【実施例】
【0015】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
<アルギニン誘導体の合成例>
<化合物1>
L−アルギニン(味の素(株)製「アルギニン C−グレード」を使用)174g(1モル)をイオン交換水406gに溶解してオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内の空気を乾燥窒素で置換した。次に60℃に昇温し、プロピレンオキシド64g(1.1モル)を1時間かけて滴下した後、60℃に保ちさらに6時間反応した。反応終了後、30分間乾燥窒素でバブリングして未反応のプロピレンオキシドを除去し、オートクレーブから反応液を取り出し、溶媒を減圧留去して反応生成物を得た。反応生成物の
1H−NMRスペクトルを測定し、下記算出法に基づいて、反応生成物のプロピレンオキシド平均付加モル数を算出した。その結果、化合物1のプロピレンオキシド平均付加モル数は1.02モルであった。この反応生成物に対してイオン交換水を加え、アルギニン誘導体の25質量%水溶液を調製し、以下の検討に用いた。
【0016】
<
1H−NMR測定条件>
使用機種:日本電子株式会社製 ECA−600(600MHz)
測定溶媒:D
2O
内部標準:DSS(2,2−ジメチル−2−シラペンタン−5−スルホン酸ナトリウム)
<ヒドロキシプロピル基の平均付加モル数の算出方法>
S1:δ=1.5〜1.7ppmのアルギニンのβ−炭素、γ−炭素に結合している水素に帰属されるピークの積算強度、
S2:δ=2.5〜2.8ppmのα−アミノ基に付加したヒドロキシプロピル基の1位の炭素に結合している水素に帰属されるピークの積算強度とし、
ヒドロキシプロピル基の平均付加モル数=(S2/S1)×2で算出した。
【0017】
<化合物2>
L−アルギニン(味の素(株)製「アルギニン C−グレード」を使用)174g(1モル)とプロピレンオキシド116g(2モル)を用いた以外は、化合物1と同様の条件で反応を行った。得られた反応生成物の
1H−NMRスペクトルより求めた化合物2のプロピレンオキシド平均付加モル数は1.84モルであった。この反応生成物に対してイオン交換水を加え、アルギニン誘導体25質量%水溶液を調製し、以下の検討に用いた。
【0018】
実施例1〜8及び比較例1〜4
表2〜3に示すヘアリンスである毛髪化粧料を調整し。5項目について下記評価基準により評価を行った。但し、共通添加成分として表1に示す8成分を使用し、クエン酸一水和物によりpHを4.5〜5.5に調整した。
実施例の評価結果を表2、比較例の評価結果を表3に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
(1)傷んだ毛髪に対する乾燥時の指通り性
脱色処理溶液(4.5重量%過酸化水素水/2.5重量%アンモニア水)に向きを揃えた長さ20cmの毛束を30分間浸漬し1Lの溜め水ですすいだ。この操作を合計3回繰り返し、損傷毛とした。各ヘアリンスの10%水溶液に損傷毛を10分間浸漬し1Lの溜め水ですすいだ。タオルドライ後、23℃の各恒湿槽(相対湿度20%又は50%)に12時間静置し、それぞれ乾燥処理毛及び非乾燥処理毛とした。20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、乾燥処理毛の指通り性について下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を傷んだ毛髪に対して乾燥時にも指通り性を保つヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 非乾燥処理毛と同等に指通り性に優れる。
10点 : 非乾燥処理毛より、僅かに指通り性が劣る。
0点 : 非乾燥処理毛より、明らかに指通り性が劣る。
(2)毛髪の艶
各ヘアリンスの10%水溶液に長さ10cmの毛束を30分間浸漬し1Lの溜め水ですすいだ。タオルドライ後、恒温恒湿室(23℃・50RH)に12時間静置して処理毛とした。20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、目視により各処理毛の艶について下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を毛髪に艶を与えるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 処理毛にとても艶がある。
10点 : 処理毛にやや艶がある。
0点 : 処理毛に艶がない。
【0021】
(3)毛髪のうるおい
各ヘアリンスの10%水溶液に長さ10cmの毛束を30分間浸漬し1Lの溜め水ですすいだ。タオルドライ後、恒温恒湿室(23℃・50RH)に12時間静置して処理毛とした。20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、毛髪のうるおい感について下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を髪にうるおいを与えるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 処理毛にとてもうるおいがあり、しっとりしていると感じる。
10点 : 処理毛にややうるおいがあると感じる。
0点 : 処理毛にうるおいがないと感じる。
(4)毛髪のハリ・コシ
20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、洗髪後の濡れた頭髪に各ヘアリンス5gを塗布し洗い流して、タオルドライ後2時間乾燥した時の毛髪のハリ・コシについて下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を髪にハリ・コシを与えるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 毛髪にハリ・コシがあると感じる。
10点 : 毛髪にややハリ・コシがあると感じる。
0点 : 毛髪にハリ・コシがなく、ボリューム感がないと感じる。
(5)毛髪の切れ毛防止効果
毛髪の切れ毛防止効果は、毛髪の引張り試験を行い、破断強度を求めることにより評価した。各ヘアリンスの10%水溶液に長さ10cmの毛髪を30分間浸漬し1Lの溜め水ですすいだ。タオルドライ後、恒温恒湿室(23℃・50RH)に12時間静置して処理毛とした。引張り強度の測定にはレオメーター(FUDOH RHEOMETER、株式会社レオテック製)を使用した。測定される毛髪長が4cmになるように毛髪一本の両末端をセンサーの先端と移動台に固定し、移動台を20mm/minでセンサーから離し、毛髪が切断された時の応力を破断強度とし、以下の基準で評価した。独立して10回測定を行い、10回の評価の平均値が15点以上を毛髪の切れ毛防止効果に優れるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 破断強度が120gf以上であった場合。
