特許第5703293号(P5703293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5703293
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】リチウム−イオンバッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/02 20060101AFI20150326BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20150326BHJP
   H01M 2/22 20060101ALI20150326BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20150326BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20150326BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20150326BHJP
   H01M 2/36 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
   H01M2/02 A
   H01M2/04 A
   H01M2/02 L
   H01M2/22 D
   H01M2/26 A
   H01M2/10 E
   H01M2/10 S
   H01M10/617
   H01M2/36 101D
【請求項の数】19
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-512000(P2012-512000)
(86)(22)【出願日】2010年5月19日
(65)【公表番号】特表2012-527736(P2012-527736A)
(43)【公表日】2012年11月8日
(86)【国際出願番号】US2010035451
(87)【国際公開番号】WO2010135456
(87)【国際公開日】20101125
【審査請求日】2011年12月13日
(31)【優先権主張番号】61/180,043
(32)【優先日】2009年5月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511281176
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ−サフト アドバンスト パワー ソリューションズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】フューリ、 ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ホーチン−ミラー、 ゲイリー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ボウエン、 ゲラルド ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】ディンクルマン、 ジョン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】パテル、 デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】モリナロリ、アレックス
【審査官】 吉田 安子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0247995(US,A1)
【文献】 特表2004−527886(JP,A)
【文献】 実開昭62−023060(JP,U)
【文献】 実開平06−070152(JP,U)
【文献】 特開2008−166169(JP,A)
【文献】 特開2002−184374(JP,A)
【文献】 特開2000−106215(JP,A)
【文献】 特開2003−223871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
H01M 2/04
H01M 2/10
H01M 2/22
H01M 2/26
H01M 2/20
H01M 2/36
H01M 10/617
H01M 10/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部に複数の区画室を有するプラスチックのハウジングと、
複数のリチウム−イオンセル要素であって、該ハウジングの該区画室の各々にその1つが設けられた複数のリチウム−イオンセル要素と、
該ハウジングに連結され、該ハウジングの該区画室の各々をシールするように構成されたカバーと、
、該セル要素に到達するのを防ぐ浸透防止バリアーとを有し、
前記浸透防止バリアーは、複数の金属フォイルの袋を有し、各金属フォイルの袋は各セル要素の周囲に配置されるリチウム−イオンバッテリーモジュール。
【請求項2】
該カバーは、該区画室の各々に電解質を分流するように構成された請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記複数の金属フォイルの袋は、前記セル要素の端子として作用するように構成された請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
透防止バリアーとして作用するように、該カバーと該ハウジングに金属酸化物のコーティングを有する請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
金属酸化物のコーティングは、該カバーとハウジングの区画室の各々の内に適用されている請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
金属酸化物のコーティング該カバーとハウジングの外面に適用されている請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
該カバーは、ハウジング内に電解質を提供する単一の位置を与えるために該ハウジングの区画室の各々と流体連通しているチャンネルを有る請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
ハウジングはバッテリーモジュールのセル要素の熱管理のために構成された請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
1以上の該セル要素の熱管理のために構成された中実管をさらに有し、該バッテリーモジュールは、該中実管に伝導的に連結された伝熱性板をさらに有している請求項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
その内部に複数の容器を有するハウジングであって、該容器はその内部に各リチウム−イオンセル要素を受け入れ、該ハウジングは1以上の該複数の容器の熱管理のために流体を流すように構成された複数の管を有するハウジングと、
前記複数の容器をシールするように前記ハウジングに連結されたカバーと、
が、該セル要素に到達するのを防ぐ浸透防止バリアーとを有し、
前記浸透防止バリアーは、複数の金属フォイルの袋を有し、各金属フォイルの袋は各セル要素の周囲に配置されるリチウム−イオンバッテリーモジュール。
【請求項11】
該カバーは、該ハウジング内に電解質を提供する単一の位置を与えるために該ハウジングの容器の各々と流体連通しているチャンネルを有する請求項10に記載のバッテリーモジュール。
【請求項12】
