(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5703268
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】着脱可能な鼻当てパットを備えたメガネフレーム
(51)【国際特許分類】
G02C 5/12 20060101AFI20150326BHJP
G02C 5/14 20060101ALI20150326BHJP
G02C 5/16 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
G02C5/12
G02C5/14
G02C5/16
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-171789(P2012-171789)
(22)【出願日】2012年8月2日
(65)【公開番号】特開2014-32271(P2014-32271A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2014年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】591167452
【氏名又は名称】株式会社サンリーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】金谷 秀幸
【審査官】
貝沼 憲司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−160780(JP,A)
【文献】
特開平09−033865(JP,A)
【文献】
特開2011−064921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 5/12
G02C 5/14
G02C 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻の両脇に当ててフロント部を支える鼻当てパットを必要に応じて取付けることが出来るメガネフレームにおいて、ツルの内側には顔のコメカミに当るパットを取付け、該パットはその背面から先端の外径を大きくした脚を突出し、そして各々のツルの内側には複数の穴を貫通することなく設け、上記脚を穴に嵌めると共に背面をツル内面に当接したことを特徴とする着脱可能な鼻当てパットを備えたメガネフレーム。
【請求項2】
上記フロント部中央背面には、先端に溝を形成した2本のピンを突出した請求項1記載の着脱可能な鼻当てパットを備えたメガネフレーム。
【請求項3】
上記鼻当てパットはバネ線材で構成した概略門形の取付け部材の両脚先端に取付け、脚の基部には上記ピンに係合することが出来る係合溝を形成した請求項2記載の着脱可能な鼻当てパットを備えたメガネフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鼻当てパットを取外し、ツルの内側に取付けたパットをコメカミに当ててフロント部を支持することが出来るメガネフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は従来の一般的なメガネフレームを示している。メガネフレームはフロント部(イ)と2本のツル(ロ)、(ロ)から成り、ツル(ロ)、(ロ)はフロント部(イ)の両側に設けているヨロイ(ハ)、(ハ)に蝶番(ニ)、(ニ)などの継手を介して折畳み出来るように取付けられている。フロント部(イ)は連結部材(ホ)の両側にリム(ヘ)、(ヘ)が設けられ、リム(ヘ)、(ヘ)の外側には上記ヨロイ(ハ)、(ハ)をロウ付けしている。そして、リムの内側(中央側)には鼻当てパット(ト)、(ト)が取付けられている。
【0003】
ところで、メガネを顔に掛ける場合には、鼻当てパット(ト)、(ト)を鼻の両脇に当てると共に、ツル(ロ)、(ロ)の先端部に挿着しているモダン(図示なし)が耳に係止される。鼻当てパット(ト)、(ト)を介してフロント部(イ)は鼻で支えられるが、長時間にわたってメガネを着用しているならば、鼻当てパット(ト)、(ト)が当っている鼻の両脇が赤く変色し、化粧が剥がれる。従って、メガネを外した際には化粧が剥がれて赤くなった鼻両脇が目立ち、特に若い女性にとっては大きな問題となる。
【0004】
近年のメガネフレームはバネ製に優れた軽い材質としてチタン材が多用され、又レンズもプラスチックレンズが用いられることで、フロント部は非常に軽くなっている。ステンレス材を使用したメガネフレームにガラスレンズを嵌めた昔のメガネに比較すれば非常に軽い。しかし、鼻当てパット(ト)、(ト)にてフロント部(イ)を支えることは必要であり、その為に鼻両脇の化粧の剥がれ落ちを避けることは出来ない。 鼻当てパット(ト)、(ト)の材質を軟らかいシリコン樹脂で構成している場合もあるが、赤い変色や化粧の剥がれを完全に防止することは出来ない。
【0005】
特開2008−20678号に係る「メガネフレーム」は、鼻の両脇に当ててフロント部を支える鼻当てパットを備えることなく、ツルからアームを斜め下方へ延ばし、該アーム先端にはパットを取付け、該パットが顔の頬骨に当ってフロント部を支えるようにしている。
【特許文献1】特開2008−20678号に係る「メガネフレーム」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、フロント部を支える為に、鼻当てパットの代わりにツルからアームを延ばし、その先端に取付けたパットを顔の頬骨やコメカミに当てて支持するようにしたメガネフレームは知られている。しかし、パットがツルから大きくはみ出すことでメガネフレームの外観が損なわれる。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、ツルの内側に直接取付けたパットによってフロント部を安定して支えることが出来、しかも外観が損なわれないメガネフレームを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るメガネフレームはフロント部に鼻当てパットを備えておらず、ツル内側にパットを取付けている。そして、該パットは顔のコメカミに当ってフロント部を支える。ツルには複数の穴が設けられ、この穴にパット背面に突出した脚が嵌って取付けられるが、上記穴は貫通していない。従って、メガネを着用した状態では穴は見えない。
【0008】
