.Schwartz E.J.Invest.Dermatol.91:158−161,1988.)に準じてシワを形成させた。すなわち背部にUV−B(光源;東芝エレクトリック製 東芝 FL−20 SE蛍光ランプ)を週3回、12週間照射した。開始後の照射量は36mJ/cm/回とし、2週目以降は徐々に増加させ、12週目は216mJ/cm/回とした。総照射量は4.482J/cmであった。紫外線量はUVRADIOMETER(UVR−305/365D(II)、トプコン)にて測定した値を用いた。また、UV−B照射期間中、10mMのD−メチオニンが給水瓶にて投与された。対照として、飲料水が同様の方法にて投与された。給水瓶は1週間に1度交換された。
【0049】
紫外線障害によって肥厚した皮膚の測定方法
紫外線照射の終了後に、皮膚厚をシックネスゲージ(Mitsutoyo Corporation、PK−1012SU)を用いて測定した。皮膚厚の測定値は、シックネスゲージで皮膚を挟み込んで測定したため、「皮膚厚×2」として記載した。
【0050】
シワ生成の判定方法
マウスへの上記紫外線照射終了後に、マウス背部の写真を撮影し、ビセットらの方法(Bissett DL.et al.Photochemistry and Photobiology 46:367−378,1987.)を一部変えた方法でシワの生成の度合いを下記の表1に示す判定基準に従って評価した。シワの評価作業は4名の測定者が個別に行い、その後合議によって、シワの生成の度合いについての評点(以下、単に「評点」という。)を決定した。
【0051】
皮膚厚の測定結果
図3に総照射量4.482J/cmのUV−B照射によって生じる皮膚の肥厚に対するD−メチオニンの効果を調べた実験の結果を示す。各実験条件の誤差棒は同一条件で6ないし7回繰り返した実験結果の測定値の標準偏差を示す。また、Bonferroni/Dunn検定において、アステリスク(**)はpが1%未満、アステリスク(***)はpが0.1%未満であることを示す。UV−B照射後の皮膚厚の測定値は、UV−B非照射かつD−メチオニン非投与群(UV(−)/H0)で0.81mm、UV−B照射かつD−メチオニン非投与群(UV(+)/H0)で1.25mm及びUV−B照射かつD−メチオニン投与群(UV(+)/D−Met)で1.00であった。以上の結果から、UV−B照射による紫外線障害によって皮膚は顕著に肥厚するが、D−メチオニンはこの皮膚の肥厚を統計的に有意に軽減することが示された。
【0052】
【表1】
【0053】
シワ形成の評価結果
図4に総照射量4.482J/cmのUV−B照射によって生じるシワに対するD−メチオニンの効果を調べた実験の結果を示す。各実験条件の誤差棒は同一条件で6ないし7回繰り返した実験結果の測定値の標準偏差を示す。また、アステリスク(*)はMann−WhitneyのU検定でpが1.8%であることを示す。UV−B照射後の各評点の個体数は、UV−B非照射かつD−メチオニン非投与群(UV(−)control)では評点1が6匹であった。UV−B照射かつD−メチオニン非投与群(UV(+)control)の各評点の個体数は、評点4が2匹、評点5が2匹、評点6が1匹及び評点7が1匹であった。UV−B照射かつD−メチオニン投与群(UV(+)D−Met)の各評点の個体数は、評点3が4匹、評点4が2匹及び評点5が1匹であった。以上の結果から、UV−B照射による紫外線障害によってシワ形成は顕著に増大するが、D−メチオニンはこのシワ形成を統計的に有意に軽減することが示された。
【実施例3】
【0054】
ヘアレスマウスを用いた紫外線障害によるシワ生成抑制試験(2)
方法
UV−B照射期間中、10mMのL−又はD−メチオニンが給水瓶にて投与された。紫外線照射及びシワ生成の判定は、実施例2で説明された方法で行なわれた。
【0055】
結果
図5に実施例2に準じる量のUV−B照射によって生じるシワに対するL−及びD−メチオニンの効果を調べた実験の結果を示す。各実験条件の誤差棒は同一条件で6ないし8回繰り返した実験結果の測定値の標準偏差を示す。また、アステリスク(*)はMann−WhitneyのU検定でpが0.55%であることを示す。
【0056】
UV−B照射後の各評点の個体数は、UV−B非照射かつD−メチオニン非投与群(UV(−)control)では評点2が6匹であった。UV−B照射かつD−メチオニン非投与群(UV(+)control)の各評点の個体数は、評点5が1匹、評点6が2匹、評点7が2匹及び評点8が3匹であった。UV−B照射かつD−メチオニン投与群(UV(+)D−Met)の各評点の個体数は、評点5が6匹及び評点6が2匹であった。UV−B照射かつL−メチオニン投与群(UV(+)L−Met)の各評点の個体数は、評点4が1匹、評点5が2匹、評点6が2匹及び評点7が2匹であった。以上の結果から、UV−B照射による紫外線障害によってシワ形成は顕著に増大するが、D−メチオニンはこのシワ形成を統計的に有意に軽減することが示された。L−メチオニンは実施例1で示したようにUV−A照射による細胞死を軽減するが、UV−B照射によるシワ形成をD−メチオニンほど軽減しないことも示された。
【0057】
本発明にもとづいてメチオニンを含む、錠剤、ソフトカプセル、顆粒、ドリンク、キャンディー、クッキー、味噌、フレンチドレッシング、マヨネーズ、フランスパン、醤油、ふりかけ、ヨーグルト、調味料・納豆のたれ、納豆及びもろみ黒酢の配合例を以下に示す。以下の配合例におけるメチオニンは、D−体及び/又はL−体である。これらの配合例は例示を目的として列挙されるものであって本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。
【0058】
配合例1(錠剤)
(組成物) 配合量(mg/1錠中)
メチオニン 360.5
乳糖 102.4
カルボキシメチルセルロースカルシウム 29.9
ヒドロキシプロピルセルロース 6.8
ステアリン酸マグネシウム 5.2
結晶セルロース 10.2