該カバーは、それを通る複数の穴を有し、各穴は該容器の1つと流体連通している請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項13】
各穴は、熱カシメによってシールするように構成された請求項12に記載のバッテリーモジュール。
【請求項14】
該チャンネルは、該カバーの上面によって画定される請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項15】
該チャンネルは、該カバーの上面によって画定され、該カバーを通る複数の穴と流体連通し、各穴は該容器の1つと流体連通している請求項11に記載のバッテリーモジュール。
【請求項16】
その内部に複数の区画室を有するハウジングと、
複数のリチウム−イオンセル要素であって、該ハウジングの区画室の各々にその1つが設けられた複数のリチウム−イオンセル要素と、
該区画室の1以上の熱管理のために流体を流すように構成された複数の管と、
該ハウジングに連結され、該ハウジングの区画室の各々をシールするように構成されたカバーと、
が、該セル要素に到達するのを防ぐ浸透防止バリアーを有し、
前記浸透防止バリアーは、複数の金属フォイルの袋を有し、各金属フォイルの袋は各セル要素の周囲に配置されるリチウム−イオンバッテリーモジュール。
【請求項17】
前記カバーは、該区画室の各々に電解質を分流するように構成された請求項16に記載のバッテリーモジュール。
【請求項18】
透防止バリアーとして作用するように、該カバーと該区画室に金属酸化物のコーティングを有する請求項16に記載のバッテリーモジュール。
【請求項19】
複数の金属フォイルの袋は、前記セル要素の端子として作用するように構成された請求項16に記載のバッテリーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2009年5月20に出願された米国仮出願第61/180043号の優先の利益を主張し、その開示内容をここに引用により一体化する。
【0002】
この発明は、全般的にバッテリーの分野とバッテリーシステムに関する。より特定すると、この出願は、車両の駆動力の少なくとも一部を与えるために、車両用に利用できるバッテリーとバッテリーシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
駆動力の全部又は一部のために電力を使用する車両(例、電動車両(EV)、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)など、集合的に「電気車両」という)は、内燃機関を使用する伝統的なガス動力車両に比較して数々の利点を与える。例えば、電気車両は、望ましくない排出物が少なく、内燃エンジンを使用する車両に比較してより大きな効率を示す(場合によれば、そのような車両は、あるタイプのPHEVの場合のように、ガソリンの使用を完全に除く)。
【0004】
電気車両技術がなお発展を続けているので、そのような車両のために改良された動力源を提供する必要が存在する(例、バッテリーシステム又はモジュール)。例えば、バッテリーの再充電の必要がなくそのような車両が移動できる距離を増すことが好ましい。バッテリーシステムに関連するコストを低減するために、そのようなバッテリーの性能を改良することもまた好ましい。
【0005】
なお発展し続けている改良分野は、バッテリー化学の分野である。初期の電気車両システムは、ニッケル−メタル−ハイドライド(NiMH)バッテリーを推進源として使用していた。時間の経過と共に、異なる添加物と変更が性能、信頼性およびNiMHバッテリーの有用性を改善した。
【0006】
最近になり、製造者は、電気車両に使用できるリチウム−イオンバッテリーを発展させ始めた。リチウム−イオンバッテリーを車両用に使用することに関連する幾つかの利点がある。例えば、リチウム−イオンバッテリーは、NiMHバッテリーより高い充電密度と比出力とを有している。他の言い方をすれば、リチウム−イオンバッテリーは、同じ電力を蓄電しながら、NiMHバッテリーより小さく、このことが電気車両の重量とスペースの節約を可能にする(又は、この特徴は、製造者が車両重量又はバッテリーシステムにより占められるスペースを増やさずより大きな車両用出力を与えることを可能にする)。
【0007】
リチウム−イオンバッテリーは、NiMHバッテリーとは異なる作用をし、NiMHバッテリー技術により与えられるのとは異なる設計上とエンジニアリング上のチャレンジを与えていることは広く知られている。例えば、リチウム−イオンバッテリーは、比肩し得るNiMHバッテリーより温度変化を受けやすいので、車両の運転中にリチウム−イオンバッテリーの温度を規制するシステムが使用される。リチウム−イオンバッテリーの製造はこのバッテリー化学に特有のチャレンジを与え、このチャレンジに答える新しい方法とシステムが発展中である。例えば、純リチウムは、水に対して極めて活性がある。こうして、リチウム−イオン化学を利用する以前のデザインにおいては、電気化学セルは、電解質と共に個々のハウジング内に密封シールされて水がセル及び/又は電解質に達するのを防いでいた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの車両に使用されるNiMH及び/又はリチウムイオンバッテリーシステムに関連する一つ又はそれ以上のチャレンジに答える電気車両用の改良されたバッテリーモジュールおよび/又はシステムを提供することは望ましいであろう。また、この開示を読めば明らかとなる一つ又はそれ以上の利点を有するバッテリーモジュール及び/又はシステムを提供することは望ましいことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施例によれば、リチウム−イオンバッテリーモジュールは、ハウジング内部で複数の区画室を画定する複数の隔壁を持つハウジングを有している。このバッテリーモジュールは、ハウジングの各区画室に設けられたリチウム−イオンセル要素をも有している。このバッテリーモジュールは、さらにハウジングに連結され、電解質を各区画室へ分流すようにされたカバーを有している。このカバーは、ハウジングの区画室を互いにシールするように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施例のバッテリーシステムを有する車両の透視図。
図2】一実施例のバッテリーシステムを有する車両の切除概観図。
図3】一実施例によるバッテリーモジュールの一部分解図。
図3A】一実施例の袋の中に設けられた角柱状のセル要素の透視図。
図4】色々な実施例のバッテリーモジュールの一部平面図。
図4A図4のバッテリーモジュールの電気配線図。
図5】色々な実施例のバッテリーモジュールの一部平面図。
図5A図5のバッテリーモジュールの電気配線図。
図6】色々な実施例のバッテリーモジュールの一部平面図。
図6A図6のバッテリーモジュールの電気配線図。
図7】熱規制のために使用された一実施例に係る複数の中実円柱を有するバッテリーモジュールの部分透視図。
図7A】熱規制のために使用された一実施例に係る複数の中空円管を有するバッテリーモジュールの部分透視図。
図8A-8C】色々な実施例に従うバッテリーモジュールのための熱管理構造の部分詳細図。
図9A-9C】図8A、8B、8Cの線9A、9B、9Cで切った断面図。
図10】一実施例に従う管状集電体を有するバッテリーモジュールの平面図。
図11】一実施例の積層電極板の部分分解図。
図12】一実施例の積層電極板の側面図。
図13】管状集電体を有する一実施例のセル要素の平面図。
