(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5703304
(24)【登録日】2015年2月27日
(45)【発行日】2015年4月15日
(54)【発明の名称】3−アミノピクリン酸の簡易合成
(51)【国際特許分類】
C07C 213/02 20060101AFI20150326BHJP
C07C 215/76 20060101ALI20150326BHJP
C07C 213/10 20060101ALI20150326BHJP
【FI】
C07C213/02
C07C215/76
C07C213/10
【請求項の数】18
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-537963(P2012-537963)
(86)(22)【出願日】2010年11月3日
(65)【公表番号】特表2013-510160(P2013-510160A)
(43)【公表日】2013年3月21日
(86)【国際出願番号】US2010055248
(87)【国際公開番号】WO2011056841
(87)【国際公開日】20110512
【審査請求日】2013年10月31日
(31)【優先権主張番号】61/257,721
(32)【優先日】2009年11月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507075565
【氏名又は名称】パシフィック・サイエンティフィック・エナジェティック・マテリアルズ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】フロナバーガー, ジョン, ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ, マイケル, ディー.
【審査官】
松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】
特表平11−511740(JP,A)
【文献】
米国特許第05633406(US,A)
【文献】
特開平07−196587(JP,A)
【文献】
米国特許第05466871(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0070743(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0038297(US,A1)
【文献】
W. BORSCHE,UEBER DEN WECHSELSEITIGEN AUSTAUSCH VON AROMATISCH GEBUNDENEM HYDROXYL UND HALOGEN,CHEMISCHE BERICHTE,1928年,V61,P690-702
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3−アミノピクリン酸を調製する方法であって、
(a)水酸化リチウム、ピクリン酸、および第1溶媒を混合して第1溶液を形成する工程、
(b)水酸化リチウム、塩酸ヒドロキシルアミン、および第2溶媒を混合して第2溶液を形成する工程、
(c)第1溶液を第2溶液と混合して混合物を形成する工程、および
(d)前記混合物を冷却する工程を含む3−アミノピクリン酸を調製する方法。
【請求項2】
塩酸ヒドロキシルアミンのモル比が、ピクリン酸1モルあたり、2モル〜5モルである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水酸化リチウムのモル比が、ピクリン酸1モルあたり、2.5モル〜20モルである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記混合物は、−8℃〜25℃の温度範囲に冷却される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物は、前記温度範囲で1時間〜10時間の間維持される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第1溶媒および第2溶媒は水である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
