(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ステアリング操作により回転するピニオン軸と、前記ピニオン軸に噛合されたラック軸と、前記ラック軸を前記ピニオン軸に押し付けつつ該ラック軸の軸方向に往復動可能に支持するラックガイド機構と、前記ラックガイド機構を収容するラックガイド収容部が形成されたラックハウジングとを備え、前記ラックガイド機構は、前記ラックガイド収容部内に収容されるサポートヨーク及び押圧部材を有し、前記サポートヨークは、前記押圧部材によって前記ラック軸に押圧されつつ、前記ラックガイド収容部内で前記ラック軸に対して接離する方向に移動可能に設けられるステアリング装置において、
前記サポートヨークと前記押圧部材との間に介在される中間部材を備え、
前記サポートヨーク及び前記中間部材の各対向面の少なくとも一方における外周縁には、他方の対向面に向かって突出する複数の突起が形成され、
前記サポートヨークは円柱状に形成され、
前記サポートヨークの移動方向と直交する平面上で前記ラック軸の軸方向と直交する方向をラック軸の幅方向として、前記突起は、前記サポートヨークの中心を通り前記ラック軸の軸方向と平行な直線上、及び前記サポートヨークの中心を通り前記ラック軸の幅方向と平行な直線上にそれぞれ配置されたことを特徴とするステアリング装置。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のステアリング装置には、ピニオン軸とラック軸とを噛合させることにより、そのステアリング操作に伴うピニオン軸の回転をラック軸の往復動に変換するラックアンドピニオン式のものがある。通常、この種のステアリング装置には、ラック軸をピニオン軸に押し付けつつ軸方向に往復動可能に支持するラックガイド機構が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7に示す例では、ラックガイド機構71は、ラック軸72を軸方向に往復動可能に支持するサポートヨーク73と、サポートヨーク73をラック軸72に押し付けるコイルバネ74とを備えており、ラックハウジング75に形成された円筒状のラックガイド収容部76内に収容されている。サポートヨーク73は、円柱状に形成されており、ラックガイド収容部76内でラック軸72に対して接離する方向に移動可能に収容されている。また、サポートヨーク73におけるラック軸72側の端部には、ラック軸72の軸方向視で円弧状に凹んだ溝部77が形成されている。一方、サポートヨーク73におけるラック軸72と反対側の端部中央には、丸穴状の凹部78が形成されている。
【0004】
ラックガイド収容部76におけるラックハウジング75の外部に開口する外部開口端76aは、略円板状のキャップ79が螺着されることにより閉塞されている。そして、コイルバネ74は、サポートヨーク73とキャップ79との間で圧縮された状態で凹部78内に配置されることにより、サポートヨーク73をラック軸72側に押し付ける構成となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、サポートヨーク73は、上記のようにラック軸72に対して接離する方向に移動可能にラックガイド収容部76内に収容されているため、同サポートヨーク73の外周面とラックガイド収容部76の内周面との間には、僅かながら隙間Sが存在する。そのため、
図8(a)において二点鎖線で示すように、例えば悪路走行時において路面反力等の外力がラック軸72に作用した際に、ラック軸72がその幅方向(車両の上下方向)に揺動(ロール)することにより、サポートヨーク73がラック軸72の幅方向に傾倒することがある。また、
図8(b)において二点鎖線で示すように、例えばステアリング操作よってラック軸72が往復動することにより、サポートヨーク73がラック軸72の軸方向に傾倒することがある。なお、
図8において、コイルバネ74の押圧力を白抜き矢印で模式的に示す。そして、このようにラック軸72の動きに起因してサポートヨーク73が傾倒する結果、同サポートヨーク73がラックガイド収容部76の内周面に衝突することにより異音が発生するという問題がある。
【0007】
そこで、コイルバネ74による押圧力(バネ荷重)を高く設定することでサポートヨーク73の傾倒を抑制することが考えられるが、この場合には、サポートヨーク73とラック軸72との間の摺動抵抗が増大してしまうため、操舵フィーリングの悪化を招く虞があり、なお改善の余地が残されていた。
【0008】
