特許第5703536号(P5703536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5703536
(24)【登録日】2015年3月6日
(45)【発行日】2015年4月22日
(54)【発明の名称】半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/265 20060101AFI20150402BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20150402BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20150402BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20150402BHJP
【FI】
   H01L21/265 602C
   H01L21/265 F
   H01L21/265 Z
   H01L29/78 658A
   H01L29/78 655Z
   H01L29/78 655A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2008-29258(P2008-29258)
(22)【出願日】2008年2月8日
(65)【公開番号】特開2008-244446(P2008-244446A)
(43)【公開日】2008年10月9日
【審査請求日】2011年1月17日
(31)【優先権主張番号】特願2007-49087(P2007-49087)
(32)【優先日】2007年2月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】中澤 治雄
(72)【発明者】
【氏名】根本 道生
【審査官】 柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/015388(WO,A1)
【文献】 特開2002−261279(JP,A)
【文献】 特開平06−097014(JP,A)
【文献】 特開平10−064865(JP,A)
【文献】 特開平06−077155(JP,A)
【文献】 特開2004−349643(JP,A)
【文献】 特開平04−174517(JP,A)
【文献】 特開2006−351659(JP,A)
【文献】 特表2002−520885(JP,A)
【文献】 特開2006−059876(JP,A)
【文献】 特開2005−223301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/265
H01L 21/336
H01L 29/739
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン半導体中に拡散係数の大きなドーパントをイオン注入する工程と、
前記ドーパントが注入された不純物層を活性化する際に、単一の不純物層、または同一導電型もしくは異なる導電型の複数の不純物層からなる連続層に、固体レーザーまたはエキシマレーザーと、前記固体レーザーおよび前記エキシマレーザーよりも前記シリコン半導体への吸収係数が大きい半導体レーザーを照射して前記不純物層を活性化する工程と、
を含み、
前記ドーパントは、リチウムであるか、または、リチウムに、硫黄、セレン、水素の少なくともいずれか一つをあわせた2つ以上であることを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記半導体レーザーを連続的に照射しながら、前記固体レーザーまたは前記エキシマレーザーをパルス状に照射することを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記半導体レーザーをウエハー全面に照射することを特徴とする請求項2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項4】
シリコン半導体中に拡散係数の大きなドーパントをイオン注入する工程と、
前記ドーパントが注入された不純物層を活性化する際に、複数のレーザー照射装置を用いて単一の不純物層、または同一導電型もしくは異なる導電型の複数の不純物層からなる連続層に、複数のパルス状のレーザーを照射して前記不純物層を活性化する工程と、
を含み、
前記ドーパントは、リチウムであるか、または、リチウムに、硫黄、セレン、水素の少なくともいずれか一つをあわせた2つ以上であることを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項5】
レーザー照射時に、ウエハーを静電チャック式のステージに固定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体素子の製造方法に関し、特にIC(Integrated Circuit)、MOS(Metal Oxide Semiconductor)、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、以下「IGBT」と称す)などの半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータや通信機器の重要部分には、多数のトランジスタや抵抗などを、電気回路を構成するように接続して1チップ上に集積した集積回路(IC)が多用されている。このようなICの中で、電力用半導体素子を含むものはパワーICと呼ばれている。
