(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る治具の概略構成例を示す斜視図である。
図2は、実施形態1に係る治具が敷居溝に設けられた状態を表す部分斜視図である。
図3は、実施形態1に係る治具がエレベータ乗場戸を保持している状態を表す部分斜視図である。
【0008】
図1、
図2、
図3に示す本実施形態のエレベータ乗場戸開保持治具としての治具1は、例えば、エレベータの据え付け作業や保守点検作業等において、作業員がエレベータ乗場戸50を開けて昇降路に出入りする際等に用いられる治具である。当該治具1は、エレベータ乗場戸(ホールドア)50の敷居溝(シル溝)51に設けられて、エレベータ乗場戸50を開いた状態で仮固定、保持する。
【0009】
ここで、敷居溝51は、
図3に示すように、エレベータ乗場戸50の鉛直方向下側に設けられた乗場敷居(ホールシル)52に、エレベータ乗場戸50の開閉方向に沿って延在して形成される。エレベータ乗場戸50は、鉛直方向か端部がこの敷居溝51に案内されて乗場敷居52に沿って開閉される。
【0010】
本実施形態の治具1は、
図1に示すように、基幹部2と、第1突出部3と、第2突出部4とを備える。治具1は、基幹部2、第1突出部3、第2突出部4が一体となってゴム、樹脂等の弾性体によって形成される。
【0011】
基幹部2は、板状に形成される。本実施形態の基幹部2は、円板形状に形成される。基幹部2は、治具1が敷居溝51に設けられた状態(
図3参照)で、エレベータ乗場戸50の移動を規制するストッパ部として機能する。基幹部2は、互いに平行に対向する突出部形成面2a、2bに、それぞれ第1突出部3、第2突出部4が形成される。基幹部2は、当該第1突出部3、又は、第2突出部4を敷居溝51に圧入嵌合する際に当該圧入させるための力を伝達する伝達部としても機能する。基幹部2は、治具1が敷居溝51に設けられた状態(
図2、
図3参照)で、突出部形成面2aと突出部形成面2bとのいずれか一方が鉛直方向上面、他方が鉛直方向下面となる。
【0012】
第1突出部3は、基幹部2の一方の突出部形成面2aから突出する。第2突出部4は、基幹部2の他方の突出部形成面2bから突出する。本実施形態の第1突出部3、第2突出部4は、矩形板状に形成される。そして、少なくとも第1突出部3、又は、第2突出部4の一方は、エレベータ乗場戸50の敷居溝51に圧入嵌合可能である。本実施形態の第1突出部3、及び、第2突出部4は、ともに敷居溝51に圧入嵌合可能な寸法に形成される。第1突出部3、第2突出部4は、敷居溝51に圧入嵌合された状態(
図2、
図3参照)で敷居溝51に保持される保持部として機能する。
【0013】
ここでは、第1突出部3と第2突出部4とは、突出方向の突出寸法H1、H2、幅方向の幅寸法W1、W2、厚み方向の厚み寸法T1、T2がほぼ同等に形成される。また、板状に形成される第1突出部3と第2突出部4とは、ともに面方向が平行となるように形成される。つまり、第1突出部3と第2突出部4とは、基幹部2を基準として略面対称形になるような寸法関係、位置関係で形成される。
【0014】
なお、上記突出方向とは、第1突出部3、第2突出部4それぞれにおいて、基幹部2の突出部形成面2a、2bに対して第1突出部3、第2突出部4が突出する方向であり、典型的には、突出部形成面2a、2bに直交する方向である。上記幅方向とは、第1突出部3、第2突出部4それぞれにおいて、突出方向と直交する方向であり、典型的には、第1突出部3、第2突出部4が敷居溝51に圧入嵌合された状態(
図2、
図3参照)で、敷居溝51の延在方向に沿う方向である。上記厚み方向とは、第1突出部3、第2突出部4それぞれにおいて、突出方向、及び、幅方向と直交する方向であり、典型的には、第1突出部3、第2突出部4が敷居溝51に圧入嵌合された状態(
図2、
図3参照)で、敷居溝51の延在方向と直交する方向である。ここでは、第1突出部3と第2突出部4とは、基幹部2を基準として面対称形に形成されていることから、第1突出部3の突出方向と第2突出部4の突出方向、第1突出部3の幅方向と第2突出部4の幅方向、第1突出部3の厚み方向と第2突出部4の厚み方向とがすべて一致している。
【0015】