なお、特許文献2には、サポートヨークとキャップとの間に介在されてコイルバネによりサポートヨーク側(ラック軸側)に押圧される中間移動部材と、中間移動部材及びサポートヨークの外周縁の間に挟持されるOリングとを備え、コイルバネの押圧力がサポートヨークの外周縁に作用するステアリング装置が開示されている。しかしながら、Oリングは逆入力等による衝撃を吸収するためのものであることから容易に変形し易く、ラック軸の動きに伴うサポートヨークの傾倒を防止することは困難である。従って、特許文献2のステアリング装置は、上記問題を解決するものではない。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、異音の発生を十分に抑制しつつ、良好な操舵フィーリングを実現することのできるステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ステアリング操作により回転するピニオン軸と、前記ピニオン軸に噛合されたラック軸と、前記ラック軸を前記ピニオン軸に押し付けつつ該ラック軸の軸方向に往復動可能に支持するラックガイド機構と、前記ラックガイド機構を収容するラックガイド収容部が形成されたラックハウジングとを備え、前記ラックガイド機構は、前記ラックガイド収容部内に収容されるサポートヨーク及び押圧部材を有し、前記サポートヨークは、前記押圧部材によって前記ラック軸に押圧されつつ、前記ラックガイド収容部内で前記ラック軸に対して接離する方向に移動可能に設けられるステアリング装置において、前記サポートヨークと前記押圧部材との間に介在される中間部材を備え、前記サポートヨーク及び前記中間部材の各対向面の少なくとも一方における外周縁には、他方の対向面に向かって突出する複数の突起が形成され
、前記サポートヨークは円柱状に形成され、前記サポートヨークの移動方向と直交する平面上で前記ラック軸の軸方向と直交する方向をラック軸の幅方向として、前記突起は、前記サポートヨークの中心を通り前記ラック軸の軸方向と平行な直線上、及び前記サポートヨークの中心を通り前記ラック軸の幅方向と平行な直線上にそれぞれ配置されたことを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、サポートヨークは、中間部材の突起を介してその外周部分が押圧されるようになる。そのため、例えば押圧部材をサポートヨークの中央付近に形成された凹部に配置する場合に比べ、サポートヨークの中心から離れた位置に押圧部材の押圧力を作用させることが可能になり、同じ押圧力でサポートヨークがラックガイド収容部内で傾倒することを効果的に抑制することができるようになる。
【0012】
ここで、上述のようにサポートヨークはラック軸の動きに起因して主にラック軸の軸方向又は幅方向に傾倒し易い。この点、上記構成では、突起を介してサポートヨークを押圧するため、サポートヨークの全周に亘って均等に荷重が作用する場合(特許文献2参照)に比べ、突起が当接する位置に押圧力が集中して作用するようになる。これにより、サポートヨークの中心からラック軸の軸方向又は幅方向に離れた位置に集中的に押圧力を作用させることが可能になるため、サポートヨークがラックガイド収容部内で傾倒することをより効果的に抑制できる。従って、上記構成では、押圧部材の押圧力を高くすることなく、サポートヨークの傾倒を防止することができ、異音の発生を十分に抑制しつつ、良好な操舵フィーリングを実現することができる。
また、上記構成によれば、サポートヨークの中心からラック軸の軸方向又は幅方向に最も離れた位置に集中して押圧部材の押圧力が作用するため、サポートヨークがラック軸の軸方向又は幅方向に傾倒することを、より一層、効果的に抑制できるようになる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のステアリング装置において、前記各対向面における前記突起と当接する位置には、該突起が挿入されることにより、前記サポートヨークと前記中間部材とが該サポートヨークの移動方向と直交する平面内で相対移動することを規制する規制凹部が形成されたことを要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、サポートヨークと中間部材との相対移動が規制されるため、突起が当接する位置、すなわち押圧部材からの押圧力が作用する位置がずれず、安定してサポートヨークが傾倒することを防止できる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のステアリング装置において、前記押圧部材は、前記突起と対応する位置において前記中間部材を押圧するように形成されたことを要旨とする。
【0016】
上記構成によれば、例えば押圧部材が中間部材の中央付近を押圧する場合に比べ、中間部材における押圧部材からの押圧力が作用する位置が突起の形成された位置から大きく離間しないため、中間部材の厚みを薄くしても同中間部材が変形することを防止できるようになる。これにより、中間部材の厚みを薄くしてステアリング装置の軽量化等を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、異音の発生を十分に抑制しつつ、良好な操舵フィーリングを実現することのできるステアリング装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置(EPS)1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されている。これにより、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。なお、ステアリングシャフト3は、コラム軸8、中間軸9、及びピニオン軸10を連結してなる。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド11を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪12の舵角、すなわち車両の進行方向が変更される。