図13A-13E】図13のセル要素の使用できる色々な実施例の管状集電体の断面図。
図14】管状集電体を有する別の実施例によるセル要素の透視図。
図14A-14B】図14のセル要素に使用できる他の実施例による管状集電体の透視図。
図15】別の実施例に従うバッテリーモジュールの部分分解図。
図15A】一実施例に従う袋内に収められた円筒状セル要素の透視図。
図16】他の実施例によるバッテリーモジュールの部分分解図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、車両10の全駆動力またはその一部を提供するためのバッテリーシステム20を有する自動車(例、乗用車)の形態の車両10の透視図である。このような車両10は、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)や駆動のために電力を使用するその他の種類の車両である(集合的に「電気車両」という)。
【0012】
図1には、車両10が乗用車として図示されているが、車両のタイプは、実施例に応じて変わっても良く、そのすべてがこの開示の範囲に入ることを意図している。例えば車両10は、トラック、バス、産業用車両、モーターサイクル、レクレーション用車両、ボート及び電力を全駆動力又はその一部として使用することが有用なその他の車両でも良い。
【0013】
バッテリーシステム20は、図1には、トランク内か車両後部に置かれているが、他の実施例においては、バッテリーシステム20の位置は異なっても良い。例えば、バッテリーシステム20の位置は、車両内の可能スペース、車両の重量バランス、バッテリーシステム20と共に使用される他の構成部材(例、バッテリー管理システム、通風又は冷却システム等)及びその他の色々の考慮すべきことに基づいて選択される。
【0014】
図2は、バッテリーシステムを有するHEVという形の一実施例による車両の切除概観図である。バッテリーシステム20Aは、燃料タンク12の近傍で車両10Aの後部に設けられている(バッテリーシステム20Aは、燃料タンク12の直近か車両10A後部(例、トランク)の分離した区画室内かその他に設けられていても良い)。車両10Aを推進するためにガソリンを使用する時のために内燃エンジン14が設けられている。電動モーター16、パワー分離装置17および発電機18も車両駆動システムの部分として設けられている。
【0015】
このような車両10Aは、バッテリーシステム20Aだけか、エンジンだけかバッテリーシステム20Aとエンジン14の両方で駆動されても良い。その他のタイプの車両とその駆動システム構成が他の実施例に従い使用できることを留意すべきであり、図2の概観図は、この出願に説明された主題の範囲を制限するものと考えるべきではない。
【0016】
バッテリーシステム20、20Aのサイズ、形、及び位置と、車両10、10Aのタイプと、車両技術のタイプ(例、EV、HEV、PHEVなど)および取り分けバッテリー化学は図示説明されたものとは異なりうる。
【0017】
一実施例に拠れば、バッテリーシステム20、20Aは、電気化学的バッテリー又はセル要素の包装又は収容、電気化学的セル要素及び/又は車両電気システムの構成部材を互いに接続すること、および電気化学セル要素とバッテリーシステム20、20Aのその他の構成を規制することを担っている。例えば、バッテリーシステム20、20Aは、バッテリーシステム20、20Aの監視と作動制御、バッテリーシステム20、20Aの熱的挙動を管理すること、排出物(例、セルから排出されるガス)を閉じ込めることおよびバッテリーシステムのその他の態様を行うという特徴を有していても良い。
【0018】
図3を参照して、バッテリーモジュール22(例、バッテリーパックなど)の一実施例の部分分解図が示されている。このバッテリーモジュール22は複数の電気化学セル要素(図3に示されている)を有している。一実施例に従えば、この電気化学セル要素24は、例えば、リチウムイオンセル要素、ニッケル−金属水素化合物セル要素、リチウムポリマーセル要素等や、公知またはその後開発されたその他の電気化学セル要素である。一実施例に拠れば、電気化学セル要素24は、電荷を貯蔵するようにされた一般的な角柱状のリチウム−イオンセル要素である。他の実施例に拠れば、セル要素24は、その他の物理的特徴(例、長円、円柱、多角形等)を有することもできる。容量、サイズ、形状、その他のセル要素24の特徴は図示の他の実施例のものとは異なっても良い。
【0019】
図3には、特定の数の電気化学セル要素24(即ち、6個の電気化学セル要素)を有していると図示されているが、他の実施例においては、異なる数及び/又は配列の電気化学セル要素が、色々のこと(例、バッテリーシステムの所望パワー、バッテリーモジュールが入れられる利用可能なスペース等)を考慮して使用できる。
【0020】
一実施例に拠れば、セル要素24の各々は、隣接する正極と負極(例、図11−12図示)を分離するセパレーター(例、ポーラスなポリマーセパレーター)を間に挟んで交互に積層された複数の負極電極40と正極電極42を有している。セパレーターは、正極と負極の電極の間に位置する個々のシート又は、正電極が入れられる袋(代わりに負電極が入れられる袋)であっても良い。図11−12に示されるように、各負電極の一部(例、端)は積層板の第一端から突き出て延び、各正電極の一部(例、端)が積層板の第二の端から突き出て延びている。このようにすれば、負電極の端が積層板の第一端においてアクセスでき、正電極の端が積層板の第二端においてアクセスできる(即ち、板が同じ極性の電極は、端子、または集電体に連結のために積層板の一つの端において容易にアクセスできるように互い違いにされている)。図3の参照符号40と42(及び「−」と「+」の符号)は、セル要素24の一端が負電極(参照符号40)の端部がアクセスでき、他端が正電極(参照符号42)の端部がアクセスできることを単純に示すことを意図している。
【0021】
なお、図3を参照して、一実施例によれば、バッテリーモジュール22は、多数の部材又はパーティション28(壁、分離体、バリアー、パネル等)を有するハウジング26を有している。この多数のパーティション28は、電気化学セル要素24を収納するようにされた一連の区画室29(容器、セクション、箱、溝、室等)を画定する。図3に示されるように、各区画室28は、ハウジング26の第一側壁からハウジング26の第二側壁に延びて、区画室29を画定している。一つの実施例によれば、パーティション28は、ハウジング26の頂部に延びている。一実施例に拠れば、パーティション28は、セル要素間での接続のための余裕を与えるためにハウジング26の頂部まで延びていない。
【0022】
一実施例によれば、カバー30が、区画室29を閉じるために設けられる。このカバーは、異なる区画室間の分離を与えるようにされている(例、カバーをパーティションの頂部に接着又は溶接して、電解質が異なる区画室の間を移動するのを防止するシールを形成する;レーザー溶接、接着、又はカバーをハウジングに接続する其の他の公知の接続方法が、色々な実施例に従い使用できる)。図3に示されるように、一実施例によれば、カバー30は、溝32として示される構成を有している。溝32は、ハウジング26の各区画室29と連通する複数の孔又は開口34と連通している。
【0023】
一実施例に拠れば、溝32と開口34は電解質を区画室29内に入れるのに使用される。例えば、電解質を区画室29に実質的に同時に入れる(即ち、区画室29が電解質で実質的に同時に満たされる)ように、電解質充填ヘッド(図示なし)が、溝32及び/又は開口34の上に設けられても良い。一実施例によれば、区画室29が電解質で満たされてしまった後、カバー30が電解質を各区画室29内に個別に(即ち、電解質は区画室間で共有されない)シール(例、熱カシメ)するように開口34は、シール(例、閉鎖、ブロック)される。