515.0
【0059】
配合例2(錠剤)
(組成物) 配合量(mg/1錠中)
ショ糖エステル 70
結晶セルロース 74
メチルセルロース 36
グリセリン 25
メチオニン 475
N−アセチルグルコサミン 200
ヒアルロン酸 150
ビタミンE 30
ビタミンB6 20
ビタミンB2 10
α−リポ酸 20
コエンザイムQ10 40
セラミド(コンニャク抽出物) 50
L−プロリン 300

1500
【0060】
配合例3(ソフトカプセル)
(組成物) 配合量(mg/1カプセル中)
食用大豆油 530
トチュウエキス 50
ニンジンエキス 50
メチオニン 100
ローヤルゼリー 50
マカ 30
GABA 30
ミツロウ 60
ゼラチン 375
グリセリン 120
グリセリン脂肪酸エステル 105

1500
【0061】
配合例4(ソフトカプセル)
(組成物) 配合量(mg/1カプセル中)
玄米胚芽油 659
メチオニン 500
レスベラトロール 1
ハス胚芽エキス 100
エラスチン 180
DNA 30
葉酸 30

1500
【0062】
配合例5(顆粒)
(組成物) 配合量(mg/1包中)
メチオニン 400
ビタミンC 100
大豆イソフラボン 250
還元乳糖 300
大豆オリゴ糖 36
エリスリトール 36
デキストリン 30
香料 24
クエン酸 24

1200
【0063】
配合例6(ドリンク)
(組成物) 配合量(g/60mL中)
トチュウエキス 1.6
ニンジンエキス 1.6
メチオニン 1.6
還元麦芽糖水飴 28
エリスリトール 8
クエン酸 2
香料 1.3
N−アセチルグルコサミン 1
ヒアルロン酸Na 0.5
ビタミンE 0.3
ビタミンB6 0.2
ビタミンB2 0.1
α−リポ酸 0.2
コエンザイムQ10 1.2
セラミド(コンニャク抽出物) 0.4
L−プロリン 2
精製水 残余

60
【0064】
配合例7(キャンディー)
(組成物) 配合量(重量%)
砂糖 50
水飴 48
メチオニン 1
香料 1

100
【0065】
配合例8(クッキー)
(組成物) 配合量(重量%)
薄力粉 45.0
バター 17.5
グラニュー糖 20.0
メチオニン 4.0
卵 12.5
香料 1.0

100.0
【0066】
配合例8(クッキー)の製造方法
バターを撹拌しながらグラニュー糖を徐々に添加し、卵、メチオニン及び香料を添加して撹拌した。十分に混合した後、均一に振るった薄力粉を加えて低速で撹拌し、塊状で冷蔵庫で寝かせた。その後、成型し170°C15分間焼成しクッキーとした。
【0067】
配合例9(味噌)
(組成物) 配合量(g)
大豆 1000
米麹 1000
塩 420
メチオニン 158
水 残余