【0020】
なお、EPS1は、モータ13を駆動源として、そのコラム軸8を回転駆動する所謂コラムアシスト型のEPSとして構成されている。具体的には、モータ13は、ウォーム&ホイール等からなる減速機構14を介してコラム軸8と駆動連結されている。そして、モータ13の回転を減速機構14により減速してコラム軸8に伝達することによって、そのモータトルクをアシスト力として操舵系に付与する構成になっている。
【0021】
次に、ラックアンドピニオン機構及びその周辺構成について説明する。
ラック軸5とピニオン軸10とは、略円筒状のラックハウジング21内に所定の交叉角をもって配置されており、ラック軸5のラック歯22とピニオン軸10のピニオン歯23とを噛合させることにより、上記ラックアンドピニオン機構4が構成されている。また、EPS1には、ラック軸5をピニオン軸10に押し付けつつ、同ラック軸5の軸方向に往復動可能に支持するラックガイド機構24が設けられている。そして、このラックガイド機構24によりラック歯22とピニオン歯23との間のバックラッシュが適正に保たれ、歯打ち音の発生が抑制されている。
【0022】
詳述すると、
図2に示すように、ラックハウジング21には、ピニオン軸10が収容されるピニオン収容部31と、ピニオン収容部31との間にラック軸5を挟んでラックガイド機構24が収容されるラックガイド収容部32が形成されている。ピニオン収容部31は、ピニオン軸10の軸方向に延び、一端(
図2における上端)が開口した円筒状に形成されている。一方、ラックガイド収容部32は、ラック軸5及びピニオン軸10と略直交する方向に延び、一端(
図2における右端)がラックハウジング21内に開口するとともに他端(
図2における左端)がラックハウジング21の外部に開口した円筒形状に形成されている。
【0023】
ピニオン軸10は、上記中間軸9(
図1参照)に連結される上端10aがピニオン収容部31から突出する態様で同ピニオン収容部31内に収容されている。そして、ピニオン軸10は、ピニオン収容部31内に設けられた軸受33,34により回転可能に支持されている。なお、ピニオン歯23は、ピニオン軸10における上記軸受33により支持された部分と軸受34により支持された部分との間に形成されている。
【0024】
図2及び
図3に示すように、ラックガイド機構24は、ラック軸5を軸方向に往復動可能に支持するサポートヨーク41と、サポートヨーク41をラック軸5に押し付ける押圧部材としてのコイルバネ42とを備えている。サポートヨーク41は、略円柱状に形成されるとともに、ラックガイド収容部32内において、同ラックガイド収容部32の軸方向、すなわちラック軸5に対して接離する方向に移動可能に収容されている。
【0025】
詳しくは、サポートヨーク41の外径はラックガイド収容部32の内径よりも僅かに小さく形成されており、サポートヨーク41の外周面とラックガイド収容部32の内周面との間には僅かな隙間Sが形成されている。なお、サポートヨーク41の外周面には、その周方向に延びる環状の装着溝43が形成されるとともに、装着溝43には、Oリング44が装着されている。そして、サポートヨーク41は、Oリング44がラックガイド収容部32の内周面に対して摺動することにより、ラック軸5と接離する方向に移動する構成となっている。
【0026】
また、サポートヨーク41におけるラック軸5側の端部には、ラック軸5の軸方向視で、ラック軸5のピニオン軸10側とは反対側の背面5aと対応する円弧状に凹んだ溝部45が形成されている。なお、本実施形態では、溝部45の内面がラック軸5を押し付ける際の摺接面となる。
【0027】
ラックガイド収容部32におけるラックハウジング21の外部に開口した外部開口端32aは、略円板状のキャップ46が螺着されることにより閉塞されており、コイルバネ42は、サポートヨーク41とキャップ46との間に圧縮された状態で配置されている。そして、サポートヨーク41は、コイルバネ42に押圧されることにより、ラック軸5をピニオン軸10側に押し付けつつ、往復動可能に支持する構成となっている。
【0028】
(異音抑制構造)
次に、サポートヨークがラックガイド収容部に衝突することにより発生する異音を抑制するための異音抑制構造について説明する。
【0029】