【0003】
IGBTは、MOSFETの高速スイッチング、電圧駆動特性とバイポーラトランジスタの低オン電圧特性を備えたパワー素子である。IGBTは、汎用インバータ、ACサーボ、無停電電源(UPS)、スイッチング電源などの産業分野をはじめ、電子レンジ、炊飯器、ストロボなどの民生機器分野への応用が拡大してきている。そして、次世代に向けた開発も進んでおり、新しいチップ構造を用いた、より低オン電圧のIGBTの開発により、応用装置の低損失化や高効率化が図られている。
【0004】
IGBTの構造には、主に、パンチスルー(Punch Through、PT)型、ノンパンチスルー(Non Punch Through、NPT)型、フィールドストップ(Field Stop、FS)型がある。現在量産されているIGBTは、一部のオーディオ・パワー・アンプ用のpチャネル型を除いて、ほぼすべてnチャネル型の縦型二重拡散構造になっている。以下では、特に示した場合を除き、IGBTとはn型IGBTをいうものとする。なお、以下の説明および添付図面において、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。
【0005】
PT型IGBTは、p+エピタキシャル基板とn-層(n型活性層)との間にn+層(nバッファ層)を設け、n型活性層中の空乏層がnバッファ層に到達する構造であり、IGBTで主流の基本構造になっている。しかし、例えば耐圧600V系のIGBTに対しn型活性層は厚さ70μm程度で十分であるが、p+エピタキシャル基板部分を含めると総厚さは200μm〜300μm程度と厚くなる。そこで、エピタキシャル基板を用いずに、FZ(Floating Zone)法により形成されるFZ基板を用いて低ドーズ量の浅いp+コレクタ層を形成して薄型化と低コスト化を図ったNPT型IGBT、FS型IGBTが開発されている。
【0006】
図12はNPT型IGBTの断面構造の一例である。図12に示すNPT型IGBT100は、n-型のFZ基板(FZ−N)基板1のおもて面側に、SiO2などのゲート酸化膜4を介してポリシリコンなどのゲート電極5が形成され、さらにその上にBPSG(Boro−Phospho Silicate Glass)などの層間絶縁膜7を介してアルミニウムシリコン膜などの表面電極6が形成された構造を有している。このFZ−N基板1のおもて面側には、p+ベース層2およびこのp+ベース層2内にn+エミッタ層3が形成され、FZ−N基板1の裏面側には、p+コレクタ層8が形成されてその上に数種の金属膜を積層して裏面電極9が形成されている。
【0007】
このような構成のNPT型IGBT100において、p+コレクタ層8には、低ドーズ量の浅い低注入p+コレクタが用いられる。このNPT型IGBT100では、p+エピタキシャル基板を用いないため、総厚さは上記PT型IGBTに比べて大幅に薄くなる。
【0008】
NPT構造では、正孔の注入率を制御できるので、ライフタイム制御を行わなくても高速スイッチングが可能になる一方、オン電圧がn型活性層の厚みと比抵抗に依存するのでやや高い値となる。p+エピタキシャル基板に代えてFZ基板を用いているので、チップの低コスト化は可能になっている。
【0009】
図13はFS型IGBTの断面構造の一例である。ただし、図13では、図12に示した要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明の詳細は省略する。図13に示すFS型IGBT200には、上記NPT型IGBT100同様、p+エピタキシャル基板に代えてFZ−N基板1が用いられ、その総厚さは100μm〜200μm程度になる。PT型IGBTと同じく、n型活性層は600V耐圧に応じて70μm程度にし、空乏化させる。そのため、FS型IGBT200には、FZ−N基板1の裏面に、n+層(nバッファ層)10が形成され、このnバッファ層10上にp+コレクタ層8および裏面電極9が形成されている。FS型IGBT200では、上記NPT型IGBT100同様、ライフタイム制御は不要である。
【0010】
また、オン電圧の低減を目的として、IGBT表面に狭く深い溝を形成し、その側面にMOSゲートを形成したトレンチ構造のIGBTを、FS構造と組み合わせたものもある。最近では設計の最適化を図って総厚さを低減することも行われるようになってきている。
【0011】
ここで、上記図13に示したFS型IGBT200を例に、IGBTの形成方法の一例を図14から図18を参照して説明する。図14はおもて面側プロセス終了後の断面図、図15は基板研削プロセスの断面図、図16は裏面イオン注入プロセスの断面図、図17は裏面アニールプロセスの断面図、図18は裏面電極膜形成プロセスの断面図である。ただし、図14から図18では、図12および図13に示した要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明の詳細は省略する。
