【実施例】
【0043】
次に、本発明のパターン形成方法による具体的な実施例として、光インプリントモールドを作製した。
【0044】
(実施例1)
まず、基板11上にハードマスク層12が20nm厚に形成された積層基板上にレジスト材料13を100nm厚にコートした(
図1(a)参照)。このとき、基板11は、石英基板であり、ハードマスク層12はクロム膜であり、レジスト材料13はポジ型電子線レジストである。
【0045】
次に、電子線描画装置にて、レジスト材料13に対して電子線を照射した後、現像液を用いた現像処理、リンス、およびリンス液の乾燥を行い、レジストパターンマスク14を形成した(
図1(b)参照)。このとき、リンス液には純水を用いた。
【0046】
次に、レジストパターンマスク14をマスクとして、ICPドライエッチング装置を用いたドライエッチングによってハードマスク層12のエッチングを10nm行い、ハードマスク層12に段差を形成してハードマスクパターン15を形成した(
図1(c)参照)。また、ハードマスク層12に形成される段差の領域は、所望するハードマスクパターン15の領域と等しくした。
【0047】
このとき、ハードマスクパターン15であるクロム膜のエッチングの条件は、Cl
2流量40sccm、O
2流量10sccm、He流量80sccm、圧力30Pa、ICPパワー300W、RIEパワー30Wであった。
【0048】
次に、段差を形成したハードマスクパターン15が形成された基板11に残存したレジスト材料14の剥離洗浄を行った。このとき、剥離洗浄としてO
2アッシングを用いた。
【0049】
次に、段差を形成したハードマスクパターン15が形成された基板11上にレジスト材料16を100nm厚にて塗膜した(
図1(d)参照)。
【0050】
次に、電子線描画装置にて、レジスト材料16に対して電子線を照射した後、現像液を用いた現像処理、リンス、およびリンス液の乾燥を行い、レジストパターンマスク17を形成した(
図1(e)参照)。リンス液には、純水を用いた。このとき、レジストパターンマスク17が形成される領域は、ハードマスクパターン15に形成した段差の領域よりも大きくした。
【0051】
次に、レジストパターンマスク17をマスクとしてICPドライエッチング装置を用いたドライエッチングによって段差を形成したハードマスクパターン15のエッチングを行い、所望のパターンが形成されたハードマスクパターン18を形成した(
図1(f)参照)。
【0052】
このとき、段差を形成したハードマスクパターン15の上段部に形成されたレジストパターンマスク17′によりエッチングされた部位は、基板11の表面を覆うようにハードマスクパターン18を残存させることと、下段部に形成されたレジストパターンマスク17′′によりエッチングされた部位は、基板11表面の一部が露出するようにハードマスクパターン18のエッチングを行う。
【0053】
段差を形成したハードマスクパターン15であるクロム膜のエッチングの条件は、Cl
2流量40sccm、O
2流量10sccm、He流量80sccm、圧力30Pa、ICPパワー300W、RIEパワー30Wであった。
【0054】
次に、所望のパターンを形成したハードマスクパターン18をマスクとしてICPドライエッチング装置を用いたドライエッチングによってパターン形成体19を形成した(
図1(g)参照)。
【0055】
このとき、基板である石英基板のエッチング条件は、C
4F
8流量10sccm、O
2流量10〜25sccm、Ar流量75sccm、圧力2Pa、ICPパワー200W、RIEパワー550Wであった。
【0056】
次に、所望のパターンを形成したハードマスクパターン18の剥離洗浄を行った(
図1(h)参照)。このとき、所望のパターンを形成したハードマスク層18の剥離洗浄にはウェットエッチングを用いた。
【0057】
以上の手順によりパターン形成体19を作製することが出来る。
【0058】
(実施例2)
実施例1で作製したパターン形成体19をインプリントモールドとして用いて、
図2に示すように凹凸パターンが反転した樹脂パターン24を形成するインプリト法を行った。
【0059】
まず、転写基板21上に転写材料22として光硬化性樹脂を100nm厚に積層し、パターン形成体19を対向して配置した(
図2(a)参照)。
【0060】
このとき、微細なインプリントモールドであるパターン形成体19のパターン面側には、離型剤としてフッ素系表面処理剤をあらかじめコートした。また、転写基板21はシリコン基板であった。
【0061】
次に、転写材料22とパターン形成体19を接触させ、パターン形成体19側から露光光を照射し、転写材料22を硬化させ、転写基板21とパターン形成体19とを遠ざけ、転写材料22に残膜つき樹脂パターン23を形成した(
図2(b)参照)。
【0062】
このとき、微細なインプリントモールドであるパターン形成体19に荷重を1MPa加え、露光光であるUV光の照射量は400mJ/cm2であった。
【0063】
以上より、実施例1で作製したパターン形成体19の凹凸反転した微細な樹脂パターン23をインプリント法により形成する。
【0064】
次に、O
2プラズマアッシング(条件:O
2流量500sccm、圧力30Pa、RFパワー1000W)によって残膜を除去し、樹脂パターン24を形成した(
図2(c)参照)。
【0065】
次に、樹脂パターン24をマスクとして、ICPドライエッチング装置を用いたドライエッチングによって転写基板21のエッチングを行った(
図2(d)参照)。このとき、基板であるシリコン基板のエッチング条件は、SF
6流量40sccm、Ar流量75sccm、圧力2Pa、ICPパワー200W、RIEパワー300Wであった。
【0066】
以上の手順により実施例1で作製した微細なインプリントモールドであるパターン形成体19の凹凸反転した微細な複製版25を作製することが出来る。
【0067】
この発明は、上記実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより、種々の発明が抽出され得る。
【0068】
例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。