また、第1突出部3、第2突出部4は、それぞれ幅方向に対して突出部形成面2a、2bの一方の縁から他方の縁まで延在して形成される。また、第1突出部3、第2突出部4は、突出寸法H1、H2が敷居溝51の深さ寸法D(
図2参照)より短くなるように形成されている。第1突出部3、第2突出部4は、第1突出部3、第2突出部4が敷居溝51に圧入嵌合された状態(
図2、
図3参照)で、第1突出部3、第2突出部4それぞれにおいて、厚み方向に対向する各対向面3a、4aがそれぞれ敷居溝51の溝側面51aと接触する接触面となる。なお、上述のように第1突出部3と第2突出部4との面方向が平行となる構成とは、典型的には、この第1突出部3の各対向面3aと第2突出部4の各対向面4aとが平行となる構成に相当する。
【0016】
上記のように構成される治具1は、例えば、エレベータの据え付け作業や保守点検作業の際に、作業員によってエレベータ乗場戸50が開けられた後に敷居溝51に組み付けられる。作業員は、例えば、治具1の第1突出部3、又は、第2突出部4の一方を指でつまんで把持し、第1突出部3、又は、第2突出部4の他方を敷居溝51に圧入嵌合する。
図2の例では、治具1は、作業員によって第1突出部3が把持され、第2突出部4の幅方向が敷居溝51の延在方向に沿うような位置関係で、当該第2突出部4が敷居溝51に挿入されて押し込まれる。これにより、治具1は、当該第2突出部4が敷居溝51に圧入嵌合される。
【0017】
このとき、作業員は、治具1の基幹部2に指を押し当てながら押し込む(
図2中の矢印参照)ことで、第2突出部4を敷居溝51に圧入させるための押圧力を、効率よく第2突出部4に伝達することができる。つまり、治具1は、基幹部2が伝達部として機能し、この基幹部2を介して第2突出部4に直接的に押圧力を伝達することができる。
【0018】
また、治具1は、第1突出部3、第2突出部4の突出寸法H1、H2が敷居溝51の深さ寸法Dより短くなるように形成されている。このため、治具1は、基幹部2の下面、ここでは、突出部形成面2bが乗場敷居52と接する位置まで第2突出部4を敷居溝51に圧入嵌合させ押し込むことができる。
【0019】
そして、治具1は、
図3に示すように、第2突出部4が敷居溝51に圧入嵌合された状態で、基幹部2の端面等がエレベータ乗場戸50の端面50aの下端部と当接することで、ストッパ部として機能する。これにより、治具1は、エレベータ乗場戸50の敷居溝51に沿った移動を規制することができる。このとき、治具1は、敷居溝51に圧入嵌合された第2突出部4の各対向面(接触面)4aと敷居溝51の溝側面51aとの間に生じる摩擦力によって保持部とし機能し、当該第2突出部4が敷居溝51に圧入嵌合された状態で保持される。この結果、治具1は、エレベータ乗場戸50を開いた状態で仮固定、保持することができる。また、治具1は、上記のように、第2突出部4が敷居溝51に圧入嵌合された状態で、基幹部2の下面、ここでは、突出部形成面2bが乗場敷居52としっかりと接触するので、基幹部2と乗場敷居52との接触面積を十分に確保することができる。この結果、治具1は、第2突出部4が敷居溝51から抜けにくい構成とすることができるので、より確実にエレベータ乗場戸50を開いた状態で仮固定、保持することができる。
【0020】
なお、以上の説明では、治具1は、作業員によって第1突出部3が把持され、第2突出部4が敷居溝51に圧入嵌合されるものとして説明したがこの逆であってもよい。すなわち、治具1は、作業員によって第2突出部4が把持され、第1突出部3が敷居溝51に圧入嵌合されてもよい。
【0021】
そして、作業員は、例えば、昇降路等で所定の作業を完了した後に、治具1の第1突出部3、又は、第2突出部4の一方、
図3の例では第1突出部3を指でつまんで把持し、第2突出部4を敷居溝51から引き抜くことで、治具1を敷居溝51から取り外すことができる。これにより、治具1は、エレベータ乗場戸50を再び開閉可能な状態に復帰させることができる。
【0022】
したがって、本実施形態の治具1は、上記のように、簡単な作業でエレベータ乗場戸50を開いた状態で仮固定、保持することができるので、作業性を向上することができる。例えば、治具1は、各部が一体となった単一部品として構成されることから、敷居溝51に第1突出部3、又は、第2突出部4を圧入嵌合することでエレベータ乗場戸50を戸開状態で保持することができるので、作業性を向上することができる。また、治具1は、例えば、使用時にネジ等を緩締させる作業が生じることを防止できるので、この点でも作業性を向上することができる。