水酸化リチウム、塩酸ヒドロキシルアミン、および第2溶媒を混合して、第2溶液を形成する前記工程が、
(a)水酸化リチウムおよび第1の量の第2溶媒を混合して水酸化リチウム溶液を形成すること、
(b)塩酸ヒドロキシルアミンおよび第2の量の第2溶媒を混合して、塩酸ヒドロキシルアミン溶液を形成すること、および
(c)前記塩酸ヒドロキシルアミン溶液を前記水酸化リチウム溶液に添加して、第2溶液を形成することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
さらに第2溶液を冷却することを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第2溶液は1℃未満の温度範囲に冷却される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
3−アミノピクリン酸を調製する方法であって、
(a)水酸化リチウム、ピクリン酸、および第1溶媒を混合して第1溶液を形成する工程、
(b)水酸化リチウム、塩酸ヒドロキシルアミン、および第2溶媒を混合して第2溶液を形成する工程、
(c)第1溶液を第2溶液と混合して混合物を形成する工程、
(d)前記混合物を冷却する工程、および
(e)前記混合物に沈殿物を形成する工程を含む3−アミノピクリン酸を調製する方法。
【請求項11】
さらに、前記混合物から前記沈殿物を分離する工程を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、塩酸を前記沈殿物の水性懸濁液に添加して生成物を得る工程を含む請求項11
に記載の方法。
【請求項13】
塩酸ヒドロキシルアミンのモル比が、ピクリン酸1モルあたり、2モル〜5モルである請求項10に記載の方法。
【請求項14】
水酸化リチウムのモル比が、ピクリン酸1モルあたり、2.5モル〜20モルである請求項10に記載の方法。
【請求項15】
第1溶媒および第2溶媒は水である請求項10に記載の方法。
【請求項16】
3−アミノピクリン酸を調製する方法であって、
(a)水酸化リチウムの水溶液を冷却する工程、
(b)塩酸ヒドロキシルアミンの水溶液を前記水酸化リチウムの水溶液に添加して、混合溶液を形成する工程、
(c)前記混合溶液を冷却する工程、
(d)水酸化リチウムおよびピクリン酸の水溶液を前記混合溶液に添加して、混合物を形成する工程、
(e)前記混合物を冷却する工程、
(f)前記混合物に沈殿物を形成する工程、
(g)前記沈殿物を前記混合物から分離させる工程、および
(h)酸を前記沈殿物の水溶液に添加して、生成物を得る工程を含む3−アミノピクリン酸を調製する方法。
【請求項17】
塩酸ヒドロキシルアミンのモル比が、ピクリン酸1モルあたり、2モル〜5モルである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
水酸化リチウムのモル比が、ピクリン酸1モルあたり、2.5モル〜20モルである請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照情報:本願は、2009年11月3日に出願された、発明の名称が「3−アミノピクリン酸の簡易合成」である、米国仮特許出願第61/257,721号に関しており且つその優先権を主張する。米国仮特許出願第61/257,721号の開示全てをここに援用して本文の記載の一部とする。
【背景技術】
【0002】
本発明は爆薬に関し、より具体的には、無鉛起爆薬の合成における、可能な中間体(potential intermediate)の調製に関する。
【0003】
起爆薬は、二次的なまたは主要な装薬の口火を切るために、比較的少量で用いられる敏感な爆発物である。起爆薬は、通常、撃発火管および電気雷管(熱線点火器)で用いられて、爆発を開始させる。従来、これらの雷管の構成物は、スチフニン酸鉛などの鉛含有成分に基づいていた。鉛含有物質の使用は、環境的観点から望ましくない。なぜなら鉛含有物質の使用および生成は、鉛汚染に貢献するかまたはそれを引き起こす可能性があるからである。
【0004】
それに応じて、鉛を含有する雷管の構成物の「環境に優しい“green”」代替物が開発された。環境に優しい代替物においては、スチフニン酸鉛または同様の物質が、無鉛物質に置き換えられる。そのスチフニン酸鉛の無鉛代替物の一例は、4,6−ジニトロ−7−ヒドロキシベンゾフロキサンカリウム塩(“KDNP”)であり、その詳細は米国特許公開第2009/0223401号に記載されている。