4000
【0068】
配合例9(味噌)の製造方法
米こうじと塩とをよく混ぜ合わせる。洗浄した大豆を3倍量の水に一晩つけた後に水を切り、新しい水を加えながら煮込み、ざるにあける。煮汁(種水)を集め、メチオニンを10%w/vとなるように溶解する。煮あがった豆を直ちにすりつぶし、塩を混ぜた米麹を加えて、上記のメチオニンを溶解した種水を足しながら粘土程の固さになるまでむらなく混ぜ合わせる。団子状に丸めたものを桶に隙間のない様に隅々まで、しっかりと詰め込み、表面を平らにしてラップで覆い密封する。3箇月後に容器を移し変え、表面を平らにしてラップで覆う。なお、メチオニンを種水に加える代わりに、メチオニンを多く産生する米麹を用いてもよい。前記米麹を得るには、特開2008−185558に記載の方法でメチオニンを定量することにより選抜することができる。また、市販の味噌にメチオニンまたはその塩を加えてもよい。
【0069】
配合例10(フレンチドレッシング)
(組成物) 配合量(g)
サラダ油 27.0
酢 30.0
塩化ナトリウム 0.9
メチオニン 1.1
胡椒 1.0

60.0
【0070】
配合例10(フレンチドレッシング)の製造方法
酢に塩化ナトリウム及びメチオニンを加えた後に、よく攪拌して溶解する。サラダ油を加えて、よく攪拌し胡椒を加える。
【0071】
配合例11(マヨネーズ)
(組成物) 配合量(g)
サラダ油 134.0
酢 5
塩化ナトリウム 0.9
メチオニン 1
卵黄 18
砂糖 0.2
胡椒 0.9

160.0
【0072】
配合例11(マヨネーズ)の製造方法
卵黄(室温)に酢、塩化ナトリウム、メチオニン及び胡椒を加えて、泡立て器で十分に攪拌する。サラダ油を少しずつ加えながら攪拌を継続してエマルジョンにする。最後に砂糖を加えて攪拌する。
【0073】
配合例12(フランスパン)
(組成物) 配合量(g)
強力粉 140
薄力粉 60
塩化ナトリウム 3
砂糖 6
メチオニン 2
ドライイースト 4
ぬるま湯 128

343
【0074】
配合例12(フランスパン)の製造方法
ぬるま湯に砂糖1g及びドライイーストを入れて予備発酵させる。強力粉、薄力粉、塩化ナトリウム、砂糖5g及びメチオニンをボウルに入れ、その中に予備発酵させたイーストを入れる。十分捏ねた後に球状にして30°Cで一次発酵させる。生地を再度捏ねてから休ませた後に適当な形に整形して電子発酵機を用いて最終発酵させる。クープを入れて220°Cのオーブンで30分間焼く。
【0075】
配合例13(醤油)
(組成物) 配合量(g)
市販の醤油 980
メチオニン 20

1000
【0076】
配合例13(醤油)の製造方法
市販の醤油にメチオニンを加えてよく攪拌する。また、メチオニンやその塩を加える代わりに、メチオニンを多く産生する麹を用いて醤油を醸造してもよい。前記米麹を得るには、特開2008−185558に記載の方法でメチオニンを定量することにより選抜することができる。また、市販の醤油にメチオニンまたはその塩を加えてもよい。
【0077】
配合例14(ヨーグルト)
(組成物) 配合量(g)
牛乳 880
L.ブルガリカス菌 50
S.サーモフィルス菌 50
メチオニン 20

1000
【0078】
配合例14(ヨーグルト)の製造方法
40°C〜45°Cで発酵させる。他の市販の種菌を用いてもよく、市販のヨーグルトにメチオニンを加えてもよい。また、メチオニンやその塩を加える代わりに、メチオニンを多く産生する菌を用いてもよい。前記菌を得るには、特開2008−185558に記載の方法でメチオニンを定量することにより選抜することができる。また、市販のヨーグルトにメチオニンまたはその塩を加えてもよい。
【0079】
配合例15(ふりかけ)
(組成物) 配合量(g)
メチオニン 50
のり 15
L−グルタミン酸Na 10
塩化ナトリウム 2
煎りごま 10
さば削り節 10
砂糖 1
醤油 2

100
【0080】
配合例16(調味料・納豆のたれ)
(組成物) 配合量(g)
市販の納豆のたれ 9
メチオニン 1

10
【0081】
配合例17(納豆)
(組成物) 配合量(g)
市販の納豆 19.9
メチオニン 0.1

20
【0082】
配合例17(納豆)の製造方法
メチオニン又はその塩を加える代わりに、メチオニンを多く産生する菌を用いて納豆を作ってもよい。前記菌を得るには、特開2008−185558に記載の方法でメチオニンを定量することにより選抜することができる。また、市販の納豆にメチオニンまたはその塩を加えてもよい。
【0083】
配合例18(もろみ黒酢)
(組成物) 配合量(g)
市販のもろみ黒酢 900
メチオニン 100

1000
【0084】
配合例18(もろみ黒酢)の製造方法
メチオニン又はその塩を加える代わりに、メチオニンを多く産生する菌を用いて酢、黒酢、もろみを作ってもよい。前記菌を得るには、特開2008−185558に記載の方法でメチオニンを定量することにより選抜することができる。また、市販のもろみ黒酢にメチオニンまたはその塩を加えてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5