【0012】
FS型IGBT200の形成は、大きくおもて面側プロセスと裏面側プロセスに分けられる。まず、おもて面側プロセスについて図14を参照して説明する。おもて面側プロセスでは、まず、FZ−N基板1のおもて面側に、SiO2およびポリシリコンを堆積、窓あけ加工してゲート酸化膜4およびゲート電極5をそれぞれ形成する。続いて、その表面にBPSGを堆積、窓あけ加工して層間絶縁膜7を形成する。これにより、FZ−N基板1のおもて面側に、絶縁ゲート構造が形成される。
【0013】
次いでFZ−N基板1のおもて面側にp+ベース層2を形成し、このp+ベース層2内にn+エミッタ層3を形成する。さらに、このn+エミッタ層3に接するようにアルミニウムシリコン膜を堆積し、エミッタ電極となる表面電極6を形成する。アルミニウムシリコン膜は、安定した接合性および低抵抗配線を実現するために、その後400℃〜500℃程度の低温で熱処理される。
【0014】
なお、図13および図14では図示を省略したが、表面電極6上にはその表面を覆うようにポリイミドなどを用いて絶縁保護膜が形成される。次に裏面側プロセスについて図15から図18を参照して説明する。裏面側プロセスでは、まず、図15に示すように、FZ−N基板1を裏面側から所望の厚さまでバックグラインドやエッチングなどの研削を行い、薄ウエハー化する。
【0015】
次いで、図16に示すように、FZ−N基板1の裏面側にリン(P+)およびボロン(B+)をこの順でそれぞれ注入してn+層10aおよびp+層8aを形成した後、電気炉を用いて350℃〜500℃の低温で熱処理(アニール)を行う。これにより、リンを注入したn+層10aおよびボロンを注入したp+層8aを活性化し、図17に示したように、FZ−N基板1の裏面側に、nバッファ層10およびp+コレクタ層8をそれぞれ形成する。なお、ボロンの注入後にBF2を注入して、p+コレクタ層8の最表面層に、裏面電極とオーミック接触するための表面コンタクト層(p層)を形成する場合もある。
【0016】
その後、図18に示すように、p+コレクタ層8の表面に、アルミニウム層、チタン層、ニッケル層、金層などの金属膜を組み合わせた裏面電極9を形成する。最後に、チップ状にダイシングしてから表面電極6の表面に、アルミワイヤ電極を超音波ワイヤーボンディング装置により固着し、裏面電極9は、はんだ層を介して所定の固定部材に接続する。
【0017】
ところで、近年になって直流を介さずに直接交流−交流変換を行うマトリクスコンバータが脚光を浴びている。従来型インバータと違いコンデンサが不要であり、電源高調波が削減されるというメリットがある。しかし、入力が交流であるため、半導体スイッチには逆方向耐圧が要求される。従来型IGBTを用いた場合は、逆阻止用のダイオードを直列に接続する必要があった。
【0018】
図19は逆阻止IGBTの断面構造の一例である。ただし、図19では、図12に示した要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明の詳細は省略する。図19に示すように、逆阻止IGBT300は従来型のIGBTの基本性能を踏襲しつつ、さらにp+分離層11が形成され、逆耐圧を有するようにしたIGBTである。このような構造を有する逆阻止IGBT300には直列ダイオードが不要であるために導通損失を半減でき、マトリクスコンバータの変換効率向上に大きく寄与する。100μm以上の深い接合の形成技術と、100μm以下の厚さの極薄ウエハー生産技術を組み合わせて、高性能の逆阻止IGBTの製造が可能になっている。
【0019】
しかしながら、IGBT製造に際し、70μm程度の薄型IGBTを実現するためには、裏面バックグラインドや裏面からのイオン注入、裏面熱処理等が必要になるためウエハー反りの問題が発生する等、製造プロセスの技術的課題も多い。
【0020】
そのような製造プロセス技術のひとつとして、ここで例示したIGBTをはじめとする各種半導体素子の形成に必要なp型不純物層(p層)やn型不純物層(n層)の活性化については、これまで様々な手法が検討されており、上記のような電気炉を用いるもののほか、レーザーを用いたアニールによって不純物層の活性化を行うものもある。例えば、ウエハーをウエハー割れ防止のための接着シートで支持基板に固定しそのウエハーにレーザーを照射してp層およびn層の活性化を行う方法や、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザーの第2高調波(YAG2ωレーザー)や第3高調波(YAG3ωレーザー)を用いて活性化を行う方法などが検討されている。
【0021】
しかし、p層、n層の活性化において、従来の電気炉アニールの場合には、p層の高活性化を図ることができず、さらに、ウエハー割れ防止のために接着シートを用いる方法では、接着シートの耐熱温度が通常200℃以下であるため、300℃以上の電気炉アニールが必要となるような場合には使用することができない。
【0022】