【0005】
スチフニン酸鉛の代替物としてのKDNPの開発中に、3−ANPまたは3−アミノー2,4,6−トリニトロフェノールとしても知られる、3−アミノピクリン酸が、好適な合成中間体であろうことが明らかになった。3−ANPは、2,3,4,6−テトラニトロアリニンに対する水の反応によって形成され得ると、先行技術は教示している。しかし、2,3,4,6−テトラニトロアリニンは調製するのが難しく、不安定な爆発物として存在している。
【0006】
2,3,4,6−テトラニトロアリニンの代替の出発物質は、ピクリン酸である。ピクリン酸は、3−ANPを形成するのに望ましい出発物質である。なぜならば、市販のピクリン酸は容易に入手でき、典型的には、2,3,4,6−テトラニトロアリニンよりも安いからである。さらに、ピクリン酸の可能な原料は、D爆薬(Dunniteまたはピクリン酸アンモニウムとしても知られている)を含む。D爆薬は軍事目的のために大量に備蓄されているので、この物質のいくらかは、廃棄予定であるかもしれない。廃棄コストを回避するために、D爆薬は、ピクリン酸に変えられ、続いて3−ANPに変えられることができるであろう。ピクリン酸の原料としてD爆薬を用いることは、いずれの初期のニトロ化プロセス及びもたらされる無駄な廃棄コストを回避して、真に「環境に優しい“green”」合成方法をもたらすであろう。
【0007】
3−ANPへのピクリン酸の変化は、水素をアミノ基に置換する反応プロセスを必要とする。代替(代理)求核置換(身代わり求核置換)(“VNS”)として知られる反応方法は、通常エネルギー化学で用いられ、特にDATB、TATB、および関連した物質の調製において、求電子性の(高度にニトロ化された)芳香環上で水素をアミノ基に置換する。M.MakoszaおよびJ.Winiarski,Acc. Chem. Res.1987,20,282、米国特許第6069277号を参照されたい。VNSの一般の実験プロトコルは、ニトロアレーンまたは十分に活性した芳香族化合物を、水性溶媒または有機溶媒の中で、および、しばしば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、またはカリウムtert−ブトキシドなどの塩基の存在下で、ヒドロキシルアミンと反応させることを含む。A.R.KatritzkyおよびK.S.Laurenzo,J.Org.Chem.,1986,51(25),5039−5040を参照されたい。1,1,1−ヨウ化トリメチルヒドラジニウムも、ニトロ芳香族化合物のアミノ化のための高度の反応性試薬であると証明されている。P.F.Pagoria,A.R.Mitchell,R.D.Schmidt,J.Org.Chem.,1996,61,2934−2935を参照されたい。
【0008】
ピクリン酸(市販のピクリン酸または爆薬Dに由来するピクリン酸)を、標準のVNS実験プロトコルを介して、水溶系(水性系)において、3−ANPに変えることは、問題を含んでいる。ピクリン酸塩ナトリウムまたはカリウムは、不溶性の性質が強いため、水性溶媒がうまく振る舞わなかった。ピクリン酸カリウムは極度に水に溶解せず、ナトリウム類似体はごく僅かに水溶性であるので、両方の化合物の溶解性はメタノールの添加によって向上しない。その結果、ヒドロキシルアミン/塩基を用いたピクリン酸のアミノ化は、極めて低収率の3−ANPをもたらし、合成の観点から不適当である。
【0009】
ピクリン酸から3−ANPを生成するための、安価で環境に優しいプロセスを得るという要望のために、水溶系(水性系)において、特に大量の溶媒または大規模の反応が必要とされる状態において、ピクリン酸から3−ANPを生成する方法を見つけることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の実施形態は、ピクリン酸から3−アミノピクリン酸を調製する方法を含む。ある実施形態では、その方法は、水酸化リチウム、ピクリン酸、および第1溶媒を混合して第1溶液を形成すること、水酸化リチウム、塩酸ヒドロキシルアミン、および第2溶媒を混合して第2溶液を形成すること、第1溶液を第2溶液と混合して混合物を形成すること、および混合物を冷却することを含む。一部の実施形態では、第1溶媒および第2溶媒は水である。