上述のように、サポートヨーク41の外周面とラックガイド収容部32の内周面との間には隙間Sが存在する。そのため、例えば路面反力等の外力がラック軸5に作用した際に、ラック軸5が、サポートヨーク41の移動方向と直交する平面上でラック軸5の軸方向と直交する幅方向(車両の上下方向)に揺動(ロール)することにより、サポートヨーク41がラック軸5の幅方向に傾倒することがある。また、例えばステアリング操作によってラック軸5が往復動することにより、サポートヨーク41がラック軸5の軸方向に傾倒することがある。その結果、サポートヨーク41におけるラック軸5側の端部がラックガイド収容部32の内周面に衝突することにより異音が発生する。
【0030】
この点を踏まえ、
図3に示すように、ラックガイド機構24は、サポートヨーク41とコイルバネ42との間に介在される中間部材51を備えている。そして、中間部材51のサポートヨーク41との対向面51aにおける外周縁には、サポートヨーク41の同中間部材51との対向面41aに向かって突出する複数(本実施形態では4つ)の突起52が形成されている。
【0031】
具体的には、中間部材51は、サポートヨーク41と略同一の外径を有する円板状に形成され、各突起52は、円錐台形状に形成されている。そして、
図4に示すように、突起52は、サポートヨーク41の中心Oを通りラック軸5の軸方向と平行な直線L1上の2カ所、及び中心Oを通りラック軸5の幅方向と平行な直線L2上の2カ所にそれぞれ配置されている。ラック軸5の幅方向と平行な直線L2上の突起52は、ラック軸5の幅方向両端よりも外側に配置されている。なお、本実施形態では、中間部材51は、鋼板からなり、プレス加工によって各突起52が形成されている。
【0032】
また、
図3に示すように、サポートヨーク41の対向面41aにおける各突起52と当接する位置には、これら突起52が挿入される規制凹部53がそれぞれ形成されている。規制凹部53は、突起52の凸形状と対応した凹形状に形成されており、突起52が規制凹部53に挿入されることにより、サポートヨーク41と中間部材51とがサポートヨーク41の移動方向と直交する平面内で相対移動(回転)することが規制される。
【0033】
さらに、コイルバネ42は、中間部材51に形成された各突起52を通る円と略同一の直径を有する螺旋状に形成されている。また、キャップ46には、中間部材51側に突出した円柱状の支持部54が形成されている。そして、コイルバネ42は、支持部54の外周に装着されており、突起52と対応する位置において中間部材51、詳しくは同中間部材51の対向面51aと反対側の背面51bを押圧するようになっている。なお、中間部材51は、外部開口端32aにキャップ46が螺着された状態で、支持部54の先端との間に僅かに間隔を空けてラックガイド収容部32内に配置されており、中間部材51が支持部54に当接することで、それ以上サポートヨーク41がラック軸5から離間する方向に移動することが規制されるようになっている。
【0034】
このように構成されたラックガイド機構24では、
図5(a),(b)に示すように、サポートヨーク41は、中間部材51の突起52を介してその外周部分が押圧されるようになる。そして、本実施形態では、突起52が直線L1,L2上に配置されていることから、サポートヨーク41の中心Oからラック軸5の軸方向又は幅方向に最も離れた位置に集中してコイルバネ42の押圧力が作用するため、サポートヨーク41がラックガイド収容部32内でラック軸5の軸方向又は幅方向に傾倒し難くなっている。なお、
図5において、コイルバネ42の押圧力を白抜き矢印で模式的に示す。
【0035】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)ラックガイド機構24は、サポートヨーク41とコイルバネ42との間に介在される中間部材51を備えた。そして、中間部材51の対向面51aにおける外周縁上で、且つサポートヨーク41の中心Oを通りラック軸5の軸方向と平行な直線L1上、及び中心Oを通りラック軸5の幅方向と平行な直線L2上に、サポートヨーク41の対向面41aに向かって突出する複数の突起52をそれぞれ形成した。
【0036】
上記構成によれば、例えばコイルバネ42をサポートヨーク41の中央付近に形成された凹部に配置する場合に比べ、サポートヨーク41の中心Oから離れた位置にコイルバネ42の押圧力が作用するため、同じ押圧力でサポートヨーク41がラックガイド収容部32内で傾倒することを効果的に抑制することができるようになる。
【0037】
ここで、上述のようにサポートヨーク41はラック軸5の動きに起因して主にラック軸5の軸方向又は幅方向に傾倒し易い。この点、上記構成では、突起52が直線L1,L2上にそれぞれ配置されるため、サポートヨーク41の中心Oからラック軸5の軸方向又は幅方向に最も離れた位置に集中的に押圧力が作用し、サポートヨーク41がラックガイド収容部32内で傾倒することを、より一層、効果的に抑制できる。従って、上記構成では、コイルバネ42の押圧力を高くすることなく、サポートヨーク41の傾倒を防止することができ、異音の発生を十分に抑制しつつ、良好な操舵フィーリングを実現することができる。
【0038】