また、電気炉アニールに代えてレーザーアニールによってp層、n層の活性化を行おうとした場合には、エキシマレーザーのような半値幅が100ns未満の短い単パルスのレーザー照射では、表面から浅い領域までしか活性化できず、例えばFS型IGBTの裏面側でp層とn層が連続するpn連続層のうちn層まで十分に活性化することができない。YAG2ωレーザーやYAG3ωレーザーなどの全固体レーザーを単パルスで使用して照射した場合には、例えば直径0.9mm程度のスポット照射のため長い照射時間が必要になり、処理時間がウエハー1枚当たり数時間、例えば5インチウエハーのアニールに2時間程度もかかってしまうようになる。また、照射エネルギー密度を大きくして1つの照射エリアにレーザー照射した場合には、ウエハー表面にレーザー照射による加工跡が残ってしまう場合がある。
【0023】
このような問題に対する解決策の一つとして、本発明者は、不純物が導入された不純物層を活性化する際に、パルスレーザーを照射する複数のレーザー照射装置を用いて不純物層に照射エリアごとに複数のパルスを連続的に照射して不純物層を活性化させる方法を提案している(例えば、特許文献1参照。)。また、半導体レーザーを用いることによって、ウエハーの深部に注入した不純物イオンを活性化させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、nドーピングされた層を形成する際に、ドーパントとしてセレンやイオウを用いることが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。セレンやイオウの、シリコンへの拡散係数は、従来技術によるドーパントに比べて、非常に高い。
【0024】
【特許文献1】特開2005−223301号公報([0026]、[0027])
【特許文献2】特開2006−351659号公報([0012])
【特許文献3】特表2002−520885号公報([0014]、[0032])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、P(リン)やAs(砒素)等の従来技術によるドーパントでは、拡散係数がそれほど大きくないため、数ns程度の照射時間でレーザー照射を行っても、ほとんど拡散しない。また、レーザー照射によって活性化させることができる不純物層の深さは、1.5μm以下である。そのため、例えば、レーザー照射によってFS型IGBTのp+コレクタ層とnバッファ層を活性化させるには、p+コレクタ層とnバッファ層を浅く形成しなければならない。これらの層を浅く形成する場合、プロセス工程中に基板裏面に傷やゴミがつき、それが原因でその部分にnバッファ層が正常に形成されないと、漏れ電流が大きくなり、デバイス不良を生じやすいという問題点がある。
【0026】
また、拡散係数が大きいドーパントを用いる場合、拡散および活性化のために長時間の熱処理を行うと、ドーパントが基板を透過して基板から抜けてしまうため、所望の特性が安定して得られないという問題点がある。さらに、おもて面側プロセスとバックグラインド等の済んだ薄いウエハーにウエハー裏面側からレーザー光を照射すると、レーザー光の照射面と反対側の面、すなわちおもて面側プロセスによってゲート構造等を作製した面が高温になる。例えば、ウエハーの厚さが70μmである場合、ウエハーおもて面側の温度が約500℃に達することがある。そのため、表面電極やその上の絶縁保護膜が溶けてしまい、デバイスが破壊されてしまうという問題点がある。
【0027】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、デバイス不良の発生を防ぐことができる半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。また、この発明は、良好なデバイス特性を有する半導体素子を製造することができる半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。さらに、この発明は、レーザー照射時の熱によるデバイスの破壊を防ぐことができる半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる半導体素子の製造方法は、イオン注入工程と活性化工程を含む。イオン注入工程では、拡散係数の大きなドーパントを用いる。ここで、拡散係数の大きなドーパントとは、シリコンに対する拡散係数が、シリコン半導体の製造プロセスにおいて一般的に用いられるドーパント、例えば、リン(P)、砒素(As)、ホウ素(B)またはアンチモン(Sb)等のシリコンに対する拡散係数よりも大きい物質のことである。そのような物質として、例えば、リチウム(Li)が挙げられる。また、リチウムと、硫黄(S)、セレン(Se)、水素(H)の少なくともいずれか一つをあわせた2つ以上の組み合わせであってもよい。
【0029】