【0023】
さらに、治具1は、例えば、多数の物品で構成される場合と比較して、単一部品で構成されているので壊れにくく、また、構成物品のうちの1つの不良、紛失等で使用できなくなってしまうという事態が発生することを防止することができる。また、治具1は、経年劣化が生じうる部位が主に第1突出部3、第2突出部4であるため、交換基準を明確に定めることができるので、結果的に安全性を向上することもできる。
【0024】
また、治具1は、弾性体によって構成されることから、仮に昇降路内で落下させてしまっても、機器の破損や客先意匠物の損傷等を抑制することができるので、この点でも作業性を向上することができる。また、治具1は、弾性体によって構成されることから、携行時等に客先意匠物等と接触した場合であっても、当該客先意匠物等の損傷等を抑制することができる。
【0025】
さらに、治具1は、作業員が第2突出部4を敷居溝51に圧入嵌合させる際に基幹部2を介して第2突出部4に効率よく押圧力を伝達することができるので、挿入時の力のロスを低減することができ、この点でも作業性を向上することができる。
【0026】
なお、以上の説明では、第1突出部3、及び、第2突出部4は、ともに敷居溝51に圧入嵌合可能として説明したが少なくとも一方が圧入嵌合可能な形状、寸法となっていればよい。
【0027】
以上で説明した治具1によれば、基幹部2と、第1突出部3と、第2突出部4とを備える。基幹部2は、板状に形成される。第1突出部3は、基幹部2の一方の突出部形成面2aから突出する。第2突出部4は、基幹部2の他方の突出部形成面2bから突出する。そして、少なくとも第1突出部3、又は、第2突出部4は、エレベータ乗場戸50の敷居溝51に圧入嵌合可能である。したがって、治具1は、簡単な作業でエレベータ乗場戸50を開いた状態で仮固定することができるので、作業性を向上することができる。
【0028】
[実施形態2]
図4は、実施形態2に係る治具の概略構成例を示す斜視図である。実施形態2に係るエレベータ乗場戸開保持治具は、第1突出部、第2突出部の寸法関係が実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する(以下で説明する他の実施形態も同様である。)。
【0029】
図4に示す本実施形態のエレベータ乗場戸開保持治具としての治具201は、基幹部2と、第1突出部3と、第2突出部4とを備える。そして、本実施形態の第1突出部3、及び、第2突出部4は、相互に厚みが異なる。つまり、本実施形態の治具201は、第1突出部3の厚み寸法T1と第2突出部4の厚み寸法T2とが相互に異なる。
【0030】
ここでは、第1突出部3と第2突出部4とは、突出寸法H1、H2(
図1参照)、幅寸法W1、W2(
図1参照)がほぼ同等に形成される一方、第2突出部4の厚み寸法T2が第1突出部3の厚み寸法T1より長くなるように形成される。ここでは、第1突出部3は、突出寸法H1、幅寸法W1、厚み寸法T1が第1の敷居溝51に圧入嵌合可能な寸法に形成される。一方、第2突出部4は、突出寸法H2、幅寸法W2、厚み寸法T2が第1の敷居溝51より幅広の第2の敷居溝51に圧入嵌合可能な寸法に形成される。
【0031】
以上で説明した治具201は、エレベータ乗場戸50の敷居溝51に組み付けられることで、簡単な作業でエレベータ乗場戸50を開いた状態で仮固定することができるので、作業性を向上することができる。さらに、以上で説明した治具201によれば、第1突出部3、及び、第2突出部4は、板状に形成され、相互に厚みが異なる。したがって、治具201は、第1突出部3、第2突出部4をそれぞれ異なる寸法の2種類の敷居溝51に圧入嵌合し組み付けることができるので、汎用性を向上することができ、さらに、作業性を向上することができる。
【0032】
[実施形態3]
図5は、実施形態3に係る治具の概略構成例を示す斜視図である。実施形態3に係るエレベータ乗場戸開保持治具は、第1突出部、第2突出部の位置関係が実施形態1、2とは異なる。
【0033】