【0024】
一実施例によれば、ハウジング26、カバー30およびパーティション28は、ポリマー材料(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、等)か、其の他の適当な材料(例、電気絶縁材料)から作られる。この実施例では、ハウジング26及び/又はカバー30は、水やその他の物質が電解質とセル要素26に到達するのを実質的に制限する浸透防止バリアー(例、物質、材料、フィルム、カバー、コート等)を有している。易読性のために、この出願の残りの部分ではハウジング26を浸透防止バリアーを有するものとして引用するが、カバー30も浸透防止バリアーを有していても良いことは当業者なら容易に理解できる。
【0025】
図3に示すように、浸透防止バリアーは、ハウジング26の外(参照符号36にて一般的に示す)かハウジング26の内部(例、引用符号38で一般的に示されている各区画室29の内部)に設けられる。一実施例によれば、浸透防止バリアー38は、ハウジング26の外壁の内側面にのみ設けられている(即ち、内部パーティション28上には設けられない)。他の実施例においては、浸透防止バリアー38は、パーティション28の上にも設けられている。
【0026】
一実施例では、浸透防止バリアーは、ハウジング26の外面及び/又は内面上に設けられ、取り付けられ、スプレーされ、又はコートされる。色々な実施例に従い、ハウジング26に浸透防止バリアーを適用するどの様な方法、例えばスプレー、加熱スプレー(例、プラズマアーク)、浸漬コーティング、乾式塗装(例、粉末コーティング)、湿式塗装又はエナメル塗装プロセスが使用できる。
【0027】
一実施例においては、浸透防止バリアーは、約50乃至1000ミクロンの範囲の厚さを有している。他の実施例においては、浸透防止バリアーの厚さは、その適用に応じて小さくても大きくてもよい。この浸透防止バリアーは、適度の防水特性を有する材料である。種々の実施例において、この浸透防止バリアーの材料は、ポリマーのようなキャリアー材料および追加的な金属酸化物、例えば酸化錫、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛を有している。この浸透防止バリアー中に金属酸化物を有していることの有利な特徴は、金属酸化物が水の浸入を防ぎ、電気絶縁性であり、比較的高い伝熱性を有することである。
【0028】
一実施例によれば、浸透防止バリアー材料は、金属酸化物粒子を含む。一実施例では、金属酸化物粒子は、10乃至50ミクロンの範囲の平均粒径を有している。他の実施例では、金属酸化物粒子の平均粒径は、所望の適用例、電気絶縁量、コーティングの厚さに応じて、小さくも大きくもなり得る。一実施例では、コーティング材料は、粉末の形で(乾式)ハウジング26に適用される。他の実施例においては、浸透防止バリアー材料は、液体(例、金属酸化物粒子は、ペンキのような物質を形成するために、液体バインダーかキャリアー材料中に懸濁されている。)という形でハウジングに適用される(湿式)。
【0029】
他の実施例では、浸透防止バリアー材料は、溶射(例、冷間溶射、爆発溶射、炎溶射、高速酸素燃料コーティング溶射、プラズマ溶射、温間溶射、ワイヤ・アーク溶射など)によりハウジング26の表面に設けられる。溶射プロセスを使用するときは、浸透防止バリアー材料(例、金属酸化物)は、粉末又は線条(例、ワイヤ)の形で提供され、次いで溶融状態に加熱又は溶融(例、燃焼プロセス、電気アーク放電)される。浸透防止バリアー材料は(溶滴という形で)、ハウジング26の内表面上に噴射(例、加速、推進など)される。ハウジング26の表面に到達又は打撃すると、この浸透防止バリアー材料の溶滴は、平らにされ、固化してコーティング又は層を形成する。当業者なら理解できるように、溶射プロセスの厳密な使用または適用法は変わり得ることは留意すべきである。
【0030】
他の実施例では、浸透防止バリアー材料は、ハウジング26の表面(例、外表面及び/または内表面)上に、浸漬コーティングプロセスにより設けられる。一実施例においては、液状混合物の浸透防止バリアー材料を形成するために、浸透防止バリアー材料(例、金属酸化物)は溶剤又はキャリアー材料と混合される。一実施例に拠れば、この浸透防止バリアーコーティング混合物は、高濃度の水不透過性材料(例、溶剤又はキャリアー材料に対して高濃度の金属酸化物)を有している。
【0031】
一実施例では、ハウジング26は、浸透防止バリアーコーティング材料に浸漬される。一実施例によれば、ハウジング26の外面のみをコートまたはカバーするように、ハウジング26は、浸透防止バリアー材料内に設けられる。他の実施例では、ハウジング26の外面と内面の両方をコート又はカバーするために、ハウジング26は、浸透防止バリアーコーティング材料中に完全に浸漬される。次いで、ハウジングは浸透防止バリアーコーティング材料から引き出され、溶剤を蒸発させて浸透防止バリアーコーティング材料がハウジング26の表面に薄い層を形成させる。当業者なら理解できるように、浸漬コーティングプロセスの厳密な使用または適用法は変わり得ることは留意すべきである。
【0032】
他の実施例によれば、浸透防止バリアー材料は、水不透過製のラベル又はフィルムをハウジング26に適用することによりハウジング26の表面に設けることもできる。一実施例に拠れば浸透防止バリアー材料(例、金属の薄い層)は、ラベルを形成するために接着剤を用いて部分的または全体的にコートされる。一実施例によれば、このラベル(例、接着剤を表面に付けた金属の層)は、ハウジング26の表面(例、外面及び/又は内面)に適用(例、接着、展開、貼り付け)される。当業者なら理解できるように、塗装プロセスの厳密な使用または適用法は変わり得ることは留意すべきである。
【0033】
他の実施例に拠れば、浸透防止バリアー材料は、塗装プロセスによってハウジング26の表面に設けられる。一実施例によれば、浸透防止バリアー材料(例、金属酸化物)は、浸透防止バリアー材料の塗装可能な混合物を形成するために、溶剤又はキャリアー材料と混合される。一実施例に拠れば、浸透防止バリアー材料の塗装可能な混合物は、高濃度の水不透過性(例、溶剤又はキャリアー材料に対して高濃度の金属酸化物)を有している。一実施例に拠れば、浸透防止バリアー材料は、ハウジング26に噴射塗装される。他の実施例によれば、塗装材料は、ハウジング26にブラシ塗装(例、手持ちブラシ、ロータリブラシ)される。当業者なら理解できるように、塗装プロセスの厳密な使用または適用法は変わり得ることは留意すべきである。
【0034】
他の実施例では、塗装材料は、粉末塗装プロセスによりハウジング26の表面に設けられる。一実施例に拠れば、浸透防止バリアー材料(例、金属酸化物粒子)は、粉末で提供され、次にハウジング26の表面に、静電気的に(例、静電ガン、コロナガン、トリボガン、流動床、静電マグネットブラシ等)適用される。一実施例に拠れば浸透防止バリアー材料は、ハウジング26に適用される前に、バインダー材料(例、ポリプロピレン又はポリエチレン)によりコートされる。粉末コートされたハウジング26は、次いで、この粉末コートが溶けて(又は半溶融で)ハウジング26の表面上を流れるように養生する(例、100−200℃の範囲の温度で)。当業者なら理解できるように、粉末塗装プロセスの厳密な使用または適用法は変わり得ることは留意すべきである。
【0035】