活性化工程では、複数のレーザー照射装置を用いる。そして、ドーパントが注入された不純物層に固体レーザーまたはエキシマレーザーと、固体レーザーおよびエキシマレーザーよりも半導体への吸収係数が大きい半導体レーザーを組み合わせて照射して、不純物層を活性化する。その際、単一の不純物層を活性化させてもよいし、同一導電型の複数の不純物層からなる連続層、または異なる導電型の複数の不純物層からなる連続層を活性化させてもよい。半導体レーザーについては、活性化工程の間、ウエハー全面に対して連続的に照射する。固体レーザーまたはエキシマレーザーについては、パルス状に照射する。パルス状のレーザーを照射するにあたって、光源自体を点滅させてもよいし、光源を連続して発光させておき、シャッター等の開閉によって活性化に必要な時間だけレーザーを照射するようにしてもよい。
【0030】
また、活性化工程では、複数のレーザー照射装置を用いて、ドーパントが注入された不純物層に複数のパルス状のレーザーを照射して、不純物層を活性化する。その際、単一の不純物層を活性化させてもよいし、同一導電型の複数の不純物層からなる連続層、または異なる導電型の複数の不純物層からなる連続層を活性化させてもよい。また、パルス状のレーザーを照射するにあたって、光源自体を点滅させてもよいし、光源を連続して発光させておき、シャッター等の開閉によって活性化に必要な時間だけレーザーを照射するようにしてもよい。上述した活性化工程において、レーザーを照射する際に、ウエハーを静電チャック式のステージに固定するとよい。
【0031】
この発明によれば、活性化工程において、拡散係数の大きなドーパントがレーザー照射時の熱により瞬時に深さ方向へ拡散する。また、長時間の熱処理を行わないので、ドーパントが基板を透過して基板から抜けてしまうことがない。また、複数のレーザー照射装置を用いることにより、レーザーの照射時間を制御することができるので、拡散係数の大きなドーパントが拡散し、活性化するのを調整することができる。つまり、拡散係数の大きなドーパントを従来よりも深くまで拡散させて活性化させることができるので、nバッファ層を従来よりも厚く形成することができる。従って、プロセス工程中の傷やゴミの影響を受けずに、nバッファ層を正常に形成することができる。
【0032】
また、固体レーザーまたはエキシマレーザーと、半導体レーザーを組み合わせることにより、レーザー照射面側の最表面層におけるドーパントの活性化には、固体レーザーまたはエキシマレーザーの波長の短いレーザーが寄与する。深い層へのドーパントの拡散および活性化には、シリコンへの吸収係数が大きい半導体レーザーが寄与する。
【0033】
また、レーザー照射時に基板がステージから浮き上がっていると、ステージへの熱伝導による冷却効果が低下するので、基板の温度が上昇してしまう。静電チャック式のステージにウエハーを固定してレーザーを照射すれば、レーザー照射時の基板温度の上昇を抑制することができる。厚さが70μm程度である薄いウエハーでは、この効果は顕著である。特に、ドーパントとしてリチウムを用いる場合には、レーザー照射時の基板温度を100℃未満に抑制することにより、リチウムの拡散を制御することができるので、好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明にかかる半導体素子の製造方法によれば、デバイス不良の発生を防ぐことができるという効果を奏する。また、良好なデバイス特性を有する半導体素子を製造することができるという効果を奏する。さらに、レーザー照射時の熱によるデバイスの破壊を防ぐことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体素子の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。特に限定しないが、ここでは、FS型IGBTを製造する場合を例にして説明する。
【0036】
実施の形態1.
実施の形態1は、図16に示す、nバッファ層およびp+コレクタ層を形成するためのイオン注入工程において、n+層10aを形成するためのドーパントとしてリチウムを用いるものである。また、このイオン注入工程に続いて、n+層10aおよびp+層8aの活性化、また、裏面電極との表面コンタクト層を設ける場合にはその表面コンタクト層の活性化を行う工程において、全固体YAG2ωレーザー(波長:532nm)を2台使用してレーザーアニールを行うものである。
【0037】
図1は、2台のレーザー照射装置からそれぞれ照射されるパルス状のレーザーのパルス波形を示す図である。図1に示すように、レーザーを照射する際には、例えば、2台のレーザーの半値幅(パルス幅に相当)をともに100nsとする。また、例えば、1台目のレーザー(1stパルス)および2台目のレーザー(2ndパルス)の照射エネルギー密度をともに1.5J/cm2とし、合計で3J/cm2のレーザー照射エネルギー密度となるようにする。また、例えば、1stパルスに対する2ndパルスの遅延時間を500nsとする。また、例えば、1台目および2台目のそれぞれについて、パルスのオーバーラップ率を90%とする。
【0038】