15点 : 破断強度が100gf以上120gf未満であった場合。
10点 : 破断強度が80gf以上100gf未満であった場合。
5点 : 破断強度が60gf以上80gf未満であった場合。
0点 : 破断強度が60gf未満であった場合。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
実施例1〜8より、ヘアリンスである本発明の毛髪化粧料は、傷んだ毛髪に対して乾燥時にも良好な指通りを保ち、毛髪に艶とうるおいを与え、毛髪にハリ・コシを与えるとともに、毛髪のひっかかりやもつれによる切れ毛を防止していた。
一方、比較例1〜4のヘアリンスでは充分な性能が得られていない。比較例1ではa成分が配合されていないことから、毛髪にうるおいがなく、毛髪のひっかかりやもつれによる切れ毛を防止できていなかった。比較例2ではb成分が配合されていないことから、傷んだ毛髪に対する乾燥時の指通りが悪く、毛髪の艶がなかった。比較例3ではb成分が本発明の範囲を超えて配合されていることから、毛髪のハリ・コシがなかった。比較例4ではa成分ではなくL−アルギニンが配合されていることから、毛髪にうるおいを与えることができず、切れ毛を防止できていなかった。
【0025】
実施例8〜13及び比較例5〜8
表5に示すヘアミルクである毛髪化粧料を調整し、5項目について下記評価基準により評価を行った。但し、共通添加成分として表4に示す7成分を使用し、クエン酸一水和物によりpHを4.5〜5.5に調整した。
実施例の評価結果を表5、比較例の評価結果を表6に示す。
【0026】
【表4】
【0027】
(1)傷んだ毛髪に対する乾燥時の指通り性
脱色処理溶液(4.5重量%過酸化水素水/2.5重量%アンモニア水)に向きを揃えた長さ20cmの毛束を30分間浸漬し1Lの溜め水ですすいだ。この操作を合計3回繰り返し、損傷毛とした。各ヘアミルク2gを損傷毛に塗布した後、23℃の各恒湿槽(相対湿度20%又は50%)に12時間静置し、それぞれ乾燥処理毛及び非乾燥処理毛とした。20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、乾燥処理毛の指通り性について下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を傷んだ毛髪に対して乾燥時にも指通り性を保つヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 非乾燥処理毛と同等に指通り性に優れる。
10点 : 非乾燥処理毛より、僅かに指通り性が劣る。
0点 : 非乾燥処理毛より、明らかに指通り性が劣る。
(2)毛髪の艶
各ヘアミルク2gを長さ10cmの毛束に塗布した後、恒温恒湿室(23℃・50RH)に12時間静置して処理毛とした。20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、目視により各処理毛の艶について下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を毛髪に艶を与えるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 処理毛にとても艶がある。
10点 : 処理毛にやや艶がある。
0点 : 処理毛に艶がない。
【0028】
(3)毛髪のうるおい
各ヘアミルク2gを長さ10cmの毛束に塗布した後、恒温恒湿室(23℃・50RH)に12時間静置して処理毛とした。20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、毛髪のうるおい感について下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を髪にうるおいを与えるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 処理毛にとてもうるおいがあり、しっとりしていると感じる。
10点 : 処理毛にややうるおいがあると感じる。
0点 : 処理毛にうるおいがないと感じる。
(4)毛髪のハリ・コシ
20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、頭髪に各ヘアミルク5gを塗布し、乾燥した時の毛髪のハリ・コシについて下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を髪にハリ・コシを与えるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 毛髪にハリ・コシがあると感じる。
10点 : 毛髪にややハリ・コシがあると感じる。
0点 : 毛髪にハリ・コシがなく、ボリューム感がないと感じる。
(5)毛髪の切れ毛防止効果
毛髪の切れ毛防止効果は、毛髪の引張り試験を行い、破断強度を求めることにより評価した。各ヘアミルク2gを長さ10cmの毛髪に塗布した後、恒温恒湿室(23℃・50RH)に12時間静置して処理毛とした。引張り強度の測定にはレオメーター(FUDOH RHEOMETER、株式会社レオテック製)を使用した。測定される毛髪長が4cmになるように毛髪一本の両末端をセンサーの先端と移動台に固定し、移動台を20mm/minでセンサーから離し、毛髪が切断された時の応力を破断強度とし、以下の基準で評価した。独立して10回測定を行い、10回の評価の平均値が15点以上を毛髪の切れ毛防止効果に優れるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 破断強度が120gf以上であった場合。
15点 : 破断強度が100gf以上120gf未満であった場合。
10点 : 破断強度が80gf以上100gf未満であった場合。
5点 : 破断強度が60gf以上80gf未満であった場合。
0点 : 破断強度が60gf未満であった場合。
【0029】
【表5】
【0030】
【表6】
【0031】
実施例8〜13より、ヘアミルクである本発明の毛髪化粧料は、傷んだ毛髪に対して乾燥時にも良好な指通りを保ち、毛髪に艶とうるおいを与え、毛髪にハリ・コシを与えるとともに、毛髪のひっかかりやもつれによる切れ毛を防止していた。
一方、比較例5〜8のヘアミルクでは充分な性能が得られていない。比較例5ではa成分が配合されていないことから、毛髪にうるおいがなく、毛髪のひっかかりやもつれによる切れ毛を防止できていなかった。比較例6ではb成分が配合されていないことから、傷んだ毛髪に対する乾燥時の指通りが悪く、毛髪の艶がなかった。比較例7ではb成分が本発明の範囲を超えて配合されていることから、毛髪のハリ・コシがなかった。比較例8ではa成分ではなくL−アルギニンが配合されていることから、毛髪にうるおいを与えることができず、切れ毛を防止できていなかった。