他の実施例に拠れば、ハウジング26及び/又はカバー30は、金属材料(例、アルミニウム、スチールなど)又はその他の適当な材料から構成され、別の浸透防止バリアーを必要としない。この実施例では、電気絶縁材料がセル要素24と金属ハウジング26及びカバー30の間に設けられ、セル要素24と金属ハウジング26とカバー30との直接の接触を防ぐのもよい。
【0036】
図3Aを参照して、他の実施例においては、各セル要素24は、ハウジング26内に設けられる前に、オプションとして袋25(例、金属フォイルの袋、ポリマーの袋)内に収められても良い。一実施例では、袋25は、セル要素24及び/又は電解質に対する(水の浸入を規制する)浸透防止バリアーとして働く。一実施例に拠れば、この袋25は、セル要素24の頭側で開いており、セル要素24の底側で閉じている。他の実施例においては、袋25は、セル要素24の頭部と底部の両方において閉じている(例、密封シール)。一実施例に拠れば、袋25の内部で、セル要素24に電解質が設けられている。一実施例においては、袋25は、典型的なセルの硬い金属ハウジングの代わりに設けられる。固い金属セルのハウジング又はハウジング26の内部または外部に塗布された別の浸透防止バリアーに代わる薄い柔軟性の袋25を用いることにより材料コストが節約できる。
【0037】
図4−6を参照して、一実施例に拠れば、各セル要素24は、バー状のバスまたは同様な要素という形態のコネクターを用いて、他の一つまたはより多くのセル要素24又は他のバッテリーシステムの構成部材と電気的に連結されている。図4−4Aに見られるように、セル要素24は、バー状のバス48により、互いに直列に連結されている。一実施例に拠れば、バー状バス48は、夫々の電極40、42に溶接(例、超音波溶接、レーザー溶接など)されている。セル要素24を互いに連結するのを助けるように、セル要素24は、反対極性のセル電極40、42が互いに隣り合うように、交互に連続して設けられる。図4に見られるように、正の連結子46がバッテリーモジュールの一端に、負の連結子44がバッテリーモジュールの他端に設けられている。
【0038】
図5−5Aに示されるように、他の実施例においては、セル要素24は、互いに並列に接続されている。バー状バス148は、セル要素24のセット全体に亘って延び、正電極42のすべてと負電極40のすべてをそれぞれ接続している。図5に見られるように、正電極の連結子146がバッテリーモジュールの一端に、負電極の連結子144がバッテリーモジュールの他の端に設けられている。しかし、破線で示されているように、他の実施例では、正の連結子と同じ端に設けられても良い。
【0039】
図6−6Aに示されるように、他の実施例においては、セル要素24は、並列と直列の組み合わせにより互いに連結されている。バー状バス248と248Aは、セル要素24を、並列接続の3セットが、直列に接続されるように連結している。図6−6Aに示されるように、各並列接続のセットには、二つのセル要素がある。図6に見られるように、正の連結子246は、バッテリーモジュールの一端に設けられ、負の連結子244は、バッテリーモジュールの他端に設けられている。他の実施例に拠れば、バッテリーモジュールのその他の形態と連結配列が可能である。
【0040】
一実施例によれば、色々の連結部材又はバー状バスが、セル要素24の上に設けられても良い。他の実施例に拠れば、バー状バスは、セル要素24の両サイドを連結するために、パーティション内の穴又は開口(図示なし)を通して設けられても良い。一実施例によれば、カバー30は、セル要素の連結部材を容れる凹部を有している。
【0041】
他の実施例に拠れば、袋25が使用されたときには、隣接するセル要素24の電極又は端子と連結される(例、バスバーを用いて)ために、セル要素24の電極又は端子は、この袋25を通して延びていても良い。他の実施例では、袋25を通して延びる端子の周囲に密封シールが設けられる。他の実施例では、袋25(例、金属フォイルの袋)は、セル要素24の端子として使用される。一実施例に拠れば、袋25は、(例、セル要素の負又は正の電極に接続されて)負又は正の極性を有する。
【0042】
色々な実施例においては、バッテリーモジュールは、セル要素(図7−16に関して述べたような)熱の管理又は規制(例、冷却及び/又は加熱)をするために構成を有していても良い。例えば、一実施例では、ハウジング及び/又はパーティションは、セル要素へ冷却及び/又は加熱を伝熱的に行うために、一連の板又は延長部を有していても良い。他の実施例では、ハウジング及び/又はパーティション内の通路又は管が、冷却及び/又は加熱用流体(例、ガス又は液体)がセル要素の近くまで流れるためのスペースを与える。読み易さのために、この出願のこの後の部分は、セル要素の冷却という:しかし、この分野において通常の技能を有するものは、セル要素の冷却と加熱が下に述べる実施例により達成できることを容易に理解できる。
【0043】
図7を参照して、バッテリーモジュール322は、セル要素24を冷却するための熱管理構造を有している。図7に見られるように、一実施例に拠れば、延伸部材、または中実管350として示されている熱管理構造は、ハウジング326内におよそ垂直の向きに設けられている。一実施例に拠れば管350はセル要素24の各角部に配置されている。他の実施例では、管350は、パーティション328の内部に設けられている。
【0044】
図7に示されているように、一実施例では、伝熱性部材又は板360は、各管350の端に取付けられている。伝熱性板260は、熱を伝えることにより管350、そしてセル要素24を冷却するヒートシンクとして作用する。一実施例に拠れば、熱が伝熱性板360から(例、冷却システム(図示なし)を介して)取り去られる。
【0045】
図7Aに示されるように、他の実施例では、中空管350Aが中実管の代わりに用いられ、流体(例、空気のような気体か水又は水とグリコールとの混合物のような液体)を通してセル要素24Aを冷却するように形成されている。一実施例に拠れば、管350Aは、ハウジング326A及び/パーティション328Aの一部として形成(例、ハウジングの壁及び/又はパーティションの中に形成)された中空通路である。他の実施例では、管350Aは、ハウジング326A及び/又はパーティション328Aの内部に置かれた別の構成部材である(例、管350Aは、ハウジング壁か、パーティション内に予め設けられていても良い)。他の実施例では、管350A(又は通路)は、(図7Aに示されるおよそ垂直の向きに対して)およそ水平の向きに設けられている。
【0046】
一実施例に拠れば、流体の流れは、冷却管の端がマニフォールド(例、図7Aのマニフォールドのような)により連結されて、およそ一方向に(例、ハウジングの頂部から底部に向けて又は底部から頂部に)向いている。マニフォールドは、ハウジング326の上、下、又はどちらかの側部に設けても良いことを述べておく。他の実施例においては、管350Aは、流体がバッテリーモジュールを通過する単一の通路を与えるように、お互いに連結されていても良い。他の実施例では、流体がバッテリーモジュール内を流れる複数の通路を与えるために、複数の管350Aがバッテリーモジュール内に設けられても良い。
【0047】
図7Aに示されるように、一実施例によれば、マニフォールド362Aは、流体を管350Aの開口352Aへ向け又はそれから流す内部室362A(プレナム、空間、エリア等)を有する。管350Aの反対端には、開口351Aが同様にマニフォールド(図示なし)に連結されていても良い。マニフォールド360Aは、このマニフォールド360Aの内部室362Aと流体連結している開口363Aを有する連結部又はフランジ361Aを有する。流体は、その流れの向きに応じて開口363Aに向けて又はそれから流れるようにされる。