ここで、パットの具体的な材質は問わないが、コメカミに当った状態で滑りにくいことが条件となり、またその形状は基本的に概略円形が適している。そして、本発明のメガネフレームのフロント部には一時的に鼻当てパットを取付けることが出来る構造としている。そこで、バネ線材を用いて概略門形に成形した取付け部材の両脚の両先端に鼻当てパットが取付けられ、該脚をたわみ変形してフロント部の中央に設けた2本のピンに係止することが出来る。取付け部材はバネ力を付勢してピンに安定して係止することが出来る。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るメガネフレームは鼻当てパットを備えておらず、ツルに取付けたパットが顔のコメカミに当ってフロント部が支えられる。従って、鼻当てパットが当って鼻の両脇が赤く変色することがなく、又鼻の両脇の化粧が剥がれることもない。そして、パットはツルに直接取付けられることで、従来のパットのようにツルから大きくはみ出すことがなくて、ツルに取付けた装飾品と見なされてメガネフレームの外観が損なわれることはない。
【0010】
ツルにパットを取付けたメガネフレームを必要とする人は、鼻の両脇が赤く変色したり化粧が剥れることを嫌う女性であり、従来のようなツルから斜め下方へ大きく延びる脚の先端にパットを取付ける場合と異なり、ツルに直接取付けられるパットは、メガネを掛けた状態では髪によって被覆され、他人には分からない。そして、パットの形状は色々あるが、コメカミとの接触面積を大きく出来ることで滑りにくくなり、着用したメガネは安定する。
【0011】
一方、本発明に係るメガネフレームには鼻当てパットを一時的に取付けることが出来る。すなわち、バネ線材で構成した脚をたわみ変形してフロント部内側の2本のピンに係止出来る。通常は鼻当てパットを取付けない状態でメガネを着用するが、運動で身体を動かす場合には鼻当てパットを取付けることが出来、両ツルに取付けたパットとフロント部に取付けた鼻当てパットにて、メガネを安定して着用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るメガネフレームで、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図を示している。
【
図7】鼻当てパットを備えた従来のメガネフレーム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明に係るメガネフレームの実施例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図をそれぞれ表している。同図の1はフロント部、2はツル、3はパットを表し、フロント部1は、両リム部4,4が連結部5にて連結され、リム部4,4の外側にはヨロイ部6,6を有した形態としている。ここで、フロント部1は樹脂製であって、リム部4,4、連結部5、ヨロイ部6,6は一体成形されている。そして、ヨロイ部6,6に蝶番などの継手7,7を介してツル2,2が折畳み出来るように取付けられている。
【0014】
リム部4,4にはレンズ8,8が嵌り、ツル2,2の内側には上記パット3,3が取付けられている。パット3は円柱形をしたブロック体として形成され、メガネを着用した場合には、これらパット3,3が顔のコメカミに当ってメガネフレームを支持することが出来る。その為に、本発明ではフロント部2の内側に鼻当てパットを取付けていない。
【0015】
ここで、上記パット3,3は一般的に樹脂製であり、コメカミに接した場合に滑りにくい材質とし、例えば硬質の樹脂表面に柔らかいシリコン樹脂層を被覆することもある。また、金属製のパット表面にシリコン樹脂層を設けてもよい。そして、該パット3,3はツル2,2に取付けられているが、取外しすることも出来、汚れた場合、特にシリコン樹脂層を表面に被覆したパット3,3であれば、劣化して滑りやすく成った場合には新しいパット3,3と交換することが出来る。
【0016】
図2はパット3を示す具体例であり、その形状は花形を形成した概略円柱形で、そして背面9の中心には脚10が突出している。そこで、ツル2の内側には穴が設けられ、この穴に該脚10が嵌合して取付けられる。脚10は円柱体であって、先端は僅かにその外径を大きくしている。先端を僅かに大きくしたことで、ツル2に形成した穴に嵌り易く、しかもガタ付きを生じない。すなわち、ツル2の穴に脚10が嵌合した場合には、背面9がツル2の内面に当接して安定する。
【0017】
図1(c)に示すツル2には,3個の穴11,11,11が設けられ、パット3の脚10は適当な穴11に嵌って取付けられる。すなわち、メガネを顔に掛けた場合に、パット3がコメカミに当って最も安定する位置の穴11に取付けられる。
【0018】
ところで、運動をして身体を動かす場合、又は継手7,7が弛んでツル2,2が外側へ僅かに開き気味になった場合、ツル2,2に取付けたパット3,3では着用したメガネが安定しない虞がある。そこで、本発明では必要に応じてフロント部1に鼻当てパットを取付けることが出来る。通常はツル2,2に取付けたパット3,3でよいが、必要な時に鼻当てパットを取付けることが出来る構造としている。
【0019】
図3はフロント部1に鼻当てパット12,12を取付けた場合のメガネフレームを示す実施例である。鼻当てパット12,12は脚13,13の先端に取付けられているが、該脚13,13はバネ線材で構成している概略門形の取付け部材14の一部として形成されている。そして、鼻当てパット12,12は取付け部材14ごと、フロント部1に着脱可能に取付けられている。勿論、ツル2,2にはパット3,3も取付けられている。
【0020】
図4は取付け部材14を示している具体例であり、2本の脚13,13を有す概略門形と成っており、鼻当てパット12,12は脚13,13の先端部に形成している細長いリング15,15に嵌って取付けられる。そして、脚13,13の基部側には線材を湾曲して係合溝16,16が形成され、この係合溝16,16がフロント部1に取着しているピンに係止される。
【0021】
図5はフロント部1に鼻当てパット12,12を取付けた場合を示している。フロント部中央には2本のピン17,17が内面側へ突出し、このピン17,17に鼻当てパット12,12を取付けた取付け部材14の係合溝16,16が係止して取付けられる。ピン17,17の先端部には細い溝が形成され、係合溝16,16を形成する線材がピン17,17の先端溝に嵌って取付けられる。従って、取付け部材14がピン17,17から外れ落ちることはない。
【0022】
図6はフロント部1から鼻当てパット12,12を取外す場合を示している。バネ線材で構成している取付け部材14は同図のように両鼻当てパット12,12を摘むならば、両脚13,13は内側にたわみ変形し、ピン17,17は係合溝16,16から離脱する。その結果、取付け部材14をフロント部1から分離することが出来る。
【符号の説明】
【0023】
1 フロント部
2 ツル
3 パット
4 リム部
5 連結部
6 ヨロイ部
7 継手
8 レンズ
9 背面
10 脚
11 穴
12 鼻当てパット
13 脚
14 取付け部材
15 リング
16 係合溝
17 ピン