なお、これらのレーザー照射条件は、所望の特性が得られるように、ドーパントの拡散深さや活性化率に応じて、適宜、選択される。パルス状のレーザーを照射するには、光源自体を点滅させることによっても実現できるし、光源を連続して発光させておき、シャッター等の開閉によって活性化に必要な時間だけレーザーを照射することによっても実現できるが、本明細書においてパルス状のレーザーというときには、そのどちらで実現してもよい。次に、レーザーアニールによって単一の不純物層(以下、単層とする)を活性化する場合について説明する。ここでは、単層の例として、FS型IGBTのnバッファ層(nフィールドストップ層)を形成する場合を想定する。まず、イオン注入工程において、シリコン半導体にリチウム(Li+)をイオン注入する。その際、リチウムのドーズ量は、1×1014(cm-2)である。また、加速電圧は、100keVである。続いて、2台のレーザー照射装置を用いて、上述したレーザー照射条件(図1参照)で、リチウムの注入面にパルス状のレーザーを照射する。
【0039】
このようにして得たシリコン半導体の、レーザー照射面からの深さ方向の濃度プロファイルを広がり抵抗法により測定した結果を図2に示す。図2において、深さ0μmは、レーザー照射面である(図4図6および図7においても同じ)。図2から、レーザー照射面から12μm程度の深さまで、リチウムが拡散していることがわかる。1stパルスに対する2ndパルスの遅延時間や、1stパルスと2ndパルスの各照射エネルギー密度などを変えることにより、リチウムの拡散深さや濃度を調整することができる。
【0040】
比較のため、同じ注入条件でリチウムをイオン注入し、電気炉で450℃、1時間のアニールを行ったシリコン半導体の、イオン注入面からの深さ方向の濃度プロファイルを広がり抵抗法により測定した結果を図3に示す。図3において、深さ0μmは、イオン注入面である。図3から明らかなように、リチウムを注入した表面(深さ0μm)側では長時間の熱処理によって、リチウムがシリコン半導体の外へ抜けてしまうことがわかる。また、リチウムの拡散係数が大きいため、注入面の反対側の面(深さtμm)で濃度が上昇してしまうという問題が生じる。上述したレーザーアニールを行う場合には、このような問題が起こらない。
【0041】
次に、連続層の例として、FS型IGBTのnバッファ層(nフィールドストップ層)とp+コレクタ層を形成する場合を想定する。まず、イオン注入工程において、ドーズ量1×1014(cm-2)、加速電圧100keVで、シリコン半導体にリチウム(Li+)をイオン注入する。続いて、ドーズ量1×1015(cm-2)、加速電圧を50keVで、シリコン半導体にボロン(B+)をイオン注入する。その後、2台のレーザー照射装置を用いて、上述したレーザー照射条件(図1参照)で、イオン注入面にパルス状のレーザーを照射する。
【0042】
このようにして得たシリコン半導体の、レーザー照射面からの深さ方向の濃度プロファイルを広がり抵抗法により測定した結果を図4に示す。図4から、レーザー照射面から10μm程度の深さまで、リチウムが拡散していることがわかる。図2に示す単層の場合と比べて、若干、リチウムの濃度と拡散深さが浅くなるのは、p+コレクタ層によってリチウムの拡散が抑えられるからである。連続層の場合も、1stパルスに対する2ndパルスの遅延時間や、1stパルスと2ndパルスの各照射エネルギー密度などを変えることにより、リチウムの拡散深さや濃度を調整することができる。
【0043】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1において、全固体YAG2ωレーザー(波長:532nm)を2台使用する代わりに、そのうちの1台を、半導体レーザー(波長:800nm)とするものである。n+層10aを形成するためのドーパントは、リチウムである。
【0044】
図5は、全固体YAG2ωレーザーから照射されるパルス状のレーザーのパルス波形および半導体レーザーの連続発振を示す図である。図5に示すように、レーザーを照射する際には、例えば、全固体YAG2ωレーザーの半値幅(パルス幅に相当)を100nsとする。また、例えば、全固体YAG2ωレーザーの照射エネルギー密度を1.5J/cm2とする。そして、例えば、ウエハー処理の間、半導体レーザーを5J/cm2の照射エネルギー密度でウエハー全面に照射する。また、例えば、全固体YAG2ωレーザーのパルスのオーバーラップ率を90%とする。
【0045】
なお、これらのレーザー照射条件は、所望の特性が得られるように、ドーパントの拡散深さや活性化率に応じて、適宜、選択される。次に、レーザーアニールによって単層を活性化する場合について説明する。ここでは、単層の例として、FS型IGBTのnバッファ層(nフィールドストップ層)を形成する場合を想定する。まず、イオン注入工程において、ドーズ量1×1014(cm-2)、加速電圧100keVで、シリコン半導体にリチウム(Li+)をイオン注入する。続いて、上述したレーザー照射条件(図5参照)で、リチウムの注入面に全固体YAG2ωレーザーと半導体レーザーを照射する。ただし、半導体レーザーの照射エネルギー密度を3J/cm2とする。
【0046】