【0048】
図8A−9Cを参照して、色々な実施例に従うバッテリーモジュールのための熱管理構造の幾つかが示されている。図8A及び9Aに示されるように、一実施例によれば、ハウジング426Aの(例、図3のバッテリーモジュール22の)パーティション428の実質的に全体が冷却(又は加熱)の通路として作用する。例えば、パーティション428Aは、隣接するセル要素を冷却する流体(例、気体又は液体)を容れるように構成された内部通路又は空間450Aを有しても良い。他の実施例では、中空スペース450Aは、マニフォールド(図7Aに示されたマニフォールド360Aのような)に連結されている。このマニフォールドは、ハウジング426Aの上、下、又はそのどちらかの側部に設けられることを述べておく。他の実施例では、パーティション428A自身が、中実あり冷却板(例、外部の冷却部材(図7の伝熱板360のような)に連結されることによって)として隣接するセル要素を伝熱的に冷却するよう作用する。
【0049】
図8Bと9Bに示される他の実施例においては、パーティション428Bは、バッテリーハウジングの第一側から第二側に延びる(例、およそ水平又は垂直に向いた)複数の独立した管又は通路450Bを有していても良い。これらの個々の管450Bは、隣接するセル要素を冷却する流体(例、気体又は液体)を容れるように構成されていても良い。
【0050】
一実施例によれば、個々の管450Bの内部の流体は、バッテリーハウジングの第一側から第二側の向きに同じ方向に(図9Bの入口451Bから出口452Bを介して)流れる。他の実施例では、第一の管450B内の流体は、第一の方向に流れ、第二の管450B内の流体は、第一の向きと反対の第二の方向に流れる。一実施例においては、複数の管450Bは、パーティション428B又はハウジング426Bの一端において、マニフォールド(例、図7Aのマニフォールドのような)と連結されている。マニフォールドは、ハウジング426Bの上、下、又はどちらかの側部に設けても良いことを述べておく。他の実施例においては、マニフォールドは、幾つかのパーティション428Bの管450Bを互いに連結するように、ハウジング426Bの側部を横切るように延びている。
【0051】
図8Cと9Cに示されるように、他の実施例では、パーティション428C内の管450Cは、蛇状に互いに連結されている。例えば、図9Cに示すように、管450Cは、パーティション428C内において、曲部456Cにより連結されている。他の実施例では、曲部456Cは、パーティション428Cの外部に設けられている(例、パーティション428Cの外)。
【0052】
図8C,及び9Cに示される実施例に拠れば、管450Cは、ハウジング426Cの同じ側に位置する入口451Cと出口452Cを有している。他の実施例では、入口451Cと出口452Cは、ハウジング426Cの互いに反対側に位置している。一実施例によれば、管450Cの幾つかのパーティションからの入口451Cは、互いに連結され(例、マニフォールド(図示なし)により)、管450Cの幾つかのパーティション428Cの出口452Cは互いに連結されている(例、マニフォールド(図示なし)によって)。マニフォールドは、ハウジング426Cの上、下、又はそのどちらかの側に設けてよい。
【0053】
他の実施例では、一つのパーティションの管(例、管450Bか、管450C)は、第二のパーティションの管に単独に連結され、ハウジング内を通る一つの流体流露が創生される。例えば、第一のパーティションからの管の出口は、第二のパーティションからの入口に連結されてもよい。
【0054】
図10を参照して、他の実施例によるバッテリーモジュールは、一体管550を有するセル要素を有するものが示されている。一実施例によれば、管550は、セル電極(例、負電極と正電極)と連結され、セル要素524の集電体として機能する。他の実施例では、管550はセル要素524の端子として作用する。セル要素524と一体の管550を有することで、バッテリーモジュール522と共に使用される構成部材の全体の数を減らし、バッテリーモジュール522を製造し組み立てる時間と費用を節約できる。
【0055】
図11−12を参照して、一実施例に従うセル要素624が、セル要素624に管(例、図13に示される管650ような)を連結する前の状態が示されている。セル要素624は、多数の正極642の層と負極640の層が交互に重ねられた電極を有している。分離体641が電極層の間に置かれ、正電極と負電極とを互いに絶縁するために非導電体から作られていても良い(例、多孔の重合体材料)。一実施例によれば、正電極642の端は、セル要素624の一側において突き出ており、負電極の端がセル要素624の他側において突き出ている。
【0056】
図13に示されているように、管650は、各管650が負電極640か正電極642かに連結されるように、セル要素624の各端又は端部に連結されている。一実施例に拠れば、管650がおよそ電極端部の中央に位置する(つまり、電極端のほぼ半分が管の一側にあり、電極端のほぼ半分が管の他側にあるように、管650は電極640、642の端を分けている。
【0057】
一実施例によれば、電極640、642は、管650に溶接(例、超音波溶接、レーザー溶接等)されている。一実施例では、管650は、管624の実質的に全長にわたってセル要素624の第一端(例、頂部)から、セル要素624の第二端(例、底部)まで溶接されていても良い。他の実施例では、溶接部は、セル要素624の高さの一部だけ伸びている。他の実施例では、溶接部は、セル要素624の高さに沿う間欠的溶接部である。
【0058】
一実施例によれば、管は、円形の断面(例、図13−13Aに示されるような)を有していても良い。他の実施例では、管は、其の他の形をしている(例、図13B−13Eに示すような六角形、八角形、又は長円形)。他の実施例では、管は、中実で(例図13に示す)、セル要素に伝導的に冷却(又は加熱)するように板(例、図7の板360)に連結されるように構成されている。他の実施例では、管は、中空管(例、図13A−13Eの管650A−Eのような)であり、流体(例、空気や水又は水/グリコール混合物のような液体)を通すものであっても良い。
【0059】
図14−14Bを参照して、一体管750を有するセル要素724が他の実施例に従って示されている。一実施例によれば、管750は、中実管(例、図14に示すような)である。他の実施例では、管は、開いた両端を有する中空管である(例、図14Aに示される一体化された通路751Aを有する管750Aのような)。他の実施例では、管は、第一端において開放端を有し、第二端において閉止端を有する中空管である(例、図14Bに示されるような、内部751Bを有する管750B)。
【0060】
管が中実管(例、図14に示されるように)である時は、一実施例に従い、セル要素に伝導的に冷却(又は加熱)をするために、管は、部材または板(例、図7に示される板360のような)に連結される。追加的に板(例、単一の共通板)が、バッテリーモジュール内の多数のセル要素の管に連結されても良い。一実施例によれば、電気的絶縁部材が管と板との間に設けられる。一実施例によれば、板は、セル要素の下に位置する。他の実施例では、板はセル要素の上に位置する。
【0061】
管が中空管(例、図14Aに示すように)であるときは、一実施例に従い、セル要素の冷却(又は加熱)のために、流体が管の中に流入する(例、図7Aのマニフォールドのようなマニフォールドから)。この実施例では、流体を管から絶縁するために、電気的絶縁フィルム又はコーティングが、中空管内に設けられる。一実施例では、流体は管の底に入り、管の頂部から出る。他の実施例では、流体は、管の頂部から入り、管の底から出る。