【0011】
一部の実施形態においては、第2溶液は、水酸化リチウムおよび第2溶媒を混合して、水酸化リチウム溶液を形成すること、塩酸ヒドロキシルアミンおよび第2溶媒を混合して、塩酸ヒドロキシルアミン溶液を形成すること、および塩酸ヒドロキシルアミン溶液を水酸化リチウム溶液に添加することによって形成される。
【0012】
一部の実施形態では、沈殿物は混合物に形成される。沈殿物を混合物から分離して、且つ、酸を沈殿物の水性懸濁液に添加して、生成物を得てもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、3−ANPの調製に用いる合成方法の描写である。
【
図2】
図2は、本技術によって調製された物質についての示差走査熱量測定(DSC)分析の結果を示している。
【
図3】
図3は、本技術によって調製された物質についてのフーリエ変換赤外分光分析の結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態は、ピクリン酸から3−アミノピクリン酸を調製する方法を含む。ある実施形態では、
図1に描写される例のように、3−アミノピクリン酸は、ピクリン酸、塩酸ヒドロキシルアミン、および水酸化リチウムを、好適な溶媒において反応させることによって調製される。
【0015】
一部の実施形態では、塩酸ヒドロキシルアミンは、ピクリン酸1モルあたり、約2モル〜約5モルのモル比で供給され得る。また、水酸化リチウムは、ピクリン酸1モルあたり、約2.5モル〜約20モルのモル比で供給され得る。例えば、ある実施形態では、塩酸ヒドロキシルアミンは、ピクリン酸1モルあたり、約2モルのモル比で供給される一方、水酸化リチウムが、ピクリン酸1モルあたり、12.5モルのモル比で供給され得る。
【0016】
溶媒は、ピクリン酸と、塩酸ヒドロキシルアミンと、水酸化リチウムとの反応をもたらすのに好適な量で供給され得る。一部の実施形態では、溶媒は水または他の水性溶媒である。他の代替の実施形態では、溶媒は、テトラヒドロフラン(“THF”)、ジメチル・スルホキシド(“DMSO”)、または他の極性有機溶媒を含むが、それらに限定されない。さらに他の実施形態では、溶媒の組み合わせが用いられ得る。
【0017】
反応成分は、反応をもたらすのに好適ないずれの順序で混合され得る。一部の実施形態では、ピクリン酸、水酸化リチウム、および塩酸ヒドロキシルアミンの反応は、以下のように実行され得る。第1の量の水酸化リチウム、ピクリン酸、および第1溶媒を混合して、第1溶液(A溶液)を形成する。A溶液における水酸化リチウムの濃度は、約0.01g/mL〜約0.1g/mLの範囲であってよく、あるいは約0.02g/mLであってよい。A溶液におけるピクリン酸の濃度は、約0.01g/mL〜約0.1g/mLの範囲であってよく、あるいは約0.07g/mLであってよい。一部の実施形態においては、第1溶媒は水または他の水性溶媒である。他の代替の実施形態では、第1溶媒は、THF、DMSO、または他の極性有機溶媒を含むが、それらに限定されない。
【0018】
次に、第2の量の水酸化リチウムを、第1の量の第2溶媒と混合して、第2溶液(B溶液)を形成する。B溶液における水酸化リチウムの濃度は、約0.1g/mL〜約0.5g/mLの範囲であってよく、あるいは約0.4g/mLであってよい。一部の実施形態では、第2溶媒は、水または他の水性溶媒である。他の代替の実施形態では、第2溶媒は、THF、DMSO、または他の極性有機溶媒を含むが、それらに限定されない。第1溶媒および第2溶媒は、同じ組成を有し得る。あるいは、第1溶媒が水または他の水性溶媒であり得る一方、第2溶媒は有機溶媒である。または、第1溶媒が有機溶媒であり得る一方、第2溶媒は水または他の水性溶媒である。
【0019】
塩酸ヒドロキシルアミンを、第2の量の第2溶媒と混合して、第3溶液(C溶液)を形成する。C溶液における塩酸ヒドロキシルアミンの濃度は、約0.1g/mL〜約0.5g/mLの範囲であってよく、あるいは約0.2g/mLであってよい。あるいは、塩酸ヒドロキシルアミンを第3溶媒と混合してもよく、その場合、第3溶媒は水または他の水性溶媒である。他の代替の実施形態では、第3溶媒は、THF、DMSO、または他の極性有機溶媒を含むが、それらに限定されない。第3溶媒は、第1溶媒または第2溶媒と、あるいは第1溶媒および第2溶媒の両方と、同じ組成または異なる組成を有し得る。