図5に示す本実施形態のエレベータ乗場戸開保持治具としての治具301は、基幹部2と、第1突出部3と、第2突出部4とを備える。そして、本実施形態の第1突出部3、及び、第2突出部4は、面方向が相互に直交するように形成される。
【0034】
ここでは、第1突出部3と第2突出部4とは、突出方向の突出寸法H1、H2(
図1参照)、幅方向の幅寸法W1、W2(
図1参照)、厚み方向の厚み寸法T1、T2(
図1参照)がほぼ同等に形成される。そして、板状に形成される第1突出部3と第2突出部4とは、面方向が互いに直交するような位置関係で形成される。つまり、本実施形態の第1突出部3と第2突出部4とは、
図5中に網状ハッチで図示した各対向面3aと各対向面4aとが互いに直交(90°交差)する。ここで、各対向面3a、各対向面4aは、上述したように、第1突出部3、第2突出部4それぞれにおいて敷居溝51の溝側面51aとの接触面となりうる面である。
【0035】
したがって、本実施形態の治具301は、第1突出部3の突出方向と第2突出部4の突出方向が一致する一方、第1突出部3の幅方向と第2突出部4の幅方向とが直交し、第1突出部3の厚み方向と第2突出部4の厚み方向とが直交する。ここでは、治具301は、第1突出部3の幅方向と第2突出部4の厚み方向とが平行となり、第2突出部4の幅方向と第1突出部3の厚み方向とが平行となる。
【0036】
以上で説明した治具301は、エレベータ乗場戸50の敷居溝51に組み付けられることで、簡単な作業でエレベータ乗場戸50を開いた状態で仮固定することができるので、作業性を向上することができる。さらに、以上で説明した治具301によれば、第1突出部3、及び、第2突出部4は、板状に形成され、面方向が相互に直交する。したがって、治具301は、第1突出部3と第2突出部4とが直交することから、治具301そのものの強度を向上することができる。加えて、治具301は、圧入時において基幹部2を介して第1突出部3、又は、第2突出部4に力を伝えやすい構造とすることができる。つまり、治具301は、第1突出部3と第2突出部4とが直交することから、より力を鉛直方向下側に伝達しやすい構成とすることができる。この結果、治具301は、さらに、作業性を向上することができる。なお、以上で説明した治具301は、第1突出部3、及び、第2突出部4を、相互に厚みが異なるように構成してもよい。
【0037】
[実施形態4]
図6は、実施形態4に係る治具の概略構成例を示す斜視図である。実施形態4に係るエレベータ乗場戸開保持治具は、第1突出部、第2突出部の形状が実施形態1、2、3とは異なる。
【0038】
図6に示す本実施形態のエレベータ乗場戸開保持治具としての治具401は、基幹部2と、第1突出部3と、第2突出部4とを備える。そして、本実施形態の第1突出部3、及び、第2突出部4は、基幹部2側から先端部側に向って先細りの形状となっている。
【0039】
ここでは、第1突出部3と第2突出部4とは、突出寸法H1、H2、幅寸法W1、W2(
図1参照)がほぼ同等に形成されると共に、ともに厚み方向の形状がテーパ形状をなしている。第1突出部3は、
図6中に網状ハッチで図示した各対向面3aの少なくとも一方、ここでは両方が基幹部2側から反基幹部(先端部)側に向って厚み寸法が徐々に小さくなるように傾斜を有している。同様に、第2突出部4は、
図6中に網状ハッチで図示した各対向面4aの少なくとも一方、ここでは両方が基幹部2側から反基幹部(先端部)側に向って厚み寸法が徐々に小さくなるように傾斜を有している。ここで、各対向面3a、各対向面4aは、上述したように、第1突出部3、第2突出部4それぞれにおいて敷居溝51の溝側面51aとの接触面となりうる面である。つまり、本実施形態の第1突出部3、第2突出部4は、ともに各対向面3a、各対向面4aにおいて、先端部側の端部の厚み寸法TBが基幹部2側の端部の厚み寸法TAより短くなるように傾斜面が形成され、厚み方向に沿った断面形状が略台形状となるように形成される。
【0040】