【0062】
一実施例によれば、多数のセル要素の中空管は、一緒に連結(例、図7Aに示されるマニフォールド360Aのようなマニフォールドにより)される。一実施例によれば、入口マニフォールドは、管の入口を連結し、出口マニフォールドは、管の出口を連結する。これらのマニフォールドは、ハウジングの上、下、又はどちらかの側部に設けても良いことを留意すべきである。他の実施例では、個々の管は、冷却流体がバッテリーモジュール内を通過する単一流路を作るために互いに連結される。
【0063】
一実施例によれば、中空管が、少なくとも一つの閉止口(例、図14Bに示すような)を有するときは、セル要素の冷却(又は加熱)をするために、流体(例、気体又は液体)は管の開口端に入る。一実施例では、多数のセル要素の管の開口端は、一緒に連結されている(例、マニフォールド又は伝導板(図示なし)により)。
【0064】
なお、図14−14Bを参照して、一実施例に拠れば、管はセル要素724の端子としても作用する。一実施例では、この端子は管の上に位置しているが、他の実施例では、その他の位置にあっても良い。一実施例では、端子は、管の上部(例、図14と14Bに示す端子752、754及び752B)である。他の実施例では、端子は、冷却管(例、図14Aに示す端子752A)に連結された別の構成部材である。一実施例によれば、端子は、バー状バスを端子に連結するために使われる固定具を受容するための穴(例、ねじ穴756、756A、756B)を有している。
【0065】
図15−16を参照して、二つの実施例に従う、バッテリーモジュール又はバッテリーパックの部分分解図が示されている。バッテリーモジュールは、複数の電気化学セル要素824(例、リチウム-イオンセル要素、ニッケル-メタルハイドライドセル要素、リチウムポリマーセル要素等か、現在公知かその後発展した其の他の電気化学セル要素)を有している。一実施例によれば、電気化学セル要素824は、電気を蓄めるように形成された凡そ円形のリチウム-イオンセル要素である。他の実施例では、セル要素824は、その他の物理的形状(例、長円、角柱、多角形など)を有している。他の実施例では、セル要素824の容量、サイズ、形状、その他の特徴は、示されたものと異なりえる。
【0066】
図15−16には、特定の数の電気化学セル要素824(例、六個の電気化学セル要素)を有するものが示されているが、他の実施例では、異なる数及び/又は配置の電気化学セル要素824が、色々の考慮事項(例、バッテリーシステムの所望パワー、バッテリーモジュールが納められるスペースなど)に依存して使用される。
【0067】
一実施例によれば、各セル要素824は、バー状バスや類似の要素(図示なし)を用いて一つ又はそれ以上の要素や、バッテリーシステムの他の構成部材に電気的に連結されている。一実施例では、セル要素824の集電体及び/又は端子(図示なし)は、セル要素824の負電極840と正電極842に連結される。一実施例では、集電体及び/又は端子は、隣接するセル要素824の端部を互いに連結するために隔壁内の穴又は開口(図示なし)を通して設けられる。
【0068】
一実施例によれば、バッテリーモジュールは、複数の部材又は隔壁828、928(壁、分割部材、バリアー、パネルなど)を有するハウジング826、926を有している。多数の隔壁828、928は、複数の電気化学セル要素824を入れるように形成された一連の区画室829、929(例、容器、区画、箱、スロット、開口など)を画定する。カバー830、930は、セル要素824を部分的に又は完全に囲み又は閉じ込めるために設けられる。
【0069】
一実施例によれば、ハウジング、カバー、および/または隔壁は、ポリマー材料(例、ポリプロピレン)またはその他の適当な材料(例、電気絶縁性材料)から作られ、浸透防止バリアー836、838(図3に関連して述べた浸透防止バリアーと類似の)によってコートされている。一実施例によれば、ハウジング、カバー及び/又は隔壁は金属材料(例アルミニウム、スチールなど)又はその他の適当な材料から作られ別の浸透防止バリアーは必要としない。
【0070】
図15に示すように、一実施例によれば、カバー830は、凹部833として示される複数の特徴を有している。各凹部833は、ハウジング826の区画室829のひとつと流体連通する開口または穴834を有している。一実施例によれば、凹部833と開口834は、区画室829に電解質を入れるために使われる。例えば、区画室829に電解質を入れるために、電解質充填ヘッド8(図示なし)が、各凹部833及び/又は開口834の上に設けられている。一実施例に拠れば、充填ヘッドは、電解質を区画室829に実質的に同時に提供する。一実施例によれば、カバー830が電解質を各区画室829内に閉じ込めるように、区画室829が電解質で満たされた後、開口834は、シールされる(例、閉止、ブロックなど)。カバーは、色々の区画質の間の分離を与えるように構成されている(例、カバーを隔壁の壁の頂部に固着又は溶接により、電解質が色々の区画室の間を動くのを防ぐシールを形成する;レーザー溶接、接着、その他の公知のカバーをハウジングに接続するための方法が、色々の実施例に従って用いられる)。
【0071】
図16に示されるように、他の実施例に拠れば、カバー930は、チャンネル又はスロット935で互いに連結された凹部933である複数の特徴を有している。カバー830と類似して、各凹部933は、ハウジング926の一つの区画室929と流体連通する開口又は穴934を有している。一実施例によれば、凹部933及び開口934は、電解質を区画室929に入れるために使われる。例えば、電解質を区画室929に供給するために、電解質充填ヘッド(図示なし)が少なくとも一つの凹部933及び/又は開口934の上に設けられている。チャンネル935は、電解質が一つの凹部933から他の凹部へと流れるのを許す。一実施例によれば、充填ヘッドは、電解質を区画室929に実質的に同時に入れる。一実施例に拠れば、カバー930が電解質を各区画室929に閉じ込めるように、区画室929が電解質で満たされた後(例、熱カシメなどで)、開口934はシールされる(例、閉止、ブロックなど)。カバーは、色々の区画質の間の分離を与えるように構成されている(例、カバーを隔壁の壁の頂部に固着又は溶接により、電解質が色々の区画室の間を動くのを防ぐシールを形成する;レーザー溶接、接着、その他の公知のカバーをハウジングに接続するための方法が、色々の実施例に従って用いられる)。
【0072】
図15Aを参照して、セル要素824は、ハウジング内に収められる前に、オプションである袋825内に入れられる。一実施例によれば、袋825は、セル要素824の頂部側において開放されており、セル要素824底部側において閉じている。他の実施例では、袋825は、セル要素824の頂部側と底部側の両方において閉じている(例、密封的にシールされている)。一実施例によれば、電解質は、セル要素824と共に袋内に入れられている。一実施例によれば、袋825は、典型的には固い金属のセルハウジングを置き換えるために設けられる。固い金属製セルハウジングの代わりに薄い柔軟な袋を用いることで材料費が節約できる。
【0073】
一実施例に拠れば、袋825が用いられるときは、セル要素824の集電体及び/又は端子は、隣のセル要素の集電体及び/又は端子に接続されるために袋を通して延びている。他の実施例においては、袋825を通して延びる集電体及び/又は端子の回りに密封シールが設けられる。他の実施例では、袋825(例、金属箔袋)は、セル要素824の端子として作用する。一実施例によれば、袋825は負か正の極性を有している(例、セル要素824の負電極840か正電極842に接続されることにより)。