【0020】
成分は、3−アミノピクリン酸を合成するのに好適な条件の下で反応され得る。例えば、一部の実施形態では、B溶液は、C溶液が加えられながら、20℃より低い温度範囲に冷却される。次いで、混合されたB溶液およびC溶液が、1℃未満の温度範囲に冷却される。次いで、得られた混合物の温度を5℃より低い範囲に維持しつつ、A溶液が加えられる。他の実施形態では、成分は、それらを一斉に混合することによって、次いで、得られた混合物を冷却することによって、反応され得る。
【0021】
一旦混合物ができたならば、それは、約8℃〜約25℃の温度範囲に、あるいは約−2℃〜約5℃の温度範囲に、あるいは約0℃に冷却され得る。冷却ステップの持続時間は、約1時間を越える持続時間、あるいは約10時間を越える持続時間、あるいは約6時間の持続時間であってよい。
【0022】
次いで、混合物を濾過して沈殿物を収集する。沈殿物は冷水で洗われて、酸が添加される水性懸濁液にする。好適な酸は、塩酸、硫酸、または硝酸を含むがそれに限定されない。ある実施形態では、塩酸は約5Mの濃度でもたらされる。沈殿物/HCL混合物は、周囲温度で約5分間〜15分間撹拌され、次いで再び濾過されて、沈殿物が収集される。最後に、沈殿物が冷水で洗われ、風乾される。
【0023】
本実施形態においては、
図1に示すように、ピクリン酸は、リチウム塩として水溶液に非常に溶けやすく、そこでは、リチウム塩は、低温で塩酸ヒドロキシルアミンとの簡易反応を受けて、高収率で3−ANPをもたらした。例えば、一部の実施形態では、その方法は、少なくとも収率50%、あるいは少なくとも収率60%、あるいは少なくとも収率70%で、反応生成物を生成する。
【0024】
本願の方法によって考えられ且つ作られた生成物(本発明の少なくともいくつかの態様におけるもの、3−ANP)は、爆薬でスチフニン酸鉛の代替物として用いるのに好適な(KDNPのような)無鉛化合物の形成における、中間生成物として、好適であると見出され得る。
【実施例】
【0025】
以下の実施例は、ここに教示したような物質の調製および特性評価を実証している。
【0026】
実施例1
実施例として、ピクリン酸(38.1g、0.166モル)を、室温で、9.9gの水酸化リチウムを添加することによって、560mLの水に溶解し、黄色溶液(A溶液)をもたらした。2つの追加の溶液(77.6gの水酸化リチウムを200mLの水に溶解した溶液(B溶液)および23.90gの塩酸ヒドロキシルアミン一水和物を120mLの水に溶解した溶液(C溶液))を調製した。C溶液を5分間にわたって添加しながら、B溶液を塩/氷浴で冷却して、20℃以下に維持した。得られた無色混合物を1℃未満に冷却して、(氷浴中において)事前に冷却した約50mLのA溶液を、20分間にわたって添加した。A溶液の添加の間、その温度は5℃以下に維持した。混合物は、A溶液の添加の終わりまでに暗褐色になり、固形物はなくなった。混合物は、塩/氷浴において3.5時間撹拌され(温度範囲1.5℃から−1.1℃)、その時に、黄色沈殿物(3−ANP、リチウム塩)が形成し始めた。混合物を、低温でさらに2.5時間(合計の反応時間は6時間)撹拌して、濃厚な鮮黄色の懸濁液をミディアム・フリット(medium frit)で濾過した。黄色沈殿物を一度冷水で洗って、250mLの水を含む2Lビーカーに移した。130mLの5M塩酸を加えながら、懸濁液を周囲温度で撹拌した。懸濁液は、塩化水素の添加によって、明らかにより鮮明な黄色になり、10分間撹拌された。得られた3−ANP(29.18g)をミディアム・フリット(medium frit)で濾過して、冷水で3分間洗って、風乾するために結晶皿に移した。得られた3−ANP生成物の収量は、示差走査熱量測定(
図2)およびフーリエ変換赤外分光分析(
図3)によって確認されるように、29.18g(0.120mol、72%)であった。
【0027】
前記は、本発明の実施形態を、例証、説明、および記載する目的で示されている。これらの実施形態へのさらなる改変および改造が、当業者にとっては明らかであろうし、且つ、本発明の範囲または精神から逸脱することなくなされ得る。