以上で説明した治具401は、エレベータ乗場戸50の敷居溝51に組み付けられることで、簡単な作業でエレベータ乗場戸50を開いた状態で仮固定することができるので、作業性を向上することができる。さらに、以上で説明した治具401によれば、第1突出部3、及び、第2突出部4は、基幹部2側から先端部側に向って先細りの形状となっている。したがって、治具401は、例えば、敷居溝51が摩耗しているような場合であっても、第1突出部3、又は、第2突出部4を確実に当該敷居溝51に圧入嵌合することができる。この結果、治具401は、エレベータ乗場戸50を確実に仮固定することができるので、さらに作業性を向上することができる。なお、以上で説明した治具401は、第1突出部3、及び、第2突出部4を、相互に厚みが異なるように構成してもよい。
【0041】
[実施形態5]
図7は、実施形態5に係る治具の概略構成例を示す斜視図である。実施形態5に係るエレベータ乗場戸開保持治具は、貫通孔を備える点で実施形態1、2、3、4とは異なる。
【0042】
図7に示す本実施形態のエレベータ乗場戸開保持治具としての治具501は、基幹部2と、第1突出部3と、第2突出部4とを備える。そして、本実施形態の治具501は、貫通孔505を備える。
【0043】
貫通孔505は、突出方向に沿って、基幹部2、第1突出部3、及び、第2突出部4を貫通する通り孔である。貫通孔505は、第1突出部3、第2突出部4の両先端面に開口を有し、基幹部2、第1突出部3、及び、第2突出部4を貫通する。本実施形態の貫通孔505は、円柱中空形状に形成されるがこれに限らず、例えば、矩形柱中空形状に形成されてもよい。
【0044】
以上で説明した治具501は、エレベータ乗場戸50の敷居溝51に組み付けられることで、簡単な作業でエレベータ乗場戸50を開いた状態で仮固定することができるので、作業性を向上することができる。さらに、以上で説明した治具501によれば、基幹部2、第1突出部3、及び、第2突出部4を貫通する貫通孔505を備え、他の実施形態と同様に、第1突出部3、及び、第2突出部4は、弾性体により形成される。したがって、治具501は、貫通孔505を備えることで、第1突出部3、又は、第2突出部4を敷居溝51に圧入嵌合する際に、
図7中に矢印で示すように、第1突出部3、又は、第2突出部4が厚み方向に弾性変形して押しつぶされることで、滑らかに敷居溝51に圧入することができる。この結果、治具501は、さらに作業性を向上することができる。また、治具501は、第1突出部3、又は、第2突出部4が敷居溝51に圧入嵌合された状態では、圧入時につぶれた貫通孔505が
図7中の矢印とは反対方向へ復元しようとする。このため、治具501は、第1突出部3、又は、第2突出部4が敷居溝51に圧入嵌合された状態で、各対向面(接触面)3a、又は、各対向面(接触面)4aと敷居溝51の溝側面51aとを一層しっかりと密着させることができる。この結果、治具501は、各対向面3a、又は、各対向面4aと溝側面51aとの間に生じる摩擦力を相対的に大きくすることができるので、高い保持力を得ることができる。また、治具501は、貫通孔505をストラップ等の取り付け孔として用いることで、携行性を向上することもできる。なお、以上で説明した治具501は、第1突出部3、及び、第2突出部4を、相互に厚みが異なるように構成してもよい。また、治具501は、貫通孔505の径を、第1突出部3の厚み、第2突出部4の厚みに応じて変更してもよい。すなわち、貫通孔505は、第1突出部3に設けられている部分の径と、第2突出部4に設けられている部分の径とを、それぞれ第1突出部3の厚み、第2突出部4の厚みに応じて相互に異ならせるようにしてもよい。
【0045】
なお、上述した実施形態に係るエレベータ乗場戸開保持治具は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係るエレベータ乗場戸開保持治具は、以上で説明した各実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【0046】
例えば、以上で説明した第1突出部3、及び、第2突出部4は、板状に形成され、相互に厚みが異なり、かつ、面方向が相互に直交し、かつ、基幹部2側から先端部側に向って先細りの形状となっていると共に貫通孔505が設けられていてもよい。
【0047】
以上で説明した実施形態、変形例に係るエレベータ乗場戸開保持治具によれば、作業性を向上することができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。