【0074】
図15−16を参照して、一実施例によれば、バッテリーはセル要素を冷却及び/又は加熱するための構成を有している。例えば、一実施例によれば、バッテリーモジュールのハウジング及び/又は隔壁は、セル要素に冷却または加熱を施す作用をする一連の通路又は管を有していても良い。読み易さのために、この出願の残りの部分は、セル要素の冷却としている;しかしこの分野における通常の技能を有する者であれば、セル要素の冷却又は加熱が下に述べる例示の実施態様により達成できることは容易に判る。
【0075】
図15を参照して、バッテリーモジュールは、一実施例に従って、通路850A,850Bとして図示された熱管理構造を有している。図15に示されるように、通路850A、850Bは、ハウジング826内の隔壁828により形成されている。バッテリーモジュールは、通路850A、850Bと連通する開口又は穴864A,864Bを有するマニフォールド860を有している。一実施例によれば、流体は、隣のセル要素824を冷却するために、マニフォールド860から通路850A、850Bへと導かれる。他の実施例では、流体は通路850A、850Bからマニフォールド860へと導かれる。図15に示されるように、マニフォールド860は、開口863を持つ連結部861を有している。他の実施例では、マニフォールドは(例、マニフォールド863に類似して)、マニフォールド860と反対に通路850A、850Bの端に設けられている(例、入口マニフォールド又は出口マニフォールドとして働くため)。
【0076】
一実施例に拠れば、流体の流れは、全体的に一方向に向いており、(例、ハウジング826の頂部からハウジング826の底部へと、又はハウジング826の底部からハウジング826の頂部へ)通路850A、850Bの端はマニフォールド(例、マニフォールド860)により連結されている。他の実施例によれば、通路850A、850Bは、バッテリーモジュールを通して流れる流体のための単一の流れを与えるために互いに連結されている。他の実施例によれば、バッテリーモジュールを通る流体の複数の流路を与えるために、複数の互いに連結された通路850A,850Bが、バッテリーモジュールに設けられている。
【0077】
図16を参照して、一実施例によれば、管950A、950Bとして示されている熱管理構造がハウジング926の内部に設けられている。一実施例によれば、管950A,950Bは、区画室929を形成する隔壁928の間に置かれた別の構成部材である。一実施例によれば、管950A、950Bは、流体(例、気体又は液体)を容れるようにされた中空管である。一実施例によれば、管950A、950Bは、セル要素824の間にある空間を効率的に利用できるサイズとされる。
【0078】
一実施例によれば、バッテリーモジュールは、管950A,950Bと流体連通する開口または穴964A,964Bを含むマニフォールド960を有している。一実施例によれば、流体は、隣のセル要素924を冷却するためにマニフォールド960から管950A,950Bへと導かれる。他の実施例によれば、流体は通路950A、950Bからマニフォールドへと流される。図16に示されるように、マニフォールド960は、開口963を持つ連結部961を有している。他の実施例に拠れば、マニフォールド(例、マニフォールド860と類似の)は、マニフォールド860と反対の管950A,950Bの端に(例、入口マニフォールド又は出口マニフォールドとして作用するために)設けられている。
【0079】
一実施例に拠れば、流体の流れは、全体的に一方向に向いており、(例、ハウジング926の頂部からハウジング926の底部へと、又はハウジング926の底部からハウジング926の頂部へ)管950A、950Bの端はマニフォールド(例、マニフォールド960)により連結されている。他の実施例によれば、管950A、950Bは、バッテリーモジュールを通して流れる流体のための単一の流れを与えるために互いに連結されている。他の実施例によれば、バッテリーモジュールを通る流体の複数の流路を与えるために、複数の互いに連結された管950A,950Bが、バッテリーモジュールに設けられている。
【0080】
一実施例によれば、管950A、950Bは中実管であり、セル要素の伝導による冷却を行うために、管950A,950Bの上又は下に位置する部材又は板(図示なし)に連結されるように構成される。
【0081】
ここで使用されているように、用語「およそ」、「約」、「実質的に」および類似の用語は、この開示が関連している主題の技術において通常の技術を有する者が共有し認知した使用法と矛盾しない広い意味を持たせている。これらの用語は、詳細に説明されると共にクレームされた特定の特徴の範囲を、記載された厳密な数値範囲の限定することなく記載することを可能にすることを意図するものであることは、この開示を読む当業者により理解されるはずである。従って、詳述されクレームされた主題の実質的でない瑣末な変更・改良は、添付されたクレームに記載された発明の範囲内にあるものと考えるべきことをこれらの用語は指示していると解釈すべきである。
【0082】
色々な実施態様を説明するためにここで使われている「例示の」という用語は、これらの実施態様が、実施可能な例、代表例、及び/又は可能な実施態様の図示であることを示すことを意図している(これらの用語は、これらの実施態様が異例の又は最高の例であるという意味を含ませることを意図するものではない)。
【0083】
用語「継がれた」、「連結された」及びここで使われた類似の語は、二つの部材を直接又は間接に連結することを意味する。この様な連結は固定的(恒久的)又は動きうる(例、取外せる、解除できる)ものである。このような連結は、二つの部材又は二つの部材および追加的な中間部材が互いに一つの部材として一体的になるか、二つの部材および追加的な中間部材が互いに取り付けられていることで達成される。
【0084】
要素の位置を言及する表現(例、「頂部」、「底部」、「上」、「下」など)は、単に図中の色々な要素の配置を表すために使用されている。色々の要素の配置は、他の実施例により変化することがあること及びそのような変化はこの開示により包含されていることに留意すべきである。
【0085】
色々な実施例に示されている連結部材の構造と配置は単なる例示であることを留意することは重要である。この開示においては、ほんの幾つかの実施態様のみが詳細に説明されているが、この開示を読む当業者は、多くの改変(例、寸歩の変更、寸法、構造、色々な要素の形状、寸法比率、パラメーターの値、取り付け構造、使用材料、色、向きなど)が、ここに詳述された主題の新規な教示と利点から実質的に離れることなく可能であることを容易に理解できる。例えば、一体的に形成されて示されている要素は、複数の部分や要素から構成できるものでも良いし、要素の位置は、反対であったり、変わっていても良いし、分離した要素の質と数又は位置は変更されても良い。工程又は方法のステップの順序と配列は、代替実施態様に従い、変更又は組み替えても良い。デザイン、操作条件および色々な実施例の配列のその他の置き換えや修正、変更と省略もこの発明の範囲から離れることなくできる。
図1
図2
図3
図3A
図4
図4A
図5
図5A
図6
図6A
図7
図7A
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14
図14A
図14B
図15
図15A
図16