(2)サポートヨーク41の対向面41aにおける突起52と当接する位置に、該突起52が挿入されることによりサポートヨーク41と中間部材51とが、該サポートヨーク41の移動方向と直交する平面内で相対移動することを規制する規制凹部53を形成した。上記構成によれば、突起52が当接する位置、すなわちコイルバネ42からの押圧力が作用する位置がずれず、安定してサポートヨーク41が傾倒することを防止できる。
【0039】
(3)コイルバネ42は、突起52と対応する位置において中間部材51を押圧するように形成した。
上記構成によれば、例えばコイルバネ42が中間部材51の中央付近を押圧する場合に比べ、中間部材51におけるコイルバネ42からの押圧力が作用する位置が突起52の形成された位置から大きく離間しないため、中間部材51の厚みを薄くしても同中間部材51が変形することを防止できるようになる。これにより、中間部材51の厚みを薄くしてステアリング装置の軽量化等を図ることができる。
【0040】
(4)コイルバネ42をキャップ46に形成された支持部54に装着したため、中間部材51における突起52と対応する位置を容易に押圧することができるとともに、ラックガイド収容部32内でのコイルバネ42の姿勢が不安定になることを抑制できる。
【0041】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、突起52を、中間部材51における直線L1,L2上の各2カ所に配置したが、これに限らず、例えば
図6に示すように上記直線L1,L2上に配置しなくてもよい。なお、突起52の数を任意に設定できることはいうまでもない。
上記内容は参考例として記載するものである。
【0042】
・上記実施形態では、プレス加工により中間部材51に突起52を形成したが、これに限らず、別部材からなる突起を溶接により中間部材51に固定する等、他の方法により中間部材51に突起52を形成してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、キャップ46にコイルバネ42が装着される支持部54を形成したが、これに限らず、中間部材51にコイルバネ42が装着される支持部を形成してもよい。また、キャップ46及び中間部材51の双方に支持部を形成しなくともよい。
【0044】
・上記実施形態では、コイルバネ42が中間部材51における突起52と対応する位置を押圧するように形成したが、これに限らず、キャップ46に支持部54を形成せずに中間部材51の中央付近を押圧するよう形成してもよい。
【0045】
・上記実施形態では、押圧部材としてコイルバネ42を採用したが、これに限らず、例えば環状の皿バネ等の他のバネ部材を採用してもよい。なお、この場合には、皿バネをキャップ46に形成された支持部54の外周に装着することで同皿バネの姿勢が不安定になることを抑制できる。また、バネ部材に限らず、ゴム等の弾性体を採用してもよい。
【0046】
・上記実施形態では、サポートヨーク41の対向面41aに、中間部材51の突起52が挿入される規制凹部53を形成したが、これに限らず、規制凹部53を形成しなくてもよい。
【0047】
・上記実施形態では、サポートヨーク41を円柱状に形成したが、これに限らず、例えば多角柱状等、他の形状に形成してもよい。
・上記実施形態では、中間部材51の対向面51aのみに突起52を形成したが、これに限らず、サポートヨーク41の対向面41aのみに突起を形成してもよい。また、各対向面41a,51aの双方に突起を形成してもよい。
【0048】
・上記実施形態において、サポートヨーク41に、潤滑性の優れた樹脂材料がコーティングされた周知のシート部材を固定し、このシート部材がラック軸5を押し付ける際の摺接面となるようにしてもよい。また、サポートヨーク41に、ラック軸5の背面5aに接触するとともに、ラック軸5の軸方向移動に伴って回転するローラを設ける構成としてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、本発明をコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置(EPS)として構成されたステアリング装置に具体化した。しかし、これに限らず、例えば所謂ラックアシスト型等、コラムアシスト型以外のEPSや油圧式のパワーステアリング装置、或いはノンアシスト型のステアリング装置に適用してもよい。
【0050】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項3に記載のステアリング装置において、前記ラックガイド収容部の外部開口端に螺着されたキャップ及び前記中間部材のいずれか一方には、いずれか他方側に突出する支持部が形成され、前記押圧部材は、前記支持部の外周に装着される螺旋状又は環状に形成されたことを特徴とするステアリング装置。上記構成によれば、中間部材における突起と対応する位置を容易に押圧することができるとともに、ラックガイド収容部内での押圧部材の姿勢が不安定になることを抑制できる。