このようにして得たシリコン半導体の、レーザー照射面からの深さ方向の濃度プロファイルを広がり抵抗法により測定した結果を図6に示す。図6から、レーザー照射面から20μm程度の深さまで、リチウムが拡散していることがわかる。全固体レーザーと半導体レーザーの照射エネルギー密度などを変えることにより、リチウムの拡散深さや濃度を調整することができる。図6に示す結果と図2に示す結果を比べると、図6に示す結果の方が、有効性が充分に高いことがわかる。また、実施の形態1と同様に、実施の形態2でも、電気炉で長時間のアニールを行った場合の種々の問題が起こらない。
【0047】
次に、連続層の例として、FS型IGBTのnバッファ層(nフィールドストップ層)とp+コレクタ層を形成する場合を想定する。まず、イオン注入工程において、ドーズ量1×1014(cm-2)、加速電圧100keVで、シリコン半導体にリチウム(Li+)をイオン注入する。続いて、ドーズ量1×1015(cm-2)、加速電圧を50keVで、シリコン半導体にボロン(B+)をイオン注入する。その後、イオン注入面全面に3J/cm2の照射エネルギー密度で半導体レーザーを照射しながら、イオン注入面に1.5J/cm2の照射エネルギー密度で全固体YAG2ωレーザーのパルス状のレーザーを照射する。
【0048】
このようにして得たシリコン半導体の、レーザー照射面からの深さ方向の濃度プロファイルを広がり抵抗法により測定した結果を図7に示す。図7から、レーザー照射面から18μm程度の深さまで、リチウムが拡散していることがわかる。図6に示す単層の場合と比べて、若干、リチウムの濃度と拡散深さが浅くなる理由は、実施の形態1で説明した通りである。連続層の場合も、全固体レーザーと半導体レーザーの照射エネルギー密度などを変えることにより、リチウムの拡散深さや濃度を調整することができる。
【0049】
ところで、上述した実施の形態1または実施の形態2において、レーザーアニールを行う際には、図8に示すように、静電チャック式のステージ21にウエハー22をしっかりと固定するのがよい。そうしないと、図9に示すように、薄いウエハー22がステージ21から浮き上がることがある。ウエハー22が浮いてしまうと、レーザー照射時に、ウエハー22からステージ21への熱伝導が起こりにくくなり、冷却効果が低下してしまう。その結果、ウエハー22の、レーザー照射面と反対側の面、すなわち、ステージ21に対向する側の面の温度が上昇する。この面には、おもて面側プロセスによってゲート構造等が作製されている。
【0050】
例えば、厚さが70μmであるウエハーに実施の形態2の方法を適用した場合、ウエハーが浮き上がると、ウエハーのおもて面側の面の温度が約500℃に達することがある。このような高温になると、表面電極やその上の絶縁保護膜が溶けて、デバイスが破壊されてしまい、デバイスとして機能しなくなってしまう。それに対して、静電チャック式のステージ21にウエハー22をしっかりと固定してレーザーを照射すれば、ウエハーのおもて面側の面の温度を約200℃以下に抑えることができるので、レーザー照射によるデバイスおもて面側への影響は生じない。
【0051】
厚さが70μm程度である薄いウエハーの場合には、この効果は顕著である。特に、ドーパントとしてリチウムを用いる場合には、レーザー照射時の基板温度を100℃未満に抑制することにより、リチウムの拡散を制御することができるので、好ましい。このように、静電チャック式ステージ21にウエハー22を固定した状態でレーザーアニールを行う装置を製作することは、有効である。
【0052】
また、上述した実施の形態1または実施の形態2では、ドーパントがリチウムである場合について説明したが、リチウムの代わりに、硫黄(S)やセレン(Se)や水素(H)を用いてもよい。図10に、硫黄、セレンおよび水素と、比較のために砒素およびリンのシリコンに対する拡散係数の温度特性を示す。図10において、上の横軸は、セ氏温度T(℃)であり、下の横軸は、絶対温度の逆数(K-1)である。また、縦軸は、拡散係数である。
【0053】
また、リチウム、硫黄、セレンおよび水素のうちの2つ以上をドーパントとして用いてもよい。図11に、リチウム、水素、硫黄およびセレンと、リファレンスとしてリンを用いて実施の形態2を適用した場合の、各ドーパントの拡散深さを示す。いずれも、イオン注入時のドーズ量は、1×1014(cm-2)である。また、半導体レーザーの照射エネルギー密度は、3J/cm2であり、全固体YAG2ωレーザーの照射エネルギー密度は、1.5J/cm2である。図10および図11から明らかなように、リチウム、水素、硫黄およびセレンは、シリコン半導体の製造プロセスにおいてドーパントとして一般的に用いられるリンや砒素に比べて、シリコンに対する拡散係数が大きく、より深くまで拡散することがわかる。
【0054】
以上説明したように、各実施の形態によれば、活性化工程においてリチウムや水素や硫黄やセレンなどの拡散係数の大きなドーパントがレーザー照射時の熱により瞬時に深さ方向へ拡散する。また、長時間の熱処理を行わないので、ドーパントが基板を透過して基板から抜けてしまうことがない。また、実施の形態1のように複数のレーザー照射装置を用いることにより、あるいは、実施の形態2のように固体レーザーと半導体レーザーを組み合わせることにより、レーザーの照射時間を制御することができるので、拡散係数の大きなドーパントが拡散し、活性化するのを調整することができる。特に、実施の形態2によれば、レーザー照射面側の最表面層におけるドーパントの活性化には、波長の短い固体レーザーが寄与し、深い層へのドーパントの拡散および活性化には、シリコンへの吸収係数が大きい半導体レーザーが寄与する。
【0055】
従って、リチウムや水素や硫黄やセレンなどのドーパントを従来よりも深くまで拡散させて活性化させることができるので、例えば、FS型IGBTのnバッファ層を従来よりも厚く形成することができる。つまり、プロセス工程中の傷やゴミの影響を受けずに、nバッファ層を正常に形成することができ、それによって、デバイス不良の発生を防ぐことができる。また、良好なデバイス特性を有する半導体素子を製造することができる。また、静電チャック式ステージにウエハーを固定してレーザー照射を行うことにより、レーザー照射時の熱によるデバイスの破壊を防ぐことができるとともに、リチウムの拡散を制御することができる。
【0056】
実施の形態1(図2および図4)と実施の形態2(図6および図7)を比較すると、実施の形態2の方がより深くまでドーパントが拡散する。また、図11より、リチウムが最も深くまで拡散する。従って、ドーパントとしてリチウムを用い、固体レーザーと半導体レーザーを組み合わせてレーザーアニールを行うのが、最も好ましい。
【0057】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、実施の形態中に記載したイオン注入条件やレーザー照射条件等の数値は一例であり、本発明はそれらの値に限定されるものではない。また、本発明にかかるレーザーアニール法は、n型のドーパントに限らず、拡散係数の大きなp型のドーパント、例えば、アルミニウム(Al)や亜鉛(Zn)やガリウム(Ga)などを拡散させ、活性化させる場合にも有効である。
【0058】
また、本発明は、単層や、p型不純物層とn型不純物層からなるpn連続層以外にも、n型不純物層とn型不純物層からなるnn連続層、n型不純物層とp型不純物層からなるnp連続層、不純物としてアルゴン(Ar+)を注入したアルゴン導入層(Ar層)とp型不純物層からなる連続層、またはAr層とn型不純物層からなる連続層に対しても有効である。また、全固体レーザーは、YAG2ωレーザー以外にも、YLF2ω、YVO4(2ω)、YAG3ω、YLF3ω、YVO4(3ω)等のレーザーでもよい。また、全固体レーザーの代わりに、XeCl、KrF、XeF等のエキシマレーザーを用いてもよい。また、本発明にかかるレーザーアニール法によって、NPT型IGBTや逆阻止IGBTのp層の単層(コレクタ層)を活性化させてもよい。また、本発明は、IGBTに限らず、ICやMOSなどの半導体素子の製造にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明にかかる半導体素子の製造方法は、デバイス厚の薄い半導体素子を製造するのに有用であり、特に、汎用インバータ、ACサーボ、無停電電源(UPS)またはスイッチング電源などの産業分野や、電子レンジ、炊飯器またはストロボなどの民生機器分野に用いられるIGBTなどの電力用半導体素子の製造に適している。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】実施の形態1におけるパルス状のレーザーのパルス波形を示す図である。
図2】実施の形態1により得られたシリコン半導体の深さ方向の濃度プロファイル(単層)を示す図である。
図3】電気炉でアニールを行ったシリコン半導体の深さ方向の濃度プロファイル(単層)を示す図である。
図4】実施の形態1により得られたシリコン半導体の深さ方向の濃度プロファイル(連続層)を示す図である。
図5】実施の形態2におけるパルス状のレーザーのパルス波形および半導体レーザーの連続発振を示す図である。
図6】実施の形態2により得られたシリコン半導体の深さ方向の濃度プロファイル(単層)を示す図である。
図7】実施の形態2により得られたシリコン半導体の深さ方向の濃度プロファイル(連続層)を示す図である。
図8】静電チャック式のステージにウエハーを固定した状態を示す図である。
図9】ステージからウエハーが浮き上がった状態を示す図である。
図10】硫黄、セレン、水素、砒素およびリンのシリコンに対する拡散係数の温度特性を示す図である。
図11】リチウム、硫黄、セレン、水素およびリンの拡散深さを示す図である。
図12】NPT型IGBTの断面構造の一例を示す図である。
図13】FS型IGBTの断面構造の一例を示す図である。
図14】おもて面側プロセス終了後の断面図である。
図15】基板研削プロセスの断面図である。
図16】裏面イオン注入プロセスの断面図である。
図17】裏面アニールプロセスの断面図である。
図18】裏面電極膜形成プロセスの断面図である。
図19】逆阻止IGBTの断面構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
21 静電チャック式ステージ
22 ウエハー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19